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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154758
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】光センサの材料、及び素子構造
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/855 20230101AFI20241024BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20241024BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241024BHJP
   H10N 10/17 20230101ALI20241024BHJP
   H10N 10/856 20230101ALI20241024BHJP
   H10N 10/10 20230101ALI20241024BHJP
【FI】
H10N10/855
G01J1/02 C
G01J1/02 R
G01J1/02 Q
H01L29/06 601N
H10N10/17 A
H10N10/856
H10N10/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068784
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】安藤 良洋
(72)【発明者】
【氏名】河野 行雄
(72)【発明者】
【氏名】李 恒
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA11
2G065AB03
2G065BA11
2G065BC17
2G065BC28
2G065CA12
2G065DA18
(57)【要約】
【課題】電磁波の検出感度を向上させる。
【解決手段】電磁波検出装置は、第1カーボンナノチューブ層と、前記第1カーボンナノチューブ層から離隔して配置され、前記第1カーボンナノチューブ層とは異なるゼーベック係数を持つ第2カーボンナノチューブ層と、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層よりも高い導電率を持ち、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層の間に配置される第3カーボンナノチューブ層と、前記第1カーボンナノチューブ層に接続される第1電極と、前記第2カーボンナノチューブ層に接続される第2電極と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カーボンナノチューブ層と、
前記第1カーボンナノチューブ層から離隔して配置され、前記第1カーボンナノチューブ層とは異なるゼーベック係数を持つ第2カーボンナノチューブ層と、
前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層よりも高い導電率を持ち、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層の間に配置される第3カーボンナノチューブ層と、
前記第1カーボンナノチューブ層に接続される第1電極と、
前記第2カーボンナノチューブ層に接続される第2電極と、を備える、
電磁波検出装置。
【請求項2】
前記第1カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、及び前記第2カーボンナノチューブ層は、所定方向に沿って配置され、
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記第1カーボンナノチューブ層の前記所定方向の一端部と、前記第2カーボンナノチューブ層の前記所定方向の一端部とに接続され、
前記第1電極は、前記第1カーボンナノチューブ層の前記所定方向の他端部に配置され、
前記第2電極は、前記第2カーボンナノチューブ層の前記所定方向の他端部に配置される、
請求項1に記載の電磁波検出装置。
【請求項3】
前記第1電極及び前記第2電極は、少なくとも前記第3カーボンナノチューブ層に照射された光により発生された熱により、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層に生じる温度勾配に応じて発生される起電力を検出する、
請求項1に記載の電磁波検出装置。
【請求項4】
前記第1カーボンナノチューブ層には、前記第3カーボンナノチューブ層から前記第1電極にかけて連続的に温度が低下する温度勾配が生じ、
前記第2カーボンナノチューブ層には、前記第3カーボンナノチューブ層から前記第2電極にかけて連続的に温度が低下する温度勾配が生じる、
請求項3に記載の電磁波検出装置。
【請求項5】
前記第1カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、及び前記第2カーボンナノチューブ層は、第1方向に沿って、この順に接続され、
前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層の前記第1方向に交差する第2方向の幅は、前記第3カーボンナノチューブ層の前記第2方向の幅よりも狭い、
請求項1に記載の電磁波検出装置。
【請求項6】
前記第1カーボンナノチューブ層は、p型半導体層であり、
前記第2カーボンナノチューブ層は、n型半導体層であり、
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記p型半導体層及び前記n型半導体層の間に配置され、pn接合よりも抵抗値が小さい導電性材料層である、
請求項1に記載の電磁波検出装置。
【請求項7】
前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層の母材である第4カーボンナノチューブ層を備え、
前記第4カーボンナノチューブ層は、所定の方向に沿って順に配置される、p型不純物の注入領域と、前記第3カーボンナノチューブ層の配置領域と、n型不純物の注入領域とを有し、
前記第1カーボンナノチューブ層は、前記p型不純物の注入領域であり、
前記第2カーボンナノチューブ層は、前記n型不純物の注入領域である、
請求項1に記載の電磁波検出装置。
【請求項8】
前記第4カーボンナノチューブ層は、前記第3カーボンナノチューブ層の底面に接触するか、又は前記第3カーボンナノチューブ層の側壁面及び上面を覆うように配置される、
請求項7に記載の電磁波検出装置。
【請求項9】
前記第4カーボンナノチューブ層の底面を支持するか、又は前記第4カーボンナノチューブ層の側壁面を支持する支持基板を備える、
請求項7に記載の電磁波検出装置。
【請求項10】
前記支持基板は、前記第3カーボンナノチューブ層の底面を支持する、
請求項9に記載の電磁波検出装置。
【請求項11】
前記第1カーボンナノチューブ層、前記第2カーボンナノチューブ層、及び前記第3カーボンナノチューブ層のそれぞれは、半導体カーボンナノチューブ層及び金属カーボンナノチューブ層を含んでおり、
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層よりも、前記半導体カーボンナノチューブ層に対する前記金属カーボンナノチューブ層の割合が大きい、
請求項1に記載の電磁波検出装置。
【請求項12】
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記半導体カーボンナノチューブ層に対する前記金属カーボンナノチューブ層の割合が1/3より大きい、
請求項11に記載の電磁波検出装置。
【請求項13】
前記第1電極、前記第1カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、前記第2カーボンナノチューブ層、及び前記第2電極をそれぞれ含み、直列に接続される複数の熱電変換部を備え、
