(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154859
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】環状品の支持装置
(51)【国際特許分類】
A47F 7/02 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A47F7/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069019
(22)【出願日】2023-04-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】591030341
【氏名又は名称】株式会社システムコミュニケーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 三千春
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で好適に環状品を支持することができる環状品の支持装置を提供する。
【解決手段】展開状態において、帯状部と、前記帯状部の長手方向の両端部に設けられた第1の接続部と、前記帯状部の長手方向の中間部から短手方向に延びる一対の案内部と、前記一対の案内部の前記帯状部と反対側の両端部に設けられた第2の接続部と、を有し、前記第1の接続部を接続することにより、前記帯状部が環状部に成形され、前記第2の接続部を接続することにより、前記一対の案内部が案内枠部に成形され、前記案内枠部に前記環状部が収容されるとともに、前記案内枠部において前記環状部の縮径及び拡径が可能であり、前記案内枠部において前記環状部を縮径させた状態で、前記環状部の外周面に環状品の内周面を位置させてから、前記案内枠部において前記環状部を拡径させることによって、前記環状部の外周面に前記環状品の内周面を支持する、ことを特徴とする環状品の支持装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態において、
帯状部と、
前記帯状部の長手方向の両端部に設けられた第1の接続部と、
前記帯状部の長手方向の中間部から短手方向に延びる一対の案内部と、
前記一対の案内部の前記帯状部と反対側の両端部に設けられた第2の接続部と、
を有し、
前記第1の接続部を接続することにより、前記帯状部が環状部に成形され、
前記第2の接続部を接続することにより、前記一対の案内部が案内枠部に成形され、
前記案内枠部に前記環状部が収容されるとともに、前記案内枠部において前記環状部の縮径及び拡径が可能であり、
前記案内枠部において前記環状部を縮径させた状態で、前記環状部の外周面に環状品の内周面を位置させてから、前記案内枠部において前記環状部を拡径させることによって、前記環状部の外周面に前記環状品の内周面を支持する、
ことを特徴とする環状品の支持装置。
【請求項2】
前記案内枠部の前記第2の接続部の内側に、前記環状部の前記第1の接続部が位置し、
前記第1の接続部が前記第2の接続部から離間したときに、前記案内枠部において前記環状部が縮径され、
前記第1の接続部が前記第2の接続部に接近したときに、前記案内枠部において前記環状部が拡径される、
ことを特徴とする請求項1に記載の環状品の支持装置。
【請求項3】
前記帯状部と前記一対の案内部の境界部に位置する一対の差込折曲片、又は、前記一対の案内部の前記第2の接続部の近傍に位置する一対の差込折曲片を有し、
前記一対の差込折曲片を挿入する一対の差込折曲溝が設けられた支持基部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の環状品の支持装置。
【請求項4】
前記帯状部と前記一対の案内部の境界部に位置する一対の係合部、又は、前記一対の案内部の前記第2の接続部の近傍に位置する一対の係合部を有し、
前記一対の係合部を係合する一対の被係合部が設けられた支持基部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の環状品の支持装置。
【請求項5】
前記第1の接続部は、前記帯状部の長手方向の両端部に設けられた係合部と被係合部であり、
前記第2の接続部は、前記一対の案内部の前記帯状部と反対側の両端部に設けられた係合部と被係合部である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の環状品の支持装置。
