(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154743
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造
(51)【国際特許分類】
B60R 1/06 20060101AFI20241024BHJP
H01R 13/73 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60R1/06 D
H01R13/73 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068754
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社ペンストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴行
(72)【発明者】
【氏名】石川 樹
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF30
3D053GG06
(57)【要約】
【課題】車体側ハーネスのコネクタをミラー側ハーネスのコネクタに接続する際に、ミラー側ハーネスのコネクタがミラーホルダーから外れてしまうのを抑制して車体側ハーネスのコネクタの接続作業性を向上させる。
【解決手段】車両用サイドミラーユニットは、後方視認用ミラーを保持するミラーホルダー20と、ミラー側ハーネス30と、ミラー側ハーネス30の端部に設けられるミラー側コネクタ31とを備えている。ミラーホルダー20の前面25には、ミラー側コネクタ31をその長手方向が前面25に沿う姿勢で保持するための保持部50が設けられている。保持部50は、ミラー側コネクタ31の基端部に対して車体側コネクタ41が差し込まれる方向と反対方向から当接する当接部51と、ミラー側コネクタ31に対してミラーホルダー20側と反対側から係止する係止部52とを有している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側部に配設される車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造であって、
前記車両用サイドミラーユニットは、後方視認用ミラーと、前記後方視認用ミラーの裏面に沿って延びる板状に形成され、前記後方視認用ミラーを保持するミラーホルダーと、電装部品と、前記電装部品から延びるミラー側ハーネスと、前記ミラー側ハーネスの端部に設けられ、車体側ハーネスのコネクタが差し込まれた状態で接続されるミラー側コネクタとを備え、
前記ミラー側コネクタは、前記車体側ハーネスのコネクタが差し込まれる方向に長く形成され、
前記ミラーホルダーにおける前記後方視認用ミラーと反対側に位置する前面には、前記ミラー側コネクタをその長手方向が前記前面に沿う姿勢で保持するための保持部が設けられ、
前記保持部は、前記ミラー側コネクタの基端部に対して前記車体側ハーネスのコネクタが差し込まれる方向と反対方向から当接する当接部と、前記ミラー側コネクタに対して前記ミラーホルダー側と反対側から係止する係止部とを有していることを特徴とする車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造において、
前記保持部は、前記ミラー側コネクタに対して前記ミラーホルダーから離れる方向に向かう付勢力を作用させる付勢部を有していることを特徴とする車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造において、
前記付勢部は、前記差込方向に延びる板状をなすとともに、基端部が樹脂材からなる前記ミラーホルダーに一体成形され、
前記付勢部における先端側に位置する部分には、前記ミラー側コネクタに形成された凹部に入る凸部が形成されていることを特徴とする車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造。
【請求項4】
請求項2に記載の車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造において、
前記付勢部は、前記ミラー側コネクタにおける基端側に位置する部分に接触するように配置され、
前記保持部は、前記ミラー側コネクタにおける先端側に位置する部分に対して前記ミラーホルダー側から当接する支持部を有していることを特徴とする車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造において、
