(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154824
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】保持器、軸受、変速装置、及び保持器の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16C 33/46 20060101AFI20241024BHJP
F16C 19/36 20060101ALI20241024BHJP
F16C 33/56 20060101ALI20241024BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F16C33/46
F16C19/36
F16C33/56
F16H1/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068927
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】古田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】坂井 樹
【テーマコード(参考)】
3J027
3J701
【Fターム(参考)】
3J027FA17
3J027FA37
3J027GB03
3J027GC02
3J027GE25
3J701AA16
3J701AA25
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA34
3J701BA44
3J701DA14
3J701EA31
3J701FA04
3J701FA46
3J701GA11
(57)【要約】
【課題】転動体の脱落を防止することで組み立て性を向上できるとともに、製品寿命を延長できる保持器、軸受、変速装置、及び保持器の製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態の保持器64は、大径リング81と、小径リング82と、大径リング81と小径リング82とを連結する複数の柱部83と、を備える。柱部83は、大径リング81及び小径リング82からの円錐ころの外径側への脱落を防止するための第1脱落防止部88と、大径リング81及び小径リング82からの円錐ころの内径側への脱落を防止するための第2脱落防止部89と、を備える。各脱落防止部88,89は、小径リング82側に纏めて片寄って配置されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受の複数の転動体を保持する保持器であって、
環状の大径リングと、
前記大径リングの外径よりも外径の小さい環状の小径リングと、
前記大径リングと前記小径リングとを連結するように前記大径リング及び前記小径リングの径方向に延びる複数の柱部と、
を備え、
前記複数の柱部は、周方向に等間隔で配置されるとともに各前記転動体の間に配置され、
前記柱部は、
前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の第1方向への脱落を防止するための第1脱落防止部と、
前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の前記第1方向とは反対側の第2方向への脱落を防止するための第2脱落防止部と、
を備え、
前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記大径リング及び前記小径リングのいずれか一方の側に纏めて片寄って配置されている、
保持器。
【請求項2】
前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記小径リング側に纏めて片寄って配置されている、
請求項1に記載の保持器。
【請求項3】
前記転動体は円錐ころを含む、
請求項2に記載の保持器。
【請求項4】
前記第1脱落防止部の前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向の長さと、前記第2脱落防止部の前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向の長さとは、異なる、
請求項3に記載の保持器。
【請求項5】
前記転動体は円錐ころを含み、
前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記小径リング側に纏めて片寄って配置されており、
前記第1脱落防止部は外径側に配置されており、
前記第2脱落防止部は内径側に配置されており、
前記第2脱落防止部における前記円錐ころの軸方向の長さは、前記第1脱落防止部における前記円錐ころの軸方向の長さよりも短い、
請求項4に記載の保持器。
【請求項6】
前記第1脱落防止部の前記長さは、前記大径リングと前記小径リングとの間の長さに対して50%以上の長さである、
請求項5に記載の保持器。
【請求項7】
前記柱部は、
外径側に形成された外側面と、
内径側に形成された内側面と、
を有し、
前記外側面は、前記小径リングから前記大径リングに至る間が平坦に形成されており、
前記内側面は、
前記小径リングから前記大径リングに向かって前記外側面の延出方向に沿って延びる第1平坦面と、
前記第1平坦面の前記大径リング側の端部から前記外側面に向かって斜めに延びる傾斜面と、
前記傾斜面の前記大径リング側の端部から前記大径リングに至る間に前記外側面の延出方向に沿って延びる第2平坦面と、
を有し、
前記大径リングの前記小径リングとは反対側の端部における前記径方向の厚さをT1とし、前記外側面と前記第2平坦面との間の厚さをT2としたとき、
各前記厚さT1,T2は、
T1≧T2
を満たす、
請求項5又は請求項6に記載の保持器。
【請求項8】
離型する2つの金型によって樹脂により形成されており、
前記金型の分割面に対して片側に前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部が配置されている、
請求項7に記載の保持器。
【請求項9】
前記第1脱落防止部の前記大径リング側の第1側面は、前記大径リングの内径側の第2側面と同一直線上に配置されており、
前記第1側面、前記第2側面、及び前記柱部の前記外側面のうちの前記第1側面よりも前記小径リング側を前記分割面とした、
請求項8に記載の保持器。
【請求項10】
外輪と、
前記外輪の径方向の内側に配置された内輪と、
前記外輪と前記内輪との間に転動自在に収納される複数の転動体と、
前記複数の転動体を保持する保持器と、
を備え、
前記保持器は、
環状の大径リングと、
前記大径リングの外径よりも外径の小さい環状の小径リングと、
前記大径リングと前記小径リングとを連結し、周方向に等間隔で配置されるとともに各前記転動体の間に配置される複数の柱部と、
を備え、
前記柱部は、
前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の第1方向への脱落を防止するための第1脱落防止部と、
前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の前記第1方向とは反対側の第2方向への脱落を防止するための第2脱落防止部と、
を備え、
前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記大径リング及び前記小径リングのいずれか一方の側に纏めて片寄って配置されている、
