(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154819
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】角度検出装置の信号処理部
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20241024BHJP
G01D 5/12 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01D5/20 110Q
G01D5/12 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068918
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】新井 真一
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA03
2F077CC02
2F077FF34
2F077PP26
2F077TT33
(57)【要約】
【課題】角度検出装置の信号処理部の構成を簡素化することができる角度検出装置の信号処理部を得る。
【解決手段】この角度検出装置の信号処理部1は、基準信号生成部101と、2相の励磁信号を生成する励磁信号生成部102と、第1角度データを出力する第1変換部103と、第2角度データを出力する第2変換部104と、位相差監視部105と、を備え、第1変換部103は、第1位相データをフィードバック信号として用いて第1角度データを算出するとともに第1位相データを出力し、第2変換部104は、第2位相データをフィードバック信号として用いて第2角度データを算出するとともに第2位相データを出力し、位相差監視部105は、第1位相データと第2位相データとの間の位相差に基づいて、第1変換部103および第2変換部104の少なくとも一方に異常が発生したことを検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準信号を生成する基準信号生成部(101)と、
前記基準信号生成部(101)によって生成された前記基準信号を用いて2相の励磁信号を生成する励磁信号生成部(102)と、
前記2相の励磁信号が入力されたレゾルバから出力されたレゾルバ出力を第1角度データに変換して前記第1角度データを出力する第1変換部(103)と、
前記レゾルバ出力を第2角度データに変換して前記第2角度データを出力する第2変換部(104)と、
前記第1変換部(103)および前記第2変換部(104)の少なくとも一方に異常が発生したことを検出する位相差監視部(105)と、
を備え、
前記第1変換部(103)は、前記基準信号から前記第1角度データだけ位相がずれた第1位相データをフィードバック信号として用いて前記第1角度データを算出するとともに前記第1位相データを出力し、
前記第2変換部(104)は、前記基準信号から前記第2角度データだけ位相がずれた第2位相データをフィードバック信号として用いて前記第2角度データを算出するとともに前記第2位相データを出力し、
前記位相差監視部(105)は、前記第1位相データと前記第2位相データとの間の位相差に基づいて、前記第1変換部(103)および前記第2変換部(104)の少なくとも一方に異常が発生したことを検出する角度検出装置の信号処理部。
【請求項2】
前記レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されており、
前記第1変換部(103)は、前記第1位相データから変換された2相の周期信号のそれぞれを前記2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差がゼロになるように前記第1角度データを算出し、
前記第2変換部(104)は、前記第2位相データから変換された2相の周期信号のそれぞれを前記2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差がゼロになるように前記第2角度データを算出する請求項1に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項3】
前記レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、
前記第1変換部(103)は、前記第1位相データから変換された1相の周期信号を前記1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差がゼロになるように前記第1角度データを算出し、
前記第2変換部(104)は、前記第2位相データから変換された1相の周期信号を前記1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差がゼロになるように前記第2角度データを算出する請求項1に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項4】
前記レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、
前記第1変換部(103)は、前記1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データと前記第1位相データとの差分から得られる制御偏差がゼロになるように前記第1角度データを算出し、
前記第2変換部(104)は、前記1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データと前記第2位相データとの差分から得られる制御偏差がゼロになるように前記第2角度データを算出する請求項1に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項5】
前記第1変換部(103)および前記第2変換部(104)のそれぞれは、前記2相の励磁信号の少なくとも一方を前記基準信号に変換する請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項6】
前記第1変換部(103)および前記第2変換部(104)のそれぞれには、前記基準信号生成部(101)から前記基準信号が入力される請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項7】
前記第1変換部(103)に異常が発生したことを検出する第1変換監視部(140)と、
前記第2変換部(104)に異常が発生したことを検出する第2変換監視部(141)と、
を備え、
前記第1変換部(103)は、前記第1位相データに対して位相が90度ずれた第1移相データを出力し、
前記第2変換部(104)は、前記第2位相データに対して位相が90度ずれた第2移相データを出力し、
前記第1変換監視部(140)は、前記第1位相データおよび前記第1移相データと前記2相のレゾルバ信号とを用いて、前記第1変換部(103)に異常が発生したことを検出し、
前記第2変換監視部(141)は、前記第2位相データおよび前記第2移相データと前記2相のレゾルバ信号とを用いて、前記第2変換部(104)に異常が発生したことを検出する請求項2に記載の角度検出装置の信号処理部。
【請求項8】
前記第1変換部(103)に異常が発生したことを検出する第1変換監視部(140)と、
前記第2変換部(104)に異常が発生したことを検出する第2変換監視部(141)と、
を備え、
前記第1変換監視部(140)は、前記第1位相データと前記1相のレゾルバ信号とを用いて、前記第1変換部(103)に異常が発生したことを検出し、
前記第2変換監視部(141)は、前記第2位相データと前記1相のレゾルバ信号とを用いて、前記第2変換部(104)に異常が発生したことを検出する請求項3または請求項4に記載の角度検出装置の信号処理部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、角度検出装置の信号処理部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、励磁信号生成部と、変換部と、冗長部と、を備えている角度検出装置の信号処理部が知られている。励磁信号生成部は、励磁信号を生成する。励磁信号生成部によって生成された励磁信号は、レゾルバに入力される。励磁信号が入力されたレゾルバから2相のレゾルバ信号が出力される。レゾルバから出力された2相のレゾルバ信号は、変換部に入力される。変換部は、2相のレゾルバ信号を角度データに変換して角度データを出力する。変換部から出力された角度データは、被制御装置を制御する制御装置に入力される。また、レゾルバから出力された2相のレゾルバ信号は、冗長部に入力される。冗長部は、2相のレゾルバ信号を用いてAD変換指令信号と2つのサンプルホールド信号とを出力する。冗長部から出力されたAD変換指令信号および2つのサンプルホールド信号は、制御装置に入力される。制御装置は、AD変換指令信号および2つのサンプルホールド信号を用いて冗長角度データを算出する。また、制御装置は、角度データと冗長角度データとを用いて、変換部に異常が発生したことを検出する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、変換部に異常が発生したことを検出するために、AD変換指令信号および2つのサンプルホールド信号が必要になる。