直列接続された前記複数の熱電変換部の両端に配置される前記第1電極及び前記第2電極は、前記複数の熱電変換部のそれぞれで発生される起電力を足し合わせた起電力を検出する、
請求項1に記載の電磁波検出装置。
【請求項14】
前記複数の熱電変換部は、直列に接続される第1熱電変換部及び第2熱電変換部を有し、
前記第1熱電変換部が有する前記第1カーボンナノチューブ層と、前記第2熱電変換部が有する前記第2カーボンナノチューブ層とは、所定の方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1熱電変換部及び前記第2熱電変換部が有する2つの前記第3カーボンナノチューブ層は、前記所定の方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1熱電変換部が有する前記第2カーボンナノチューブ層と、前記第2熱電変換部が有する前記第1カーボンナノチューブ層とは、所定の方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1熱電変換部の前記第2電極と前記第2熱電変換部の前記第1電極とは、統合される、
請求項13に記載の電磁波検出装置。
【請求項15】
前記2つの第3カーボンナノチューブ層の前記所定の方向の間隔は、前記所定の方向に電場振動する偏光光の波長の1/2以下である、
請求項14に記載の電磁波検出装置。
【請求項16】
前記複数の熱電変換部は、直列に接続される順に、支持基板の第1主面及び第2主面に交互に配置される、
請求項13に記載の電磁波検出装置。
【請求項17】
前記複数の熱電変換部は、直列に接続される第1熱電変換部、第2熱電変換部、及び第3熱電変換部を有し、
前記第1熱電変換部及び前記第3熱電変換部は、前記第1主面上に配置され、
前記第2熱電変換部は、前記第2主面上に配置され、
前記第1熱電変換部及び前記第3熱電変換部がそれぞれ有する前記第3カーボンナノチューブ層は、前記支持基板を平面視したときに、前記第2熱電変換部が有する前記第3カーボンナノチューブ層と少なくとも一部が重なり合うように配置される、
請求項16に記載の電磁波検出装置。
【請求項18】
前記複数の熱電変換部は、支持基板上に、間に絶縁層を挟んで積層され、
前記支持基板を平面視したときに、前記複数の熱電変換部のそれぞれが有する前記第1カーボンナノチューブ層、前記第2カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、前記第1電極、及び前記第2電極のそれぞれは、積層方向に少なくとも一部が重なり合うように配置される、
請求項13に記載の電磁波検出装置。
【請求項19】
第1方向及び第2方向に配列される複数の画素を有する画素アレイ部と、
前記画素アレイ部における前記第1方向に配列される2以上の前記画素を含む画素群ごとに、前記第2方向に配置される複数の前記画素群を順に駆動する画素群駆動部と、
前記画素群駆動部で駆動される前記画素群に含まれる前記2以上の画素のそれぞれで検出された電磁波の強度に応じた画素信号を読み出す信号処理回路と、を備え、
前記複数の画素のそれぞれは、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の電磁波検出装置を有する、
電磁波検出システム。
【請求項20】
前記画素アレイ部が配置される第1基板と、
前記第1基板に積層され、少なくとも前記信号処理回路が配置される第2基板と、
前記第1基板の前記画素アレイ部が配置される面は、前記第2基板に対向して配置され、
前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1基板の前記画素アレイ部が前記第2基板から間隔を隔てて配置されるように、前記第1基板の前記画素アレイ部の配置領域を取り囲むように配置される接合部材にて接合される、
請求項19に記載の電磁波検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光センサの材料、及び素子構造に関する。
【背景技術】
【0002】
テラヘルツ帯の電磁波の入射強度を検出する電磁波検出装置が知られている(特許文献1参照)。この種の電磁波検出装置では、半導体層に電磁波を吸収させると熱が発生して、半導体層に温度勾配が形成され、その温度勾配により半導体層に起電力が発生するという原理を利用して、半導体層に取り付けられた電極により起電力を検出することで、入射された電磁波の強度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2021/070594号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
p型半導体層とn型半導体層では、起電力が発生される向きが異なるため、p型半導体層とn型半導体層を接合することで、大きな起電力が発生させて、電磁波の検出感度を高めることができる。
【0005】
しかしながら、p型半導体層とn型半導体層の接合界面であるpn接合部分は、抵抗が高いために熱雑音が発生し、電磁波の検出感度が低下するおそれがある。
【0006】
また、電磁波を吸収させる材料として、柔軟性に優れたカーボンナノチューブを用いる技術が提案されている。カーボンナノチューブには、大きく分けて、半導体型と金属型があり、金属型のカーボンナノチューブは、テラヘルツ帯の電磁波の吸収率が高いものの、熱電変換効率が一般的な熱電変換材料と比べて高くなく、電磁波の検出感度を向上できない。一方、半導体型のカーボンナノチューブは、電磁波の吸収率が低いため、やはり電磁波の検出感度を向上できない。
【0007】
そこで、本開示では、電磁波の検出感度を向上可能な光センサの材料、及び素子構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、第1カーボンナノチューブ層と、
前記第1カーボンナノチューブ層から離隔して配置され、前記第1カーボンナノチューブ層とは異なるゼーベック係数を持つ第2カーボンナノチューブ層と、
前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層よりも高い導電率を持ち、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層の間に配置される第3カーボンナノチューブ層と、
前記第1カーボンナノチューブ層に接続される第1電極と、
前記第2カーボンナノチューブ層に接続される第2電極と、を備える、
電磁波検出装置が提供される。
【0009】
前記第1カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、及び前記第2カーボンナノチューブ層は、所定方向に沿って配置され、
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記第1カーボンナノチューブ層の前記所定方向の一端部と、前記第2カーボンナノチューブ層の前記所定方向の一端部とに接続され、
前記第1電極は、前記第1カーボンナノチューブ層の前記所定方向の他端部に配置され、
前記第2電極は、前記第2カーボンナノチューブ層の前記所定方向の他端部に配置されてもよい。
【0010】
前記第1電極及び前記第2電極は、少なくとも前記第3カーボンナノチューブ層に照射された光により発生された熱により、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層に生じる温度勾配に応じて発生される起電力を検出してもよい。
【0011】
前記第1カーボンナノチューブ層には、前記第3カーボンナノチューブ層から前記第1電極にかけて連続的に温度が低下する温度勾配が生じ、
前記第2カーボンナノチューブ層には、前記第3カーボンナノチューブ層から前記第2電極にかけて連続的に温度が低下する温度勾配が生じてもよい。
