(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154820
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】飛しょう体用レドーム
(51)【国際特許分類】
F42B 10/46 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
F42B10/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068921
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】中▲西▼ 永
(57)【要約】
【課題】耐熱衝撃性の高い飛しょう体用レドームを提供する。
【解決手段】目標に向けて飛しょうする飛しょう体の前方に設置され、セラミック材から構成されて先端が尖った形状を有する飛しょう体用レドームであって、レドームの先端部分におけるセラミック材はき裂に対して熱により再結晶化が促進される自己修復可能なセラミック材からなるようにした。レドームの先端部は空力荷重や空力加熱を受けやすく、き裂が発生しやすいが、本発明によれば飛しょう体が飛しょう中にレドームの先端部にき裂が生じた場合であっても、飛しょう時の空力加熱を利用してき裂を自己修復して、き裂の進展を抑制することを可能とした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛しょう体の前方に設置され、セラミックス材から構成され先端が尖った形状を有する飛しょう体用レドームであって、
前記先端における前記セラミックス材は、き裂に対して熱により再結晶化が促進される自己修復可能なセラミックス材からなることを特徴とする飛しょう体用レドーム。
【請求項2】
前記自己修復可能なセラミックス材は、コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、または、ヒューズドシリカ(SiO2)、または、シリコンナイトライド(Si3N4)の焼結体のセラミックスであって、添加物としてアルミナ(Al2O3)、または、酸化マンガン(MnO)が添加されて焼結された焼結体であることを特徴とする請求項1記載の飛しょう体用レドーム。
【請求項3】
前記セラミックス材は、第1のセラミックス材と第2のセラミックス材が積層された積層構造を有し、
前記第1のセラミックス材は、周囲外気と接する飛しょう体用レドームの外側の面に配置され、前記第2のセラミックス材は前記外側の面とは反対の内側の面に配置され、
前記先端における前記セラミックス材は、前記第1のセラミック材のみから構成され、
前記後端部における前記セラミックス材は、前記第1のセラミックス材と層厚が前記第1のセラミックス材より厚い前記第2のセラミックス材とから構成されるか、あるいは、前記第2のセラミックス材のみから構成され、
前記先端から前記後端部へ向けて、前記第1のセラミックス材の層厚は薄くなり、前記第2のセラミックス材の層厚は厚くなり、
前記第1のセラミックス材は、前記自己修復可能なセラミックス材であり、
前記第2のセラミックス材は、前記自己修復可能でないセラミックス材であり、コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、または、ヒューズドシリカ(SiO2)、または、シリコンナイトライド(Si3N4)の焼結体のセラミックスであって、添加物は添加せず、焼結する前の液状のコージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、または、ヒューズドシリカ(SiO2)、または、シリコンナイトライド(Si3N4)をそのまま焼結したセラミックス材であることを特徴とする請求項1または2記載の飛しょう体用レドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飛しょう体用アンテナを保護する飛しょう体用レドームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の目標に向けて電波誘導にて飛しょうする飛しょう体は、先端部に目標を検知するためのレーダ用アンテナが備えられている。飛しょう体の先端部は、空力荷重や空力加熱を受けやすい部位である。このため飛しょう体の先端部は、空力抵抗を減らし高速で飛しょうできるように、尖った形状(例えばCone、Ogive、Von_Karman形状)とすることが一般的である。
【0003】
また、レドームは、レーダ用アンテナが送受信する電波を透過させる必要があることから、誘電体材料を使用しなければならない。誘電体材料としては、アルミナ(Al2O3)、コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、ヒューズドシリカ(SiO2)、シリコンナイトライド(Si3N4)焼結体などのセラミックス、FRP(Fiber Reinforced Plastics;繊維強化プラスチック)材などが用いられている。
【0004】
超音速で飛しょうする飛しょう体のレドームは、耐熱性及び耐熱衝撃性に優れたセラミックス材を使用することが主流である。また、飛しょう体の機体は、通常、鉄、あるいはアルミニウム材などの高剛性で高熱膨張係数(10~30×10-E6/℃)の材料を用いているのが一般的である。前述のレドームと機体は異種材料となるので、その組み合わせによる熱応力が懸念される。このため、高剛性で熱膨張係数が比較的低いFRPを用いたリングを介して、レドームを機体に固定し、またレドームとリングは接着剤により固定することが一般的である。