【請求項6】
前記第1の接続部が設けられた前記帯状部、及び、前記第2の接続部が設けられた前記一対の案内部は、単一の部材として構成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の環状品の支持装置。
【請求項7】
前記第1の接続部が設けられた前記帯状部、及び、前記第2の接続部が設けられた前記一対の案内部は、別々の部材として構成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の環状品の支持装置。
【請求項8】
各構成要素が紙材料から構成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の環状品の支持装置。
【請求項9】
前記環状品は、腕時計である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の環状品の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状品の支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に傾斜した状態で配設された傾斜板と、傾斜板の上部に切欠き形成された上切欠部と、傾斜板の下部に上切欠部と間隔を設けて切欠き形成された下切欠部と、傾斜板の上端部が当接すると共に基板に立設された立上板と、立上板の背面に形成された収容ボックス部と、を有する腕時計陳列用スタンドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の腕時計陳列用スタンドは、簡単な構成で好適に腕時計を陳列(支持)するという観点において改良の余地があった。この技術課題は、腕時計の陳列(支持)に限らず、環状品の陳列(支持)の全般に当てはまる。
【0005】
本発明は、上記の問題意識に基づいて完成されたものであり、簡単な構成で好適に環状品を支持することができる環状品の支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の環状品の支持装置は、展開状態において、帯状部と、前記帯状部の長手方向の両端部に設けられた第1の接続部と、前記帯状部の長手方向の中間部から短手方向に延びる一対の案内部と、前記一対の案内部の前記帯状部と反対側の両端部に設けられた第2の接続部と、を有し、前記第1の接続部を接続することにより、前記帯状部が環状部に成形され、前記第2の接続部を接続することにより、前記一対の案内部が案内枠部に成形され、前記案内枠部に前記環状部が収容されるとともに、前記案内枠部において前記環状部の縮径及び拡径が可能であり、前記案内枠部において前記環状部を縮径させた状態で、前記環状部の外周面に環状品の内周面を位置させてから、前記案内枠部において前記環状部を拡径させることによって、前記環状部の外周面に前記環状品の内周面を支持する、ことを特徴とする。
【0007】
前記案内枠部の前記第2の接続部の内側に、前記環状部の前記第1の接続部が位置し、前記第1の接続部が前記第2の接続部から離間したときに、前記案内枠部において前記環状部が縮径され、前記第1の接続部が前記第2の接続部に接近したときに、前記案内枠部において前記環状部が拡径されてもよい。
【0008】
前記帯状部と前記一対の案内部の境界部に位置する一対の差込折曲片、又は、前記一対の案内部の前記第2の接続部の近傍に位置する一対の差込折曲片を有し、前記一対の差込折曲片を挿入する一対の差込折曲溝が設けられた支持基部を有してもよい。
【0009】
前記帯状部と前記一対の案内部の境界部に位置する一対の係合部、又は、前記一対の案内部の前記第2の接続部の近傍に位置する一対の係合部を有し、前記一対の係合部を係合する一対の被係合部が設けられた支持基部を有してもよい。
【0010】
前記第1の接続部は、前記帯状部の長手方向の両端部に設けられた係合部と被係合部であり、前記第2の接続部は、前記一対の案内部の前記帯状部と反対側の両端部に設けられた係合部と被係合部であってもよい。
【0011】
前記第1の接続部が設けられた前記帯状部、及び、前記第2の接続部が設けられた前記一対の案内部は、単一の部材として構成されてもよい。
【0012】
