(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154802
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】前側パッドと後側パッドとを具備する吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20241024BHJP
A61F 13/535 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61F13/49 413
A61F13/535 100
A61F13/535 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068883
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富田 美奈
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 岳志
(72)【発明者】
【氏名】楊 玉亭
(72)【発明者】
【氏名】阿部 華
(72)【発明者】
【氏名】幸田 拓也
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA01
3B200BA14
3B200BB05
3B200BB17
3B200CA02
3B200CA07
3B200DA02
3B200DB19
3B200DB24
(57)【要約】
【課題】排泄物の漏れ出しが従来よりも抑制されるとともに、環境負荷が低減された吸収性物品を提供すること。
【解決手段】おむつは、着用者の腹側に配置される前側パッドと、着用者の背側に配置される後側パッドとを有し、両パッドを着用者の股下域で連結された状態にして使用可能な吸収性物品である。前記前側パッド及び前記後側パッドは、それぞれ、吸収性コアを有する。前記前側パッドにおいて、該前側パッドの前記吸収性コアを前記縦方向に仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアの平均坪量が、着用者の股下側に位置する吸収性コアの平均坪量よりも小さいか、又は前記後側パッドにおいて、該後側パッドの前記吸収性コアを前記縦方向に仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアの平均坪量が、着用者の股下側に位置する吸収性コアの平均坪量よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有し、
着用者の腹側に配置される前側パッドと、着用者の背側に配置される後側パッドとを有し、両パッドを着用者の股下域で連結された状態にして使用可能な吸収性物品であって、
前記前側パッド及び前記後側パッドは、それぞれ、吸収性コアを有し、
前記前側パッドにおいて、該前側パッドの前記吸収性コアを前記縦方向に仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアの平均坪量が、着用者の股下側に位置する吸収性コアの平均坪量よりも小さいか、又は
前記後側パッドにおいて、該後側パッドの前記吸収性コアを前記縦方向に仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアの平均坪量が、着用者の股下側に位置する吸収性コアの平均坪量よりも大きい、吸収性物品。
【請求項2】
前記前側パッドの前記吸収性コア及び前記後側パッドの前記吸収性コアは、それぞれ、吸水性繊維又は吸水性ポリマーを含み、
前記前側パッドの前記吸水性ポリマーの坪量が、前記後側パッドの前記吸水性ポリマーの坪量よりも大きい、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記後側パッドの前記吸収性コアは、前記吸水性繊維を含み且つ前記吸水性ポリマーを非含有である、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記前側パッド及び前記後側パッドは、それぞれ、該パッドの前記縦方向の一端であり着用者のウエスト側に位置する第1端と、該パッドの該縦方向の他端であり着用者の股下側に位置する第2端とを有し、
前記前側パッドの展開且つ最大伸長状態において、前記前側パッドの第2端の前記横方向に沿う長さをa2とし、該前側パッドの前記縦方向に沿う長さをb2とし、
前記後側パッドの展開且つ最大伸長状態において、前記後側パッドの第2端の前記横方向に沿う長さをa1とし、該後側パッドの前記縦方向に沿う長さをb1としたときに、
長さa2に対する長さb2の比が、長さa1に対する長さb1の比よりも小さく、
長さb1が長さb2よりも大きく、
且つ
長さa1と長さb1との積が、長さa2と長さb2との積よりも大きい、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記前側パッドの前記吸収性コアは、前記横方向の中央域に位置し且つ前記縦方向に延びる上層吸収性コアと、該上層吸収性コアの非肌対向面側に位置する下層吸収性コアとを含み、それによって該吸収性コアは、該横方向の中央域に位置し且つ該縦方向に延びる高坪量部と、該高坪量部よりも相対的に坪量が低い低坪量部とを有し、
前記吸収性物品の着用状態において、前記前側パッドにおける前記吸収性コアの前記高坪量部が、着用者の尿道口を覆うように、前記前側パッドと前記後側パッドとが連結可能に構成されている、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記後側パッドの前記吸収性コアは、前記横方向の中央域に位置し且つ前記縦方向に延びる低坪量部と、該低坪量部よりも坪量が高い高坪量部とを有し、
前記後側パッドの前記低坪量部は、前記縦方向の両端のうち、前記吸収性物品の着用状態において着用者のウエスト側に位置する第1端と、該着用者の股下側に位置する第2端とを有しており、
第2端は、前記後側パッドにおける股下側の端縁又はその近傍まで延びており、
第1端は、前記高坪量部と連結しており、
前記吸収性物品の着用状態において、前記後側パッドの低坪量部が、着用者の肛門を覆うように、前記両パッドが連結可能に構成されている、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記高坪量部は、第1部位と第2部位と第3部位とから構成され、これらはこの順で前記横方向に連接されており、
第1部位と第3部位との間に第2部位が位置しており、
第1部位及び第3部位は、第2部位よりも股下側まで延び、それによって前記高坪量部は略逆U字形の形状をしており、
前記後側パッド全体でみたときに、前記高坪量部が配置された領域における該後側パッドの厚みが、前記低坪量部が配置された領域における該後側パッドの厚みよりも大きく、それによって該後側パッドにおいては第1部位及び第3部位とその間に位置する該低坪量部との間に段差が生じている、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品の着用状態において、前記前側パッドの第2端が、前記後側パッドの前記低坪量部の第1端を超えて前記高坪量部と重ならないように、前記前側パッドと前記後側パッドとが連結可能に構成されている、請求項6又は7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記後側パッドの前記吸収性コアは、前記横方向の中央域に位置し且つ前記縦方向に延びる少なくとも2つの低坪量部と、該低坪量部よりも坪量が高い高坪量部とを有し、
前記後側パッドの前記低坪量部は、前記高坪量部を挟んで前記縦方向に沿って配置され、
前記後側パッドの前記低坪量部は、着用者のウエスト側に位置する第1低坪量部と着用者の股下側に位置する第2低坪量部とを含み、
前記第1低坪量部及び前記第2低坪量部は、それぞれ、前記縦方向の両端のうち、前記吸収性物品の着用状態において着用者のウエスト側に位置する第1端と、該着用者の股下側に位置する第2端とを有しており、
第1低坪量部における第2端は、前記高坪量部と連結しており、
第1低坪量部における第1端は、前記後側パッドにおけるウエスト側の端縁又はその近傍まで延びており、
第2低坪量部における第2端は、前記後側パッドにおける股下側の端縁まで延びており、
第2低坪量部における第1端は、前記高坪量部と連結しており、
前記吸収性物品の着用状態において、前記前側パッドの前記第2端が、前記後側パッドの第2低坪量部における第1端を超えて着用者のウエスト側に位置しないように、前記前側パッドと前記後側パッドとが連結可能に構成されている、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記高坪量部は、第1部位と第2部位と第3部位とから構成され、これらはこの順で前記横方向に連接されており、
第1部位と第3部位との間に第2部位が位置しており、
第1部位及び第3部位は、第2部位よりもウエスト側まで延び、且つ股下側まで延び、それによって前記高坪量部は略H字形の形状をしており、
前記後側パッド全体でみたときに、前記高坪量部が配置された領域における該後側パッドの厚みが、第2低坪量部が配置された領域における該後側パッドの厚みよりも大きく、それによって該後側パッドにおいては第1部位と第3部位とその間に位置する第2低坪量部との間に段差が生じている、請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記前側パッド及び前記後側パッドは、それぞれ、立体カフを有し、
前記前側パッドの前記立体カフは、前記横方向の内方へ向けての倒伏性向を有しており、
前記後側パッドの前記立体カフは、前記横方向の外方へ向けての倒伏性向を有している、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前側パッドと後側パッドとを具備する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品の一種として、着用者の股間部に配置される部分において前側と後側とに分離可能に構成されるとともに、該前側及び該後側のそれぞれが吸収体を有するものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、前身頃部及び後ろ身頃部と、両身頃部から下方に延びる前フラップ部及び後ろフラップ部とを有し、両フラップ部が備える接合手段によって相互に接合可能なおむつが記載されている。同文献に記載のおむつにおいては、前身頃部及び後ろ身頃部、並びに前フラップ部及び後ろフラップ部が、それぞれ吸収体を有する。
【0004】
特許文献2には、股部を構成する前側部分と後側部分とを有し、該前側部分と該後側部分とが連結手段によって着脱自在に接合されるパンツ型紙おむつが記載されている。同文献に記載のおむつにおいては、前側部分及び後側部分が、それぞれ吸収体を有する。
【0005】
特許文献3には、前側本体部、後側本体部及び該前側本体部の下側の部分から下向きに延伸する下部後方延伸部を有し、該後側本体部の非肌対向面に設けられたテープパネルと、該下部後方延伸部の肌対向面に設けられたテープファスナーとを固着することで、該前側本体部と該後側本体部とが固着されるおむつが記載されている。同文献に記載のおむつにおいては、前側本体部及び後側本体部が、それぞれ吸収体を有する。
【0006】
特許文献4には、前身頃及び股下部を有する前部と、後身頃及びカバー部を有する後部とを有し、該股下部の外面に配置された連結テープと、該カバー部とを連結できる紙おむつが記載されている。同文献に記載のおむつにおいては、前部及び後部が、それぞれ吸収体を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9-566号公報
【特許文献2】特開2008-29762号公報
【特許文献3】特開2011-72778号公報
【特許文献4】特開2019-13603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前側と後側とに分離可能な吸収性物品においては、前側の吸収性物品は主として尿を吸収する役割を担っており、後側の吸収性物品は主として便を吸収する役割を担っている。しかし、前側及び後側の吸収性物品が有する吸収体の液吸収能や配置位置によっては、着用者の排泄物を吸収体が吸収しきれず、該排泄物が例えば前側の吸収性物品と後側の吸収性物品との連結部から漏れ出してしまうことがあった。更に、漏れ出した排泄物によって前側及び後側の両方が汚れることで、着用者が排泄する度に前側及び後側の両方を交換しなければならず、その結果、ごみの廃棄量が増加してしまうことがあった。
【0009】
したがって本発明の課題は、排泄物の漏れ出しが従来よりも抑制されるとともに、環境負荷が低減された吸収性物品を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有し、
着用者の腹側に配置される前側パッドと、着用者の背側に配置される後側パッドとを有し、両パッドを着用者の股下域で連結された状態にして使用可能な吸収性物品に関する。
一実施形態において、前記前側パッド及び前記後側パッドは、それぞれ、吸収性コアを有することが好ましい。
一実施形態において、前記前側パッドにおいて、該前側パッドの前記吸収性コアを前記縦方向に仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアの平均坪量が、着用者の股下側に位置する吸収性コアの平均坪量よりも小さいか、又は
前記後側パッドにおいて、該後側パッドの前記吸収性コアを前記縦方向に仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアの平均坪量が、着用者の股下側に位置する吸収性コアの平均坪量よりも大きいことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の吸収性物品によれば、排泄物の漏れ出しが従来よりも抑制されるとともに、環境負荷が低減された吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつを示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)ないし(c)は、
図1に示す吸収性物品の一使用例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す前側パッドの最大伸長状態における肌対向面側を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4(a)ないし(c)は、
図3に示す前側パッドの所定位置における横方向且つ厚み方向に沿う断面を模式的に示す断面図であり、
図4(a)は
図3のI-I断面図であり、
図4(b)は
図3のII-II断面図であり、
図4(c)は
図3のIII-III断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す後側パッドの最大伸長状態における肌対向面側を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6(a)ないし(c)は、
図5に示す前側パッドの所定位置における横方向且つ厚み方向に沿う断面を模式的に示す断面図であり、
図6(a)は
図5のI-I断面図であり、
図6(b)は
図5のII-II断面図であり、
図6(c)は
図5のIII-III断面図である。
【
図7】
図7(a)は、
図3に示す前側パッドにおける前側吸収性コアの肌対向面側を模式的に示す平面図であり、
図7(b)は、
図5に示す後側パッドにおける後側吸収性コアの肌対向面側を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、
図3に示す前側パッドと
図5に示す後側パッドとを連結して着用した着用者の縦方向断面図である。
【
図9】
図9は、
図5に示す後側パッドの他の実施形態を示す平面図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す後側パッドにおける後側吸収性コアの肌対向面側を模式的に示す平面図である。
【
図11】
図11(a)ないし
図11(d)は、
図9に示す後側パッドの他の実施形態における後側吸収性コアの肌対向面側を模式的に示す平面図である。
【
図12】
図12(a)は、
図1に示す前側パッドの最大伸長状態における肌対向面側を模式的に示す平面図であり、
図12(b)は、
図1に示す後側パッドの最大伸長状態における肌対向面側を模式的に示す平面図である。
【
図13】
図13(a)は、本発明の吸収性物品の他の実施形態である使い捨ておむつのホルダを示す斜視図であり、
図13(b)は、装着状態の前記使い捨ておむつを模式的に示す、横方向の断面図である。
【
図14】
図14(a)は、本発明の吸収性物品の他の実施形態である使い捨ておむつのホルダを示す斜視図であり、
図14(b)は、装着状態の前記使い捨ておむつを模式的に示す、横方向の断面図である。
【
図15】
図15(a)は、本発明の吸収性物品の他の実施形態である使い捨ておむつのホルダを示す斜視図であり、
図15(b)は、装着状態の前記使い捨ておむつを模式的に示す、横方向の断面図である。