前記係止部は、前記ミラー側コネクタにおける前記付勢部が接触する部分と、前記支持部が当接する部分との間の部分に係止することを特徴とする車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造。
【請求項6】
請求項1に記載の車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造において、
前記当接部は、前記ミラー側コネクタの幅方向両側にそれぞれ設けられ、幅方向一方の前記当接部は、前記ミラー側コネクタに対して幅方向一方から当接し、幅方向他方の前記当接部は、前記ミラー側コネクタに対して幅方向他方から当接するように形成されていることを特徴とする車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造。
【請求項7】
請求項1に記載の車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造において、
前記係止部は、前記ミラー側コネクタの幅方向両側にそれぞれ設けられ、前記ミラー側コネクタの外面に形成された窪み部に係止するように形成されていることを特徴とする車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の側部に配設される車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転支援機能の一つとして、ブラインドスポットモニタリング(以下、BSMと呼ぶ)機能がある。BSMは、自車が走行している車線に隣接する別の車線を走行する他車が自車に接近していることを運転者に警告可能に構成されている。具体的には、BSMシステムは、例えばリアバンパー等に設けられた他車検出用のセンサと、当該センサからの出力信号に基づいて他車が自車に接近しているか否かを判定する判定部と、当該判定部によって他車が自車に接近していると判定される場合に警告灯を点灯または点滅させる警告装置を備えている。警告装置は、通常、左右のサイドミラーユニットにそれぞれ組み込まれている。そして、警告装置は、ミラーの裏面から光を照射し、当該ミラーの一部を透過させることにより、ミラーの表面に警告マークを光らせて運転者に当該図柄を視認可能にするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、BSMシステムを搭載した自動車の場合、サイドミラーに例えばLED等からなる発光体を設ける必要があるので、発光体に電力を供給するためのハーネスがサイドミラーユニットのハウジング内に組み込まれる。このミラー側ハーネスの端部には、コネクタが設けられており、車体側ハーネスのコネクタがミラー側のコネクタに接続されるようになっている。
【0005】
このコネクタの接続作業時には、両方のコネクタがフリーな状態だと作業しづらいので、ミラー側ハーネスのコネクタをBSMが設けられるミラーホルダーに固定しておくことが考えられる。ところが、車体側ハーネスのコネクタをミラー側ハーネスのコネクタに接続する際には、車体側ハーネスのコネクタをミラー側ハーネスのコネクタへ差し込む方向に力を加えることになるが、このときに作用する力でミラー側ハーネスのコネクタがミラーホルダーから外れてしまうおそれがある。
【0006】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、車体側ハーネスのコネクタをミラー側ハーネスのコネクタに接続する際に、ミラー側ハーネスのコネクタがミラーホルダーから外れてしまうのを抑制して車体側ハーネスのコネクタの接続作業性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、車両の側部に配設される車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造を前提とすることができる。前記車両用サイドミラーユニットは、後方視認用ミラーと、前記後方視認用ミラーの裏面に沿って延びる板状に形成され、前記後方視認用ミラーを保持するミラーホルダーと、電装部品と、前記電装部品から延びるミラー側ハーネスと、前記ミラー側ハーネスの端部に設けられ、車体側ハーネスのコネクタが差し込まれた状態で接続されるミラー側コネクタとを備えている。前記ミラー側コネクタは、前記車体側ハーネスのコネクタが差し込まれる方向に長く形成されている。前記ミラーホルダーにおける前記後方視認用ミラーと反対側に位置する前面には、前記ミラー側コネクタをその長手方向が前記前面に沿う姿勢で保持するための保持部が設けられている。前記保持部は、前記ミラー側コネクタの基端部に対して前記車体側ハーネスのコネクタが差し込まれる方向と反対方向から当接する当接部と、前記ミラー側コネクタに対して前記ミラーホルダー側と反対側から係止する係止部とを有している。
