(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154801
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20241024BHJP
A61F 13/494 20060101ALI20241024BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61F13/49 413
A61F13/494 111
A61F13/49 312Z
A61F13/56 210
A61F13/49 315Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068882
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 岳志
(72)【発明者】
【氏名】富田 美奈
(72)【発明者】
【氏名】楊 玉亭
(72)【発明者】
【氏名】阿部 華
(72)【発明者】
【氏名】幸田 拓也
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA12
3B200BB11
3B200CA02
3B200CA07
3B200CA08
3B200DA02
3B200DA21
3B200DA25
3B200DE01
(57)【要約】
【課題】股下域におけるフィット性が向上された吸収性物品を提供すること。
【解決手段】吸収性物品1は、着用者の前後方向に対応する縦方向X及び縦方向Xに直交する横方向Yを有し、着用者の腹側に配置される前側パッド2と、着用者の背側に配置される後側パッド3とを有し、両パッド2,3を着用者の股下域で連結された状態にして使用可能である。前側パッド2及び後側パッド3は、前記股下域に配される股下部Mを有している。前側パッド2及び後側パッド3の少なくとも一方は、股下部M側の端部域における少なくとも側部域に、横方向Yに伸縮する股下横方向伸縮部13,73を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有し、
着用者の腹側に配置される前側パッドと、着用者の背側に配置される後側パッドとを有し、両パッドを着用者の股下域で連結された状態にして使用可能な吸収性物品であって、
前記前側パッド及び前記後側パッドは、前記股下域に配される股下部を有しており、
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する股下横方向伸縮部を有する、吸収性物品。
【請求項2】
前記前側パッドは、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する前記股下横方向伸縮部を有し、
前記前側パッドの股下横方向伸縮部は、前記吸収性物品の着用時に着用者の身体側に起立しない、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記後側パッドは、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する前記股下横方向伸縮部を有し、
前記後側パッドの股下横方向伸縮部は、前記吸収性物品の着用時に着用者の身体側に起立する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記縦方向に沿う側部域それぞれに前記縦方向に伸縮する縦方向伸縮部を有し、且つ前記縦方向における前記股下部側において、前記縦方向伸縮部と前記股下横方向伸縮部とが重なっている、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記縦方向に沿う側部域それぞれに前記縦方向に伸縮する縦方向伸縮部を有し、
前記縦方向伸縮部には、縦方向弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配され、
前記股下横方向伸縮部には、股下横方向弾性部材が前記横方向に伸縮可能に配され、
前記縦方向弾性部材及び前記股下横方向弾性部材は、それぞれの長手方向の端部に非伸縮部を有し、
前記股下部側に、前記縦方向弾性部材の前記非伸縮部と前記股下横方向弾性部材の前記非伸縮部とが重なった非伸縮重なり部を有する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記縦方向に沿う側部域それぞれに前記縦方向に伸縮する縦方向伸縮部を有し、且つ前記縦方向における前記股下部側において、前記縦方向伸縮部の伸縮方向の延長線上に前記股下横方向伸縮部が位置している、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記縦方向伸縮部として、縦方向弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配された防漏カフと、該防漏カフより前記横方向の外方に位置し、前記縦方向弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配されたレッグカフとを有しており、
少なくとも該レッグカフに配された前記縦方向弾性部材は、前記股下横方向伸縮部とは重なっていない、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記前側パッドと前記後側パッドのいずれについても、
前記縦方向の前記股下部とは反対側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する非股下横方向伸縮部を有し、且つ前記縦方向に沿う側部域それぞれに前記縦方向に伸縮する縦方向伸縮部を有する、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記横方向伸縮部及び前記縦方向伸縮部に周囲を囲まれた吸収領域が、前記縦方向に沿って2つ並ぶように、前記前側パッドと前記後側パッドとを連結可能である、請求項8に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記前側パッドの前記股下横方向伸縮部と、前記後側パッドの前記股下横方向伸縮部との前記縦方向における位置に重なりがあるように、前記前側パッドと前記後側パッドとを連結可能である、請求項8又は9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記前側パッドの前記股下横方向伸縮部と、前記後側パッドの前記股下横方向伸縮部との前記縦方向における位置に重なりがないように、前記前側パッドと前記後側パッドとを連結可能である、請求項8ないし10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記縦方向伸縮部として、縦方向弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配された防漏カフと、該防漏カフより前記横方向の外方に位置し、縦方向弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配されたレッグカフとを有しており、
前記防漏カフ又はその前記縦方向の延長線と、前記レッグカフ又はその前記縦方向の延長線との間に前記股下横方向伸縮部が配されている、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記前側パッド及び前記後側パッドは、吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配置された肌側シートとを備えており、
前記前側パッド及び前記後側パッドの両方が、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する前記股下横方向伸縮部を有し、
前記前側パッド及び前記後側パッドの前記股下横方向伸縮部には、股下横方向弾性部材が前記横方向に伸縮可能に配されており、
前記前側パッドの前記股下横方向弾性部材は、該パッドの厚み方向において前記肌側シートよりも非肌対向面側に配されており、
前記後側パッドの前記股下横方向弾性部材は、該パッドの厚み方向において前記肌側シートよりも肌対向面側に配されている、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前記前側パッドの前記股下横方向伸縮部と前記後側パッドの前記股下横方向伸縮部とが重なるように、且つ着用者の股下域において前者が後者よりも着用者の肌に近い側に配されるように、前記前側パッドと前記後側パッドとを連結して前記吸収性物品を着用した状態において、
前記後側パッドの前記股下部側の端部域における側部域が、前記前側パッドから離れる方向に起立している、請求項13に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記前側パッドは、吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配置された肌側シートと、該吸収体の非肌対向面側に配置された非肌側シートと、を含む吸収性本体を有し、
前記前側パッドは、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する前記股下横方向伸縮部を有し、
前記前側パッドの前記股下横方向伸縮部には股下シートが配されており、
前記股下シートは、前記前側パッドの前記股下部側の端部域において、前記吸収性本体の前記縦方向に沿う両側縁よりも外方に延出する一対の延出部を有する、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記一対の延出部の色がその周辺部の色と異なる、請求項15に記載の吸収性物品。
【請求項17】
前記前側パッド及び前記後側パッドのいずれについても、
自然状態における前記股下部側の端部域の前記横方向の長さが、展開且つ最大伸長状態における前記股下部側の端部域の前記横方向の長さよりも短い、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項18】
前記後側パッドの前記股下部には、前記前側パッドの前記股下部に設けられた被止着領域に止着可能な止着部が設けられており、
前記止着部の前記横方向の両側縁よりも外方の位置に、一対の前記股下横方向伸縮部が形成されている、請求項1ないし17のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項19】
前記前側パッド及び前記後側パッドは着用者の腰周りで連結可能であり、
該両パッドを着用者の股下域及び腰周りで連結して装着した状態から、該両パッドの前記股下域での連結を維持しつつ、該両パッドの前記腰周り域での連結を解除したときに、前記前側パッドの前記股下部側の端部域が前記後側パッドから自然と離間する、請求項1ないし18のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前側パッドと後側パッドとが分離及び連結可能になっている、セパレートタイプの吸収性物品が知られている。なかでも交換作業を容易にするために、着用者の股下域に両パッドの連結部を有するセパレートタイプの吸収性物品が提案されている。
例えば特許文献1には、左右一対の剥離可能な接合部を介して相互に接合されてウエスト周り開口部を形成する前身頃部及び後ろ身頃部と、これら前身頃部及び後ろ身頃部からそれぞれ下方に延びて下端部を相互に重ね合わせることにより左右一対の脚周り開口部を形成する前フラップ部および後ろフラップ部と、両フラップ部の下端部を股下域において相互に接合し得る接合手段とを有するおむつが提案されている。
また特許文献2には、股下部において前後方向に分離、連結できることを特徴とする紙おむつが提案されている。同文献に記載の紙おむつは、交換作業の容易化と交換頻度の低減を実現できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-000566号公報
【特許文献2】特開2019-013603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載のおむつは、前側パッドと後側パッドが相互に重なり合った股下域、特に股下域の幅方向側の端部域のフィット性が十分でなく、排泄物が例えば前側パッドと後側パッドとの連結部から漏れ出してしまうおそれがあった。
したがって本発明の課題は、前側パッドと後側パッドが相互に重なりあった股下域におけるフィット性を向上し、排泄物の漏れを抑制する吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有し、
着用者の腹側に配置される前側パッドと、着用者の背側に配置される後側パッドとを有し、両パッドを着用者の股下域で連結された状態にして使用可能な吸収性物品に関する。
一実施形態において、前記前側パッド及び前記後側パッドは、前記股下域に配される股下部を有しており、
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する股下横方向伸縮部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、股下域におけるフィット性を向上し、股下域からの排泄物の漏れを抑制する吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す前側パッドを展開し且つ最大伸長状態にて肌対向面側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す前側パッドの所定位置における横方向且つ厚み方向に沿う断面を模式的に示す断面図であり、
図3(a)は、
図2のI-I線に沿う断面図、
図3(b)は、
図2のII-II線に沿う断面図、
図3(c)は、
図2のIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す前側パッドを展開し且つ最大伸長状態にて非肌対向面側から見た平面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す後側パッドを展開し且つ最大伸長状態にて肌対向面側から見た平面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す後側パッドの所定位置における横方向且つ厚み方向に沿う断面を模式的に示す断面図であり、