【
図16】
図16(a)は、本発明の吸収性物品の他の実施形態である使い捨ておむつのホルダを示す斜視図であり、
図16(b)は、装着状態の前記使い捨ておむつを模式的に示す、横方向の断面図である。
【
図17】
図17(a)は、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態である使い捨ておむつの前側パッドを模式的に示す平面図であり、
図17(b)は、前記使い捨ておむつの後側パッドを模式的に示す平面図であり、
図17(c)は、装着状態の前記使い捨ておむつのホルダ部分を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
図1には、本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつ1(以下単に「おむつ1」ともいう。)が示されている。
【0014】
図1に示すおむつ1は、着用者の腹側に配置される前側パッド2と、着用者の背側に配置される後側パッド3とを有している。
図2には、おむつ1の使用例が示されている。おむつ1において、まず、後側パッド3が有する胴回りベルト80を着用者の腰周りに巻き付けてその一部を重ね、該胴回りベルト80の両端部に設けられた止着部80dを介して重なり部分を接合する(
図2(a)参照)。次いで、胴回りベルト80の非肌対向面と、前側パッド2の肌対向面とを、前側パッド2の肌対向面に設けられた前側止着部43c,43s,43sを介して接合する(
図2(b)参照)。そして、着用者の股下側に位置する、前側パッド2の端部及び後側パッド3の端部どうしを、後側パッド3の肌対向面に設けられた股下止着部70cを介して接合する(
図2(c)参照)。この状態のおむつ1において、着用者の股下は、前側パッド2の肌対向面と当接している。おむつ1は、このようにして、前側パッド2及び後側パッド3を着用者の股下域で連結された状態にして使用することができる。おむつ1は、連結された状態において、着用者の胴が通されるウエスト開口部WOと、着用者の下肢が通される一対のレッグ開口部LOを有する。
【0015】
本明細書において「肌対向面」とは、おむつ又はその構成部材(例えば吸収体)に着目したときに、おむつの着用状態において着用者の肌に向けられる面である。「非肌対向面」とは、おむつの着用状態において着用者の肌とは反対側に向けられる面である。
【0016】
図1に示すおむつは、着用者の前後方向に対応する縦方向X及び該縦方向Xに直交する横方向Yを有する。縦方向Xは、前側パッド2及び後側パッド3の長手方向と一致する。前側パッド2及び後側パッド3は、それぞれ、両パッドが連結されてなるおむつ1の着用状態において、両パッドの縦方向Xの一端であり着用者のウエスト側に位置する第1端と、両パッドの縦方向Xの他端であり着用者の股下側に位置する第2端とを有する。
本明細書において、「おむつ1の着用状態」という場合、文脈に応じて前側パッド2及び後側パッド3を着用者の股下域で連結した状態、前側パッド2の肌対向面を着用者の腹側に当接させた場合、又は後側パッド3の肌対向面を着用者の背側に当接させた場合を意味する。
【0017】
図3及び
図5に示すとおり、前側パッド2及び後側パッド3は、それぞれ、おむつ1の着用状態において、着用者のウエスト側に位置するウエスト域Wと、着用者の股下側に位置する股下域Cとを有する。両パッド2,3における股下域Cは、両パッド2,3の縦方向X全長を三等分して三つの領域に区分したとき、最も第1端側に位置する領域をいう。両パッド2,3におけるウエスト域Wは、当該三つの領域のうち股下域C以外の二つの領域をいう。両パッド2,3のウエスト域Wは、該パッド2,3の第1端X1,X3を含む。両パッド2,3の股下域Cは、該パッド2,3の第2端X2,X4を含む。
【0018】
まず、前側パッド2について詳細に説明する。
図3に示す前側パッド2は、最大伸長状態において、一方向に長い形状をなし、横方向Y全長を二等分して縦方向Xに延びる横中心線(図示せず)に対し、線対称な外形形状を有している。前側パッド2は、使用時にその長手方向を、予め着用者に装着された状態の後側パッド3の長手方向に一致させる。
【0019】
本明細書において「最大伸長状態」とは、吸収性物品、前側パッド2、後側パッド3等の着用物品の各部の弾性部材を最大伸長させて、設計寸法、すなわち弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じとなるまで拡げた状態をいう。
また、「展開且つ最大伸長状態」とは、着用物品を平面状に拡げて展開状態とした上で、前記最大伸長状態とした状態を指す。
【0020】
図3及び
図4に示すとおり、前側パッド2は、前側吸収性本体20と、前側股下横伸縮部材30と、前側吸収性本体20の肌対向面側に配置された前側胴回り部40とを備えている。
前側吸収性本体20のウエスト側の端縁は、前側パッドの第1端X1と一致している。前側吸収性本体20の股下側の端縁は、前側パッドの第2端X2と一致している。前側吸収性本体20は、前側パッド2の主体をなしている。
【0021】
前側吸収性本体20は、前側吸収体21と、前側吸収体21の非肌対向面側に配置された前側裏面シート22とを備えている。
図4には前側裏面シート22の非肌対向面側に前側外装シート23が配置された状態が示されているが、本発明において、前側吸収性本体20は前側外装シート23を備えていなくてもよい。
【0022】
前側外装シート23は、前側吸収性本体20において、ウエスト域W及び股下域Cの全域に連続して配置されている。前側外装シート23の周縁は、前側吸収性本体20の輪郭を形成している。
前側外装シート23は、前側裏面シート22のうち、前側吸収体21と対向する面と反対側の面に、接着剤等の公知の接合手段によって直接接合されている。
前側外装シート23としては、例えば不織布等を用いることができる。
【0023】
前側裏面シート22は、前側吸収体21の非肌対向面側であり、且つ前側外装シート23の肌対向面側に位置している。前側裏面シート22は、前側吸収性本体20において、ウエスト域W及び股下域Cの全域に連続して配置されている。前側裏面シート22は、前側外装シート23と略同じ大きさを有している。前側裏面シート22の縦方向Xの両端縁は、前側外装シート23の縦方向Xの両端縁とそれぞれ一致している。前側裏面シート22の両側縁は、前側外装シート23の両側縁とそれぞれ一致している。前側裏面シート22の周縁は、前側外装シート23と同様に、前側吸収性本体20の輪郭を形成している。
前側裏面シート22は、前側外装シート23と接合された状態で、前側吸収体21の非肌対向面に、接着剤等の公知の接合手段によって直接接合されている。
前側裏面シート22としては、例えば液不透過性若しくは液難透過性又は撥水性のシートを用いることができる。
【0024】
前側吸収体21は、尿等の排泄物を吸収保持する機能を有する。前側吸収体21は、縦方向Xに長い形状をなし、その長手方向を縦方向Xに一致させて、ウエスト域Wから股下域Cまで縦方向Xに延在している。前側吸収体21は、前側吸収性コア24を備えている。前側吸収性コア24は、例えば吸水性繊維を含む積繊体及びシートであり得る。また前側吸収性コア24は、吸水性繊維又は吸水性ポリマーの粒子を含む積繊体であり得る。また前側吸収性コア24は、吸水性繊維を含む2枚のシート間に、吸水性ポリマーの粒子が保持されてなるシート状の形態であり得る。
吸水性繊維としては、例えば針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ(以上、セルロース系繊維);親水性合成繊維等を用いることができる。これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
図4(b)及び
図7(a)に示すとおり、前側吸収性コア24は、上層吸収性コア25と、上層吸収性コア25の非肌対向面側に位置する下層吸収性コア26とを含む2層構造になっている。上層吸収性コア25は、前側パッド2における横方向Yの中央域に位置し且つ縦方向Xに延びた形状をなしている。下層吸収性コア26も、前側パッド2における横方向Yの中央域に位置し且つ縦方向Xに延びた形状をなしている。下層吸収性コア26は、上層吸収性コア25よりも平面視における寸法(面積)が大きい。
図7(a)に示すとおり、平面視において上層吸収性コア25は、その全体が下層吸収性コア26と重なっており、下層吸収性コア26は、上層吸収性コア25の周縁から外方へ延出している。それによって、下層吸収性コア26は前側吸収性コア24の輪郭を形成している。
上層吸収性コア25は、下層吸収性コア26の肌対向面上において、下層吸収性コア26の縦方向Xの中央よりもやや第2端X2(
図3参照)側に偏倚した位置にある。
上層吸収性コア25及び下層吸収性コア26がこのように構成されていることで、前側吸収性コア24は、前側パッド2における横方向Yの中央域に位置し且つ縦方向に延びる高坪量部24Bと、該高坪量部24Bよりも相対的に坪量が低い低坪量部24Aとを有している。本実施形態の前側吸収性コア24において、高坪量部24Bは、平面視において、上層吸収性コア25と下層吸収性コア26とが重なる領域である。低坪量部24Aは、下層吸収性コア26における高坪量部以外の領域である。
上層吸収性コア25と下層吸収性コア26とは、接着剤によって互いに接合されていてもよい。あるいは、上層吸収性コア25と下層吸収性コア26とは、互いに接合されず、両者は一体不可分ではなく分離可能になされていてもよい。
【0026】
図4(b)に示すとおり前側吸収性コア24は、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域が前側コアラップシート27によって被覆されている。前側コアラップシート27は、上層吸収性コア25及び下層吸収性コア26を、一枚で被覆している。前側コアラップシート27としては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布等を用いることができる。
【0027】
図4(b)に示すとおり、前側吸収性本体20は、前側吸収体21の肌対向面側に配置された前側表面シート28を更に含んでいる。前側表面シート28は、前側吸収性本体20において、ウエスト域W及び股下域Cの全域に連続して配置されている。
前側表面シート28は、前側吸収体21の少なくとも肌対向面を被覆しており、おむつ1の着用状態において着用者の肌と接触する。前側表面シート28は、前側吸収体21の各側縁から横方向Y外方へ延出する一対の側方延出部28S,28Sを有する。側方延出部28Sは、それぞれ、前側吸収体21の側面を被覆している。側方延出部28Sの端部は、横方向Y外方へ延びており、前側裏面シート22の肌対向面に、接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。したがって、前側吸収体21の非肌対向面は、前側表面シート28によって被覆されていない。前側表面シート28は、単層構造でもよく、あるいは1種又は2種以上の層が複数積層された積層構造でもよい。
前側表面シート28としては、例えば液透過性のシートを用いることができる。
【0028】
図4(b)に示すとおり、前側吸収性本体20は、前側吸収体21の肌対向面側であり、且つ前側表面シート28の非肌対向面側に配置されたサブレイヤー29を更に含んでいる。サブレイヤー29は、この種の吸収性物品において、セカンドシート、中間シートなどとも呼ばれる構成部材である。サブレイヤー29は、前側表面シート28から前側吸収体21への液透過性を向上させたり、前側吸収体21に吸収された排泄物が前側表面シート28の肌対向面側に移動する現象である液戻りを防いだり、種々の役割を担っている。
サブレイヤー29は、縦方向Xに長い矩形状をなし、その長手方向を縦方向Xに一致させて、ウエスト域Wから股下域Cまで縦方向Xに延在している。サブレイヤー29のウエスト側の端縁は、平面視において、上層吸収性コア25のウエスト側の端縁と略一致している。サブレイヤー29の股下側の端縁は、平面視において、上層吸収性コア25の股下側の端縁と略一致している。サブレイヤー29の両側縁は、平面視において、上層吸収性コア25の両側縁よりも横方向Y外方に位置し、且つ下層吸収性コア26の両側縁よりも横方向Y内方に位置している。本明細書において「略一致」とは、一方の端縁と他方の端縁とが完全に一致している場合、及び両者の位置が縦方向X又は横方向Yに5mm以下離間している場合も包含する。
サブレイヤー29としては、親水性且つ液透過性のシートを用いることができる。このようなシートとしては、例えば紙、織布、不織布等を用いることができる。これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
サブレイヤー29と前側吸収体21とは、接着剤によって互いに接合されていてもよい。あるいは、サブレイヤー29と前側吸収体21とは、互いに接合されず、両者は一体不可分ではなく分離可能になされていてもよい。また、サブレイヤー29と前側表面シート28とは、接着剤によって互いに接合されていてもよい。あるいは、サブレイヤー29と前側表面シート28とは、互いに接合されず、両者は一体不可分ではなく分離可能になされていてもよい。
【0029】
図3及び
図4(b)に示すとおり、前側吸収性本体20の肌対向面側における両側部には、縦方向Xに沿って延びる一対の前側立体カフ50,50が配されている。
前側立体カフ50は、矩形状の前側カフ形成用シート51と、縦方向Xに伸長可能な第1弾性部材52とを含んで構成されている。前側立体カフ50は、一枚の前側カフ形成用シート51を二つ折りにし、相対向した二枚の前側カフ形成用シート51どうしを接合することによって形成されている。相対向した二枚の前側カフ形成用シート51の間には、第1弾性部材52が配されている。
前側パッド2に含まれる各種の弾性部材としては、この種の吸収性物品に通常用いられる弾性材料を特に制限なく用いることができる。このような弾性材料としては、例えば糸ゴム又は平ゴム等を用いることができる。
【0030】
前側立体カフ50は、該前側立体カフ50が前側裏面シート22と前側表面シート28とによって接合された前側基端部53と、前側基端部53から離間した位置にある前側自由端部54とを有している。前側基端部53及び前側自由端部54はいずれも縦方向Xに沿って延び且つ互いに略平行になっている。二つ折りされた前側カフ形成用シート51の折り線部の位置に、前側自由端部54が存在している。前側自由端部54には、第1弾性部材52が該前側自由端部54に沿って配されている。
前側基端部53は、平面視において、前側吸収体21よりも横方向Y外方に位置している。前側自由端部54は、平面視において、前側吸収体21と重なる位置に配されている。つまり、前側立体カフ50は、その内面が前側表面シート28と対向するように、横方向Yの内方へ向けての倒伏性向を有している。装着状態において、横方向Yの内方へ向けて倒伏した前側立体カフ50が着用者の尿道口近傍の肌に密着することで、尿をより速やかに吸収することができる。
【0031】
図4(b)及び(c)に示すとおり、前側立体カフ50は、前側パッド2の縦方向Xの少なくとも中央域で起立して且つ弾性伸縮性を発現する前側起立部50sと、該前側起立部50sよりも股下側に位置し且つ弾性伸縮性を発現しない前側非起立部50tとを有している。前側起立部50sにおいて、前側立体カフ50は、おむつ1の着用状態において、前側基端部53を起立点として前側自由端部54が着用者の肌側に起立し、且つ横方向Yの内方に屈曲するようになされている。
前側非起立部50tにおいて、前側カフ形成用シート51は、その大部分が前側表面シート28の肌対向面に接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。前側カフ形成用シート51の端部は、後述する前側股下横伸縮部材30の肌対向面に接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。それによって、前側非起立部50tは起立性を有していない。本実施形態の前側非起立部50tは、その非肌対向面側に前側表面シート28及び前側股下横伸縮部材30が配され、該前側表面シート28及び該前側股下横伸縮部材30によって前側吸収性本体20に接合されている。
図4(c)では、前側股下横伸縮部材30の構造を図示する関係で、前側股下横伸縮部材形成シート31,31どうしの間に隙間が生じているが、実際の前側股下横伸縮部材形成シート31,31どうしは互いに接触している。
【0032】
図4(b)に示すとおり、前側吸収性本体20の肌対向面側における、一対の前側立体カフ50よりも横方向Y外方に、一対の前側レッグカフ55,55が配されている。前側レッグカフ55は、縦方向Xに沿って延び且つおむつ1における着用者の脚周りに対応する部位である前側パッド2の両側縁部に形成されている。かかる両側縁部は、前側立体カフ50よりも横方向Y外方に位置している。前側レッグカフ55は、前側立体カフ50から横方向Y外方に延出した複数のシート及び前側股下横伸縮部材形成シート31と、これらシート間に縦方向Xに伸長状態で固定された第2弾性部材56とを含む。