【0008】
この構成によれば、ミラー側コネクタがミラーホルダーの保持部に保持されると、係止部がミラー側コネクタに対してミラーホルダー側と反対側から係止するので、ミラー側コネクタのミラーホルダーからの脱落が抑制される。さらに、当接部がミラー側コネクタの基端部に対して、車体側ハーネスのコネクタが差し込まれる方向と反対方向から当接しているので、車体側ハーネスのコネクタをミラー側コネクタに差し込む際に、ミラー側コネクタが差込方向に移動するのが当接部によって抑制される。これにより、ミラー側コネクタがミラーホルダーから外れなくなる。
【0009】
前記保持部は、前記ミラー側コネクタに対して前記ミラーホルダーから離れる方向に向かう付勢力を作用させる付勢部を有していてもよい。すなわち、付勢部がミラー側コネクタに付勢力を作用させると、ミラー側コネクタがミラーホルダーから離れる方向に移動しようとするが、この移動が係止部によって阻止された状態になる。よって、ミラー側コネクタがミラーホルダーに対してがたつき難くなるので、車体側ハーネスのコネクタの接続作業性がより一層向上する。
【0010】
前記付勢部は、前記差込方向に延びる板状をなすとともに、基端部が樹脂材からなる前記ミラーホルダーに一体成形されていてもよい。この場合、前記付勢部における先端側に位置する部分には、前記ミラー側コネクタに形成された凹部に入る凸部を形成することができる。ミラー側コネクタの凹部に付勢部の凸部が入ることにより、保持部に保持されたミラー側コネクタが所定位置から移動し難くなるので、ミラー側コネクタを所定位置で位置決めできる。
【0011】
前記付勢部は、前記ミラー側コネクタにおける基端側に位置する部分に接触するように配置されていてもよい。この場合、前記保持部は、前記ミラー側コネクタにおける先端側に位置する部分に対して前記ミラーホルダー側から当接する支持部を有する構成とすることができる。すなわち、付勢部がミラー側コネクタにおける基端側に位置する部分に付勢力を作用させると、ミラー側コネクタが付勢力によって傾いてしまうおそれがあるが、本態様のように、支持部がミラー側コネクタにおける先端側に位置する部分を支持することで、ミラー側コネクタの傾きを抑制してミラー側コネクタを所望の位置に位置付けることが可能になる。
【0012】
前記係止部は、前記ミラー側コネクタにおける前記付勢部が接触する部分と、前記支持部が当接する部分との間の部分に係止させることができる。すなわち、ミラー側コネクタの長手方向両側には、それぞれ、付勢部による付勢力と、支持部の反力とが作用することになるが、これらの間の部分に係止部を係止させることで、ミラー側コネクタを安定した状態で保持できる。
【0013】
前記当接部は、前記ミラー側コネクタの幅方向両側にそれぞれ設けられていてもよい。この場合、幅方向一方の前記当接部は、前記ミラー側コネクタに対して幅方向一方から当接し、幅方向他方の前記当接部は、前記ミラー側コネクタに対して幅方向他方から当接するように形成することができる。これにより、接続作業時におけるミラー側コネクタの幅方向の変位が当接部によって抑制されるので、接続作業性がより一層向上する。
【0014】
前記係止部は、前記ミラー側コネクタの幅方向両側にそれぞれ設けられていてもよく、また、前記係止部は、前記ミラー側コネクタの外面に形成された窪み部に係止するように形成されていてもよい。これにより、ミラー側コネクタが幅方向及び長手方向の両方向に変位し難くなるので、接続作業性がより一層向上する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、ミラーホルダーに当接部を設けてミラー側コネクタの基端部に対して車体側ハーネスのコネクタが差し込まれる方向と反対方向から当接させるとともに、ミラーホルダーに係止部を設けてミラー側コネクタに対してミラーホルダー側と反対側から係止させるようにしたので、車体側ハーネスのコネクタをミラー側ハーネスのコネクタに接続する際に、ミラー側ハーネスのコネクタがミラーホルダーから外れてしまうのを抑制して車体側ハーネスのコネクタの接続作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るコネクタ保持構造を備えた車両用サイドミラーユニットを後方から見た図である。
【
図2】車体側ハーネスが接続された光源装置を有するミラーホルダーを後方から見た図である。
【
図3】車体側ハーネスが接続された光源装置を有するミラーホルダーを前方から見た図である。
【
図4】車体側ハーネスが接続される前の
図3相当図である。
【