前記第1の接続部が設けられた前記帯状部、及び、前記第2の接続部が設けられた前記一対の案内部は、別々の部材として構成されてもよい。
【0013】
各構成要素が紙材料から構成されてもよい。
【0014】
前記環状品は、腕時計であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡単な構成で好適に環状品を支持することができる環状品の支持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】腕時計の陳列装置の展開状態の一例を示す図である。
【
図2】環状部の拡径状態における腕時計の陳列装置の一例を示す斜視図である。
【
図3】環状部の縮径状態における腕時計の陳列装置の一例を示す斜視図である。
【
図4】腕時計の陳列装置による腕時計の陳列工程の第1の例を示す図である。
【
図5】腕時計の陳列装置による腕時計の陳列工程の第2の例を示す図である。
【
図6】腕時計の陳列装置の展開状態の変形例を示す図である。
【
図7】腕時計の陳列装置の第1の発展例を示す図である。
【
図8】腕時計の陳列装置の第2の発展例を示す図である。
【
図9】腕時計の陳列装置の第3の発展例を示す図である。
【
図10】腕時計の陳列装置の第4の発展例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本実施形態の環状品の支持装置について詳細に説明する。本実施形態では、環状品として腕時計を採用した腕時計の支持装置を例示して説明する。「支持装置」は、「陳列装置」を含む概念で使用する(「陳列」は「支持」の一態様である)。
【0018】
図4D、
図5B、
図5C、
図7A、
図7B、
図8A、
図9A、
図9B、
図9C、
図10A、
図10Bに示すように、腕時計の陳列装置(以下では単に陳列装置と呼ぶことがある)1による陳列対象となる腕時計10は、盤面部11と、盤面部11から六時側と十二時側に(互いに反対側に)延びるバンド部12とを有している。バンド部12の盤面部11と反対側の両端部は、何らかの構造・手法により接続されており、その結果、腕時計10が環状に維持(支持)される。例えば、バンド部12は、盤面部11と反対側の両端部が中留によって接続されていてもよい。あるいは、バンド部12は、盤面部11と反対側の一端部と他端部に形成された係合棒と係合孔によって接続されていてもよい。あるいは、バンド部12は、伸縮性を持つ材料(例えばゴム等の弾性材料)から構成されて、盤面部11と反対側の一端部と他端部が接続される形で一体成形されていてもよい。本実施形態では、腕時計10のバンド部12の盤面部11と反対側の両端部の接続構造を簡略化して描いている。
【0019】
なお、本実施形態の環状品の陳列装置による陳列対象(環状品の支持装置による支持対象)は、腕時計に限定されず、任意の環状品を適用することができる。例えば、陳列対象となる環状品として、腕輪(バングルやブレスレット、アンクレット等)、腕時計型のウェアラブル端末(腕時計としての機能の他に通話機能やメール機能、健康管理機能、電子決済機能等を搭載したいわゆるスマートウォッチ)を採用することができる。
【0020】
図1A、
図1Bは、腕時計の陳列装置1の展開状態の一例を示す図である。
【0021】
図1A、
図1Bに示すように、陳列装置1は、展開状態において、長手方向(図中の上下方向)に延びる帯状部20と、帯状部20の長手方向の中間部から短手方向(図中の左右方向)に延びる一対の案内部30とを有している。一対の案内部30の各々は、帯状部20に近い側から遠い側に向かって順に、耳部31と、拡径抑制部32とを有している。帯状部20と耳部31の境界部には、両者を長手方向(図中の上下方向)に沿って折り曲げるための折曲片40が形成されており、耳部31と拡径抑制部32の境界部には、両者を長手方向(図中の上下方向)に沿って折り曲げるための折曲片50が形成されている。
【0022】
帯状部20の長手方向の両端部には、当該両端部どうしを接続する「第1の接続部」が形成されている。「第1の接続部」は、帯状部20の長手方向の一端部(図中の上端部)に形成された係合爪(係合部)21と、帯状部20の長手方向の他端部(図中の下端部)に形成された係合孔(被係合部)22とから構成されている。なお、帯状部20の長手方向の両端部を接続する「第1の接続部」をどのように構成するかには自由度があり、種々の設計変更が可能である。
