(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154803
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両用装飾ワイパーブレード
(51)【国際特許分類】
B60S 1/38 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B60S1/38 F
B60S1/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068884
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】520121898
【氏名又は名称】株式会社ザックジャパンカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002804
【氏名又は名称】弁理士法人フェニックス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木谷 正則
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AD01
3D225AE11
3D225AE13
(57)【要約】
【課題】 単なる機能部品ではない高い装飾性を有し、特に、クロスカントリー車ユーザーのカスタマイズニーズを満足させることができる車両用装飾ワイパーブレードを提供すること。
【解決手段】 車両のウインドウガラス表面を払拭可能なブレードラバー11と;
このブレードラバー11を支持するラバー支持部12と;
このラバー支持部12を被覆するブレードカバー13とを含んでワイパーブレード本体1を構成する一方、
前記ワイパーブレード本体1の長手方向に沿って、フィン状の長手板体2を固定して、
この長手板体2には装飾部21を設けるとともに、走行風圧を受けることにより前記ブレードラバー11をウインドウガラス表面へ付勢可能にするという技術的手段を採用した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドウガラス表面を払拭可能なブレードラバーと;
このブレードラバーを支持するラバー支持部と;
このラバー支持部を被覆するブレードカバーとを含んでワイパーブレード本体が構成されている一方、
前記ワイパーブレード本体の長手方向に沿って、フィン状の長手板体が固定されており、
この長手板体には装飾部が設けられているとともに、走行風圧を受けることにより前記ブレードラバーをウインドウガラス表面へ付勢可能であることを特徴とする車両用装飾ワイパーブレード。
【請求項2】
前記長手板体の表面に装飾部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の車両用装飾ワイパーブレード。
【請求項3】
前記長手板体の本体形状により装飾部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用装飾ワイパーブレード。
【請求項4】
前記ワイパーブレード本体に対する固定部が前記長手板体の側縁部から持出成形されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の車両用装飾ワイパーブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ワイパーブレードの改良、更に詳しくは、単なる機能部品ではない高い装飾性を有し、特に、クロスカントリー車ユーザーのカスタマイズニーズを満足させることができる車両用装飾ワイパーブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗用車の車種としてクロスカントリー車(オフロードカー)には高い人気がある。その理由として、クロスカントリー車は、舗装されていない路地や山道、川などの未舗装の道路を走行することができるため、自然の中を走ることにより、普段味わえない刺激や自然の美しさを楽しむことができるアドベンチャー感がある。
【0003】
また、クロスカントリー車には、車高を上げたり、タイヤやホイール、その他のオプション部品を交換することにより、よりオフロード走行に適した車に仕上げたり、外装を充実させることができ、自分好みにカスタマイズすることができる楽しみがある。
【0004】
そして、車両前面のウインドウガラスに設置されるワイパーにおいては、車の外観に合わせたデザインのワイパーを取り付けることにより、愛車の個性をよりアピールすることができる。中でも、クロスカントリー車の前述のような趣向的特徴と相俟って、通常のワイパーよりも重くて厚みのある雪用のワイパー(スノーワイパー)が装備されていることも多く、高い払拭機能を有するとともに、重厚感を演出するための重要なアクセントアイテムの一つとして人気が高い。
【0005】
従来、ワイパーに払拭機能以外の機能を付加したものとして、ワイパーの一部に押さえ部材(フィン、スポイラ等)を設けたものが開示されており(例えば、特許文献1参照)、高速走行時や風雨の強い時において、風によってブレードが浮き上がるのを防ぐ効果がある。この際、押さえ部材は、ワイパーブレードの背部にあるフレームに取り付けられ、ワイパーブレードがウインドウガラスの表面に密着する。この押さえ部材の形状や数、配置などは様々であるが、一般的にはワイパーブレードに沿った長手形状をしており、ワイパーブレードの安定性を高めるための役割を果たしている。
【0006】
しかしながら、この押さえ部材については、フィンとしての物理的な作用効果を求める単なる機能部品に留まっており、装飾性に欠け、今一つ物足りなさがあったことから、機能性だけでなくデザイン性をも求める傾向が強いという、クロスカントリー車オーナー特有の高いユーザーニーズを完全に満足させているとは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来のワイパーブレードに上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、単なる機能部品ではない高い装飾性を有し、特に、クロスカントリー車ユーザーのカスタマイズニーズを満足させることができる車両用装飾ワイパーブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、車両のウインドウガラス表面を払拭可能なブレードラバー11と;
このブレードラバー11を支持するラバー支持部12と;
このラバー支持部12を被覆するブレードカバー13とを含んでワイパーブレード本体1を構成する一方、
前記ワイパーブレード本体1の長手方向に沿って、フィン状の長手板体2を固定して、
