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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154831
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/16 20200101AFI20241024BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20241024BHJP
   B60Q 1/34 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H05B47/16
B60Q1/00 C
B60Q1/34 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068944
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 亘
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K273PA07
3K273QA11
3K273QA28
3K273RA12
3K273TA15
3K273TA18
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA47
3K273TA49
3K273TA52
3K273TA78
3K273UA06
3K273UA12
3K273UA14
3K273UA22
3K339AA22
3K339AA25
3K339BA30
3K339CA12
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA09
3K339GB01
3K339GB21
3K339GB26
3K339JA21
3K339KA06
3K339KA11
3K339KA37
3K339LA06
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】ターンランプが所定のターンランプ状態になるタイミングとターンランプインジケータが所定のターンランプ状態に対応する所定のインジケータ状態になるタイミングとの時間差を小さく抑える。
【解決手段】初回のターンランプインジケータ33aのインジケータ点灯状態に関わる、SoC32による描画処理完了タイミングからMCU31によるインジケータ点灯描画信号受信開始タイミングを引いた時間差TAを算出し、ターンランプインジケータ33aがインジケータ消灯状態で表示される時間が、ターンランプ20の消灯時間よりも、時間差TAと、描画処理完了タイミングからターンランプインジケータ33aがインジケータ点灯状態で表示される表示タイミングまでの時間差TBとを合わせた時間分短くなるように、2回目のターンランプインジケータ33aをインジケータ点灯状態にするタイミングを予測する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターンランプと、
ディスプレイ、および、前記ターンランプのターンランプ状態をインジケータ状態により示すターンランプインジケータを当該ディスプレイに描画する描画処理部を有する表示装置と、
ユーザの操作を受け付け、前記ターンランプの前記ターンランプ状態の制御、および、ネットワークを介して前記表示装置に前記ターンランプインジケータの前記インジケータ状態に関わるインジケータ信号を送信する制御部と
を備える車両制御装置であって、
前記ターンランプ状態には、第1のターンランプ状態と、第2のターンランプ状態とがあり、
前記インジケータ状態には、前記第1のターンランプ状態に対応する第1のインジケータ状態と、前記第2のターンランプ状態に対応する第2のインジケータ状態とがあり、
前記インジケータ信号には、前記第1のインジケータ状態の描画に関わる第1のインジケータ信号と、前記第2のインジケータ状態の描画に関わる第2のインジケータ信号とがあり、
前記描画処理部は、
前記制御部が前記ターンランプを前記第1のターンランプ状態にする今回の制御に対応して送信する前記第1のインジケータ信号を当該制御部から受信を開始する受信開始タイミングと、当該描画処理部が前記ターンランプインジケータを前記第1のインジケータ状態に描画する今回の描画処理を完了する完了タイミングとの時間差を算出し、
前記ターンランプの前記第1のターンランプ状態への次回の制御に対応する、前記ターンランプインジケータを前記第1のインジケータ状態に描画する次回の描画処理を含む次回の所定の処理を、前記時間差に基づいて当該次回の描画処理を含む当該次回の所定の処理の開始タイミングを予測して行う
ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記描画処理部は、前記時間差に基づいて、前記今回の描画処理を含む今回の所定の処理で描画された前記第1のインジケータ状態に続く前記第2のインジケータ状態の期間が、前記ターンランプの1回の前記第2のターンランプ状態の期間よりも短くなるようにして、前記次回の描画処理を含む前記次回の所定の処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターンランプのターンランプ状態の変化に対応させて(例えば、点消灯に対応させて)、ターンランプインジケータを当該ターンランプ状態に対応するインジケータ状態に変化させる(例えば、点滅させる)車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、点滅するインジケータと、図形や画像などを表示するモニタと、モニタを制御するモニタ制御回路と、点滅の基準周期となる基準パルスを生成してインジケータとモニタ制御回路とに入力する基準回路とを備え、さらに、モニタ制御回路に基準回路から基準パルスが入力されてからモニタ制御回路がモニタを制御する所定処理を行った後に、基準パルスの1周期から当該所定処理に要した処理時間を差し引いた時間だけ遅らせて、モニタに対するブリンクを開始する同期手段を備えたブリンク装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-114207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インジケータとモニタとを同期させるために、モニタに対するブリンクの開始を遅らせていたため、ユーザに違和感を与える虞がある。
【0005】