軸受。
【請求項11】
回転力が入力される入力部と、
前記入力部の回転を変速する変速部と、
前記変速部を介して前記入力部の回転が伝達され、相対回転する第1出力部及び第2出力部と、
前記第1出力部と前記第2出力部とを互いに回転自在に支持するための軸受と、
前記軸受は、
外輪と、
前記外輪の径方向の内側に配置された内輪と、
前記外輪と前記内輪との間に転動自在に収納される複数の転動体と、
前記複数の転動体を保持する保持器と、
を備え、
前記保持器は、
環状の大径リングと、
前記大径リングの外径よりも外径の小さい環状の小径リングと、
前記大径リングと前記小径リングとを連結し、周方向に等間隔で配置されるとともに各前記転動体の間に配置される複数の柱部と、
を備え、
前記柱部は、
前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の第1方向への脱落を防止するための第1脱落防止部と、
前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の前記第1方向とは反対側の第2方向への脱落を防止するための第2脱落防止部と、
を備え、
前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記大径リング及び前記小径リングのいずれか一方の側に纏めて片寄って配置されている、
変速装置。
【請求項12】
軸受の複数の転動体を保持し、前記転動体の第1方向への脱落を防止するための第1脱落防止部、及び前記転動体の前記第1方向とは反対側の第2方向への脱落を防止するための第2脱落防止部を備え、前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記転動体に対して片寄った位置に纏めて配置されている保持器の製造方法であって、
離型する2つの金型によって樹脂により形成されており、
前記2つの金型のうちの一方の前記金型によって、前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部が形成される、
保持器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持器、軸受、変速装置、及び保持器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からころ軸受の転動体(ころ)を保持する保持器が知られている。保持器は、例えば射出成形される。保持器は、複数のころを周方向に等間隔で保持する。例えば、円錐ころ軸受に用いられる保持器は、環状の大径リングと、大径リングの外径よりも外径の小さい環状の小径リングと、大径リングと小径リングとを連結するように径方向に延びる複数の柱部と、を備える。複数の柱部は、周方向に等間隔で配置されている。大径リング、小径リング、及び柱部によって区画される各々ポケットに、それぞれ円錐ころが収納される。
【0003】
ところで、上述のような軸受の組み立て性を向上するために、柱部に保持器から転動体が脱落してしまうのを防止するための円錐面を形成した技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
円錐面は、転動体としての円錐ころの軸線を挟んで両側に1つずつ形成されている。すなわち、1つの柱部に対して2つの円錐面が形成されている。円錐面は、周方向で隣り合う柱部との対向方向に突出形成されている。このような円錐面が円錐ころの外周面に接触するので、保持器から円錐ころが脱落してしまうことを防止できる。
【0004】
2つの円錐面のうちの一方は、大径リングと小径リングとの間の中央と大径リングと間に配置されている。2つの円錐面のうちの他方は、大径リングと小径リングとの間の中央と小径リングと間に配置されている。このように構成することで、保持器の射出成形を可能としながら保持器からころが外径側への脱落及び内径側への脱落の両方の脱落を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術では、軸受を軸方向からみたとき、大径リングと小径リングとの間の全体に渡って、つまり、柱部の径方向全体に渡って円錐面が形成されていることになる。このため、円錐面によって、軸受の外部から内部への潤滑油の流れ(以下、通油性という)が阻害されてしまい、軸受に不具合が生じる可能性があった。この結果、軸受の製品寿命が短くなる可能性があった。
【0007】
本発明は、転動体の脱落を防止することで組み立て性を向上できるとともに、製品寿命を延長できる保持器、軸受、変速装置、及び保持器の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る保持器は、軸受の複数の転動体を保持する保持器であって、環状の大径リングと、前記大径リングの外径よりも外径の小さい環状の小径リングと、前記大径リングと前記小径リングとを連結するように前記大径リング及び前記小径リングの径方向に延びる複数の柱部と、を備え、前記複数の柱部は、周方向に等間隔で配置されるとともに各前記転動体の間に配置され、前記柱部は、前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の第1方向への脱落を防止するための第1脱落防止部と、前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の前記第1方向とは反対側の第2方向への脱落を防止するための第2脱落防止部と、を備え、前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記大径リング及び前記小径リングのいずれか一方の側に纏めて片寄って配置されている。
【0009】
このように構成することで、2つの脱落防止部によって保持器からの転動体の脱落を防止でき、軸受の組み立て性を向上できる。
2つの脱落防止部は、大径リング及び小径リングのいずれか一方の側に纏めて片寄って配置されている。このため、脱落防止部が寄っている側とは反対側には、大径リングと小径リングとの間が完全に開口されたスペースが形成される。よって、通油性を向上でき、軸受の製品寿命を延長できる。
【0010】
上記構成において、前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記小径リング側に纏めて片寄って配置されてもよい。
【0011】
上記構成において、前記転動体は円錐ころを含んでもよい。
【0012】
上記構成において、前記第1脱落防止部の前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向の長さと、前記第2脱落防止部の前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向の長さとは、異なってもよい。
【0013】
上記構成において、前記転動体は円錐ころを含み、前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記小径リング側に纏めて片寄って配置されており、前記第1脱落防止部は外径側に配置されており、前記第2脱落防止部は内径側に配置されており、前記第2脱落防止部における前記円錐ころの軸方向の長さは、前記第1脱落防止部における前記円錐ころの軸方向の長さよりも短くてもよい。
【0014】
上記構成において、前記第1脱落防止部の前記長さは、前記大径リングと前記小径リングとの間の長さに対して50%以上の長さであってもよい。
