(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154834
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信制御システム、通信制御方法および通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/14 20180101AFI20241024BHJP
H04W 4/06 20090101ALI20241024BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20241024BHJP
H04W 40/24 20090101ALI20241024BHJP
【FI】
H04W76/14
H04W4/06
H04W88/04
H04W40/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068980
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】中西 智明
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA12
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】広域無線通信網を利用する同報通信において、同時通信可能な端末数を増加させることを可能にする。
【解決手段】
通信制御装置が、同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信し、前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定し、決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する受信部と、
前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定する決定部と、
決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する指示部と、
を備える通信制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記複数の位置情報に基づいて、移動速度が所定の速度より遅く、かつ、他の端末との距離が所定の距離より短い端末の中から、前記中継端末と前記直接通信端末とを決定する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記決定部は、固定的に設置されている固定端末を、前記中継端末に決定する、
請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記同報通信の通信データを中継する中継部
をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記中継部は、前記同報通信の前記通信データの中継を、ユニキャスト通信で行う、
請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項6】
同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する受信手段と、
前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定する決定手段と、
決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する指示手段と、
を備える通信制御システム。
【請求項7】
同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信し、
前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定し、
決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する、
通信制御方法。
【請求項8】
前記複数の位置情報に基づいて、移動速度が所定の速度より遅く、かつ、他の端末との距離が所定の距離より短い端末の中から、前記中継端末と前記直接通信端末とを決定する、
請求項7に記載の通信制御方法。
【請求項9】
固定的に設置されている固定端末を、前記中継端末に決定する、
請求項8に記載の通信制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する受信機能と、
前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定する決定機能と、
決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する指示機能と、
を実現させる通信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
グループに属する端末が広域無線通信網を利用してグループ内で同報通信を行う場合、一般的に、送信端末は、グループ内の受信端末の各々との間で、ユニキャスト通信を行う。なお、同報通信とは、一つの送信端末からグループ内の複数の受信端末へ同じ通信データを送信する通信形態である。また、この場合、端末は、広域無線通信網の基地局に接続し、基地局を介して通信を行う。
【0003】
また、同報通信には、ユニキャスト通信による方法に加えて、ブロードキャスト通信またはマルチキャスト通信による方法もある。たとえば、広域無線通信網では、eMBMS(evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)サーバを利用することで、ブロードキャスト通信やマルチキャスト通信を行うことができる。
【0004】
なお、本発明の関連技術としては、特許文献1から特許文献2に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2015/005158号
【特許文献2】特開2014-103586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、一つの基地局に多くの端末が接続されている場合、広域無線通信網のリソース不足が発生する可能性がある。リソース不足が発生すると、通信品質の劣化や回線切断などが発生して、通信できない端末が発生する可能性がある。また、同報通信が音声通信の場合には、音声パケットを仲介する音声サーバの負荷が高くなり、遅延が発生する可能性がある。このように、広域無線通信網を利用した同報通信では、同時通信可能な端末数に限りがある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、広域無線通信網を利用する同報通信において、同時通信可能な端末数を増加させることを可能にする通信制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様において、通信制御装置は、同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する受信部と、前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定する決定部と、決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する指示部と、を備える。