図5】光源装置、ミラー側ハーネス及びミラー側コネクタを示す図である。
【
図6】ミラー側コネクタ及び車体側コネクタの断面図である。
【
図8】
図3におけるVIII-VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ保持構造を備えた車両用サイドミラーユニット1を後方から見た図である。車両用サイドミラーユニット1は、例えば自動車の側部に配設されるドア等に取り付けられ、乗員が後方確認のために使用するものであり、ドアミラーユニットとも呼ばれる。本実施形態では、自動車の右側に設けられる車両用サイドミラーユニット1について説明するが、本発明は自動車の左側に設けられる車両用サイドミラーユニット1(図示せず)にも適用することができる。左側に設けられる車両用サイドミラーユニットは、右側に設けられる車両用サイドミラーユニット1と左右対称に構成される。
【0019】
尚、本実施形態では、各図に示すように前後方向、左右方向を定義しており、前後方向
は車両の前後方向に対応し、左右方向は車両の左右方向(車幅方向)に対応している。右
側に設けられる車両用サイドミラーユニット1を前提とした場合、車両用サイドミラーユニット1の左側が車両用サイドミラーユニット1の車幅方向内側となり、車両用サイドミラーユニット1の右側が車両用サイドミラーユニット1の車幅方向外側となる。
【0020】
車両用サイドミラーユニット1は、後方視認用ミラー2と、後方視認用ミラー2を収容するミラーハウジング3とを備えている。後方視認用ミラー2は左右方向の寸法が上下方向の寸法よりも長く形成された横長形状を有している。後方視認用ミラー2の鏡面は当該後方視認用ミラー2の後側に位置する面(後面)であり、この面を表面ともいう。一方、後方視認用ミラー2の鏡面と反対側の面は前側に位置する面であり、この面を裏面ともいう。
【0021】
後方視認用ミラー2の右端部近傍には、例えば三角形状の警告マークMが表示可能になっている。すなわち、図示しないが、本実施形態の自動車には、後続車が接近しているか否かを検出するセンサが設けられている。このセンサによって後続車が接近していることが検出された場合には、後方視認用ミラー2の鏡面と反対側に配置された光源装置4から照射された光が後方視認用ミラー2を透過することによって後方視認用ミラー2の鏡面に警告マークMを表示させることができるようになっている。つまり、車両用サイドミラーユニット1は、後続車の接近を警告する警告機能を持っており、この機能は、例えばブライドスポットモニタシステム等と呼ばれている。光源装置4は、本発明の電装部品の一例であり、車両用サイドミラーユニット1の一構成要素である。
【0022】
後方視認用ミラー2における警告マークMが表示される部分は、裏側から表面へ向けて光が透過可能な光透過部となっている。光透過部の構成は従来から周知である。警告マークMの形状や大きさは特に限定されるものではなく、どのような形状であってもよいし、どのような大きさであってもよい。また、警告マークMの数は複数であってもよく、この場合、複数の警告マークMを1つの光源装置4によって表示することが可能である。また、警告マークMの色や位置についても任意に設定することができる。
【0023】
ミラーハウジング3は、ステー(図示せず)を介して自動車のドア(図示せず)に取り付けられる。ミラーハウジング3は、前方に向けて窪むように形成され、かつ、後方に向けて開放されたミラー収容凹部3aを有している。後方視認用ミラー2は、ミラー収容凹部3aに収容された状態で、車両用サイドミラーユニット1が備えているミラーホルダー20(
図2や
図3に示す)及び図示しない角度調整機構を介してミラー収容凹部3aの奥側(前側)に位置する壁部(図示せず)に支持される。
【0024】
後方視認用ミラー2は、ミラーホルダー20の後側に配置された状態で当該ミラーホルダー20に固定される。ミラーホルダー20は、例えば後方視認用ミラー2をしっかりと保持可能な強度及び剛性を有するとともに、後述する付勢部54の弾性変形を可能にする樹脂材等で構成されており、後方視認用ミラー2の裏面に沿って上下方向及び左右方向に延びる板状に形成されている。後方視認用ミラー2の車幅方向の寸法が上下方向の寸法よりも長いので、ミラーホルダー20も車幅方向の寸法が上下方向の寸法よりも長く設定されている。
【0025】
図3は、車体側ハーネス40が接続された光源装置4を有するミラーホルダー20を前方から見た図であり、
図4は、車体側ハーネス40が接続される前のミラーホルダー20を前方から見た図である。車体側ハーネス40は、自動車の車体側から延びるハーネスであり、車体側に位置する基端部にはBSMシステム(図示せず)の制御装置が接続されている。