【0015】
上記構成において、前記柱部は、外径側に形成された外側面と、内径側に形成された内側面と、を有し、前記外側面は、前記小径リングから前記大径リングに至る間が平坦に形成されており、前記内側面は、前記小径リングから前記大径リングに向かって前記外側面の延出方向に沿って延びる第1平坦面と、前記第1平坦面の前記大径リング側の端部から前記外側面に向かって斜めに延びる傾斜面と、前記傾斜面の前記大径リング側の端部から前記大径リングに至る間に前記外側面の延出方向に沿って延びる第2平坦面と、を有し、前記大径リングの前記小径リングとは反対側の端部における前記径方向の厚さをT1とし、前記外側面と前記第2平坦面との間の厚さをT2としたとき、各前記厚さT1,T2は、T1≧T2を満たしてもよい。
【0016】
上記構成において、離型する2つの金型によって樹脂により形成されており、前記金型の分割面に対して片側に前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部が配置されてもよい。
【0017】
上記構成において、前記第1脱落防止部の前記大径リング側の第1側面は、前記大径リングの内径側の第2側面と同一直線状に配置されており、前記第1側面、前記第2側面、及び前記柱部の前記外側面のうちの前記第1側面よりも前記小径リング側を前記分割面としてもよい。
【0018】
本発明の他の態様に係る軸受は、外輪と、前記外輪の径方向の内側に配置された内輪と、前記外輪と前記内輪との間に転動自在に収納される複数の転動体と、前記複数の転動体を保持する保持器と、を備え、前記保持器は、環状の大径リングと、前記大径リングの外径よりも外径の小さい環状の小径リングと、前記大径リングと前記小径リングとを連結し、周方向に等間隔で配置されるとともに各前記転動体の間に配置される複数の柱部と、を備え、前記柱部は、前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の第1方向への脱落を防止するための第1脱落防止部と、前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の前記第1方向とは反対側の第2方向への脱落を防止するための第2脱落防止部と、を備え、前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記大径リング及び前記小径リングのいずれか一方の側に纏めて片寄って配置されている。
【0019】
このように構成することで、2つの脱落防止部によって保持器からの転動体の脱落を防止できるので軸受の組み立て性を向上できる。
2つの脱落防止部は、大径リング及び小径リングのいずれか一方の側に纏めて片寄って配置されている。このため、脱落防止部が寄っている側とは反対側には、大径リングと小径リングとの間が完全に開口されたスペースが形成される。よって、軸受の通油性を向上でき、軸受の製品寿命を延長できる。
【0020】
本発明の他の態様に係る変速装置は、回転力が入力される入力部と、前記入力部の回転を変速する変速部と、前記変速部を介して前記入力部の回転が伝達され、相対回転する第1出力部及び第2出力部と、前記第1出力部と前記第2出力部とを互いに回転自在に支持するための軸受と、前記軸受は、外輪と、前記外輪の径方向の内側に配置された内輪と、前記外輪と前記内輪との間に転動自在に収納される複数の転動体と、前記複数の転動体を保持する保持器と、を備え、前記保持器は、環状の大径リングと、前記大径リングの外径よりも外径の小さい環状の小径リングと、前記大径リングと前記小径リングとを連結し、周方向に等間隔で配置されるとともに各前記転動体の間に配置される複数の柱部と、を備え、前記柱部は、前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の第1方向への脱落を防止するための第1脱落防止部と、前記大径リング及び前記小径リングからの前記転動体の前記第1方向とは反対側の第2方向への脱落を防止するための第2脱落防止部と、を備え、前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記大径リング及び前記小径リングのいずれか一方の側に纏めて片寄って配置されている。
【0021】
このように構成することで、軸受の組み立て性を向上できるので、延いては変速装置の組み立て性を向上できる。
軸受の通油性を向上できるので、変速装置の製品寿命を延長できる。
【0022】
本発明の他の態様に係る保持器の製造方法は、軸受の複数の転動体を保持し、前記転動体の第1方向への脱落を防止するための第1脱落防止部、及び前記転動体の前記第1方向とは反対側の第2方向への脱落を防止するための第2脱落防止部を備え、前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部は、前記転動体に対して片寄った位置に纏めて配置されている保持器の製造方法であって、離型する2つの金型によって樹脂により形成されており、前記2つの金型のうちの一方の前記金型によって、前記第1脱落防止部及び前記第2脱落防止部が形成される。
【0023】
このような方法とすることで、転動体の脱落を防止できる保持器を製造できる。このため、軸受の組み立て性を向上できる。
第1脱落防止部及び第2脱落防止部は、円錐ころの軸方向の一方に纏めて片寄って配置されているので、軸受の通油性を向上でき、軸受の製品寿命を延長できる。
1つの金型に2つの脱落防止部を纏めて形成できるので、脱落防止部の成形精度を容易に調整できるとともに、製造コストを低減できる。
【発明の効果】
【0024】
上述の保持器、軸受、変速装置、及び保持器の製造方法は、転動体の脱落を防止することで組み立て性を向上できるとともに、製品寿命を延長できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態における減速装置の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態における円錐ころの側面図である。
【
図4】本発明の実施形態における保持器の側面図である。
【
図5】本発明の実施形態における保持器の一部を外側からみた斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態における保持器の一部を内側からみた斜視図である。
【
図7】
図4のVII-VII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
<減速装置>
図1は、減速装置1の断面図である。
図1は、減速装置1を構成するキャリア3のキャリア回転軸線A1を中心にして半分(
図1における上側半分)のみ図示している。
図1に示すように、減速装置1は、円筒状の外筒2と、外筒2に2つの主軸受6A,6B(第1主軸受6A、第2主軸受6B)を介して回転自在に支持されたキャリア3と、キャリア3に設けられた減速部10と、を備える。
以下の説明では、キャリア回転軸線A1と平行な方向を軸方向と称する。キャリア3の回転方向を周方向と称する。軸方向及び周方向と直交するキャリア3の径方向を単に径方向と称する。以下の説明で用いる「軸方向の内側」は外筒2における軸方向の中心側を意味し、「軸方向の外側」は外筒2における軸方向の中心とは反対側を意味する。
【0028】
<外筒>