【0009】
また、本発明の他の態様において、通信制御システムは、同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する受信手段と、前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定する決定手段と、決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する指示手段と、を備える。
【0010】
また、本発明の他の態様において、通信制御方法は、同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信し、前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定し、決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する。
【0011】
また、本発明の他の態様において、通信制御プログラムは、コンピュータに、同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する受信機能と、前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定する決定機能と、決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する指示機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、広域無線通信網を利用する同報通信において、同時通信可能な端末数を増加させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第一の実施形態の通信制御装置の構成例を示す図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態の通信制御装置の動作フローの例を示す図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態の通信制御装置を含む通信制御システムの構成例を示す図である。
【
図4】本発明の第二の実施形態の通信制御装置の構成例を示す図である。
【
図5】本発明の第二の実施形態における端末位置情報テーブルの例を示す図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態における中継端末、直接通信端末および個別端末の例を示す図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態におけるグループ情報テーブルの例を示す図である。
【
図8】本発明の第二の実施形態における同報通信データの流れの例を示す図である。
【
図9】本発明の第二の実施形態における同報通信データの流れの例を示す図である。
【
図10】本発明の第二の実施形態における同報通信データの流れの例を示す図である。
【
図11】本発明の第二の実施形態の通信制御装置の動作フローの例を示す図である。
【
図12】本発明の第二の実施形態の決定装置の動作フローの例を示す図である。
【
図13】本発明の各実施形態のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施形態について説明する。第一の実施形態における通信制御装置10の具体的な一例が、後述する第二の実施形態における通信制御装置20である。
【0015】
図1に、本実施形態の通信制御装置10の構成例を示す。通信制御装置10は、受信部11、決定部12および指示部13を含む。受信部11は、決定部12に接続する。決定部12は、指示部13に接続する。
【0016】
受信部11は、同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する。
【0017】
決定部12は、複数の位置情報に基づいて、端末動作種別を、複数の端末の各々について決定する。端末動作種別は、同報通信における端末の動作の種別である。このとき、決定部12は、中継端末、直接通信端末および個別端末の中から、端末動作種別を決定する。中継端末は、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを同報通信に使用する。直接通信端末は、中継端末との間の端末間直接通信を同報通信に使用するとともに、広域無線通信網を同報通信に使用しない。個別端末は、広域無線通信網を使用した通信を同報通信に使用する。
【0018】
指示部13は、決定された端末動作種別に応じた通信を使用して同報通信を行うことを、複数の端末の各々に指示する。
【0019】
次に、
図2に、本実施形態の通信制御装置10の動作フローの例を示す。
【0020】
受信部11は、同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する(ステップS101)。
【0021】
決定部12は、複数の位置情報に基づいて、端末動作種別を、複数の端末の各々について決定する(ステップS102)。このとき、決定部12は、中継端末、直接通信端末および個別端末の中から、端末動作種別を決定する。
【0022】
指示部13は、決定された端末動作種別に応じた通信を使用して同報通信を行うことを、複数の端末の各々に指示する(ステップS103)。
【0023】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、通信制御装置10は、受信部11、決定部12および指示部13を含む。受信部11は、同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する。決定部12は、複数の位置情報に基づいて、端末動作種別を、複数の端末の各々について決定する。端末動作種別は、同報通信における端末の動作の種別である。このとき、決定部12は、中継端末、直接通信端末および個別端末の中から、端末動作種別を決定する。中継端末は、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを同報通信に使用する。直接通信端末は、中継端末との間の端末間直接通信を同報通信に使用するとともに、広域無線通信網を同報通信に使用しない。個別端末は、広域無線通信網を使用した通信を同報通信に使用する。指示部13は、決定された端末動作種別に応じた通信を使用して同報通信を行うことを、複数の端末の各々に指示する。