図6(a)は、
図5のIV-IV線に沿う断面図、
図6(b)は、
図5のV-V線に沿う断面図、
図6(c)は、
図5のVI-VI線に沿う断面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す後側パッドを展開し且つ最大伸長状態にて非肌対向面側から見た平面図である。
【
図8】
図8(a)、(b)及び(c)は、
図1に示す使い捨ておむつの着用方法を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図1に示す前側パッドと後側パッドとを、両パッドの股下横方向伸縮部が重なるように連結した状態において、両パッドを展開し且つ最大伸長状態にて肌対向面側から見た平面図である。
【
図10】
図10は、
図1に示す前側パッドと後側パッドとを、両パッドの股下横方向伸縮部が重ならないように連結した状態において、両パッドを展開し且つ最大伸長状態にて肌対向面側から見た平面図である。
【
図11】
図11は、縦方向伸縮部及び股下横方向伸縮部の好ましい位置関係を説明する、
図2のA部拡大図である。
【
図12】
図12(a)は、本発明の吸収性物品の別の実施形態である使い捨ておむつのホルダを示す斜視図であり、
図12(b)は、着用状態の前記使い捨ておむつを模式的に示す、横方向の断面図である。
【
図13】
図13(a)は、本発明の吸収性物品の別の実施形態である使い捨ておむつのホルダを示す斜視図であり、
図13(b)は、着用状態の前記使い捨ておむつを模式的に示す、横方向の断面図である。
【
図14】
図14(a)は、本発明の吸収性物品の別の実施形態である使い捨ておむつのホルダを示す斜視図であり、
図14(b)は、着用状態の前記使い捨ておむつを模式的に示す、横方向の断面図である。
【
図15】
図15(a)は、本発明の吸収性物品の別の実施形態である使い捨ておむつのホルダを示す斜視図であり、
図15(b)は、着用状態の前記使い捨ておむつを模式的に示す、横方向の断面図である。
【
図16】
図16(a)は、本発明の吸収性物品の更に別の実施形態である使い捨ておむつの前側パッドを模式的に示す平面図であり、
図16(b)は、前記使い捨ておむつの後側パッドを模式的に示す平面図であり、
図16(c)は、着用状態の前記使い捨ておむつのホルダ部分を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつ(以下単に「おむつ」とも言う。)1が示されている。
図2~
図4には、おむつ1を構成する前側パッド2が示されている。
図5~7には、おむつ1を構成する後側パッド3が示されている。
図8には、おむつ1を着用する方法の一例が示されている。
【0009】
図1に示すおむつ1は、着用者の腹側に配置される前側パッド2と、着用者の後側に配置される後側パッド3とを有し、両パッド2,3を着用者の股下域で連結された状態で使用可能なものである。おむつ1は、着用者の前後方向に対応する縦方向X及びこれに直交する横方向Yを有する。本明細書において、「着用者の股下域」とは、着用者の臍から股間部を介して臍(背側における、腹側の臍に対応する位置にある部位)まで延びる領域を、着用者の前後方向に四等分した場合の、中央に位置する二領域を指す。また「着用者の前後方向」とは、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる方向を指す。
【0010】
おむつ1は、例えば
図8に示すとおり、まず着用者に後側パッド3を装着させ、次いで該後側パッド3と前側パッド2とを着用者の腰周り及び股下域で連結することによって着用することができる。おむつ1の着用方法の詳細については後述する。
【0011】
セパレートタイプの吸収性物品であるおむつ1は、前側パッド2と後側パッド3とが連結・分離自在であるため、非セパレートタイプの吸収性物品に比べて環境に対する負荷が低減されている。すなわち、着用者の腹側に対応する部分(前側パッド相当部分)と着用者の背側に対応する部分(後側パッド相当部分)とが一体不可分である非セパレートタイプの吸収性物品を使用後に廃棄する場合、着用者が排尿をしたのみであり、後側パッド相当部分が汚れていなくても、尿で汚れた状態の前側パッド相当部分とともに廃棄せざるを得なかったが、おむつ1であれば、後側パッドはそのままで前側パッドのみを新品と交換すればよい。すなわち、前側パッド及び後側パッドのうち、排泄物で汚れたパッドのみを交換することが可能である。したがって本実施形態のおむつ1は、非セパレートタイプの吸収性物品に比べてゴミ廃棄量、二酸化炭素排出量が低減され、環境に対する負荷の低減に貢献することができる。また前側パッドのみを新品に交換する作業は簡単であり、おむつ1は交換作業の負荷が大幅に軽減されている。
更に、おむつ1は前側パッド2と後側パッド3とが連結・分離自在であるため、前側パッド2は尿吸収に特化した構造とし、後側パッド3は便吸収に特化した構造とすることができる。このことに起因して、おむつ1は吸収体の面積が小さくても非セパレートタイプのおむつと同等の吸収性能を達成することができる。またおむつ1は、前側パッド2及び後側パッド3それぞれの機能を上述のとおり特化させているので、各パッド2,3における必要最小限の部位に、必要最小限の材料が配置されている。よって、おむつ1の低コスト化が実現されている。
以下、おむつ1を構成する前側パッド2及び後側パッド3について詳述する。
【0012】
図2~4に示す前側パッド2は、その着用状態において着用者の腹側に位置する腹側部Fと、股下域に位置する股下部Mとを有する。股下部Mは、おむつ1の着用状態において着用者の尿等の排泄部に対向配置される。腹側部Fは、おむつ1の着用状態において股下部Mよりも着用者のウエスト側に配される部位である。
前側パッド2は、おむつ1に対応して縦方向X及び横方向Yを有する。すなわち、前側パッド2の縦方向Xはおむつ1の縦方向Xと一致し、前側パッド2の横方向Yはおむつ1の横方向Yと一致している。前側パッド2は、腹側部Fから股下部Mに延びる縦方向Xに延在している。
前側パッド2の股下部Mは、典型的には、展開且つ最大伸長状態の前側パッド2を縦方向Xに三等分した場合の股下側の三分の一の領域であり、残りが前側パッド2の腹側部Fである。
【0013】
本実施形態では、前側パッド2は液保持性の吸収体21を有する。吸収体21は、少なくとも吸水性材料を主体とする吸収性コア24を含む。前記吸水性材料としては、例えば、吸水性繊維、吸水性ポリマーの粒子、及びそれらの混合物などを用いることができる。吸水性繊維としては、例えば針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ(以上、セルロース系繊維);親水性合成繊維等を用いることができる。これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0014】
本実施形態では、吸収体21は、吸収性コア24と、該吸収性コア24の表面を被覆する液透過性のコアラップシート25とを含む。吸収体21においては、吸収性コア24の肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域が、コアラップシート25で覆われている。これに代えて、吸収性コア24は、その肌対向面のみがコアラップシート25で覆われていてもよい。吸収体21の輪郭(周縁)は、吸収性コア24の輪郭(周縁)と同一視できる。また、吸収体21はコアラップシート25を含んでいなくともよい。
本実施形態では、吸収体21(吸収性コア24)は
図2に示すとおり、平面視長方形形状をなし、縦方向Xに延在しており、その長手方向を展開且つ伸長状態におけるおむつ1の縦方向Xに一致させて、前側パッド2の横方向Yの中央に配置されている。
【0015】
本明細書において「肌対向面」とは、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性コア)に着目したときに、吸収性物品の着用状態において着用者の肌に向けられる面である。「非肌対向面」とは、吸収性物品の着用状態において着用者の肌とは反対側に向けられる面である。
【0016】
本実施形態では、前側パッド2は、吸収体21を含む吸収性本体22を有する。吸収性本体22は、前側パッド2の体液吸収機能を発現し、前側パッド2の主体をなす部分であり、典型的には、吸収体21に加えて、吸収体21の肌対向面側に配置された肌側シートと、吸収体21の非肌対向面側に配置された非肌側シートとを含む。後述する防漏カフ31、股下シート11、第1防漏シート41等の前側パッド2の構成部材は、吸収性本体22に固定されている。
【0017】
本実施形態の吸収性本体22は、
図3(b)に示すとおり、前側パッド2の肌対向面を形成する液透過性の表面シート23、前側パッド2の非肌対向面を形成する裏面シート27及びこれら表面シート23及び裏面シート27間に配された液保持性の吸収体21及びサブレイヤーシート26を含んでおり、これらが接着剤、融着(ヒートシール、超音波シール等)等の公知の接合手段により一体化されて構成されている。表面シート23及びサブレイヤーシート26はそれぞれ前記「肌側シート」、裏面シート27は前記「非肌側シート」である。
【0018】
吸収性本体22の構成部材としては、この種の吸収性物品において通常使用されているものを特に制限なく用いることができる。
表面シート23及びサブレイヤーシート26(前記肌側シート)としては、それぞれ、液透過性を有する各種のシートを用いることができ、例えば、不織布、織布、紙が挙げられる。
裏面シート27(前記非肌側シート)としては、防漏性を有するシート、具体的には、液不透過性(液を全く通さない性質)又は液難透過性(液不透過性とまでは言えないものの、液を通し難い性質)を有するシートを用いることができ、例えば、透湿性の樹脂製フィルム、該樹脂製フィルムと不織布との積層体、及び撥水処理された不織布が挙げられる。
【0019】
なお、前側パッド2は、裏面シート27の非肌対向面側に配置された外装シート(図示せず)を備えていてもよい。該外装シートは、吸収性本体22において、腹側部F及び股下部Mの全域に連続して配置されることが好ましい。この場合、該外装シートが前側パッド2の非肌対向面を形成する。
外装シートとしては、例えば不織布等を用いることができる。
外装シートは、裏面シート27のうち、吸収体21と対向する面と反対側の面に、接着剤等の公知の接合手段によって直接接合させることができる。
【0020】
本実施形態では、前側パッド2は防漏カフ31,31を有する。防漏カフ31は、
図2及び
図3(b)に示すとおり、前側パッド2の肌対向面側において、吸収性本体22の縦方向Xに沿う両側部に沿って配されている。
防漏カフ31は、矩形状の防漏カフ形成用シート32と、縦方向Xに伸縮可能なカフ弾性部材33とを含んで構成されている。防漏カフ31は、1枚の防漏カフ形成用シート32を二つ折りにし、相対向した二枚の防漏カフ形成用シート32どうしを接合することによって形成されている。相対向した二枚の防漏カフ形成用シート32の間には、カフ弾性部材33が1本以上縦方向Xに伸縮可能に配されている。
本明細書において「弾性部材が伸縮可能に配されている」とは、特に断らない限り、弾性部材が伸長状態で他の部材に固定されていることを指す。
防漏カフ31は、横方向Y内方端部が自由端部となっており、横方向Y外方端部が、表面シート23及び裏面シート27に接着剤等で固定されて固定端部となっている。前記自由端部は横方向Yの内方を向いており、これに起因して、防漏カフ31は、横方向Yの内方に向けての倒伏性向を有している。前記固定端部を含む、防漏カフ形成用シート32における吸収体21よりも横方向Yの外方に位置する部分は、両シート23,27とともに、後述するサイドフリル部SFを構成している。防漏カフ31は、伸長状態で配されたカフ弾性部材33が収縮することによって、少なくとも股下部Mで起立し、尿等の排泄液の横方向Y外方への流出を阻止する。なお、防漏カフ31が着用状態において起立することを明示するために、
図3(b)においては防漏カフ31が起立した状態で示されている。
【0021】
本実施形態では、前側パッド2は一対のサイドフリル部SF,SFを有する。サイドフリル部SFは、吸収体21の縦方向Xに沿う両側縁及び該両側縁の仮想延長線の双方から横方向Yの外方に延出するシート部材からなる部分であり、吸収性本体22の縦方向Xに沿う側部域(吸収性コア24の非配置領域)をなしている。サイドフリル部SFを構成するシート部材は、腹側部Fから股下部Mに延在しており、吸収体21の両側縁それぞれから横方向Y外方に延出した延出部において、接着剤、融着等の公知の接合手段によって互いに接合されている。本実施形態では、サイドフリル部SFを構成するシート部材は、
図3に示すとおり、表面シート23、裏面シート27及び後述する防漏カフ形成用シート32である。
【0022】
本実施形態では、前側パッド2は、
図2に示すとおり、縦方向Xに沿う側部域2Sそれぞれに縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部36を有する。ここで言う「縦方向Xに伸縮する」とは、縦方向伸縮部36が縦方向Xに伸縮性を有することを指す。また、ここで言う「縦方向Xに伸縮する」には、縦方向伸縮部36の伸縮方向が縦方向Xと完全に一致する形態と、縦方向伸縮部36の伸縮方向が縦方向Xと完全には一致しないが実質的に一致する形態との両方が包含される。後者の形態において、縦方向伸縮部36の伸縮方向と縦方向Xとのなす角度は、好ましくは45度未満、より好ましくは30度以下、更に好ましくは15度以下である。
【0023】
本発明において、「前側パッドの縦方向に沿う側部域」とは、1)当該前側パッドが防漏カフを有しない場合は、展開且つ最大伸長状態の前側パッドの吸収性本体を横方向に三等分した場合の中央域を挟んで両側に位置する領域を指し、2)当該前側パッドが防漏カフ(吸収性本体の縦方向に沿う両側部を覆う部材)を有する場合は、展開且つ最大伸長状態の前側パッドにおける防漏カフの配置領域(換言すれば、防漏カフによって吸収性本体の肌対向面が被覆されている領域)を指す。
