(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015475
(43)【公開日】2024-02-02
(54)【発明の名称】コロナウイルスワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/215 20060101AFI20240126BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240126BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240126BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240126BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240126BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20240126BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20240126BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240126BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240126BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20240126BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240126BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240126BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240126BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240126BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240126BHJP
C12N 15/50 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
A61K39/215
A61P31/14 ZNA
A61P31/16
A61P37/04
A61P43/00 121
A61K39/145
A61K39/12
A61K48/00
A61P43/00 105
A61K9/51
A61K9/127
A61K47/28
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/14
A61K47/26
C12N15/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023104178
(22)【出願日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】63/355,648
(32)【優先日】2022-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/357,628
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/358,522
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/394,571
(32)【優先日】2022-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/402,444
(32)【優先日】2022-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/417,680
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/422,404
(32)【優先日】2022-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/425,290
(32)【優先日】2022-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/071,499
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/486,953
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/452,148
(32)【優先日】2023-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/465,521
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/469,472
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522021206
【氏名又は名称】ビオンテック・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BioNTech SE
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ムイク,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ポラン,アサフ
(72)【発明者】
【氏名】シャヒン,ウール
(72)【発明者】
【氏名】スワンソン,ケーナ アン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チー
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ホイ
(72)【発明者】
【氏名】モジャラード,ケイボン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA65
4C076AA95
4C076BB11
4C076CC06
4C076CC29
4C076DD44
4C076DD49
4C076DD50
4C076DD67
4C076DD70
4C076EE23
4C084AA13
4C084MA16
4C084MA24
4C084MA38
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC75
4C085AA03
4C085BA51
4C085BA55
4C085BA71
4C085BB23
4C085DD62
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象におけるコロナウイルスに対する免疫応答を誘導する方法に使用するための組成物を提供する。
【解決手段】(a)特定のヌクレオチド配列と少なくとも99%同一のヌクレオチド配列、(b)特定のヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であり、かつ別の特定のヌクレオチド配列と比較して、特定の変異を含むSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするヌクレオチド配列、又は(c)特定のヌクレオチド配列、を有するRNA分子を含み、前記RNA分子が、(i)5’キャップ、及び(ii)各ウリジンの代わりに修飾ウリジンを含む、組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(a)配列番号161と少なくとも99%同一のヌクレオチド配列、
(b)配列番号161と少なくとも95%同一であり、かつ配列番号1と比較して以下の変異:T19I、Δ24-26、A27S、V83A、G142D、Δ145、H146Q、Q183E、V213E、G252V、G339H、R346T、L368I、S371F、S373P、S375F、T376A、D405N、R408S、K417N、N440K、V445P、G446S、N460K、S477N、T478K、E484A、F486P、F490S、Q498R、N501Y、Y505H、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、Q954H、N969K、K986P、及びV987Pを含むSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするヌクレオチド配列、または
(c)配列番号161に記載のヌクレオチド配列、を有するRNA分子を含み、
前記RNA分子が、
(i)5’キャップ、及び
(ii)各ウリジンの代わりに修飾ウリジンを含む、前記組成物。
【請求項2】
前記修飾ウリジンがN1-メチル-プソイドウリジンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記5’キャップがm2
7,3’-OGppp(m1
2’-O)ApGを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記RNA分子が脂質ナノ粒子(LNP)に封入され、好ましくは、前記LNPが、モル比20~60%のイオン化可能なカチオン性脂質、5~25%の中性脂質、25~55%のステロール、及び0.5~15%のPEG修飾脂質を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、XBB.1.5ではないSARS-CoV-2株またはバリアントのSタンパク質をコードするヌクレオチド配列を各々有する、1つ以上の追加のRNA分子を含み、好ましくは、前記1つ以上の追加のRNA分子が、配列番号20、72、または103に記載の配列と少なくとも95%同一の配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記RNA分子が、
(i)各ウリジンの代わりにN1-メチル-プソイドウリジン、及び
(ii)m2
7,3’-OGppp(m1
2’-O)ApGを含む5’キャップを含み、
前記RNA分子が脂質ナノ粒子(LNP)に封入され、
前記LNPが、モル比20~60%イオン化可能なカチオン性脂質、5~25%の中性脂質、25~55%のステロール、及び0.5~15%のPEG修飾脂質を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
約10mMのTris緩衝液及び約10%のスクロースを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、LNPに封入されたRNA分子の少なくとも1つの単位用量を含み、任意選択的に、前記単位用量が約30μgの量の前記RNA分子を含むか、または前記単位用量が約10μgの量の前記RNA分子を含むか、または前記単位用量が約3μgの量の前記RNA分子を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物がバイアル中に複数回用量製剤として製剤化される、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
対象に前記組成物を投与することを含む、対象におけるコロナウイルスに対する免疫応答を誘導する方法に使用するための、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記対象が12歳以上であり、前記組成物が30μgの前記RNA分子を含むか、または
前記対象が5歳~12歳未満であり、前記組成物が10μgの前記RNA分子を含むか、または