外筒2の中心軸線は、キャリア回転軸線A1と一致している。外筒2の内周面のうち、軸方向の中間部には、内歯部21が形成されている。「中間部」とは、軸方向の両端間の中央のみならず、その中央近傍も含む。
内歯部21には、複数のピン溝21aが形成されている。各ピン溝21aは軸方向に延び、周方向に等間隔で形成されている。複数のピン溝21aには、それぞれ円柱状の内歯ピン25が配置されている。内歯ピン25は、減速部10の一部を構成する内歯として機能する。
【0029】
外筒2の内周面のうち、内歯部21を挟んで両側には、それぞれ段差面26,27を介して第1外輪保持部22及び第2外輪保持部23が形成されている。第1外輪保持部22には、2つの主軸受6A,6Bのうちの第1主軸受6Aの外輪61Aが嵌め合わされている。第2外輪保持部23には、2つの主軸受6A,6Bのうちの第2主軸受6Bの外輪61Bが嵌め合わされている。各外輪61A,61Bは、それぞれ対応する段差面26,27に突き当たることにより軸方向の位置決めが行われる。
【0030】
第2外輪保持部23は、外筒の軸方向の一端部に配置されている。外筒2の内周面のうち、第1外輪保持部22を挟んで内歯部21とは反対側には、段差面28を介してシール部24が形成されている。シール部24は、外筒の軸方向の他端部に配置されている。シール部24の内径は、第1外輪保持部22の内径よりも大きい。シール部24には、オイルシール11が嵌め合わされている。オイルシール11は、外筒2とキャリア3との間をシールする。
【0031】
<キャリア>
キャリア3は、軸方向に分割可能なように、第1キャリアブロック30と第2キャリアブロック50とで構成されている。第1キャリアブロック30は、第1主軸受6A側に配置されている。第1キャリアブロック30は、円板状の基部31と、基部31から第2キャリアブロック50側に向かって突出する図示しない複数の支柱部と、を備える。
基部31の外周面のうち、軸方向の外側(第2キャリアブロック50とは反対側)は、シール部34として構成されている。シール部34には、オイルシール11が嵌め合わされる。これにより、オイルシール11によって外筒2とキャリア3との間がシールされる。
【0032】
基部31のシール部34よりも軸方向の内側には、段差面35を介して第1内輪保持部33が形成されている。第1内輪保持部33の外径は、シール部34よりも小さい。第1内輪保持部33には、第1主軸受6Aの内輪62Aが嵌め合わされている。これにより、外筒2に対して第1キャリアブロック30が回転自在に支持される。内輪62Aは、段差面35に突き当たることにより、軸方向の位置決めが行われる。
【0033】
基部31の第1内輪保持部33よりも径方向の内側には、複数の第1軸取付孔41が形成されている。各第1軸取付孔41は、基部31を軸方向に貫通するように形成されている。複数の第1軸取付孔41は、周方向に等間隔で配置されている。第1軸取付孔41には、減速部10を構成する後述のクランク軸4が挿入される。
【0034】
第1軸取付孔41には、軸方向の内側から順に、第1軸支持部42と、拡径部44と、ブッシュ保持部43と、連通部45と、が形成されている。拡径部44の内径は、第1軸支持部42の内径よりも大きい。ブッシュ保持部43の内径は、第1軸支持部42の内径よりも小さい。連通部45の内径は、ブッシュ保持部43の内径よりも小さい。
【0035】
ブッシュ保持部43には、ブッシュ15が嵌め合わされている。ブッシュ15は、後述のクランク軸4の軸方向への移動を規制する。第1軸支持部42には、第1クランク軸受7Aが嵌め合わさる。第1クランク軸受7Aによって、第1キャリアブロック30に後述のクランク軸4が回転自在に支持される。連通部45には、軸方向の外側からシールキャップ12が取り付けられている。
【0036】
図示しない複数の支柱部は、周方向で隣り合う第1軸取付孔41の間に配置されている。支柱部の第2キャリアブロック50の先端面に、第2キャリアブロック50が突き当たる。
【0037】
第2キャリアブロック50は、第2主軸受6B側に配置されている。第2キャリアブロック50は、第1キャリアブロック30の図示しない支柱部に突き当たった状態で図示しないボルトによって固定されている。すなわち、第2キャリアブロック50は、第1キャリアブロック30に対して支柱部の軸方向の高さ分の間隔をあけて配置される。第1キャリアブロック30と第2キャリアブロック50とは一体化されている。
【0038】
第2キャリアブロック50は、円板状に形成されている。第2キャリアブロック50の外周面のうち、軸方向の内側(第1キャリアブロック30側)には、段差面53を介して第2内輪保持部52が形成されている。第2内輪保持部52の外径は、第2キャリアブロック50の軸方向の外側の外径よりも小さい。第2内輪保持部52には、第2主軸受6Bの内輪62Bが嵌め合わされている。これにより、外筒2に対して第2キャリアブロック50が回転自在に支持される。内輪62Bは、段差面53によって軸方向の位置決めが行われる。
【0039】
第2キャリアブロック50の第2内輪保持部52よりも径方向の内側には、第1軸取付孔41と同数の第2軸取付孔54が形成されている。各第2軸取付孔54は、第2キャリアブロック50を軸方向に貫通するように形成されている。各第2軸取付孔54は、第1軸取付孔41と同軸上に配置されている。第2軸取付孔54には、後述のクランク軸4が挿入される。第2軸取付孔54には、軸方向の内側から順に、第2軸支持部55と、雌ねじ部56と、が形成されている。
【0040】
雌ねじ部56の有効径は、第2軸支持部55の内径よりも大きい。第2軸支持部55には、第2クランク軸受7Bが嵌め合わさる。第2クランク軸受7Bによって、第2キャリアブロック50に後述のクランク軸4が回転自在に支持される。雌ねじ部56には、円環状の抜け止めボルト16が締め付けられる。抜け止めボルト16は、後述のクランク軸4の第2軸取付孔54からの抜けを防止する。
【0041】
<減速部>
減速部10は、いわゆる偏心揺動型の減速部である。すなわち減速部10は、内歯ピン25や各軸取付孔41,54にそれぞれ挿通される複数のクランク軸4の他に、クランク軸4に回転自在に取り付けられた2つの揺動歯車5A,5B(第1揺動歯車5A、第2揺動歯車5B)を主構成としている。
クランク軸4は、第1クランク軸受7Aが嵌め合わされる第1ジャーナル部71と、第2クランク軸受7Bが嵌め合わされる第2ジャーナル部72と、各ジャーナル部71,72の軸方向の内側に形成された2つの偏心部73,74(第1偏心部73、第2偏心部74)と、第2ジャーナル部72から軸方向の外側に突出する小径部75と、を有する。
【0042】
第1ジャーナル部71の軸方向の外側にブッシュ15が配置されるとともに、第2ジャーナル部72の軸方向の外側に抜け止めボルト16が配置される。これにより、クランク軸4のキャリア3に対する軸方向への移動が規制される。
2つの偏心部73,74のうち、第1偏心部73は、第1ジャーナル部71と並んで配置されている。2つの偏心部73,74のうち、第2偏心部74は、第2ジャーナル部72と並んで配置されている。各偏心部73,74は、クランク軸4のクランク回転軸線A2に対して偏心している。クランク回転軸線A2はキャリア回転軸線A1(軸方向)と平行である。各偏心部73,74は、互いに所定角度(本実施形態では180°)の位相差を有するように配置されている。
【0043】
小径部75は、抜け止めボルト16を介して第2キャリアブロック50よりも軸方向の外側に突出している。この突出した箇所に例えば平歯車17が取り付けられている。この平歯車17は、例えば図示しない外部モータの回転が入力される入力歯車18に噛合わされる。これにより、外部モータの回転力(入力歯車18の回転力)が平歯車17を介してクランク軸4に伝達される。