後述する「後側パッドの縦方向に沿う側部域」についても、前側パッドと同様であり、前記の「前側パッドの縦方向に沿う側部域」についての説明が適宜適用される。
本実施形態では、前側パッド2は防漏カフ31を有しているので、前側パッド2の側部域2Sは前記2)に従って規定される。
【0024】
本明細書において「伸縮性」とは、所定方向(縦方向伸縮部36の場合は縦方向X)に伸長可能であり且つ伸長を解除すると収縮する性質を意味する。シートが、ある方向に実質的に伸縮性を有しない(非伸縮性である)とは、該シートに対して当該ある方向に引っ張る力を加えても、該シートが、殆ど伸びないことを意味する。例えば、長さ15×幅5cmのサンプルに対して、該サンプルをテンシロン等の引張試験機で長手方向に引っ張って、該サンプルが破断するときの破断伸度が10%以下である場合、そのサンプルは、長手方向に実質的に伸縮性を有しない。なお、破断伸度とは(破断時の該サンプル長さ-該サンプルの元の長さ)/(該サンプルの元の長さ)×100で算出することができる。縦方向伸縮部36は縦方向Xに伸縮性を有するので、前記引張試験機で縦方向Xに引っ張った場合、破断伸度が10%を超える。
【0025】
前側パッド2は、縦方向伸縮部36として、前述した防漏カフ31と、レッグカフ35とを有する。
防漏カフ31において縦方向伸縮部36として実質的に機能する部位は、カフ弾性部材33の配置位置及びその周囲(典型的には該配置位置から横方向Yに5mmまでの領域)である。
レッグカフ35は、
図2及び
図3(b)に示すとおり、一対のサイドフリル部SF,SFそれぞれに配されており、縦方向Xに延びる1本以上のレッグ弾性部材34を含んで構成されている。レッグ弾性部材34は、サイドフリル部SFを構成するシート部材(図示の形態では、防漏カフ形成用シート32及び裏面シート27)に伸長状態で固定されている。
【0026】
前側パッド2は、側部域2Sに縦方向伸縮部36を有するため、装着時に前側パッド2の縦方向Xの長さを着用者の身体のサイズ、特に脚回りのサイズに合わせて調節可能であり、おむつ1のフィット性を高めることができる。特に本実施形態のように、縦方向伸縮部36が防漏カフ31及びレッグカフ35であると、斯かる効果をより高められる。
【0027】
本実施形態では、
図2及び
図3(c)に示すとおり、前側パッド2の股下部M側の端部域、すなわち前側パッド2の股下部M側の縦方向X端2X1及びその近傍に股下シート11が配されている。股下シート11は、表面シート23と裏面シート27との間に、接着剤等によって固定されている。すなわち股下シート11は、前側パッド2の厚み方向において表面シート23(肌側シート)よりも非肌対向面側に配されている。股下シート11は平面視で矩形形状をなし、その長手方向は前側パッド2の横方向Yと一致する。図示の形態では、股下シート11は、1枚のシートが縦方向Xに二つ折りされたもので二層構造を有している。
図2に示すとおり、股下シート11の縦方向Xの外方端11X1は、前側パッド2の股下部Mにある縦方向X端2X1の近傍で且つ該縦方向X端2X1よりも縦方向Xの内方にある。また
図2、
図3(c)及び
図4に示すとおり、股下シート11は吸収性本体22の縦方向Xに沿う両側縁よりも外方に延出している。
【0028】
前側パッド2は、股下部M側の端部域における少なくとも側部域に、横方向Yに伸縮する股下横方向伸縮部13を有する。
前記の「前側パッド2の股下部M側の端部域」とは、前側パッド2の股下部M側の縦方向X端2X1及びその近傍を指し、より具体的には、前側パッド2の展開且つ最大伸長状態において、前側パッド2の股下部M側の縦方向X端2X1から縦方向Xの内方に、前側パッド2の縦方向Xの全長の好ましくは30%、より好ましくは20%にわたる領域を指す。
前記の「前側パッド2の股下部M側の端部域における側部域」とは、該端部域の横方向Yの両端及びその近傍を指し、より具体的には、前側パッド2の展開且つ最大伸長状態において、該端部域を横方向Yに三等分した場合の中央域を挟んで両側に位置する領域を指す。なお、
図2に示す形態では、「前側パッド2の股下部M側の端部域における側部域」と前側パッド2の側部域2Sとが重複するが、例えば、該端部域自体の横方向Yの全長が
図2に示す形態よりも長い形態では、前者が後者よりも横方向Yの外方に位置し、両側部域どうしは重複しない。本発明にはこのような形態も包含される。
前記の「横方向Yに伸縮する」とは、股下横方向伸縮部13が横方向Yに伸縮性を有することを指す。ここで言う「伸縮性」については前述したとおりである。また、「横方向Yに伸縮する」には、股下横方向伸縮部13の伸縮方向が横方向Yと完全に一致する形態と、股下横方向伸縮部13の伸縮方向が横方向Yと完全には一致しないが実質的に一致する形態との両方が包含される。後者の形態において、股下横方向伸縮部13の伸縮方向と横方向Yとのなす角度は、好ましくは45度未満、より好ましくは30度以下、更に好ましくは15度以下である。
【0029】
本発明に係る股下横方向伸縮部13は、横方向Yに伸縮することを前提として、その構成は特に制限されない。例えば、1)シート部材に弾性部材が伸長状態で固定された構成でもよく、2)横方向に伸縮性を有するシート部材のみから構成されていてもよい。前記1)の場合、股下横方向伸縮部13は、典型的には、弾性部材の配置位置及びその周囲からなる領域であり、より具体的には、弾性部材の配置位置から縦方向に20mmまでの領域である。前側パッドの股下部側の端部域に横方向に伸縮可能に配された弾性部材が複数存在する場合、その複数の弾性部材それぞれの配置位置及びその周囲からなる領域の全体が、本発明に係る股下横方向伸縮部である。
また、本発明に係る股下横方向伸縮部13は、3)防漏カフ31のような、吸収性物品の着用時に着用者の身体側に起立するタイプ(立体タイプ)でもよく、4)レッグカフ35のような、吸収性物品の着用時に着用者の身体側に起立しないタイプ(非立体タイプ)でもよい。非立体タイプの伸縮部は、排泄液の堰き止め機能を実質的に有しない。
【0030】
前記4)の「着用者の身体側に起立しない」とは、吸収性物品の着用時に股下横方向伸縮部が着用者の身体側に全く起立(隆起)しない形態と、吸収性物品の自然状態において股下横方向伸縮部が着用者の身体側にわずかに起立(隆起)するものの、実質的には起立(隆起)していないとみなせる形態とを包含する。
なお、吸収性物品の着用時における股下横方向伸縮部の状態は、吸収性物品の自然状態におけるそれと同一視できる。本明細書において「吸収性物品の自然状態」とは、吸収性物品が有する全ての弾性伸縮部材に外力が作用していない状態を指す。
前記の後者の形態において、吸収性物品の自然状態における股下横方向伸縮部の起立高さは、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。前記「起立高さ」は、吸収性物品の自然状態における、股下横方向伸縮部の頂部と該股下横方向伸縮部の周辺部の表面との厚み方向での離間距離を指す。
【0031】
本実施形態の股下横方向伸縮部13は、
図2及び
図3(c)に示すとおり、股下シート11と、該股下シート11に横方向Yに伸長状態で固定された股下横方向弾性部材12とを含んで構成されており、前記1)及び4)を具備する。より具体的には、本実施形態の股下横方向伸縮部13は、二つ折りによって相対向した二枚の股下シート11の間に複数の股下横方向弾性部材12が縦方向Xに間欠配置されて構成されており、非立体タイプである。
【0032】
なお、本発明に係る股下横方向伸縮部は、前述したとおりであり、図示の形態に制限されるものではない。例えば、股下横方向弾性部材12は、防漏カフ形成用シート32と裏面シート27との間に両シート32,27と接触するように配置されていてもよいし、表面シート23及び/又は防漏カフ形成用シート32の肌対向面に配置されていてもよい。
【0033】
前側パッド2の股下横方向伸縮部13には股下シート11が配されており、股下シート11は、前側パッド2の股下部M側の端部域において、吸収性本体22の縦方向Xに沿う両側縁よりも外方に延出する一対の延出部14,14を有することが好ましい。
【0034】
本実施形態においては、上述のとおり、股下横方向伸縮部13は股下シート11を含んで構成されており、股下シート11が一対の延出部14,14を有している。これによって、前側パッド2の股下横方向伸縮部13と後側パッド3とが重なるように前側パッド2と後側パッド3とを連結しておむつ1を着用した状態において、該一対の延出部14,14を手指で把持して横方向Yの外方に引っ張ることで、股下横方向伸縮部13を構成する股下横方向弾性部材12の位置及び収縮状態等を調整して、前側パッド2と後側パッド3との股下域における密着性を向上させ、着用者の排泄物の漏れを効果的に防ぐことができる。
股下シート11の延出部14は、股下横方向弾性部材12の位置等を調整する際に手指で把持しやすいように構成されていればよく、それ自体は伸縮性を有していなくてもよい。すなわち、股下横方向弾性部材12は横方向Yにおいて前記一対の延出部14,14まで延びていてもよいし、延びていなくてもよい。
前側パッド2と後側パッド3とを連結する際において一対の延出部14,14の位置を認識しやすくする観点から、一対の延出部14,14の色は、その周辺部の色と異なることが好ましい。
【0035】
本実施形態では、
図2及び3(a)に示すとおり、前側パッド2の股下部Mとは反対側の端部域、すなわち前側パッド2の腹側部F側の縦方向X端2X2及びその近傍に第1防漏シート41が配されている。第1防漏シート41は、前側パッド2の肌対向面の一部を形成している。第1防漏シート41は平面視で矩形形状をなし、その長手方向は前側パッド2の横方向Yと一致する。図示の形態では、第1防漏シート41は、1枚のシートが縦方向Xに二つ折りされたもので二層構造を有している。
図2に示すとおり、第1防漏シート41の縦方向Xの外方端41X1は、前側パッド2の腹側部Fにある縦方向X端2X2の近傍で且つ該縦方向X端2X2よりも縦方向Xの内方にある。また
図2及び4に示すとおり、第1防漏シート41は裏面シート27から横方向Yの両外方に延出している。
第1防漏シート41は、表面シート23及び防漏カフ形成用シート32の肌対向面に接着剤等によって固定されている。
【0036】
前側パッド2は、縦方向Xの股下部Mとは反対側の端部域における少なくとも側部域に、横方向Yに伸縮する非股下横方向伸縮部44を有することが好ましい。
前記の「縦方向Xの股下部Mとは反対側の端部域」とは、前側パッド2の腹側部F側の縦方向X端2X2及びその近傍を指し、より具体的には、前側パッド2の展開且つ最大伸長状態において、前側パッド2の縦方向X端から縦方向Xの内方に、前側パッド2の縦方向Xの全長の好ましくは40%、より好ましくは35%にわたる領域を指す。
前記の「前側パッド2の股下部M側とは反対側の端部域における側部域」とは、該端部域の横方向Yの両端及びその近傍を指し、より具体的には、前側パッド2の展開且つ最大伸長状態において、該端部域を横方向Yに三等分した場合の中央域を挟んで両側に位置する領域を指す。なお、
図2に示す形態では、「前側パッド2の股下部M側とは反対側の端部域における側部域」と前側パッド2の側部域2Sとが重複するが、例えば、該端部域自体の横方向Yの全長が
図2に示す形態よりも長い形態では、前者が後者よりも横方向Yの外方に位置し、両側部域どうしは重複しない。本発明にはこのような形態も包含される。
前記の「横方向Yに伸縮する」とは、非股下横方向伸縮部44が横方向Yに伸縮性を有することを指す。ここで言う「伸縮性」については前述したとおりであり、前側パッド2の股下横方向伸縮部13についての説明が適宜適用される。
【0037】
本発明に係る非股下横方向伸縮部44の構成は特に制限されず、例えば、前述した股下横方向伸縮部13の構成と同様とすることができる。
本実施形態の非股下横方向伸縮部44は、
図2及び
図3(a)に示すとおり、第1防漏シート41と、該第1防漏シート41に横方向Yに伸長状態で固定された非股下横方向弾性部材43とを含んで構成されており、前記1)及び3)を具備する。詳細には、本実施形態の第1防漏シート41は、二つ折りによって相対向した二枚の第1防漏シート41の間に複数の非股下横方向弾性部材43が縦方向Xに間欠配置されて構成されている。また非股下横方向弾性部材43は、前側パッド2の縦方向Xの股下部Mとは反対側の端部域における側部域に主として配されている間欠弾性部材43aと、前側パッド2の腹側部F側の端部域における一方の側部域から、中央域を通って他方の側部域まで連続して配されている連続弾性部材43bとからなる。連続弾性部材43bが前側パッド2の腹側部F側の端部域に配されていることによって、第1防漏シート41は着用状態において起立する。すなわち、非股下横方向伸縮部44は立体タイプになっている。
なお、前記の「前側パッド2の縦方向Xの股下部Mとは反対側の端部域における側部域に主として配されている」とは、弾性部材の横方向Yの全長の80%以上が後側パッド3の股下部M側の端部域における側部域に配置されていることを言う。
【0038】
次に、後側パッド3について説明する。
図5~7に示す後側パッド3は、その着用状態において着用者の背側に位置する背側部Rと、股下域に位置する股下部Mとを有する。股下部Mは、おむつ1の着用状態において着用者の尿等の排泄部に対向配置される。背側部Rは、おむつ1の着用状態において股下部Mよりも着用者のウエスト側に配される部位である。
後側パッド3は、おむつ1に対応して縦方向X及び横方向Yを有する。すなわち、後側パッド3の縦方向Xはおむつ1の縦方向Xと一致し、後側パッド3の横方向Yはおむつ1の横方向Yと一致している。後側パッド3は、背側部Rから股下部Mに延びる縦方向Xに延在している。
後側パッド3の股下部Mは、典型的には、展開且つ最大伸長状態の後側パッド3を縦方向Xに三等分した場合の股下側の三分の一の領域であり、残りが後側パッド3の背側部Rである。
【0039】
本実施形態では、後側パッド3は、液保持性の吸収体51を有する。吸収体51は、吸収性コア54を備えている。吸収性コア54は、例えば吸水性繊維を含み且つ吸水性ポリマーを非含有である積繊体又はシートであり得る。また吸収性コア54は、吸水性繊維又は吸水性ポリマーの粒子を含む積繊体であり得る。また吸収性コア54は、吸水性繊維を含む2枚のシート間に、吸水性ポリマーの粒子が保持されてなるシート材であり得る。