【0026】
図3及び
図4に示すように、車両用サイドミラーユニット1は、光源装置4から延びるミラー側ハーネス30と、ミラー側ハーネス30の端部に設けられ、車体側ハーネス40の車体側コネクタ41が差し込まれた状態で接続されるミラー側コネクタ31とを備えている。ミラー側ハーネス30は、特に限定されるものではないが、例えば2本の電線で構成されており、光源装置4に電力を供給するための部材である。
【0027】
図6は、互いに接続された状態のミラー側コネクタ31及び車体側コネクタ41の断面図である。
図6では、ミラー側コネクタ31及び車体側コネクタ41が中空状の部分も模式的に中実状に示している。ミラー側コネクタ31は、樹脂製であり、車体側ハーネス40の車体側コネクタ41が差し込まれる方向(
図6に矢印Aで示す方向)に長く形成されている。ミラー側ハーネス30の端部は、ミラー側コネクタ31の基端部(
図6における左端部)から当該ミラー側コネクタ31の内部に差し込まれるとともに、当該ミラー側コネクタ31の内部に配設された導体(図示せず)に接続されている。ミラー側コネクタ31の先端側に位置する部分は、車体側コネクタ41の差し込みが可能な筒状部31aで構成されている。この筒状部31aの先端面には、車体側コネクタ41を差し込むための差込口31bが形成されている。
【0028】
ミラー側コネクタ31の基端側に位置する部分の外面には、凹部31cが形成されている。ミラー側コネクタ31における凹部31cと筒状部31aとの間の部分の外面には、窪み部31dが形成されている。凹部31cが形成されている面と、窪み部31dが形成されている面とは、ミラー側コネクタ31の長手方向に延びる同一面となっている。
【0029】
車体側ハーネス40の端部は、車体側コネクタ41の基端部(
図6における右端部)から当該車体側コネクタ41の内部に差し込まれるとともに、当該車体側コネクタ41の内部に配設された導体(図示せず)に接続されている。ミラー側コネクタ31と車体側コネクタ41とが接続されると、車体側コネクタ41の導体とミラー側コネクタ31の導体とが導通するようになっている。車体側ハーネス40の先端側に位置する部分がミラー側コネクタ31の筒状部31aに差し込まれるようになっている。
【0030】
図2に示すように、ミラーホルダー20の後面の右側には、光源装置4が取り付けられている。具体的には、
図3に示すようにミラーホルダー20の右側には、前方へ向けて膨出する膨出部21が形成されている。この膨出部21の内部に光源装置4が収容された状態でミラーホルダー20に取り付けられている。光源装置4の取付構造は、上述した構造に限られるものではなく、どのような構造であってもよい。
【0031】
ミラーホルダー20の右側における光源装置4の下方には、右側ハーネス挿通孔22が形成されている。右側ハーネス挿通孔22は、光源装置4の下端部の真下に位置している。ミラー側ハーネス30及びミラー側コネクタ31は、右側ハーネス挿通孔22に挿通可能になっている。
【0032】
ミラーホルダー20の左側には、左側ハーネス挿通孔23が形成されている。車体側ハーネス40及び車体側コネクタ41は、左側ハーネス挿通孔23に挿通可能になっている。左側ハーネス挿通孔23は、右側ハーネス挿通孔22よりも大きく形成されており、右側ハーネス挿通孔22よりも上に位置付けられている。
【0033】
図3に示すように、ミラーホルダー20における後方視認用ミラー2と反対側に位置する面は前面25である。ミラーホルダー20の前面25には、ミラー側コネクタ31をその長手方向が前面25に沿う姿勢で保持するための保持部50が設けられている。保持部50は、左側ハーネス挿通孔23の下方に位置している。この実施形態では、ミラー側コネクタ31の長手方向が上下方向となる姿勢でミラー側コネクタ31がミラーホルダー20に保持される。ミラー側コネクタ31の長手方向は、左右方向に向いていてもよく、ミラー側コネクタ31の向きに合わせて保持部50を設ければよい。
【0034】
また、ミラー側コネクタ31は、当該ミラー側コネクタ31の基端部が下に位置するように保持部50によって保持される。よって、筒状部31aがミラー側コネクタ31の上側に位置することになり、差込口31bは上方に向けて開口することになる。
【0035】
図7にも示すように、保持部50は、一対の当接部51と、一対の係止部52とを有している。当接部51は、ミラーホルダー20の前面25から前方へ向けて突出しており、ミラー側コネクタ31の基端部に対して車体側コネクタ41が差し込まれる方向と反対方向から当接するように配置されている。この実施形態では、ミラー側コネクタ31の長手方向が上下方向に向いているので、当接部51はミラー側コネクタ31の下端部に対して下方から当接するように配置されることになる。尚、当接部51は1つのみ設けてもよい。