【0012】
前記第1カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、及び前記第2カーボンナノチューブ層は、第1方向に沿って、この順に接続され、
前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層の前記第1方向に交差する第2方向の幅は、前記第3カーボンナノチューブ層の前記第2方向の幅よりも狭くてもよい。
【0013】
前記第1カーボンナノチューブ層は、p型半導体層であり、
前記第2カーボンナノチューブ層は、n型半導体層であり、
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記p型半導体層及び前記n型半導体層の間に配置され、pn接合よりも抵抗値が小さい導電性材料層であってもよい。
【0014】
前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層の母材である第4カーボンナノチューブ層を備え、
前記第4カーボンナノチューブ層は、所定の方向に沿って順に配置される、p型不純物の注入領域と、前記第3カーボンナノチューブ層の配置領域と、n型不純物の注入領域とを有し、
前記第1カーボンナノチューブ層は、前記p型不純物の注入領域であり、
前記第2カーボンナノチューブ層は、前記n型不純物の注入領域であってもよい。
【0015】
前記第4カーボンナノチューブ層は、前記第3カーボンナノチューブ層の底面に接触するか、又は前記第3カーボンナノチューブ層の側壁面及び上面を覆うように配置されてもよい。
【0016】
前記第4カーボンナノチューブ層の底面を支持するか、又は前記第4カーボンナノチューブ層の側壁面を支持する支持基板を備えてもよい。
【0017】
前記支持基板は、前記第3カーボンナノチューブ層の底面を支持してもよい。
【0018】
前記第1カーボンナノチューブ層、前記第2カーボンナノチューブ層、及び前記第3カーボンナノチューブ層のそれぞれは、半導体カーボンナノチューブ層及び金属カーボンナノチューブ層を含んでおり、
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層よりも、前記半導体カーボンナノチューブ層に対する前記金属カーボンナノチューブ層の割合が大きくてもよい。
【0019】
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記半導体カーボンナノチューブ層に対する前記金属カーボンナノチューブ層の割合が1/3より大きくてもよい。
【0020】
前記第1電極、前記第1カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、前記第2カーボンナノチューブ層、及び前記第2電極をそれぞれ含み、直列に接続される複数の熱電変換部を備え、
直列接続された前記複数の熱電変換部の両端に配置される前記第1電極及び前記第2電極は、前記複数の熱電変換部のそれぞれで発生される起電力を足し合わせた起電力を検出してもよい。
【0021】
前記複数の熱電変換部は、直列に接続される第1熱電変換部及び第2熱電変換部を有し、
前記第1熱電変換部が有する前記第1カーボンナノチューブ層と、前記第2熱電変換部が有する前記第2カーボンナノチューブ層とは、所定の方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1熱電変換部及び前記第2熱電変換部が有する2つの前記第3カーボンナノチューブ層は、前記所定の方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1熱電変換部が有する前記第2カーボンナノチューブ層と、前記第2熱電変換部が有する前記第1カーボンナノチューブ層とは、所定の方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1熱電変換部の前記第2電極と前記第2熱電変換部の前記第1電極とは、統合されてもよい。
【0022】
前記2つの第3カーボンナノチューブ層の前記所定の方向の間隔は、前記所定の方向に電場振動する偏光光の波長の1/2以下であってもよい。
【0023】
前記複数の熱電変換部は、直列に接続される順に、支持基板の第1主面及び第2主面に交互に配置されてもよい。
【0024】
前記複数の熱電変換部は、直列に接続される第1熱電変換部、第2熱電変換部、及び第3熱電変換部を有し、
前記第1熱電変換部及び前記第3熱電変換部は、前記第1主面上に配置され、
前記第2熱電変換部は、前記第2主面上に配置され、
前記第1熱電変換部及び前記第3熱電変換部がそれぞれ有する前記第3カーボンナノチューブ層は、前記支持基板を平面視したときに、前記第2熱電変換部が有する前記第3カーボンナノチューブ層と少なくとも一部が重なり合うように配置されてもよい。
【0025】
前記複数の熱電変換部は、支持基板上に、間に絶縁層を挟んで積層され、
前記支持基板を平面視したときに、前記複数の熱電変換部のそれぞれが有する前記第1カーボンナノチューブ層、前記第2カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、前記第1電極、及び前記第2電極のそれぞれは、積層方向に少なくとも一部が重なり合うように配置されてもよい。
【0026】
本開示によれば、第1方向及び第2方向に配列される複数の画素を有する画素アレイ部と、
前記画素アレイ部における前記第1方向に配列される2以上の前記画素を含む画素群ごとに、前記第2方向に配置される複数の前記画素群を順に駆動する画素群駆動部と、
前記画素群駆動部で駆動される前記画素群に含まれる前記2以上の画素のそれぞれで検出された電磁波の強度に応じた画素信号を読み出す信号処理回路と、を備え、
前記複数の画素のそれぞれは、上述した電磁波検出装置を有する、
電磁波検出システムが提供される。
【0027】
前記画素アレイ部が配置される第1基板と、
前記第1基板に積層され、少なくとも前記信号処理回路が配置される第2基板と、
前記第1基板の前記画素アレイ部が配置される面は、前記第2基板に対向して配置され、
前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1基板の前記画素アレイ部が前記第2基板から間隔を隔てて配置されるように、前記第1基板の前記画素アレイ部の配置領域を取り囲むように配置される接合部材にて接合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施形態に係る電磁波検出装置の平面図。
図2A】p型不純物を含む第1CNT層のゼーベック効果を説明する図。
図2B】n型不純物を含む第2CNT層のゼーベック効果を説明する図。
図3A図1のA-A線方向の断面構造の第1例を示す断面図。
図3B図1のA-A線方向の断面構造の第2例を示す断面図。
図3C図1のA-A線方向の断面構造の第3例を示す断面図。
図3D図1のA-A線方向の断面構造の第4例を示す断面図。
図3E図1のA-A線方向の断面構造の第5例を示す断面図。
図4】第2の実施形態に係る電磁波検出装置の平面図。
図5A図4のA-A線方向の断面図。
図5B図4のB-B線方向の断面図。
図6】第3の実施形態に係る電磁波検出装置の平面図。
図7A図6のA-A線方向の断面図。
図7B図6のB-B線方向の断面図。
図8】第4の実施形態に係る電磁波検出装置の平面図。
図9図8のA-A線方向の断面図。
図10】第1~第4の実施形態のいずれかに係る電磁波検出装置を備える電磁波検出システム30の概略構成を示すブロック図。
図11】画素アレイ部の画素配列の一例を示す平面図。
図12A】AD変換器の第1例を示す回路図。
図12B】AD変換器の第2例を示す回路図。
図13】第5の実施形態に係る電磁波検出システムの断面構造の第1例を示す断面図。
図14】第5の実施形態に係る電磁波検出システムの断面構造の第2例を示す断面図。