【0044】
2つの揺動歯車5A,5Bは、第1キャリアブロック30の基部31と第2キャリアブロック50との間に収まるように円板状に形成されている。2つの揺動歯車5A,5Bは、基部31と第2キャリアブロック50との間に軸方向に並んで配置されている。2つの揺動歯車5A,5Bのうちの第1揺動歯車5Aは、基部31側に配置されている。2つの揺動歯車5A,5Bのうちの第2揺動歯車5Bは、第2キャリアブロック50側に配置されている。
【0045】
2つの揺動歯車5A,5Bの外周部には、それぞれ外筒2に設けられた内歯ピン25に噛合わされる外歯77が形成されている。2つの揺動歯車5A,5Bには、各クランク軸4がそれぞれ別々に挿通される複数の軸挿通孔78が形成されている。第1揺動歯車5Aの軸挿通孔78には、それぞれ第1偏心軸受8Aを介して第1偏心部73が取り付けられている。第2揺動歯車5Bの軸挿通孔78には、それぞれ第2偏心軸受8Bを介して第2偏心部74が取り付けられている。
【0046】
このような構成のもと、各クランク軸4が回転して第1偏心部73が偏心回転すると、第1揺動歯車5Aは、第1偏心部73の偏心回転に連動して複数の内歯ピン25の一部に噛み合いながらクランク回転軸線A2回りを揺動回転する。各クランク軸4が回転して第2偏心部74が偏心回転すると、第2揺動歯車5Bは、第2偏心部74の偏心回転に連動して複数の内歯ピン25の一部に噛み合いながらクランク回転軸線A2回りを揺動回転する。このため、第1揺動歯車5Aおよび第2揺動歯車5Bに支持された複数のクランク軸4がキャリア回転軸線A1回りを周回するとともに、複数のクランク軸4を支持するキャリア3がキャリア回転軸線A1を中心に回転する。
【0047】
<主軸受>
次に、各主軸受6A,6Bについて説明する。2つの主軸受6A,6Bは同一構成である。このため、以下の説明では、2つの主軸受6A,6Bのうちの第1主軸受6Aについてのみ説明する。第2主軸受6Bの説明については省略する。
図2は、
図1のII部拡大図である。
図2に示すように、第1主軸受6Aは、円錐ころ軸受である。第1主軸受6Aは、外筒2に嵌め合わされている外輪61Aと、キャリア3に嵌め合わされている内輪62Aと、外輪61Aと内輪62Aとの間に収納される複数の円錐ころ63と、外輪61Aと内輪62Aとの間に収納されるとともに複数の円錐ころ63を保持する樹脂製の保持器64と、を備える。
図1では、第2主軸受6Bのうち、円錐ころ及び保持器については第1主軸受6Aと同一符号を付している。
【0048】
<外輪>
外輪61Aは、軸方向に沿う断面が三角形状に形成されている。すなわち、外輪61Aは、外筒2の第1外輪保持部22に嵌め合わさる外周面61aと、段差面26に突き当たる端面61bと、径方向の内側を向く外転動面61cと、を有する。外転動面61cは、軸方向の内側に向かうに従って漸次径方向の内側に向かうように、軸方向に対して傾斜している。
【0049】
<内輪>
内輪62Aは、軸方向に沿う断面が三角形状に形成されている。すなわち、内輪62Aは、第1キャリアブロック30の第1内輪保持部33に嵌め合わされる内周面62aと、段差面35に突き当たる端面62bと、径方向の外側を向く内転動面62cと、を有する。内転動面62cは、軸方向の内側に向かうに従って漸次径方向の外側に向かうように、軸方向に対し傾斜している。内転動面62cは、外転動面61cと平行である。
【0050】
内輪62Aには、内転動面62cにおける軸方向の内側から軸方向の内側に突出する円筒状の保持器配置壁65が一体形成されている。保持器配置壁65には、保持器64の一部が配置される。内輪62Aには、内転動面62cにおける軸方向の外側から径方向の内側に張り出す円環状の規制壁66が一体成形されている。規制壁66は、円錐ころ63の軸方向の位置決めを行う。
【0051】
規制壁66の外周面66aは、軸方向に沿っている。規制壁66には、内転動面62cにおける軸方向の外側から立ち上がる規制面66bが形成されている。規制面66bは、内転動面62cに対して直交した面である。外周面66a及び規制面66bにより、規制壁66は、軸方向の内側に向かって先細り形状となる。規制面66bに円錐ころ63の軸方向の端面が突き当たることにより、円錐ころ63の位置決めが行われる。
【0052】
<円錐ころ>
図3は、円錐ころ63の側面図である。
図2、
図3に示すように、円錐ころ63は、ころ軸線A3を中心とする円錐台状に形成されている。円錐ころ63は、大径面63aと、小径面63bと、大径面63aと小径面63bとを連結するテーパ面63cと、を有する。テーパ面63cは、小径面63bから大径面63aに向かうに従って漸次ころ軸線A3から離間するように、ころ軸線A3に対して傾斜している。大径面63aとテーパ面63cとの角部には、大径側丸面取り部63dが形成されている。小径面63bとテーパ面63cとの角部には、小径側丸面取り部63eが形成されている。
【0053】
円錐ころ63は、ころ軸線A3が軸方向の内側に向かうに従って漸次径方向の内側に向かうように軸方向及び径方向に対して斜めに配置される。円錐ころ63は、小径面63bを径方向の内側に向けて配置される。円錐ころ63は、外転動面61c及び内転動面62c上を転動しながらキャリア回転軸線A1回りを周回する。複数の円錐ころ63は、保持器64によって周方向に等間隔に並んで配置される。
【0054】
<保持器>
図4は、保持器64の側面図である。
図5は、保持器64の一部を外側からみた斜視図である。
図6は、保持器64の一部を内側からみた斜視図である。
図7は、
図4のVII-VII線に沿う断面図である。
図1、
図2、
図4から
図7に示すように、保持器64は、環状の大径リング81と、大径リング81よりも径方向の内側に配置された環状の小径リング82と、大径リング81と小径リング82とを連結する複数の柱部83と、が一体成形されている。
【0055】
大径リング81は、内輪62Aに形成された規制壁66における外周面66aの径方向の外側に間隔をあけて配置されている。大径リング81は、規制壁66の外周面66aと径方向で対向する大径内周面(請求項における第2側面の一例)81aと、大径内周面81aにおける径方向外側に形成された大径外周面81bと、大径内周面81aから軸方向の内側に延びる傾斜内周面(請求項における第2側面の一例)81cと、大径外周面81bから軸方向の内側に延びる傾斜外周面81dと、大径内周面81aと大径外周面81bとのそれぞれ軸方向の外側端部同士を連結する軸方向外側端面81eと、傾斜内周面81cと傾斜外周面81dとのそれぞれ軸方向の内側端部同士を連結する軸方向内側端面81fと、を有する。
【0056】
大径内周面81a及び大径外周面81bは、それぞれ規制壁66の外周面66aと平行である。傾斜内周面81c及び傾斜外周面81dは、それぞれ軸方向の内側に向かうに従って漸次径方向の内側に向かうように軸方向に対して斜めに延びている。傾斜外周面81dは、ころ軸線A3と平行である。軸方向外側端面81eは、径方向と平行である。軸方向内側端面81fは、ころ軸線A3に対して直交している。
【0057】