これにより、角度検出装置の信号処理部の構成が複雑になってしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、角度検出装置の信号処理部の構成を簡素化することができる角度検出装置の信号処理部を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る角度検出装置の信号処理部は、基準信号を生成する基準信号生成部と、基準信号生成部によって生成された基準信号を用いて2相の励磁信号を生成する励磁信号生成部と、2相の励磁信号が入力されたレゾルバから出力されたレゾルバ出力を第1角度データに変換して第1角度データを出力する第1変換部と、レゾルバ出力を第2角度データに変換して第2角度データを出力する第2変換部と、第1変換部および第2変換部の少なくとも一方に異常が発生したことを検出する位相差監視部と、を備え、第1変換部は、基準信号から第1角度データだけ位相がずれた第1位相データをフィードバック信号として用いて第1角度データを算出するとともに第1位相データを出力し、第2変換部は、基準信号から第2角度データだけ位相がずれた第2位相データをフィードバック信号として用いて第2角度データを算出するとともに第2位相データを出力し、位相差監視部は、第1位相データと第2位相データとの間の位相差に基づいて、第1変換部および第2変換部の少なくとも一方に異常が発生したことを検出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されており、第1変換部は、第1位相データから変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差がゼロになるように第1角度データを算出し、第2変換部は、第2位相データから変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差がゼロになるように第2角度データを算出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、第1変換部は、第1位相データから変換された1相の周期信号を1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差がゼロになるように第1角度データを算出し、第2変換部は、第2位相データから変換された1相の周期信号を1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差がゼロになるように第2角度データを算出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されており、第1変換部は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データと第1位相データとの差分から得られる制御偏差がゼロになるように第1角度データを算出し、第2変換部は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データと第2位相データとの差分から得られる制御偏差がゼロになるように第2角度データを算出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、第1変換部および第2変換部のそれぞれは、2相の励磁信号の少なくとも一方を基準信号に変換する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部では、第1変換部および第2変換部のそれぞれには、基準信号生成部から基準信号が入力される。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部は、第1変換部に異常が発生したことを検出する第1変換監視部と、第2変換部に異常が発生したことを検出する第2変換監視部と、を備え、第1変換部は、第1位相データに対して位相が90度ずれた第1移相データを出力し、第2変換部は、第2位相データに対して位相が90度ずれた第2移相データを出力し、第1変換監視部は、第1位相データおよび第1移相データと2相のレゾルバ信号とを用いて、第1変換部に異常が発生したことを検出し、第2変換監視部は、第2位相データおよび第2移相データと2相のレゾルバ信号とを用いて、第2変換部に異常が発生したことを検出する。
また、この発明に係る角度検出装置の信号処理部は、第1変換部に異常が発生したことを検出する第1変換監視部と、第2変換部に異常が発生したことを検出する第2変換監視部と、を備え、第1変換監視部は、第1位相データと1相のレゾルバ信号とを用いて、第1変換部に異常が発生したことを検出し、第2変換監視部は、第2位相データと1相のレゾルバ信号とを用いて、第2変換部に異常が発生したことを検出する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る角度検出装置の信号処理部によれば、角度検出装置の信号処理部の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。
【
図4】
図1の位相差監視部を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。
【
図8】実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。
【
図10】
図8の第2変換部を示すブロック図である。
【
図11】実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。
【
図14】実施の形態5に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。
【
図17】
図15の第1変換監視部が第1変換部の異常を検出する方法を示す説明図である。
【
図18】実施の形態6に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。角度検出装置は、信号処理部1と、レゾルバ2と、を備えている。レゾルバ2は、2相励磁2相出力型のレゾルバ2になっている。
【0010】
信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、第1変換部103と、第2変換部104と、位相差監視部105と、を備えている。
【0011】
基準信号生成部101は、基準信号ωRtを生成する。基準信号生成部101によって生成された基準信号ωRtは、励磁信号生成部102に入力される。基準信号ωRtが入力された励磁信号生成部102は、基準信号ωRtを用いて2相の励磁信号を生成する。2相の励磁信号のうちの一方の励磁信号を第1励磁信号sinωRtとし、他方の励磁信号を第2励磁信号cosωRtとする。励磁信号生成部102によって生成された2相の励磁信号のそれぞれは、レゾルバ2に入力される。
【0012】
2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から、レゾルバ2における固定子に対する回転子の回転角度θに対応したレゾルバ出力が出力される。実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されている。したがって、2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から、レゾルバ2における固定子に対する回転子の回転角度θに対応した2相のレゾルバ信号が出力される。2相のレゾルバ信号のうちの一方のレゾルバ信号が第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)であり、他方のレゾルバ信号が第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)である。レゾルバ2から出力された2相のレゾルバ信号のそれぞれは、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれに入力される。第1変換部103は、2相のレゾルバ信号を第1角度データφ1に変換して第1角度データφ1を出力する。第1角度データφ1は、回転角度θを示す。第2変換部104は、2相のレゾルバ信号を第2角度データφ2に変換して第2角度データφ2を出力する。第2角度データφ2は、回転角度θを示す。
【0013】
図2は、
図1の第1変換部103を示すブロック図である。第1変換部103は、第1乗算部106と、第2乗算部107と、第1減算部108と、A/D変換部109と、制御則110と、ACC(accumulator)111と、基準信号変換部112と、第2減算部113と、三角関数信号変換部114と、を備えている。
【0014】
第1変換部103におけるフィードバック信号をωL1tとする。三角関数信号変換部114は、2相の周期信号を生成する。2相の周期信号のうちの一方の周期信号を第1三角関数信号cos(ωL1t)とし、他方の周期信号を第2三角関数信号sin(ωL1t)とする。三角関数信号変換部114は、第1三角関数信号cos(ωL1t)および第2三角関数信号sin(ωL1t)を出力する。
【0015】
レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部114から出力された第1三角関数信号cos(ωL1t)とが互いに対応している。第1乗算部106には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部114から出力された第1三角関数信号cos(ωL1t)とが入力される。第1乗算部106は、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と第1三角関数信号cos(ωL1t)とを乗算して、乗算結果を出力する。
【0016】
レゾルバ2から出力された第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部114から出力された第2三角関数信号sin(ωL1t)とが互いに対応している。第2乗算部107には、レゾルバ2から出力された第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部114から出力された第2三角関数信号sin(ωL1t)とが入力される。第2乗算部107は、第1レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と第2三角関数信号sin(ωL1t)とを乗算して、乗算結果を出力する。