図15】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図16】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、光センサの材料、及び素子構造の実施形態について説明する。以下では、光センサの材料、及び素子構造の主要な構成部分を中心に説明するが、光センサの材料、及び素子構造には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0030】
以下では、本開示に係る光センサ及び素子構造の具体例として、電磁波検出装置及び電磁波検出システムについて説明する。
【0031】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る電磁波検出装置は、少なくともテラヘルツ帯域(例えば、0.1THz~50THz)の電磁波を検出する装置である。第1の実施形態に係る電磁波検出装置が検出可能な電磁波の周波数帯域は、テラヘルツ帯域よりも高い又は低い周波数帯域を含んでいてもよい。
【0032】
図1は第1の実施形態に係る電磁波検出装置1の平面図である。第1の実施形態に係る電磁波検出装置1は、第1カーボンナノチューブ層(以下、第1CNT層)2と、第2カーボンナノチューブ層(以下、第2CNT層)3と、第3カーボンナノチューブ層(以下、第3CNT層)4と、第1電極5と、第2電極6とを備える。
【0033】
第1CNT層2、第2CNT層3、及び第3CNT層4は、支持基板7の上に載置される。第1CNT層2と第2CNT層3は、第1方向Xに沿って、離隔して配置される。第3CNT層4は、第1CNT層2と第2CNT層3の間に配置される。より詳細には、第3CNT層4は、第1CNT層2の第1方向Xの一端部と第2CNT層3の第1方向Xの一端部とに接続される。
【0034】
第1電極5は、第1CNT層2の第1方向Xの他端部に接続される。第2電極6は、第2CNT層3の第1方向Xの他端部に接続される。
【0035】
支持基板7は、少なくともテラヘルツ帯域の電磁波を透過させる材料であり、かつフレキシブルで熱伝導率の低い材料が望ましい。支持基板7の材料は、ポリエチレン又はポリイミドなどのポリマーである。
【0036】
支持基板7上に載置される第1CNT層2、第2CNT層3、及び第3CNT層4は、CVD(Chemical Vapor Deposition)、塗布、ろ過などの工程で形成される。
【0037】
第1CNT層2は、母材である単層のカーボンナノチューブ層(以下、単層CNT層又は第4カーボンナノチューブ層)に、p型不純物材料を注入して形成される。単層CNT層は、チューブの巻き方によって、半導体と金属に分かれる。単層CNT層を合成して分離しない状態にすると、約1/3が金属カーボンナノチューブ(以下、金属CNT)層になり、残りの約2/3が半導体カーボンナノチューブ(以下、半導体CNT)層になる。多層CNT層は、すべてが金属CNT層になる。
【0038】
第1CNT層2の母材に注入されるp型不純物材料は、例えば、AgTFSI、AgClO4、AgBF4などである。p型不純物材料の塩を含むイオン溶液を母材に滴下することにより、第1CNT層2が形成される。
【0039】
第2CNT層3は、母材である単層CNT層に、n型不純物材料を注入して形成される。第1CNT層2と同様に、母材には、主に単層CNT層が用いられ、少なくとも一部に多層CNT層が含まれていてもよい。
【0040】
第2CNT層3の母材に注入されるn型不純物材料は、例えば、KOH、KBH4、KCl、NaOH、NaBH4、NaClなどである。n型不純物材料の塩を含むイオン溶液を母材に滴下することにより、第2CNT層3が形成される。
【0041】
第3CNT層4は、主に金属CNT層で形成され、金属CNT層である。このように、第3CNT層4を金属CNT層で形成し、第1CNT層2と第2CNT層3を半導体CNT層で形成することで、第3CNT層4の電磁波の吸収率を、第1CNT層2と第2CNT層3よりも大きくすることができる。
【0042】
第1電極5と第2電極6は、例えば、金(Au)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)などの金属材料である。フレキシブル性を重視する場合、第1電極5と第2電極6は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)との複合物PEDOT:PSSなどの有機材料で形成されてもよい。あるいは、第1電極5と第2電極6は、上述した複数の材料の積層構造でもよい。第1電極5と第2電極6は、同種の材料で形成されてもよいし、異種の材料で形成されてもよい。
【0043】
第1の実施形態に係る電磁波検出装置1では、電磁波は主に第3CNT層4に入射される。第3CNT層4は、金属CNT層であるため、電磁波を効率よく吸収し、電磁波の吸収量に応じて温度が上昇する。第3CNT層4の温度上昇に伴って、第1CNT層2と第2CNT層3には第1方向Xに沿って温度勾配が形成され、ゼーベック効果により起電力が発生する。
【0044】
図2Aは、p型不純物を含む第1CNT層2のゼーベック効果を説明する図である。ゼーベック効果とは、物体の温度差により、物体に電位差が生じる現象を指す。第1CNT層2では、第3CNT層4に近い側ほど温度が高く、第1電極5に近い側ほど温度が低くなる。図2Aにおいて、p型不純物を含む第1CNT層2は、アクセプタ11を数多く含んでおり、熱励起によりアクセプタ11が正孔12を手放してイオン化する。第1CNT層2の第3CNT層4に近い側ほど、温度が高いため、より多くの正孔(キャリア)12が発生する。正孔12は、キャリア密度の低い第1電極5の方向に移動する。これにより、第1CNT層2では、第1方向Xに沿ってキャリア12の濃度勾配が生じ、第1電極5に近い側ほど、キャリア(正孔)12の濃度が高くなり、高電位になる。
【0045】
図2Bは、n型不純物を含む第2CNT層3のゼーベック効果を説明する図である。第2CNT層3では、第3CNT層4に近い側ほど温度が高く、第2電極6に近い側ほど温度が低くくなる。図2Bにおいて、n型不純物を含む第2CNT層3は、ドナー13を数多く含んでおり、熱励起によりドナー13が電子14を手放してイオン化する。第2CNT層3の第3CNT層4に近い側ほど、温度が高いため、より多くの電子(キャリア)14が発生する。電子14は、キャリア密度の低い第2電極6の方向に移動する。これにより、第2CNT層3では、第1方向Xに沿ってキャリア14の濃度勾配が生じ、第2電極6に近い側ほど、キャリア(電子)14の濃度が高くなり、低電位になる。
【0046】
第1CNT層2と第2CNT層3を第1方向Xに沿って並べて配置することで、第1CNT層2又は第2CNT層3の単体よりも、より大きな起電力を発生させることができ、第1電極5と第2電極6の電位差がより大きくなることから、電磁波の検出感度を向上できる。
【0047】
図1に示すように、本実施形態に係る電磁波検出装置1では、第1CNT層2と第2CNT層3を直接接合せずに、第1CNT層2と第2CNT層3の間に第3CNT層4を配置する。第3CNT層4は、金属CNT層であるため、pn接合部は存在しない。これにより、pn接合部の抵抗による熱雑音の増大という問題は生じなくなる。
【0048】
また、図1の電磁波検出装置1では、第1CNT層2と第2CNT層3における第1方向Xに交差する第2方向Yの幅を、第3CNT層4の幅よりも狭くする。これにより、第1CNT層2と第2CNT層3には、第1方向Xに沿って温度勾配が形成されやすくなり、ゼーベック効果に基づくより大きな起電力が発生される。
【0049】
図3A図1のA-A線方向の断面構造の第1例を示す断面図である。図3Aに示すように、第3CNT層4は、第1CNT層2と第2CNT層3の母材の上に載置される。第1例では、第3CNT層4は、支持基板7には接触していない。第1CNT層2と第2CNT層3は、母材の一部にp型不純物又はn型不純物を含むイオン溶液を滴下することで形成される。