小径リング82は、内輪62Aに形成された保持器配置壁65における外周面の径方向の外側に間隔をあけて配置されている。保持器配置壁65の外周面と径方向で対向する小径内周面82aと、小径内周面82aにおける軸方向の内側端部から径方向の外側に延びる軸方向内側端面82bと、小径内周面82aにおける軸方向の外側端部から軸方向の外側に延びる傾斜内周面82cと、軸方向内側端面82bにおける径方向の外側端部から軸方向の外側に延びる傾斜外周面82dと、傾斜内周面82cと傾斜外周面82dとのそれぞれ軸方向の外側端部同士を連結する軸方向外側端面82eと、を有する。
【0058】
小径内周面82aは、保持器配置壁65における外周面及び軸方向と平行である。軸方向内側端面82bは、径方向と平行である。傾斜内周面82c及び傾斜外周面82dは、それぞれ軸方向の外側に向かうに従って漸次径方向の外側に向かうように軸方向に対して斜めに延びている。傾斜内周面82cと傾斜外周面82dとは平行である。軸方向外側端面82eは、ころ軸線A3に対して直交している。すなわち軸方向外側端面82eと大径リング81の軸方向内側端面81fとは平行である。これら軸方向外側端面82eと軸方向内側端面81fとはころ軸線A3方向で対向している。
【0059】
柱部83は径方向に沿って延び、周方向に等間隔で配置されている。柱部83、大径リング81及び小径リング82によって区画されるポケット84に、それぞれ円錐ころ63が転動自在に収納される。換言すれば、複数の柱部83は、周方向で隣り合う円錐ころ63の間に配置される。
【0060】
柱部83は板状に形成されており、板厚方向は周方向と一致する。以下、柱部83の周方向の厚さを板厚と称する。柱部83は、周方向からみてころ軸線A3方向に長い長方形状に形成されている。柱部83のころ軸線A3方向の両端は、それぞれ大径リング81の軸方向内側端面81fと小径リング82の軸方向外側端面82eとに連結されている。柱部83における径方向の外側(外径側)の外側面85は、ころ軸線A3に平行な平坦に形成されている。柱部83における径方向の内側(内径側)の内側面86は、小径リング82から大径リング81に向けて順に配置された第1平坦面86a、傾斜面86b、第2平坦面86cを有している。
【0061】
第1平坦面86aは、小径リング82から大径リング81に向かってころ軸線A3に沿って、つまり、外側面85の延出方向に沿って延びている。傾斜面86bは、第1平坦面86aの大径リング81側の端部から外側面85に向かって斜めに延びている。第2平坦面86cは、傾斜面86bの大径リング81側の端部から大径リング81に至る間に延びている。第2平坦面86cは、第1平坦面86a、ころ軸線A3及び外側面85と平行である。第2平坦面86cの大径リング81側の端部は、傾斜内周面81cに乗り上げるように延びている。以下、柱部83では、ころ軸線A3に直交する方向を短手方向と称する。
【0062】
柱部83の大径リング81側には、周方向からみて三角形状の薄肉部87が形成されている。薄肉部87は、柱部83における周方向の両側面(以下、周方向側面と称する)83aに段差部87aを形成することにより周方向側面83aよりも板厚が薄く形成されている。段差部87aは、大径リング81の傾斜内周面81cに沿うようにこの傾斜内周面81cから外側面85に至る間に形成されている。
【0063】
柱部83の外側面85側には、第1脱落防止部88が形成されている。第1脱落防止部88は、保持器64の内側面86から外側面85側(請求項における第1方向)への円錐ころ63の抜けを防止するためのものである。第1脱落防止部88は、両周方向側面83aから突出形成されている。第1脱落防止部88は、段差部87aから小径リング82に至る間に形成されている。すなわち、段差部87aは、請求項における第1脱落防止部88の大径リング81側の第1側面に相当する。この第1側面は、大径リング81の傾斜内周面81c(第2側面)と同一直線状に配置されている。
【0064】
第1脱落防止部88は、短手方向の中央よりも外側面85寄りから外側面85に至る間に、末広がりに形成されている。すなわち、第1脱落防止部88は、外側面85に向かうに従って漸次板厚が厚くなるように形成されている。このため第1脱落防止部88は、柱部83の周方向側面83aに対して傾斜した傾斜面88aを有している。
【0065】
柱部83の内側面86側には、第2脱落防止部89が形成されている。第2脱落防止部89は、保持器64の外側面85から内側面86側(請求項における第2方向)への円錐ころ63の抜けを防止するためのものである。第2脱落防止部89は、両周方向側面83aから突出形成されている。第2脱落防止部89は、内側面86の第1平坦面86aと小径リング82の軸方向外側端面82eとの角部に形成されている。第2脱落防止部89は、周方向からみて三角形状に形成されている。第2脱落防止部89は、第1平坦面86a及び軸方向外側端面82eに向かうに従って漸次板厚が厚くなるように形成されている。このため第2脱落防止部89は、周方向側面83aに対して傾斜した傾斜面89aを有している。
【0066】
このように、第1脱落防止部88及び第2脱落防止部89は、小径リング82側に纏めて片寄って配置されている。
【0067】
<保持器の各部の寸法関係>
次に、保持器64の各部の寸法関係について説明する。
寸法関係(1):
第2脱落防止部89におけるころ軸線A3方向の長さL2(
図7参照)は、第1脱落防止部88におけるころ軸線A3方向の長さL1(
図7参照)よりも短い。ここでいう第2脱落防止部89の長さL2とは、第2脱落防止部89におけるころ軸線A3方向の長さのうち、最も長い箇所の長さをいう。すなわち、第2脱落防止部89の長さL2は、第2脱落防止部89のうち、第1平坦面86a側の端部の長さである。
【0068】
一方、第1脱落防止部88の長さL1とは、第1脱落防止部88におけるころ軸線A3方向の長さのうち、最も短い箇所の長さをいう。すなわち、第1脱落防止部88の長さL1は、第1脱落防止部88のうち、外側面85側の端部の長さである。
これにより、第2脱落防止部89と第1脱落防止部88とのころ軸線A3方向の長さを比較したとき、いずれの箇所で考察した場合でも必ず第2脱落防止部89の方が短くなる。
【0069】
寸法関係(2):
第1脱落防止部88の長さL1は、大径リング81と小径リング82との間の長さL3(
図7参照)の長さに対して50%以上の長さである。大径リング81と小径リング82との間の長さL3とは、換言すれば、大径リング81の軸方向内側端面81fと小径リング82の軸方向外側端面82eとの間の長さである。
【0070】
寸法関係(3):
周方向で隣り合う第1脱落防止部88の間の幅W1(
図6参照)と円錐ころ63の小径面63bの直径D1(
図3参照)との掛かり代は、5~15%である。小径面63bの直径D1とは、小径側丸面取り部63eの外径のうち、最も大きい箇所の外径をいう。
【0071】
寸法関係(4):
柱部83の外側面85と第1平坦面86aとの間の厚さTs(
図7参照)は、直径D1の55~65%である。
寸法関係(5):
柱部83の外側面85と第2平坦面86cとの間の厚さT2(
図7参照)は、厚さTsの55~65%である。
【0072】
寸法関係(6):
大径リング81における軸方向外側端面81eの径方向の厚さT1(
図7参照)と厚さT2は、
T1≧T2 ・・・(1)
を満たす。上記式(1)を満たすために、大径リング81における大径内周面81aと傾斜内周面81cとの角度θ(
図7参照)は、例えば5~15°とした。
【0073】
寸法関係(7):長さL3から長さL2を減じた値は、円錐ころ63のころ軸線A3方向の長さL4(
図3参照)の93~99%である。長さL4は、円錐ころ63のころ軸線A3方向の全長L5から小径側丸面取り部63eの半径R1を減じた値である。