前側レッグカフ55は、平面視において前側起立部50sの横方向Y外方に位置する領域では、前側立体カフ50から横方向Y外方に延出した前側カフ形成用シート51、前側裏面シート22及び前側外装シート23により形成され、該前側カフ形成用シート51と該前側裏面シート22との間に、縦方向Xに延びる第2弾性部材56を具備している。
前側レッグカフ55は、平面視において前側非起立部50tの横方向Y外方に位置する領域では、前側立体カフ50から横方向Y外方に延出した前側カフ形成用シート51、前側股下横伸縮部材形成シート31を含む前側股下横伸縮部材30、前側裏面シート22及び前側外装シート23により形成され、該前側カフ形成用シート51と該前側股下横伸縮部材形成シート31との間に、縦方向Xに延びる第2弾性部材56を具備している。
すなわち前側レッグカフ55は、前側カフ形成用シート51によって前側立体カフ50と一体的に形成されている。
これらに代えて前側レッグカフ55は、前側立体カフ50よりも横方向Y外方に延出した前側裏面シート22及び前側外装シート23と、これらシート22,23間に固定された第2弾性部材56とを含んでいてもよい。
【0033】
図3に示すとおり、前側レッグカフ55は、第2弾性部材56によって弾性伸縮性を発現する前側外側伸縮部55sを有している。前側外側伸縮部55sでは、縦方向Xに第2弾性部材56が収縮することで、レッグギャザーが形成される。
前側外側伸縮部55sには、縦方向Xに延びる複数の第2弾性部材56が横方向Yに間隔を空けて配されている。
【0034】
前側吸収性本体20は、肌対向面側から平面視したとき、縦方向Xに沿う両側縁が前側カフ形成用シート51によって形成されている。この前側カフ形成用シート51は、前側吸収体21の横方向Y外方において、前側裏面シート22及び前側外装シート23とともに、前側サイドフラップ部(図示せず)を形成している。前側サイドフラップ部は、前側吸収性本体20において前側吸収体21よりも横方向Y外方に延出した部分である。前側股下横伸縮部材30及び前側胴回り部40は、前側サイドフラップ部よりも横方向Y外方に延出している。
【0035】
図3及び
図4(c)に示すとおり、前側パッド2は、股下域Cに前側股下横伸縮部材30を具備している。前側股下横伸縮部材30は、前側パッド2の少なくとも股下域Cに配されており、好ましくは前側股下横伸縮部材30の股下側の端縁が前側パッド2の第2端X2よりもウエスト側に配されている。これに代えて、前側股下横伸縮部材30の股下側の端縁が前側パッド2の第2端X2と略一致するように配されていてもよい。前側股下横伸縮部材30は、その肌対向面の全域が、前側表面シート28及び前側カフ形成用シート51に接合されている。前側股下横伸縮部材30は、その非肌対向面の全域が、前側裏面シート22に接合されている。前側股下横伸縮部材30とは、その構成材料として横方向Yに長い2枚の前側股下横伸縮部材形成シート31,31と、これら該シート31,31間に伸長状態で固定された第3弾性部材32とを備えている部材のことである。前側股下横伸縮部材30は、横方向Yの両側部それぞれに、横方向Yに延びる複数の第3弾性部材32を間欠的に有し、横方向Y中央部には該第3弾性部材32を有していない。したがって、前側股下横伸縮部材30は横方向Yの両側部にそれぞれ伸縮域を有する。前側股下横伸縮部材30の中央部は非伸縮域となっている。更に、
図3及び
図4(c)に示すとおり、第3弾性部材32は前側股下横伸縮部材形成シート31の横方向Yの側縁にまで達していないので、前側股下横伸縮部材30は、その側縁を含む側部域が非伸縮域となっている。前側股下横伸縮部材30は、横方向Y両側部に配された第3弾性部材32によって、該両側部において横方向Yに弾性伸縮性を有している。前記の「横方向Y中央部」は、前側吸収性本体20の横方向Y全長を三等分し、三領域に区分したときの中央の領域である。
【0036】
本実施形態の前側股下横伸縮部材30は、前側吸収性本体20よりも、より具体的には前側裏面シート22及び前側外装シート23よりも幅が大きい。あるいは、これに代えて、前側股下横伸縮部材30の両側縁は、前側吸収性本体20の両側縁と、より具体的には前側裏面シート22及び前側外装シート23の両側縁と一致していてもよい。あるいは、これに代えて、前側股下横伸縮部材30は、前側吸収性本体20よりも、より具体的には前側裏面シート22及び前側外装シート23よりも幅が小さくてもよい。本実施形態の前側股下横伸縮部材30は、最大伸長状態において、前側レッグカフ55の横方向Y外縁(前側吸収性本体20の両側縁)よりも横方向Y外方に延出している。
【0037】
図3及び
図4(a)に示すとおり、前側パッド2は、そのウエスト域Wに前側胴回り部40を具備している。前側胴回り部40は、前側パッド2の少なくともウエスト域Wに配されており、好ましくは前側胴回り部40のウエスト側の端縁が前側パッド2の第1端X1よりも股下側に配されている。前側胴回り部40は、前側股下横伸縮部材30と同様に、横方向Yに長い2枚の前側胴回り部形成シート41,41と、これら該シート41,41間に伸長状態で固定された第4弾性部材42a,42bとを含む。前側胴回り部40は、横方向Yの両側部それぞれに、横方向Yに延びる複数の第4弾性部材42aを縦方向Xに間欠的に有している。前側胴回り部40は、横方向Y中央部には第4弾性部材42aを有していない。前側胴回り部40のうち左側(
図3中、紙面左側)に位置する第4弾性部材42aの横方向Yの長さは、前側胴回り部40のうち右側(
図3中、紙面右側)に位置する第4弾性部材42aの横方向Yの長さと一致している。前側胴回り部40のうち左側に位置する第4弾性部材42aは、その横方向Yの長さがそれぞれ一致している。前側胴回り部40のうち右側に位置する第4弾性部材42aは、その横方向Yの長さがそれぞれ一致している。また、前側胴回り部40は、股下側の端部に、横方向Yの一方から他方に延びる第4弾性部材42bを有している。
図3には第4弾性部材42bを一本のみ有している状態が示されているが、該第4弾性部材42bの本数は一本に限られず、複数本であってもよい。前側胴回り部40においては、股下側の端部に沿って連続的に配された第4弾性部材42bによって、該前側胴回り部40の全域が横方向Yの弾性伸縮性を発現している。
【0038】
図3に示すとおり、前側胴回り部40は、他の構成部材に固定された前側固定部43と、他の構成部材に固定されていない前側非固定部46とを有する。前側胴回り部40における前側胴回り部形成シート41が固定される前記「他の構成部材」は、該前側胴回り部形成シート41に対向配置される構成部材であり、例えば前側表面シート28、前側カフ形成用シート51等である。前側胴回り部形成シート41と他の構成部材とは、接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。
前側固定部43は、前側胴回り部形成シート41と他の構成部材との固定部が前側吸収性本体20の横方向Yの全長にわたって連続的に延在する前側連続固定部44と、前側連続固定部44よりも股下側に位置して前側連続固定部44に隣接し、前側胴回り部形成シート41と他の構成部材との固定部が横方向Yに間欠的に存在する前側不連続固定部45とを含む。前側不連続固定部45において、横方向Yに隣り合う一対の前側固定領域P1の間に前側非固定部46が位置している。
前側パッド2の着用状態又は自然状態では、第4弾性部材42a,42bの収縮により、前側胴回り部形成シート41の前側非固定部46が着用者の肌側に向かって起立する。それによって、前側パッド2には、起立した前側非固定部46とこれに対向する前側吸収性本体20とで画成された前側内部空間47と、股下側に向かって開口する前側開口部48とを有する前側ポケット部49が形成される。
おむつ1の着用状態において、前側パッド2の股下域Cに排泄された排泄物がウエスト域Wに移行した場合、該排泄物は、前側開口部48を介して前側ポケット部49の前側内部空間47に収容され得る。それによって、おむつ1から排泄物が漏れ出してしまうことを従来よりも抑制することができる。特に、本実施形態では、最も股下側に位置する第4弾性部材42bが前側胴回り部40の股下側の端部に沿って連続的に配されているので、該第4弾性部材42bの収縮によって、前側開口部48の起立性をより高めることができる。その結果、前側ポケット部49の内部空間がより大きくなり、おむつ1から排泄物が漏れ出してしまうことを更に抑制することができる。
【0039】
本実施形態の前側胴回り部40は、前側吸収性本体20よりも、更に具体的には前側裏面シート22及び前側外装シート23よりも幅が大きい。これにより前側胴回り部40は、最大伸長状態において、前側レッグカフ55の横方向Y外縁(前側吸収性本体20の両側縁)よりも横方向Y外方に延出している。また本実施形態の前側胴回り部40は、最大伸長状態において、前側股下横伸縮部材30よりも横方向Y外方に延出している。
【0040】
前側胴回り部40は、肌対向面側の前側胴回り部形成シート41における横方向Y中央部及び横方向Y両側部それぞれに、前側止着部43c,43s,43sを有している。より具体的には、前側胴回り部40は、その両側部に位置する第4弾性部材42aどうし間であり、且つ股下側に位置する第4弾性部材42bよりもウエスト側に前側中央止着部43cを有し、該第4弾性部材42a,42bの横方向Y外方に前側サイド止着部43sを有している。これら前側止着部43c,43s,43sは、前側胴回り部40の肌対向面側に配されている。
前側サイド止着部43sは、前側胴回り部形成シート41の両側縁に沿って延びており、前側中央止着部43cは、横方向Yに延びている。これら前側止着部43c,43s,43sは、機械的面ファスナーのオス部材を肌対向面に有している。これにより前側止着部43c,43s,43sは、後述する後側パッド3の胴回りベルト80の非肌対向面に脱着自在に止着可能となっている。
【0041】
前側パッド2は非肌対向面に、機械的面ファスナーのメス部材(図示せず)を有し、該非肌対向面に、後述する後側パッド3の股下止着部70c(
図5参照)が脱着自在に止着可能となっている。このメス部材の素材は、股下止着部70cのオス部材の形状に応じて選択することができる。本実施形態の前側パッド2は、非肌対向面が前側外装シート23によって形成されており、該前側外装シート23が係合性に富む不織布からなる。
【0042】
次に、後側パッド3について詳細に説明する。
図5に示す後側パッド3は、最大伸長状態において、一方向に長い形状をなしている。後側パッド3は、後述する胴回りベルト80以外の部分が、横方向Y全長を二等分して縦方向Xに延びる横中心線(図示せず)に対し、線対称な外形形状を有している。後側パッド3は、使用時にその縦方向Xを、着用者の身長方向に一致させる。
【0043】
図5並びに
図6(a)ないし(c)に示すとおり、後側パッド3は、後側吸収性本体60と、後側吸収性本体60の肌対向面側に配置された後側股下横伸縮部材70と、後側吸収性本体60の肌対向面側に配置された胴回りベルト80とを備えている。
後側吸収性本体60のウエスト側の端縁は、後側パッド3の第1端X3と一致している。後側吸収性本体60の股下側の端縁は、後側パッド3の第2端X4と一致している。後側吸収性本体60は、後側パッド3の主体をなしている。
着用者の臀部を広く被覆する観点から、後側吸収性本体60は、前側吸収性本体20よりも大きい寸法を具備している。かかる構成は、両吸収性本体20,60が具備する各部材(吸収体や裏面シート等)にも適用される。
【0044】
本実施形態の前側パッド2及び後側パッド3は、その展開且つ最大伸長状態において、後側パッド3の第2端X4の長さが、前側パッド2の第2端X2の長さよりも長くなっている。一方、前側パッド2及び後側パッド3は、その自然状態において、前側パッド2の第2端X2の長さと後側パッド3の第2端X4の長さとが略一致するようになされている。前側パッド2及び後側パッド3の装着状態では、レッグ開口部LOにおいて、前側パッド2の側縁と後側パッド3の側縁とがそれぞれ略一致する。それによって、前側レッグカフ55と後側レッグカフ95とが同一線上に連続して位置するようになり、両レッグカフ55,95の位置ズレに起因する隙間が脚周りに生じにくくなる。その結果、脚周りの隙間から排泄物が漏れ出すことを抑制できる。更に、前側パッド2及び後側パッド3を伸ばすとき、例えば両パッド2,3を着用者に装着するとき、該着用者の臀部を広く被覆することが容易に行える。このような寸法の変化は、前側パッド2及び後側パッド3の構成に起因している。
具体的には、前側パッド2は、その少なくとも股下域Cに第3弾性部材32を含む前側股下横伸縮部材30を具備している。第3弾性部材32が伸縮することにより前側パッド2の股下域Cが横方向Yに収縮することができ、それによって前側パッド2の自然状態における第2端X2の長さは、該前側パッド2の展開且つ最大伸長状態における第2端X2の長さよりも短くなっている。
後側パッド3は、後述するとおり、その少なくとも股下域Cに第7弾性部材72a,72bを含む後側股下横伸縮部材70を具備している。第7弾性部材72a,72bが伸縮することにより後側パッド3の股下域Cが横方向Yに収縮することができ、それによって後側パッド3の自然状態における第2端X4の長さは、該後側パッド3の展開且つ最大伸長状態における第2端X4の長さよりも短くなっている。
前側パッド2及び後側パッド3がこのような構成を有することで、両パッドの両パッド2,3の自然状態において、前側パッド2の第2端X2の長さと後側パッド3の第2端X4の長さとが略一致するようになされている。
前側パッド2及び後側パッド3は、その装着状態において、前側パッド2の第2端X2の長さと後側パッド3の第2端X4の長さとが略一致するようになされていてもよい。あるいは、前側パッド2及び後側パッド3は、その装着状態において、後側パッド3の第2端X4の長さが、前側パッド2の第2端X2の長さよりも長くなっていてもよい。
【0045】
前側パッド2及び後側パッド3をこのように構成するためには、例えば後側股下横伸縮部材70の収縮力を前側股下横伸縮部材30の収縮力に比べて大きくしたり(例えば後述する第7弾性部材72a,72bの伸長倍率を高める、繊度の高い弾性体を第7弾性部材72a,72bに用いる、第7弾性部材72a,72bの長さ及び本数を多くする等)、後側パッド3の股下域Cの構成部材に前側パッド2の股下域Cの構成部材に比べて剛性の低い素材を用いたりすればよい。
【0046】
後側吸収性本体60は、後側吸収体61と、後側吸収体61の非肌対向面側に配置された後側裏面シート62と、後側裏面シート62の非肌対向面側に配置された後側外装シート63とを備えている。
【0047】
後側外装シート63は、後側吸収性本体60において、ウエスト域W及び股下域Cの全域に連続して配置されている。後側外装シート63の周縁は、後側吸収性本体60の輪郭を形成している。
後側外装シート63は、後側裏面シート62が後側吸収体61と対向する面と反対側の面に、接着剤等の公知の接合手段によって直接接合されている。
後側外装シート63としては、例えば不織布等を用いることができる。
【0048】
後側裏面シート62は、後側吸収体61の非肌対向面側であり、且つ後側外装シート63の肌対向面側に位置している。後側裏面シート62は、後側吸収性本体60において、ウエスト域W及び股下域Cの全域に連続して配置されている。後側裏面シート62は、後側外装シート63と略同じ大きさを有している。後側裏面シート62の縦方向Xの両端縁は、後側外装シート63の縦方向Xの両端縁とそれぞれ一致している。後側裏面シート62の両側縁は、後側外装シート63の両側縁とそれぞれ一致している。後側裏面シート62の周縁は、後側外装シート63と同様に、後側吸収性本体60の輪郭を形成している。
後側裏面シート62は、後側外装シート63と接合された状態で、後側吸収体61の非肌対向面に、接着剤等の公知の接合手段によって直接接合されている。
後側裏面シート62としては、例えば液不透過性若しくは液難透過性又は撥水性のシートを用いることができる。
【0049】
後側吸収体61は、便等の排泄物を吸収保持する機能を有する。後側吸収体61は、縦方向Xに長い形状をなし、その長手方向を縦方向Xに一致させて、ウエスト域Wから股下域Cまで縦方向Xに延在している。後側吸収体61は、後側吸収性コア64を備えている。後側吸収性コア64は、例えば吸水性繊維を含み且つ吸水性ポリマーを非含有である積繊体及びシートであり得る。また後側吸収性コア64は、吸水性繊維又は吸水性ポリマーの粒子を含む積繊体であり得る。また後側吸収性コア64は、吸水性繊維を含む2枚のシート間に、吸水性ポリマーの粒子が保持されてなるシート材であり得る。「吸水性ポリマーを非含有」とは、後側吸収性コア64に意図的に吸水性ポリマーを含有させないが、例えば吸水性ポリマーに由来するポリマーの微小粒子などが該後側吸収性コア64に不可避的に混入することは許容することを意味する。
吸水性繊維としては、上述した前側吸収体21における吸水性繊維と同様の構成材料を用いることができる。後側吸収体61における吸水性繊維として、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。前側吸収体21における吸水性繊維と、後側吸収体61における吸水性繊維とは、同種であってもよく、異種であってもよい。
【0050】