【0050】
第1の実施形態に係る電磁波検出装置1の断面構造は、図3A以外に、種々の変形例が想定されうる。以下では、代表的な第1~第4変形例を説明する。
【0051】
図3B図1のA-A線方向の断面構造の第2例を示す断面図である。第2例では、図3Bに示すように、第1CNT層2用の母材と第2CNT層3用の母材が互いに別部材として支持基板7上に離隔して配置され、これら母材の間の支持基板7上に第3CNT層4が配置される。第2例では、第3CNT層4の下に母材が存在しないため、第3CNT層4の温度が上がりやすくなり、より大きな起電力を発生させることができる。
【0052】
図3C図1のA-A線方向の断面構造の第3例を示す断面図である。第3例では、図3Cに示すように、支持基板7上に第3CNT層4をCVD等により形成した後に、第3CNT層4の側壁面及び上面を含めて、第1CNT層2と第2CNT層3の母材をCVD等により形成し、その後に、p型不純物材料又はn型不純物材料を含むイオン液を第1CNT層2と第2CNT層3の形成箇所にそれぞれ滴下して、第1CNT層2と第2CNT層3を形成する。
【0053】
図3D図1のA-A線方向の断面構造の第4例を示す断面図である。第4例では、図3Dに示すように、支持基板7の一部をくり抜いて、くり抜いた箇所に第1CNT層2と第2CNT層3の母材を配置し、母材の上に第3CNT層4を配置する。図3Dは、第3CNT層4の下方に支持基板7が存在しないため、第3CNT層4の温度が支持基板7に逃げなくなり、より大きな起電力を発生させることができる。
【0054】
図3E図1のA-A線方向の断面構造の第5例を示す断面図である。第5例では、図3Eに示すように、支持基板7のくり抜き箇所に第1CNT層2と第2CNT層3の母材を配置し、母材の一部をくり抜いて、母材のくり抜き箇所に第3CNT層4を配置する。図3Eは、第3CNT層4の下方に母材と支持基板7が存在しないため、第3CNT層4の熱を効率よく第1CNT層2と第2CNT層3に伝達でき、より大きな起電力を生じさせることができる。
【0055】
このように、第1の実施形態では、第1CNT層2と第2CNT層3の間に金属CNT層からなる第3CNT層4を配置するため、pn接合が存在しなくなり、電磁波の検出感度を向上できる。
【0056】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、複数の熱電変換部を直列に接続するものである。
【0057】
図4は第2の実施形態に係る電磁波検出装置1の平面図、図5A図4のA-A線方向の断面図、図5B図4のB-B線方向の断面図である。
【0058】
第2の実施形態に係る電磁波検出装置1は、直列に接続される複数の熱電変換部20を備える。複数の熱電変換部20のそれぞれは、第1電極5、第1CNT層2、第3CNT層4、第2CNT層3、及び第2電極6を有する。
【0059】
直列に接続される複数の熱電変換部20の両端に配置される第1電極5及び第2電極6は、複数の熱電変換部20のそれぞれで発生される起電力を足し合わせた起電力を検出する。
【0060】
図4は、2つの熱電変換部20を直列に接続した例を示すが、3つ以上の熱電変換部20を直列に接続した構成も実現可能である。以下では、図4における2つの熱電変換部20を第1熱電変換部20aと第2熱電変換部20bと呼ぶ。
【0061】
第1熱電変換部20aは、図4の左から右に向かって順に配置される、第1電極5、第1CNT層2、第3CNT層4、第2CNT層3、及び第2電極6を備える。
【0062】
第2熱電変換部20bは、図4の右から左に向かって順に配置される、第1電極5、第1CNT層2、第3CNT層4、第2CNT層3、及び第1電極5を備える。
【0063】
図4に示す電磁波検出装置1では、第1熱電変換部20aが有する第1電極5と、第2熱電変換部20bが有する第2電極6が第2方向Yに間隔を隔てて配置される。また、第1熱電変換部20aが有する第1CNT層2と、第2熱電変換部20bが有する第2CNT層3とが第2方向Yに間隔を隔てて配置される。また、第1熱電変換部20aが有する第3CNT層4と、第2熱電変換部20bが有する第3CNT層4とが第2方向Yに間隔を隔てて配置される。また、第1熱電変換部20aが有する第2CNT層3と、第2熱電変換部20bが有する第1CNT層2とが第2方向Yに間隔を隔てて配置される。また、第1熱電変換部20aが有する第2電極6と、第2熱電変換部20bが有する第1電極5とが一つの電極8に統合される。
【0064】
2つの第3CNT層4の第2方向Yの間隔dは、第2方向Yに電場振動する偏光光の波長の1/2以下である。これにより、偏光光の損失を抑制できる。
【0065】
図4に示すように、2つの熱電変換部20(20a、20b)を直列に接続することにより、1つの熱電変換部20よりも、2倍の大きさの起電力を発生させることができ、2つの第1電極5の間の電位差も2倍になるため、電磁波の検出感度を向上できる。
【0066】
このように、第2の実施形態では、複数の熱電変換部20を第2方向Yに近接させて直列に接続するため、1つの熱電変換部20で得られる起電力よりも大きい起電力を得ることができる。各熱電変換部20は同一の構造であり、片方の電極を統合することができるため、小さな面積で電磁波の検出感度を向上できる。
【0067】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、支持基板7の両面にカーボンナノチューブ層を配置するものである。
【0068】
図6は第3の実施形態に係る電磁波検出装置1の平面図、図7A図6のA-A線方向の断面図、図7B図6のB-B線方向の断面図である。
【0069】
第3の実施形態に係る電磁波検出装置1は、直列に接続される複数の熱電変換部20を備える。複数の熱電変換部20は、直列に接続される順に、支持基板7の第1主面と第2主面に交互に配置される。
【0070】
直列に接続される複数の熱電変換部20の両端に配置される第1電極5及び第2電極6は、複数の熱電変換部20のそれぞれで発生される起電力を足し合わせた起電力を検出する。
【0071】
図6は、3つの熱電変換部20を直列に接続した例を示すが、4つ以上の熱電変換部20を直列に接続した構成も実現可能である。以下では、図6における3つの熱電変換部20を第1熱電変換部20a、第2熱電変換部20b、及び第3熱電変換部20cと呼ぶ。
【0072】
第1熱電変換部20aと第3熱電変換部20cは、支持基板7の第1主面S1上に配置される。第2熱電変換部20bは、支持基板7の第2主面S2上に配置される。
【0073】
第1熱電変換部20aと第3熱電変換部20cは、図6の左から右に向かって順に配置される、第1電極5、第1CNT層2、第3CNT層4、第2CNT層3、及び第2電極6を備える。
【0074】
第2熱電変換部20bは、図6の裏面側の右から左に向かって順に配置される、第1電極5、第1CNT層2、第3CNT層4、第2CNT層3、及び第2電極6を有する。
【0075】
第1熱電変換部20aの第2電極6と第2熱電変換部20bの第1電極5は一つの電極8aに統合され、第2熱電変換部20bの第2電極6と第3熱電変換部20cの第1電極5は一つの電極8bに統合される。
【0076】
第1熱電変換部20aの第1電極5と第3熱電変換部20cの第2電極6の間には、第1~第3熱電変換部20a、20b、20cの起電力を足し合わせた起電力に応じた電位差が検出される。
【0077】
第1熱電変換部20aの第3CNT層4と第3熱電変換部20cの第3CNT層4は、支持基板7を平面視したときに、第2熱電変換部20bの第3CNT層4と少なくとも一部が重なり合うように配置される。積層される複数の第3CNT層4の間には、SiO2又はSiN等の絶縁層22が配置される。複数の第1CNT層2、複数の第2CNT層3、複数の第1電極5、及び複数の第2電極6についても同様に、絶縁層22を挟んでそれぞれ積層される。これにより、第1熱電変換部20aの第3CNT層4と第3熱電変換部20cの第3CNT層4の第2方向Yの隙間を通り抜けた電磁波を、第2熱電変換部20bの第3CNT層4で吸収でき、電磁波の検出感度を向上できる。