ところで、ターンランプと、ターンランプの点消灯状態(点灯状態、消灯状態)を示すLEDを用いたターンランプインジケータとを備える車両では、ターンランプの点消灯を制御するECU(Electronic Control Unit)が直接LEDの駆動制御を行っていたが、消線化によるコスト低減のために、ECUがCAN(Controller Area Network)を用いてターンランプインジケータの点滅に関わるインジケータ信号を送信する方式が自動車業界のトレンドとなっている。また、フル液晶メータなどの普及により、LEDを用いてきたターンランプインジケータを、ディスプレイに表示する車両が増加しつつある。
【0006】
このように、CANを使用し、ターンランプインジケータをディスプレイに表示する場合、CANの送信周期およびターンランプインジケータをディスプレイに描画するための描画処理により、ターンランプの点消灯に対してターンランプインジケータの点滅が遅延し、ユーザに違和感を与える虞があるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ターンランプが所定のターンランプ状態になるタイミング(例えば、点消灯のタイミング)とターンランプインジケータが当該所定のターンランプ状態に対応する所定のインジケータ状態になるタイミング(例えば、点滅のタイミング)との時間差を小さく抑えることができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係る車両制御装置は、ターンランプと、ディスプレイ、および、前記ターンランプのターンランプ状態をインジケータ状態により示すターンランプインジケータを当該ディスプレイに描画する描画処理部を有する表示装置と、ユーザの操作を受け付け、前記ターンランプの前記ターンランプ状態の制御、および、ネットワークを介して前記表示装置に前記ターンランプインジケータの前記インジケータ状態に関わるインジケータ信号を送信する制御部とを備える車両制御装置であって、前記ターンランプ状態には、第1のターンランプ状態と、第2のターンランプ状態とがあり、前記インジケータ状態には、前記第1のターンランプ状態に対応する第1のインジケータ状態と、前記第2のターンランプ状態に対応する第2のインジケータ状態とがあり、前記インジケータ信号には、前記第1のインジケータ状態の描画に関わる第1のインジケータ信号と、前記第2のインジケータ状態の描画に関わる第2のインジケータ信号とがあり、前記描画処理部は、前記制御部が前記ターンランプを前記第1のターンランプ状態にする今回の制御に対応して送信する前記第1のインジケータ信号を当該制御部から受信を開始する受信開始タイミングと、当該描画処理部が前記ターンランプインジケータを前記第1のインジケータ状態に描画する今回の描画処理を完了する完了タイミングとの時間差を算出し、前記ターンランプの前記第1のターンランプ状態への次回の制御に対応する、前記ターンランプインジケータを前記第1のインジケータ状態に描画する次回の描画処理を含む次回の所定の処理を、前記時間差に基づいて当該次回の描画処理を含む当該次回の所定の処理の開始タイミングを予測して行うことを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、描画処理部は、ターンランプの第1のターンランプ状態への今回の制御に対応する今回の第1のインジケータ信号の受信開始タイミングと今回の描画処理を完了する完了タイミングとの時間差を算出し、ターンランプの第1のターンランプ状態への次回の制御に対応するターンランプインジケータを第1のインジケータ状態に描画する次回の描画処理を含む次回の所定の処理を、時間差に基づいて、当該次回の描画処理を含む当該次回の所定の処理の開始タイミングを予測して行う。このため、次回ターンランプが第1のターンランプ状態になるタイミングと、次回ターンランプインジケータが当該第1のターンランプ状態に対応する第1のインジケータ状態になるタイミングと、の時間差を小さく抑えることができる。この結果、ターンランプの状態変化とターンランプインジケータの状態変化との時間ずれによるユーザの違和感を低減させることができる。
【0010】
また、前記描画処理部は、前記時間差に基づいて、前記今回の描画処理を含む今回の所定の処理で描画された前記第1のインジケータ状態に続く前記第2のインジケータ状態の期間が、前記ターンランプの1回の前記第2のターンランプ状態の期間よりも短くなるようにして、前記次回の描画処理を含む前記次回の所定の処理を行うとしてもよい。
【0011】
この構成によれば、次回ターンランプが第1のターンランプ状態になるタイミングと、次回ターンランプインジケータが当該第1のターンランプ状態に対応する第1のインジケータ状態になるタイミングと、の時間差を小さく抑えることができる。この結果、ターンランプの状態変化とターンランプインジケータの状態変化との時間ずれによるユーザの違和感を低減させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、描画処理部は、ターンランプの第1のターンランプ状態への今回の制御に対応する今回の第1のインジケータ信号の受信開始タイミングと今回の描画処理を完了する完了タイミングとの時間差を算出し、ターンランプの第1のターンランプ状態への次回の制御に対応するターンランプインジケータを第1のインジケータ状態に描画する次回の描画処理を含む次回の所定の処理を、時間差に基づいて、当該次回の描画処理を含む当該次回の所定の処理の開始タイミングを予測して行う。このため、次回ターンランプが第1のターンランプ状態になるタイミングと、次回ターンランプインジケータが当該第1のターンランプ状態に対応する第1のインジケータ状態になるタイミングと、の時間差を小さく抑えることができる。この結果、ターンランプの状態変化とターンランプインジケータの状態変化との時間ずれによるユーザの違和感を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る車両制御装置の装置構成図である。
図2図1の車両制御装置によるターンランプの点消灯およびターンランプインジケータの点滅の処理シーケンスである。
図3図2の処理シーケンスの続きの処理シーケンスである。
図4図3の処理シーケンスの続きの処理シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明の一実施形態に係る車両制御装置1の構成について図1を参照しつつ説明する。車両制御装置1は、車両に搭載されるものであり、ターンランプ20の点消灯に対応させて、ターンランプインジケータ33aを点滅させるものである。
【0016】