図7(b)に示すとおり、後側吸収性コア64は、後側パッド3における横方向Yの中央域に位置し且つ縦方向Xに延びる低坪量部65と、低坪量部65よりも坪量が高い高坪量部66とを有している。高坪量部66は、縦方向Xの両端のうち、おむつ1の着用状態において着用者のウエスト側に位置する第1端66aを有する。また、高坪量部66は、着用者の股下側に位置する第2端65bを有する。
【0051】
低坪量部65は、例えば後側吸収性コア64の構成材料を高坪量部66よりも少なく配置したり、あるいは後側吸収性コア64の構成材料を一切配置しないことによって形成することができる。つまり低坪量部65の坪量はゼロであってもよい。低坪量部65を、例えば後述する排泄物を収容するポケットのように機能させ、該排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制する観点から、低坪量部65には、後側吸収性コア64の構成材料が一切配置されていないことが好ましい。また、高坪量部66は、例えば後側吸収性コア64の構成材料を低坪量部65よりも多く配置したり、同一又は異なる坪量を有する吸収体を複数個配置することによって形成することができる。本実施形態において、高坪量部66は単層構造の吸収体からなり、低坪量部65には後側吸収性コア64の構成材料が一切配置されていない。
【0052】
後側吸収性コア64は、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域が後側コアラップシート67によって被覆されている。後側コアラップシート67は、低坪量部65及び高坪量部66を、一枚又は上下2枚で被覆している。後側コアラップシート67としては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、親水性繊維を含むエアレイド不織布又はスパンレース不織布、液透過性を有する不織布などを用いることができる。後側コアラップシート67として吸水性の高いシートを用いた場合、低坪量部65に収容された排泄物の水分を吸水でき、排泄物の漏れ出しを一層抑制できるので好ましい。本明細書において「吸水性の高いシート」とは、クレム吸水高さが30mm以上であるシートをいう。クレム吸水高さは、JIS P8141の試験方法に準じて測定することができる。測定は、測定対象のシートを幅15mm、長さ100mm以上の寸法にカットして行う。
【0053】
図6(b)に示すとおり、後側吸収性本体60は、後側吸収体61の肌対向面側に配置された後側表面シート68を更に含んでいる。後側表面シート68は、後側吸収性本体60において、ウエスト域W及び股下域Cの全域に連続して配置されている。
後側表面シート68は、後側吸収体61の少なくとも肌対向面を被覆しており、おむつ1の着用状態において着用者の肌と接触する。
図6(b)に示すとおり、後側表面シート68は、後側吸収体61各側縁から横方向Y外方へ延出する一対の側方延出部68S,68Sを有する。側方延出部68Sは、それぞれ、後側吸収体61の側面を被覆している。本実施形態の側方延出部68Sは、後側吸収性コア64の高坪量部66の横方向Y外方の両側縁をそれぞれ被覆している。側方延出部68Sの端部は、横方向Y外方へ延びており、後側裏面シート62の肌対向面に、接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。したがって、後側吸収体61の非肌対向面は、後側表面シート68によって被覆されていない。後側表面シート68は、単層構造でもよく、あるいは1種又は2種以上の層が複数積層された積層構造でもよい。本実施形態の後側表面シート68においては、平面視において、後側吸収体61と重なる位置に開孔部及び凹凸部(図示せず)が形成されている。開孔部は、凹凸部における凹部に設けられている。
後側表面シート68としては、例えば液透過性のシートを用いることができる。
【0054】
図5及び
図6(b)に示すとおり、後側吸収性本体60の肌対向面側における両側部には、縦方向Xに沿って延びる一対の後側立体カフ90,90が配されている。
後側立体カフ90は、矩形状の後側カフ形成用シート91と、縦方向Xに伸長可能な第5弾性部材92とを含んで構成されている。後側立体カフ90は、一枚の後側カフ形成用シート91を二つ折りにし、相対向した二枚の後側カフ形成用シート91どうしを接合することによって形成されている。相対向した二枚の後側カフ形成用シート91の間には、第5弾性部材92が配されている。
後側パッド3に含まれる各種の弾性部材としては、この種の吸収性物品に通常用いられる弾性材料を特に制限なく用いることができる。このような弾性材料としては、例えば糸ゴム又は平ゴム等を用いることができる。
【0055】
図6(b)に示すとおり、後側立体カフ90は、該後側立体カフ90が後側裏面シート62と後側表面シート68とによって接合された後側基端部93と、後側基端部93から離間した位置にある後側自由端部94とを有している。後側基端部93及び後側自由端部94はいずれも縦方向Xに沿って延び且つ互いに略平行になっている。二つ折りされた後側カフ形成用シート91の折り線部の位置に、後側自由端部94が存在している。後側自由端部94には、第5弾性部材92が該後側自由端部94に沿って配されている。
後側基端部93は、平面視において、後側吸収体61と重なる位置に配されている。後側自由端部94は、平面視において、後側吸収体61よりも横方向Y外方に位置している。つまり、後側立体カフ90は、その外面が後側基端部93と対向するように、横方向Yの外方へ向けての倒伏性向を有している。装着状態において、横方向Yの外方へ向けて倒伏した後側立体カフ90が肛門から離れる方向に延在するので、後側自由端部94を肌に密着させつつ便を収容する空間を確保して、便の横漏れをより抑制することができる。
【0056】
後側立体カフ90は、後側パッド3の縦方向Xの少なくとも中央域で起立して且つ弾性伸縮性を発現する後側起立部90sと、該後側起立部90sよりも股下側に位置し且つ弾性伸縮性を発現しない後側非起立部90tとを有している。後側起立部90sにおいて、後側立体カフ90は、おむつ1の着用状態において、後側基端部93を起立点として後側自由端部94が着用者の肌側に起立し、且つ横方向Yの外方に屈曲するようになされている。
後側非起立部90tにおいて、後側カフ形成用シート91は、後側表面シート68の肌対向面に接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。それによって、後側非起立部90tは起立性を有していない。本実施形態の後側非起立部90tは、その肌対向面側に後側股下横伸縮部材70が配され、該後側股下横伸縮部材70によって後側吸収性本体60に接合されている。
図6(c)では、後側立体カフ90の構造を図示する関係で、後側股下横伸縮部材70と後側表面シート68との間に隙間が生じているが、実際の後側股下横伸縮部材70と後側表面シート68とは互いに接触している。これと同様に、後述する後側股下横伸縮部材形成シート71,71どうしも互いに接触している。
【0057】
図5及び
図6(b)に示すとおり、後側吸収性本体60の肌対向面側における、一対の後側立体カフ90よりも横方向Y外方には、一対の後側レッグカフ95,95が配されている。後側レッグカフ95は、縦方向Xに沿って延び且つおむつ1における着用者の脚周りに対応する後側パッド3の両側縁部に形成されている。かかる両側縁部は、後側立体カフ90よりも横方向Y外方に位置している。後側レッグカフ95は、後側立体カフ90から横方向Y外方に延出した複数のシートと、これらシート間に縦方向Xに伸長状態で固定された第6弾性部材96とを含む。
後側レッグカフ95は、後側立体カフ90から横方向Y外方に延出した後側カフ形成用シート91、後側裏面シート62及び後側外装シート63により形成され、該後側カフ形成用シート91と該後側裏面シート62との間に、縦方向Xに延びる第6弾性部材96を具備している。すなわち後側レッグカフ95は、後側カフ形成用シート91によって後側立体カフ90と一体的に形成されている。
これに代えて後側レッグカフ95は、後側立体カフ90よりも横方向Y外方に延出した後側裏面シート62及び後側外装シート63と、これらシート62,63間に固定された第6弾性部材96とを含んでいてもよい。
【0058】
後側レッグカフ95は、第6弾性部材96によって弾性伸縮性を発現する後側外側伸縮部95sを有している。後側外側伸縮部95sでは、縦方向Xに第6弾性部材96が収縮することで、レッグギャザーが形成される。
後側外側伸縮部95sには、縦方向Xに延びる複数の第6弾性部材96が横方向Yに間隔を空けて配されている。
【0059】
後側吸収性本体60は、肌対向面側から平面視したとき、縦方向Xに沿う両側縁を後側カフ形成用シート91が形成している。この後側カフ形成用シート91は、後側吸収体61の横方向Y外方において、後側裏面シート62及び後側外装シート63とともに、サイドフラップ部(図示せず)を形成している。サイドフラップ部は、後側吸収性本体60において後側吸収体61よりも横方向Y外方に延出した部分である。後側股下横伸縮部材70及び胴回りベルト80は、サイドフラップ部よりも横方向Y外方に延出している。
【0060】
図5及び
図6(c)に示すとおり、後側パッド3は、股下域の肌対向面側に後側股下横伸縮部材70を具備している。後側股下横伸縮部材70は、後側パッド3の少なくとも股下域Cに配されており、好ましくは後側股下横伸縮部材70の股下側の端縁が後側パッド3の第2端X4と略一致するように配されている。後側股下横伸縮部材70は、横方向Yに長い2枚の後側股下横伸縮部材形成シート71,71と、これら該シート71,71間に伸長状態で固定された第7弾性部材72a,72bとを含む。後側股下横伸縮部材70は、横方向Yの両側部それぞれに、横方向Yに延びる複数の第7弾性部材72aを間欠的に有している。後側股下横伸縮部材70は、横方向Y中央部には第7弾性部材72aを有していない。後側股下横伸縮部材70のうち左側(
図5中、紙面左側)に位置する第7弾性部材72aの横方向Yの長さは、後側股下横伸縮部材70のうち右側(
図5中、紙面右側)に位置する第7弾性部材72aの横方向Yの長さと一致している。後側股下横伸縮部材70のうち左側に位置する第7弾性部材72aは、その横方向Yの長さがそれぞれ一致している。後側股下横伸縮部材70のうち右側に位置する第7弾性部材72aは、その横方向Yの長さがそれぞれ一致している。また、後側股下横伸縮部材70は、ウエスト側の端部に、横方向Yの一方から他方に延びる第7弾性部材72bを有している。
図5には第7弾性部材72bを一本のみ有している状態が示されているが、該第7弾性部材72bの本数は一本に限られず、複数本であってもよい。後側股下横伸縮部材70においては、ウエスト側の端部に沿って連続的に配された第7弾性部材72bによって、該後側股下横伸縮部材70の全域が横方向Yの弾性伸縮性を発現している。
【0061】
後側股下横伸縮部材70は、他の構成部材に固定された後側第2固定部73と、他の構成部材に固定されていない後側第2非固定部76とを有する。後側股下横伸縮部材70における後側股下横伸縮部材形成シート71が固定される前記「他の構成部材」は、該後側股下横伸縮部材形成シート71に対向配置される構成部材であり、例えば後側表面シート68、後側カフ形成用シート91等である。
図5及び
図6(c)に示すとおり、本実施形態の後側第2固定部73において、後側股下横伸縮部材形成シート71が後側立体カフ90の肌対向面に接合されている。後側第2固定部73において、後側股下横伸縮部材形成シート71と後側カフ形成用シート91とが接合された領域が、後側非起立部90tである。後側股下横伸縮部材形成シート71と他の構成部材とは、接着剤等の公知の接合手段によって接合されている。
後側第2固定部73は、後側股下横伸縮部材形成シート71と他の構成部材との固定部が後側吸収性本体60の横方向Yの全長にわたって連続的に延在する後側第2連続固定部74と、後側第2連続固定部74よりもウエスト側に位置して後側第2連続固定部74に隣接し、後側股下横伸縮部材形成シート71と他の構成部材との固定部が横方向Yに間欠的に存在する後側第2不連続固定部75とを含む。後側第2不連続固定部75において、横方向Yに隣り合う一対の後側第2固定領域P2の間に後側第2非固定部76が位置している。
後側パッド3の着用状態又は自然状態では、第7弾性部材72a,72bの収縮により、後側股下横伸縮部材形成シート71の後側第2非固定部76が着用者の肌側に向かって起立する。それによって、後側パッド3には、起立した後側第2非固定部76とこれに対向する後側吸収性本体60とで画成された後側第2内部空間77と、ウエスト側に向かって開口する後側第2開口部78とを有する後側第2ポケット部79が形成される。
おむつ1の着用状態において、後側パッド3の股下域Cに排泄された排泄物は、後側第2開口部78を介して後側第2ポケット部79の後側第2内部空間77に収容され得る。それによって、おむつ1から排泄物が漏れ出してしまうことを従来よりも抑制することがでる。特に、本実施形態では、後側股下横伸縮部材形成シート71が、横方向Yの外方へ向けて倒伏した後側立体カフ90の後側自由端部94上に接合されているので、後側第2開口部78の起立性をより高めることができる。その結果、後側第2ポケット部79の後側第2内部空間77がより大きくなり、おむつ1から排泄物が漏れ出してしまうことを一層抑制することができる。
【0062】
本実施形態の後側股下横伸縮部材70の両側縁は、後側吸収性本体60の両側縁と略一致するように配されている。後側股下横伸縮部材70の股下側の端縁は、後側吸収性本体60の股下側の端縁と、すなわち後側パッド3の第2端X4と略一致するように配されている。
【0063】
図5に示すとおり、後側股下横伸縮部材70は、肌対向面側の後側股下横伸縮部材形成シート71における横方向Y中央部に、股下止着部70cを有している。より具体的には、後側股下横伸縮部材70は、その両側部に位置する第7弾性部材72aどうしの間であり、且つウエスト側に位置する第7弾性部材72bよりも股下側に股下止着部70cを有している。股下止着部70cは、横方向Yに延びている。この股下止着部70cは、機械的面ファスナーのオス部材を肌対向面に有している。これにより後側パッド3は、股下止着部70cにより、前側パッド2の非肌対向面(前側外装シート23)に脱着自在に止着可能となっている。
【0064】
図5及び
図6(a)に示すとおり、後側パッド3は、そのウエスト域Wに胴回りベルト80を具備している。
胴回りベルト80は、該ベルト80の横方向Y中央部に位置し且つ横方向Yに延びる中央シート部81と、該中央シート部81の横方向Y両側に配された一対の伸縮パネル81p,81pと、一方の伸縮パネル81pの横方向Y外方に設けられた連結止着シート部81sと、他方の伸縮パネル81pの横方向Y外方に設けられた連結被止着シート部81tとを具備する。
図5に示す胴回りベルト80は、左側から右側に向かって、連結被止着シート部81t、伸縮パネル81p、中央シート部81、伸縮パネル81p、及び連結止着シート部81sが横方向Yに沿って連なっている。連結被止着シート部81t、一対の伸縮パネル81p,81p、中央シート部81、及び連結止着シート部81sそれぞれは、不織布等の繊維シートで形成されている。
これに代えて、胴回りベルト80は、中央シート部81を具備せずに、一対の伸縮パネル81p,81p、連結止着シート部81s及び連結被止着シート部81tから形成されていてもよい。
【0065】
本実施形態の胴回りベルト80において、中央シート部81のウエスト側の端縁は、後側パッド3の第1端X3と一致している。一対の伸縮パネル81pは、ウエスト側の端縁が、後側パッド3の第1端X3よりも股下側に位置している。連結被止着シート部81tは、ウエスト側の端縁が伸縮パネル81pのウエスト側の端縁と一致しており、股下側の端縁が伸縮パネル81pの股下側の端縁と一致している。連結止着シート部81sは、ウエスト側の端縁が伸縮パネル81pのウエスト側の端縁よりも股下側に位置しており、股下側の端縁が伸縮パネル81pの股下側の端縁よりもウエスト側に位置している。したがって、連結被止着シート部81tのウエスト側の端縁と伸縮パネル81pのウエスト側の端縁とは一致しているものの、該伸縮パネル81p、中央シート部81、連結止着シート部81s具備する伸縮パネル81p及び連結止着シート部81sは、ウエスト側におけるこれらの端縁が一致していない。
これに代えて、一対の伸縮パネル81pのウエスト側の端縁が、後側パッド3の第1端X3と一致していてもよい。それに加えて、連結被止着シート部81tのウエスト側の端縁が、伸縮パネルの81pのウエスト側の端縁と一致していてもよい。それに加えて、連結止着シート部81sのウエスト側の端縁が、伸縮パネルの81pのウエスト側の端縁と一致していてもよい。
【0066】
図5に示す中央シート部81は、後側吸収性本体60の肌対向面側におけるウエスト側の端部に位置している。中央シート部81は、横方向Yに長い2枚のシート82aと、これらシート82a間に伸長状態で固定された第8弾性部材82bとを具備する。伸縮パネル81pでは、横方向Yに延びる複数の第8弾性部材82bが、縦方向Xに間欠的に配置されている。第8弾性部材82bは、股下側の端部に沿って連続的に、横方向Yの一方から他方に延びるように配されている。伸縮パネル81pにおいては、股下側の端部に配された第8弾性部材82bによって、横方向Yの弾性伸縮性を発現している。
【0067】