【0078】
上述したように、第1熱電変換部20aの第2電極6と第2熱電変換部20bの第1電極5は一つの電極8aに統合される。図7Bに示すように、電極の位置に合わせて支持基板7に開口部7hを設けて、開口部7hの内部には、電極8aと第2熱電変換部20bの第1CNT層2とを接続する半導体CNT層2cが設けられる。
【0079】
このように、第3の実施形態では、直列に接続される複数の熱電変換部20を、直列に接続される順に、支持基板7の第1主面S1と第2主面S2に交互に配置し、直列に接続される2つの熱電変換部20同士で一方の電極8a(8b)を統合させるため、小さい面積で、大きな起電力を得ることができる。特に、第1主面S1側の第3CNT層4の隙間を通り抜けた電磁波を第2主面S2側の第3CNT層4で吸収させることができるため、電磁波の検出感度をより向上できる。
【0080】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、電磁波検出装置1を積層構造にするものである。
図8は第4の実施形態に係る電磁波検出装置1の平面図、図9図8のA-A線方向の断面図である。
【0081】
第4の実施形態に係る電磁波検出装置1は、図8に示すように、直列接続される複数の熱電変換部20を支持基板7上に積層させた積層構造を備える。積層される個々の熱電変換部20の間には、絶縁層が配置される。
【0082】
第4の実施形態に係る電磁波検出装置1では、支持基板7を平面視したときに、複数の熱電変換部20のそれぞれが有する第1電極5、第1CNT層2、第2CNT層3、第3CNT層4、及び第2電極6のそれぞれが、積層方向に少なくとも一部が重なり合うように配置される。第4の実施形態に係る電磁波検出装置1を最も小面積で実現するには、支持基板7を平面視したときに、複数の熱電変換部20のそれぞれが有する複数の第1電極5が重なり合うように配置し、かつ複数の第1CNT層2が重なり合うように配置し、かつ複数の第2CNT層3が重なり合うように配置し、かつ複数の第3CNT層4が重なり合うように配置し、かつ複数の第2電極6が重なり合うように配置する必要がある。
【0083】
積層方向に隣り合う2つの熱電変換部20は、一方の熱電変換部20の第2電極6と他方の熱電変換部20の第1電極5とが統合されて、この統合された電極8に深さ方向に延びるコンタクト部材21を介して第1CNT層2が接続される。
【0084】
積層される複数の熱電変換部20が有する複数の第3CNT層4は、深さ方向に重なり合うため、下の層に配置される第3CNT層4ほど、電磁波の入射強度が弱くなる。このため、第4の実施形態に係る電磁波検出装置1は、積層される複数の第3CNT層4の厚さをできるだけ薄くするのが望ましい。第3CNT層4を薄くすることで、第3CNT層4を透過する電磁波の割合が増えて、一番下の熱電変換部20の第3CNT層4まで電磁波を入射させることができる。なお、複数の熱電変換部20を積層すると、電磁波の吸収量は増えるが、積層数を増やしても電磁波の吸収量はある値で飽和し、それ以上には増えない。その一方で、熱電変換部20からの放熱量は積層数が増えるほど増加する。電磁波の吸収量と放熱量はトレードオフの関係にあり、熱電変換部20の積層数には最適な数が存在する。
【0085】
第4の実施形態に係る電磁波検出装置1は、積層数を増やすことで、直列接続される熱電変換部20の数を増やすことができ、より大きな起電力を発生させることができ、小面積でありながら、電磁波の検出感度を向上させることができる。
【0086】
(第5の実施形態)
図10は上述した第1~第4の実施形態のいずれかに係る電磁波検出装置1を備える電磁波検出システム30の概略構成を示すブロック図である。
【0087】
図10に示すように、第5の実施形態に係る電磁波検出システム30は、画素アレイ部31と、垂直駆動部32と、カラム信号処理部33と、水平駆動部34と、制御部35と、演算&出力回路36とを備える。
【0088】
画素アレイ部31は、第1方向X及び第2方向Yに配列される複数の画素37を有する。複数の画素37のそれぞれは、第1~第4の実施形態のいずれかに係る電磁波検出装置1を備える。
【0089】
図11は画素アレイ部31の画素配列の一例を示す平面図である。図11は、第1の実施形態に係る電磁波検出装置1と同じ構成の画素37が第1方向Xと第2方向Yに配列される例を示す。画素アレイ部31に配列される画素37の数は任意である。
【0090】
垂直駆動部32は、第1方向X(水平方向)に延びて第2方向Yに配列される複数の画素群(画素行)を画素行ごとに駆動する。垂直駆動部32には、複数の行選択線L1が接続されている。垂直駆動部32は、複数の行選択線L1を順次に駆動する。複数の行選択線L1のそれぞれは、対応する画素行に選択信号を供給する。各画素行に属する各画素37は、選択信号が例えばハイレベルのときに、電磁波の入射強度に応じた画素信号を、対応する垂直信号線VSLに出力する。
【0091】
カラム信号処理部33には、複数の垂直信号線VSLが接続される。カラム信号処理部33は、各垂直信号線VSLを介して伝送される画素信号をアナログ-デジタル変換(以下、AD変換)する複数のAD変換器38を有する。
【0092】
水平駆動部34は、カラム信号処理部33がAD変換した画素信号を順次出力する。演算・出力回路は、フレーム単位の画像データを出力する。
【0093】
図12Aは、AD変換器38の前段に配置される増幅回路39の第1例を示す回路図である。第1例に係る増幅回路39は、図12Aに示すように、参照電圧生成器41と、差動増幅器42と、第1~第4スイッチSW1~SW4と、第1~第3キャパシタC1~C3とを有する。AD変換部38は、カウンタ43を有する。
【0094】
差動増幅器42の反転入力端子と出力端子との間に第1スイッチSW1と第1キャパシタC1が並列に接続されている。第1スイッチSW1は、オートゼロ用のスイッチである。差動増幅器42の反転入力端子と接地ノートの間には第2キャパシタC2が接続されている。画素37の出力ノードである電磁波検出装置1の第2電極6と差動増幅器42の非反転入力端子との間にはSW2が接続されている。参照電圧生成器41の出力ノードは、画素37に対応する電磁波検出装置1の第1電極5に接続されている。参照電圧生成器41の出力ノードと差動増幅器42の非反転入力ノードとの間には第3スイッチSW3が接続されている。第2電極6と接地ノードの間には、第4スイッチSW4と第3キャパシタC3が直列に接続されている。第3キャパシタC3は、帯域制限用の容量である。
【0095】
差動増幅器42は、第2電極6の電圧が参照電圧より低下すると、論理が反転する。AD変換器38として機能するカウンタ43は、差動増幅器42の論理が変化した時点でカウント動作を停止し、そのときのカウント値を画素信号に対応するデジタル値として出力する。
【0096】
図12Bは、カウンタ43で構成されるAD変換器38の前段に配置される増幅回路39の第2例を示す回路図である。第2例に係る増幅回路39は、図12Bに示すように、参照電圧生成器41と、差動増幅器42と、第1キャパシタC1と、第1スイッチSW1とを有する。第1スイッチSW1は、差動増幅器42の反転入力端子と出力端子との間に接続されるオートゼロ用のスイッチである。第1キャパシタC1は、第1スイッチSW1に並列に接続される。差動増幅器42の反転入力端子は、画素37に対応する電磁波検出装置1の第2電極6に接続される。
【0097】
カラム信号処理部33に設けられる増幅回路39とAD変換器38は、必ずしも図12A又は図12Bに示した構成に限定されない。図12A又は図12Bに示した以外の構成を適用可能である。
【0098】