【0024】
これにより、通信制御装置10は、同報通信を行う複数の端末の中から、直接通信端末を決定する。直接通信端末は、中継端末との間の端末間直接通信を同報通信に使用し、広域無線通信網を同報通信に使用しない。これにより、広域無線通信網に接続する端末数を、同報通信を行う端末の数以下にすることができる。その結果、同時通信可能な端末数を、同報通信を行う端末のすべてが広域無線通信網を使用する場合に同時通信可能な端末数以上にすることができる。そのため、広域無線通信網を利用する同報通信において、同時通信可能な端末数を増加させることが可能になる。
【0025】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。第一の実施形態における通信制御装置10の具体的な一例が、第二の実施形態における通信制御装置20である。
【0026】
図3に、本実施形態の通信制御装置20を含む通信システム70の構成例を示す。通信システム70は、通信制御装置20と決定装置30と記憶手段40とを含む。決定装置30は通信制御装置20に接続する。また、記憶手段40は通信制御装置20に接続する。なお、記憶手段40は通信制御装置20の内部に含まれていてもよい。また、決定装置30は通信制御装置20の内部に含まれていてもよい。また、通信制御装置20は通信回線80を介して基地局50に接続する。
【0027】
また、
図3には、基地局50が一つ記載されているが、基地局の数は一または二以上の複数であってもよい。また、基地局の数が二以上の複数である場合、通信制御装置20は、一つの基地局に対して一つずつ存在してもよい。
【0028】
基地局50は、端末60に対して広域無線通信網を提供する。広域無線通信網は、たとえば、LTE(Long Term Evolution)や5G(generation)などによる通信網である。
【0029】
端末60-i(iは、1からNの整数、Nは2以上の整数)は、基地局50によって提供される広域無線通信網を利用可能な端末である。端末60-1~60-Nをまとめて、端末60と呼ぶことがある。端末60は、たとえば、業務用無線通信端末や携帯電話やスマートフォンなどである。また、端末60は、固定的に設置されていてもよい。
【0030】
端末60は、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを行うことができる。端末間直接通信とは、端末60の間で直接行う通信である。端末60は、端末間直接通信では、基地局50を介さずに通信を行う。端末60は、たとえば、無線LAN(Local Area Network)やBluetooth(登録商標)などによって、端末間直接通信を行う。
【0031】
また、端末60は、たとえば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を使用して、端末60の位置情報を取得することができる。
【0032】
また、本実施形態では、端末60は、グループ内で同報通信を行う。同報通信を行うグループを、以降、同報グループと呼ぶことがある。本実施形態では、端末60-1~端末60-Nは同じ同報グループに属しているとする。なお、同報通信は、単信であっても複信であってもよい。
【0033】
通信制御装置20は、端末60が同報通信に使用する無線通信の種別を制御する。同報通信に使用する無線通信の種別を、以降、通信種別と呼ぶことがある。より具体的には、通信制御装置20は、同報通信を行う端末60-1~端末60-Nの各々に対して、通信種別を指示することによって、無線種別を制御する。決定装置30は、端末60-1~端末60-Nについて、通信種別を決定する。
【0034】
また、本実施形態では、通信制御装置20は、同報通信の通信データを中継する機能を持つ。
【0035】
記憶手段40は、グループ情報テーブルと、端末位置情報テーブルとを記憶する。グループ情報テーブルと端末位置情報テーブルとについては後述する。
【0036】
次に、
図4に、本実施形態の通信制御装置20の構成例を示す。通信制御装置20は、受信部21、決定部22、指示部23および中継部24を含む。決定部22は、受信部21に接続する。指示部23は、決定部22に接続する。
【0037】
受信部21は、端末の位置情報を、端末60-1~端末60-Nの各々から受信する。また、受信部21は、受信した位置情報に基づいて、記憶手段40に記憶されている端末位置情報テーブルを更新する。
【0038】
たとえば、IP(Internet Protocol)通信を使用した音声通信の呼制御では、SIP(Session Initiation Protocol)が使用されることが多い。SIPでは、在圏処理後、待ち受け状態の場合、在圏状態を維持していることがSIP Updateパケットを用いて確認される。たとえば、端末60は、SIP Updateパケットに位置情報を格納し、位置情報が格納されたパケットを送信することで、通信制御装置20に位置情報を送信することができる。また、端末60は、たとえば、GNSSを使用して、端末60の位置情報を取得することができる。
【0039】
また、端末60は、通信中(たとえば音声通信中)の場合、待ち受け状態より頻繁に位置情報を送信する。端末60は、たとえば、通信中の場合の在圏確認の仕組みを用いて、位置情報を送信する。
【0040】
端末位置情報テーブルは、端末60-1~端末60-Nの各々について、位置情報に関する情報と、移動状態に関する情報とを含む。また、端末位置情報テーブルは、端末60-1~端末60-Nの各々について、固定的に設置されている固定端末か否かの情報を含んでいてもよい。
【0041】
図5に、端末位置情報テーブルの例を示す。
図5に示す端末位置情報テーブルは、端末60の各々について、位置情報に関する情報として、受信部21が前回受信した位置情報と、受信部21が今回受信した位置情報とを含む。端末位置情報テーブルは、前回と今回の2回分より多くの位置情報の履歴を含んでいてもよい。また、端末位置情報テーブルは、位置情報を受信した時刻の情報を含んでいてもよい。
【0042】
また、
図5に示す端末位置情報テーブルは、移動状態に関する情報として、移動距離の情報を含む。移動距離は、たとえば、受信部21が前回受信した位置情報が示す位置と、受信部21が今回受信した位置情報が示す位置との間の距離である。受信部21は、移動距離を算出して、算出された移動距離の情報を端末位置情報テーブルに格納する。移動状態に関する情報は、移動速度の情報であってもよい。また、位置情報として過去3回以上の位置情報の履歴が端末位置情報テーブルに記憶されている場合は、受信部21は、3回以上の位置情報を用いて、移動距離や移動速度を算出してもよい。