前記対象が6ヶ月~5歳未満であり、前記組成物が3μgの前記RNA分子を含む、請求項10に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記組成物が約200μL~300μLの体積で投与される、請求項10または11に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記対象がSARS-CoV-2ワクチンの1つ以上の用量を以前に投与され、好ましくは、前記対象がSARS-CoV-2ワクチンの完全な投薬レジメンを以前に投与された、請求項10~12のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記対象がBNT162b2の第1の用量及び第2の用量を以前に投与され、前記第1の用量及び前記第2の用量が約21日間隔で投与された、及び/または前記対象が(i)オミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質及び(ii)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する二価ワクチンをブースター用量として以前に投与された、請求項10~13のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記方法が、非SARS-CoV-2疾患に対する1つ以上のワクチンを投与することを更に含み、好ましくは、前記1つ以上のワクチンが、RSVワクチン、インフルエンザワクチン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項10~14のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コロナウイルス感染症を予防または治療するためのRNAの分野に関する。特に、本開示は、コロナウイルス感染症に対するワクチン接種のための方法及び薬剤、ならびに抗体及び/またはT細胞応答などの有効なコロナウイルス抗原特異的免疫応答を誘導するための方法及び薬剤に関する。これらの方法及び薬剤は、特に、コロナウイルス感染症の予防または治療に有用である。本明細書に開示されるRNAの対象への投与は、コロナウイルス感染症から当該対象を保護することができる。具体的には、一実施形態では、本開示は、対象におけるコロナウイルスSタンパク質、特にSARS-CoV-2のSタンパク質に対する免疫応答を誘導するための、SARS-CoV-2スパイクタンパク質(Sタンパク質)のエピトープを含むペプチドまたはタンパク質をコードするRNA、すなわち、ワクチン抗原をコードするワクチンRNAを、当該対象に投与することを含む方法に関する。対象にワクチン抗原をコードするRNAを投与することにより、対象におけるワクチン抗原(及び疾患関連抗原)に対する免疫応答を誘導するためのワクチン抗原が(適切な標的細胞によるRNAの発現後に)提供され得る。
【背景技術】
【0002】
SARS-CoV-2感染症及び結果として生じる疾患COVID-19は、世界的に広がり、ますます多くの国に影響を与えている。2020年3月11日、WHOは、COVID-19の発生をパンデミックとして特徴付けた。2020年12月1日現在、世界的に確認されているCOVID-19の症例は6300万件を超え、死亡者は140万人を超えており、191の国/地域が影響を受けている。現在進行中のパンデミックは、世界の公衆衛生及び経済の安定にとって依然として重要な課題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、組成物であって、
(a)配列番号161と少なくとも99%同一のヌクレオチド配列、
(b)配列番号161と少なくとも95%同一であり、かつ配列番号1と比較して以下の変異:T19I、Δ24-26、A27S、V83A、G142D、Δ145、H146Q、Q183E、V213E、G252V、G339H、R346T、L368I、S371F、S373P、S375F、T376A、D405N、R408S、K417N、N440K、V445P、G446S、N460K、S477N、T478K、E484A、F486P、F490S、Q498R、N501Y、Y505H、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、Q954H、N969K、K986P、及びV987Pを含むSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするヌクレオチド配列、または
(c)配列番号161に記載のヌクレオチド配列、を有するRNA分子を含み、
RNA分子が、
(i)5’キャップ、及び
(ii)各ウリジンの代わりに修飾ウリジンを含む、組成物を対象とする。
【0004】
本発明は、対象に組成物を投与することを含む、対象におけるコロナウイルスに対する免疫応答を誘導する方法に使用するための本発明の組成物も対象とする。
【0005】
いくつかの実施形態では、修飾ウリジンは、N1-メチル-プソイドウリジンとすることができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、5’キャップは、m2
7,3’-OGppp(m1
2’-O)ApGを含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、RNA分子は、脂質ナノ粒子(LNP)に封入されることができ、好ましくは、LNPは、モル比20~60%のイオン化可能なカチオン性脂質、5~25%の中性脂質、25~55%のステロール、及び0.5~15%のPEG修飾脂質を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、本組成物は、XBB.1.5ではないSARS-CoV-2株またはバリアントのSタンパク質をコードするヌクレオチド配列を各々有する、1つ以上の追加のRNA分子を含むことができ、好ましくは、1つ以上の追加のRNA分子は、配列番号20、72、または103に記載の配列と少なくとも95%同一の配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、RNA分子は、
(i)各ウリジンの代わりにN1-メチル-プソイドウリジン、及び
(ii)m2
7,3’-OGppp(m1
2’-O)ApGを含む5’キャップを含み、
RNA分子は、脂質ナノ粒子(LNP)に封入され、
LNPは、モル比20~60%イオン化可能なカチオン性脂質、5~25%の中性脂質、25~55%のステロール、及び0.5~15%のPEG修飾脂質を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本組成物は、約10mMのTris緩衝液及び約10%のスクロースを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、本組成物は、LNPに封入されたRNA分子の少なくとも1つの単位用量を含むことができ、任意選択的に、単位用量は約30μgの量のRNA分子を含むか、または単位用量は約10μgの量のRNA分子を含むか、または単位用量は約3μgの量のRNA分子を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本組成物は、バイアル中に複数回用量製剤として製剤化される。
【0013】
いくつかの実施形態では、対象は12歳以上とすることができ、本組成物は30μgのRNA分子を含むことができるか、または対象は5歳~12歳未満とすることができ、本組成物は10μgのRNA分子を含むことができるか、または対象は6ヶ月~5歳未満とすることができ、本組成物は3μgのRNA分子を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、本組成物は、約200μL~300μLの体積で投与することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、対象は、SARS-CoV-2ワクチンの1つ以上の用量を以前に投与され、好ましくは、対象は、SARS-CoV-2ワクチンの完全な投薬レジメンを以前に投与された。
【0016】
いくつかの実施形態では、対象は、BNT162b2の第1の用量及び第2の用量を以前に投与され、第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与された、及び/または対象は、(i)オミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質及び(ii)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する二価ワクチンをブースター用量として以前に投与された。
【0017】
いくつかの実施形態では、当該方法は、非SARS-CoV-2疾患に対する1つ以上のワクチンを投与することを更に含むことができ、好ましくは、1つ以上のワクチンは、RSVワクチン、インフルエンザワクチン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物(例えば、XBB.1.5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む一価組成物)は、ある特定の懸念されるSARS-CoV-2バリアント(例えば、懸念されるXBBバリアント(例えば、XBB.1.5バリアント、XBB.1.16バリアント、XBB.2.3バリアント、及び/またはXBB.2.3.2バリアントを含む))に対する強い免疫応答(例えば、高い中和力価)を誘導することができる。いくつかの実施形態では、かかる組成物は、XBB.1.5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む一価組成物である。いくつかの実施形態では、かかる組成物は、XBB.1.16バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む一価組成物である。いくつかの実施形態では、かかる組成物は、XBB.2.3バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む一価組成物である。いくつかの実施形態では、かかる組成物は、XBB.2.3.2バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む一価組成物である。本明細書で実証されるように、いくつかの実施形態では、かかる組成物は、ある特定の懸念されるXBBバリアント(例えば、懸念されるXBB.1.5バリアント、XBB.1.16バリアント、及びXBB.2.3バリアントを含む)に対して驚くほど高い中和力価を誘導することができる。更に一層驚くべきことに、いくつかの実施形態では、かかる組成物は、バリアント適応ワクチンよりも所与のバリアントに対して高い中和力価を誘導することができる(例えば、いくつかの実施形態では、XBB.1.5 Sタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む本明細書に記載のRNAは、XBB.1.16適応ワクチンによって誘導されるよりも高い中和力価を懸念されるXBB.1.16バリアントに対して誘導することができる)。いくつかの実施形態では、強い免疫応答は、ワクチン未接種の対象(例えば、若年小児患者(例えば、6ヶ月~5歳未満の患者))において観察することができる。いくつかの実施形態では、強い免疫応答は、以前または現在コロナウイルス感染症(例えば、SARS-CoV-2感染症)に罹っていない対象において観察することができる。いくつかの実施形態では、強い免疫応答は、SARS-CoV-2ワクチン(例えば、いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAワクチン、例えば、いくつかの実施形態では、武漢株のもの)を以前に受けた対象及び/またはSARS-CoV-2に以前に感染した対象において観察することができる。いくつかの実施形態では、かかるより広い交差中和は、若年小児対象(例えば、6ヶ月~2歳未満及び/または2歳~5歳未満の対象)において観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】SARS-CoV-2ワクチン経験のあるマウスにおけるバリアント適応ワクチンによって誘導される免疫応答を特徴付ける研究のための実験デザイン。マウスを9つの群に分け、各群に、第1の用量の、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA(BNT162b2)と、第2の用量の、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-COV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価組成物(BNT162b2+BA.4/5)とを投与する。第2の用量後、マウスに、図に示す株もしくはバリアントまたは株/バリアントの組み合わせのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む組成物を投与する。第1の用量及び第2の用量を21日間隔で投与し、第3の用量を第3の用量の約70日後に投与する。第1の用量を投与した119日後に、マウスを屠殺し、本実験を終了する。