前記の「吸水性ポリマーを非含有」には、1)吸収性コアに吸水性ポリマーが全く含有されていない形態と、2)吸収性コアに極少量の吸水性ポリマーが含有されている形態とが含まれる。前記2)は、例えば、吸収性コアを製造する者の意に反して、吸収性コアに吸水性ポリマーが含有される場合、具体的には例えば、吸水性ポリマーに由来するポリマーの微小粒子などが吸収性コアに不可避的に混入する場合に発生する。前記2)の「極少量」とは、具体的には、吸収性コアにおける吸水性ポリマーの含有量が、吸収性コアの全質量に対して、10質量%以下を意味する。
前記の「積繊体」とは、典型的には、吸収性コアの形成材料を乾燥状態で堆積させる工程を経て製造されたものを指し、例えば、この種の吸収性コアの製造に従来使用されている積繊装置を用いて製造されたものが該当する。また、前記の「シート」とは、典型的には、吸収性コアの形成材料を空気流によって平面状に堆積させる工程を経て製造されたものを指し、例えば、エアレイド法により製造されたものが該当する。
吸水性繊維としては、上述した前側パッドの吸収性コア24における吸水性繊維と同様の構成材料を用いることができる。吸収性コア54における吸水性繊維として、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸収性コア24における吸水性繊維と、吸収性コア54における吸水性繊維とは、同種であってもよく、異種であってもよい。
【0040】
本実施形態では、吸収体51は、吸収性コア54と、該吸収性コア54の表面を被覆する液透過性のコアラップシート55とを含む。吸収体51においては、吸収性コア54の肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域が、コアラップシート55で覆われている。これに代えて、吸収性コア54は、その肌対向面のみがコアラップシート55で覆われていてもよい。吸収体51の輪郭(周縁)は、吸収性コア54の輪郭(周縁)と同一視できる。また、吸収体51はコアラップシート55を含んでいなくともよい。
本実施形態では、吸収体51(吸収性コア54)は
図5に示すとおり、平面視長方形形状をなし、縦方向Xに延在しており、その長手方向を展開且つ伸長状態におけるおむつ1の縦方向Xに一致させて、後側パッド3の横方向Yの中央に配置されている。
【0041】
本実施形態では、後側パッド3は、吸収体51を含む吸収性本体52を有する。吸収性本体52は、後側パッド3の体液吸収機能を発現し、後側パッド3の主体をなす部分であり、典型的には、吸収体51に加えて、吸収体51の肌対向面側に配置された肌側シートと、吸収体51の非肌対向面側に配置された非肌側シートとを含む。後述する防漏カフ61、第2防漏シート71、第3防漏シート81、ホルダ形成用部材101,102等の後側パッド3の構成部材は、吸収性本体52に固定されている。
【0042】
本実施形態の吸収性本体52は、
図6(b)に示すとおり、後側パッド3の肌対向面を形成する液透過性の表面シート53、後側パッド3の非肌対向面を形成する裏面シート57及びこれら表面シート53及び裏面シート57間に配された液保持性の吸収体51を含んでおり、これらが接着剤、融着等の公知の接合手段により一体化されて構成されている。表面シート53は前記「肌側シート」、裏面シート57は前記「非肌側シート」である。
【0043】
後側パッド3の吸収性本体52の構成部材としては、例えば前側パッド2の吸収性本体22の構成部材として例示したものを用いることができる。
後側パッド3の表面シート53の構成部材としては、例えば前側パッド2の表面シート23の構成部材として例示したものを用いることができる。
後側パッド3の裏面シート57の構成部材としては、例えば前側パッド2の裏面シート27の構成部材として例示したものを用いることができる。
【0044】
本実施形態では、後側パッド3は防漏カフ61,61を有する。防漏カフ61は、
図5及び
図6(b)に示すとおり、後側パッド3の肌対向面側において、吸収性本体52の縦方向Xに沿う両側部に沿って配されている。
防漏カフ61は、矩形状の防漏カフ形成用シート62と、縦方向Xに伸縮可能なカフ弾性部材63とを含んで構成されている。防漏カフ61は、1枚の防漏カフ形成用シート62を二つ折りにし、相対向した二枚の防漏カフ形成用シート62どうしを接合することによって形成されている。相対向した二枚の防漏カフ形成用シート62の間には、カフ弾性部材63が1本以上縦方向Xに伸縮可能に配されている。
防漏カフ61は、自由端部と、表面シート53及び裏面シート57に接着剤等で固定された固定端部と、を有している。前記自由端部は横方向Yの外方を向いており、これに起因して、防漏カフ61は横方向Yの外方に向けての倒伏性向を有している。前記固定端部を含む、防漏カフ形成用シート62における吸収体51よりも横方向Yの外方に位置する部分は、両シート53,57とともに、後述するサイドフリル部SFを構成している。防漏カフ61は、伸長状態で配されたカフ弾性部材63が収縮することによって、少なくとも股下部Mで起立し、便等の排泄液の横方向Y外方への流出を阻止する。なお、防漏カフ61が着用状態において起立することを明示するために、
図6(b)においては防漏カフ61が起立した状態で示されている。
【0045】
本実施形態では、後側パッド3は一対のサイドフリル部SF,SFを有する。サイドフリル部SFは、吸収体51の縦方向Xに沿う両側縁及び該両側縁の仮想延長線の双方から横方向Yの外方に延出するシート部材からなる部分であり、吸収性本体52の縦方向Xに沿う側部域(吸収性コア54の非配置領域)をなしている。サイドフリル部SFを構成するシート部材は、背側部Rから股下部Mに延在しており、吸収体51の両側縁それぞれから横方向Y外方に延出した延出部において、接着剤、融着等の公知の接合手段によって互いに接合されている。本実施形態では、サイドフリル部SFを構成するシート部材は、
図6に示すとおり、表面シート53、裏面シート57及び後述する防漏カフ形成用シート62である。
【0046】
本実施形態では、後側パッド3は、縦方向Xに沿う側部域3Sそれぞれに縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部66を有する。ここで言う「縦方向Xに伸縮する」の意味は前述のとおりであり、前側パッド2の縦方向伸縮部36についての説明が適宜適用される。また、後側パッドの側部域3Sについては、前述したとおり、前記の「前側パッドの縦方向に沿う側部域」についての説明が適宜適用される。
【0047】
後側パッド3は、縦方向伸縮部66として、前述した防漏カフ61と、レッグカフ65とを有する。
防漏カフ61において縦方向伸縮部66として実質的に機能する部位は、カフ弾性部材63の配置位置及びその周囲(典型的には該配置位置から横方向Yに10mmまでの領域)である。
レッグカフ65は、
図5及び
図6(b)に示すとおり、一対のサイドフリル部SF,SFそれぞれに配されており、縦方向Xに延びる1本以上のレッグ弾性部材64を含んで構成されている。レッグ弾性部材64は、サイドフリル部SFを構成するシート部材(図示の形態では、防漏カフ形成用シート62及び裏面シート57)に伸長状態で固定されている。
【0048】
後側パッド3は、側部域3Sに縦方向伸縮部66を有するため、装着時に後側パッド3の縦方向Xの長さを着用者の身体、特に脚回りのサイズに合わせて調節可能であり、おむつ1のフィット性を高めることができる。特に本実施形態のように、縦方向伸縮部66が防漏カフ61及びレッグカフ65であると、斯かる効果をより高められる。
【0049】
本実施形態では、
図5及び
図6(c)に示すとおり、後側パッド3の股下部M側の端部域、すなわち後側パッド3の股下部M側の縦方向X端3X1及びその近傍に第2防漏シート71が配されている。第2防漏シート71は、吸収性本体52の肌対向面にある防漏カフ61及びレッグカフ65に固定され、後側パッド3の肌対向面の一部を形成している。すなわち第2防漏シート71は、後側パッド3の厚み方向において表面シート53(肌側シート)よりも肌対向面側に配されている。第2防漏シート71は平面視で矩形形状をなし、その長手方向は後側パッド3の横方向Yと一致する。図示の形態では、第2防漏シート71は、1枚のシートが縦方向Xに二つ折りにされたもので二層構造を有している。
図5に示すとおり、第2防漏シート71の股下部M側の縦方向Xの外方端71X1は、後側パッド3の股下部M側の縦方向X端3X1の近傍で且つ該縦方向X端3X1よりも縦方向Xの内方にある。また
図5及び6(c)に示すとおり、第2防漏シート71の横方向Yの両端は裏面シート57及び防漏カフ形成用シート62の横方向Yの両端(縦方向Xに沿う両側縁)の近傍で且つ該両端よりも横方向Yの内方にある。
なお、後側パッド3における第2防漏シート71の位置はこれに限られない。例えば、第2防漏シート71の縦方向Xの外方端71X1は、後側パッド3の股下部M側の縦方向X端3X1と一致していてもよい。また第2防漏シート71の横方向Yの両端は、裏面シート57及び防漏カフ形成用シート62の横方向Yの両端と一致していてもよいし、裏面シート57及び防漏カフ形成用シート62の横方向Yの両端よりも横方向Yの外方にあってもよい。
第2防漏シート71は、側部域Sにおいては防漏カフ形成用シート62の肌対向面に接着剤等によって固定されている。
【0050】
後側パッド3は、股下部M側の端部域における少なくとも側部域に、横方向Yに伸縮する股下横方向伸縮部73を有する。
前記の「後側パッド3の股下部M側の端部域」とは、後側パッド3の股下部M側の縦方向X端3X1及びその近傍を指し、より具体的には、後側パッド3の展開且つ最大伸長状態において、後側パッド3の縦方向X端から縦方向Xの内方に、後側パッド3の縦方向Xの全長の好ましくは30%、より好ましくは20%にわたる領域を指す。
前記の「後側パッド3の股下部M側の端部域における側部域」とは、該端部域の横方向Yの両端及びその近傍を指し、より具体的には、後側パッド3の展開且つ最大伸長状態において、該端部域を横方向Yに三等分した場合の中央域を挟んで両側に位置する領域を指す。なお、
図5に示す形態では、「後側パッド3の股下部M側の端部域における側部域」と後側パッド3の側部域3Sとが重複するが、例えば、該端部域自体の横方向Yの全長が
図5に示す形態よりも長い形態では、前者が後者よりも横方向Yの外方に位置し、両側部域どうしは重複しない。本発明にはこのような形態も包含される。
前記の「横方向Yに伸縮する」とは、股下横方向伸縮部73が横方向Yに伸縮性を有することを指す。ここで言う「伸縮性」については前述したとおりである。また、「横方向Yに伸縮する」は、股下横方向伸縮部73の伸縮方向が横方向Yと完全に一致する形態と、股下横方向伸縮部73の伸縮方向が横方向Yと完全には一致しないが実質的に一致する形態との両方が包含される。後者の形態において、股下横方向伸縮部73の伸縮方向と横方向Yとのなす角度は、好ましくは45度未満、より好ましくは30度以下、更に好ましくは15度以下である。
【0051】
本発明に係る股下横方向伸縮部73の構成は特に制限されず、例えば、前述した股下横方向伸縮部13の構成と同様とすることができる。
本実施形態の股下横方向伸縮部73は、
図5及び
図6(c)に示すとおり、第2防漏シート71と、該第2防漏シート71に横方向Yに伸長状態で固定された股下横方向弾性部材72とを含んで構成されており、前記1)及び3)を具備する。詳細には、本実施形態の第2防漏シート71は、二つ折りによって相対向した二枚の第2防漏シート71の間に複数の股下横方向弾性部材72が縦方向Xに間欠配置されて構成されている。また股下横方向弾性部材72は、主として後側パッド3の股下部M側の端部域における側部域に配置されている間欠弾性部材72aと、後側パッド3の股下部M側の端部域における一方の側部域から、中央域を通って他方の側部域まで連続して配されている連続弾性部材72bとからなる。連続弾性部材72bが後側パッド3の股下部M側の端部域に配されていることによって、第2防漏シート71は着用状態において起立する。すなわち、股下横方向伸縮部73は立体タイプになっている。
なお、前記の「主として後側パッド3の股下部M側の端部域における側部域に配置されている」とは、弾性部材の横方向Yの全長の80%以上が後側パッド3の股下部M側の端部域における側部域に配置されていることを言う。
【0052】
本実施形態では、
図5及び6(a)に示すとおり、後側パッド3の股下部Mとは反対側の端部域、すなわち後側パッド3の背側部R側の縦方向X端3X2及びその近傍に第3防漏シート81が配されている。第3防漏シート81は、後側パッド3の肌対向面の一部を形成している。第3防漏シート81は平面視で矩形形状をなし、その長手方向は後側パッド3の横方向Yと一致する。図示の形態では、第3防漏シート81は、1枚のシートが縦方向Xに二つ折りされたもので二層構造を有している。
【0053】
本実施形態では、
図5、
図6(a)及び
図7に示すとおり、後側パッド3は、股下部Mとは反対側の端部域、すなわち後側パッド3の背側部R側の縦方向X端3X2及びその近傍において、表面シート53及び裏面シート57から横方向Yの左側の外方に延出する左側ホルダ形成用部材101及び横方向Yの右側の外方に延出する右側ホルダ形成用部材102を有する。ホルダ形成用部材101,102は、第3防漏シート81と重なる部分を除いて、後側パッド3の肌対向面の一部を形成している。
左側ホルダ形成用部材101及び右側ホルダ形成用部材102はそれぞれ、1枚の二つ折りにされた側方延出シート103,103を含む。側方延出シート103は平面視矩形形状をなし、その長手方向は後側パッド3の横方向Yと一致する。図示の形態では、側方延出シート103は、1枚のシートが縦方向Xに二つ折りにされたもので二層構造を有している。側方延出シート103は、その横方向Yの内方端縁が裏面シート57に接着剤等で固定され、それ以外の部分は裏面シート57よりも横方向Yの外方に延出している。また、側方延出シート103の縦方向Xの外方端103X1及びその仮想延長線は、後側パッド3の背側部Rにおける縦方向X端3X2及びその仮想延長線よりも縦方向Xの内方にある。