車両制御装置1は、図1に示すように、ボデーECU10、ターンランプ20、メータ30、ターンランプスイッチ15、および、CAN(Controller Area Network)40を備える。また、メータ30は、図1に示すように、MCU(Micro Controller Unit)31と、SoC(System-on-a-chip)32と、ディスプレイ33とを備え、ディスプレイ33にはターンランプ20の点消灯を点滅で示すターンランプインジケータ33aが表示される。ボデーECU10とMCU31はそれぞれCAN40に接続されている。なお、CAN40は本発明の「ネットワーク」に相当する。
【0017】
なお、車両制御装置1には、左折に対応した左ターンランプおよび右折に対応した右ターンランプ、並びに、左ターンランプに対応する左ターンランプインジケータおよび右ターンランプに対応する右ターンランプインジケータがあるが、左ターンランプおよび左ターンランプインジケータに対する制御と、右ターンランプおよび右ターンランプインジケータに対する制御とは、本実施形態における特徴部分に関しては同じであるため、本実施形態では、記載を簡略化するために、それらをターンランプ20およびターンランプインジケータ33aとしてまとめて記載することにする。
【0018】
ボデーECU10は、CAN40に繋がっており、CAN40に繋がっているメータ30のMCU31などの機器とCAN通信を行うことが可能である。ボデーECU10は、本実施形態では、車両制御装置1を備える車両のユーザ(運転者など)がターンランプスイッチ15をオンにする操作を受付けると、ターンランプ20が備える後述するLED21に対して通電と非通電とを繰り返すことでターンランプ20が点灯と消灯とを繰り返すようにターンランプ20の制御を行う。また、ボデーECU10は、本実施形態では、ターンランプ20を点灯に制御した場合、CAN40を用いてターンランプインジケータ33aを点いた状態(以下、「インジケータ点灯状態」と記載することもある。)に描画することに関わるインジケータ信号(以下、「インジケータ点灯描画信号」と記載することもある。)をメータ30のMCU31へ送信し、ターンランプ20を消灯に制御した場合、CAN40を用いてターンランプインジケータ33aを消した状態(以下、「インジケータ消灯状態」と記載することもある。)に描画することに関わるインジケータ信号(以下、「インジケータ消灯描画信号」と記載することもある。)をメータ30のMCU31へ送信する。なお、ボデーECU10が本発明の「制御部」に相当する。また、インジケータ信号が本発明の「インジケータ信号」に対応し、インジケータ点灯信号が本発明の「第1のインジケータ信号」または「第2のインジケータ信号」に対応し、インジケータ消灯信号が本発明の「第2のインジケータ信号」または「第1のインジケータ信号」に対応する。
【0019】
ターンランプ20はLED21を備えるように構成されている。LED21に通電されるとLED21が発光してターンランプ20は点灯し、LED21に通電されないと(LED21が非通電であると)LED21が発光せずに(非発光)ターンランプ20は消灯する。LED21に対する通電、非通電はボデーECU10により行われ、ターンランプスイッチ15がオンである場合には通電と非通電とが繰り返されて(例えば、通電時間340ms、非通電時間340ms、通電時間340ms、非通電時間340ms、通電時間340ms、非通電時間340ms、通電時間340ms、非通電時間340ms、・・・)、LED21が発光、非発光を繰り返すことでターンランプ20が点灯と消灯とを繰り返す。また、ターンランプスイッチ15がオフである場合には非通電が続き、LED21が発光せずターンランプ20の消灯が続く。なお、ターンランプ20が本発明の「ターンランプ」に相当し、ターンランプ20の点灯が本発明の「第1のターンランプ状態」または「第2のターンランプ状態」に相当し、ターンランプ20の消灯が本発明の「第2のターンランプ状態」または「第1のターンランプ状態」に相当する。
【0020】
MCU31は、例えば、車載用のRH850 MCUである。MCU31は、CAN40に繋がっており、CAN40に繋がっているボデーECU10などの機器とCAN通信を行うことが可能である。また、MCU31は、SoC32とクロック同期方式のシリアルインターフェースの一種であるSPI(Serial Peripheral Interface)による通信(SPI通信)を行うことが可能になっている。
【0021】
SoC32は、MCU31とSPI通信を行うことが可能になっている。また、SoC32は、ディスプレイ33と低電圧差動伝送方式の一つであるLVDS(Low Voltage Differential Signaling)による通信(LVDS通信)を行うことが可能になっている。
【0022】
本実施形態では、SPI通信に関しては、MCU31がマスター側であり、SoCがスレーブ側である。MCU31は、SPIの同期クロック(Serial Clock:SCLK)をカウントする(当該カウントを「SPI msg count(MCU)」と記載することもある。)。また、SoC32は、SPIの同期クロックをカウントする(当該カウントを「SPI msg count(SoC)」と記載することもある。)。本実施形態において、SPI msg count(MCU)の値と、SPI msg count(SoC)の値とは、同じタイミングでは同じである。本実施形態では、SCLKのクロック周期を10msとするが、これは一例であって、他のクロック周期であってもよい。
【0023】
MCU31とSoC32とにより次の処理が行われる。
ボデーECU10がターンランプ20を点灯状態にする今回の制御に対応する、MCU31によるインジケータ点灯描画信号受信開始時のSPI msg count(MCU)の値とSoC32による描画処理完了時のSPI msg count(SoC)の値とに基づいて、SoC32による描画処理の完了タイミングからMCU31によるインジケータ点灯描画信号の受信開始タイミングを引いた両者の時間差TA(図2参照)を算出する。SoC32による描画処理の完了タイミングよりも、ターンランプインジケータ33aをディスプレイ33にインジケータ点灯状態で表示するための垂直同期(V-Sync)表示処理が完了するタイミング(ターンランプインジケータ33aがディスプレイ33にインジケータ点灯状態で表示される表示タイミング)が遅れる時間差TB(図2参照)は、SoC32では把握できないため、本実施形態では予め定められた定数としている。ターンランプインジケータ33aがインジケータ点灯状態で表示される表示タイミングから、MCU31によるインジケータ点灯描画信号の受信開始タイミングを引いた、両者の時間差TA+TBを算出する。ボデーECU10がターンランプ20を点灯状態にする次回の制御に対応する次回のターンランプインジケータ33aをインジケータ点灯状態でディスプレイ33に表示するタイミングが、ターンランプインジケータ33aが今回インジケータ点灯状態になってから次にインジケータ点灯状態になるまでの時間がターンランプ20の点消灯の1周期分の時間長TP×2よりも時間差TA+TB分短くなるタイミングとなるように、インジケータ点灯状態に関わる次回の描画処理を含む次回の所定の処理(当該所定の処理は受信データ通知処理、共有メモリ格納処理、描画処理を含む。)の開始タイミングを予測して当該所定の処理を開始する。ただし、TA+TBの値(正、0、負)によって、ターンランプインジケータ33aがインジケータ消灯状態で表示される時間がターンランプ20の消灯時間TPよりも短くなったり、同じになったり、長くなったりする。なお、この処理の詳細は図2から図4を参照して説明する。