【0020】
【
図2】SARS-CoV-2ワクチン経験のあるマウスにおけるバリアント適応ワクチンを特徴付ける研究のための実験デザイン。マウスを6つの群に分け、各群に、第1の用量及び第2の用量の、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA(BNT162b2)と、続いて、第3の用量の、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びBA.4/5オミクロンバリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価組成物(BNT162b2+BA.4/5)とを投与する。第3の用量後、マウスに、図に示すバリアントもしくは株または株/バリアントの組み合わせのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む組成物を投与する。第1の用量及び第2の用量を21日間隔で投与し、第3の用量を第3の用量の70日後に投与し、第4の用量を第3の用量の21日後に投与する。第1の用量を投与した126日後に、マウスを屠殺し、本実験を終了する。
【0021】
【
図3】マウスにおける一次シリーズとしてのバリアント適応ワクチンを試験するための例示的な実験プロトコル。2つの用量の、図に示す株/バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質(複数可)をコードするmRNA(複数可)を含む一価または二価ワクチン組成物を21日間隔でマウスに投与した。「WT」は、武漢株由来のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするmRNAに対応する。マウスに投与したRNAの質量(μg)を図に示す。
【0022】
【
図4】一次シリーズとしての一価XBB.1.5適応ワクチンは、XBB.1.5に対して二価武漢+BA.4/5ワクチンよりも高い中和力価を誘発する。
図3に要約した実験を行った際に収集した結果を示す。(A)は、
図3に要約した実験の35日目に採取した血清試料の疑似ウイルス中和力価を示す。(B)は、パネル(A)に示す棒グラフの中和力価値を列記する。
【0023】
【
図5】マウスにおける第4のブースター用量としてバリアント適応ワクチンを試験するための例示的な実験プロトコル。「BNT162b2 WT」は、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする一価mRNAワクチンに対応し、「BNT162b2二価WT+BA.4/5」は、武漢株のSタンパク質をコードするRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む二価ワクチンに対応する。134日目に、マウスに、図に示す株、バリアント、またはそれらの組み合わせのうちの1つをコードする一価または二価ワクチンを投与した。134日目及び160日目に、血液試料を採取した(試験管立てで表している)。
【0024】
【
図6A】XBB.1.5適応ブースターワクチンは、XBB.1.5及びXBB.1.6疑似ウイルスに対して最も高い中和力価を誘発する。
図5に要約した実験を行った際に収集した結果を示す。(図の凡例に示す)疑似ウイルスのパネルについて収集した中和力価を示す。X軸は、投与したワクチンを示す。力価を160日目に収集した。
【
図6B】XBB.1.5適応ブースターワクチンは、XBB.1.5及びXBB.1.6疑似ウイルスに対して最も高い中和力価を誘発する。
図5に要約した実験を行った際に収集した結果を示す。
図6Aに示す棒グラフの中和力価値を示す。
【
図6C】XBB.1.5適応ブースターワクチンは、XBB.1.5及びXBB.1.6疑似ウイルスに対して最も高い中和力価を誘発する。
図5に要約した実験を行った際に収集した結果を示す。武漢株由来のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA(図中のWT)及びオミクロンBA.4/5バリアント由来のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む二価ワクチンによって誘導された中和力価に対する、指定のワクチンによって誘導された中和力価の幾何平均比(GMR)を示す(GMR値を160日目に中和力価を使用して計算した)。
【
図6D】XBB.1.5適応ブースターワクチンは、XBB.1.5及びXBB.1.6疑似ウイルスに対して最も高い中和力価を誘発する。
図5に要約した実験を行った際に収集した結果を示す。
図6Cに示す棒グラフのGMR値を提供する。
【
図6E】XBB.1.5適応ブースターワクチンは、XBB.1.5及びXBB.1.6疑似ウイルスに対して最も高い中和力価を誘発する。
図5に要約した実験を行った際に収集した結果を示す。指示したワクチンによって誘導された中和力価を135日目(第4の用量前)の中和力価と比較したGMR値を示す。
【
図6F】XBB.1.5適応ブースターワクチンは、XBB.1.5及びXBB.1.6疑似ウイルスに対して最も高い中和力価を誘発する。
図5に要約した実験を行った際に収集した結果を示す。
図6Eに示すグラフのGMR値を示す。
【
図6G】XBB.1.5適応ブースターワクチンは、XBB.1.5及びXBB.1.6疑似ウイルスに対して最も高い中和力価を誘発する。
図5に要約した実験を行った際に収集した結果を示す。更なるSARS-CoV-2バリアント(XBB.2.3を含む)に対する中和力価を示す。
【0025】
【
図7】ある特定のバリアント適応ワクチンは、ワクチン未接種のマウスにおけるオミクロンXBBバリアントに対する中和応答を誘導する。本実験プロトコルの要約を図の上部に示す(シリンジは候補ワクチンを投与した日を示し、液滴は血液を採取した日を示す)。ワクチン未接種のマウスに、2つの用量の指示した候補ワクチンを投与した。第2の用量のワクチンを受けた4週間後に、マウスを出血させ、中和力価を収集した。図に示すように、中和力価が試験したバリアントの各々に対して誘導され、一価XBB.1.5適応ワクチンは、試験したXBBバリアントの各々に対して最も高い中和力価を誘導した。
【0026】
【
図8】ある特定のバリアント適応ワクチンは、ワクチン経験のあるマウスにおけるオミクロンXBBバリアントに対する中和応答を誘導する。本実験プロトコルの要約を図の上部に示す(シリンジは候補ワクチンを投与した日を示し、液滴は血液を採取した日を示す)。マウスに、2つの用量の武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA(WT)、続いて、ある用量の候補ワクチンを投与した。ある用量の候補ワクチンを受けた2週間後に、マウスを出血させ、中和力価を収集した。図に示すように、中和力価が試験したバリアントの各々に対して誘導され、一価XBB.1.5適応ワクチンは、試験したXBBバリアントの各々に対して最も高い中和力価を誘導した。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
「約」という用語は、およそまたはほぼを意味し、一実施形態では、本明細書に記載される数値または範囲の文脈において、列挙または特許請求される数値または範囲の±20%、±10%、±5%、または±3%を意味する。
【0028】
本開示を説明する文脈(特に、特許請求の範囲の文脈)で使用される「a」及び「an」及び「the」という用語、ならびに同様の指示対象は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を網羅するように解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、その範囲内に含まれる各個別の値を個々に参照する簡略法として機能することを意図する。本明細書において別段の指示がない限り、各個々の値は、本明細書に個々に列挙されるかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供される任意の及び全ての実施例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をより良く例示することを意図しており、特許請求の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、本開示の実施に不可欠な任意の特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0029】
RNA
本開示では、「RNA」という用語は、リボヌクレオチド残基を含む核酸分子に関する。好ましい実施形態では、RNAは、リボヌクレオチド残基の全てまたは大部分を含む。本明細書で使用される場合、「リボヌクレオチド」は、β-D-リボフラノシル基の2’位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドを指す。RNAは、二本鎖RNA、一本鎖RNA、単離されたRNA、例えば、部分的に精製されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換えによって産生されたRNA、ならびに1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換、及び/または改変によって天然に存在するRNAとは異なる修飾されたRNAを包含するが、これらに限定されない。かかる改変は、非ヌクレオチド材料の内部RNAヌクレオチドまたはRNAの末端(複数可)への付加を指してもよい。RNA中のヌクレオチドが化学的に合成されたヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドなどの非標準的なヌクレオチドであり得ることも本明細書で企図される。本開示では、これらの改変されたRNAは、天然に存在するRNAの類似体とみなされる。
【0030】
本開示のある特定の実施形態では、RNAは、ペプチドまたはタンパク質をコードするRNA転写物に関連するメッセンジャーRNA(mRNA)である。当該技術分野で確立されているように、mRNAは、一般に、5’非翻訳領域(5’-UTR)、ペプチドコード領域、及び3’非翻訳領域(3’-UTR)を含む。いくつかの実施形態では、RNAは、インビトロ転写または化学合成によって産生される。一実施形態では、mRNAは、DNAがデオキシリボヌクレオチドを含有する核酸を指すDNAテンプレートを使用したインビトロ転写によって産生される。
【0031】
一実施形態では、本明細書に記載のRNAは、修飾ヌクレオシドを有し得る。いくつかの実施形態では、RNAは、少なくとも1つの(例えば、全ての)ウリジンの代わりに修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA中の1つ以上のウリジンは、修飾ヌクレオシドによって置き換えられる。いくつかの実施形態では、RNAは、各ウリジンの代わりに修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、修飾ウリジンである。
【0032】
ある例示的な修飾ヌクレオシドは、以下の構造を有するN1-メチル-プソイドウリジン(m1Ψ)である。
【化1】
【0033】