【0043】
また、
図5に示す端末位置情報テーブルは、端末60の各々について、端末が固定端末であるか否かの情報を含む。端末が固定端末であるか否かの情報は、たとえば、端末60の各々から送信される。たとえば、受信部21は、端末が固定端末であるか否かの情報を、端末60の各々から受信し、端末位置情報テーブルに格納する。
【0044】
決定部22は、位置情報に基づいて、端末動作種別を、端末60の各々について決定する。端末動作種別は、同報通信における端末の動作の種別である。このとき、決定部22は、中継端末、直接通信端末および個別端末の中から、端末動作種別を決定する。本実施形態の場合、この決定は、決定装置30で行われるが、決定部22で行われてもよい。
【0045】
中継端末は、広域無線通信網を使用した通信(広域無線通信)と端末間直接通信とを同報通信に使用する。直接通信端末は、中継端末との間の端末間直接通信を同報通信に使用し、広域無線通信網を使用した通信を同報通信に使用しない。個別端末は、広域無線通信網を使用した通信を同報通信に使用する。個別端末は、端末間直接通信を同報通信に使用しない。
【0046】
つまり、中継端末は、基地局50に直接接続し、また、直接通信端末との間で端末間直接通信を行う。直接通信端末は、中継端末を介して同報通信を行う。個別端末は、基地局50に直接接続し、端末間直接通信は行わない。
【0047】
図6に、中継端末、直接通信端末および個別端末の例を示す。
図6の場合、端末60-Aが中継端末、端末60-Bが直接通信端末、端末60-Cが個別端末である。
【0048】
決定部22は、グループ情報テーブルから、通信データの送信元の端末(以降、送信端末と呼ぶことがある)と同じ同報グループに属する端末60の情報を取得する。決定部22は、たとえば、送信端末から着信があり、通信呼種が同報通信である場合に、送信端末と同じ同報グループに属する端末60の情報を取得する。
【0049】
グループ情報テーブルは、記憶手段40に記憶されている。グループ情報テーブルは、端末60の各々について、端末60が属する同報グループの情報を含む。
図7に、グループ情報テーブルの例を示す。
図7の例では、グループ情報テーブルは、同報グループの識別情報であるグループID(identification)と端末IDとの対応関係を示す。
【0050】
なお、端末IDは、端末個別に付与された識別情報である。MSISDN(Mobile Subscriber Integrated Services Digital Network Number)は、一つの端末に対して複数設定されている場合がある。そのため、本実施形態では、端末の識別情報として、端末個別に付与されている端末IDを使用する。たとえば、記憶手段40は、さらに、端末IDとMSISDNとの対応関係を示す端末IDテーブルを記憶していてもよい。
【0051】
そして、決定部22は、送信端末と同じグループに属する端末60の各々について、端末動作種別を決定する。本実施形態の場合、決定部22は、送信端末の端末IDと、送信端末と同じ同報グループに属する端末60の端末IDとを決定装置30に送信する。そして、決定装置30は、受信した端末IDが示す端末60の各々について、端末動作種別を決定する。また、決定部22は、決定装置30から、決定の結果を受信する。なお、決定装置30で行われる処理は、決定部22で行われてもよい。また、端末動作種別の決定の方法については後述する。
【0052】
また、決定装置30は、端末間直接通信を行う端末(中継端末と直接通信端末)については、端末間直接通信のための接続情報を決定する。端末間直接通信のための接続情報は、たとえば、SSID(Service Set Identifier)やMAC(Media Access Control)アドレスである。決定装置30は、たとえば、SSIDを乱数で決定してもよい。また、決定装置30は、MACアドレスについても、決定可能なMACアドレス範囲の中から、乱数などで、MACアドレスを生成する。
【0053】
指示部23は、決定された端末動作種別に応じた通信を使用して同報通信を行うことを、端末60-1~端末60-Nの各々に指示する。
【0054】
より具体的には、指示部23は、中継端末に決定された端末60には、同報通信に使用する無線通信として、広域無線通信と端末間直接通信とを使用するように指示する。また、指示部23は、直接通信端末に決定された端末60には、同報通信に使用する無線通信として、中継端末との間の端末間直接通信を使用するように指示する。また、指示部23は、個別端末に決定された端末60には、同報通信に使用する無線通信として、端末間直接通信を行わずに広域無線通信を行うように指示する。
【0055】
また、このとき、指示部23は、広域無線通信を使用する端末(中継装置と個別端末)には、同報通信用ベアラの設定を行う。
【0056】
また、指示部23は、端末間直接通信を使用する端末(中継端末と直接通信端末)には、たとえば、SIP Messageによって、端末間直接通信を行うために必要となる情報を通知する。
【0057】
より具体的には、たとえば、指示部23は、中継端末に決定された端末60には、中継端末に決定された旨の情報、SSID、パスワード、端末間直接通信を行う端末の識別情報(MACアドレス)を送信する。また、指示部23は、直接通信端末に決定された端末60には、直接通信端末に決定された旨の情報、接続先の中継端末のSSID、パスワード、直接通信端末の識別情報(MACアドレス)を送信する。また、指示部23は、個別端末に決定された端末60には、個別端末に決定された旨の情報を送信する。
【0058】
端末60は、指示部23からの指示に従って、同報通信を行う。具体的には、たとえば、端末間直接通信に無線LANが使用される場合、中継端末に決定された端末は、アクセスポイントモード、または、Wi-Fi(登録商標) Directによる中継モードを起動する。また、直接通信端末に決定された端末は、無線LANで中継端末に接続する。なお、なりすましを防ぐため、中継端末と直接通信端末との間の認証には、証明書が使用されることが望ましい。また、端末60と通信制御装置20との間の認証には、SIM(Subscriber Identity Module)を用いた802.1x認証が行われることが望ましい。
【0059】
中継部24は、同報通信の通信データを中継する。同報通信の通信データを、以下、同報通信データと呼ぶことがある。たとえば、同報通信で音声通話が行われる場合、同報通信データは、音声通信データである。たとえば、PTT(Push to Talk)における呼制御では、TBCP(Talk Burst Control Protocol)が使用される場合が多い。この場合、中継部24が中継する同報通信データは、たとえば、音声データとTBCPとであってもよい。
【0060】