【0024】
ボデーECU10がターンランプ20を消灯状態にする今回の制御に対応する、MCU31によるインジケータ消灯描画信号受信開始時のSPI msg count(MCU)の値とSoC32による描画処理完了時のSPI msg count(SoC)の値とに基づいて、SoC32による描画処理の完了タイミングからMCU31によるインジケータ消灯描画信号の受信開始タイミングを引いた両者の時間差Ta(図3参照)を算出する。SoC32による描画処理の完了タイミングよりも、ターンランプインジケータ33aをディスプレイ33にインジケータ消灯状態で表示するための垂直同期(V-Sync)表示処理が完了するタイミング(ターンランプインジケータ33aがインジケータ消灯状態で表示される表示タイミング)が遅れる時間差Tb(図3参照)は、SoC32では把握できないため、本実施形態では予め定められた定数としている。ターンランプインジケータ33aがインジケータ消灯状態で表示される表示タイミングから、MCU31によるインジケータ消灯描画信号の受信開始タイミングを引いた、両者の時間差Ta+Tbを算出する。ボデーECU10がターンランプ20を消灯状態にする次回の制御に対応する次回のターンランプインジケータ33aをインジケータ消灯状態でディスプレイ33に表示するタイミングが、ターンランプインジケータ33aが今回インジケータ消灯状態になってから次にインジケータ消灯状態になるまでの時間がターンランプ20の点消灯の1周期分の時間長TP×2よりも時間差Ta+Tb分短くなるタイミングとなるように、インジケータ消灯状態に関わる次回の描画処理を含む次回の所定の処理(当該所定の処理は受信データ通知処理、共有メモリ格納処理、描画処理を含む。)の開始タイミングを予測して当該所定の処理を開始する。ただし、Ta+Tbの値(正、0、負)によって、ターンランプインジケータ33aがインジケータ点灯状態で表示される時間がターンランプ20の点灯時間TPよりも短くなったり、同じになったり、長くなったりする。なお、この処理の詳細は図2から図4を参照して説明する。
【0025】
なお、MCU31およびSoC32が本発明の「描画処理部」に相当する。
【0026】
ディスプレイ33は、例えば、TFT液晶(Thin Film Transistor liquid crystal display)などである。ディスプレイ33は、SoC32とLVDS通信を行うことが可能になっている。
【0027】
ディスプレイ33にはターンランプインジケータ33aが表示される。ターンランプインジケータ33aのインジケータ状態には、ターンランプ20の点灯に対応するターンランプインジケータ33aが表示された(点灯した)状態(インジケータ点灯状態)と、ターンランプ20の消灯に対応するターンランプインジケータ33aが表示されていない(消灯した)状態(インジケータ消灯状態)とがある。ターンランプインジケータ33aは、ターンランプスイッチ15がオンである場合、ターンランプ20の点灯と消灯との繰り返しに対応して、インジケータ点灯状態とインジケータ消灯状態とを繰り返す。また、ターンランプスイッチ15がオフである場合、ターンランプ20が消灯し続けるのに対応して、ターンランプインジケータ33aではインジケータ消灯状態が続く。なお、ターンランプインジケータ33aが本発明の「ターンランプインジケータ」に相当する。また、インジケータ状態が本発明の「インジケータ状態」に相当し、インジケータ点灯状態が本発明の「第1のインジケータ状態」または「第2のインジケータ状態」に相当し、インジケータ消灯状態が本発明の「第2のインジケータ状態」または「第1のインジケータ状態」に相当する。
【0028】
続いて、車両制御装置1によるターンランプ20の点消灯およびターンランプインジケータ33aの点滅の処理シーケンスについて図2から図4を参照しつつ説明する。なお、図2から図4で用いる値は一例であって他の値となっていてもよい。
【0029】
ボデーECU10は、ユーザ操作によりターンランプスイッチ15がオフからオンになった場合、ターンランプ20の点灯と消灯とを繰り返す制御を行い、図2に示すように、まず、LED21に通電してLED21を発光させることでターンランプ20を点灯させる(ステップS1)。
【0030】
ボデーECU10は、ターンランプ20を点灯させるのにあわせて、ターンランプインジケータ33aのインジケータ点灯状態に関わるデータ(インジケータ点灯描画データ)をペイロードに含めたインジケータ点灯描画信号をCAN通信によりメータ30のMCU31へ送信する(ステップS2)。
【0031】
MCU31は、SPIの同期クロック(本実施形態では、周期が10ms)をカウントし(SPI msg count(MCU))、SoC32は、SPIの同期クロックをカウントする(SPI msg count(SoC))。本実施形態において、SPI msg count(MCU)の値と、SPI msg count(SoC)の値とは、同じタイミングでは同じである。
【0032】
MCU31は、CAN通信により、ボデーECU10からインジケータ点灯描画信号を受信する(ステップS3)。ステップS3では、インジケータ点灯描画信号の受信を開始したときのSPI msg count(MCU)の値(以下、「インジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値」と記載することもある。)を保持する。この処理シーケンスでは、インジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値は1である。MCU31は、ステップS3で受信したインジケータ点灯描画信号のペイロードのデータ(インジケータ点灯描画データなど)を抽出する(ステップS4)。MCU31は、SoC32をSPI通信の相手とするためのSPIポーリングを行う(ステップS5)。
【0033】