【0036】
一対の当接部51は、ミラー側コネクタ31の幅方向両側にそれぞれ設けられており、ミラー側コネクタ31の幅方向に間隔をあけて配置されている。一対の当接部51の間をミラー側ハーネス30が通っている。ミラー側コネクタ31の幅方向一方に位置する当接部51は、ミラー側コネクタ31に対して幅方向一方から当接するように形成されている。また、ミラー側コネクタ31の幅方向他方に位置する当接部51は、ミラー側コネクタ31に対して幅方向他方から当接するように形成されている。つまり、一対の当接部51の間隔は、ミラー側コネクタ31の幅方向の寸法に対応している。
【0037】
図8にも示すように、係止部52は、ミラーホルダー20の前面25から前方へ向けて突出しており、ミラー側コネクタ31に対してミラーホルダー20側と反対側(前側)から係止する爪状に形成されている。すなわち、一対の係止部52は、ミラー側コネクタ31の幅方向両側にそれぞれ設けられており、一対の係止部52の間にミラー側コネクタ31の長手方向中間部が配置されるようになっている。係止部52は、互いに接離する方向に弾性変形可能になっている。
【0038】
一対の係止部52の突出方向先端部には、互いに接近する方向に突出する爪部52aが形成されている。
図9に示すように、ミラー側コネクタ31の長手方向中間部には、窪み部31dが形成されており、一対の係止部52の爪部52aは、窪み部13dに入るように、かつ、窪み部13dに入った状態で当該窪み部13dの内面に係止するように形成されている。
図2にも示すように、ミラーホルダー20における係止部52が形成された箇所には、貫通孔53が開口している。尚、係止部52は1つのみ設けてもよい。
【0039】
図9に示すように、保持部50は、係止部52が係止したミラー側コネクタ31に対してミラーホルダー20から離れる方向(前方)に向かう付勢力を作用させる付勢部54を有している。付勢部54は、車体側コネクタ41の差込方向(ミラー側コネクタ31の長手方向)に延びる板状をなしている。付勢部54の基端部54aは、ミラーホルダー20に一体成形されている。付勢部54は、ミラーホルダー20を構成している樹脂材が持っている弾性によって前後方向(ミラーホルダー20の厚み方向)に撓み変形可能になっている。付勢部54が撓み変形することで付勢部54における先端側に位置する部分が前後方向に変位する。
【0040】
付勢部54における先端側に位置する部分がミラー側コネクタ31に当接した状態で、ミラー側コネクタ31に対して付勢力を作用させるように、付勢部54の形状が設定されている。ミラー側コネクタ31に対する付勢力は、付勢部54の形状、厚み寸法、幅寸法等によって任意に設定可能であり、この実施形態では、係止部52が係止したミラー側コネクタ31ががたつかないように付勢力の大きさが設定されている。
【0041】
付勢部54における先端側に位置する部分には、ミラー側コネクタ31に形成された凹部31cに入る凸部54bが形成されている。凸部54bが凹部31cに入ると、ミラー側コネクタ31はミラーホルダー20に対して当該ミラー側コネクタ31の長手方向には移動しなくなる。また、付勢部54は、ミラー側コネクタ31における基端側に位置する部分に接触するように配置されている。つまり、ミラー側コネクタ31における筒状部31aよりも基端部寄りの部分、かつ、ミラー側コネクタ31における長手方向中間部よりも基端部寄りの部分に付勢力を作用させるように、付勢部54が配置されている。
【0042】
また、ミラーホルダー20の貫通孔53は、付勢部54に対応する部分に亘って上下方向に長く形成されている。よって、
図2に示すようにミラーホルダー20を後から見たときに、付勢部54が貫通孔53から見えることになる。
【0043】
保持部50は、ミラー側コネクタ31における先端側に位置する部分に対してミラーホルダー20側から当接する支持部55を有している。支持部55は、ミラーホルダー20から前方へ向けて突出するとともに、ミラー側コネクタ31の長手方向に沿って延びる突条部で構成されている。支持部5の当接箇所は、ミラー側コネクタ31の筒状部31aの外面である。したがって、係止部52は、ミラー側コネクタ31における付勢部54が接触する部分と、支持部55が当接する部分との間の部分に係止することになる。
【0044】
図3に示すように、ミラーホルダー20の前面25には、複数のフック部57が互いに間隔をあけて形成されている。フック部57は、ミラー側ハーネス30の中間部を保持するための部分であり、保持部50と右側ハーネス挿通孔22との間に位置している。複数のフック部57にミラー側ハーネス30の中間部を保持させることで、ミラー側ハーネス30を所望の経路で配索することが可能になっている。尚、フック部57は必要に応じて設ければよい。