いくつかの実施形態では、本開示によるRNAは、5’-キャップを含む。「5’-キャップ」という用語は、mRNA分子の5’末端上に見られる構造を指し、概して、5’-5’三リン酸結合を介してmRNAに連結されたグアノシンヌクレオチドからなる。一実施形態では、このグアノシンは、7位でメチル化されている。RNAに5’-キャップまたは5’-キャップ類似体を提供することは、インビトロ転写によって達成され得、この場合、5’-キャップは、RNA鎖内に共転写的に発現されるか、またはキャッピング酵素を使用して、転写後にRNAに結合し得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、RNAのためのビルディングブロックキャップは、以下の構造を有するm
2
7,3’-OGppp(m
1
2’-O)ApG(m
2
7,3`OG(5’)ppp(5’)m
2’-OApGと称されることもある)である。
【化2】
【0035】
一実施形態では、5’-UTR配列は、ヒトアルファ-グロビンmRNAに由来し、任意選択的に、翻訳効率を増加させるための最適化された「Kozak配列」を有する。
【0036】
一実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアント、またはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性断片を含むアミノ酸配列をコードするRNAは、配列番号12のヌクレオチド配列を含む5’UTR、または配列番号12のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、もしくは80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0037】
一実施形態では、「スプリットのアミノ末端エンハンサー」(AES)mRNA(Fと呼ばれる)とミトコンドリアコードされた12SリボソームRNA(Iと呼ばれる)に由来する2つの配列要素(FI要素)の組み合わせは、より高い最大タンパク質レベル及びRNA(例えば、mRNA)の長期持続性を確保するために、コード配列とポリ(A)配列との間に配置される。一実施形態では、ヒトベータグロビンmRNAに由来する2つの反復3’-UTRは、より高い最大タンパク質レベル及びRNA(例えば、mRNA)の長期持続性を確保するために、コード配列とポリ(A)配列との間に配置される。
【0038】
一実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質、その免疫原性バリアント、またはSARS-CoV-2 Sタンパク質もしくはその免疫原性バリアントの免疫原性断片を含むアミノ酸配列をコードするRNAは、配列番号13のヌクレオチド配列を含む3’UTR、または配列番号13のヌクレオチド配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、もしくは80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0039】
一実施形態では、30個のアデノシン残基のストレッチ、続いてリンカー配列(例えば、10個のヌクレオチドリンカー配列)及び別の70個のアデノシン残基からなる、110ヌクレオチド長のポリ(A)配列を使用する。このポリ(A)配列をRNA安定性及び翻訳効率を向上させるように設計した。
【0040】
一実施形態では、ポリA配列は、少なくとも100個のヌクレオチドを含む。
【0041】
一実施形態では、ポリA配列は、配列番号14のヌクレオチド配列を含むか、またはそれからなる。
【0042】
XBB.1.5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAは、オミクロンXBB.1.5バリアントの特徴である1つ以上の変異を含むSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、オミクロンXBB.1.5バリアントの特徴である1つ以上の変異には、F486Pが含まれる。いくつかの実施形態では、オミクロンXBB.1.5バリアントの特徴である1つ以上の変異には、T19I、Δ24-26、A27S、V83A、G142D、Δ144、H146Q、Q183E、V213E、G252V、G339H、R346T、L368I、S371F、S373P、S375F、T376A、D405N、R408S、K417N、N440K、V445P、G446S、N460K、S477N、T478K、E484A、S486P、F490S、Q498R、N501Y、Y505H、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、Q954H、及びN969K、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、オミクロンXBB.1.5バリアントの特徴である1つ以上の変異には、T19I、Δ24-26、A27S、V83A、G142D、Δ145、H146Q、Q183E、V213E、G252V、G339H、R346T、L368I、S371F、S373P、S375F、T376A、D405N、R408S、K417N、N440K、V445P、G446S、N460K、S477N、T478K、E484A、F486P、F490S、Q498R、N501Y、Y505H、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、Q954H、及びN969K、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0043】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAは、融合前立体配座を安定化させる1つ以上の変異を含むSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質の融合前配座の安定化は、完全長スパイクタンパク質中の残基986及び987に2つの連続したプロリン置換を導入することによって得られ得る(配列番号1に対して示される位置、バリアント適応配列の場合、プロリン置換を対応する位置に導入することができる)。具体的には、スパイク(S)タンパク質安定化タンパク質バリアントは、986位のアミノ酸残基をプロリンに交換し、987位のアミノ酸残基をプロリンに交換することによって得ることができる。一実施形態では、原型の融合前立体配座が安定化されているSARS-CoV-2 Sタンパク質バリアントは、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む。一実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質は、配列番号7と比較して以下の変異:T19I、Δ24-26、A27S、V83A、G142D、Δ145、H146Q、Q183E、V213E、G252V、G339H、R346T、L368I、S371F、S373P、S375F、T376A、D405N、R408S、K417N、N440K、V445P、G446S、N460K、S477N、T478K、E484A、F486P、F490S、Q498R、N501Y、Y505H、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、Q954H、及びN969Kを含むことができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、配列番号158に記載のポリペプチドもしくはその免疫原性断片、またはそのバリアント(例えば、配列番号158に対して少なくとも70%以上(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、またはそれ以上を含む)の同一性を有する)をコードするRNAを含む。いくつかの実施形態では、RNA組成物は、配列番号159の配列またはそのバリアント(例えば、配列番号159に対して少なくとも70%以上(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、またはそれ以上を含む)の同一性を有する)を含むRNAを含む。いくつかの実施形態では、RNA組成物は、配列番号161の配列またはそのバリアント(例えば、配列番号161に対して少なくとも70%以上(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、またはそれ以上を含む)の同一性を有する)を含むRNAを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、RNA組成物は、(a)配列番号161のヌクレオチド配列、もしくは配列番号161と少なくとも70%同一の配列(例えば、配列番号161に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%以上の同一性)、及び/または(b)配列番号158のアミノ酸配列、もしくは配列番号158と少なくとも70%同一のアミノ酸配列(例えば、配列番号158に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%以上の同一性)を有するSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、(c)SARS-CoV-2 Sタンパク質は、任意選択的に、融合前立体配座を安定化させる1つ以上の変異(例えば、配列番号158の982位及び983位のプロリン変異)を含む。いくつかの実施形態では、かかる組成物は、非XBB.1.5 SARS-CoV株またはバリアント(例えば、武漢株、オミクロンBA.4/5バリアント、及び/またはオミクロンBA.2.75.2バリアント)のSタンパク質を各々コードする、1つ以上の追加のRNA(例えば、本明細書に記載のかかるRNA)を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、RNA組成物は、オミクロンXBB.1.5バリアントの特徴である1つ以上の変異を含むSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むRNAを含み、
a)SARS-CoV-2 Sタンパク質が、配列番号158に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、もしくは80%の同一性を有するアミノ酸配列もしくはその免疫原性断片を含む、及び/または
b)SARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA分子が、配列番号159に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、もしくは80%の同一性、及び/または配列番号161に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、もしくは80%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、
c)オミクロンXBB.1.5バリアントの特徴である1つ以上の変異が、任意選択的に、T19I、Δ24-26、A27S、V83A、G142D、Δ145、H146Q、Q183E、V213E、G252V、G339H、R346T、L368I、S371F、S373P、S375F、T376A、D405N、R408S、K417N、N440K、V445P、G446S、N460K、S477N、T478K、E484A、F486P、F490S、Q498R、N501Y、Y505H、D614G、H655Y、N679K、P681H、N764K、D796Y、Q954H、及びN969K、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