寸法関係(8):周方向で隣り合う第2脱落防止部89の間の幅W2(
図5参照)は、直径D1の92~97%である。
【0074】
<保持器の製造方法>
次に、保持器64の製造方法について説明する。
図7に示すように、保持器64は、離型する2つの金型101,102(第1金型101、第2金型102)によって射出成形されている。2つの金型101,102の分割面PLは、大径リング81の軸方向外側端面81e、大径内周面81a、傾斜内周面81c、柱部83の段差部87a、外側面85、小径リング82の傾斜外周面82d、軸方向内側端面82bに沿っている。
【0075】
2つの金型101,102の離型方向Y1は、
図7における左右方向である。このように、分割面PLを形成することにより、第1金型101側に各脱落防止部88,89が形成されることになる。換言すれば、金型101,102の分割面PLに対して片側に各脱落防止部88,89が配置されている。
【0076】
<軸受の組み付け方法>
次に、第1主軸受6Aの組み付け方法について説明する。
まず、保持器64に円錐ころ63を組み付ける。この際、第2脱落防止部89が形成されている側、つまり径方向の内側から円錐ころ63を組み付ける。具体的には、最初に円錐ころ63の小径面63b側を保持器64の径方向の内側から第2脱落防止部89と第1脱落防止部88との間に挿入した後、ポケット84に円錐ころ63の大径面63a側を収める。
【0077】
最初に保持器64に円錐ころ63の小径面63b側を組み付ける際、第2脱落防止部89における径方向の内側から円錐ころ63の小径面63b側を押し込むようにして組み付けてもよい。この場合、円錐ころ63の小径面63b側によって第2脱落防止部89が押し広げられながら円錐ころ63が組み付けられる。円錐ころ63の小径面63bは大径面63aと比較して直径が小さいうえに、第2脱落防止部89は、第1脱落防止部88に対して十分に小さい。このため、過度な押付力を必要とせずに、保持器64に円錐ころ63を組み付けることができる。
【0078】
保持器64の径方向の内側から円錐ころ63を組み付けると、第1脱落防止部88の傾斜面88aに円錐ころ63のテーパ面63cが接触する。これにより、円錐ころ63が保持器64の径方向の外側へと脱落してしまうことが防止される。この際、第1脱落防止部88が上記寸法関係(2)を満たしているので、円錐ころ63を十分に受け止めることができる。よって、保持器64の径方向の内側から組み付けた円錐ころ63が保持器64の径方向の外側へと脱落してしまうことが確実に防止される。
【0079】
保持器64のポケット84に収納された円錐ころ63は、第1脱落防止部88の傾斜面88aに接触するとともに、第2脱落防止部89の傾斜面89aに接触する。このため、第2脱落防止部89によって、保持器64の径方向の内側への脱落も防止される。このように構成された保持器64によって円錐ころ63の姿勢が維持される。すなわち、保持器64によって円錐ころ63が保持される。
【0080】
この後、円錐ころ63が組み付けられた保持器64を外輪61Aと内輪62Aとの間に収納する。これにより、第1主軸受6Aの組み付けが完了する。
【0081】
続いて、第1主軸受6Aの内部に潤滑油を注入する。ここで、第1脱落防止部88及び第2脱落防止部89は、小径リング82側に纏めて片寄って配置されている。このため、大径リング81側には、この大径リング81と小径リング82との間が完全に開口されたスペースS(
図2参照)が形成される。このスペースSは、第1主軸受6Aの径方向の外側と内側とを通じさせる。この結果、通油性が向上され、第1主軸受6Aに容易、かつ十分に潤滑油を行き渡らせることができる。
【0082】
<減速装置の動作>
次に、減速装置1の動作について説明する。
図示しない外部モータの回転力が入力歯車18及び平歯車17を介してクランク軸4に伝達される。各クランク軸4が回転されると、各クランク軸4が支持される第1揺動歯車5Aおよび第2揺動歯車5Bが揺動回転される。これに伴ってキャリア3が外部モータの回転に対して減速してキャリア回転軸線A1を中心に回転する。キャリア3は、各主軸受6A,6Bによって外筒2に対して回転する。
【0083】
このとき、例えば図示しない外部機器等に外筒2を固定すると、キャリア3が減速装置1に入力された回転(外部モータの回転)を出力する出力部として機能する。すなわち、キャリア3に図示しない駆動体を取りつけることにより、駆動体を駆動させることができる。一方、例えば図示しない外部機器等にキャリア3を固定すると、外筒2が減速装置1に入力された回転(外部モータの回転)を出力する出力部として機能する。すなわち、外筒2に図示しない駆動体を取りつけることにより、駆動体を駆動させることができる。このように、外筒2及びキャリア3は、各々が出力部(請求項における第1出力部、第2出力部)として機能する。
【0084】
このように、上述の実施形態では、主軸受6A,6Bの保持器64に2つの脱落防止部88,89を設けている。このため、第1脱落防止部88によって、保持器64の径方向の外側から円錐ころ63が脱落してしまうことを防止できる。第2脱落防止部89によって、保持器64の径方向の内側から円錐ころ63が脱落してしまうことを防止できる。よって、主軸受6A,6Bの組み立て性を向上できる。例えば、保持器64に脱落防止部を1つ設ける場合、保持器64の径方向の外側又は内側のいずれか一方から円錐ころ63が脱落してしまい、主軸受6A,6Bの組み立て性が低下してしまう。
【0085】
2つの脱落防止部88,89は、柱部83における小径リング82側に纏めて片寄って配置されている。このため、大径リング81側には、この大径リング81と小径リング82との間が完全に開口されたスペースS(
図2参照)が形成される。この結果、主軸受6A,6B内への通油性を向上できる。よって、主軸受6A,6Bの製品寿命を延長できる。
【0086】
しかも、小径リング82側に2つの脱落防止部88,89が纏めて片寄ることにより、大径リング81側にスペースSを形成することができる。小径リング82の周長と比較して大径リング81の周長は長い。この分、小径リング82側にスペースSを形成する場合と比較して大径リング81側に形成されるスペースSの開口面積を大きくできる。
【0087】
主軸受6A,6Bの転動体として用いられる円錐ころ63は、その構造上、保持器64の小径リング82側が小径面63b側となる。すなわち、2つの脱落防止部88,89が寄っている小径リング82側が円錐ころ63の小径面63b側となる。脱落防止部88,89が形成されている箇所に円錐ころ63の大径面63a側を組み付ける場合と比較して、保持器64への転動体(円錐ころ63)の組み付けを容易化できる。
【0088】
第1脱落防止部88の長さL1と第2脱落防止部89の長さL2とは異なっている。このため、長さの短い側から保持器64に円錐ころ63を組み付けることにより、保持器64に円錐ころ63を組み付けやすくできる。各長さL1,L2を異ならせることにより、通油スペース(スペースS)をさらに確保できる。
【0089】
これに加え、各長さL1,L2は、上記寸法関係(1)を満たす。このため、保持器64の径方向の内側から円錐ころ63を組み付けやすくできる。第1脱落防止部88の長さL1が第2脱落防止部89の長さL2よりも長い分、保持器64の径方向の内側から円錐ころ63を組み付けた際に、勢い余って保持器64の径方向の外側から円錐ころ63が脱落してしまうことを確実に防止できる。