MCU31とSoC32との間でSPI通信による信号の送受信(SPI送受信処理)を行う(ステップS6)。ステップS6では、MCU31は、ターンランプインジケータ33aのインジケータ点灯状態に関わるデータ(インジケータ点灯描画データ)と、ステップS3で保持したインジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値を示すデータ(以下、「インジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値データ」と記載することもある。)とを含む信号(以下、「インジケータ点灯描画・MCUカウント値信号」と記載することもある。)を、SoC32へ送信する。SoC32の通信処理を行う機能部は、MCU31からインジケータ点灯描画・MCUカウント値信号を受信する。インジケータ点灯描画・MCUカウント値信号で送られてきたインジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値(MCU31がステップS3でインジケータ点灯描画信号の受信を開始したときのSPI msg count(MCU)の値)は保持されて点灯タイミング予測処理(ステップS25)で用いられる。なお、SPI送受信処理のリトライの最大回数は3である。
【0034】
SoC32の通信処理を行う機能部は、受信データ(受信したインジケータ点灯描画・MCUカウント値信号で送られてきたデータ)を、SoC32の制御処理を行う機能部に通知する受信データ通知処理を行う(ステップS7)。また、ステップS7では、受信データ通知処理を開始した時のSPI msg count(SoC)の値(以下、「インジケータ点灯関連受信データ通知処理開始時SoCカウント値」と記載することもある。)を保持する。この処理シーケンスでは、インジケータ点灯関連受信データ通知処理開始時SoCカウント値は14である。SoC32の制御処理を行う機能部は、通知された受信データを共有メモリに格納する(ステップS8)。
【0035】
SoC32の制御処理を行う機能部は、ターンランプインジケータ33aをインジケータ点灯状態でディスプレイ33に描画するための描画データを生成するなどの描画処理を行う(ステップS9)。また、ステップS9では、描画処理が完了したときのSPI msg count(SoC)の値(以下、「インジケータ点灯描画処理完了時SoCカウント値」と記載することもある。)を保持する。この処理シーケンスでは、インジケータ点灯描画処理完了時SoCカウント値は21である。
【0036】
SoC32は、ディスプレイ33をLVDS通信の相手とするためのLVDSポーリングを行う(ステップS10)。SoC32とディスプレイ33との間でLDVS通信による信号の送受信(LVDS送受信処理)を行う(ステップS11)。ステップS11では、SoC32は描画データなどを含む映像信号をディスプレイ33へ送信し、ディスプレイ33はSoC32から映像信号を受信する。
【0037】
ディスプレイ33は、映像信号に含まれる描画データに基づいて、垂直同期(V-Sync)により、インジケータ点灯状態でターンランプインジケータ33aをディスプレイ33の表示画面に表示する(ステップS12)。
【0038】
この処理シーケンスでは、ターンランプ20の点消灯の1周期分の時間長TP×2(1回のターンランプ20の点灯時間TPと1回のターンランプ20の消灯時間TPとの合計時間)を680msとし、ターンランプ20の1回の点灯時間TPを340msとし、ターンランプ20の1回の消灯時間TPを340msとする。
【0039】
ボデーECU31は、ターンランプ20を点灯させてからターンランプ20の点灯時間TP=340msが経過した場合、図3に示すように、LED21に通電するのを止めてLED21を発光させないことでターンランプ20を消灯させる(ステップS13)。
【0040】
ボデーECU10は、ターンランプ20を消灯させるのにあわせて、ターンランプインジケータ33aのインジケータ消灯状態に関わるデータ(インジケータ消灯描画データ)をペイロードに含めたインジケータ消灯描画信号をCAN通信によりメータ30のMCU31へ送信する(ステップS14)。
【0041】
MCU31は、CAN通信により、ボデーECU10からインジケータ消灯描画信号を受信する(ステップS15)。ステップS15では、インジケータ消灯描画信号の受信を開始したときのSPI msg count(MCU)の値(以下、「インジケータ消灯描画信号受信開始時MCUカウント値」と記載することもある。)を保持する。この処理シーケンスでは、インジケータ消灯描画信号受信開始時MCUカウント値は35である。MCU31は、ステップS15で受信したインジケータ消灯描画信号のペイロードのデータ(インジケータ消灯描画データなど)を抽出する(ステップS16)。MCU31は、SoC32をSPI通信の相手とするためのSPIポーリングを行う(ステップS17)。
【0042】
MCU31とSoC32との間でSPI通信による信号の送受信(SPI送受信処理)を行う(ステップS18)。ステップS18では、MCU31は、ターンランプインジケータ33aのインジケータ消灯状態に関わるデータ(インジケータ消灯描画データ)と、ステップS15で保持したインジケータ消灯描画信号受信開始時MCUカウント値を示すデータ(以下、「インジケータ消灯描画信号受信開始時MCUカウント値データ」と記載することもある。)とを含む信号(以下、「インジケータ消灯描画・MCUカウント値信号」と記載することもある。)を、SoC32へ送信する。SoC32の通信処理を行う機能部は、MCU31からインジケータ消灯描画・MCUカウント値信号を受信する。インジケータ消灯描画・MCUカウント値信号で送られてきたインジケータ消灯描画信号受信開始時MCUカウント値(MCU31がステップS15でインジケータ消灯描画信号の受信を開始したときのSPI msg count(MCU)の値)は保持されて消灯タイミング予測処理(ステップS38)で用いられる。なお、SPI送受信処理のリトライの最大回数は3である。
【0043】
SoC32の通信処理を行う機能部は、受信データ(受信したインジケータ消灯描画・MCUカウント値信号で送られてきたデータ)を、SoC32の制御処理を行う機能部に通知する受信データ通知処理を行う(ステップS19)。また、ステップS19では、受信データ通知処理を開始した時のSPI msg count(SoC)の値(以下、「インジケータ消灯関連受信データ通知処理開始時SoCカウント値」と記載することもある。)を保持する。この処理シーケンスでは、インジケータ消灯関連受信データ通知処理開始時SoCカウント値は48である。SoC32の制御処理を行う機能部は、通知された受信データを共有メモリに格納する(ステップS20)。