胴回りベルト80における中央シート部81は、後側股下横伸縮部材70と同様に、他の構成部材に固定された後側第1固定部83と、他の構成部材に固定されていない後側第1非固定部86とを有する。中央シート部81におけるシート82aが固定される前記「他の構成部材」は、該シート82aに対向配置される構成部材であり、例えば後側表面シート68、後側カフ形成用シート91等である。シート82aと他の構成部材とは、接着剤、融着、超音波等の公知の接合手段によって接合されている。
【0068】
後側第1固定部83は、中央シート部81と他の構成部材との固定部が後側吸収性本体60の横方向Yの全長にわたって連続的に延在する後側第1連続固定部84と、後側第1連続固定部84よりも股下側に位置して後側第1連続固定部84に隣接し、中央シート部81と他の構成部材との固定部が横方向Yに間欠的に存在する後側第1不連続固定部85とを含む。後側第1不連続固定部85において、横方向Yに隣り合う一対の後側第1固定領域P3の間に後側第1非固定部86が位置している。
【0069】
後側パッド3の着用状態又は自然状態では、第8弾性部材82bの収縮により、中央シート部81の後側第1非固定部86が着用者の肌側に向かって起立する。それによって、後側パッド3には、起立した後側第1非固定部86とこれに対向する後側吸収性本体60とで画成された後側第1内部空間87と、股下側に向かって開口する後側第1開口部88とを有する後側第1ポケット部89が形成される。
【0070】
おむつ1の着用状態において、後側パッド3の股下域Cに排泄された排泄物がウエスト域Wに移行した場合、該排泄物は、後側第1開口部88を介して後側第1ポケット部89の後側第1内部空間87に収容され得る。それによって、おむつ1から排泄物が漏れ出してしまうことを従来よりも抑制することができる。
【0071】
図5に示す連結被止着シート部81tは、一方の伸縮パネル81pの横方向Y外方端部と、接着剤、融着、超音波等の公知の接合手段によって接合されている。連結被止着シート部81tの非肌対向面は、後側外装シート63と同様に、係合性に富む不織布からなる。すなわち、連結被止着シート部81tは、非肌対向面に機械的面ファスナーのメス部材を有している。
図5に示す連結止着シート部81sは、肌対向面の横方向外方端部に、機械的面ファスナーのオス部材を有する止着部81dを有している。また連結止着シート部81sの非肌対向面も、係合性に富む不織布からなる。すなわち、連結止着シート部81sは、非肌対向面に機械的面ファスナーのメス部材を有している。
【0072】
連結止着シート部81sの止着部81dは、連結被止着シート部81tの非肌対向面に脱着自在に止着可能となっている。連結止着シート部81sの止着部81dを連結被止着シート部81tに止着することで、胴回りベルト80が環状となる。かかる環状の状態において、連結止着シート部81s及び連結被止着シート部81tそれぞれの非肌対向面は、前記のメス部材を有しているので、前側パッド2の前側胴回り部40に設けられた前側中央止着部43c及び前側サイド止着部43sが脱着自在に止着可能となっている。これにより、環状の胴回りベルト80に、前側パッド2のウエスト側の端部を取り付けることができる。
また、環状の胴回りベルト80は、一対の伸縮パネル81pが周方向に伸縮するので、着用者の腰周りに良好にフィットする。
【0073】
おむつ1の使用例は
図2に示すとおりである。おむつ1は、前側パッド2と後側パッド3とを上述した止着部を介して連結可能になされているため、従来のおむつに比べて環境に対する負荷が低減されている。
従来のおむつは、着用者の腹側に対応する部分(前側パッド相当部分)と着用者の背側に対応する部分(後側パッド相当部分)とが一体不可分に構成されているので、使用後のおむつ廃棄する場合、後側パッド相当部分が汚れていなくても、排泄物によって汚れた前側パッド相当部分とともに廃棄する必要があった。しかし、おむつ1は、前側パッド2と後側パッド3とが別個に構成されているので、使用後のおむつを廃棄する場合、排泄物によって汚れた一方のパッドのみを交換することができる。その結果、ごみの廃棄量や二酸化炭素排出量を低減でき、環境負荷の低減に貢献することができる。
【0074】
本発明のおむつは、前側パッド2と後側パッド3とにおける、吸収性コアの平均坪量の大小関係を特徴の一つとしている。具体的には、おむつ1は、前側パッド2において、前側吸収性コア24を縦方向Xに仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアの平均坪量が、着用者の股下側に位置する吸収性コアの平均坪量よりも小さいように構成されている。
おむつ1の着用状態において、前側パッド2は主として尿等の排泄物を吸収する役割を担っているところ、前側吸収性コア24の平均坪量がウエスト側で小さくなるように、すなわち股下側で大きくなるようにすることで、前側パッド2の股下側における液吸収能を向上させることができる。それによって、前側吸収性コア24が排泄物を効果的に吸収できるようになり、その結果、例えば前側パッド2と後側パッド3との連結部、おむつ1の横側等からの排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制することができる。更に、排泄物の漏れ出しが従来よりも抑制されることに起因して、該排泄物が前側パッド2と後側パッド3との連結部を介して、前側パッド2から後側パッド3へ移動しづらくなることから、排尿時に後側パッド3が汚れることを防ぐことができる。それによって、排尿時には前側パッド2のみを交換すれば足りるようになり、その結果、ごみの廃棄量を低減でき、環境負荷を低減することができる。
【0075】
前側吸収性コア24を縦方向Xに仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアを第1吸収性コアD1とし、着用者の股下側に位置する吸収性コアを第2吸収性コアD2とした場合、第2吸収性コアD2に対する第1吸収性コアD1の平均坪量の比は、好ましくは0.65以上であり、より好ましくは0.70以上であり、更に好ましくは0.75以上である。また、第2吸収性コアD2に対する第1吸収性コアD1の平均坪量の比は、好ましくは0.95以下であり、より好ましくは0.90以下であり、更に好ましくは0.85以下である。このような平均坪量の比を有することによって、排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制するとともに、環境負荷を低減することができる。
【0076】
排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制するとともに、環境負荷を低減する観点から、第1吸収性コアD1の平均坪量は、上述した平均坪量の比を満たすことを条件として、好ましくは200g/m2以上、より好ましくは300g/m2以上、更に好ましくは400g/m2以上である。また、第1吸収性コアD1の平均坪量は、上述した平均坪量の比を満たすことを条件として、好ましくは900g/m2以下、より好ましくは800g/m2以下、更に好ましくは700g/m2以下である。
【0077】
排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制するとともに、環境負荷を低減する観点から、第2吸収性コアD2の平均坪量は、上述した平均坪量の比を満たすことを条件として、好ましくは300g/m2以上、より好ましくは400g/m2以上、更に好ましくは500g/m2以上である。また、第2吸収性コアD2の平均坪量は、上述した平均坪量の比を満たすことを条件として、好ましくは1100g/m2以下、より好ましくは1000g/m2以下、更に好ましくは900g/m2以下である。
【0078】
本実施形態のおむつ1は、前側吸収性コア24の平均坪量が上述した関係にあることに加えて、又はそれに代えて後側吸収性コア64の平均坪量が以下の関係となるように構成されている。具体的には、おむつ1は、後側パッド3において、後側吸収性コア64を縦方向Xに仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアの平均坪量が、着用者の股下側に位置する吸収性コアの平均坪量よりも大きいように構成されている。
おむつ1の着用状態において、後側パッド3は主として便等の排泄物を吸収する役割を担っているところ、後側吸収性コア64の平均坪量がウエスト側で大きくなるように、すなわち股下側で小さくなるようにすることで、股下側に位置する吸収性コアは排泄物を収容するポケットの役割を担うようになる。それによって、後側パッド3の肌対向面側に排泄された排泄物が、後側パッド3の第2端W4側から第1端X3側へ移動しづらくなるので、第1端X3からの排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制することができる。また、排泄物が、例えば前側パッド2と後側パッド3との連結部、おむつ1の横側等から漏れ出すことも従来よりも抑制することができる。更に、排泄物の漏れ出しが従来よりも抑制されることに起因して、該排泄物が前側パッド2と後側パッド3との連結部を介して、後側パッド3から前側パッド2へ移動しづらくなることから、排便時に前側パッド2が汚れることを防ぐことができる。それによって、排便時には主として後側パッド3を交換すれば足りるようになり、その結果、ごみの廃棄量を低減でき、環境負荷を低減することができる。
【0079】
後側吸収性コア64を縦方向Xに仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアを第3吸収性コアD3とし、着用者の股下側に位置する吸収性コアを第4吸収性コアD4とした場合、第3吸収性コアD3に対する第4吸収性コアD4の平均坪量の比は、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.3以上であり、更に好ましくは0.4以上である。また、第3吸収性コアD3に対する第4吸収性コアD4の平均坪量の比は、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.85以下であり、更に好ましくは0.8以下である。このような平均坪量の比を有することによって、排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制するとともに、環境負荷を低減することができる。
【0080】
排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制するとともに、環境負荷を低減する観点から、第3吸収性コアD3の平均坪量は、上述した平均坪量の比を満たすことを条件として、好ましくは100g/m2以上、より好ましくは150g/m2以上、更に好ましくは200g/m2以上である。また、第3吸収性コアD3の平均坪量は、上述した平均坪量の比を満たすことを条件として、好ましくは600g/m2以下、より好ましくは500g/m2以下、更に好ましくは400g/m2以下である。
【0081】
排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制するとともに、環境負荷を低減する観点から、第4吸収性コアD4の平均坪量は、上述した平均坪量の比を満たすことを条件として、好ましくは50g/m2以上、より好ましくは100g/m2以上、更に好ましくは150g/m2以上である。また、第4吸収性コアD4の平均坪量は、上述した平均坪量の比を満たすことを条件として、好ましくは500g/m2以下、より好ましくは400g/m2以下、更に好ましくは300g/m2以下である。
【0082】
吸収性コアの平均坪量は、以下の方法で測定することができる。
まず、前側パッド及び後側パッドのそれぞれから、フェザー安全剃刃株式会社製片刃剃刀を用いて前側吸収性コア及び後側吸収性コアを取り出す。吸収性コアが積層構造である場合、該積層構造が崩れないように慎重に行う。得られた前側吸収性コア及び後側吸収性コアそれぞれを、吸収性コアの縦方向の長さが半分となる位置で、縦方向に二等分に切断する。吸収性コアが積層構造である場合、該積層構造も併せて切断する。吸収性コアが低坪量部を含む場合、「吸収性コアの縦方向の長さ」とは、低坪量部を含む長さである。切断して得られた吸収性コア片それぞれについて、質量を電子天秤(A&D社製電子天秤GR-300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定する。測定した質量を吸収性コア片それぞれの面積で除して該吸収性コア片の平均坪量を算出する。吸収性コアが低坪量部を含む場合、「吸収性コア片それぞれの面積」とは、低坪量部を含む面積である。算出された平均坪量を、前側パッド及び後側パッドにおける平均坪量とする。本実施形態において、具体的には、
図7(a)に示す前側吸収性コア24における「吸収性コア片それぞれの面積」とは、前側吸収性コア24の輪郭を形成する下層吸収性コア26を、該下層吸収性コア26の縦方向Xの長さが半分となる位置で縦方向Xに二等分して得られる第1吸収性コアD1の面積及び第2吸収性コアD2の面積である。
図7(b)に示す後側吸収性コア64における「吸収性コア片それぞれの面積」とは、後側吸収性コア64の輪郭の一部を形成する高坪量部66を、該高坪量部66の縦方向Xの長さが半分となる位置で縦方向Xに二等分した矩形それぞれの面積である。
【0083】
上述した平均坪量の比を達成するための好ましい実施形態としては、例えば(i)前側パッド及び後側パッドにおける吸収性コアに、所定の形状を採用する形態や、(ii)前側パッド及び後側パッドにおける吸収性コアの構成材料を、各部位で異ならせる形態が挙げられるがこれらに限られない。これらの実施形態は、いずれか一方を単独で採用してもよく、あるいは、これらを組み合わせて採用してもよい。おむつ1において、上述した平均坪量の比を容易に達成する観点から実施形態(i)を採用することが好ましい。
【0084】
以下に、実施形態(i)について説明するが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。まず、前側パッド2における前側吸収性コア24に関して説明する。
図7(a)に示すとおり、前側吸収性コア24は、上層吸収性コア25と、下層吸収性コア26とを含む2層構造になっている。
上層吸収性コア25は、上層第1部位25aと上層第2部位25bとから構成されている。上層第1部位25a及び上層第2部位25bは、ともに矩形をしている。上層第1部位25aと上層第2部位25bとはこの順で連接されており、ウエスト側に上層第1部位25aが位置し、股下側に上層第2部位25bが位置している。
矩形をなす上層第2部位25bは横方向Yに延びる長辺と、縦方向Xに延びる短辺を有している。上層第2部位25bの長辺の長さは、前側吸収性コア24における股下側の端縁の長さよりも短くなっている。
矩形をなす上層第1部位25aは横方向Yに延びる短辺と、縦方向Xに延びる長辺を有している。上層第1部位25aにおける短辺はその一部が、上層第2部位25bにおける長辺と共有されている。上層第1部位25aにおける短辺の長さは上層第2部位25bにおける長辺の長さよりも短くなっている。
上層第1部位25a及び上層第2部位25bからなる上層吸収性コア25をその全体で見たとき、上層第1部位25aと上層第2部位25bとの境界において、上層吸収性コア25の横方向Yの長さが変化している。
【0085】
上層吸収性コア25における上層第1部位25aの横方向Yの中央域には、該上層吸収性コア25を厚み方向に貫通する細幅の上層開口部25cが縦方向Xに延びるように形成されている。上層開口部25cの股下側の端縁は、上層第1部位25aの股下側の短辺よりもウエスト側に位置している。上層開口部25cのウエスト側の端縁は、上層第1部位25aのウエスト側の短辺よりも股下側に位置している。上層開口部25cは、吸収性コアが存在しない空間部であり、少なくとも前側パッドのウエスト域Wに配されている。
図3及び
図7(a)には上層開口部25cが上層第1部位25aの横方向Yの中央域にのみ形成されている状態が示されているが、該上層開口部25cの形成位置は該上層第1部位25aに限られない。上層開口部25cは、上層第2部位25bの横方向Yの中央域にのみ形成されていてもよい。あるいは、上層開口部25cは、上層第1部位25a及び上層第2部位25bの横方向Yの中央域に、これらを跨ぐように形成されていてもよい。
【0086】
下層吸収性コア26は、下層第1部位26aと下層第2部位26bとから構成されている。下層第1部位26aは矩形をしている。下層第2部位26bは扁平な六角形をしている。下層第1部位26aと下層第2部位26bとはこの順で連設されており、最もウエスト側に下層第1部位26aが位置し、最も股下側に下層第2部位26bが位置している。
矩形をなす下層第1部位26aは横方向Yに延びる長辺と、縦方向Xに延びる短辺を有している。
扁平な六角形をなす下層第2部位26bは、縦方向Xに延びる一対の側辺26c,26cと、横方向Yに延びる一対の端辺26d,26eと、側辺26cと端辺26dとを連結する一対の斜辺26f,26fとを有している。一対の側辺26c,26cは互いに平行であり且つ同じ長さになっている。一対の端辺26d,26eは互いに平行である。端辺26dは、端辺26eよりも短くなっている。下層第2部位26bにおける股下側の端辺26dは、前側吸収性コア24の股下側の端縁をなしている。