この長手板体2には装飾部21を設けるとともに、走行風圧を受けることにより前記ブレードラバー11をウインドウガラス表面へ付勢可能にするという技術的手段を採用したことによって、車両用装飾ワイパーブレードを完成させた。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、前記長手板体2の表面に装飾部21を設けるという技術的手段を採用することもできる。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、前記長手板体2の本体形状により装飾部21を形成するという技術的手段を採用することもできる。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、前記ワイパーブレード本体1に対する固定部22を前記長手板体2の側縁部から持出成形するという技術的手段を採用することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、車両のウインドウガラス表面を払拭可能なブレードラバーと;このブレードラバーを支持するラバー支持部と;このラバー支持部を被覆するブレードカバーとを含んでワイパーブレード本体を構成する一方、前記ワイパーブレード本体の長手方向に沿って、フィン状の長手板体を固定して、この長手板体には装飾部を設けることによって、走行風圧を受けることにより前記ブレードラバーをウインドウガラス表面へ付勢することができる。
【0015】
したがって、本発明の車両用装飾ワイパーブレードによれば、単なる機能部品ではない高い装飾性を有し、特に、クロスカントリー車ユーザーのカスタマイズニーズを満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態のワイパーブレードを表わす正面図である。
【
図2】本発明の実施形態のワイパーブレードの変形例を表わす正面図である。
【
図3】本発明の実施形態のワイパーブレードを表わす斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を
図1から
図3に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものはワイパーブレード本体であり、符号2で指示するものは長手板体2である。
【0018】
本実施形態にあっては、まず、車両のウインドウガラス表面を払拭可能なブレードラバー11と;このブレードラバー11を支持するラバー支持部12と;このラバー支持部12を被覆するブレードカバー13とを含んでワイパーブレード本体1が構成されている。
【0019】
本実施形態のブレードラバー11の使用材料には、天然ゴムを採用することができ、優れた払拭性能や耐久性を得ることができ、更に、動作が静かで、環境にも優しい。なお、適宜、天然ゴムにグラファイトを添加することができる。
【0020】
また、ラバー支持部12は、前記ブレードラバー11を支持する部材であり、本実施形態では、プライマリレバー、セカンダリレバー、ヨーク等の複数のレバー部材から公知のレバーアッセンブリを構成する。このような複数個のレバー(例えば、冷間圧延鋼板製)がトーナメント状に連結された構造は、「トーナメント方式」と呼ばれるワイパーの一般的構造である。そして、レバーアッセンブリの掴持部(図示せず)によりブレードラバー11を支持することができる。この際、必要に応じて、バッキング(バーテブラ)を装着することもできる。
【0021】
前記プライマリレバーは、クリップ等の連結具14を介してワイパーアームの先端部に連結されるとともに、ワイパーアームは、モーターやスプリング等によって往復動作することができる。
【0022】
また、本実施形態のブレードカバー13は、前記ラバー支持部12(レバーアッセンブリ)を被覆する部材であり、薄手のゴム膜が筒状に構成されている。このブレードカバー13を設けることによって、ラバー支持部12への防塵、防汚、劣化防止効果を発揮して保護することができる。このブレードカバー13の使用材料にも天然ゴムを採用することができ、適宜、グラファイトを添加することができる。
【0023】
次に、前記ワイパーブレード本体1の長手方向に沿って、フィン状の長手板体2を固定する。フィン状とは、やや反った曲面形状が好ましい。この長手板体2には装飾部21が設けられている。本実施形態では、前記長手板体2の表面に装飾部21を設けることができる(
図1参照)。具体的には、施工性の良さや仕上がりの美しさから、所定の模様を施した水転写フィルムを使用して、長手板体2の表面に転写することができる。また、粘着シールやパネル、クリスタル、ジュエルなどを貼り付けても良い。模様としては、ワイルド感を演出した迷彩柄や、お気に入りのブランドロゴなどを選択することができる。
【0024】
また、前記長手板体2の本体形状により装飾部21を形成することもできる(
図2参照)。具体的には、長手板体2のフィンの形状や色を変更する方法がある。例えば、長手板体2のフィンの形状を波形や三角形などに変更したり、長手板体2に彫刻などを施すことができ、独自のデザインを付与することができるとともに、個性的なデザインに仕上げることができる。
【0025】
また、長手板体2のフィンの色彩を変更することによって、車のカラーやイメージに合わせたカスタマイズが可能である。例えば、車体のカラーに合わせて長手板体2のフィンの色を変更することにより、統一感を出すことができる。
【0026】
なお、本実施形態では、前記長手板体2の装飾部21と異なる部位に、前記ワイパーブレード本体1に対する固定部22を持出成形することができる(
図3参照)。具体的には、例えば、長手板体2の上面を屈曲させて前記ワイパーブレード本体1の上面にリベットやネジ等で固定することができる。こうすることによって、装飾部21に干渉せずに、装飾部21を完全に露出させることができる。
【0027】
そして、長手板体2により、走行風圧を受けることによって、前記ブレードラバー11をウインドウガラス表面へ付勢することができる。
【0028】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、ワイパーブレード本体1のブレードラバー11やブレードカバー13にも色彩や模様を付与することができ、ワーパー全体としての装飾性をより高めることができる。
【0029】
また、長手板体2のフィン状は、ウインドウガラス表面へ付勢可能であれば、やや反った曲面形状に限らず、流体力学的に有効に作用する他の形状に変更することもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0030】
1 ワイパーブレード本体
11 ブレードラバー
12 ラバー支持部
13 ブレードカバー
14 連結具
2 長手板体
21 装飾部
22 固定部