図10に示す電磁波検出システム30における画素アレイ部31以外の周辺回路は、画素アレイ部31が配置される基板に配置されてもよいし、別の基板に配置されてもよい。周辺回路とは、図10の垂直駆動部32、カラム信号処理部33、水平駆動部34、演算&出力回路36、及び制御部35の総称である。
【0099】
図13は第5の実施形態に係る電磁波検出システム30の断面構造の第1例を示す断面図である。第1例に係る電磁波検出システム30は、図13に示すように、画素アレイ部31が配置される基板45と、周辺回路の少なくとも一部が配置される回路基板46とを備える。回路基板46の上面には、部分的に絶縁層47が配置され、絶縁層47を貫通するように複数のビア48が配置される。これらのビア48と、基板45上の電極5,6とがバンプ49を介して接合される。基板45上の複数の画素37が形成される面は、回路基板46の上面に対向して配置され、複数の画素37と回路基板46の上面との間には空隙50が設けられる。この空隙50を設けることにより、画素37に対応する電磁波検出装置1の第3CNT層4の熱が回路基板46等に逃げなくなり、電磁波の検出感度を向上できる。
【0100】
図14は第5の実施形態に係る電磁波検出システム30の断面構造の第2例を示す断面図である。第2例に係る電磁波検出システム30は、図14に示すように、フレキシブルな基板(例えば、フィルム)51上に配置される各画素37に対応する電磁波検出装置1の第1電極5及び第2電極6と、第1電極5及び第2電極6を覆うようにフィルム51上に配置される絶縁層52と、絶縁層52の上面に配置される第1CNT層2、第3CNT層4、及び第2CNT層3とを有する。
【0101】
第1電極5と第1CNT層2とは、絶縁層52を貫通するコンタクト部材53により接続される。同様に、第2電極6と第2CNT層3とは、絶縁層52を貫通するコンタクト部材53により接続される。コンタクト部材53は、例えば半導体CNT層である。
【0102】
フィルム51上には、周辺回路の一部の回路が配置される。絶縁層52の上面の一部には、回路基板54が配置される。回路基板54には、周辺回路の少なくとも一部が配置され、必要に応じて、絶縁層52を貫通するビアが配置される。図14は、電磁波検出システム30の全体をフレキシブルな構造にすることができる。
【0103】
このように、第1~第4の実施形態に係る電磁波検出装置1を第1方向X及び第2方向Yに複数配置することにより、画素アレイ部31を構成でき、画素アレイ部31を駆動する周辺回路を同じ基板又は異なる基板に配置して、チップ化することができる。また、電磁波検出装置1を含む電磁波検出システム30をフレキシブルな基板で実現できる。
【0104】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0105】
図15は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0106】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図15に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0107】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0108】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0109】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0110】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0111】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0112】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0113】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0114】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0115】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図15の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0116】
図16は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0117】
図16では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0118】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0119】
なお、図16には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0120】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0121】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0122】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0123】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0124】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031等に適用され得る。本開示に係る技術を適用することで、撮像部12031等の撮像感度を向上できる。
【0125】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)第1カーボンナノチューブ層と、
前記第1カーボンナノチューブ層から離隔して配置され、前記第1カーボンナノチューブ層とは異なるゼーベック係数を持つ第2カーボンナノチューブ層と、
前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層よりも高い導電率を持ち、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層の間に配置される第3カーボンナノチューブ層と、
前記第1カーボンナノチューブ層に接続される第1電極と、
前記第2カーボンナノチューブ層に接続される第2電極と、を備える、
電磁波検出装置。
(2)前記第1カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、及び前記第2カーボンナノチューブ層は、所定方向に沿って配置され、
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記第1カーボンナノチューブ層の前記所定方向の一端部と、前記第2カーボンナノチューブ層の前記所定方向の一端部とに接続され、
前記第1電極は、前記第1カーボンナノチューブ層の前記所定方向の他端部に配置され、
前記第2電極は、前記第2カーボンナノチューブ層の前記所定方向の他端部に配置される、
(1)に記載の電磁波検出装置。
(3)前記第1電極及び前記第2電極は、少なくとも前記第3カーボンナノチューブ層に照射された光により発生された熱により、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層に生じる温度勾配に応じて発生される起電力を検出する、
(1)又は(2)に記載の電磁波検出装置。
(4)前記第1カーボンナノチューブ層には、前記第3カーボンナノチューブ層から前記第1電極にかけて連続的に温度が低下する温度勾配が生じ、
前記第2カーボンナノチューブ層には、前記第3カーボンナノチューブ層から前記第2電極にかけて連続的に温度が低下する温度勾配が生じる、
(3)に記載の電磁波検出装置。