【0017】
第1減算部108には、第1乗算部106の乗算結果と、第2乗算部107の乗算結果とが入力される。第1減算部108は、第1乗算部106の乗算結果と、第2乗算部107の乗算結果との差分を算出して、算出結果を制御偏差εとして出力する。制御偏差εは、下記の式(1)を満たす。
【0018】
ε=cos(ωRt-θ)・sin(ωL1t)-sin(ωRt-θ)・cos(ωL1t)=sin(ωL1t-ωRt+θ) (1)
【0019】
A/D変換部109には、第1減算部108から出力された制御偏差εが入力される。A/D変換部109は、制御偏差εをアナログデータからデジタルデータに変換して、デジタルデータの制御偏差εを出力する。
【0020】
制御則110には、A/D変換部109から出力されたデジタルデータの制御偏差εが入力される。制御則110は、制御偏差εがゼロになるように第1角度データφ1の角速度信号を算出し、算出結果を出力する。
【0021】
ACC111には、制御則110から出力された第1角度データφ1の角速度信号が入力される。ACC111は、第1角度データφ1の角速度信号を積分して、積分結果を出力する。ACC111から出力される積分結果は、第1角度データφ1になる。
【0022】
基準信号変換部112には、励磁信号生成部102によって生成された第1励磁信号sinωRtおよび第2励磁信号cosωRtのそれぞれが入力される。基準信号変換部112は、第1励磁信号sinωRtおよび第2励磁信号cosωRtの少なくとも一方を基準信号ωRtに変換して、変換された基準信号ωRtを出力する。
【0023】
第2減算部113には、ACC111から出力された第1角度データφ1と、基準信号変換部112から出力された基準信号ωRtとが入力される。第2減算部113は、第1角度データφ1と基準信号ωRtとの差分を算出する。基準信号ωRtから第1角度データφ1だけ位相がずれたデータを第1位相データωRt-φ1とする。第2減算部113は、算出結果である第1位相データωRt-φ1を出力する。
【0024】
三角関数信号変換部114には、第2減算部113から出力された第1位相データωRt-φ1がフィードバック信号ωL1tとして入力される。三角関数信号変換部114は、第1位相データωRt-φ1を用いて、2相の周期信号を生成する。第1位相データωRt-φ1がフィードバック信号ωL1tであることから、制御偏差εは、下記の式(2)を満たす。
【0025】
ε=sin(θ-φ1) (2)
【0026】
したがって、第1変換部103は、第1位相データωRt-φ1から変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算する。また、第1変換部103は、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差εがゼロになるように第1角度データφ1を算出する。第1変換部103は、算出した第1角度データφ1を出力する。
【0027】
図3は、
図1の第2変換部104を示すブロック図である。第2変換部104は、第1変換部103と同様の構成となっている。第2変換部104は、第1乗算部115と、第2乗算部116と、第1減算部117と、A/D変換部118と、制御則119と、ACC120と、基準信号変換部121と、第2減算部122と、三角関数信号変換部123と、を備えている。
【0028】
第2変換部104におけるフィードバック信号をωL2tとする。三角関数信号変換部123は、2相の周期信号を生成する。2相の周期信号のうちの一方の周期信号を第1三角関数信号cos(ωL2t)とし、他方の周期信号を第2三角関数信号sin(ωL2t)とする。三角関数信号変換部123は、第1三角関数信号cos(ωL2t)および第2三角関数信号sin(ωL2t)を出力する。
【0029】
レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部123から出力された第1三角関数信号cos(ωL2t)とが互いに対応している。第1乗算部115には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部123から出力された第1三角関数信号cos(ωL2t)とが入力される。第1乗算部115は、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)と第1三角関数信号cos(ωL2t)とを乗算して、乗算結果を出力する。
【0030】
レゾルバ2から出力された第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部123から出力された第2三角関数信号sin(ωL2t)とが互いに対応している。第2乗算部116には、レゾルバ2から出力された第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と、三角関数信号変換部123から出力された第2三角関数信号sin(ωL2t)とが入力される。第2乗算部116は、第1レゾルバ信号cos(ωRt-θ)と第2三角関数信号sin(ωL2t)とを乗算して、乗算結果を出力する。
【0031】
第1減算部117には、第1乗算部115の乗算結果と、第2乗算部116の乗算結果とが入力される。第1減算部117は、第1乗算部115の乗算結果と、第2乗算部116の乗算結果との差分を算出して、算出結果を制御偏差εとして出力する。制御偏差εは、下記の式(3)を満たす。
【0032】
ε=cos(ωRt-θ)・sin(ωL2t)-sin(ωRt-θ)・cos(ωL2t)=sin(ωL2t-ωRt+θ) (3)
【0033】
A/D変換部118には、第1減算部117から出力された制御偏差εが入力される。A/D変換部118は、制御偏差εをアナログデータからデジタルデータに変換して、デジタルデータの制御偏差εを出力する。
【0034】
制御則119には、A/D変換部118から出力されたデジタルデータの制御偏差εが入力される。制御則119は、制御偏差εがゼロになるように第2角度データφ2の角速度信号を算出し、算出結果を出力する。
【0035】
ACC120には、制御則119から出力された第2角度データφ2の角速度信号が入力される。ACC120は、第2角度データφ2の角速度信号を積分して、積分結果を出力する。ACC120から出力される積分結果は、第2角度データφ2になる。
【0036】
基準信号変換部121には、励磁信号生成部102によって生成された第1励磁信号sinωRtおよび第2励磁信号cosωRtのそれぞれが入力される。基準信号変換部121は、第1励磁信号sinωRtおよび第2励磁信号cosωRtの少なくとも一方を基準信号ωRtに変換して、変換された基準信号ωRtを出力する。
【0037】
第2減算部122には、ACC120から出力された第2角度データφ2と、基準信号変換部121から出力された基準信号ωRtとが入力される。第2減算部122は、第2角度データφ2と基準信号ωRtとの差分を算出する。基準信号ωRtから第2角度データφ2だけ位相がずれたデータを第2位相データωRt-φ2とする。第2減算部122は、算出結果である第2位相データωRt-φ2を出力する。
【0038】
三角関数信号変換部123には、第2減算部122から出力された第2位相データωRt-φ2がフィードバック信号ωL2tとして入力される。三角関数信号変換部123は、第2位相データωRt-φ2を用いて、2相の周期信号を生成する。第2位相データωRt-φ2がフィードバック信号ωL2tであることから、制御偏差εは、下記の式(4)を満たす。
【0039】
ε=sin(θ-φ2) (4)
【0040】
したがって、第2変換部104は、第2位相データωRt-φ2から変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算する。また、第2変換部104は、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差εがゼロになるように第2角度データφ2を算出する。第2変換部104は、算出した第2角度データφ2を出力する。
【0041】
図4は、
図1の位相差監視部105を示すブロック図である。位相差監視部105は、位相比較部124と、位相差判定部125と、を備えている。
【0042】
位相比較部124には、第1変換部103から出力された第1位相データωRt-φ1が入力される。また、位相比較部124には、第2変換部104から出力された第2位相データωRt-φ2が入力される。位相比較部124は、第1位相データωRt-φ1と第2位相データωRt-φ2との間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0043】
位相差判定部125には、位相比較部124の算出結果が入力される。また、位相差判定部125には、判定基準値Tth1が予め設定されている。判定基準値Tth1は、第1変換部103および第2変換部104の少なくとも一方に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。位相差判定部125は、第1位相データωRt-φ1と第2位相データωRt-φ2との間の位相差が判定基準値Tth1を超えているか否かに基づいて、第1変換部103および第2変換部104の少なくとも一方に異常が発生したことを検出する。位相差判定部125が第1変換部103および第2変換部104の少なくとも一方に異常が発生したことを検出した場合に、位相差判定部125は、異常検出信号を出力する。
【0044】