いくつかの実施形態では、XBB.1.5バリアントの特徴である1つ以上の変異を含むSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むRNAを含む組成物は、非XBB.1.5 SARS-CoV-2株またはバリアントまたは株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするヌクレオチド配列を各々有する、1つ以上の追加のRNAを更に含む。いくつかの実施形態では、かかる非XBB.1.5株またはバリアントには、武漢株、オミクロンBA.4/5株、及び/またはBQ.1.1バリアントが含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のRNA分子は、配列番号20、70、もしくは103と少なくとも70%同一の配列(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくはそれ以上の同一性)を含むか、または1つ以上の追加のRNA分子は、配列番号20、72、もしくは103の配列を含む。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【0047】
脂質ナノ粒子(LNP)
一実施形態では、本明細書に記載のRNAなどの核酸は、脂質ナノ粒子(LNP)の形態(例えば、LNPに封入された形態またはLNPと会合した形態)で投与される。LNPは、1つ以上の核酸分子が結合している、または1つ以上の核酸分子が封入されている粒子を形成することができる任意の脂質を含んでもよい。
【0048】
一実施形態では、LNPは、カチオン性脂質、中性脂質、ステロイド、ポリマー抱合脂質、及びRNAを含む。一実施形態では、カチオン性脂質はALC-0315であり、中性脂質はDSPCであり、ステロイドはコレステロールであり、ポリマー抱合脂質はALC-0159である。
【0049】
一実施形態では、LNPは、20~60モルパーセント、40~55モルパーセント、40~50モルパーセント、41~49モルパーセント、41~48モルパーセント、42~48モルパーセント、43~48モルパーセント、44~48モルパーセント、45~48モルパーセント、46~48モルパーセント、47~48モルパーセント、または47.2~47.8モルパーセントのカチオン性脂質を含む。一実施形態では、LNPは、約47.0、47.1、47.2、47.3、47.4、47.5、47.6、47.7、47.8、47.9、または48.0モルパーセントのカチオン性脂質を含む。
【0050】
一実施形態では、中性脂質は、5~25モルパーセント、5~15モルパーセント、7~13モルパーセント、または9~11モルパーセントの範囲の濃度で存在する。一実施形態では、中性脂質は、約9.5、10、または10.5モルパーセントの濃度で存在する。
【0051】
一実施形態では、ステロイドは、25~55モルパーセント、30~50モルパーセント、35~45モルパーセント、または38~43モルパーセントの範囲の濃度で存在する。一実施形態では、ステロイドは、約40、41、42、43、44、45、または46モルパーセントの濃度で存在する。
【0052】
いくつかの実施形態では、LNPは、モル比20~60%イオン化可能なカチオン性脂質、5~25%の中性脂質、25~55%のステロール、及び0.5~15%のPEG修飾脂質を含む。
【0053】
好ましい投与様式は、筋肉内投与であり、より好ましくは、筋肉内投与用の水性凍結保護剤緩衝液中である。医薬品は、好ましくは、筋肉内投与用の水性凍結保護剤緩衝液中の脂質ナノ粒子(LNP)中に製剤化されたRNAの防腐剤を含まない滅菌分散液である。
【0054】
異なる実施形態では、医薬品は、以下に示される成分を、例えば、以下に示される割合または濃度で含む。
【表2】
【表3】
【表4】
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される粒子は、10mMのTris及び10%のスクロースを含み、任意選択的に、約7.4のpHを有する溶液中に製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される粒子は、約103mg/mlのスクロース、約0.20mg/mlのトロメタミン(Tris塩基)、及び約1.32mg/mlのTrisを含む溶液中に製剤化される。
【0056】
いくつかの実施形態では、組成物は、
(a)SARS-CoV-2タンパク質またはその免疫原性断片もしくはバリアントを含むポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む約0.1mg/mLのRNA、
(b)約1.43mg/mlのALC-0315、
(c)約0.18mg/mlのALC-0159、
(d)約0.31mg/mlのDSPC、
(e)約0.62mg/mlのコレステロール、
(f)約103mg/mlのスクロース、
(g)約0.20mg/mlのトロメタミン(Tris塩基)、
(h)約1.32mg/mlのTris(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(Tris HCl)、及び
(i)適量の水。
【0057】
一実施形態では、RNA(例えば、mRNA)の総脂質に対する比率(N/P)は、6.0~6.5、例えば、約6.0または約6.3である。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される組成物は、任意選択的にバイアル中に、複数回用量製剤として製剤化される。
【0059】
投与方法
とりわけ、本明細書に記載の組成物を投与することを含む方法も本開示に記載される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象における免疫応答(例えば、コロナウイルスに対する免疫応答)を誘導する。
【0060】
いくつかの実施形態では、少なくとも0.25μg、少なくとも0.5μg、少なくとも1μg、少なくとも2μg、少なくとも3μg、少なくとも4μg、少なくとも5μg、少なくとも10μg、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも40μg、少なくとも50μg、または少なくとも60μgの量の本明細書に記載のRNAが、用量当たり(例えば、所与の用量で)投与されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも3ugの量の本明細書に記載のRNAが、所与の用量のうちの少なくとも1つで投与されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも10ugの量の本明細書に記載のRNAが、所与の用量のうちの少なくとも1つで投与されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも15ugの量の本明細書に記載のRNAが、所与の用量のうちの少なくとも1つで投与されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも20ugの量の本明細書に記載のRNAが、所与の用量のうちの少なくとも1つで投与されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも25ugの量の本明細書に記載のRNAが、所与の用量のうちの少なくとも1つで投与されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも30ugの量の本明細書に記載のRNAが、所与の用量のうちの少なくとも1つで投与されてもよい。いくつかの実施形態では、前述の量の組み合わせが、2つ以上の用量を含むレジメンで投与されてもよい(例えば、先行用量と後続用量は、本明細書に記載されるように異なる量のものとすることができる)。いくつかの実施形態では、前述の量の組み合わせが、一次レジメン及びブースターレジメンで投与されてもよい(例えば、異なる用量を一次レジメン及びブースターレジメンで与えることができる)。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、第1の用量として及び/またはプライミングワクチン接種レジメンの一部として、対象に投与される(例えば、ワクチン未接種の対象は、(i)およそ21日間隔でかかる組成物の2つの用量を投与されるか、または(ii)かかる組成物の3つの用量を投与され、第1の用量及び第2の用量がおよそ21日間隔で投与され、第2の用量及び第3の用量がおよそ28日間隔で投与される)。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、SARS-CoV-2に以前に曝露された対象(例えば、SARS-CoV-2ワクチンの少なくとも1つの用量(例えば、完全な投薬レジメン)を以前に受けたことのある対象、及び/またはSARS-CoV-2に1回以上感染したことのある対象)に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、ブースター用量として投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達するワクチン(例えば、配列番号20を含むRNAを含む組成物、市販のワクチン(例えば、本明細書に記載の市販のワクチン(例えば、BNT162b2))、またはそれらの任意の組み合わせ)の1つ以上の用量(例えば、完全な一次投薬レジメン及び/または1つ以上のブースター用量)を以前に受けたことのある対象にブースター用量として投与される。
【0063】
市販のSARS-CoV-2ワクチンは、当該技術分野で既知であり、例えば、mRNA-1273ワクチン、Ad26.CoV2.Sワクチン、ChAdxOx1ワクチン、NVX-CoV2373ワクチン、CvnCoVワクチン、GAM-COVID0Vacワクチン、CoronaVacワクチン、BBIBP-CorVワクチン、Ad5-nCoVワクチン、zf2001ワクチン、SCB-2019ワクチン、または他の承認されているRNA(例えば、mRNA)もしくはアデノベクターワクチンなどが含まれる。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAは、BNT162b2の少なくとも2つの用量(例えば、約21日間隔で投与されるBNT162b2の2つの用量)を以前に投与されたことのある対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAは、BNT162b2実施形態の少なくとも3つの用量を以前に投与されたことのある対象に投与され、少なくとも3つの用量が投与される。いくつかの実施形態では、かかる第3の用量は、第1の用量と第2の用量との間の期間に匹敵する(例えば、同じ)第2の用量後の期間に投与される。例えば、いくつかの実施形態では、第3の用量は、第2の用量を投与した約21日後に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、第3の用量は、第2の用量が第1の用量に対するよりも第2の用量に対してより長い期間後に投与される。いくつかの実施形態では、3用量レジメンは、免疫不全患者、例えば、がん患者、HIV患者、免疫抑制剤療法を受けたことのある及び/または受けている患者(例えば、臓器移植患者)に投与される。いくつかの実施形態では、第2の用量と第3の用量(例えば、免疫不全患者に投与される第2の用量と第3の用量)との間の時間の長さは、少なくとも約21日(例えば、少なくとも約28日)である。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAは、SARS-CoV-2バリアント(例えば、オミクロンBA.4/5バリアント)の抗原を送達するワクチンを以前に投与されたことのある対象に投与される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAは、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達するSARS-CoV-2ワクチン(例えば、BNT162b2)の1つ以上の用量、及びバリアント適応ワクチンの1つ以上のブースター用量(例えば、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質及びオミクロンBA.4/5株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する二価ワクチンの1つ以上の用量)を以前に投与された対象に投与される。
【0066】