【0045】
保持部50は、突出部58を有している。突出部58は、ミラーホルダー20から前方へ向けて突出しており、ミラー側コネクタ31の幅方向両側に配置されている。この突出部58は、筒状部31aの側方に位置付けられている。つまり、突出部58、係止部52及び当接部51がミラー側コネクタ31の長手方向に並んでいる。
【0046】
(ハーネスの組付及び接続方法)
次に、ミラー側ハーネス30のミラーホルダー20への組付方法、並びにミラー側コネクタ31と車体側コネクタ41との接続方法について説明する。まず、ミラー側ハーネス30をミラーホルダー20に組み付ける際には、光源装置4をミラーホルダー20の膨出部21の内部に収容し、ミラーホルダー20に取り付ける。このとき、ミラー側ハーネス30及びミラー側コネクタ31がミラーホルダー20の後側に位置している。ミラーホルダー20の後側に位置しているミラー側ハーネス30及びミラー側コネクタ31を右側ハーネス挿通孔22に挿通し、ミラーホルダー20の前側に持っていく。
【0047】
そして、ミラー側コネクタ31を保持部50に保持させる。このとき、ミラー側コネクタ31を係止部52よりも上方に位置付けてから下へ移動させていく。ミラー側コネクタ31の基端部が当接部51に当接するまでミラー側コネクタ31を下へ移動させると、係止部52がミラー側コネクタ31に係止するとともに、付勢部54がミラー側コネクタ31に付勢力を作用させる。この状態で、ミラー側コネクタ31が支持部55によって支持されるので、ミラー側コネクタ31の傾きが抑制されてミラー側コネクタ31を所望の位置に位置付けることが可能になる。また、ミラー側コネクタ31の長手方向両側には、それぞれ付勢部54による付勢力と、支持部55の反力が作用することになるが、これらの間の部分に係止部52を係止させているので、ミラー側コネクタ31を安定した状態で保持できる。このようにして、ミラー側コネクタ31がミラーホルダー20の保持部50に保持されると、ミラー側コネクタ31のミラーホルダー20からの脱落が抑制される。また、ミラー側ハーネス30の中間部をフック部57に引っ掛けて保持させる。
【0048】
その後、車体側コネクタ41をミラー側コネクタ31の筒状部31aに差し込む。このとき、当接部51がミラー側コネクタ31の基端部に対して、車体側コネクタ41が差し込まれる方向と反対方向から当接しているので、車体側コネクタ41をミラー側コネクタ31に差し込む際に、ミラー側コネクタ31が差込方向に移動するのが当接部51によって抑制される。これにより、ミラー側コネクタ31がミラーホルダー20から外れなくなる。接続時には、付勢部54による付勢力がミラー側コネクタ31に作用しているので、ミラー側コネクタ31がミラーホルダー20に対してがたつき難くなる。よって、車体側コネクタ41の接続作業性がより一層向上する。
【0049】
また、当接部51がミラー側コネクタ31の幅方向両側から当接するように配置されているので、接続時におけるミラー側コネクタ31の幅方向の変位が当接部51によって抑制される。同様に、係止部52もミラー側コネクタ31の幅方向両側から当接するように配置されているので、接続時におけるミラー側コネクタ31の幅方向の変位が係止部52によって抑制される。よって、接続作業性がより一層向上する。
【0050】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。具体的には、本実施形態では電装部品がBSMシステムの光源装置4である場合について説明したが、これに限らず、例えば、後方視認用ミラー2を加温するためのヒータであってもよいし、ウインカー用の光源装置であってもよいし、カメラであってもよいし、電動角度調整装置や電動格納装置等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本開示に係る車両用サイドミラーユニットのコネクタ保持構造は、車両用サイドミラーユニットに設けられる電装部品のコネクタをミラーホルダーに保持する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用サイドミラーユニット
2 後方視認用ミラー
4 光源装置(電装部品)
20 ミラーホルダー
30 ミラー側ハーネス
31 ミラー側コネクタ
31c 凹部
31d 窪み部
40 車体側ハーネス
41 車体側コネクタ
50 保持部
51 当接部
52 係止部
54 付勢部
54b 凸部
55 支持部