【0090】
第1脱落防止部88の長さL1は、上記寸法関係(2)を満たす。このため、確実に第1脱落防止部88の傾斜面88aで円錐ころ63のテーパ面63cを受けることができる。換言すれば、保持器64の径方向の内側から円錐ころ63を組み付けた際に、勢い余って保持器64の径方向の外側から円錐ころ63が脱落してしまうことをより確実に防止できる。このため、保持器64によって円錐ころ63を確実に保持できる。
【0091】
大径リング81の径方向の厚さT1、及び柱部83の外側面85と第2平坦面86cとの間の厚さT2は、上記寸法関係(6)、つまり上記式(1)を満たす。
【0092】
ここで、大径リング81は、内輪62Aに形成された規制壁66における外周面66aの径方向の外側に間隔をあけて配置されている。すなわち、大径リング81は、規制壁66との干渉を避けるように形成する必要がある。これに加え、保持器64を射出成形する場合の2つの金型101,102に対する保持器64の各部の抜き勾配を考慮すると、大径リング81の径方向の厚さT1は小さいことが望ましい。大径リング81の傾斜内周面81cに沿うように、大径内周面81aをころ軸線A3に対して斜めに形成した方が、保持器64から第1金型101を抜きやすくできるからである。これに加え、大径リング81の規制壁66との干渉も回避しやすくなるからである。
【0093】
しかしながら、このように構成してしまうと保持器64の剛性が低くなってしまう。そこで、敢えて上記寸法関係(6)、上記式(1)を満たすようにすることにより、保持器64の剛性を高めることができる。
上記寸法関係(6)、上記式(1)を満たしつつ、保持器64からの第1金型101の離型も考慮した結果、大径リング81における大径内周面81aと傾斜内周面81cとの角度θ(
図7参照)は、例えば5~15°としてある。
【0094】
保持器64を樹脂によって形成するにあたり、2つの金型101,102のうち、第1金型101側で各脱落防止部88,89が形成される。換言すれば、金型101,102の分割面PLに対して片側に各脱落防止部88,89が配置されている。さらに換言すれば、保持器64の製造方法として、第1金型101のみで各脱落防止部88,89を形成する製造方法としている。このため、各脱落防止部88,89の成形精度を第1金型101のみで調整できる。各脱落防止部88,89の形状を変更した場合であっても、第1金型101のみ設計変更をするだけでよいので、製造コストを低減できる。
【0095】
保持器64では、第1脱落防止部88の段差部87a(第1側面)は、大径リング81の傾斜内周面81c(第2側面)と同一直線状に配置されている。このように形成したうえで、段差部87a、傾斜内周面81c、及び柱部83の外側面85のうちの段差部87aよりも小径リング82側を金型101,102の分割面PLとすることを実現している。このような分割面PLとすることで、第1金型101のみで各脱落防止部88,89を形成することが可能になる。
【0096】
減速装置1は、上記のような主軸受6A,6Bを利用することにより、組み立て性を向上できる。減速装置1の製品寿命を延長できる。
【0097】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0098】
例えば、上述の実施形態では、2つの脱落防止部88,89は、柱部83における小径リング82側に纏めて片寄って配置されている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、2つの脱落防止部88,89は、柱部83における大径リング81側に纏めて片寄って配置されていてもよい。このように構成した場合であっても大径リング81と小径リング82との間に開口されたスペースを形成することができる。
【0099】
上述の実施形態では、第1脱落防止部88の長さL1、及び第2脱落防止部89の長さL2は、上記寸法関係(1)を満たす場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、各長さL1,L2が異なっていればよい。このように構成することで、主軸受6A,6Bの通油性を向上できる。
【0100】
上述の実施形態では、各主軸受6A,6Bは円錐ころ軸受であり、転動体として円錐ころ63が用いられている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな軸受に上述の保持器64の構成を適用できる。例えば転動体として円筒ころや球体のころを保持する保持器にも上述の保持器64の構成を適用できる。
【0101】
上述の実施形態では、保持器64の各部の寸法関係の一例として、寸法関係(1)から寸法関係(8)について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、保持器64の各部の寸法関係は寸法関係(1)から寸法関係(8)を満たさなくてもよい。少なくとも保持器64は2つの脱落防止部88,89を備え、各脱落防止部88,89は、大径リング81又は小径リング82のいずれか一方の側に纏めて片寄って配置されていればよい。
【0102】
上述の実施形態では、柱部83は、外側面85と内側面86とを有している場合について説明した。内側面86は、第1平坦面86a、傾斜面86b、第2平坦面86cを有している場合について説明した。2つの金型101,102の分割面PLは、大径リング81の軸方向外側端面81e、大径内周面81a、傾斜内周面81c、柱部83の段差部87a、外側面85、小径リング82の傾斜外周面82d、軸方向内側端面82bに沿っている場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、柱部83の形状はさまざまな形状を採用できる。分割面PLは、柱部83の形状に合わせて形成することが可能である。但し分割面PLは、2つの金型101,102のうちの一方で各脱落防止部88,89を形成できるように決定することが望ましい。
【0103】
上述の実施形態では、減速装置1は、クランク軸4、揺動歯車5A,5B等を備える、いわゆる偏心揺動型の減速装置である場合について説明した。このような減速装置1に各主軸受6A,6Bを用いた場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな減速装置1に主軸受6A,6Bを適用できる。減速装置1以外にも主軸受6A,6Bを適用できる。例えば、入力された回転を減速する装置(減速装置)に限られず、入力された回転を増速する装置にも主軸受6A,6Bを適用できる。
【0104】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0105】
1…減速装置(変速装置)
2…外筒(第1出力部、第2出力部)
3…キャリア(第1出力部、第2出力部)
6A…第1主軸受(軸受)
6B…第2主軸受(軸受)
10…減速部(変速部)
18…入力歯車(入力部)
61A,61B…外輪
62A,62B…内輪
63…円錐ころ(転動体)
64…保持器
81…大径リング
81a…大径内周面(第2側面)
81d…傾斜外周面(第2側面)
82…小径リング
83…柱部
85…外側面
86…内側面
86a…第1平坦面
86b…傾斜面
86c…第2平坦面
88…第1脱落防止部
89…第2脱落防止部
101…第1金型(金型)
102…第2金型(金型)
L1…長さ(第1脱落防止部の長さ)
L2…長さ(第2脱落防止部の長さ)
PL…分割面
T1,T2…厚さ