(5)前記第1カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、及び前記第2カーボンナノチューブ層は、第1方向に沿って、この順に接続され、
前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層の前記第1方向に交差する第2方向の幅は、前記第3カーボンナノチューブ層の前記第2方向の幅よりも狭い、
(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の電磁波検出装置。
(6)前記第1カーボンナノチューブ層は、p型半導体層であり、
前記第2カーボンナノチューブ層は、n型半導体層であり、
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記p型半導体層及び前記n型半導体層の間に配置され、pn接合よりも抵抗値が小さい導電性材料層である、
(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の電磁波検出装置。
(7)前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層の母材である第4カーボンナノチューブ層を備え、
前記第4カーボンナノチューブ層は、所定の方向に沿って順に配置される、p型不純物の注入領域と、前記第3カーボンナノチューブ層の配置領域と、n型不純物の注入領域とを有し、
前記第1カーボンナノチューブ層は、前記p型不純物の注入領域であり、
前記第2カーボンナノチューブ層は、前記n型不純物の注入領域である、
(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の電磁波検出装置。
(8)前記第4カーボンナノチューブ層は、前記第3カーボンナノチューブ層の底面に接触するか、又は前記第3カーボンナノチューブ層の側壁面及び上面を覆うように配置される、
(7)に記載の電磁波検出装置。
(9)前記第4カーボンナノチューブ層の底面を支持するか、又は前記第4カーボンナノチューブ層の側壁面を支持する支持基板を備える、
(7)又は(8)に記載の電磁波検出装置。
(10)前記支持基板は、前記第3カーボンナノチューブ層の底面を支持する、
(9)に記載の電磁波検出装置。
(11)前記第1カーボンナノチューブ層、前記第2カーボンナノチューブ層、及び前記第3カーボンナノチューブ層のそれぞれは、半導体カーボンナノチューブ層及び金属カーボンナノチューブ層を含んでおり、
前記第3カーボンナノチューブ層は、前記第1カーボンナノチューブ層及び前記第2カーボンナノチューブ層よりも、前記半導体カーボンナノチューブ層に対する前記金属カーボンナノチューブ層の割合が大きい、
(1)乃至(10)のいずれか一項に記載の電磁波検出装置。
(12)前記第3カーボンナノチューブ層は、前記半導体カーボンナノチューブ層に対する前記金属カーボンナノチューブ層の割合が1/3より大きい、
(11)に記載の電磁波検出装置。
(13)前記第1電極、前記第1カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、前記第2カーボンナノチューブ層、及び前記第2電極をそれぞれ含み、直列に接続される複数の熱電変換部を備え、
直列接続された前記複数の熱電変換部の両端に配置される前記第1電極及び前記第2電極は、前記複数の熱電変換部のそれぞれで発生される起電力を足し合わせた起電力を検出する、
(1)乃至(12)のいずれか一項に記載の電磁波検出装置。
(14)前記複数の熱電変換部は、直列に接続される第1熱電変換部及び第2熱電変換部を有し、
前記第1熱電変換部が有する前記第1カーボンナノチューブ層と、前記第2熱電変換部が有する前記第2カーボンナノチューブ層とは、所定の方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1熱電変換部及び前記第2熱電変換部が有する2つの前記第3カーボンナノチューブ層は、前記所定の方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1熱電変換部が有する前記第2カーボンナノチューブ層と、前記第2熱電変換部が有する前記第1カーボンナノチューブ層とは、所定の方向に間隔を隔てて配置され、
前記第1熱電変換部の前記第2電極と前記第2熱電変換部の前記第1電極とは、統合される、
(13)に記載の電磁波検出装置。
(15)前記2つの第3カーボンナノチューブ層の前記所定の方向の間隔は、前記所定の方向に電場振動する偏光光の波長の1/2以下である、
(14)に記載の電磁波検出装置。
(16)前記複数の熱電変換部は、直列に接続される順に、支持基板の第1主面及び第2主面に交互に配置される、
(13)に記載の電磁波検出装置。
(17)前記複数の熱電変換部は、直列に接続される第1熱電変換部、第2熱電変換部、及び第3熱電変換部を有し、
前記第1熱電変換部及び前記第3熱電変換部は、前記第1主面上に配置され、
前記第2熱電変換部は、前記第2主面上に配置され、
前記第1熱電変換部及び前記第3熱電変換部がそれぞれ有する前記第3カーボンナノチューブ層は、前記支持基板を平面視したときに、前記第2熱電変換部が有する前記第3カーボンナノチューブ層と少なくとも一部が重なり合うように配置される、
(16)に記載の電磁波検出装置。
(18)前記複数の熱電変換部は、支持基板上に、間に絶縁層を挟んで積層され、
前記支持基板を平面視したときに、前記複数の熱電変換部のそれぞれが有する前記第1カーボンナノチューブ層、前記第2カーボンナノチューブ層、前記第3カーボンナノチューブ層、前記第1電極、及び前記第2電極のそれぞれは、積層方向に少なくとも一部が重なり合うように配置される、
(13)に記載の電磁波検出装置。
(19)第1方向及び第2方向に配列される複数の画素を有する画素アレイ部と、
前記画素アレイ部における前記第1方向に配列される2以上の前記画素を含む画素群ごとに、前記第2方向に配置される複数の前記画素群を順に駆動する画素群駆動部と、
前記画素群駆動部で駆動される前記画素群に含まれる前記2以上の画素のそれぞれで検出された電磁波の強度に応じた画素信号を読み出す信号処理回路と、を備え、
前記複数の画素のそれぞれは、(1)乃至(18)のいずれか一項に記載の電磁波検出装置を有する、
電磁波検出システム。
(20)前記画素アレイ部が配置される第1基板と、
前記第1基板に積層され、少なくとも前記信号処理回路が配置される第2基板と、
前記第1基板の前記画素アレイ部が配置される面は、前記第2基板に対向して配置され、
前記第1基板と前記第2基板とは、前記第1基板の前記画素アレイ部が前記第2基板から間隔を隔てて配置されるように、前記第1基板の前記画素アレイ部の配置領域を取り囲むように配置される接合部材にて接合される、
(19)に記載の電磁波検出システム。
【0126】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 電磁波検出装置、2 第1CNT層、2c 半導体CNT層、3 第2CNT層、4 第3CNT層、5 第1電極、6 第2電極、7 支持基板、7h 開口部、8 電極、8a 電極、8b 電極、11 アクセプタ、12 正孔、13 ドナー、14 電子、20 熱電変換部、20a 第1熱電変換部、20b 第2熱電変換部、20c 第3熱電変換部、21 コンタクト部材、22 絶縁層、30 電磁波検出システム、31 画素アレイ部、32 垂直駆動部、33 カラム信号処理部、34 水平駆動部、35 制御部、36 出力回路、37 画素、38 AD変換器、39 増幅回路、41 参照電圧生成器、42 差動増幅器、43 カウンタ、45 基板、46 回路基板、47 絶縁層、48 ビア、49 バンプ、50 空隙、51 フィルム、52 絶縁層、53 コンタクト部材、54 回路基板
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16