下層第1部位26aにおける長辺はその一部が、下層第2部位26bにおける端辺26eと共有されている。下層第1部位26aにおける長辺の長さは、下層第2部位26bにおける端辺26eの長さよりも長くなっている。下層第1部位26aにおけるウエスト側の長辺は、前側吸収性コア24のウエスト側の端縁をなしている。
【0087】
前側吸収性コア24にこのような形状を採用することによって、該前側吸収性コア24は上述した平均坪量の比を達成している。具体的には、
図7(a)に示すとおり、前側吸収性コア24を縦方向Xに二等分する直線を第1仮想直線A1としたとき、着用者のウエスト側に位置する第1吸収性コアD1の平均坪量が、着用者の股下側に位置する第2吸収性コアD2の平均坪量よりも小さくなっている。
【0088】
次に、後側パッドにおける吸収性コアに関して説明する。
図7(b)に示すとおり、後側吸収性コア64は、低坪量部65と高坪量部66とを有している。
高坪量部66は、後側第1部位64aと後側第2部位64bと後側第3部位64cとから構成されている。後側第1部位64a、後側第2部位64b及び後側第3部位64cは、いずれも矩形をしている。後側第1部位64aと後側第2部位64bと後側第3部位64cとはこの順で横方向Yに連接されており、後側第1部位64aと後側第3部位64cとの間に後側第2部位64bが位置している。
【0089】
図7(b)に示すとおり、矩形をなす後側第1部位64a、後側第2部位64b及び後側第3部位64cは、それぞれ、横方向Yに延びる横辺と、縦方向Xに延びる縦辺とを有している。
後側第1部位64a、後側第2部位64b及び後側第3部位64cにおけるウエスト側に位置する横辺は互いに共有されており、横方向Yに延びる直線66aをなしている。直線66aは、後側吸収性コア64のウエスト側に位置する第1端をなしている。
後側第1部位64a及び後側第3部位64cの横辺は同じ長さであり、後側第2部位64bの横辺よりも短くなっている。
後側第1部位64a及び後側第3部位64cの縦辺は同じ長さであり、後側第2部位64bの縦辺よりも長くなっている。
その結果、後側第1部位64a及び後側第3部位64cは、後側第2部位64bにおける股下側の横辺66bを越えて、股下側まで延びている。後側第1部位64a及び後側第3部位64cにおける股下側の横辺66cは、後側吸収性コア64の股下側に位置する第2端の一部をなしている。したがって、高坪量部66は、略逆U字形の形状をしている。
【0090】
横辺66cは、後側パッド3の第2端X4(
図5参照)まで延びているか、又はその近傍まで延びている。
図5及び
図7(b)では、横辺66cである第2端が、後側パッド3の第2端X4の近傍まで延びている状態が示されている。横辺66cと第2端X4との距離は例えば0mm以上60mm以下に設定することができる。
【0091】
図7(b)に示すとおり、高坪量部66の一部をなす後側第1部位64a及び後側第3部位64cは、後側第2部位64bの横辺66bを越えて股下側まで延びている。本実施形態では、後側第1部位64aと後側第3部位64cとの間に位置し、且つ後側第2部位64bの横辺66bよりも股下側に位置する矩形の領域が低坪量部65となる。
低坪量部65は、横方向Yに延びる横辺と、縦方向Xに延びる縦辺とを有している。
低坪量部65における股下側の横辺65bは、低坪量部65の股下側に位置する第2端をなしている。横辺65bの長さは、後側第2部位64bにおける股下側の横辺66bの長さと同じである。後側第1部位における股下側の横辺66cと低坪量部65の横辺65bと後側第3部位における股下側の横辺66cとは、後側吸収性コア64を縦方向Xに沿って見たときに同じ位置にある。すなわち、これらの横辺66c,65b,66cは、この順で横方向Yに同一直線上に位置しており、後側吸収性コア64の股下側に位置する第2端をなしている。横辺65bは、後側パッド3の第2端X4(
図5参照)まで延びているか、又はその近傍まで延びている。
図5及び
図7(b)では、横辺65bである第2端が、後側パッド3の第2端X4の近傍まで延びている状態が示されている。横辺65bと第2端X4との距離は例えば0mm以上60mm以下に設定することができる。
低坪量部65におけるウエスト側の横辺65aは、低坪量部65のウエスト側に位置する第1端をなしている。低坪量部65の横辺65a、及び後側第2部位64bにおける股下側の横辺66bは互いに共有されている。
低坪量部65における左側(
図7(b)中、紙面左側)の縦辺65cは、後側第1部位64aの縦辺の一部をなしている。低坪量部65における右側(
図7(b)中、紙面右側)の縦辺65cは、後側第3部位64cの縦辺の一部をなしている。
【0092】
後側吸収性コア64としてこのような形状を採用することによって、該後側吸収性コア64は上述した平均坪量の比を達成している。具体的には、後側吸収性コア64を縦方向Xに二等分する直線を第2仮想直線A2としたとき、
図7(b)に示すとおり、着用者のウエスト側に位置する第3吸収性コアD3の平均坪量が、着用者の股下側に位置する第4吸収性コアD4の平均坪量よりも大きくなっている。
【0093】
また、このような前側吸収性コア24及び後側吸収性コア64を有する前側パッド2及び後側パッド3は、両パッド2,3を連結したときに、それぞれが有する吸収体が着用者の排泄部に容易に当接するように配置され得るので、この点においても、排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制することができる。
【0094】
以上の利点を一層顕著なものとする観点から、
図7(b)に示すとおり、後側第1部位64a及び後側第3部位64cの縦辺の長さをL1とし、後側第1部位64a及び後側第3部位64cのうち、後側第2部位64bの横辺66bから股下側へ延出した長さをL2としたとき、L1/L2の値を1.0以上4.0以下に設定することが好ましく、1.2以上2.5以下に設定することが更に好ましく、1.3以上1.7以下に設定することが一層好ましい。
【0095】
同様の観点から、後側第2部位64bの横辺66bの長さをW1とし、後側第1部位64a及び後側第3部位64cの横辺66cの長さをW2としたとき、W1/W2の値を2.0以上8.0以下に設定することが好ましく、2.8以上7.0以下に設定することが更に好ましく、3.5以上6.0以下に設定することが一層好ましい。
【0096】
また、後側吸収性コア64として上述した形状を採用することによって、
図6(b)に示すとおり、後側パッド3は肌対向面に凹凸構造を有している。詳細には、本実施形態においては、高坪量部66は単層構造の吸収体からなるのに対し、低坪量部65には後側吸収性コア64の構成材料が一切配置されていない。それによって、後側パッド3全体でみたときに、高坪量部66が配置された領域における該後側パッド3の厚みが、低坪量部65が配置された領域における該後側パッド3の厚みよりも大きくなっている。低坪量部65は後側第1部位64a(
図7(b)参照)と後側第3部位64c(
図7(b)参照)との間に位置しているので、低坪量部65と後側第1部位64aとの間、並びに低坪量部65と後側第3部位64cとの間に、段差が生じている。
後側パッド3がこのように構成されていることで、低坪量部65が配置されて該後側パッド3の厚みが小さくなっている領域が、排泄物を収容するポケットとしての役割を担いやすくなる。それによって、後側パッド3からの排泄物の漏れ出しを従来よりも一層容易に抑制することができる。
【0097】
上述した後側パッド3における厚みの違いは、後側吸収性コア64の構成材料を高坪量部66に配置し且つ低坪量部65に配置しないことに加えて、後側表面シート68の厚みを、後側吸収性コア64における高坪量部66の厚みよりも小さくすることによって達成することができる。あるいは、後側吸収性コア64の構成材料を低坪量部65に配置する場合には、低坪量部65へ該構成材料を配置する量を、高坪量部66へ該構成材料を配置する量よりも少なくすることに加えて、後側表面シート68の厚みを、後側吸収性コア64における高坪量部66の厚みよりも小さくすることによって達成することができる。あるいは、低坪量部65の構成材料にエンボス加工等を施して、低坪量部65が加圧された圧搾部を設けることによって達成することができる。
【0098】
図8には、おむつ1を着用した着用者の矢状面図が示されている。
同図に示すとおり、本実施形態のおむつ1は、おむつ1の着用状態において、前側パッド2における前側吸収性コア24の高坪量部24Bが、着用者の尿道口Q1を覆うように、前側パッド2と後側パッド3とを連結できるように構成されている。それによって、前側吸収性コア24において相対的に液吸収能が高い高坪量部24Bが、特に排泄物を効果的に吸収できるようになり、前側パッド2からの排泄物の漏れ出しを従来よりも一層容易に抑制することができる。それによって、排尿時には前側パッド2のみを交換すれば足りるようになり、その結果、ごみの廃棄量を低減でき、環境負荷を低減することができる。
【0099】
また、本実施形態のおむつ1は、おむつ1の着用状態において、後側パッド3の低坪量部65が着用者の肛門Q2を覆うように、前側パッド2と後側パッド3とを連結できるように構成されている。それによって、後側パッド3の低坪量部65が、排泄物を収容するポケットとしての役割を担いやすくなり、後側パッド3からの排泄物の漏れ出しを従来よりも一層容易に抑制することができる。それによって、排便時には主として後側パッド3を交換すれば足りるようになり、その結果、ごみの廃棄量を低減でき、環境負荷を低減することができる。
【0100】
更に、本実施形態のおむつ1は、おむつ1の着用状態において、前側パッド2の第2端X2(
図3参照)が、後側パッド3の低坪量部65の第1端65aを超えて高坪量部66と重ならないように、前側パッド2と後側パッド3とを連結できるように構成されている。それによって、前側パッド2の第2端X2が、後側パッド3の低坪量部65の第1端65aを超えて高坪量部66と重なったときよりも、おむつ1の厚さを薄くすることができる。その結果、着用者は、おむつ1の構成部材の重なりに起因する皮膚への刺激を感じにくくなり、おむつ1の着用感を容易に向上できる。
【0101】
前側パッド2及び後側パッド3の吸収性コアの形状は、上述した平均坪量の比を達成できる範囲において適宜変更することができる。
図9には、本発明のおむつ1における後側パッド3の他の実施形態が示されている。同図に示す後側パッド3の実施形態については、
図5及び
図6に示す後側パッド3と異なる構成を主に説明し、後側パッド3と同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。また、同図に示す後側パッド3の実施形態において特に説明しない構成は、
図5及び
図6に示す後側パッド3についての説明が適宜適用される。
【0102】
図9に示す後側パッド3は、後側吸収性コア64の形状が、
図5に示す実施形態と異なっている。詳細には、
図10に示すとおり、後側吸収性コア64は、後側パッド3における横方向Yの中央域に位置する少なくとも2つの低坪量部である第1低坪量部65A及び第2低坪量部65Bと、該低坪量部65A,65Bよりも坪量が高い高坪量部66とを有している。
【0103】
図10に示すとおり、高坪量部66は、後側第1部位64aと後側第2部位64bと後側第3部位64cとから構成されている。後側第1部位64a、後側第2部位64b及び後側第3部位64cは、いずれも矩形をしている。後側第1部位64aと後側第2部位64bと後側第3部位64cとはこの順で横方向Yに連接されており、後側第1部位64aと後側第3部位64cとの間に後側第2部位64bが位置している。
【0104】
図10に示すとおり、矩形をなす後側第1部位64a、後側第2部位64b及び後側第3部位64cは、それぞれ、横方向Yに延びる横辺と、縦方向Xに延びる縦辺を有している。
【0105】
後側第1部位64a及び後側第3部位64cの横辺は同じ長さであり、後側第2部位64bの横辺よりも短くなっている。
後側第1部位64a及び後側第3部位64cの縦辺は同じ長さであり、後側第2部位64bの縦辺よりも長くなっている。
後側第1部位64a及び後側第3部位64cは、後側第2部位64bにおけるウエスト側の横辺66aを越えて、ウエスト側まで延びている。後側第1部位64a及び後側第3部位64cにおけるウエスト側の横辺66eは、後側吸収性コア64のウエスト側に位置する第1端の一部をなしている。
【0106】
図10に示すとおり、後側第1部位64a及び後側第3部位64cは、後側第2部位64bにおける股下側の横辺66bを越えて、股下側まで延びている。後側第1部位64a及び後側第3部位64cにおける股下側の横辺66cは、後側吸収性コア64の股下側に位置する第2端の一部をなしている。
その結果、高坪量部66は、略H字形の形状をしている。
【0107】
後側第1部位64a及び後側第3部位64cにおけるウエスト側の横辺66eは、後側パッド3におけるウエスト側の端縁まで延びていてもよい。その場合、横辺65eは、後側パッド3の第1端X3(
図9参照)と共有される。
図9及び
図10では、横辺66eである第1端が、後側パッド3の第1端X3の近傍まで延びている状態が示されている。横辺66eと第1端X3との距離は例えば0mm以上80mm以下に設定することができる。
【0108】
後側第1部位64a及び後側第3部位64cにおける股下側の横辺66cは、後側パッド3の第2端X4(
図9参照)まで延びているか、又はその近傍まで延びている。
図9及び
図10では、横辺66cである第2端が、後側パッド3の第2端X4の近傍まで延びている状態が示されている。横辺66cと第2端X4との距離は例えば0mm以上60mm以下に設定することができる。
【0109】
図10に示すとおり、高坪量部66の一部をなす後側第1部位64a及び後側第3部位64cは、後側第2部位64bのウエスト側に位置する横辺66aを越えてウエスト側まで延びている。そして、後側第1部位64aと後側第3部位64cとの間に位置し、且つ後側第2部位64bの横辺66aよりもウエスト側に位置する矩形の領域が第1低坪量部65Aとなる。
第1低坪量部65Aは、横方向Yに延びる横辺と、縦方向Xに延びる縦辺とを有している。
第1低坪量部65Aにおけるウエスト側の横辺65dは、第1低坪量部65Aのウエスト側に位置する第1端をなしている。横辺65dの長さは、後側第2部位64bにおけるウエスト側の横辺66aの長さと同じである。後側第1部位におけるウエスト側の横辺66eと第1低坪量部65Aの横辺65dと後側第3部位におけるウエスト側の横辺66eとは、後側吸収性コア64を縦方向Xに沿って見たときに同じ位置にある。すなわち、これらの横辺66e,65d,66eは、この順で横方向Yに同一直線上に位置しており、後側吸収性コア64のウエスト側に位置する第1端をなしている。横辺65dは、後側パッド3の第1端X3(
図9参照)まで延びているか、又はその近傍まで延びている。
図9及び
図10では、横辺65dである第1端が、後側パッド3の第1端X3の近傍まで延びている状態が示されている。横辺65dと第1端X3との距離は例えば0mm以上80mm以下に設定することができる。
第1低坪量部65Aにおける股下側の横辺65eは、第1低坪量部65Aの股下側に位置する第2端をなしている。第1低坪量部65Aの横辺65e、及び後側第2部位64bにおけるウエスト側の横辺66aは互いに共有されている。
第1低坪量部65Aにおける左側(
図10中、紙面左側)の縦辺65fは、後側第1部位64aの縦辺の一部をなしている。第1低坪量部65Aにおける右側(
図10中、紙面右側)の縦辺65fは、後側第3部位64cの縦辺の一部をなしている。
【0110】
また、後側第1部位64a及び後側第3部位64cは、後側第2部位64bの股下側に位置する横辺66bを越えて股下側まで延びている。そして、後側第1部位64aと後側第3部位64cとの間に位置し、且つ後側第2部位64bの横辺66bよりも股下側に位置する矩形の領域が第2低坪量部65Bとなる。
第2低坪量部65Bは、横方向Yに延びる横辺と、縦方向Xに延びる縦辺とを有している。
第2低坪量部65Bにおける股下側の横辺65bは第2低坪量部65Bの股下側に位置する第2端をなしている。横辺65bの長さは、後側第2部位64bにおける股下側の横辺66bの長さと同じである。後側第1部位における股下側の横辺66cと第2低坪量部65Bの横辺65bと後側第3部位における股下側の横辺66cとは、後側吸収性コア64を縦方向Xに沿って見たときに同じ位置にある。すなわち、これらの横辺66c,65b,66cは、この順で横方向Yに同一直線上に位置しており、後側吸収性コア64の股下側に位置する第2端をなしている。横辺65bは、後側パッド3の第2端X4(
図9参照)まで延びているか、又はその近傍まで延びている。
図9及び
図10では、横辺65bである第2端が、後側パッド3の第2端X4の近傍まで延びている状態が示されている。横辺65bと第2端X4との距離は例えば0mm以上60mm以下に設定することができる。
第2低坪量部65Bにおけるウエスト側の横辺65aは、第2低坪量部65Bのウエスト側に位置する第1端をなしている。第2低坪量部65Bにおけるウエスト側の横辺65a、及び後側第2部位64bにおける股下側の横辺66bは互いに共有されている。