第1変換部103から出力された第1角度データφ1、第2変換部104から出力された第2角度データφ2および位相差監視部105から出力された異常検出信号は、図示しない制御装置に入力される。制御装置は、第1角度データφ1、第2角度データφ2および異常検出信号を用いて、図示しない被制御装置を制御する。
【0045】
以上説明したように、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、第1変換部103と、第2変換部104と、位相差監視部105と、を備えている。基準信号生成部101は、基準信号ωRtを生成する。励磁信号生成部102は、基準信号生成部101によって生成された基準信号ωRtを用いて2相の励磁信号を生成する。第1変換部103は、2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から出力されたレゾルバ出力を第1角度データφ1に変換して第1角度データφ1を出力する。第2変換部は、レゾルバ出力を第2角度データφ2に変換して第2角度データφ2を出力する。位相差監視部105は、第1変換部103および第2変換部104の少なくとも一方に異常が発生したことを検出する。第1変換部103は、基準信号ωRtから第1角度データφ1だけ位相がずれた第1位相データωRt-φ1をフィードバック信号ωL1tとして用いて第1角度データφ1を算出するとともに第1位相データωRt-φ1を出力する。第2変換部は、基準信号ωRtから第2角度データφ2だけ位相がずれた第2位相データωRt-φ2をフィードバック信号ωL2tとして用いて第2角度データφ2を算出するとともに第2位相データωRt-φ2を出力する。位相差監視部105は、第1位相データωRt-φ1と第2位相データωRt-φ2との間の位相差に基づいて、第1変換部103および第2変換部104の少なくとも一方に異常が発生したことを検出する。この構成によれば、フィードバック信号ωL1tとして用いられる第1位相データωRt-φ1およびフィードバック信号ωL2tとして用いられる第2位相データωRt-φ2を用いて、第1変換部103および第2変換部104の少なくとも一方に異常が発生したことが検出される。これにより、角度検出装置の信号処理部1の構成を簡素化することができる。
【0046】
また、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ出力は、2相のレゾルバ信号から構成されている。第1変換部103は、第1位相データωRt-φ1から変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差εがゼロになるように第1角度データφ1を算出する。第2変換部104は、第2位相データωRt-φ2から変換された2相の周期信号のそれぞれを2相のレゾルバ信号のそれぞれに対応させて乗算し、それぞれの乗算結果の差分から得られる制御偏差εがゼロになるように第2角度データφ2を算出する。この構成によれば、第1変換部103による第1角度データφ1の算出の精度を向上させることができ、また、第2変換部104による第2角度データφ2の算出の精度を向上させることができる。
【0047】
また、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1では、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれは、2相の励磁信号の少なくとも一方を基準信号ωRtに変換する。この構成によれば、基準信号生成部101から第1変換部103および第2変換部104のそれぞれに基準信号ωRtが入力されることなく、第1変換部103が第1角度データφ1を算出し、第2変換部104が第2角度データφ2を算出することができる。
【0048】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。角度検出装置は、信号処理部1と、レゾルバ2と、を備えている。レゾルバ2は、2相励磁1相出力型のレゾルバ2になっている。
【0049】
信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、第1変換部103と、第2変換部104と、位相差監視部105と、を備えている。実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1における基準信号生成部101、励磁信号生成部102および位相差監視部105は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における基準信号生成部101、励磁信号生成部102および位相差監視部105と同一である。
【0050】
2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から、レゾルバ2における固定子に対する回転子の回転角度θに対応したレゾルバ出力が出力される。実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されている。したがって、2相の励磁信号が入力されたレゾルバ2から、レゾルバ2における固定子に対する回転子の回転角度θに対応した1相のレゾルバ信号が出力される。1相のレゾルバ信号は、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)である。なお、1相のレゾルバ信号は、第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)であってもよい。レゾルバ2から出力された1相のレゾルバ信号は、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれに入力される。第1変換部103は、1相のレゾルバ信号を第1角度データφ1に変換して第1角度データφ1を出力する。第2変換部104は、1相のレゾルバ信号を第2角度データφ2に変換して第2角度データφ2を出力する。
【0051】
図6は、
図5の第1変換部103を示すブロック図である。第1変換部103は、コンパレータ126と、PFC(phase frequency comparator)127と、制御則128と、ACC129と、基準信号変換部130と、減算部131と、位相信号生成部132と、を備えている。
【0052】
コンパレータ126には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。コンパレータ126に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、コンパレータ126からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0053】
第1変換部103では、フィードバック信号として、第1位相データωRt-φ1が用いられる。位相信号生成部132は、調整された第1位相データωRt-φ1を出力する。PFC127には、コンパレータ126から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、位相信号生成部132から出力された第1位相データωRt-φ1とが入力される。PFC127は、レゾルバ位相データωRt-θと第1位相データωRt-φ1との差分を算出して、算出結果を制御偏差εとして出力する。
【0054】
制御則128には、PFC127から出力された制御偏差εが入力される。制御則128は、制御偏差εがゼロになるように第1角度データφ1の角速度信号を算出し、算出結果を出力する。
【0055】
ACC129には、制御則128から出力された第1角度データφ1の角速度信号が入力される。ACC129は、第1角度データφ1の角速度信号を積分して、積分結果を出力する。ACC129から出力される積分結果は、第1角度データφ1になる。
【0056】
基準信号変換部130には、励磁信号生成部102によって生成された第1励磁信号sinωRtおよび第2励磁信号cosωRtのそれぞれが入力される。基準信号変換部130は、第1励磁信号sinωRtおよび第2励磁信号cosωRtの少なくとも一方を基準信号ωRtに変換して、変換された基準信号ωRtを出力する。
【0057】
減算部131には、ACC129から出力された第1角度データφ1と、基準信号変換部130から出力された基準信号ωRtとが入力される。減算部131は、第1角度データφ1と基準信号ωRtとの差分を算出する。基準信号ωRtから第1角度データφ1だけ位相がずれたデータを第1位相データωRt-φ1とする。減算部131は、算出結果である第1位相データωRt-φ1を出力する。
【0058】
位相信号生成部132には、減算部131から出力された第1位相データωRt-φ1が入力される。位相信号生成部132は、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)に対応して第1位相データωRt-φ1を調整し、調整した第1位相データωRt-φ1を出力する。なお、1相のレゾルバ信号が第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)である場合には、位相信号生成部132は、第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)に対応して第1位相データωRt-φ1を調整し、調整した第1位相データωRt-φ1を出力する。
【0059】
したがって、第1変換部103は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データωRt-θと第1位相データωRt-φ1との差分から得られる制御偏差εがゼロになるように第1角度データφ1を算出する。
【0060】
図7は、
図5の第2変換部104を示すブロック図である。第2変換部104は、第1変換部103と同様の構成となっている。第2変換部104は、コンパレータ133と、PFC134と、制御則135と、ACC136と、基準信号変換部137と、減算部138と、位相信号生成部139と、を備えている。