中継部24は、中継端末および個別端末のいずれかから受信した同報通信データを、当該同報通信データの送信元の端末を除く中継端末および個別端末へ送信する。
【0061】
また、中継部24に関し、同報通信データの送受信について、各端末の動作を説明する。
【0062】
中継端末は、通信制御装置20の中継部24から受信した同報通信データを、一度終端する。また、中継端末は、通信制御装置20から受信した同報通信データを、端末間直接通信で、直接通信端末へ送信する。
【0063】
また、中継端末は、直接通信端末のいずれかから受信した同報通信データを、中継端末で終端する。そして、中継端末は、直接通信端末から受信した同報通信データを、通信制御装置20と、当該中継端末に接続している直接通信端末(送信元の直接通信端末を除く)とへ送信する。
【0064】
中継端末は、当該中継端末が同報通信の送信端末である場合(たとえば、送話権がある場合)、自端末で生成された同報通信データを、通信制御装置20と直接通信端末とへ送信する。また、この場合、中継端末は、在圏通知を、通信制御装置20へ送信する。
【0065】
直接通信端末は、中継端末から同報通信データを受信する。また、直接通信端末は、当該直接通信端末が同報通信の送信端末である場合(たとえば、送話権がある場合)、自端末で生成された同報通信データを、中継端末へ送信する。また、この場合、直接通信端末は、在圏通知を中継端末へ送信する。
【0066】
個別端末は、中継部24から同報通信データを受信する。また、個別端末は、当該個別端末が同報通信の送信端末である場合(たとえば、送話権がある場合)、自端末で生成された同報通信データを、通信制御装置20へ送信する。また、この場合、個別端末は、在圏通知を、通信制御装置20へ送信する。
【0067】
なお、上述の処理は、標準のTBCPでも可能である。端末60は、送話権を取得する場合などに通知するTBCPパケットにMSISDNなどを含ませてもよい。この場合、同報通信データを受信する端末は、送信端末の情報をUI(User Interface)で示すことが可能になる。
【0068】
また、同報通信データの流れについて、
図8から
図10を用いて説明する。
図8は、個別端末が送信端末である場合の同報通信データの流れの例を示す図である。
図9は、直接通信端末が送信端末である場合の同報通信データの流れの例を示す図である。
図10は、中継端末が送信端末である場合の同報通信データの流れの例を示す図である。
【0069】
図8において、端末60-C(個別端末)が送信端末である場合、同報通信データは、基地局50を介して通信制御装置20に送信される。通信制御装置20の中継部24は、受信した同報通信データを、端末60-A(中継端末)(と、端末60-Cを除く個別端末)に送信する。そして、端末60-Aは、同報通信データを端末60-B1および端末60-B2(直接通信端末)に送信する。
【0070】
図9において、端末60-B1(直接通信端末)が送信端末である場合、同報通信データは、端末60-A(中継端末)に送信される。端末60-Aは、同報通信データを端末60-B2に送信する。また、端末60-Aは、同報通信データを、基地局50を介して、通信制御装置20に送信する。通信制御装置20の中継部24は、同報通信データを、端末60-C(個別端末)(と、端末60-Aを除く中継端末)へ送信する。
【0071】
図10において、端末60-A(中継端末)が送信端末である場合、端末60-Aは、同報通信データを、端末60-B1および端末60-B2に送信する。また、端末60-Aは、同報通信データを、基地局50を介して、通信制御装置20へ送信する。通信制御装置20の中継部24は、同報通信データを、端末60-C(個別端末)(と、端末60-Aを除く中継端末)に送信する。
【0072】
なお、端末60は、固定的に設置されている端末を除いて、移動する可能性がある。直接通信端末または中継端末が移動して、中継端末と直接通信端末との間の距離が大きくなると、端末間直接通信の無線通信品質が劣化し、さらには、端末間直接通信ができなくなる可能性がある。そのため、直接通信端末と通信制御装置20とは、たとえば、以下のように動作する。
【0073】
直接通信端末は、端末間直接通信の無線通信品質が劣化した場合、または、移動が始まった場合に、呼を切断することを示すSIP Messageを通信制御装置20に送信する。そして、直接通信端末は、呼を切断する。また、直接通信端末は、呼切断後に、同報通信への再参加を通信制御装置20へ要求する。同報通信への再参加を、後追い参入と呼ぶことがある。
【0074】
なお、端末60は、所定時間おきに端末60の位置情報を取得している。そのため、直接通信端末は、たとえば、取得した位置情報と一回前に取得した位置情報に基づいて移動距離を算出し、移動距離が所定の値以上の場合に、移動が始まったと判断してもよい。
【0075】
移動中の直接通信端末は、端末間直接通信を長時間維持することが難しい。また、端末間直接通信の無線通信品質が劣化した場合に、中継端末と直接通信端末のどちらが要因で無線通信品質が劣化したかを直接通信端末が判断することが難しい。そのため、後追い参入が要求された場合、通信制御装置20の決定部22は、後追い参入を要求した端末60を直接通信端末から個別端末に変更する。そして、指示部23は、個別端末として動作するよう、後追い参入を要求した端末に指示する。
【0076】
次に、決定装置30(または決定部22)における、端末動作種別の決定方法について説明する。
【0077】
決定装置30は、まず、端末位置情報テーブルを参照して、同じ同報グループに属する端末60の中から、移動速度が速い端末を、個別端末に決定する。決定装置30は、たとえば、移動距離や移動速度が所定の値以上の端末を、個別端末に決定する。なお、端末位置情報テーブルは、記憶手段40に記憶されている。ここでは、静止している端末または移動速度が遅い端末が、端末動作種別が決定されていない端末として残る。
【0078】
次に、決定装置30は、端末動作種別が決定されていない端末が残っていれば、端末動作種別が決定されていない端末の位置情報を、端末位置情報テーブルから取得する。そして、決定装置30は、端末間直接通信が可能な距離内に他の端末が存在しない端末を、個別端末に決定する。ここでは、端末間直接通信が可能な距離内に他の端末が存在する端末が、端末動作種別が決定されていない端末として残る。
【0079】
次に、決定装置30は、端末動作種別が決定されていない端末の位置情報に基づいて、中継端末と、中継端末の各々に接続する直接通信端末を決定する。以降、この処理を、中継端末に接続する直接通信端末のグループを決定することから、グルーピングと呼ぶことがある。また、ここで決定されるグループを、同報グループと区別して、直接通信グループと呼ぶことがある。また、ここまでの処理により、決定装置30は、移動速度が所定の速度より遅く、かつ、他の端末との距離が所定の距離より短い端末の中から、中継端末と直接通信端末とを決定することになる。