BNT162b2(配列番号20を含むRNAを含む)は、COVID-19の予防用のmRNAワクチンであり、COVID-19の予防に95%以上の有効性が実証されている。このワクチンは、脂質ナノ粒子(LNP)に封入された完全長SARS-CoV-2スパイク糖タンパク質(S)をコードする5’キャップmRNAを含む。最終生成物は、活性物質としてBNT162b2を含む注射用分散液の濃縮物として提示される。他の成分には、ALC-0315(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)、ALC-0159(2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、及びコレステロールが含まれ、いくつかの実施形態では、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、塩化ナトリウム、リン酸二ナトリウム水和物、スクロース、及び注射用水も含まれる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する組成物(例えば、RNA組成物)のプライミング投薬レジメンを以前に投与された対象(例えば、(i)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAワクチンの2つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与された)、または(ii)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAワクチンの3つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の約28日後に投与された)を以前に投与された対象)に投与される。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する組成物(例えば、RNA組成物)のプライミング投薬レジメン及び1つ以上のブースター用量を以前に投与された対象(例えば、(i)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAワクチンの3つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された)、(ii)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAワクチンの4つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の約28日後に投与され、第4の用量が第2の用量の少なくとも約3ヶ月後に投与された)、または(iii)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAワクチンの4つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の少なくとも約2ヶ月後に投与され、第4の用量が第2の用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された)を以前に投与された対象)に更なるブースター用量として投与された。
【0069】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する二価組成物(例えば、RNA組成物)の1つ以上の用量を以前に投与された対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する二価組成物(例えば、RNA組成物)のプライミング投薬レジメンを以前に投与された対象(例えば、(i)二価RNAワクチンの2つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与された)、または(ii)二価RNAワクチンの3つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の約28日後に投与された)を以前に投与された対象)にブースター用量として投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する二価組成物(例えば、RNA組成物)のプライミング投薬レジメン及び1つ以上のブースター用量を以前に投与された対象(例えば、(i)二価RNAワクチンの3つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された)、(ii)二価RNAワクチンの4つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の約28日後に投与され、第4の用量が第2の用量の少なくとも約3ヶ月後に投与された)、または(iii)二価RNAワクチンの4つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の少なくとも約2ヶ月後に投与され、第4の用量が第2の用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された)を以前に投与された対象)に更なるブースター用量として投与される。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、(i)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する組成物の1つ以上の用量、及び(ii)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する二価組成物(例えば、RNA組成物)の1つ以上の用量を以前に投与された対象に投与される。
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含む組成物は、
(ii)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達するRNAワクチンの2つの用量(約21日間隔で投与される)と、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価組成物の用量(二価組成物が武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する組成物の直近の用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された)、
(iii)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達するRNAワクチン3つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の約28日後に投与された)と、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価ワクチンの少なくとも1つの用量(二価組成物が武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する組成物の直近用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された)、
(iv)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達するRNAワクチン3つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された)と、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価ワクチンの少なくとも1つの用量(二価組成物が武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する組成物の直近用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された)。
(v)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達するRNAワクチンの4つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の約28日後に投与され、第4の用量が第3の用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された)と、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価ワクチンの少なくとも1つの用量(二価組成物が、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する組成物の直近用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された);または武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達するRNAワクチンの4つの用量(第1の用量及び第2の用量が約21日間隔で投与され、第3の用量が第2の用量の少なくとも約2ヶ月後に投与され、第4の用量が第3の用量の少なくとも約4ヶ月後に投与された)と、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価ワクチンの少なくとも1つの用量(二価組成物が武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する組成物の直近用量の少なくとも約2ヶ月後に投与された)、を以前に投与された対象に投与される。
【0072】
いくつかの実施形態では、用量(例えば、一次投薬レジメンまたはブースターレジメンの一部として投与される用量)は、本明細書に記載の約30μgのRNAを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の約30μgのRNAを含む用量は、12歳以上の対象に投与される。
【0073】
いくつかの実施形態では、用量(例えば、一次投薬レジメンまたはブースターレジメンの一部として投与される用量)は、本明細書に記載の約10μgのRNAを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の約10μgのRNAを含む用量は、5歳~12歳未満の対象に投与される。
【0074】
いくつかの実施形態では、用量(例えば、一次投薬レジメンまたはブースターレジメンの一部として投与される用量)は、本明細書に記載の約3μgのRNAを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の約3μgのRNAを含む用量は、6ヶ月~5歳未満の対象に投与される。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、約200μl~約300μl(例えば、約200μlまたは約300μl)の体積で投与される。
【0076】
いくつかの実施形態では、薬学的RNA調製物中のRNAは、投与前に希釈される(例えば、約0.05mg/mlの濃度に希釈される)。いくつかの実施形態では、投与体積は、約200μl~約300μlである。いくつかの実施形態では、薬学的RNA調製物中のRNAは、約10mMのTris緩衝液及び約10%のスクロース中に製剤化される。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるRNA(例えばmRNA)組成物は、異なる感染性因子を標的とするワクチンと併せて投与されてもよい。いくつかの実施形態では、異なる感染性因子は、SARS-CoV-2及び感染性因子に共感染したときに、対象が有害な症状を経験する可能性を増加させるものである。いくつかの実施形態では、感染性因子は、対象がSARS-CoV-2及び感染性因子に共感染したときに、SARS-CoV-2の感染性を増加させるものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)組成物は、インフルエンザを標的とするワクチンと併せて投与されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも2つ以上の異なる医薬品/製剤は、本明細書に記載の少なくとも1つのRNA(例えば、mRNA)組成物、及び異なる感染性因子を標的とするワクチン(例えば、インフルエンザワクチン)を含み得る。いくつかの実施形態では、異なる医薬品/製剤は、別個に投与される。いくつかの実施形態では、かかる異なる医薬品/製剤は、対象の異なる部位に(例えば、対象の異なる腕に)同時に(例えば、同じワクチン接種セッションで)別個に投与される。