【0061】
コンパレータ133には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。コンパレータ133に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、コンパレータ133からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0062】
第2変換部104では、フィードバック信号として、第2位相データωRt-φ2が用いられる。位相信号生成部139は、調整された第2位相データωRt-φ2を出力する。PFC134には、コンパレータ133から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、位相信号生成部139から出力された第2位相データωRt-φ2とが入力される。PFC134は、レゾルバ位相データωRt-θと第2位相データωRt-φ2との差分を算出して、算出結果を制御偏差εとして出力する。
【0063】
制御則135には、PFC134から出力された制御偏差εが入力される。制御則135は、制御偏差εがゼロになるように第2角度データφ2の角速度信号を算出し、算出結果を出力する。
【0064】
ACC136には、制御則135から出力された第2角度データφ2の角速度信号が入力される。ACC136は、第2角度データφ2の角速度信号を積分して、積分結果を出力する。ACC136から出力される積分結果は、第2角度データφ2になる。
【0065】
基準信号変換部137には、励磁信号生成部102によって生成された第1励磁信号sinωRtおよび第2励磁信号cosωRtのそれぞれが入力される。基準信号変換部137は、第1励磁信号sinωRtおよび第2励磁信号cosωRtの少なくとも一方を基準信号ωRtに変換して、変換された基準信号ωRtを出力する。
【0066】
減算部138には、ACC136から出力された第2角度データφ2と、基準信号変換部137から出力された基準信号ωRtとが入力される。減算部138は、第2角度データφ2と基準信号ωRtとの差分を算出する。基準信号ωRtから第2角度データφ2だけ位相がずれたデータを第2位相データωRt-φ2とする。減算部138は、算出結果である第2位相データωRt-φ2を出力する。
【0067】
位相信号生成部139には、減算部138から出力された第2位相データωRt-φ2が入力される。位相信号生成部139は、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)に対応して第2位相データωRt-φ2を調整し、調整した第2位相データωRt-φ2を出力する。
【0068】
したがって、第2変換部104は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データωRt-θと第2位相データωRt-φ2との差分から得られる制御偏差εがゼロになるように第2角度データφ2を算出する。
【0069】
実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1におけるその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における構成と同様である。
【0070】
以上説明したように、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ出力は、1相のレゾルバ信号から構成されている。第1変換部103は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データωRt-θと第1位相データωRt-φ1との差分から得られる制御偏差εがゼロになるように第1角度データφ1を算出する。第2変換部104は、1相のレゾルバ信号から変換されたレゾルバ位相データωRt-θと第2位相データωRt-φ2との差分から得られる制御偏差εがゼロになるように第2角度データφ2を算出する。この構成によれば、振幅変調方式と比較して、第1変換部103および第2変換部104に対するノイズの影響を小さくすることができ、これにより、第1変換部103による第1角度データφ1の算出の精度を向上させることができ、また、第2変換部104による第2角度データφ2の算出の精度を向上させることができる。
【0071】
なお、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1において、第1変換部103がレゾルバ位相データωRt-θと第1位相データωRt-φ1との差分から得られる制御偏差εがゼロになるように第1角度データφ1を算出する構成について説明した。しかしながら、これに限らず、第1変換部103は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における第1変換部103と同様にして第1角度データφ1を算出する構成であってもよい。言い換えれば、第1変換部103は、第1位相データωRt-φ1から変換された1相の周期信号を1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差εがゼロになるように第1角度データφ1を算出する構成であってもよい。1相のレゾルバ信号が第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)である場合に、1相の周期信号が第1三角関数信号cos(ωL1t)になる。一方、1相のレゾルバ信号が第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)である場合に、1相の周期信号が第2三角関数信号sin(ωL1t)になる。
【0072】
また、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1において、第2変換部104がレゾルバ位相データωRt-θと第2位相データωRt-φ2との差分から得られる制御偏差εがゼロになるように第2角度データφ2を算出する構成について説明した。しかしながら、これに限らず、第2変換部104は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における第2変換部104と同様にして第2角度データφ2を算出する構成であってもよい。言い換えれば、第2変換部104は、第2位相データωRt-φ2から変換された1相の周期信号を1相のレゾルバ信号に乗算して得られる制御偏差εがゼロになるように第2角度データφ2を算出する構成であってもよい。1相のレゾルバ信号が第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)である場合に、1相の周期信号が第1三角関数信号cos(ωL2t)になる。一方、1相のレゾルバ信号が第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)である場合に、1相の周期信号が第2三角関数信号sin(ωL2t)になる。
【0073】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。角度検出装置は、信号処理部1と、レゾルバ2と、を備えている。レゾルバ2は、2相励磁2相出力型のレゾルバ2になっている。
【0074】
基準信号生成部101によって生成された基準信号ωRtは、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれに入力される。
【0075】
図9は、
図8の第1変換部103を示すブロック図である。実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1における第1変換部103では、基準信号変換部112を備えていない点のみが実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における第1変換部103と異なる。第1変換部103に入力された基準信号ω
Rtは、第2減算部113に入力される。
【0076】
図10は、
図8の第2変換部104を示すブロック図である。実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1における第2変換部104では、基準信号変換部121を備えていない点のみが実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における第2変換部104と異なる。第2変換部104に入力された基準信号ω
Rtは、第2減算部122に入力される。
【0077】
実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1におけるその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における構成と同様である。
【0078】
以上説明したように、実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1では、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれには、基準信号生成部101から基準信号ωRtが入力される。この構成によれば、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれにおいて、2相の励磁信号の少なくとも一方を基準信号ωRtに変換する必要がなくなる。これにより、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれの構成を簡素化することができる。
【0079】
実施の形態4.