【0044】
SoC32の制御処理を行う機能部は、ターンランプインジケータ33aをインジケータ消灯状態でディスプレイ33に描画するための描画データを生成するなどの描画処理を行う(ステップS21)。また、ステップS21では、描画処理が完了したときのSPI msg count(SoC)の値(以下、「インジケータ消灯描画処理完了時SoCカウント値」と記載することもある。)を保持する。この処理シーケンスでは、インジケータ消灯描画処理完了時SoCカウント値は55である。
【0045】
SoC32は、ディスプレイ33をLVDS通信の相手とするためのLVDSポーリングを行う(ステップS22)。SoC32とディスプレイ33との間でLDVS通信による信号の送受信(LVDS送受信処理)を行う(ステップS23)。ステップS23では、SoC32は描画データなどを含む映像信号をディスプレイ33へ送信し、ディスプレイ33はSoC32から映像信号を受信する。
【0046】
ディスプレイ33は、映像信号に含まれる描画データに基づいて、垂直同期(V-Sync)により、インジケータ消灯状態でターンランプインジケータ33aをディスプレイ33の表示画面に表示する(ステップS24)。
【0047】
SoC32は、次回ターンランプインジケータ33aをインジケータ点灯状態にするタイミング(以下、「次回ターンランプインジケータ点灯タイミング」と記載することもある。)を算出する点灯タイミング予測処理を行う(ステップS25)。ステップS25の点灯タイミング予測処理は次のようにして行う。
【0048】
ターンランプ20の点灯時間(ターンランプ20がステップS1で点灯されてからステップS13で消灯するまでの時間)TPを算出する。この処理シーケンスでは、ステップS6でMCU31から送られてきたインジケータ点灯信号受信開始時MCUカウント値=1、ステップS18でMCU31から送られてきたインジケータ消灯信号受信開始時MCUカウント値=35、同期クロックの1周期分の時間長=10msを用いて、ターンランプ20の点灯時間TP=(35-1)×10=340msを算出する。本実施形態では、ターンランプ20の点灯時間TP=ターンランプ20の消灯時間TPとしているので、ターンランプ20の点灯時間TP=340msからターンランプ20の消灯時間TP=340msを算出する。
【0049】
なお、ターンランプ20の点消灯の周期が複数用意されている場合に点灯時間TPや消灯時間TPを算出する処理を行う。一方で、ターンランプ20の点消灯の周期が1つだけ用意されている場合は、点灯時間TPや消灯時間TPを算出する算出処理を行わずに予めSoC32に点灯時間TPや消灯時間TPを設定して設定した点灯時間TPや消灯時間を用いるようにしてもよいし、点灯時間TPや消灯時間TPを算出するようにしてもよい。
【0050】
ステップS9でSoC32による描画処理が完了した完了タイミングから、ステップS3でMCU31によるインジケータ点灯描画信号の受信を開始した受信開始タイミングを引いた両者の時間差TAを算出する。ステップS6でMCU31から送られてきたインジケータ点灯信号受信開始時MCUカウント値=1、ステップS9で保持したインジケータ点灯描画処理完了時SoCカウント値=21、同期クロックの1周期分の時間長=10msを用いて、時間差TA=(21-1+1)×10=210msを算出する。
【0051】
ステップS9でSoC32による描画処理が完了した完了タイミングよりも、ステップS12の垂直同期(V-Sync)表示処理が完了した完了タイミング(ターンランプインジケータ33aがインジケータ点灯状態でディスプレイ33に表示される表示タイミング)が遅れる時間差TBを算出する。この処理シーケンスでは、時間差TB=22ms(定数)であるとして時間差TB=22msを算出する。
【0052】
ターンランプインジケータ33aがインジケータ点灯状態でディスプレイ33に表示される表示タイミングから、ステップS3でMCU31によるインジケータ点灯描画信号の受信を開始した受信開始タイミングを引いた、両者の時間差TA+TBを算出する。この処理シーケンスでは、時間差TA=210ms、時間差TB=22msを用いて、時間差TA+TB=210+22=232msを算出する。
【0053】
ターンランプインジケータ33aが今回インジケータ点灯状態になってから次にインジケータ点灯状態になるまでの時間がターンランプ20の点消灯の1周期分の時間長TP×2よりも時間差TA+TB分短くなるように、次回のターンランプインジケータ33aをインジケータ点灯状態にするタイミングを予測し、次回インジケータ点灯状態に関わる所定の処理(当該所定の処理は受信データ通知処理、共有メモリ格納処理、描画処理を含む。)の開始タイミングを算出して当該所定の処理を開始する。この処理シーケンスでは、ターンランプインジケータ33aが今回インジケータ点灯状態になってから次にインジケータ点灯状態になるまでの時間TABを、ターンランプ20の点消灯の1周期分の時間長TP×2=680msと、時間差TA+TB=232msを用いて、時間TAB=ターンランプ20の点消灯の1周期分の時間長TP×2-時間差(TA+TB)=680-232=448msを算出する。この処理シーケンスでは、ターンランプインジケータ33aがインジケータ消灯状態で表示される時間(以下、「インジケータ消灯時間」と記載する場合もある。)TCは、インジケータ消灯時間TC=消灯時間TP-時間差(TA+TB)=340-232=108msになり、ターンランプ20の消灯時間TPより232ms短くなっている。なお、時間差TA+TBの値(正、0、負)によって、ターンランプインジケータ33aのインジケータ消灯時間TCがターンランプ20の消灯時間TPよりも短くなったり、同じになったり、長くなったりする。
【0054】
この処理シーケンスでは、SoC32は、次回ターンランプインジケータ33aをインジケータ点灯状態とするための処理を受信データ通知処理(ステップS26)から開始するため、受信データ通知処理(ステップS26)の開始を、受信データ通知処理(ステップS7)の開始よりも時間TAB=448ms分遅れるようにする。この処理シーケンスでは、ステップS7で保持したインジケータ点灯関連受信データ通知処理開始時SoCカウント値=14、同期クロックの1周期分の時間長=10ms、時間TAB=448msを用いて、ステップS7の受信データ通知処理の開始後の44同期クロック目または45同期クロック目のSPI msg count(SoC)=58または59で受信データ通知処理(ステップS26)を開始することを決定する。この処理シーケンスでは45同期クロック目のSPI msg count(SoC)=59に受信データ通知処理(ステップS26)を開始することを決定する。