【0005】
一方、セラミックスの公知技術として、自己修復可能なセラミックス材の開示がある(例えば特許文献1、2)。自己修復可能なセラミックス材は、熱衝撃の他、製造時や取り扱い時に生じるき裂に対して、熱及び電気による化学反応により再結晶化が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表第2018-511167号
【特許文献2】国際公開第2013/008646号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
飛しょう体において、数秒という短い時間で超音速または極超音速に達して飛しょうするものがある。また、長時間飛しょうするものもあり、空力加熱により機体が高温に晒される。レドームの先端部は空力加熱のよどみ点付近であり、従来、急激な温度上昇による熱衝撃が発生しやすかった。熱衝撃が発生した場合、先端部周辺に微小な欠陥が発生し、レドームにき裂が発生する可能性が生じるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は係る課題を解決するためになされたものであり、飛しょう体の前方に設置され、セラミックス材から構成され先端が尖った形状を有する飛しょう体用レドームにおいて、前記先端における前記セラミックス材は、き裂に対して熱により再結晶化が促進される自己修復可能なセラミックス材から成るようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、飛しょう体の前方に設置する飛しょう体用レドームであって、空力加熱に対する耐熱衝撃性の高い飛しょう体用レドームを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る飛しょう体用レドームを備えた飛しょう体の側面図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係る飛しょう体用レドームの断面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態に係る飛しょう体用レドームを説明する。なお、実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係るレドーム100を示す側面図である。レドーム100はセラミック造形物であり、飛しょう体の機体200の前方に設置される。
図2は、本実施の形態に係るレドーム100の断面図であり、
図1で示されるA-A’線に沿った断面図である。
レドーム100は先が尖った形状であり、肉厚が薄いセラミックス材Sによって形成される。セラミックス材Sの詳細については後述する。
セラミックス材Sにより形成されたレドーム100の内部である内側部分は空洞であり、空洞101で表わす。
【0013】
図1、
図2において、レドーム100の先が尖った方の端部を先端部100Aとする。
先端部100Aの反対側の端部で、機体200と連結する方の端部を後端部100Bとする。また、先端部100Aと後端部100Bの間にあって先端部100Aと後端部100Bの間に位置する部分を、中間部100Cとする。
【0014】
空洞101には飛しょう体用のアンテナ(図示せず)が設置される。アンテナはレドーム100によりレドーム100の周囲と隔離される。
レドームが連結される機体200からみたレドーム100の後端部100Bの形は、なかが空間の丸い形状をしており、薄肉のセラミックスSによって外周が形成される。
【0015】
前述の通りレドーム100はセラミックス材Sにより形成される。より詳しくは2層の異なるセラミックス材が積層された積層セラミックスによって形成される。
2層のセラミックス材のうち、ここでは、レドーム100の外側にあってレドーム周囲の外気と接するセラミックス材を第1セラミックス材S1とし、レドーム100の内側にあって空洞101側に配置されるセラミックス材を第2セラミックス材S2とする。
また、第1セラミックス材S1の層厚をt1、第2セラミックス材S2の層厚をt2とする。後述するようにレドーム100の先端からの位置によって層厚t1と層厚t2は異なる。
【0016】
以下、第1セラミックス材S1と第2セラミックス材S2を積層したセラミックス材Sにより形成されるレドーム100の各部分について、
図2を用いて説明する。
【0017】
図2において、レドーム100の先端部100A、後端部100B、中間部100Cの各箇所を破線で囲って示している。また、先端部100A、後端部100B、中間部100Cのセラミックス材Sの断面における第1セラミックス材S1と第2セラミックス材S2の積層状況を(a)、(b)、(c)で図示する。
【0018】
まず、中間部100Cにおけるセラミックス材Sは、
図2(c)のように層厚t1の第1セラミックス材S1と層厚t2の第2セラミックス材S2が積層されて構成された状態となっており、レドーム100の外側となる面に第1セラミックス材S1が配置され、内側となる面に第2セラミックス材S2が配置される。
【0019】
一方、先端部100Aにおけるセラミックス材Sは、
図2中の(a)で示す通り第1セラミックス材S1のみで構成される。先端部100Aにおいては第2セラミックス材S2は積層されない。