図11は、実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。角度検出装置は、信号処理部1と、レゾルバ2と、を備えている。レゾルバ2は、2相励磁1相出力型のレゾルバ2になっている。
【0080】
基準信号生成部101によって生成された基準信号ωRtは、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれに入力される。
【0081】
図12は、
図11の第1変換部103を示すブロック図である。実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1における第1変換部103では、基準信号変換部130を備えていない点のみが実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1における第1変換部103と異なる。第1変換部103に入力された基準信号ω
Rtは、減算部131に入力される。
【0082】
図13は、
図11の第2変換部104を示すブロック図である。実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1における第2変換部104では、基準信号変換部137を備えていない点のみが実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1における第2変換部104と異なる。第2変換部104に入力された基準信号ω
Rtは、減算部138に入力される。
【0083】
実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1におけるその他の構成は、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1における構成と同様である。
【0084】
以上説明したように、実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1では、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれには、基準信号生成部101から基準信号ωRtが入力される。この構成によれば、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれにおいて、2相の励磁信号の少なくとも一方を基準信号ωRtに変換する必要がなくなる。これにより、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれの構成を簡素化することができる。
【0085】
実施の形態5.
図14は、実施の形態5に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。角度検出装置は、信号処理部1と、レゾルバ2と、を備えている。レゾルバ2は、2相励磁2相出力型のレゾルバ2になっている。
【0086】
信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、第1変換部103と、第2変換部104と、位相差監視部105と、第1変換監視部140と、第2変換監視部141と、を備えている。実施の形態5に係る角度検出装置の信号処理部1における基準信号生成部101、励磁信号生成部102および位相差監視部105は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における基準信号生成部101、励磁信号生成部102および位相差監視部105と同一である。
【0087】
第1変換部103は、第1位相データωRt-φ1に対して位相が90度ずれた第1移相データωRt-φ1+90°を出力する。実施の形態5に係る角度検出装置の信号処理部1における第1変換部103のその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における第1変換部103と同様である。
【0088】
第2変換部104は、第2位相データωRt-φ2に対して位相が90度ずれた第2移相データωRt-φ2+90°を出力する。実施の形態5に係る角度検出装置の信号処理部1における第2変換部104のその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出装置の信号処理部1における第2変換部104と同様である。
【0089】
第1変換監視部140は、第1変換部103に異常が発生したことを検出する。第2変換監視部141は、第2変換部104に異常が発生したことを検出する。
【0090】
図15は、
図14の第1変換監視部140を示すブロック図である。第1変換監視部140は、第1コンパレータ142と、第1位相比較部143と、第1位相差判定部144と、第2コンパレータ145と、第2位相比較部146と、第2位相差判定部147と、論理和回路部148と、を備えている。
【0091】
第1コンパレータ142には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。第1コンパレータ142に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、第1コンパレータ142からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0092】
第1位相比較部143には、第1コンパレータ142から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、第1変換部103から出力された第1位相データωRt-φ1とが入力される。第1位相比較部143は、レゾルバ位相データωRt-θと第1位相データωRt-φ1との間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0093】
第1位相差判定部144には、第1位相比較部143の算出結果が入力される。また、第1位相差判定部144には、判定基準値Tth2が予め設定されている。判定基準値Tth2は、第1変換部103に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。第1位相差判定部144は、レゾルバ位相データωRt-θと第1位相データωRt-φ1との間の位相差が判定基準値Tth2を超えているか否かに基づいて、第1変換部103に異常が発生したことを検出する。第1位相差判定部144が第1変換部103に異常が発生したことを検出した場合に、第1位相差判定部144は、異常検出信号を出力する。
【0094】
第2コンパレータ145には、レゾルバ2から出力された第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)が入力される。第2コンパレータ145に第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)が入力されることによって、第2コンパレータ145からレゾルバ位相データωRt-θ+90°が出力される。
【0095】
第2位相比較部146には、第2コンパレータ145から出力されたレゾルバ位相データωRt-θ+90°と、第1変換部103から出力された第1移相データωRt-φ1+90°とが入力される。第2位相比較部146は、レゾルバ位相データωRt-θ+90°と第1移相データωRt-φ1+90°との間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0096】
第2位相差判定部147には、第2位相比較部146の算出結果が入力される。また、第2位相差判定部147には、判定基準値Tth3が予め設定されている。判定基準値Tth3は、第1変換部103に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。第2位相差判定部147は、レゾルバ位相データωRt-θ+90°と第1移相データωRt-φ1+90°との間の位相差が判定基準値Tth3を超えているか否かに基づいて、第1変換部103に異常が発生したことを検出する。第2位相差判定部147が第1変換部103に異常が発生したことを検出した場合に、第2位相差判定部147は、異常検出信号を出力する。
【0097】
論理和回路部148には、第1位相差判定部144から出力された異常検出信号および第2位相差判定部147から出力された異常検出信号が入力される。第1位相差判定部144から出力された異常検出信号および第2位相差判定部147から出力された異常検出信号の少なくとも何れか一方が論理和回路部148に入力された場合に、論理和回路部148は異常検出信号を出力する。