【0080】
グルーピングの方法は任意である。たとえば、決定装置30は、端末動作種別が決定されていない端末の中に、固定的に設置されている固定端末があれば、固定端末を中継端末に決定してもよい。端末が固定端末であるか否かの情報は、端末位置情報テーブルに記憶されている。
【0081】
また、たとえば、決定装置30は、端末動作種別が決定されていない端末の中で、中心付近の位置にある端末を中継端末に決定してもよい。また、決定装置30は、端末間直接通信が可能な距離内に、端末動作種別が決定されていない端末がより多く存在する端末を、中継端末に決定してもよい。そして、決定装置30は、中継端末から端末間直接通信が可能な距離内に存在する端末を、この中継端末に接続する直接通信端末に決定する。
【0082】
決定装置30は、端末動作種別が決定されていない端末がなくなるまで、端末動作種別の決定を行う。
【0083】
このように、本実施形態の通信制御装置20は、同報通信を行う複数の端末の中から、直接通信端末を決定する。これにより、広域無線通信網に接続する端末数を、同報通信を行う端末の数以下にすることができる。その結果、同時通信可能な端末数を、同報通信を行う端末のすべてが広域無線通信網を使用する場合に同時通信可能な端末数以上にすることができる。
【0084】
また、マルチキャスト通信やブロードキャスト通信を実現する場合、干渉を防ぐために、高度な置局設計やセル設計が必要となる。たとえば、端末は、通信環境の悪化などでマルチキャスト通信を行うことができない場合には、ユニキャスト通信を行うことになる。そのため、ユニキャスト通信用の通信可能エリアは、マルチキャスト通信やブロードキャスト通信用の通信可能エリアより広く設計されている必要がある。さらに、この状態で、端末が接続する基地局の切り替え(ハンドオーバ)が置局設計やセル設計に考慮される必要がある。このように、マルチキャスト通信やブロードキャスト通信を実現する場合には、ユニキャスト通信よりも高度な置局設計やセル設計が必要となる。
【0085】
また、マルチキャスト通信やブロードキャスト通信を広域無線通信網で実現するために利用されるeMBMSサーバは、極めて高価である。また、eMBMSサーバは基地局に対して一つ設置されるので、基地局が多くなると設置費用がさらに大きくなる。そのため、初期コストや基地局が追加された場合のコストが大きい。
【0086】
本実施形態の通信制御装置20は、同報通信を行う複数の端末の中から、直接通信端末を決定する。これにより、広域無線通信網に接続する端末数を、同報通信を行う端末の数以下にすることができる。その結果、広域無線通信網の帯域を効率的に利用することができるので、通信制御装置20は、マルチキャスト通信やブロードキャスト通信を利用しなくても、ユニキャスト通信による同報通信で、広域無線通信網の帯域を効率的に利用することができる。そのため、マルチキャスト通信やブロードキャスト通信で同報通信を実現する場合の上記の課題を軽減することができる。
【0087】
また、本実施形態の通信制御装置20は、端末から位置情報を受信するが、一般的に、広域無線通信網を利用可能な無線通信端末には、位置情報を取得する機能が備わっている。そのため、本実施形態の通信制御装置20は、当該機能を利用して、端末の位置情報の受信を容易に実現することができる。
【0088】
また、本実施形態の通信制御装置20の決定部22および指示部23の機能は、プログラムによって実現できる。そのため、基地局が多く通信制御装置20を多く導入する場合や、基地局の追加によって通信制御装置20を新たに導入する場合でも、容易にシステムを構築することが可能である。
【0089】
なお、端末間直接通信は、既存のデジタル・アナログ簡易無線局やSDR(Software Defined Radio)等でも実現されている。しかし、これらの技術で使用されている端末間直接通信は、以下の点で、本実施形態と異なる。
【0090】
本実施形態では、端末間直接通信を同報通信に使用するか否かによらず、すべての端末は、同報通信データを送信すること、および、同報通信データを受信することができる。そのため、本実施形態の端末60は、通信制御装置20と通信可能な端末60(たとえば、全国の端末)との間で、同報通信データを送受信することができる。
【0091】
また、本実施形態では、同報通信データが通信制御装置20を介して送受信される。そのため、通信制御装置20は、優先度が高い同報通信が開始される場合に、強制的に送受信を切り替える等の制御を行うことができる。また、通信制御装置20は、同報通信データの送受信に関するログを記憶手段等に記憶させてもよい。この場合、当該ログは、従量制課金に用いられてもよい。
【0092】
また、本実施形態では、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とが使用される。広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とは互いに干渉しない。また、この二種類の通信は、同時に使用されることが可能である。スマートフォンなどでは、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを利用できるものが多い。そのため、スマートフォン等を、同報通信の端末として、容易に利用することができる。
【0093】
次に、
図2を用いて、通信制御装置20の動作フローの例について説明する。
【0094】
受信部21は、所定時間おきに、端末の位置情報を、端末60-1~端末60-Nの各々から受信する(
図2のステップS101)。また、受信部21は、受信した位置情報に基づいて、記憶手段40に記憶されている端末位置情報テーブルを更新する。
【0095】
決定部22は、位置情報に基づいて、端末動作種別を、端末60の各々について決定する(ステップS102)。このとき、決定部22は、中継端末、直接通信端末および個別端末の中から、端末動作種別を決定する。
【0096】
指示部23は、決定された端末動作種別に応じた通信を使用して同報通信を行うことを、端末60の各々に指示する(ステップS103)。
【0097】
次に、
図11に、本実施形態の通信制御装置20のより具体的な動作フローの例を示す。
図11は、
図2の動作フローのステップS102とステップS103とをより具体的に示した図である。
【0098】
図11では、端末60-A、端末60-Bおよび端末60-Cが同じ同報グループに属する。また、端末60-Bは、送信端末である。また、決定装置30によって、端末60-Aが中継端末に決定され、端末60-Bおよび端末60-Cが端末60-Aに接続する直接通信端末に決定されるとする。
【0099】