なお、側方延出シート103の縦方向Xの外方端103X1及びその仮想延長線と、後側パッド3の背側部Rにおける縦方向X端3X2及びその仮想延長線と、の位置関係はこれに限定されず、例えば両者は一致していてもよい。
【0054】
図6(a)に示すとおり、左右の側方延出シート103の非肌対向面側には、使用者がホルダ形成用部材101,102の位置を把握しやすくする目的で、周辺部の他シートとは色が異なるカラーシート106,106が配されている。典型的には、おむつ1の構成部材は白色であり、カラーシート42は白色以外の色、例えば、青色、赤色などである。
【0055】
右側ホルダ形成用部材102は、側方延出シート103及びカラーシート106に加えて、補助シート105及び該補助シート105の肌対向面に固定されたホルダ止着部107を含む。ホルダ止着部107としては、機械的面ファスナー又は粘着剤等を用いることができる。機械的面ファスナーの具体例としてはマジックテープ(登録商標)等が挙げられる。左右のホルダ形成用部材101,102を、右側ホルダ形成用部材102に配されたホルダ止着部107を介して連結することによって、着用者の腰回りに配置される環状のホルダ110(
図8参照)が形成される。
補助シート105は側方延出シート103の肌対向面側に配されており、側方延出シート103から横方向Yの外方に延出している。
【0056】
左側ホルダ形成用部材101は、側方延出シート103及びカラーシート106に加えて、被止着シート104及び補助シート105を含む。被止着シート104は、右側ホルダ形成用部材102のホルダ止着部107を止着する被止着領域(図示せず)を非肌対向面に有するシートであり、例えば不織布を材料とすることによって、被止着シート104の非肌対向面全域を被止着領域とすることができる。被止着シート104は側方延出シート103の非肌対向面に配されており、側方延出シート103から横方向Yの外方に延出している。
補助シート105は被止着シート104の強度を増加させ、中折れ等を防止するためのシートである。補助シート105は側方延出シート103の肌対向面に配されており、側方延出シート103から横方向Yの外方に延出している。被止着シート104の肌対向面及び補助シート105の非肌対向面は、接着剤等で固定されている。
【0057】
後側パッド3は、縦方向Xの股下部Mとは反対側の端部域における少なくとも側部域に、横方向Yに伸縮する非股下横方向伸縮部91を有することが好ましい。
前記の「縦方向Xの股下部Mとは反対側の端部域」とは、後側パッド3の背側部R側の縦方向X端3X2及びその近傍を指し、より具体的には、後側パッド3の展開且つ最大伸長状態において、後側パッド3の縦方向X端から縦方向Xの内方に、後側パッド3の縦方向Xの全長の好ましくは30%、より好ましくは25%にわたる領域を指す。
前記の「後側パッド3の股下部M側とは反対側の端部域における側部域」とは、該端部域の横方向Yの両端及びその近傍を指し、より具体的には、後側パッド3の展開且つ最大伸長状態において、該端部域を横方向Yに三等分した場合の中央域を挟んで両側に位置する領域を指す。なお、
図5に示す形態では、「後側パッド3の股下部M側とは反対側の端部域における側部域」と後側パッド3の側部域3Sとが重複するが、例えば、該端部域自体の横方向Yの全長が
図5に示す形態よりも長い形態では、前者が後者よりも横方向Yの外方に位置し、両側部域どうしは重複しない。本発明にはこのような形態も包含される。
前記の「横方向Yに伸縮する」とは、横方向Yに伸縮性を有することを指す。ここで言う「伸縮性」については前述したとおりであり、後側パッド3の股下横方向伸縮部73についての説明が適宜適用される。
【0058】
本発明に係る非股下横方向伸縮部91の構成は特に制限されず、例えば、前述した股下横方向伸縮部13の構成と同様とすることができる。
本実施形態の非股下横方向伸縮部91は、
図5及び
図6(a)に示すとおり、第3防漏シート81と、非股下横方向弾性部材92とを含んで構成されており、前記1)及び3)を具備する。詳細には、本実施形態の非股下横方向弾性部材92は、側方延出シート103に横方向Yに伸長状態で固定されたホルダ弾性部材92aと、第3防漏シート81に横方向Yに伸長状態で固定された第3防漏シート弾性部材92bとからなる。側方延出シート103は、二つ折りによって相対向した二枚の側方延出シート103の間に複数のホルダ弾性部材92aが縦方向Xに間欠配置されて構成されている。また第3防漏シート81は、二つ折りによって相対向した二枚の第3防漏シート81の間に複数の第3防漏シート弾性部材92bが縦方向Xに間欠配置されて構成されている。第3防漏シート弾性部材92bが後側パッド3の背側部R側の端部域に配されていることによって、第3防漏シート81は着用状態において起立する。すなわち、非股下横方向伸縮部91は立体タイプになっている。
【0059】
後側パッド3の股下部Mには、前側パッド2の股下部Mに設けられた被止着領域に止着可能な股下止着部74が設けられていることが好ましい。股下止着部74が設けられている場合、股下止着部74は、横方向Yに延びていることが好ましい。この股下止着部74は、機械的面ファスナーのオス部材を肌対向面に有していることが好ましい。また股下止着部74の横方向Yの両側縁よりも外方の位置に、一対の股下横方向伸縮部73,73が形成されていることが好ましい。
【0060】
本実施形態のおむつ1においては、
図5及び
図6(c)に示すとおり、後側パッド3の第2防漏シート71の肌対向面側に、前側パッド2の非肌対向面側に設けられた被止着領域(図示せず)に止着可能な股下止着部74が設けられている。股下止着部74を介することで、前側パッド2及び後側パッド3を、着用者の股下域において連結することができるようになっている。
股下止着部74としては、ホルダ止着部107と同様のものを用いることができる。また、本実施形態では裏面シート27が不織布からなっているので、裏面シート27の非肌対向面の全域が被止着領域となっている。
【0061】
股下止着部74の横方向Yの両側縁よりも外方の位置には、一対の股下横方向伸縮部73,73が形成されていることが好ましい。
本実施形態のおむつ1においては、股下止着部74の横方向Yの両側縁よりも外方の位置に、間欠弾性部材72a,72aが配されていることに起因して、同位置に一対の股下横方向伸縮部73,73が形成されている。このため、前側パッド2及び後側パッド3を着用者の股下域で連結した状態にして着用した場合に、一対の股下横方向伸縮部73,73が収縮し、着用者の股下域によりフィットするようになっている。
【0062】
股下止着部74を介した前側パッド2と後側パッド3との連結強度を十分に高める観点から、股下止着部74は、後側パッド3の股下部M側の縦方向X端3X1から好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下、更に好ましくは5mm以下離間している。
また後側パッド3の表面シート53を前側パッド2で被覆して、後側パッド3の吸収有効面を塞いでしまうことを阻止する観点から、股下止着部74は、後側パッド3の背側部R側の縦方向X端3X2から200mm以上離間していることが好ましい。
【0063】
本実施形態のおむつ1は、股下止着部74に加えて、前側パッド2及び後側パッド3を着用者の腰周りで連結するための別の止着部を有している。詳細には、
図2及び
図3(a)に示すとおり、前側パッド2の第1防漏シート41の肌対向面側における、横方向Yの両側部域にはサイド止着部45,45が配されており、横方向Yの中央域には中央止着部46が配されている。前側パッド2は、これらの止着部45,45,46を介して、後側パッド3の左側ホルダ形成用部材101及び右側ホルダ形成用部材102の非肌対向面側に設けられた被止着領域(図示せず)に止着するようになっている。止着部45,46としては、ホルダ止着部107と同様のものを用いることができる。また、本実施形態では左側ホルダ形成用部材101及び右側ホルダ形成用部材102の非肌対向面を形成する側方延出シート103、被止着シート104、補助シート105及びカラーシート106が不織布からなっているので、左側ホルダ形成用部材101及び右側ホルダ形成用部材102の非肌対向面の全域が被止着領域となっている。
図3(a)に示すとおり、第1防漏シート41においてその肌対向面側にサイド止着部45,45が配されている部位には、その非肌対向面側に周辺部の他のシートとは色の異なるカラーシート42,42が配されている。典型的には、おむつ1の構成部材は白色であり、カラーシート42は白色以外の色、例えば、青色、赤色などである。これによって、おむつ1の使用者がサイド止着部45,45の位置を把握しやすいようになっている。
【0064】
おむつ1は例えば
図8に示す手順で着用することができる。まず、後側パッド3の左側ホルダ形成用部材101と右側ホルダ形成用部材102とを着用者の腰に回し、両ホルダ形成用部材101,102の両端を、着用者の腹側においてホルダ止着部107を介して結合することによって、環状のホルダ110を形成する(
図8(a))。次いで、後側パッド3のホルダ110と前側パッド2とを、前側パッド2の第1防漏シート41に配されたサイド止着部45,45及び中央止着部46を介して、前側パッド2の肌対向面と後側パッド3の非肌対向面が対向するように連結する(
図8(b))。最後に、前側パッド2の股下部M側の端部域と後側パッド3の股下部M側の端部域とを、後側パッド3の股下止着部74を介して着用者の股下域で連結することで、おむつ1を着用することができる(
図8(c))。
図9及び
図10には、
図8(c)に示す状態から前側パッド2と後側パッド3のホルダ110との連結のみを解除した状態、すなわち、前側パッド2と後側パッド3とが両者の股下部M側の端部域で連結した状態が示されている。
図8に示す実施形態においては、着用者の股下域において前側パッド2が後側パッド3よりも着用者の肌に近い側に配されているが、これに代えて、後側パッド3が前側パッド2よりも着用者の肌に近い側に配されていてもよい。
【0065】
おむつ1は、前述した構成を有するため、股下域におけるフィット性に優れる。具体的には、前側パッド2が股下部M側の端部域における少なくとも側部域に股下横方向伸縮部13を有し、また、後側パッド3が股下部M側の端部域における少なくとも側部域に股下横方向伸縮部73を有するため、前側パッド2と後側パッド3とを着用者の股下域において連結した際に、股下域の横方向Yの端部域のめくれ上がりを抑制可能ことができるため、着用者の股下域におけるおむつ1のフィット性を向上させることができる。したがって、おむつ1は股下域におけるフィット性に優れている。これに加えて、排泄が生じた場合も、排泄物を股下域の横方向Yの端部域で2重のせき止めをすることができるため、着用者の股下域における排泄物の漏れも抑制することが可能である。
このような股下横方向伸縮部13,73による作用効果は、前側パッド2及び後側パッド3の少なくとも一方が、股下部M側の端部域における少なくとも側部域に股下横方向伸縮部13,73を有することによって奏されるが、本実施形態のように、前側パッド2及び後側パッド3の両方が、股下部M側の端部域における少なくとも側部域に股下横方向伸縮部13,73を有することがより好ましい。
【0066】
特に本実施形態は、前側パッド2の股下横方向伸縮部13が、おむつ1の着用時に着用者の身体側に起立しない非立体タイプの伸縮部であるため、着用時の違和感が少なく、股下域におけるフィット性に特に優れる。
【0067】
また本実施形態では、後側パッド3の股下横方向伸縮部73が、おむつ1の着用時に着用者の身体側に起立する立体タイプの伸縮部であり、且つおむつ1の着用時には、股下横方向伸縮部73は股下横方向伸縮部13又はその近傍の非肌対向面側に配されるため(
図9、10参照)、おむつ1の着用中、股下横方向伸縮部13が、起立する股下横方向伸縮部73によって着用者の肌側に押し付けられる状態となり、股下横方向伸縮部13が着用者の肌にフィット性良く密着し得る。更に、おむつ1の着用状態において、後側パッド3の股下部Mに排泄された排泄物は、股下横方向伸縮部73が起立することによって生じる、第2防漏シート71と表面シート53との間の空間に収容され得る。それによって、おむつ1から排泄物が漏れ出してしまうことを従来よりも抑制することがでる。
【0068】
前側パッド2の股下横方向伸縮部13及び後側パッド3の股下横方向伸縮部73によって奏される前述の効果をより確実に得る観点から、前側パッド2の股下横方向伸縮部13及び後側パッド3の股下横方向伸縮部73は、それぞれ独立に、横方向Yの伸長率が好ましくは110%以上、より好ましくは120%以上、更に好ましくは125%以上、そして、好ましくは160%以下、より好ましくは150%以下、更に好ましくは145%以下である。
股下横方向伸縮部13,73の横方向Yの伸長率は、下記方法により測定することができる。
【0069】
〔伸長率の測定方法〕
まず、吸収性物品を自然状態にして、伸長率の測定部位(例えば、おむつ1の股下横方向伸縮部13)の肌対向面又は非肌対向面を構成するシート部材に、伸縮方向である横方向Yに20mmの間隔を空けて2つの印を付ける。次に、このシート部材を最大に伸長させた状態で、前記2つの印間の距離を伸長距離(mm)として測定する。そして、次式(1)より、測定部位の伸長率を求める。
測定部位の伸長率(%)=〔伸長距離(mm)/20(mm)〕×100・・・(1)
【0070】
前側パッド2及び後側パッド3のいずれについても、自然状態における股下部M側の端部域の横方向Yの長さが、展開且つ最大伸長状態における股下部M側の端部域の横方向Yの長さよりも短いことが好ましい。おむつ1がこのような構成を有していることによって、おむつを装着するときには、横方向Yの長さが十分広くなるため、手指でおむつ端部を把持しやすくなり、装着性がより一層向上する。そして、おむつ着用後は、前側パッド2及び後側パッド3それぞれの股下部M側の端部域における横方向Yの長さが着用者の股下域に合わせて適切位置に自然収縮するため、おむつ1のフィット性がより一層優れるものになる。
本実施形態のおむつ1は、前側パッド2が股下横方向伸縮部13を有し、後側パッド3が股下横方向伸縮部73を有しているため、自然状態において股下横方向伸縮部13,73が横方向Yに収縮し、股下部M側の端部域の横方向Yの長さが展開且つ最大伸長状態のときよりも短くなる。