【0098】
図16は、
図14の第2変換監視部141を示すブロック図である。第2変換監視部141は、第1コンパレータ149と、第1位相比較部150と、第1位相差判定部151と、第2コンパレータ152と、第2位相比較部153と、第2位相差判定部154と、論理和回路部155と、を備えている。
【0099】
第1コンパレータ149には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。第1コンパレータ149に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、第1コンパレータ149からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0100】
第1位相比較部150には、第1コンパレータ149から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、第2変換部104から出力された第1位相データωRt-φ2とが入力される。第1位相比較部150は、レゾルバ位相データωRt-θと第2位相データωRt-φ2との間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0101】
第1位相差判定部151には、第1位相比較部150の算出結果が入力される。また、第1位相差判定部151には、判定基準値Tth4が予め設定されている。判定基準値Tth4は、第2変換部104に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。第1位相差判定部151は、レゾルバ位相データωRt-θと第2位相データωRt-φ2との間の位相差が判定基準値Tth4を超えているか否かに基づいて、第2変換部104に異常が発生したことを検出する。第1位相差判定部151が第2変換部104に異常が発生したことを検出した場合に、第1位相差判定部151は、異常検出信号を出力する。
【0102】
第2コンパレータ152には、レゾルバ2から出力された第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)が入力される。第2コンパレータ152に第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)が入力されることによって、第2コンパレータ152からレゾルバ位相データωRt-θ+90°が出力される。
【0103】
第2位相比較部153には、第2コンパレータ152から出力されたレゾルバ位相データωRt-θ+90°と、第2変換部104から出力された第1移相データωRt-φ2+90°とが入力される。第2位相比較部153は、レゾルバ位相データωRt-θ+90°と第2移相データωRt-φ2+90°との間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0104】
第2位相差判定部154には、第2位相比較部153の算出結果が入力される。また、第2位相差判定部154には、判定基準値Tth5が予め設定されている。判定基準値Tth5は、第2変換部104に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。第2位相差判定部154は、レゾルバ位相データωRt-θ+90°と第2移相データωRt-φ2+90°との間の位相差が判定基準値Tth5を超えているか否かに基づいて、第2変換部104に異常が発生したことを検出する。第2位相差判定部154が第2変換部104に異常が発生したことを検出した場合に、第2位相差判定部154は、異常検出信号を出力する。
【0105】
論理和回路部155には、第1位相差判定部151から出力された異常検出信号および第2位相差判定部154から出力された異常検出信号が入力される。第1位相差判定部151から出力された異常検出信号および第2位相差判定部154から出力された異常検出信号の少なくとも何れか一方が論理和回路部155に入力された場合に、論理和回路部155は異常検出信号を出力する。
【0106】
第1変換監視部140から出力された異常検出信号および第2変換監視部141から出力された異常検出信号は、制御装置に入力される。
【0107】
図17は、
図15の第1変換監視部140が第1変換部103の異常を検出する方法を示す説明図である。
図17の(a)では、第1レゾルバ信号sin(ω
Rt-θ)が第1コンパレータ142に入力される例が示されている。第1コンパレータ142に第1レゾルバ信号sin(ω
Rt-θ)が入力されることによって、
図17の(b)に示すレゾルバ位相データω
Rt-θが第1コンパレータ142から出力される。レゾルバ位相データω
Rt-θは、電圧の値がHおよびLの何れか一方の値になるデータである。
【0108】
図17の(b)に示すレゾルバ位相データω
Rt-θおよび
図17の(c)に示す第1位相データω
Rt-φ
1が第1位相比較部143に入力される。
図17(c)では、第1変換部103に異常が発生している場合に第1変換部103から出力された第1位相データω
Rt-φ
1が示されている。第1変換部103に異常が発生していない場合には、レゾルバ位相データω
Rt-θと第1位相データω
Rt-φ
1との間に位相ずれが発生しない。第1位相比較部143では、レゾルバ位相データω
Rt-θおよび第1位相データω
Rt-φ
1の排他的論理和を算出する。
図17の(d)は、算出された排他的論理和を示している。
【0109】
図17の(e)に示すように、第1位相差判定部144は、算出された排他的論理和のうちで、Hの状態の時間だけカウントアップを行い、Lの状態ではカウントをリセットする。また、第1位相差判定部144は、カウントアップされた値が予め設定された判定閾値を超えた場合に、第1変換部103に異常が発生したことを検出する。判定閾値は、判定基準値T
th2に対応する値である。
【0110】
図17の(f)に示すように、第1変換部103に異常が発生したことを第1位相差判定部144が検出した場合に、第1位相差判定部144は、異常検出信号を出力する。
図17の(f)では、第1位相差判定部144から出力された電圧の値がHの状態が、第1位相差判定部144が異常検出信号を出力した状態に対応する。
【0111】
第1変換監視部140における第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)および第1移相データωRt-φ1+90°を用いた第1変換部103の異常の検出の方法は、第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)および第1位相データωRt-φ1を用いた第1変換部103の異常の検出の方法と同様である。
【0112】
また、第2変換監視部141における第2変換部104の異常の検出の方法は、第1変換監視部140における第1変換部103の異常の検出の方法と同様である。
【0113】
実施の形態5に係る角度検出装置の信号処理部1におけるその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出処理部の信号処理部1と同様である。なお、実施の形態3に係る角度検出装置の信号処理部1と同様に、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれには、基準信号生成部101から基準信号ωRtが入力される構成であってもよい。
【0114】
以上説明したように、実施の形態5に係る角度検出装置の信号処理部1は、第1変換監視部140と、第2変換監視部141と、を備えている。第1変換監視部140は、第1変換部103に異常が発生したことを検出する。第2変換監視部141は、第2変換部104に異常が発生したことを検出する。第1変換部103は、第1位相データωRt-φ1に対して位相が90度ずれた第1移相データωRt-φ1+90°を出力する。第2変換部104は、第2位相データωRt-φ2に対して位相が90度ずれた第2移相データωRt-φ2+90°を出力する。第1変換監視部140は、第1位相データωRt-φ1および第1移相データωRt-φ1+90°と2相のレゾルバ信号とを用いて、第1変換部103に異常が発生したことを検出する。第2変換監視部141は、第2位相データωRt-φ2および第2移相データωRt-φ2+90°と2相のレゾルバ信号とを用いて、第2変換部104に異常が発生したことを検出する。この構成によれば、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれの異常を容易に検出することができる。
【0115】
実施の形態6.