【0055】
図4に示すように、SoC32の通信処理を行う機能部は、SPI msg count(SoC)の値=59のタイミングで、次のターンランプ20の点灯にあわせて受信することになるインジケータ点灯描画・MCUカウント値信号を受信していないが、インジケータ点灯描画・MCUカウント値信号で受信することになるインジケータ点灯描画データなどを、受信データとして、SoC32の制御処理を行う機能部に通知する受信データ通知処理を行う(ステップS26)。また、ステップS26では、受信データ通知処理を開始した時のSPI msg count(SoC)の値(インジケータ点灯関連受信データ通知処理開始時SoCカウント値)を保持する。この処理シーケンスでは、インジケータ点灯関連受信データ通知処理開始時SoCカウント値は59である。SoC32の制御処理を行う機能部は、通知された受信データを共有メモリに格納する(ステップS27)。
【0056】
SoC32の制御処理を行う機能部は、ターンランプインジケータ33aをインジケータ点灯状態でディスプレイ33に描画するための画像データを生成するなどの描画処理を行う(ステップS28)。また、ステップS28では、描画処理が完了したときのSPI msg count(SoC)の値(インジケータ点灯描画処理完了時SoCカウント値)を保持する。この処理シーケンスでは、インジケータ点灯描画処理完了時SoCカウント値は66である。
【0057】
SoC32は、ディスプレイ33をLDVS通信の相手とするためのLVDSポーリングを行う(ステップS29)。SoC32とディスプレイ33との間でLDVS通信による信号の送受信(LVDS送受信処理)を行う(ステップS30)。ステップS30では、SoC32は描画データなどを含む映像信号をディスプレイ33へ送信し、ディスプレイ33はSoC32から映像信号を受信する。
【0058】
ディスプレイ33は、映像信号に含まれる描画データに基づいて、垂直同期(V-Sync)により、インジケータ点灯状態でターンランプインジケータ33aをディスプレイ33の表示画面に表示する(ステップS31)。
【0059】
ボデーECU31は、ターンランプ20を消灯させてからターンランプ20の消灯時間TP=340msが経過した場合、LED21に通電してLED21を発光させることでターンランプ20を点灯させる(ステップS32)。
【0060】
ボデーECU31は、ターンランプ20を点灯させるのにあわせて、ターンランプインジケータ33aのインジケータ点灯状態に関わるデータ(インジケータ点灯描画データ)をペイロードに含めたインジケータ点灯描画信号をCAN40通信によりメータ30のMCU31へ送信する(ステップS33)。
【0061】
MCU31は、CAN通信により、ボデーECU10からインジケータ点灯描画信号を受信する(ステップS34)。ステップS34では、インジケータ点灯描画信号の受信を開始したときのSPI msg count(MCU)の値(インジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値)を保持する。この処理シーケンスでは、インジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値は69である。MCU31は、ステップS34で受信したインジケータ点灯描画信号のペイロードのデータ(インジケータ点灯描画データなど)を抽出する(ステップS35)。MCU31は、SoC32をSPI通信の相手とするためのSPIポーリングを行う(ステップS36)。
【0062】
MCU31とSoC32との間でSPI通信による信号の送受信(SPI送受信処理)を行う(ステップS37)。ステップS37では、MCU31は、ターンランプインジケータ33aのインジケータ点灯状態に関わるデータ(インジケータ点灯描画データ)と、ステップS34で保持したインジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値を示すデータ(インジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値データ)とを含む信号(インジケータ点灯描画・MCUカウント値信号)を、SoC32へ送信する。SoC32の通信処理を行う機能部は、MCU31からインジケータ点灯描画・MCUカウント値信号を受信する。インジケータ点灯描画・MCUカウント値信号で送られてきたインジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値(MCU31がステップS34でインジケータ点灯描画信号の受信を開始したときのSPI msg count(MCU)の値)は保持されてステップS32のターンランプ20の点灯の次のターンランプ20の点灯にあわせてターンランプインジケータ33aをインジケータ点灯状態にする点灯タイミング予測処理で用いられる。なお、SPI送信受信処理のリトライの最大回数は3回である。
【0063】
なお、ステップS37のSPI送受信処理に対応する受信データ通知処理から垂直同期(V-Sync)表示処理に該当する処理は、ステップS26の受信データ通知処理からステップS31の垂直同期(V-Sync)表示処理である。
【0064】
SoC32は、次回ターンランプインジケータ33aをインジケータ消灯状態にするタイミング(以下、「次回ターンランプインジケータ消灯タイミング」と記載することもある。)を算出する消灯タイミング予測処理を行う(ステップS38)。ステップS38の消灯タイミング予測処理は次のようにして行う。
【0065】
ターンランプ20の消灯時間(ターンランプ20がステップS13で消灯されてからステップS32で点灯するまでの時間)TPを算出する。この処理シーケンスでは、ステップS18でMCU31から送られてきたインジケータ消灯信号受信開始時MCUカウント値=35、ステップS37でMCU31から送られてきたインジケータ点灯信号受信開始時MCUカウント値=69、同期クロックの1周期分の時間長=10msを用いて、ターンランプ20の消灯時間TP=(69-35)×10=340msを算出する。本実施形態では、ターンランプ20の消灯時間TP=ターンランプ20の点灯時間TPとしているので、ターンランプ20の消灯時間TP=340msからターンランプ20の点灯時間TP=340msを算出する。
【0066】
ステップS21でSoC32による描画処理が完了した完了タイミングから、ステップS15でMCU31によるインジケータ消灯描画信号の受信を開始した受信開始タイミングを引いた両者の時間差Taを算出する。ステップS18でMCU31から送られてきたインジケータ消灯信号受信開始時MCUカウント値=35、ステップS21で保持したインジケータ消灯描画処理完了時SoCカウント値=55、同期クロックの1周期分の時間長=10msを用いて、時間差Ta=(55-35+1)×10=210msを算出する。