【0071】
前述のとおり、本実施形態のおむつ1は、前側パッド2と後側パッド3のいずれについても、縦方向Xの股下部Mとは反対側の端部域における少なくとも側部域に、非股下横方向伸縮部44,91を有し、且つ縦方向Xに沿う側部域2S,3Sそれぞれに縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部36,66を有している。おむつ1がこのような構成を有することによって、両パッド2,3の股下部Mから横方向Yの外方への、便等の排泄液の流出を阻止することに加えて、前側パッド2の腹側部Fの側部域2S、及び後側パッド3の背側部Rの側部域3Sからの便等の排泄液の流出を阻止することができる。
【0072】
上述の効果をより高める観点から、前側パッド2の非股下横方向伸縮部44は、横方向Yの伸長率が好ましくは120%以上、より好ましくは130%以上、更に好ましくは135%以上、そして、好ましくは170%以下、より好ましくは160%以下、更に好ましくは155%以下である。
また同様の観点から、後側パッド3の非股下横方向伸縮部91は、横方向Yの伸長率が好ましくは150%以上、より好ましくは170%以上、更に好ましくは180%以上、そして、好ましくは300%以下、より好ましくは280%以下、更に好ましくは270%以下である。
非股下横方向伸縮部44,91の横方向Yの伸長率は、股下横方向伸縮部13,73の横方向Yの伸長率と同様の方法で測定することができる。
【0073】
おむつ1は、横方向伸縮部及び縦方向伸縮部に周囲を囲まれた吸収領域が、縦方向Xに沿って2つ並ぶように、前側パッド2と後側パッド3とを連結可能であることが好ましい。
前側パッド2における前記「横方向伸縮部及び縦方向伸縮部に周囲を囲まれた吸収領域」とは、股下横方向伸縮部13及びその横方向Yの仮想延長線、非股下横方向伸縮部44及びその横方向Yの仮想延長線、並びに縦方向伸縮部36及びその縦方向Xの仮想延長線によって囲まれた領域である(
図2参照)。
同様に、後側パッド3における前記「横方向伸縮部及び縦方向伸縮部に周囲を囲まれた吸収領域」とは、股下横方向伸縮部73及びその横方向Yの仮想延長線、非股下横方向伸縮部91及びその横方向Yの仮想延長線、並びに縦方向伸縮部66及びその縦方向Xの仮想延長線によって囲まれた領域である(
図5参照)。
【0074】
本実施形態においては、
図9及び
図10に示すとおり、前側パッド2は横方向伸縮部13,44及び縦方向伸縮部66に周囲を囲まれた吸収領域48を有し、後側パッド3は横方向伸縮部13,44及び縦方向伸縮部66に周囲を囲まれた吸収領域108を有する。また前側パッド2及び後側パッド3は、前側パッド2に配されたサイド止着部45,45及び中央止着部46、並びに後側パッド3に配されたホルダ止着部107を介して連結可能になっている。そして、前側パッド2の股下部M側の端部域と後側パッド3の股下部M側の端部域とを、後側パッド3の股下止着部74を介して着用者の股下域で連結することによって、前側パッド2の吸収領域48と、後側パッド3の吸収領域108とが縦方向Xに沿って2つ並ぶように両パッド2,3を連結可能である。
本実施形態のおむつ1が斯かる構成になっていることによって、前側パッド2及び後側パッド3それぞれに不連続に形成された吸収領域48と吸収領域108とが、略一体化した吸収領域を形成するため、おむつ1が尿や便等の排泄液をより一層安定的に吸収可能となる。
【0075】
おむつ1においては、
図9に示すとおり、前側パッド2の股下横方向伸縮部13と、後側パッド3の股下横方向伸縮部73との縦方向Xにおける位置に重なりがあるように、前側パッド2と後側パッド3とを連結可能であることが好ましい。また、
図10に示すとおり、前側パッド2の股下横方向伸縮部13と、後側パッド3の股下横方向伸縮部73との縦方向Xにおける位置に重なりがないように、前側パッド2と後側パッド3とを連結可能であることも好ましい。
本実施形態においては、前側パッド2の裏面シート27が不織布からなっているため、前側パッド2の非肌対向面の全域が被止着領域となっている。これに起因して、前側パッド2と後側パッド3とを後側パッド3に配された股下止着部74を介して連結する際に、前側パッド2及び後側パッド3の縦方向Xにおける重なり位置を自由に調節可能になっている。前側パッド2及び後側パッド3の縦方向Xにおける重なり位置を調整することによって、例えば
図9に示すとおり、前側パッド2の股下横方向伸縮部13と、後側パッド3の股下横方向伸縮部73との縦方向Xにおける位置に重なりがあるように、前側パッド2と後側パッド3とを連結することができる。また
図10に示すとおり、前側パッド2の股下横方向伸縮部13と、後側パッド3の股下横方向伸縮部73との縦方向Xにおける位置に重なりがないように、前側パッド2と後側パッド3とを連結することもできる。
【0076】
図9に示すとおり、前側パッド2の股下横方向伸縮部13と、後側パッド3の股下横方向伸縮部73との縦方向Xにおける位置に重なりがあるように、前側パッド2と後側パッド3とを連結可能であることによって、着用者の股下域において、前側パッド2の股下横方向伸縮部13と後側パッド3の股下横方向伸縮部73とが互いに一層近接するようになる。このことに起因して、股下横方向伸縮部13の伸縮力を最大限活かすことができ、おむつ1の着用者の股下域におけるフィット性を向上させることができる。
また
図10に示すとおり、前側パッド2の股下横方向伸縮部13と、後側パッド3の股下横方向伸縮部73との縦方向Xにおける位置に重なりがないように、前側パッド2と後側パッド3とを連結可能であることによって、着用者の股下域において、股下横方向伸縮部13の伸縮力が有効に働く面積を広く確保することができ、おむつ1の着用者の股下域におけるフィット性を向上させるとともに、股下部Mからの便等の排泄液の横方向Y外方への流出を阻止することができる。
【0077】
前側パッド2の股下横方向弾性部材12は、該パッド2の厚み方向において肌側シートよりも非肌対向面側に配されており、後側パッド3の股下横方向弾性部材72は、該パッド3の厚み方向において肌側シートよりも肌対向面側に配されていることが好ましい。
前記「肌側シート」とは、吸収体の肌対向面側に配置されたシートであり、前記「非肌側シート」とは、吸収体の非肌対向面側に配置されたシートである。
【0078】
本実施形態では、
図3(b)に示すとおり、前側パッド2は肌側シートとして表面シート23及びサブレイヤーシート26を備えている。
図2及び
図3(c)に示すとおり、前側パッド2の股下横方向伸縮部13には股下横方向弾性部材12が、前側パッド2の厚み方向において表面シート23よりも非肌対向面側に配されている。
また
図6(b)に示すとおり、後側パッド3は肌側シートとして表面シート53を備えている。
図5及び
図6(c)に示すとおり、後側パッド3の股下横方向伸縮部73には股下横方向弾性部材72が、後側パッド3の厚み方向において表面シート53よりも肌対向面側に配されている。
【0079】
前側パッド2及び後側パッド3の股下横方向弾性部材12,72の厚み方向の位置が上述のとおりになっていることによって、前側パッド2の股下横方向伸縮部13と後側パッド3の股下横方向伸縮部73とが重なるように、且つ着用者の股下域において前側パッド2が後側パッド3よりも着用者の肌に近い側に配されるように前側パッド2と後側パッド3とを連結しておむつ1を着用した状態において、股下横方向弾性部材12,72の厚み方向の位置が、着用者の股下域において両パッド2,3が接する面により近くなる。このことに起因して、股下横方向伸縮部13の伸縮力を最大限活かすことができ、おむつ1の着用者の股下域におけるフィット性を向上させることができる。また、後側パッド3の股下横方向弾性部材72が表面シート53よりも肌対向面側に配されているため、股下横方向伸縮部73を構成する第2防漏シート71によって、着用者の便の漏れをより効果的に防止することができる。
また上述のとおりにおむつ1を着用した状態において、後側パッド3の股下部M側の端部域における側部域が、前側パッド2から離れる方向に起立するようになる。すなわちおむつ1を着用した状態では、後側パッド3は、その横方向Y及び厚み方向に沿う断面視において、横方向Yの両側に前側パッド2に向けて一対の凸部を有するとともに、その一対の凸部の間に前側パッド2とは反対側に向けて凸の凹部を有するところ、前記の「後側パッド3の股下部M側の端部域における側部域の、前側パッド2から離れる方向に起立した部位」(側部起立部)は、該一対の凸部それぞれの頂部(前側パッド2に近接する部位)よりも横方向Yの外方に位置する部位であり、該頂部は、該側部起立部の起立の起点となる部位である。この後側パッド3の側部起立部を引っ張ることで、前側パッド2が後側パッド3から容易に分離できるため、前側パッド2を取り換える操作がより容易に行えるようになる。
【0080】
おむつ1の前側パッド2及び後側パッド3が着用者の腰周りで連結可能であり、両パッド2,3を着用者の股下域及び腰周りで連結して装着した状態から、両パッド2,3の前記股下域での連結を維持しつつ、両パッド2,3の前記腰周り域での連結を解除したときに、前側パッド2の股下部M側の端部域が後側パッド3から自然と離間することが好ましい。
【0081】
本実施形態においては、上述のとおり、前側パッド2及び後側パッド3が止着部45,45,46を介して着用者の腰周りで連結可能になっている。また、前側パッド2及び後側パッド3は股下横方向伸縮部13,73を有しているため、股下部M側の端部域における少なくとも側部域には、おむつ1の着用時において収縮力が働いている。このことに起因して、両パッド2,3を着用者の股下域及び腰周りで連結して装着した状態から、両パッド2,3の前記股下域での連結を維持しつつ、両パッド2,3の前記腰周り域での連結を解除したときに、前側パッド2が後側パッド3から自然と離間するようになっている。
おむつ1が上述の構成を有していることで、前側パッド2の取り換え作業がより容易になる。
【0082】
次に、上述の各弾性部材及び各伸縮部の好ましい位置関係について説明する。
図11(a)~(d)には、本発明の好ましい実施形態の前側パッド2のA部(
図2参照)が模式的に示されている。なお、
図11(a)~(d)においては、各弾性部材及び伸縮部以外の図示が省略されている。
図11(a)~(d)に示す前側パッド2は、縦方向伸縮部36と、股下横方向伸縮部13とを有する。縦方向伸縮部36は縦方向Xに延在しており、股下横方向伸縮部13は横方向Yに延在している。縦方向伸縮部36には縦方向弾性部材37が配され、股下横方向伸縮部13には股下横方向弾性部材12が配されている。縦方向弾性部材37は長手方向(縦方向X)に伸長状態で固定されている伸縮部4と、非伸長状態で固定されている非伸縮部5とを有している。また股下横方向弾性部材12も同様に、長手方向(横方向Y)に伸長状態で固定されている伸縮部4と、非伸長状態で固定されている非伸縮部5とを有している。
【0083】
一実施形態において、おむつ1の前側パッド2は、縦方向Xに沿う側部域2Sそれぞれに、縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部36を有し、且つ縦方向Xにおける股下部M側において、縦方向伸縮部36と股下横方向伸縮部13とが重なっていることが好ましい。
図11(a)に示す実施形態では、前側パッド2は防漏カフ31及びレッグカフ35から構成される縦方向伸縮部36を有している。また該縦方向伸縮部36は、縦方向Xにおける股下部M側において、股下横方向伸縮部13と重なっている。
前側パッド2が縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部36を有し、且つ縦方向Xにおける股下部M側において、縦方向伸縮部36と股下横方向伸縮部13とが重なっていることによって、股下部M側の端部域における側部域において、肌対抗面側に向かう方向に働く装着圧がより一層効果的に作用するようになり、おむつ1のフィット性がより一層優れるものとなる、という効果が得られる。特に本実施形態のように、縦方向伸縮部36が防漏カフ31及びレッグカフ35であると、斯かる効果をより高められる。
同様の観点から、後側パッド3は、縦方向Xに沿う側部域3Sそれぞれに、縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部66を有し、且つ縦方向Xにおける股下部M側において、縦方向伸縮部66と股下横方向伸縮部73とが重なっていることが好ましい。また縦方向伸縮部66が防漏カフ61及びレッグカフ65であることがより好ましい。
斯かる作用効果は、前側パッド2及び後側パッド3の少なくとも一方が、縦方向Xに沿う側部域2S,3Sそれぞれに、縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部36,66を有し、且つ縦方向Xにおける股下部M側において、縦方向伸縮部36,66と股下横方向伸縮部13,73とが重なっていることによって奏されるが、
図11(a)に示す実施形態のように、前側パッド2及び後側パッド3の両方が、縦方向Xに沿う側部域2S,3Sそれぞれに、縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部36,66を有し、且つ縦方向Xにおける股下部M側において、縦方向伸縮部36,66と股下横方向伸縮部13,73とが重なっていることが一層好ましい。
【0084】
一実施形態において、前側パッド2は、縦方向Xに沿う側部域2Sそれぞれに縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部36(具体的には防漏カフ31及びレッグカフ35)を有し、縦方向伸縮部36には、縦方向弾性部材37(具体的にはカフ弾性部材33及びレッグ弾性部材34)が縦方向Xに伸縮可能に配され、股下横方向伸縮部13には、股下横方向弾性部材12が横方向Yに伸縮可能に配され、縦方向弾性部材37及び股下横方向弾性部材12は、それぞれの長手方向の端部に非伸縮部5を有し、股下部M側に、縦方向弾性部材37の非伸縮部5と股下横方向弾性部材12の非伸縮部5とが重なった非伸縮重なり部6を有することが好ましい。