【0078】
一実施形態では、ワクチン接種レジメンは、本明細書に記載のRNAの少なくとも2つの用量、例えば、本明細書に記載のRNAの2つの用量(第2の用量は第1の用量を投与した約21日後に投与され得る)を使用する第1のワクチン接種と、本明細書に記載のRNAの単回用量または複数回用量、例えば、2つの用量を使用する第2のワクチン接種とを含む。様々な実施形態では、第2のワクチン接種は、前の用量の少なくとも約2ヶ月後(例えば、前のワクチンの投与後、例えば、最初の2用量レジメンまたはブースター用量の3~24ヶ月、6~18ヶ月、6~12ヶ月、または5~7ヶ月後)に投与される。第2のワクチン接種の各用量で使用されるRNAの量は、第1のワクチン接種の各用量で使用されるRNAの量と等しくても異なってもよい。一実施形態では、第2のワクチン接種の各用量で使用されるRNAの量は、第1のワクチン接種の各用量で使用されるRNAの量と等しい。一実施形態では、第2のワクチン接種の各用量に使用されるRNAの量及び第1のワクチン接種の各用量で使用されるRNAの量は、用量当たり約30μgである。一実施形態では、第1のワクチン接種に使用されるRNAと同じRNAが、第2のワクチン接種に使用される。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、非SARS-CoV-2疾患に対する1つ以上のワクチンと同時投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、非SARS-COV-2ウイルス疾患に対する1つ以上のワクチンと同時投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、非SARS-CoV-2呼吸器疾患に対する1つ以上のワクチンと同時投与される。いくつかの実施形態では、非SARS-CoV-2呼吸器疾患は、非SARS-CoV-2コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ニューモウイルス科ウイルス、またはパラミクソウイルス科ウイルスである。いくつかの実施形態では、ニューモウイルス科ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルスまたはメタニューモウイルスである。いくつかの実施形態では、メタニューモウイルスは、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)である。いくつかの実施形態では、パラミクソウイルス科ウイルスは、パラインフルエンザウイルスまたはヘニパウイルスである。いくつかの実施形態では、パラインフルエンザウイルスは、PIV3である。いくつかの実施形態では、非SARS-CoV-2コロナウイルスは、ベータコロナウイルス(例えば、SARS-CoV-1)である。いくつかの実施形態では、非SARS-CoV-2コロナウイルスは、メルベコウイルス(例えば、MERS-CoVウイルス)である。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、RSVワクチン(例えば、RSV AまたはRSV Bワクチン)と同時投与される。いくつかの実施形態では、RSVワクチンは、RSV融合タンパク質(F)、RSV付着タンパク質(G)、RSV小疎水性タンパク質(SH)、RSVマトリックスタンパク質(M)、RSVヌクレオタンパク質(N)、RSV M2-1タンパク質、RSV大ポリメラーゼ(L)、及び/またはRSVリンタンパク質(P)、またはそれらの免疫原性バリアントの免疫原性断片、またはそれらのうちのいずれか1つをコードする核酸(例えば、RNA)を含む。
【0081】
多数のRSVワクチンが当該技術分野で既知であり、そのうちのいずれか1つが、本明細書に記載のRNA組成物と同時投与することができる。例えば、世界保健機関であるPATHのウェブサイト(https://www.path.org/resources/rsv-vaccine-and-mab-snapshot/を参照されたい)、ならびにMazur,Natalie I.,et al,“The respiratory syncytial virus vaccine landscape:lessons from the graveyard and promising candidates,”The Lancet Infectious Diseases 18.10(2018):e295-e311(各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる)で提供されるRSVワクチンのリストを参照されたい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、以前に公開されたRSVワクチン(例えば、上記にリンクされているPATHのウェブサイトページまたはMazur et al.に記載のRSVワクチン)と同時投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、弱毒生またはキメラワクチン(例えば、rBCG-N-hRSV(Ponteificia Uinersidad Catolica de Chileによって開発されたもの)、RSV D46 cp ΔM202(Sanofi Pasteur/LID/NIAD/NIHによって開発されたもの)、RSV LID ΔM2-2 1030s(Sanofi Pasteur/LID/NIAD/NIHによって開発されたもの)、RSV ΔNS2 Δ1313/I1314L(Sanofi Pasteur/LID/NIAD/NIHによって開発されたもの)、RSV D46 ΔNS2 N ΔM2-2 HindIII(Sanofi Pasteur/LID/NIAD/NIHによって開発されたもの)もしくはRSV LID ΔM2-2 1030s(Sanofi Pasteur/LID/NIAD/NIHによって開発されたもの)、MV-012-968(Meissa Vaccinesによって開発されたもの)、SP0125(Sanofiによって開発されたもの)、blb201(Blue lakeによって開発されたもの)、CodaVax(商標)-RSV(Cadagenixによって開発されたもの)、RSVDeltaG(Intravaccによって開発されたもの)、またはSeVRSV(SIHPL and St.Jude hospitalによって開発されたもの)、粒子ベースのワクチン(例えば、RSV Fナノ粒子(Novavaxによって開発されたもの)もしくはSynGEM(Mucosisによって開発されたもの)、Icosavzx(IVX-121によって開発されたもの)、またはV-306(Virometixによって開発されたもの))、サブユニットワクチン(例えば、GSK RSV F(GSKによって開発されたもの)、Arexvy(GSKによって開発されたもの)、DPX-RSV(Dalousie Univeristy、Immunovaccine、及びVIBによって開発されたもの)、RSV F DS-Cav1(NIH/NIAID/VRCによって開発されたもの)、MEDI-7510(MedImmuneによって開発されたもの)、RSVpreF(Pfizerによって開発されたもの)、ADV110(Advaccineによって開発されたもの)、VN-0200(Daiichi Sankyo,Inc.によって開発されたもの))、ベクターワクチン(例えば、MVA-BN RSV(Banarian Nordicによって開発されたもの)、経口VXA-RSVf(Vaxartによって開発されたもの)、Ad26.RSV.pref(Janssenによって開発されたもの)、ChAd155-RSV(GSKによって開発されたもの)Immunovaccine、DPX-RSV(VIBによって開発されたもの)、またはDS-Cav1(NIH/NIAID/VRCによって開発されたもの)、または核酸ワクチン(例えば、CureVac(現在匿名)によって開発されたmRNAワクチンもしくはmRNA-1345(Modernaによって開発されたもの)、またはSP0274(Sanofiによって開発されたもの))と同時投与される。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、インフルエンザワクチンと同時投与される。いくつかの実施形態では、インフルエンザワクチンは、アルファインフルエンザウイルス、ベータインフルエンザウイルス、ガンマインフルエンザウイルス、またはデルタインフルエンザウイルスワクチンである。いくつかの実施形態では、ワクチンは、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、またはD型インフルエンザウイルスワクチンである。いくつかの実施形態では、A型インフルエンザウイルスワクチンは、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、及びH18から選択されるヘマグルチニン、またはそれらの免疫原性断片もしくはバリアント、またはそれらのうちのいずれか1つをコードする核酸(例えばRNA)を含む。いくつかの実施形態では、A型インフルエンザAワクチンは、N1、N2、N3、N4、N5、N6、N7、N8、N9、N10、及びN11から選択されるノイラミニダーゼ(NA)、またはそれらの免疫原性断片もしくはバリアント、またはそれらのうちのいずれか1つをコードする核酸(例えばRNA)を含むか、またはコードする。いくつかの実施形態では、インフルエンザワクチンは、少なくとも1つのインフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、ノイラミニダーゼ(NA)、ヌクレオタンパク質(NP)、マトリックスタンパク質1(M1)、マトリックスタンパク質2(M2)、非構造タンパク質1(NS1)、非構造タンパク質2(NS2)、核輸出タンパク質(NEP)、ポリメラーゼ酸性タンパク質(PA)、ポリメラーゼ塩基性タンパク質PB1、PB1-F2、及び/またはポリメラーゼ塩基性タンパク質2(PB2)、またはその免疫原性断片もしくはバリアント、またはそれらのうちのいずれか1つをコードする核酸(例えば、RNA)を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、市販のインフルエンザワクチンと同時投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、不活性化インフルエンザウイルス(例えば、Fluzone(登録商標)、Fluzone高用量四価(登録商標)、Fluzone四価(登録商標)、Fluzone皮内四価(登録商標)、Fluzone四価南半球(登録商標)、Fluad(登録商標)、Fluad四価(登録商標)、Afluria四価(登録商標)、Fluarix四価(登録商標)、FluLaval四価(登録商標)、もしくはFlucelvax四価(登録商標))、組換えインフルエンザワクチン(例えば、Flublok四価(登録商標))、弱毒生インフルエンザワクチン(例えば、FluMist 四価(登録商標))、非アジュバントインフルエンザワクチン、アジュバントインフルエンザワクチン、またはサブユニットもしくはスプリットワクチンと同時投与することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNA組成物は、インフルエンザワクチン及び/またはRSVワクチンと同時投与される。
【0085】
一実施形態では、組成物または医療調製物は、薬学的組成物である。
【0086】
一実施形態では、組成物または医療調製物は、ワクチンである。
【実施例0087】
実施例1:ワクチン経験のあるマウスにおけるバリアント適応二価及び三価ワクチンの更なる研究