第2低坪量部65Bにおける左側(
図10中、紙面左側)の縦辺65cは、後側第1部位64aの縦辺の一部をなしている第2低坪量部65Bにおける右側(
図10中、紙面右側)の縦辺65cは、後側第3部位64cの縦辺の一部をなしている。
【0111】
したがって、第1低坪量部65Aと第2低坪量部65Bとは、高坪量部66の一部を構成する後側第2部位64bを挟んで縦方向Xに沿って配置されている。第1低坪量部65Aはウエスト側に位置し、第2低坪量部65Bは股下側に位置する。
【0112】
本実施形態の後側パッド3における後側吸収性コア64では、第1低坪量部65Aの縦方向Xの長さL3が第2低坪量部65Bの縦方向Xの長さL2よりも短くなっている。それによって、第1低坪量部65Aの面積が第2低坪量部65Bの面積よりも小さくなっている。したがって、後側第2部位64bは、後側吸収性コア64の縦方向Xの中央よりもややウエスト側に偏倚して位置している。
【0113】
後側吸収性コア64にこのような形状を採用することによっても、該後側吸収性コア64は上述した平均坪量の比を達成している。具体的には、
図10に示すとおり、後側吸収性コア64を縦方向Xに二等分する直線を第3仮想直線A3としたとき、着用者のウエスト側に位置する第3吸収性コアD3の平均坪量が、着用者の股下側に位置する第4吸収性コアD4の平均坪量よりも大きくなっている。
【0114】
以上の利点を一層顕著なものとする観点から、
図10に示すとおり、後側第1部位64a及び後側第3部位64cの縦辺の長さをL1とし、後側第1部位64a及び後側第3部位64cのうち、後側第2部位64bの横辺66bから股下側へ延出した長さをL2とし、後側第1部位64a及び後側第3部位64cのうち、後側第2部位64bの横辺66aからウエスト側へ延出した長さをL3としたとき、L1/L2の値を1.0以上4.0以下に設定することが好ましく、1.2以上2.5以下に設定することが更に好ましく、1.3以上1.7以下に設定することが一層好ましい。また、L1/L3の値を3以上30以下に設定することが好ましく、5以上25以下に設定することが更に好ましく、10以上20以下に設定することが一層好ましい。
【0115】
同様の観点から、後側第2部位64bの横辺66bの長さをW1とし、後側第1部位64a及び後側第3部位64cの横辺66cの長さをW2としたとき、W1/W2の値を2.0以上8.0以下に設定することが好ましく、2.8以上7.0以下に設定することが更に好ましく、3.5以上6.0以下に設定することが一層好ましい。
【0116】
また、
図6(b)に示すとおり、後側吸収性コア64として上述した形状を採用することによって、後側パッド3は肌対向面に凹凸構造を有している。詳細には、本実施形態においては、高坪量部66は単層構造の吸収体からなるのに対し、低坪量部65である第2低坪量部65B(
図10参照)には後側吸収性コア64の構成材料が一切配置されていない。それによって、後側パッド3全体でみたときに、高坪量部66が配置された領域における該後側パッド3の厚みが、第2低坪量部65Bが配置された領域における該後側パッド3の厚みよりも大きくなっている。第2低坪量部65Bは後側第1部位64a(
図10参照)と後側第3部位64c(
図10参照)との間に位置しているので、第2低坪量部65Bと後側第1部位64aとの間、並びに第2低坪量部65Bと後側第3部位64cとの間に、段差が生じている。
後側パッド3がこのように構成されていることで、第2低坪量部65Bが配置されて該後側パッド3の厚みが小さくなっている領域が、排泄物を収容するポケットとしての役割を担いやすくなる。それによって、後側パッド3からの排泄物の漏れ出しを従来よりも一層容易に抑制することができる。
【0117】
上述した後側パッド3における厚みの違いは、後側吸収性コア64の構成材料を高坪量部66に配置し且つ第2低坪量部65Bに配置しないことに加えて、後側表面シート68の厚みを、後側吸収性コア64における高坪量部66の厚みよりも小さくすることによって達成することができる。あるいは、後側吸収性コア64の構成材料を第2低坪量部65Bに配置する場合には、第2低坪量部65Bへ該構成材料を配置する量を、高坪量部66へ該構成材料を配置する量よりも少なくすることに加えて、後側表面シート68の厚みを、後側吸収性コア64における高坪量部66の厚みよりも小さくすることによって達成することができる。あるいは、第2低坪量部65Bの構成材料にエンボス加工等を施して、第2低坪量部65Bが加圧された圧搾部を設けることによって達成することができる。
【0118】
また、本実施形態のおむつ1は、おむつ1の着用状態において、前側パッド2の第2端X2(
図3参照)が、
図7(b)に示す後側吸収性コア64における低坪量部65及び
図10に示す第2低坪量部65Bにおける端縁65a、すなわち高坪量部66における後側第2部位64bの横辺66bを越えないように、すなわち横辺66bを越えて着用者のウエスト側に位置しないように、前側パッド2と後側パッド3とを連結できるように構成されている。それによって、前側パッド2の第2端X2が高坪量部66の横辺66bを越えてウエスト側に位置したときよりも、おむつ1の厚さを薄くすることができる。その結果、着用者は、おむつ1の構成部材の重なりに起因する皮膚への刺激を感じにくくなり、おむつ1の着用感を容易に向上できる。
【0119】
以上、実施形態(i)について説明したが、前側パッド2及び後側パッド3における吸収性コアの形状は上述した実施形態に限定されない。
前側パッド2において、例えば一実施形態では、
図7(a)に示す上層吸収性コア25に上層開口部25cを設けずに、該上層吸収性コア25を股下側に偏倚させてもよい。
後側パッド3において、
図5に示す実施形態では、後側吸収性コア64の輪郭が直線からなる略逆U字形状を有するが、これに代えて
図11(a)に示すとおり、低坪量部65と高坪量部66との境界が直線及び曲線からなる馬蹄形の形状をしていてもよい。あるいは、
図10に示す実施形態では、後側吸収性コア64の輪郭が直線からなる形状を有するが、これに代えて
図11(b)に示すとおり、第1低坪量部65Aと高坪量部66と第2低坪量部65Bとの境界が直線及び曲線からなる形状を有してもよい。
あるいは、
図7(b)に示す実施形態では、低坪量部65は高坪量部66によって囲まれていないが、これに代えて
図11(c)に示すとおり、矩形状の低坪量部65が高坪量部66によって囲まれていてもよい。すなわち、低坪量部65の股下側の端縁65aが後側パッド3における股下側の端縁よりも縦方向Xの内方に位置し、且つ高坪量部66の股下側の端縁が後側パッド3におけるウエスト側の端縁又はその近傍まで延びていてもよい。あるいは、
図11(d)に示すとおり、長円形状の低坪量部65が高坪量部66によって囲まれていてもよい。すなわち、低坪量部65の股下側の端縁65aが後側パッド3における股下側の端縁よりも縦方向Xの内方に位置し、且つ高坪量部66の股下側の端縁が後側パッド3におけるウエスト側の端縁又はその近傍まで延びていてもよい。
【0120】
以下に、実施形態(ii)に関して説明するが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
前側パッド2における前側吸収性コア24の構成材料として、
図7(a)に示す第1吸収性コアD1の質量を、第2吸収性コアD2の質量よりも小さくすることが好ましい。このように前側吸収性コア24の構成材料の偏在の程度を調整することによって、平均坪量が大きい部分において、排泄物を効果的に吸収できるようになり、前側パッド2からの排泄物の漏れ出しを従来よりも一層容易に抑制することができる。それによって、排尿時には前側パッド2のみを交換すれば足りるようになり、その結果、ごみの廃棄量を低減でき、環境負荷を低減することができる。
一方、後側パッド3における後側吸収性コア64の構成材料として、
図7(b)に示す第3吸収性コアD3の質量を、第4吸収性コアD4の質量よりも大きくすることが好ましい。このように後側吸収性コア64の構成材料の偏在の程度を調整することによって、平均坪量が小さい部分が、排泄物を収容するポケットとしての役割を担いやすくなり、後側パッド3からの排泄物の漏れ出しを従来よりも一層容易に抑制することができる。それによって、排便時には主として後側パッド3を交換すれば足りるようになり、その結果、ごみの廃棄量を低減でき、環境負荷を低減することができる。
【0121】
本発明のおむつ1において、前側パッド2及び後側パッド3における吸収体が、それぞれ吸水性ポリマーを含む場合、前側パッド2の吸水性ポリマーの坪量が、後側パッド3の吸水性ポリマーの坪量よりも大きいことが好ましい。このように、主として尿を吸収する前側パッド2に吸水性ポリマーが多く配置されることで、おむつ1から尿が漏れ出してしまうことを抑制することができる。更に、主として便を吸収する後側パッド3に吸水性ポリマーが少なく配置されることで、前側パッド2及び後側パッド3の装着状態において、着用者の臀部へのジャリ感を低減し快適な着け心地を得ることができる。後側パッド3における後側吸収体61が吸水性ポリマーを非含有である場合、前側パッド2における前側吸収体21が吸水性ポリマーを含むことによって、前記の効果が奏される。
【0122】
本発明のおむつ1は、前側パッド2及び後側パッド3が、それぞれ、所定の寸法を有していることが好ましい。
図12(a)に示す前側パッド2の展開且つ最大伸長状態において、前側パッド2の第2端X2の横方向Yに沿う長さを長さa2とし、前側パッド2の縦方向Xに沿う長さを長さb2と定義する。前側股下横伸縮部材30の幅が前側吸収性本体20の幅よりも大きく、該前側股下横伸縮部材30の股下側の端縁が前側パッド2の第2端X2と略一致するように配されている場合、前側吸収性本体20の股下側の端縁の横方向Yに沿う長さを長さa2と定義する。
図12(b)に示す後側パッド3の展開且つ最大伸長状態において、後側パッド3の第2端X4の横方向Yに沿う長さを長さa1とし、後側パッド3の縦方向Xに沿う長さを長さb1と定義する。この場合、前側パッド2及び後側パッド3において、(1)長さa2に対する長さb2の比(b2/a2)が、長さa1に対する長さb1の比(b1/a1)よりも小さく、(2)長さb1が長さb2よりも大きく、及び(3)長さa1と長さb1との積(a1b1)が、長さa2と長さb2との積(a2b2)よりも大きいことが好ましい。
更に、前側パッド2及び後側パッド3が、(1)ないし(3)の全てを満たすことで、両パッド2,3を連結したときに、両パッド2,3が有する吸収性コアが、着用者の排泄部に容易に当接できるようになる。その結果、排泄物の漏れ出しを従来よりも一層抑制することができる。更に、排泄時には排泄物によって汚れたパッドのみを交換すれば足りるようになり、その結果、ごみの廃棄量を低減でき、環境負荷を低減することができる。
【0123】
排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制するとともに、環境負荷を低減する観点から、b2/a2は、前記(1)を満たすことを条件として、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上、更に好ましくは1.0以上である。また、b2/a2は、前記(1)を満たすことを条件として、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.5以下である。
排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制するとともに、環境負荷を低減する観点から、b1/a1は、前記(1)を満たすことを条件として、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、更に好ましくは1.2以上である。また、b1/a1は、前記(1)を満たすことを条件として、好ましくは2.2以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.8以下である。
【0124】
排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制するとともに、環境負荷を低減する観点から、a1b1は、前記(3)を満たすことを条件として、好ましくは150cm2以上、より好ましくは300cm2以上、更に好ましくは450cm2以上である。また、a1b1は、前記(3)を満たすことを条件として、好ましくは1500cm2以下、より好ましくは1250cm2以下、更に好ましくは800cm2以下である。
排泄物の漏れ出しを従来よりも抑制するとともに、環境負荷を低減する観点から、a2b2は、前記(3)を満たすことを条件として、好ましくは100cm2以上、より好ましくは200cm2以上、更に好ましくは300cm2以上である。また、a2b2は、前記(3)を満たすことを条件として、好ましくは1000cm2以下、より好ましくは800cm2以下、更に好ましくは650cm2以下である。
【0125】
長さa2は、好ましくは10cm以上、より好ましくは12cm以上、更に好ましくは14cm以上である。また、長さa2は、好ましくは30cm以下、より好ましくは25cm以下、更に好ましくは22cm以下である。
長さa1は、好ましくは12cm以上、より好ましくは14cm以上、更に好ましくは16cm以上である。また、長さa1は、好ましくは35cm以下、より好ましくは30cm以下、更に好ましくは22cm以下である。
長さb2は、前記(2)を満たすことを条件として、好ましくは10cm以上、より好ましくは12cm以上、更に好ましくは14cm以上である。また、長さb2は、前記(2)を満たすことを条件として、好ましくは40cm以下、より好ましくは35cm以下、更に好ましくは30cm以下である。
長さb1は、前記(2)を満たすことを条件として、好ましくは15cm以上、より好ましくは17cm以上、更に好ましくは20cm以上である。また、長さb1は、前記(2)を満たすことを条件として、好ましくは50cm以下、より好ましくは45cm以下、更に好ましくは40cm以下である。
【0126】
また、本発明のおむつ1は、後側立体カフ90の縦方向Xに沿う長さが、前側立体カフ50の縦方向Xに沿う長さよりも長いことが好ましい。前側立体カフ50及び後側立体カフ90がこのように構成されていることで、前側パッド2の方が後側パッド3に比べて収縮しにくくなり、装着状態において、前側パッド2は尿道口近傍の肌に密着しやすい状態になり、後側パッド3は肛門から離れやすい状態になる。このような状態になることで、前側パッド2では尿をより速やかに吸収することができ、且つ後側パッド3では便を収容する空間を確保できるので、おむつ1から尿及び便が漏れ出してしまうことをより抑制できる。「前側立体カフの縦方向に沿う長さ」とは、前側立体カフ50において第1弾性部材52が配された領域のうち弾性伸縮性を発現する領域の縦方向Xに沿う長さを意味する。「後側立体カフの縦方向に沿う長さ」とは、後側立体カフ90において第5弾性部材92が配された領域の縦方向Xに沿う長さを意味する。
前側立体カフ50及び後側立体カフ90の縦方向Xに沿う長さの違いは、第5弾性部材92の長さを第1弾性部材52の長さよりも長くすることによって達成することができる。あるいは、前側非起立部50tの縦方向Xの長さを後側非起立部90tの縦方向Xの長さよりも短くすることによって達成することができる。
【0127】
また、本発明のおむつ1は、後側レッグカフ95の縦方向Xに沿う長さが、前側レッグカフ55の縦方向Xに沿う長さよりも長いことが好ましい。前側レッグカフ55及び後側レッグカフ95がこのように構成されていることで、後側パッド3の縦方向Xの長さの調節可能範囲が大きくなるので、
図2に示すように前側パッド2の上から後側パッド3を連結させる場合に、着用者の身体に合わせた長さに容易に調節することができる。その結果、おむつ1のフィット性を向上させることができるので、おむつ1から尿及び便が漏れ出してしまうことをより抑制できる。「前側レッグカフの縦方向に沿う長さ」とは、前側レッグカフ55において第2弾性部材56が配された領域のうち弾性伸縮性を発現する領域の縦方向Xに沿う長さを意味する。「後側レッグカフの縦方向に沿う長さ」とは、後側レッグカフ95において第6弾性部材96が配された領域の縦方向Xに沿う長さを意味する。
前側レッグカフ55及び後側レッグカフ95の縦方向Xに沿う長さの違いは、第6弾性部材96の長さを第2弾性部材56の長さよりも長くすることによって達成することができる。あるいは、前側外側伸縮部55sの縦方向Xの長さを後側外側伸縮部95sの縦方向Xの長さよりも短くすることによって達成することができる。
【0128】
図13ないし
図17には、本発明のおむつの他の実施形態が示されている。後述する他の実施形態については、前述した実施形態と異なる構成を説明する。後述する他の実施形態において特に説明しない構成については、前述した実施形態についての説明が適宜適用される。
【0129】