前記「縦方向Xに伸縮可能に配され」とは、縦方向Xに伸長した状態で周囲の部材に固定されていることを指す。これによって、縦方向弾性部材37の配置位置及びその周囲が縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部36となっている。
同様に、前記「横方向Yに伸縮可能に配され」とは、横方向Yに伸長した状態で周囲の部材に固定されていることを指す。これによって、股下横方向弾性部材12の配置位置及びその周囲が縦方向Xに伸縮する股下横方向伸縮部13となっている。
前記「非伸縮部5」は、縦方向弾性部材37又は股下横方向弾性部材12のうち、長手方向に非伸長状態で配置されている部分のことを指す。非伸縮部5においては、縦方向弾性部材37又は股下横方向弾性部材12の長手方向の端部が非伸長状態で固定されていてもよいし、該端部が非固定状態で配置されていてもよい。なお、非伸縮部5は縦方向弾性部材37又は股下横方向弾性部材12の長手方向に非伸長状態で配置されているため、該長手方向に伸縮性を有しない。よって、非伸縮部5の配置位置及びその周囲には、縦方向伸縮部36及び股下横方向伸縮部13が形成されない。
前記「縦方向弾性部材37の非伸縮部5と股下横方向弾性部材12の非伸縮部5とが重なった非伸縮重なり部6」は、縦方向弾性部材37の非伸縮部5と股下横方向弾性部材12の非伸縮部5と平面視において重なっている部分を示す。
【0085】
上述のとおり、
図11(b)に示す実施形態では、縦方向弾性部材37は長手方向(縦方向X)に伸長状態で固定されている伸縮部4と、非伸長状態で固定されている非伸縮部5とを有している。また股下横方向弾性部材12も同様に、長手方向(横方向Y)に伸長状態で固定されている伸縮部4と、非伸長状態で固定されている非伸縮部5とを有している。縦方向弾性部材37の非伸縮部5と股下横方向弾性部材12の非伸縮部5とは、平面視において重なっており、非伸縮重なり部6を有している。
前側パッド2が非伸縮重なり部6を有していることによって、股下横方向伸縮部13の非伸縮部5が十分に広く形成される。これによって、前側パッド2の股下横方向伸縮部13と後側パッド3とが重なるように前側パッド2と後側パッド3とを連結しておむつ1を着用した状態において、一対の延出部14,14を手指で把持して横方向Yの外方に引っ張ることで、股下横方向伸縮部13を構成する股下横方向弾性部材12の位置及び収縮状態等を調整して、前側パッド2と後側パッド3との股下域における密着性を向上させ、着用者の排泄物の漏れを効果的に防ぐことができる。
後側パッド3は、縦方向Xに沿う側部域3Sそれぞれに縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部66を有し、縦方向伸縮部66には、縦方向弾性部材67が縦方向Xに伸縮可能に配され、股下横方向伸縮部73には、股下横方向弾性部材72が横方向Yに伸縮可能に配され、縦方向弾性部材67及び股下横方向弾性部材72は、それぞれの長手方向の端部に非伸縮部5を有し、股下部M側に、縦方向弾性部材67の非伸縮部5と股下横方向弾性部材72の非伸縮部5とが重なった非伸縮重なり部6を有することが好ましい。後側パッド3が非伸縮重なり部6を有していることによって、おむつ取り換え作業の際に、後側パッド3の非伸縮重なり部6を引っ張ることで、前側パッド2が後側パッド3から容易に分離できるため、前側パッド2を取り換える操作がより容易に行えるようになる。
上述の観点から、前側パッド2及び後側パッド3の少なくとも一方が非伸縮重なり部6を有していることが好ましく、前側パッド2及び後側パッド3の両方が非伸縮重なり部6を有していることが一層好ましい。
【0086】
一実施形態において、前側パッド2は、縦方向Xに沿う側部域2Sそれぞれに縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部36を有し、且つ縦方向Xにおける股下部M側において、縦方向伸縮部36の伸縮方向の延長線上に股下横方向伸縮部13が位置していることが好ましい。
前記「縦方向伸縮部36の伸縮方向の延長線上に股下横方向伸縮部13が位置している」は、縦方向伸縮部36の伸縮方向(縦方向X)の延長線と、股下横方向伸縮部13とが平面視において重なることを指す。
図11(c)に示す実施形態においては、前側パッド2の縦方向伸縮部36の伸縮方向の延長線上に股下横方向伸縮部13が位置している。前側パッド2が斯かる構成を有していることによって、着用者の股下部における横方向Yのフィット性をより一層向上させ、股下からの便等の排泄液の漏れを効果的に阻止することができる、という効果が得られる。
同様の観点から、後側パッド3は、縦方向Xに沿う側部域3Sそれぞれに縦方向Xに伸縮する縦方向伸縮部66を有し、且つ縦方向Xにおける股下部M側において、縦方向伸縮部66の伸縮方向の延長線上に股下横方向伸縮部73が位置していることが好ましい。
斯かる作用効果は、前側パッド2及び後側パッド3の少なくとも一方において、縦方向伸縮部36,66の伸縮方向の延長線上に股下横方向伸縮部13,73が位置していることによって奏されるが、前側パッド2及び後側パッド3の両方において、縦方向伸縮部36,66の伸縮方向の延長線上に股下横方向伸縮部13,73が位置していることがより好ましい。
【0087】
一実施形態において、前側パッド2は、縦方向伸縮部36として、縦方向弾性部材37が縦方向Xに伸縮可能に配された防漏カフ31と、該防漏カフ31より横方向Yの外方に位置し、縦方向弾性部材37が縦方向Xに伸縮可能に配されたレッグカフ35とを有しており、少なくとも該レッグカフ35に配された縦方向弾性部材37は、股下横方向伸縮部13とは重なっていないことが好ましい。
前記「レッグカフ35に配された縦方向弾性部材37は、股下横方向伸縮部13とは重なっていない」は、該縦方向弾性部材37と股下横方向伸縮部13とが平面視において重なっていないことを指す。なかでも、縦方向弾性部材37の伸縮部4と股下横方向伸縮部13とが平面視において重なっていないことが好ましい。
【0088】
図11(b)~(d)に示すそれぞれの実施形態の前側パッド2は、縦方向伸縮部36として、縦方向弾性部材37(カフ弾性部材33)が縦方向Xに伸縮可能に配された防漏カフ31と、該防漏カフ31より横方向Yの外方に位置し、縦方向弾性部材37(レッグ弾性部材34)が縦方向Xに伸縮可能に配されたレッグカフ35とを有している。また
図11(c)においては、レッグ弾性部材34は、股下横方向伸縮部13とは重なっておらず、
図11(b)及び(d)においては、レッグ弾性部材34の伸縮部4は、股下横方向伸縮部13とは重なっていない。前側パッド2が斯かる構成を有していることによって、股下部M側の端部域における側部域が、レッグ弾性部材34の収縮に起因して腹側部F側に引っ張られ、前側パッド2の股下部M側の縦方向X端2X1が湾曲してしまうことを抑制できる。これによって、前側パッド2及び後側パッド3を股下止着部74を介して連結した状態において、連結部が口開くことを阻止することができるので、おむつ1のフィット性をより一層向上させることができ、また股下からの便等の排泄液の漏れを効果的に阻止することができる。
同様の観点から、後側パッド3は、縦方向伸縮部66として、縦方向弾性部材67が縦方向Xに伸縮可能に配された防漏カフ61と、該防漏カフ61より横方向Yの外方に位置し、縦方向弾性部材67が縦方向Xに伸縮可能に配されたレッグカフ65とを有しており、少なくとも該レッグカフ65に配された縦方向弾性部材67は、股下横方向伸縮部73とは重なっていないことが好ましい。
斯かる作用効果は、前側パッド2及び後側パッド3の少なくとも一方が、上述の構成を有していれば奏されるが、前側パッド2及び後側パッド3の両方が上述の構成を有していることがより好ましい。
【0089】
一実施形態において、前側パッド2は、縦方向伸縮部36として、縦方向弾性部材37が縦方向Xに伸縮可能に配された防漏カフ31と、該防漏カフ31より横方向Yの外方に位置し、縦方向弾性部材37が縦方向Xに伸縮可能に配されたレッグカフ35とを有しており、防漏カフ31又はその縦方向Xの延長線と、レッグカフ35又はその縦方向Xの延長線との間に股下横方向伸縮部13が配されていることが好ましい。斯かる実施形態の例としては、
図11(a)、(c)及び(d)に示す実施形態を例示することができる。
図11(a)、(c)及び(d)に示す前側パッド2は、縦方向伸縮部36として、縦方向弾性部材37(カフ弾性部材33)が縦方向Xに伸縮可能に配された防漏カフ31と、該防漏カフ31より横方向Yの外方に位置し、縦方向弾性部材37(レッグ弾性部材34)が縦方向Xに伸縮可能に配されたレッグカフ35とを有している。
図11(a)に示す前側パッド2においては、防漏カフ31とレッグカフ35との間に、股下横方向伸縮部13が配されている。
図11(c)に示す前側パッド2においては、防漏カフ31の縦方向Xの延長線と、レッグカフ35の縦方向Xの延長線との間に、股下横方向伸縮部13が配されている。
図11(d)に示す前側パッド2においては、防漏カフ31と、レッグカフ35の縦方向Xの延長線との間に、股下横方向伸縮部13が配されている。
【0090】
前側パッド2が
図11(a)、(c)及び(d)に示す実施形態に共通の構成である、「防漏カフ31又はその縦方向Xの延長線と、レッグカフ35又はその縦方向Xの延長線との間に股下横方向伸縮部13が配されている」を有していることによって、股下横方向伸縮部13及び縦方向伸縮部36に起因する収縮力が、前側パッド2の股下部M側の端部域における側部域において、縦方向X及び横方向Yの両方にバランス良く働くことになる。よって、収縮力が横方向Yよりも縦方向Xに過剰に働くことに起因する、股下部M側の端部域における側部域の、縦方向Xの内方及び横方向Yの内方に向けてのめくれ上がりを効果的に抑制することができる。これによって、おむつ1のフィット性をより一層向上させ、着用者の股下域における両パッド2,3の連結部周辺からの便等の排泄液の漏れを効果的に阻止することができる。
図11(b)に示す実施形態は、
図11の他の実施形態に共通の前記構成を有していないため、
図11の他の実施形態に比べて、前記のめくれ上がり現象の抑制効果に劣る。
同様の観点から、後側パッド3は、縦方向伸縮部66として、縦方向弾性部材67が縦方向Xに伸縮可能に配された防漏カフ61と、該防漏カフ61より横方向Yの外方に位置し、縦方向弾性部材67が縦方向Xに伸縮可能に配されたレッグカフ65とを有しており、防漏カフ61又はその縦方向Xの延長線と、レッグカフ65又はその縦方向Xの延長線との間に股下横方向伸縮部73が配されていることが好ましい。
斯かる作用効果は、前側パッド2及び後側パッド3の少なくとも一方が、上述の構成を有していれば奏されるが、前側パッド2及び後側パッド3の両方が上述の構成を有していることがより好ましい。
【0091】
着用者の股下域における両パッド2,3の連結部周辺のめくれ上がりと、該連結部周辺からの便等の排泄液の漏れとを効果的に阻止する観点から、股下横方向伸縮部13は、前側パッド2又は後側パッド3における、股下部M側の縦方向Xの端縁及び横方向Yの端縁それぞれからの距離は好ましくは20mm未満であり、より好ましくは10mm未満であり、更に好ましくは5mm未満であり、そして、好ましくは1mm以上であり、より好ましくは2mm以上であり、更に好ましくは3mm以上である。
【0092】
図12~
図16には、本発明の吸収性物品の別の実施形態が示されている。後述する別の実施形態については、前述した実施形態と異なる構成を説明する。後述する別の実施形態において特に説明しない構成については、前述した実施形態についての説明が適宜適用される。
【0093】
図12に示すおむつ111は、着用者の腹側に配される前側パッド112、着用者の背側に配される後側パッド113及び着用者の腰回りに配される環状のホルダ114から構成される。前側パッド112は、前述した前側パッド2と同様の構成を有し、後側パッド113は、前述した後側パッド3と同様の構成を有している。ホルダ114はシート部材からなる。前記シート部材としては、例えば、不織布、樹脂製フィルム、不織布と樹脂製フィルムとの複合シート等を用いることができる。ホルダ114は周方向に伸縮性を有することが好ましい。
おむつ111は、ホルダ114を装着した後に、該ホルダ114、前側パッド112及び後側パッド113を着用者の股下域及びウエスト部において連結することによって着用される。
【0094】
図13に示すおむつ121は、パッド122及び着用者の腰回りに配される環状のホルダ124から構成される。パッド122は、前述した前側パッド2と同様の構成の前側パッド(図示せず)と、前述した後側パッド3と同様の構成の後側パッド(図示せず)とを含み、これら両パッドどうしは、それらの股下部側の端部域で分離可能に連結している。ホルダ124は、着用者の背側に配され、下方に延出する下方延出部123を有する点で、ホルダ114と相違している。
おむつ121は、ホルダ124を着用者の身体に装着した後に、パッド122(前記前側パッドと前記後側パッドとの連結体)とホルダ124とを着用者の股下域及びウエスト部において連結することによって着用される。
【0095】
図14に示すおむつ131は、パッド132及びカバー134から構成される。パッド132は、前述したパッド122と同様に構成されており、前側パッド(図示せず)と後側パッド(図示せず)とを含む。カバー134は、ホルダ136と、ホルダ136の下方に延出し、着用者の股下域を通って、着用者の腰周りにおいてホルダ136と連結可能な下方延出部133とを有している。ホルダ136は、下方延出部133の延出方向と直交する方向に延びる帯状シート部材からなり、該帯状シート部材は、下方延出部133からよりも横方向の両外方に延出する一対の延出部を有する。前記一対の延出部のうちのいずれか一方の先端部には止着部135が配されており、該一対の延出部の一方と他方とを、止着部135を介して連結することで、ホルダ136を
図14(a)に示す如き環状とすることができる。前記一対の延出部の一方と他方とは、止着部135を介して分離可能に連結される。環状のホルダ136は周方向に伸縮性を有することが好ましい。
おむつ131は、カバー134の環状のホルダ136を着用者の腰回りに配した後に、ホルダ136の下方延出部133とパッド132とを着用者の股下域において連結することによって着用される。