本実施例は、ワクチン経験のある対象(本実施例ではマウス)におけるある特定のバリアント適応ワクチンによって誘導される免疫応答を特徴付ける研究を説明する。特に、本実施例は、(i)少なくとも1つの用量の、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する組成物、及び(ii)少なくとも1つの用量の、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びBA.4/5オミクロンバリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価組成物を以前に投与された対象において誘導される免疫応答を特徴付ける実験を説明する。
【0088】
【0089】
第1の組の実験(
図1に要約する)では、BALB/Cマウスに、第1の用量の、武漢バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAワクチン(BNT162b2)を投与し、21日後に、第2の用量の、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びBA.4/5オミクロンバリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価ワクチンを投与する。第2の用量を投与した約10週間後、マウスに、以下の組成物(列記した株/バリアント由来のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む)のうちの1つを投与する。
-武漢+BA.4/5
-XBB.1.5
-BA.2.75.2
-BQ.1.1
-武漢+BA.4/5+XBB.1.5
-武漢+BA.4/5+BA.2.75.2
-BA.4/5+XBB.1.5
-BA.4/5+BA.2.75.2
-BA.4/5+BQ.1.1
【0090】
第3の用量の約28日後に、マウスを屠殺し、最終中和力価を収集する。
【0091】
関連実験では、中和力価を、2つの用量の武漢Sタンパク質を送達する組成物、第3の用量の二価ワクチン、及び第4の用量の以下に列記するワクチン(列記したバリアント由来のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む)のうちの1つを投与したマウスにおいて決定する。この実験の設計を
図2に要約する。
-XBB.1.5
-BA.2.75.2
-BQ.1.1
-BA.4/5+XBB.1.5
-BA.4/5+BA.2.75.2
-BA.4/5+BQ.1.1
【0092】
実施例2:ワクチン未接種のマウスに投与したバリアント適応ワクチンを調査する更なる研究
本実施例は、ワクチン未接種のマウスにおけるある特定の一価及び二価バリアント適応ワクチンを特徴付けるデータを提供する。試験した特定のワクチンを
図3に示す。図に示すように、ワクチンを0日目及び21日目にワクチン投与し(同じワクチン組成物及び用量を各々の日に投与し、用量を
図3に示す)、35日目(ワクチンの第2の用量の14日後)に血清試料を採取した。
【0093】
35日目に採取した血清試料由来の疑似ウイルス中和力価を
図4に示す。図に示すように、試験組成物は各々、対応する株またはバリアントに対して強い中和力価をもたらすことができる。特に、XBB.1.5オミクロンバリアントのSタンパク質をコードするRNAを含む一価組成物は、一次シリーズとして投与した場合、XBB.1.5に対して高い中和力価を誘導することが示された。XBB.1.5オミクロンバリアントのSタンパク質をコードするRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSタンパク質をコードするRNAを含む二価組成物も、一次シリーズとして投与した場合、XBB.1.5に対して高い中和力価を誘導することが示されたが、力価は、XBB.1.5一価ワクチンによって誘導された力価よりも低かった。
【0094】
SARS-CoV-2バリアントのSタンパク質をコードするRNAを含む組成物(すなわち、WT+BA.4/5、BA.4/5、XBB.1.5、及びBA.4/5+XBB.1.5)が各々、懸念される他のバリアントの広範な交差中和を誘導することも見出された。特に、BA.4/5+XBB.1.5二価ワクチンが、XBB.1.5バリアントならびに他の株の両方に対して高い中和力価を誘導することが見出された。XBB.1.16バリアントがXBB.1.5と比較してエスケープ利点を有しないことを中和データが示しているため、XBB.1.16に対する中和力価は、XBB.1.5に対して誘導される中和力価と同様であると予想される(例えば、
図6を参照されたい)。同様に、XBB.1.9.1/1.9.2がXBB.1.5と比較して追加のSタンパク質変異を含まないため、XBB.1.9.1/1.9.2の中和力価は、XBB.1.5の中和力価と一致すると予想される。
【0095】
ワクチン未接種のマウスに、2つの用量の、(i)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む二価組成物、(ii)XBB.1.5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む一価組成物、または(iii)オミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA及びXBB.1.5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む二価組成物を投与した同様の実験(
図7の概略図の上部に要約する)も行った。2つの用量のRNAを21日間隔で投与し、中和力価を、第2の用量を投与した4週間後に収集した。
図7に示すように、XBB.1.5適応一価ワクチン(例えば、本明細書に記載のもの)は、試験した他の組成物と比較して、XBB.1.5バリアント、XBB.1.16バリアント、及びXBB.2.3バリアントの各々に対して最も高い中和力価を誘導した。
【0096】
実施例3:ワクチン経験のあるマウスに投与したバリアント適応ワクチンを調査する更なる研究
【0097】
本実施例は、ワクチン経験のあるマウスにおけるある特定の一価及び二価バリアント適応ワクチンを使用して生成された例示的な免疫応答データを提供する。特に、本実施例は、XBB.1.5 Sタンパク質をコードするRNAを含むワクチン(例えば、一価または二価ワクチン)が、以前にワクチン接種した対象(例えば、本実施例にあるように、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを以前に投与された対象)においてXBB.1.5オミクロンバリアントに対して強い中和力価を誘導することができることを実証するデータを提供する。
【0098】
試験した特定のワクチンを
図5に示す。図に示すように、全ての群のマウスに、以下のワクチンを投与した(投与順に列記する):(1)第1の用量の、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含むワクチン(本実施例ではBNT162b2)、(2)第2の用量の、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含むワクチン(本実施例ではBNT162b2、第2の用量を第1の用量の約21日後に投与する)、(3)第3の用量の、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価ワクチン(第2の用量の約84日後に投与する)、及び(4)第4の用量の、図に列記する一価または二価のワクチンのうちのいずれか1つ(第3の用量の約29日後に投与する)。血清試料を、第1の用量のワクチンを投与した134日後(第4の用量の投与直前)及び第1の用量を投与した160日後に採取した。マウスに、各々0.5μgのワクチンを投与した(一価ワクチンの場合、0.5μgのRNA、二価ワクチンの場合、各々0.25μgのRNA)。160日目に、T細胞及びB細胞分析のためにリンパ節及び脾臓試料も採取した。
【0099】
疑似ウイルス中和力価を
図6に示す。図に示すように、XBB.1.5 Sタンパク質をコードするRNAを含むワクチンは、一価ワクチンまたは二価ワクチン(例えば、BA.4/5+XBB.1.5)のいずれかとして投与したときに、強い中和応答を誘導することが見出された。特に、本データは、かかるワクチンが、(例えば、本実施例で試験したように、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質を送達する1つ以上のワクチン及び1つ以上の二価ワクチン(武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質及びオミクロンBA.4/5バリアントを送達する)を以前に投与された対象に)ブースター用量として投与されたときに特に有効であることを実証する。本実験では、XBB.1.5一価ワクチンによって誘導された中和力価(特に、XBB.1.5、XBB.1.16、及びXBB.2.3適応疑似ウイルスに対する中和力価)は、二価ワクチン(BA.4/5+XBB.1.5)によって誘導された中和力価よりも高いことが見出された。他の研究では、XBB.1.5 Sタンパク質をコードするRNAを含む一価または二価ワクチンが、(特に、ブースターとして投与した場合)XBBバリアントに対する強い免疫応答を誘導することができることが確認され、更に、二価ワクチンが早い時点でより高い中和力価を誘導することができる一方で、二価ワクチンによって誘導される中和力価は、一価ワクチンによって誘導される中和力価よりも速く減少し、これにより、ブースター用量の4週間後に、一価ワクチンによって誘導される中和力価が、二価ワクチンによって誘導される中和力価よりも高くなったことが示された(データ示さず)。前の実施例2で述べたように、XBB.1.9.1/1.9.2がXBB.1.5と比較して追加のSタンパク質変異を含まないため、XBB.1.9.1/1.9.2の中和力価は、XBB.1.5の中和力価と一致すると予想される。
【0100】
XBB.1.16適応ワクチンの有効性を試験するための同様の実験も行った(使用した実験プロトコルを要約する概略図を
図8に示す)。手短に言えば、マウスを10の群に分け、2つの用量の(21日間隔)、武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA(本実施例ではBNT162b2)、続いて、第3の用量の(第2の用量の14日後に投与する)、(i)武漢株のSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第1のRNA及びオミクロンBA.4/5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードする第2のRNAを含む二価組成物、(ii)XBB.1.5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む一価組成物、(iii)XBB.1.16バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む一価組成物をコードする候補ワクチンを投与した。第3の用量のワクチンを投与した14日後に、マウスを出血させ、中和力価を収集した(例えば、前の実施例のうちの1つに記載の疑似ウイルス中和アッセイを使用して)。
【0101】
図8に示すように、XBB.1.5バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNA(例えば、本明細書に記載のRNA)を含む一価組成物は、XBB.1.5、XBB.1.16、及びXBB.2.3バリアントの各々に対して最も高い中和力価を誘導した。驚くべきことに、XBB.1.5一価組成物は、XBB.1.16バリアントのSARS-CoV-2 Sタンパク質をコードするRNAを含む一価よりも、XBB.1.16バリアントに対してより高い力価を誘導した。
【0102】
実施例4:配列表に提供する配列の説明
以下の表2は、本明細書とともに提出される配列表に提供される配列の短い説明を提供する。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【表5-8】