図13に示すおむつ111は、着用者の腹側に配される前側パッド112、着用者の背側に配される後側パッド113及び着用者の胴回りに配される環状のホルダ114から構成される。前側パッド112は、前述した前側パッド2と同様の構成を有し、後側パッド113は、前述した後側パッド3と同様の構成を有している。ホルダ114はシート部材からなる。前記シート部材としては、例えば、不織布、樹脂製フィルム、不織布と樹脂製フィルムとの複合シート等を用いることができる。ホルダ114は周方向に伸縮性を有することが好ましい。
おむつ111は、ホルダ114を装着した後に、該ホルダ114、前側パッド112及び後側パッド113を着用者の股下域及びウエスト部において連結することによって装着される。
【0130】
図14に示すおむつ121は、パッド122及び着用者の胴回りに配される環状のホルダ124から構成される。パッド122は、前述した前側パッド2と同様の構成の前側パッド(図示せず)と、前述した後側パッド3と同様の構成の後側パッド(図示せず)とを含み、これら両パッドどうしは、それらの股下部側の端部域で分離可能に連結している。ホルダ124は、着用者の背側に配され、下方に延出する下方延出部123を有する点で、ホルダ114と相違している。
おむつ121は、ホルダ124を着用者の身体に装着した後に、パッド122(前記前側パッドと前記後側パッドとの連結体)とホルダ124とを着用者の股下域及びウエスト部において連結することによって装着される。
【0131】
図15に示すおむつ131は、パッド132及びカバー134から構成される。パッド132は、前述したパッド122と同様に構成されており、前側パッド(図示せず)と後側パッド(図示せず)とを含む。カバー134は、ホルダ136と、ホルダ136の下方に延出し、着用者の股下域を通って、着用者の腹部域においてホルダ136と連結可能な下方延出部133とを有している。ホルダ136は、下方延出部133との延出方向と直交する方向に延びる帯状シート部材からなり、該帯状シート部材は、下方延出部133からよりも横方向の両外方に延出する一対の延出部を有する。前記一対の延出部のうちのいずれか一方の先端部には止着部135が配されており、該一対の延出部の一方と他方とを、止着部135を介して連結することで、ホルダ136を
図15(a)に示す如き環状とすることができる。前記一対の延出部の一方と他方とは、止着部135を介して分離可能に連結される。環状のホルダ136は周方向に伸縮性を有することが好ましい。
おむつ131は、カバー134の環状のホルダ136を着用者の胴回りに配した後に、ホルダ136の下方延出部133とパッド132とを着用者の股下域において連結することによって装着される。
【0132】
図16に示すおむつ141は、着用者の腹側に配されるパッド142及びカバー144から構成される。パッド142は、前述したパッド122と同様に構成されており、前側パッド(図示せず)と後側パッド(図示せず)とを含む。カバー144は、ホルダ146と、ホルダ146の下方に延出する下方延出部143とを有している。カバー144は、前述した
図15のカバー134と基本構成は同じであり、カバー144の下方延出部143はカバー134の下方延出部133よりも短くなっている点で両者は相違している。
おむつ141は、カバー144の環状のホルダ146を着用者の胴回りに配した後に、ホルダ146の下方延出部143とパッド142とを着用者の股下域及びウエスト部において連結することによって装着される。
【0133】
図17に示すおむつ151は、着用者の腹側に配される前側パッド152及び着用者の背側に配される後側パッド153から構成されている。おむつ1のホルダ110が後側パッド3のホルダ形成用部材101,102のみから形成されているのに対し、おむつ151のホルダ154は、両パッド152,153から形成される。おむつ151のホルダ154以外の構造及び機能は、おむつ1のホルダ110以外の構造及び機能と同じである。
【0134】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、前記の実施形態は本発明を使い捨ておむつに適用したものであるが、本発明の適用対象はこれに限られず、使い捨ておむつ以外の形態の使い捨ておむつや、使い捨ておむつ以外の吸収性物品、例えば生理用ナプキン、失禁パッド及びおりものシート等に本発明を適用してもよい。なかでも、本発明は使い捨ておむつに適用されることが好ましい。
【0135】
上述した本発明の実施形態に関し、更に以下の吸収性物品を開示する。
<1>
着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有し、
着用者の腹側に配置される前側パッドと、着用者の背側に配置される後側パッドとを有し、両パッドを着用者の股下域で連結された状態にして使用可能な吸収性物品であって、
前記前側パッド及び前記後側パッドは、それぞれ、吸収性コアを有し、
前記前側パッドにおいて、該前側パッドの前記吸収性コアを前記縦方向に仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアの平均坪量が、着用者の股下側に位置する吸収性コアの平均坪量よりも小さいか、又は
前記後側パッドにおいて、該後側パッドの前記吸収性コアを前記縦方向に仮想的に二等分したとき、着用者のウエスト側に位置する吸収性コアの平均坪量が、着用者の股下側に位置する吸収性コアの平均坪量よりも大きい、吸収性物品。
【0136】
<2>
前記前側パッドの前記吸収性コア及び前記後側パッドの前記吸収性コアは、それぞれ、吸水性繊維又は吸水性ポリマーを含み、
前記前側パッドの前記吸水性ポリマーの坪量が、前記後側パッドの前記吸水性ポリマーの坪量よりも大きい、前記<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記前側パッドの前記吸収性コアは、前記吸水性繊維を含む2枚のシート間に、前記吸水性ポリマーの粒子が保持されてなるシート材である、前記<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記後側パッドの前記吸収性コアは、前記吸水性繊維を含み且つ前記吸水性ポリマーを非含有である、前記<2>又は<3>に記載の吸収性物品。
<5>
前記前側パッド及び前記後側パッドは、それぞれ、該パッドの前記縦方向の一端であり着用者のウエスト側に位置する第1端と、該パッドの該縦方向の他端であり着用者の股下側に位置する第2端とを有し、
前記前側パッドの展開且つ最大伸長状態において、前記前側パッドの第2端の前記横方向に沿う長さをa2とし、該前側パッドの前記縦方向に沿う長さをb2とし、
前記後側パッドの展開且つ最大伸長状態において、前記後側パッドの第2端の前記横方向に沿う長さをa1とし、該後側パッドの前記縦方向に沿う長さをb1としたときに、
長さa2に対する長さb2の比が、長さa1に対する長さb1の比よりも小さく、
長さb1が長さb2よりも大きく、
且つ
長さa1と長さb1との積が、長さa2と長さb2との積よりも大きい、前記<1>ないし<4>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<6>
前記前側パッドの前記吸収性コアは、前記横方向の中央域に位置し且つ前記縦方向に延びる上層吸収性コアと、該上層吸収性コアの非肌対向面側に位置する下層吸収性コアとを含み、それによって該吸収性コアは、該横方向の中央域に位置し且つ該縦方向に延びる高坪量部と、該高坪量部よりも相対的に坪量が低い低坪量部とを有し、
前記吸収性物品の着用状態において、前記前側パッドにおける前記吸収性コアの前記高坪量部が、着用者の尿道口を覆うように、前記前側パッドと前記後側パッドとが連結可能に構成されている、前記<1>ないし<5>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0137】
<7>
前記上層吸収性コアは、前記下層吸収性コアの肌対向面上において、該下層吸収性コアの前記縦方向の中央よりもやや第2端側に偏倚した位置にある、前記<6>に記載の吸収性物品。
<8>
前記上層吸収性コアの前記横方向の中央域には、該上層吸収性コアを厚み方向に貫通する細幅の上層開口部が前記縦方向に延びるように形成されている、前記<6>又は<7>に記載の吸収性物品。
<9>
前記後側パッドの前記吸収性コアは、前記横方向の中央域に位置し且つ前記縦方向に延びる低坪量部と、該低坪量部よりも坪量が高い高坪量部とを有し、
前記後側パッドの前記低坪量部は、前記縦方向の両端のうち、前記吸収性物品の着用状態において着用者のウエスト側に位置する第1端と、該着用者の股下側に位置する第2端とを有しており、
第2端は、前記後側パッドにおける股下側の端縁又はその近傍まで延びており、
第1端は、前記高坪量部と連結しており、
前記吸収性物品の着用状態において、前記後側パッドの低坪量部が、着用者の肛門を覆うように、前記両パッドが連結可能に構成されている、前記<1>ないし<8>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<10>
前記低坪量部には、前記後側パッドの前記吸収性コアの構成材料が一切配置されていない、前記<9>に記載の吸収性物品。
<11>
前記高坪量部は、第1部位と第2部位と第3部位とから構成され、これらはこの順で前記横方向に連接されており、
第1部位と第3部位との間に第2部位が位置しており、
第1部位及び第3部位は、第2部位よりも股下側まで延び、それによって前記高坪量部は略逆U字形の形状をしており、
前記後側パッド全体でみたときに、前記高坪量部が配置された領域における該後側パッドの厚みが、前記低坪量部が配置された領域における該後側パッドの厚みよりも大きく、それによって該後側パッドにおいては第1部位及び第3部位とその間に位置する該低坪量部との間に段差が生じている、前記<9>又は<10>に記載の吸収性物品。
【0138】
<12>
前記吸収性物品の着用状態において、前記前側パッドの第2端が、前記後側パッドの前記低坪量部の第1端を超えて前記高坪量部と重ならないように、前記前側パッドと前記後側パッドとが連結可能に構成されている、前記<9>ないし<11>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<13>
前記後側パッドの前記吸収性コアは、前記横方向の中央域に位置し且つ前記縦方向に延びる少なくとも2つの低坪量部と、該低坪量部よりも坪量が高い高坪量部とを有し、
前記後側パッドの前記低坪量部は、前記高坪量部を挟んで前記縦方向に沿って配置され、
前記後側パッドの前記低坪量部は、着用者のウエスト側に位置する第1低坪量部と着用者の股下側に位置する第2低坪量部とを含み、
前記第1低坪量部及び前記第2低坪量部は、それぞれ、前記縦方向の両端のうち、前記吸収性物品の着用状態において着用者のウエスト側に位置する第1端と、該着用者の股下側に位置する第2端とを有しており、
第1低坪量部における第2端は、前記高坪量部と連結しており、
第1低坪量部における第1端は、前記後側パッドにおけるウエスト側の端縁又はその近傍まで延びており、
第2低坪量部における第2端は、前記後側パッドにおける股下側の端縁まで延びており、
第2低坪量部における第1端は、前記高坪量部と連結しており、
前記吸収性物品の着用状態において、前記前側パッドの前記第2端が、前記後側パッドの第2低坪量部における第1端を超えて着用者のウエスト側に位置しないように、前記前側パッドと前記後側パッドとが連結可能に構成されている、前記<1>ないし<12>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<14>
前記高坪量部は、第1部位と第2部位と第3部位とから構成され、これらはこの順で前記横方向に連接されており、
第1部位と第3部位との間に第2部位が位置しており、
第1部位及び第3部位は、第2部位よりもウエスト側まで延び、且つ股下側まで延び、それによって前記高坪量部は略H字形の形状をしており、
前記後側パッド全体でみたときに、前記高坪量部が配置された領域における該後側パッドの厚みが、第2低坪量部が配置された領域における該後側パッドの厚みよりも大きく、それによって該後側パッドにおいては第1部位と第3部位とその間に位置する第2低坪量部との間に段差が生じている、前記<13>に記載の吸収性物品。
<15>
前記前側パッド及び前記後側パッドは、それぞれ、立体カフを有し、
前記前側パッドの前記立体カフは、前記横方向の内方へ向けての倒伏性向を有しており、
前記後側パッドの前記立体カフは、前記横方向の外方へ向けての倒伏性向を有している、前記<1>ないし<14>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<16>
前記前側パッドは、前側吸収性本体と、該前側吸収性本体の肌対向面側に配置された前側胴回り部とを備えており、
前記前側パッドは、前記吸収性物品の着用状態において着用者のウエスト側に位置するウエスト域に、前記前側胴回り部を具備している、前記<1>ないし<15>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0139】
<17>
前記前側胴回り部は、2枚の前側胴回り部形成シートと、該前側胴回り部形成シート間に前記横方向に伸長状態で固定された第4弾性部材とを含む、前記<16>に記載の吸収性物品。
<18>
前記前側胴回り部は、他の構成部材に固定された前側固定部と、他の構成部材に固定されていない前側非固定部とをし、
前記前側パッドの着用状態又は自然状態では、第4弾性部材の収縮により、前記前側胴回り部形成シートの前記前側非固定部が着用者の肌側に向かって起立し、それによって、該前側パッドに、起立した該前側非固定部とこれに対向する前記前側吸収性本体とで画成された前側内部空間と、股下側に向かって開口する前側開口部とを有する前側ポケット部が形成される、前記<17>に記載の吸収性物品。
<19>
前記前側胴回り部は、肌対向面側の前記前側胴回り部形成シートに前側止着部を有している、前記<17>又は<18>に記載の吸収性物品。
<20>
前記後側パッドは、後側吸収性本体と、該後側吸収性本体の肌対向面側に配置された胴回りベルトとを備えており、
前記後側パッドは、前記吸収性物品の着用状態において着用者のウエスト側に位置するウエスト域に、前記胴回りベルトを具備している、前記<1>ないし<19>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<21>
前記後側パッドは、前記吸収性物品の着用状態において着用者の股下側に位置する股下域の肌対向面側に、後側股下横伸縮部材を具備している、前記<1>ないし<20>のいずれか一に記載の吸収性物品。
【0140】
<22>
前記後側股下横伸縮部材は、該後側股下横伸縮部材の股下側の端縁が前記後側パッドの第2端と略一致するように配されている、前記<21>に記載の吸収性物品。
<23>
前記後側股下横伸縮部材は、2枚の後側股下横伸縮部材形成シートと、該後側股下横伸縮部材形成シート間に前記横方向に伸長状態で固定された第7弾性部材とを含む、前記<21>又は<22>に記載の吸収性物品。
<24>
前記後側股下横伸縮部材は、他の構成部材に固定された後側第2固定部と、他の構成部材に固定されていない後側第2非固定部とを有し、
前記後側パッドの着用状態又は自然状態では、第7弾性部材の収縮により、前記後側股下横伸縮部材形成シートの前記後側第2非固定部が着用者の肌側に向かって起立し、それによって、該後側パッドに、起立した該後側第2非固定部とこれに対向する前記後側吸収性本体とで画成された後側第2内部空間と、ウエスト側に向かって開口する後側第2開口部とを有する後側第2ポケット部が形成される、前記<23>に記載の吸収性物品。
<25>
前記胴回りベルトは、該胴回りベルトの前記横方向中央部に位置し且つ該横方向に延びる中央シート部と、該中央シート部の該横方向両側に配された一対の伸縮パネルと、一方の該伸縮パネルの該横方向外方に設けられた連結止着シート部と、他方の該伸縮パネルの該横方向外方に設けられた連結被止着シート部とを具備し、
前記連結止着シート部は、肌対向面の前記横方向外方端部に、機械的面ファスナーのオス部材を有する止着部を有している、前記<20>ないし<24>のいずれか一に記載の吸収性物品。
<26>
前記中央シート部は、前記横方向に長い2枚のシートと、該シート間に前記横方向に伸長状態で固定された第8弾性部材とを具備する、前記<25>に記載の吸収性物品。
<27>
前記胴回りベルトにおける前記中央シート部は、他の構成部材に固定された後側第1固定部と、他の構成部材に固定されていない後側第1非固定部とを有し、
前記後側パッドの着用状態又は自然状態では、第8弾性部材の収縮により、前記中央シート部の前記後側第1非固定部が着用者の肌側に向かって起立し、それによって、該後側パッドに、起立した該後側第1非固定部とこれに対向する前記後側吸収性本体とで画成された後側第1内部空間と、股下側に向かって開口する後側第1開口部とを有する後側第1ポケット部が形成される、前記<26>に記載の吸収性物品。
【符号の説明】
【0141】
1 使い捨ておむつ(おむつ)
2 前側パッド
3 後側パッド
20 前側吸収性本体
21 前側吸収体
24 前側吸収性コア
25 上層吸収性コア
26 下層吸収性コア
30 前側股下横伸縮部材
40 前側胴回り部
60 後側吸収性本体
61 後側吸収体
65 低坪量部
66 高坪量部
70 後側股下横伸縮部材
80 胴回りベルト
C 股下域
LO レッグ開口部
WO ウエスト開口部
X 縦方向
Y 横方向