【0096】
図15に示すおむつ141は、着用者の腹側に配されるパッド142及びカバー144から構成される。パッド142は、前述したパッド122と同様に構成されており、前側パッド(図示せず)と後側パッド(図示せず)とを含む。カバー144は、ホルダ146と、ホルダ146の下方に延出する下方延出部143とを有している。カバー144は、前述した
図14のカバー134と基本構成は同じであり、カバー144の下方延出部143はカバー134の下方延出部133よりも短くなっている点で両者は相違している。
おむつ141は、カバー144の環状のホルダ146を着用者の腰回りに配した後に、ホルダ146の下方延出部143とパッド142とを着用者の股下域及びウエスト部において連結することによって着用される。
【0097】
図16に示すおむつ151は、着用者の腹側に配される前側パッド152及び着用者の背側に配される後側パッド153から構成されている。おむつ1のホルダ110が後側パッド3のホルダ形成用部材101,102のみから形成されているのに対し、おむつ151のホルダ154は、両パッド152,153から形成される。おむつ151のホルダ154以外の構造及び機能は、おむつ1のホルダ110以外の構造及び機能と同じである。
【0098】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えは、前記の実施形態は本発明を使い捨ておむつに適用したものであるが、本発明の適用対象はこれに限られず、使い捨ておむつ以外の形態の使い捨ておむつや、使い捨ておむつ以外の吸収性物品、例えば生理用ナプキン、失禁パッド及びおりものシート等に本発明を適用してもよい。なかでも、本発明は使い捨ておむつに適用されることが好ましい。
また、吸収性コア24は単層構造であることに限られず、多層構造であってもよい。具体的には、例えば吸収性コア24は上層コアと下層コアからなる二層構造を有していてもよい。
また、吸収性本体22,52の形状は平面視長方形形状に限られない。
また、前側パッド2(吸収性本体22)はサブレイヤーシート26を有していなくてもよい。また、後側パッド3(吸収性本体52)は表面シート53と裏面シート57との間にサブレイヤーシートを含んでいてもよい。
【0099】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の付記を開示する。
<1>
着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有し、
着用者の腹側に配置される前側パッドと、着用者の背側に配置される後側パッドとを有し、両パッドを着用者の股下域で連結された状態にして使用可能な吸収性物品であって、
前記前側パッド及び前記後側パッドは、前記股下域に配される股下部を有しており、
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する股下横方向伸縮部を有する、吸収性物品。
<2>
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記縦方向に沿う側部域それぞれに前記縦方向に伸縮する縦方向伸縮部を有し、且つ前記縦方向における前記股下部側において、前記縦方向伸縮部と前記股下横方向伸縮部とが重なっている、<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記縦方向に沿う側部域それぞれに前記縦方向に伸縮する縦方向伸縮部を有し、
前記縦方向伸縮部には、縦方向弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配され、
前記股下横方向伸縮部には、股下横方向弾性部材が前記横方向に伸縮可能に配され、
前記縦方向弾性部材及び前記股下横方向弾性部材は、それぞれの長手方向の端部に非伸縮部を有し、
前記股下部側に、前記縦方向弾性部材の前記非伸縮部と前記股下横方向弾性部材の前記非伸縮部とが重なった非伸縮重なり部を有する、<1>に記載の吸収性物品。
<4>
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記縦方向に沿う側部域それぞれに前記縦方向に伸縮する縦方向伸縮部を有し、且つ前記縦方向における前記股下部側において、前記縦方向伸縮部の伸縮方向の延長線上に前記股下横方向伸縮部が位置している、<1>ないし<3>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<5>
前記前側パッド及び前記後側パッドの少なくとも一方は、前記縦方向伸縮部として、縦方向弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配された防漏カフと、該防漏カフより前記横方向の外方に位置し、前記縦方向弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配されたレッグカフとを有しており、
少なくとも該レッグカフに配された前記縦方向弾性部材は、前記股下横方向伸縮部とは重なっていない、<4>に記載の吸収性物品。
【0100】
<6>
前記前側パッドと前記後側パッドのいずれについても、
前記縦方向の前記股下部とは反対側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する非股下横方向伸縮部を有し、且つ前記縦方向に沿う側部域それぞれに前記縦方向に伸縮する縦方向伸縮部を有する、<1>ないし<5>のいずれか一項に記載の吸収性物品。
<7>
前記横方向伸縮部及び前記縦方向伸縮部に周囲を囲まれた吸収領域が、前記縦方向に沿って2つ並ぶように、前記前側パッドと前記後側パッドとを連結可能である、<6>に記載の吸収性物品。
<8>
前記前側パッドの前記股下横方向伸縮部と、前記後側パッドの前記股下横方向伸縮部との前記縦方向における位置に重なりがあるように、前記前側パッドと前記後側パッドとを連結可能である、<6>又は<7>に記載の吸収性物品。
<9>
前記前側パッドの前記股下横方向伸縮部と、前記後側パッドの前記股下横方向伸縮部との前記縦方向における位置に重なりがないように、前記前側パッドと前記後側パッドとを連結可能である、<6>ないし<8>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0101】
<10>
前記縦方向伸縮部として、縦方向弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配された防漏カフと、該防漏カフより前記横方向の外方に位置し、縦方向弾性部材が前記縦方向に伸縮可能に配されたレッグカフとを有しており、
前記防漏カフ又はその前記縦方向の延長線と、前記レッグカフ又はその前記縦方向の延長線との間に前記股下横方向伸縮部が配されている、<2>ないし<9>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<11>
前記前側パッド及び前記後側パッドは、吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配置された肌側シートとを備えており、
前記前側パッド及び前記後側パッドの両方が、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する前記股下横方向伸縮部を有し、
前記前側パッド及び前記後側パッドの前記股下横方向伸縮部には、股下横方向弾性部材が前記横方向に伸縮可能に配されており、
前記前側パッドの前記股下横方向弾性部材は、該パッドの厚み方向において前記肌側シートよりも非肌対向面側に配されており、
前記後側パッドの前記股下横方向弾性部材は、該パッドの厚み方向において前記肌側シートよりも肌対向面側に配されている、<1>ないし<10>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<12>
前記前側パッドの前記股下横方向伸縮部と前記後側パッドの前記股下横方向伸縮部とが重なるように、且つ着用者の股下域において前者が後者よりも着用者の肌に近い側に配されるように、前記前側パッドと前記後側パッドとを連結して前記吸収性物品を着用した状態において、
前記後側パッドの前記股下部側の端部域における側部域が、前記前側パッドから離れる方向に起立している、<11>に記載の吸収性物品。
【0102】
<13>
前記前側パッドは、吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配置された肌側シートと、該吸収体の非肌対向面側に配置された非肌側シートと、を含む吸収性本体を有し、
前記前側パッドは、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する前記股下横方向伸縮部を有し、
前記前側パッドの前記股下横方向伸縮部には股下シートが配されており、
前記股下シートは、前記前側パッドの前記股下部側の端部域において、前記吸収性本体の前記縦方向に沿う両側縁よりも外方に延出する一対の延出部を有する、<1>ないし<12>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<14>
前記一対の延出部の色がその周辺部の色と異なる、<13>に記載の吸収性物品。
<15>
前記前側パッド及び前記後側パッドのいずれについても、
自然状態における前記股下部側の端部域の前記横方向の長さが、展開且つ最大伸長状態における前記股下部側の端部域の前記横方向の長さよりも短い、<1>ないし<14>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<16>
前記後側パッドの前記股下部には、前記前側パッドの前記股下部に設けられた被止着領域に止着可能な止着部が設けられており、
前記止着部の前記横方向の両側縁よりも外方の位置に、一対の前記股下横方向伸縮部が形成されている、<1>ないし<15>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0103】
<17>
前記前側パッドは、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する前記股下横方向伸縮部を有し、
前記前側パッドの股下横方向伸縮部は、前記吸収性物品の着用時に着用者の身体側に起立しない、<1>ないし<16>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<18>
前記後側パッドは、前記股下部側の端部域における少なくとも側部域に、前記横方向に伸縮する前記股下横方向伸縮部を有し、
前記後側パッドの股下横方向伸縮部は、前記吸収性物品の着用時に着用者の身体側に起立する、<1>ないし<17>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<19>
前記後側パッドの前記股下横方向伸縮部には、股下横方向弾性部材が前記横方向に伸縮可能に配され、
前記後側パッドの前記横方向弾性部材は、後側パッドの股下部側の端部域における側部域に配置されている間欠弾性部材と、後側パッドの股下部側の端部域における一方の側部域から、中央域を通って他方の側部域まで連続して配されている連続弾性部材とを含み、
前記後側パッドの股下横方向伸縮部における前記連続弾性部材の配置部位が、前記吸収性物品の着用時に着用者の身体側に起立する、<1>ないし<18>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0104】
<20>
前記後側パッドの前記股下部には、前記前側パッドの非肌対向面側に設けられた被止着領域に止着可能な止着部が設けられており、
前記前側パッドの非肌対向面の全域が前記非止着領域になっている、<1>ないし<19>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<21>
前記前側パッド及び前記後側パッドを着用者の股下域で重ねて連結させた状態において、前記前側パッドの前記股下部側の前記縦方向端と、前記後側パッドの前記股下部側の前記縦方向端との間にある連結領域が、前記前側パッドと前記後側パッドとの重なりに応じて、前記縦方向に拡縮可能である、<1>ないし<20>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<22>
前記前側パッド及び前記後側パッドは着用者の腰周りで連結可能であり、
該両パッドを着用者の股下域及び腰周りで連結して装着した状態から、該両パッドの前記股下域での連結を維持しつつ、該両パッドの前記腰周り域での連結を解除したときに、前記前側パッドの前記股下部側の端部域が前記後側パッドから自然と離間する、<1>ないし<21>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0105】
前記<21>について説明すると、
図2ないし
図4に示す前側パッド2と、
図5ないし
図7に示す後側パッド3とを、後側パッド3の股下止着部74を介して着用者の股下域で連結する場合においては、上述のとおり、前側パッド2の裏面シート27の非肌対向面の全域が被止着領域となっているため、股下止着部74を裏面シート27の非肌対向面の任意の位置に止着させることができる。これに起因して、両パッド2,3の連結状態において前側パッド2の股下部M側の縦方向X端2X1と、後側パッド3の股下部M側の縦方向X端3X1との間にある連結領域が、前側パッド2と後側パッド3との重なりに応じて、縦方向Xに拡縮可能である。すなわち、前側パッド2と後側パッド3とを着用者の股下域で連結した場合におけるおむつ1の縦方向Xの長さを、着用者のサイズに合わせて調節することができるので、おむつ1のフィット性をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0106】
1 おむつ
2 前側パッド
3 後側パッド
5 非伸縮部
12,72 股下横方向弾性部材
13,73 股下横方向伸縮部
31,61 防漏カフ
35,65レッグカフ
36,66 縦方向伸縮部
37,67 縦方向弾性部材
43,92 非股下横方向弾性部材
44,91 非股下横方向伸縮部