【0020】
後端部100Bにおけるセラミックス材Sは、
図2中の(b)で示す通り第2セラミックス材S2の層厚が厚く、第1セラミックス材S1は積層されないか、あるいは薄く積層される程度である。
【0021】
このようにレドーム100の先端部100Aから中間部100Cにかけて、先端部100Aでは積層されない第2セラミックス材S2の層厚が徐々に増加する一方、第1セラミックス材S1の層厚は徐々に減少する。
中間部100Cから後端部100Bにかけては、さらに、第2セラミックス材S2の層厚が増加し、第1セラミックス材S1の層厚が減少する。
結果として、先端部100Aからから後端部100Bの間で、第1セラミックス材S1の層厚t1と第2セラミックス材S2の層厚t2の割合は連続的に変化する。
【0022】
このように、レドーム100を形成するセラミックス材Sは、レドーム100の先端部においては第1セラミックス材S1のみで構成されて第2セラミックス材S2の積層は無く、レドーム100の後端部に近づくに従い、第1セラミックス材S1の層厚が減少する一方、第2セラミックス材S2の層厚が増加する。そして、レドーム100の後端部においは第1セラミックス材S1の層は積層されていないか、あるいは薄く積層されている程度であり、第2セラミックス材S2が厚く積層される層構成となっている。
結果として、先端部100Aから後端部100Bにかけて、第1セラミックス材S1と第2セラミックス材S2の層厚の割合は連続的に変化する。
【0023】
ここで、本実施の形態において、第1セラミックス材S1は治癒活性層を含むセラミックス材である。
治癒活性層を含むセラミックス材とは、コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、ヒューズドシリカ(SiO2)、シリコンナイトライド(Si3N4)焼結体などのセラミックスであって、焼結する前の液状のコージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、ヒューズドシリカ(SiO2)、シリコンナイトライド(Si3N4)などに、添加物としてアルミナ(Al2O3)を添加したのち焼結したセラミックスのことをいう。
治癒活性層を含むセラミックス材は、自己修復可能なセラミックス材であり、熱衝撃の他、製造時や取り扱い時に生じるき裂に対して、熱及び電気による化学反応により再結晶化が促進される。
【0024】
一方で、第2セラミックス材S2は治癒活性層のないセラミックス材である。
治癒活性層のないセラミックス材とは、コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、ヒューズドシリカ(SiO2)、シリコンナイトライド(Si3N4)焼結体などのセラミックスであって、添加物は添加せず、焼結する前の液状のコージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、ヒューズドシリカ(SiO2)、シリコンナイトライド(Si3N4)などをそのまま焼結したセラミックスのことをいう。
【0025】
表1に、本発明の実施の形態の一実施例として、レドーム100の先端からの各距離における、治癒活性層を含むセラミックス(第1セラミックス材S1)の層厚と、治癒活性層のないセラミックス(第2セラミックス材S2)の層厚を示す。
【0026】
【0027】
次に、飛しょう体が飛しょうする最中におけるレドーム100先端部の第1セラミックス材S1の機能について説明する。
【0028】
本実施の形態に係るレドーム100では、この空力荷重や空力加熱を受けやすく、き裂が発生しやすい先端部に治癒活性層を含むセラミックス材を配置することとした。
治癒活性層は熱及び電気による化学反応によりき裂に対して再結晶化が促進される層でありコンデンサや電気機器への適用の開示がある。
治癒活性層においては、例えば、セラミックスに含まれる炭化ケイ素が反応して二酸化ケイ素が合成され、セラミックスにフィラーとして添加されるアルミナとこの二酸化ケイ素が反応して結晶化するなどして、き裂に対して再結晶化を促進する。
【0029】
本実施の形態では、レドーム100の先端部に治癒活性層を含むセラミックスを配置しており、先端部周辺に発生した微小な欠陥からき裂が生じた場合であっても、飛しょう時の空力加熱を利用してき裂を自己修復して、き裂の進展を抑制することが可能となる。
例えば、飛しょう体は発射の直後が急激な速度変化によって熱衝撃が非常に大きくなり欠陥も生じやすいと考えられるが、発射直後は、同時に空力加熱による温度上昇も大きい。発射直後の空力加熱による温度上昇によって、発射直後の熱衝撃によりき裂が生じた場合であっても自己修復に必要とされる熱量を得ることができ、き裂の進展を抑制することができる。
【0030】
次に、飛しょうしている最中における、レドーム100の外周部の第1セラミックス材S1の機能について説明する。
飛しょう体は飛しょう中に旋回動作を行う。従来、レドーム100の外周は飛しょう時にレインエロージョンによる損耗が発生して強度が低下し、飛しょう中の旋回時の加速度により発生する荷重により、レドームの破壊が発生してしまう可能性があった。この対策として旋回時の加速度を低下させ、発生する荷重を低減することで、レドームに発生する応力を低下させることが可能であるが、一方で、旋回時の加速度を低減させることで飛しょう体の飛しょう性能を低下させてしまう。
【0031】