決定部22は、送信端末(端末60-B)から同報通信の開始要求があると(ステップS201)、グループ情報テーブルから、送信端末と同じ同報グループに属する端末の情報を取得する(ステップS202、ステップS203)。決定部22は、たとえば、送信端末から着信があり、通信呼種が同報通信である場合に、送信端末と同じ同報グループに属する端末の端末IDを取得する。なお、グループ情報テーブルは、記憶手段40に記憶されている。
【0100】
決定部22は、送信端末(端末60-B)の端末IDと、送信端末と同じ同報グループに属する端末(端末60-Aおよび端末60-C)の端末IDとを決定装置30に送信する(ステップS204)。そして、決定装置30は、受信した端末IDが示す端末の各々について、端末動作種別を決定する。また、決定部22は、決定装置30から、決定の結果を受信する(ステップS205)。
【0101】
指示部23は、端末間直接通信を使用する端末(端末60-A、端末60-B、端末60-C)に、端末間直接通信を行うために必要となる情報を通知する(ステップS206)。また、広域無線通信を使用する端末(端末60-A)は、同報通信用ベアラの設定を行う(ステップS207)。
【0102】
端末60は、指示部23からの指示に従って、同報通信を行う。具体的には、たとえば、中継端末に決定された端末(端末60-A)は、アクセスポイント(AP)モードによる中継モードを起動する(ステップS208)。また、直接通信端末に決定された端末(端末60-B、端末60-C)は、たとえば、ステーション(ST)モードを起動する(ステップS209、ステップS210)。
【0103】
そして、直接通信端末(端末60-B、端末60-C)は、中継端末(端末60-A)に接続(ペアリング)する(ステップS211)。
【0104】
次に、
図12に、決定装置30(または決定部22)による端末動作種別の決定に関する動作フローの例を示す。
図12のステップS301は、
図11のステップS204に相当する。また、
図12のステップS307は、
図11のステップS205に相当する。
【0105】
決定装置30は、同じ同報グループに属する端末60の端末IDを決定部22から受信する(ステップS301)。
【0106】
次に、決定装置30は、端末位置情報テーブルを参照して、同じ同報グループに属する端末60の中から、移動速度が速い端末を、個別端末に決定する(ステップS302)。ここでは、静止している端末または移動速度が遅い端末が、端末動作種別が決定されていない端末として残る。
【0107】
次に、端末動作種別が決定されていない端末が残っていれば(ステップS303でYES)、決定装置30は、端末動作種別が決定されていない端末の位置情報を、端末位置情報テーブルから取得する。そして、決定装置30は、端末間直接通信が可能な距離内に他の端末が存在しない端末を、個別端末に決定する(ステップS304)。ここでは、端末間直接通信が可能な距離内に他の端末が存在する端末が、端末動作種別が決定されていない端末として残る。
【0108】
次に、決定装置30は、端末動作種別が決定されていない端末の位置情報に基づいて、中継端末と、中継端末の各々に接続する直接通信端末を決定(グルーピング)する(ステップS305)。
【0109】
決定装置30は、端末動作種別が決定されていない端末がなくなるまで、ステップS304とステップS305とを繰り返す。
【0110】
決定装置30は、端末動作種別が決定されていない端末がなくなると(ステップS303でNO)、端末間直接通信を行う端末(中継端末と直接通信端末)について、端末間直接通信のための接続情報を決定する(ステップS306)。
【0111】
そして、決定装置30は、端末動作種別の決定の結果と接続情報とを、決定部22に送信する(ステップS307)。
【0112】
以上で説明したように、本発明の第二の実施形態では、通信制御装置20は、受信部21、決定部22および指示部23を含む。受信部21は、同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する。決定部22は、複数の位置情報に基づいて、端末動作種別を、複数の端末の各々について決定する。端末動作種別は、同報通信における端末の動作の種別である。このとき、決定部22は、中継端末、直接通信端末および個別端末の中から、端末動作種別を決定する。中継端末は、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを同報通信に使用する。直接通信端末は、中継端末との間の端末間直接通信を同報通信に使用するとともに、広域無線通信網を同報通信に使用しない。個別端末は、広域無線通信網を使用した通信を同報通信に使用する。指示部23は、決定された端末動作種別に応じた通信を使用して同報通信を行うことを、複数の端末の各々に指示する。
【0113】
これにより、通信制御装置20は、同報通信を行う複数の端末の中から、直接通信端末を決定する。直接通信端末は、中継端末との間の端末間直接通信を同報通信に使用し、広域無線通信網を同報通信に使用しない。これにより、広域無線通信網に接続する端末数を、同報通信を行う端末の数以下にすることができる。その結果、同時通信可能な端末数を、同報通信を行う端末のすべてが広域無線通信網を使用する場合に同時通信可能な端末数以上にすることができる。そのため、広域無線通信網を利用する同報通信において、同時通信可能な端末数を増加させることが可能になる。
【0114】
また、決定部22は、複数の位置情報に基づいて、移動速度が所定の速度より遅く、かつ、他の端末との距離が所定の距離より短い端末の中から、中継端末と直接通信端末とを決定する。これにより、移動速度が速い端末が中継端末や直接通信端末に決定されて、端末間直接通信が不可能となる可能性を低減することができる。
【0115】
また、決定部22は、固定的に設置されている固定端末を、中継端末に決定してもよい。これにより、中継端末の移動によって、当該中継端末に接続する直接通信端末との間の端末間直接通信が不可能となる可能性を低減することができる。
【0116】
また、本実施形態の通信制御装置20は、同報通信の通信データを中継する中継部24をさらに備える。これにより、通信制御装置20は、同報通信のサーバとしての機能を持つことができる。
【0117】
また、中継部24は、同報通信の通信データの中継を、ユニキャスト通信で行う。これにより、マルチキャスト通信やブロードキャスト通信で同報通信を実現する場合の課題を軽減することができる
【0118】
[ハードウェア構成例]
上述した本発明の各実施形態における通信制御装置(10、20)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、通信制御装置は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現してもよい。また、通信制御装置は、専用の装置として実現してもよい。また、通信制御装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現してもよい。