図18は、実施の形態6に係る角度検出装置の信号処理部を備えた角度検出装置を示すブロック図である。角度検出装置は、信号処理部1と、レゾルバ2と、を備えている。レゾルバ2は、2相励磁1相出力型のレゾルバ2になっている。
【0116】
信号処理部1は、基準信号生成部101と、励磁信号生成部102と、第1変換部103と、第2変換部104と、位相差監視部105と、第1変換監視部140と、第2変換監視部141と、を備えている。実施の形態6に係る角度検出装置の信号処理部1における基準信号生成部101、励磁信号生成部102、第1変換部103、第2変換部104および位相差監視部105は、実施の形態2に係る角度検出装置の信号処理部1における基準信号生成部101、励磁信号生成部102、第1変換部103、第2変換部104および位相差監視部105と同一である。
【0117】
第1変換監視部140は、第1変換部103に異常が発生したことを検出する。第2変換監視部141は、第2変換部104に異常が発生したことを検出する。
【0118】
図19は、
図18の第1変換監視部140を示すブロック図である。第1変換監視部140は、コンパレータ156と、位相比較部157と、位相差判定部158と、を備えている。
【0119】
コンパレータ156には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。コンパレータ156に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、コンパレータ156からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0120】
位相比較部157には、コンパレータ156から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、第1変換部103から出力された第1位相データωRt-φ1とが入力される。位相比較部157は、レゾルバ位相データωRt-θと第1位相データωRt-φ1との間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0121】
位相差判定部158には、位相比較部157の算出結果が入力される。また、位相差判定部158には、判定基準値Tth6が予め設定されている。判定基準値Tth6は、第1変換部103に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。位相差判定部158は、レゾルバ位相データωRt-θと第1位相データωRt-φ1との間の位相差が判定基準値Tth6を超えているか否かに基づいて、第1変換部103に異常が発生したことを検出する。位相差判定部158が第1変換部103に異常が発生したことを検出した場合に、位相差判定部158は、異常検出信号を出力する。
【0122】
図20は、
図18の第2変換監視部141を示すブロック図である。第2変換監視部141は、コンパレータ159と、位相比較部160と、位相差判定部161と、を備えている。
【0123】
コンパレータ159には、レゾルバ2から出力された第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力される。コンパレータ159に第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)が入力されることによって、コンパレータ159からレゾルバ位相データωRt-θが出力される。
【0124】
位相比較部160には、コンパレータ159から出力されたレゾルバ位相データωRt-θと、第2変換部104から出力された第2位相データωRt-φ2とが入力される。位相比較部160は、レゾルバ位相データωRt-θと第2位相データωRt-φ2との間の位相差を算出して、算出結果を出力する。
【0125】
位相差判定部161には、位相比較部160の算出結果が入力される。また、位相差判定部161には、判定基準値Tth7が予め設定されている。判定基準値Tth7は、第1変換部103に異常が発生したことを検出するための判定に用いられる基準値である。位相差判定部161は、レゾルバ位相データωRt-θと第2位相データωRt-φ2との間の位相差が判定基準値Tth7を超えているか否かに基づいて、第2変換部104に異常が発生したことを検出する。位相差判定部161が第2変換部104に異常が発生したことを検出した場合に、位相差判定部161は、異常検出信号を出力する。
【0126】
第1変換監視部140から出力された異常検出信号および第2変換監視部141から出力された異常検出信号は、制御装置に入力される。
【0127】
実施の形態6に係る角度検出装置の信号処理部1におけるその他の構成は、実施の形態2に係る角度検出処理部の信号処理部1と同様である。なお、実施の形態4に係る角度検出装置の信号処理部1と同様に、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれには、基準信号生成部101から基準信号ωRtが入力される構成であってもよい。
【0128】
以上説明したように、実施の形態6に係る角度検出装置の信号処理部1は、第1変換監視部140と、第2変換監視部141と、を備えている。第1変換監視部140は、第1変換部103に異常が発生したことを検出する。第2変換監視部141は、第2変換部104に異常が発生したことを検出する。第1変換監視部140は、第1位相データωRt-φ1と1相のレゾルバ信号とを用いて、第1変換部103に異常が発生したことを検出する。第2変換監視部141は、第2位相データωRt-φ2と1相のレゾルバ信号とを用いて、第2変換部104に異常が発生したことを検出する。この構成によれば、第1変換部103および第2変換部104のそれぞれの異常を容易に検出することができる。
【0129】
なお、実施の形態5、6に係る角度検出装置の信号処理部1では、レゾルバ位相データωRt-θ、第1位相データωRt-φ1および第2位相データωRt-φ2が矩形波である構成について説明した。しかしながら、レゾルバ位相データωRt-θ、第1位相データωRt-φ1および第2位相データωRt-φ2は、これに限らず、周期的に変化する信号であればよい。レゾルバ位相データωRt-θ、第1位相データωRt-φ1および第2位相データωRt-φ2としては、例えば、三角波、正弦波、台形波が挙げられる。
【0130】
また、実施の形態1、3、5に係る角度検出装置の信号処理部1では、2相の周期信号として、第1三角関数信号cos(ωL1t)、第1三角関数信号cos(ωL2t)、第2三角関数信号sin(ωL1t)および第2三角関数信号sin(ωL2t)を用いた構成について説明した。しかしながら、2相の周期信号は、これに限らず、周期的に変化する信号であればよい。2相の周期信号としては、例えば、三角波、正弦波、台形波が挙げられる。
【0131】
また、実施の形態1、3、5に係る角度検出装置の信号処理部1では、2相のレゾルバ信号が第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)および第2レゾルバ信号cos(ωRt-θ)である構成について説明した。しかしながら、2相のレゾルバ信号は、これに限らず、周期的に変換する信号であればよい。2相のレゾルバ信号としては、例えば、三角波、正弦波、台形波が挙げられる。
【0132】
また、実施の形態2、4、6に係る角度検出装置の信号処理部では、1相のレゾルバ信号が第1レゾルバ信号sin(ωRt-θ)である構成について説明した。しかしながら、1相のレゾルバ信号は、これに限らず、周期的に変換する信号であればよい。1相のレゾルバ信号としては、例えば、三角波、正弦波、台形波が挙げられる。
【0133】
以上、好ましい各実施の形態に係る角度検出装置の信号処理部1について説明したが、上述した各実施の形態に係る角度検出装置の信号処理部1に制限されることはない。特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した各実施の形態に係る角度検出装置の信号処理部1に種々の変形および変換を加えることができる。
【符号の説明】
【0134】
1 信号処理部、2 レゾルバ、101 基準信号生成部、102 励磁信号生成部、103 第1変換部、104 第2変換部、105 位相差監視部、106 第1乗算部、107 第2乗算部、108 第1減算部、109 A/D変換部、110 制御則、111 ACC、112 基準信号変換部、113 第2減算部、114 三角関数信号変換部、115 第1乗算部、116 第2乗算部、117 第1減算部、118 A/D変換部、119 制御則、120 ACC、121 基準信号変換部、122 第2減算部、123 三角関数信号変換部、124 位相比較部、125 位相差判定部、126 コンパレータ、127 PFC、128 制御則、129 ACC、130 基準信号変換部、131 減算部、132 位相信号生成部、133 コンパレータ、134 PFC、135 制御則、136 ACC、137 基準信号変換部、138 減算部、139 位相信号生成部、140 第1変換監視部、141 第2変換監視部、142 第1コンパレータ、143 第1位相比較部、144 第1位相差判定部、145 第2コンパレータ、146 第2位相比較部、147 第2位相差判定部、148 論理和回路部、149 第1コンパレータ、150 第1位相比較部、151 第1位相差判定部、152 第2コンパレータ、153 第2位相比較部、154 第2位相差判定部、155 論理和回路部、156 コンパレータ、157 位相比較部、158 位相差判定部、159 コンパレータ、160 位相比較部、161 位相差判定部。