本実施の形態に係るレドーム100では、空力荷重や空力加熱を受けやすい先端部だけでなく、強度が低下するレドーム外周全体に治癒活性層を含むセラミックスの層を配置しており、レドーム外周全体に自己修復機能を有する治癒活性層を含むセラミックを設けることで、レインエロージョンによる損耗の耐性を得ることができる。
これにより、飛しょう性能を低下させることなく、旋回を行うことが可能となる。
【0032】
このように、本実施の形態に係るレドーム100においては、レドームの先端部に発生したき裂を、外部から熱及び電気を供給し化学反応を起こして再結晶化を促進する必要がなく、空力加熱によるレドームの温度上昇によって自己修復することを可能とし、また、レドームの外周部では、レインエロージョンによる損耗が発生して強度が低下することを抑制できる。
【0033】
次に、レドーム100の後端部の第1セラミックス材S1と第2セラミックス材S2の機能について説明する。
治癒活性層にはアルミナ等のフィラーが含有されることから、治癒活性層を含むセラミックス層(第1セラミックス材S1)は、治癒活性層を含まないセラミックス(第2セラミックス材S2)より密度及び熱伝導率が高い特徴を有する。
一方、レドーム100の後端部と機体200との間では樹脂等の素材が使われることがある。例えば、レドーム100と機体200を連結する際、レドーム100と機体200は異種材料となるのでその組み合わせによる熱応力が生じる。このため、高剛性で熱膨張係数が比較的低いFRP(Fiber Reinforced Plastics;繊維強化プラスチック)材を用いたリングを介してレドーム100を機体に固定することがあるが、この場合レドーム100とリング間には接着剤の使用が想定される。樹脂系の接着剤は一般的に耐熱性が低いが、治癒活性層を含むセラミックスは前述の通り熱伝導率が高いことからレドーム100の先端部から後端部へ熱が流入し、後端部が温度上昇しやすい。
【0034】
そこで本実施の形態においては、治癒活性層を含むセラミックス材をレドーム100の後端部において薄くし、レドーム100の見かけ上の熱伝導率を変化させるようにした。
これにより先端部から後端部への熱流入を抑制し、温度上昇を抑制することが可能となり樹脂系の接着剤の使用が可能となる。
【0035】
以上のように本実施の形態に係るレドーム100は、先端部は治癒活性層を含むセラミック層のみで構成する一方、後端部側では治癒活性層を含むセラミックス層は薄く、あるいは無くし、治癒活性層を含まないセラミックスの層は厚くした。先端部から後端部にかけては、治癒活性層を含むセラミックス材と治癒活性層のないセラミックス材の層厚の割合は連続的に変化するようにした。
【0036】
これにより、レドームの先端部に発生したき裂を自己修復し、レドームの外周部でレインエロージョンによる損耗が発生して強度が低下することを抑制でき、リングとレドームの固定に樹脂系の接着剤を使用することを可能とした。
【0037】
本実施の形態では、治癒活性層を含むセラミック層にアルミナ(Al2O3)のフィラーを配合することを説明した。
しかしながら配合するフィラーはアルミナ(Al2O3)に限られず、反応速度が速く、変化温度が低いフィラーを配合することにより、き裂修復の時間を調整することも可能となる。
例えば、酸化マンガン(MnO)等の不純物をフィラーとして追加することで反応速度の高速化が可能となり、き裂の修復を促進することができる。飛しょう体が熱衝撃等の瞬間的な外囲荷重が加わるような運用の場合は、き裂修復を早くすることで耐荷重性を得ることができる。
【0038】
なお、本実施の形態に係るレドームにおいては、製造の過程において次のような効果を奏する。
レドームの製造時を含むライフサイクルを通じる中で、レドームの表面に欠陥が生じる可能性があるが、本実施の形態に係るレドームのように、治癒活性層を含むセラミック層で生じた欠陥は局所的にヒーターを用いて熱を加えることにより治癒活性層が結晶化され、修復が可能となる。
若しくは欠陥が生じた治癒活性層を含むセラミック層を、反応溶液に浸した状態で電位を印加することで酸化反応が進み、治癒活性層が結晶化され、修復することができるという効果も奏する。
この場合、飛しょう体の機体に連結された状態であっても、機体から取り外し分解をする等を実施することなく、レドームの表面に生じた欠陥を部分的に修復することが可能である。
【0039】
なお、本実施の形態のレドーム100のように、先端部においては第1セラミックス材S1(治癒活性層を含むセラミック層)のみで構成されて第2セラミックス材S2(治癒活性層のないセラミックk層)の積層は無く、先端部から後端部にかけては第1セラミックス材S1の層厚が減少する一方で第2セラミックス材S2の層厚は増加し、後端部においは第1セラミックス材S1の層は積層されていないか、あるいは薄く積層されている程度であって第2セラミックス材S2が厚く積層されるレドームの製造方法について説明する。このような層構成のレドームは、例えば自己治癒層がない状態のレドームを成形し、その後、成形したレドームを鋳込み成形の内型として自己治癒層の添加物を含む液(スラリー)で鋳込み成形を行うことにより製造することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
100 レドーム、100A 先端部、100B 後端部、100C 中間部、101 空洞、S セラミックス材、S1 第1セラミックス材、S2 第2セラミックス材、200 飛しょう体の機体。