【0119】
図13は、本発明の各実施形態の通信制御装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を含む。
【0120】
たとえば、
図1の受信部11および指示部13は、通信インタフェース91および演算装置93で実現することが可能である。決定部12は、演算装置93で実現することが可能である。
【0121】
通信インタフェース91は、各実施形態の通信制御装置が、有線あるいは/および無線で外部装置と通信するための通信手段である。なお、通信制御装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続してもよい。
【0122】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0123】
演算装置93は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置93は、たとえば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0124】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0125】
不揮発性記憶装置95は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0126】
ドライブ装置96は、たとえば、後述する記録媒体97に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。
【0127】
記録媒体97は、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0128】
本発明の各実施形態は、たとえば、
図13に例示した情報処理装置90により通信制御装置を構成し、この通信制御装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0129】
この場合、通信制御装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、通信制御装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0130】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、通信制御装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう通信制御装置を構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して通信制御装置内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0131】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0132】
(付記1)
同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する受信部と、
前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定する決定部と、
決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する指示部と、
を備える通信制御装置。
【0133】
(付記2)
前記決定部は、前記複数の位置情報に基づいて、移動速度が所定の速度より遅く、かつ、他の端末との距離が所定の距離より短い端末の中から、前記中継端末と前記直接通信端末とを決定する、
付記1に記載の通信制御装置。
【0134】
(付記3)
前記決定部は、固定的に設置されている固定端末を、前記中継端末に決定する、
付記2に記載の通信制御装置。
【0135】
(付記4)
前記同報通信の通信データを中継する中継部
をさらに備える、付記1から付記3のいずれかに記載の通信制御装置。
【0136】
(付記5)
前記中継部は、前記同報通信の前記通信データの中継を、ユニキャスト通信で行う、
付記4に記載の通信制御装置。
【0137】
(付記6)
同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する受信手段と、
前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定する決定手段と、
決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する指示手段と、
を備える通信制御システム。
【0138】
(付記7)
同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信し、
前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定し、
決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する、
通信制御方法。
【0139】
(付記8)
前記複数の位置情報に基づいて、移動速度が所定の速度より遅く、かつ、他の端末との距離が所定の距離より短い端末の中から、前記中継端末と前記直接通信端末とを決定する、
付記7に記載の通信制御方法。
【0140】
(付記9)
固定的に設置されている固定端末を、前記中継端末に決定する、
付記8に記載の通信制御方法。
【0141】
(付記10)
コンピュータに、
同報通信を行う複数の端末の各々から各端末の位置情報を受信することによって、複数の位置情報を受信する受信機能と、
前記複数の位置情報に基づいて、広域無線通信網を使用した通信と端末間直接通信とを前記同報通信に使用する中継端末、前記中継端末との間の前記端末間直接通信を前記同報通信に使用するとともに、前記広域無線通信網を前記同報通信に使用しない直接通信端末、および、前記広域無線通信網を使用した通信を前記同報通信に使用する個別端末の中から、前記同報通信における端末の動作の種別である端末動作種別を、前記複数の端末の各々について決定する決定機能と、
決定された前記端末動作種別に応じた通信を使用して前記同報通信を行うことを、前記複数の端末の各々に指示する指示機能と、
を実現させる通信制御プログラム。
【0142】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0143】
10、20 通信制御装置
11、21 受信部
12、22 決定部
13、23 指示部
30 決定装置
40 記憶手段
50 基地局
60-i 端末
70 通信システム
80 通信回線
90 情報処理装置
91 通信インタフェース
92 入出力インタフェース
93 演算装置
94 記憶装置
95 不揮発性記憶装置
96 ドライブ装置
97 記録媒体