【0067】
ステップS21でSoC32による描画処理が完了した完了タイミングよりも、ステップS24の垂直同期(V-Sync)表示処理が完了した完了タイミング(ターンランプインジケータ33aがインジケータ消灯状態でディスプレイ33に表示される表示タイミング)が遅れる時間差Tbを算出する。この処理シーケンスでは、時間差Tb=22ms(定数)であるとして時間差Tb=22msを算出する。
【0068】
ターンランプインジケータ33aがインジケータ消灯状態で表示される表示タイミングから、ステップS15でMCU31によるインジケータ消灯描画信号の受信を開始した受信開始タイミングを引いた、両者の時間差Ta+Tbを算出する。この処理シーケンスでは、時間差Ta=210ms、時間差Tb=22msを用いて、時間差Ta+Tb=210+22=232msを算出する。
【0069】
ターンランプインジケータ33aが今回インジケータ消灯状態になってから次にインジケータ消灯状態になるまでの時間がターンランプ20の点消灯の1周期分の時間長TP×2よりも時間差Ta+Tb分短くなるように、次回のターンランプインジケータ33aをインジケータ消灯状態にするタイミングを予測し、次回インジケータ消灯状態に関わる所定の処理(当該所定の処理は受信データ通知処理、共有メモリ格納処理、描画処理を含む。)の開始タイミングを算出して当該所定の処理を開始する。この処理シーケンスでは、ターンランプインジケータ33aが今回インジケータ消灯状態になってから次にインジケータ消灯状態になるまでの時間Tabを、ターンランプ20の点消灯の1周期分の時間長TP×2=680msと、時間差Ta+Tb=232msを用いて、時間Tab=ターンランプ20の点消灯の1周期分の時間長TP×2-時間差(Ta+Tb)=680-232=448msを算出する。
【0070】
この処理シーケンスでは、SoC32は、次回ターンランプインジケータ33aをインジケータ消灯状態とするための処理を受信データ通知処理(ここでは、「次回受信データ通知処理」と記載する。)から開始するため、次回受信データ通知処理の開始を、受信データ通知処理(ステップS19)の開始よりも時間Tab=448ms分遅れるようにする。この処理シーケンスでは、ステップS19で保持したインジケータ消灯関連受信データ通知処理開始時SoCカウント値=48、同期クロックの1周期分の時間長=10ms、時間Tab=448msを用いて、ステップS19の受信データ通知処理の開始後の44同期クロック目または45同期クロック目のSPI msg count(SoC)=92または93で次回受信データ通知処理を開始することを決定する。この処理シーケンスでは45同期クロック目のSPI msg count(SoC)=93に次回受信データ通知処理を開始することを決定する。
【0071】
なお、以降のターンランプインジケータ33aをインジケータ点灯状態とするタイミング制御のために、ステップS25の点灯タイミング予測処理と同様の点灯タイミング予測処理が行われる。例えば、ステップS32のターンランプ20の点灯の次のターンランプ20の点灯にあわせてターンランプインジケータ33aをインジケータ点灯状態にする点灯タイミング予測処理では、ステップS37においてSoC32が受け取ったインジケータ点灯描画信号受信開始時MCUカウント値=69、ステップS28で描画処理が完了したときに保持したインジケータ点灯描画処理完了時SoCカウント値=66などを用いて、点灯タイミング予測処理が行われる。また、以降のターンランプインジケータ33aをインジケータ消灯状態とするタイミング制御のために、ステップS38の消灯タイミング予測処理と同様の消灯タイミング予測処理が行われる。
【0072】
上記した実施形態によれば、ターンランプ20の点消灯タイミングに対応するターンランプインジケータ33aの点滅タイミングを、MCU31がインジケータ点灯信号またはインジケータ消灯信号の受信を開始してからSoC32が描画処理を完了するまでの時間差TA,Taと、SoC32が描画処理を完了してからインジケータ点灯状態またはインジケータ消灯状態でディスプレイに表示される(垂直同期(V-Sync)表示処理が完了する)までの時間差TB,Tbとを用いて制御することで、ターンランプ20の点消灯タイミングとターンランプインジケータ33aの点滅タイミングとの時間差を小さく抑えることができる。この結果、ターンランプ20の点消灯タイミングとターンランプインジケータ33aの点滅タイミングとの時間ずれによるユーザの違和感を低減させることができる。
【0073】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【0074】
例えば、上記実施形態では、時間差TAをMCU31がインジケータ点灯信号の受信を開始したときのSPI msg count(MCU)の値と、SoC32が描画処理を完了したときのSPI msg count(SoC)の値とに基づいて算出したが、これに限定されるものではなく、例えば、時間差TAを予め定めた定数としてもよい。なお、時間差TBも予め定めた定数であることから、時間差TAと時間差TBとのそれぞれの定数を予め定めておくようにしてもよいし、時間差TAと時間差TBとを合わせた時間差TA+TBで定数を予め定めるようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、ターンランプインジケータ33aのインジケータ状態を、ターンランプ20の点灯時には表示(点灯)とし、ターンランプ20の消灯時には非表示(消灯)としているが、これに限定されるものではなく、例えば、ターンランプ20の点灯時には明るく表示(明るく点灯)とし、ターンランプ20の点灯時には暗く表示(暗く点灯)とするなどであってもよい。
【0076】
また、上記の実施形態で説明した内容や上記の変形例で説明した内容を適宜組み合わせるようにしてもよい。
【0077】
本発明は、ターンランプのターンランプ状態の変化に対応させて、ターンランプインジケータを当該ターンランプ状態に対応するインジケータ状態に変化させる車両制御装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1:車両制御装置
10:ボデーECU
15:ターンランプスイッチ
20:ターンランプ
21:LED
30:メータ
31:MCU
32:SoC
33:ディスプレイ
33a:ターンランプインジケータ
40:CAN
図1
図2
図3
図4