【0023】
一対の案内部30の帯状部20と反対側の両端部には、当該両端部どうしを接続する「第2の接続部」が形成されている。「第2の接続部」は、一方の案内部30の端部(図中の右端部)に形成された係合爪(係合部)33と、他方の案内部30の端部(図中の左端部)に形成された係合孔(被係合部)34とから構成されている。
図1Aでは、係合孔34が拡径抑制部32の一端部に開放状態で形成された例を描いており、
図1Bでは、係合孔34が拡径抑制部32の内部にくり抜かれた状態で形成された例を描いている。このように、一対の案内部30の帯状部20と反対側の両端部を接続する「第2の接続部」をどのように構成するかには自由度があり、種々の設計変更が可能である。
【0024】
係合爪21と係合孔22(第1の接続部)が設けられた帯状部20、及び、係合爪33と係合孔34(第2の接続部)が設けられた一対の案内部30は、単一の部材として形成されるとともに、これらの各構成要素が紙材料から構成されている。陳列装置1を構成する紙材料には自由度があり、種々の設計変更が可能であるが、例えば、大王製紙株式会社製のエリプラ(登録商標)、elipla(登録商標)、エリプラ+(プラス)(登録商標)、エリプラペーパー(登録商標)等で使用される紙材料を採用することができる。これらの紙材料は、脱プラスチック、減プラスチックをコンセプトとして展開され、再生可能な紙原料を使用するとともに、本実施形態の陳列装置1を構成するのに好適な耐久性、円滑性、弾力性、形状保持性(形状記憶性)等を兼ね揃えている。
【0025】
図2~
図5等に示すように、係合爪21と係合孔22を係合する(第1の接続部を接続する)ことにより、帯状部20が環状部20Xに成形される。また、係合爪33と係合孔34を係合する(第2の接続部を接続する)ことにより、一対の案内部30が案内枠部30Xに成形される。そして、案内枠部30Xに環状部20Xが収容される。この収容状態では、各一対の折曲片40と折曲片50がそれぞれ直角(90°)に折り曲げられている。
【0026】
帯状部20の長手方向の中間部、及び、一対の案内部30の短手方向の中間部は、帯状部20と一対の案内部30が交差する部分となっており、当該部分は、環状部20Xと案内枠部30Xの共通部分となっている。また、環状部20Xの環状空間の側方には、一対の案内部30の耳部31が位置している。また、上記の環状部20Xと案内枠部30Xの共通部分の反対側では、一対の案内部30の拡径抑制部32が係合爪33と係合孔34(第2の接続部)によって接続されており、その内側において、帯状部20の両端部が係合爪21と係合孔22(第1の接続部)によって接続されている。つまり、案内枠部30Xの第2の接続部(係合爪33と係合孔34)の内側に、環状部20Xの第1の接続部(係合爪21と係合孔22)が位置している。以上の構成を以って、案内枠部30Xに環状部20Xが収容される。
【0027】
図4Aは、案内枠部30Xに環状部20Xが収容されていない、すなわち、案内枠部30Xの第2の接続部(係合爪33と係合孔34)の外側に、環状部20Xの第1の接続部(係合爪21と係合孔22)が位置している場合を描いている。この場合、環状部20Xは、案内枠部30Xによる案内(拡径抑制)を受けない自由状態となり、円形(環状)になろうとする(ただし
図4Aでは仮想的に楕円形で描いている)。
【0028】
図4Bは、案内枠部30Xに環状部20Xが収容されている、すなわち、案内枠部30Xの第2の接続部(係合爪33と係合孔34)の内側に、環状部20Xの第1の接続部(係合爪21と係合孔22)が位置している場合を描いている。この場合、環状部20Xには円形(環状)になろうとする力が働くものの、環状部20Xの第1の接続部(係合爪21と係合孔22)が、案内枠部30Xの第2の接続部(係合爪33と係合孔34)の内側による案内(拡径抑制)を受けた状態で維持される。別言すると、環状部20Xの最大拡径状態が規定される。
【0029】
そして、本実施形態では、案内枠部30Xにおいて環状部20Xの縮径及び拡径が可能となっている。つまり、環状部20Xは、案内枠部30Xに収容されて案内(拡径抑制)を受けた状態で、案内枠部30Xの耳部31から飛び出した部分(
図4Bの上下の部分)を内向きに押す(上下に押し潰す)ことで縮径される一方、この縮径状態から、案内枠部30Xの耳部31から飛び出した部分(
図4Bの上下の部分)を開放することで拡径される(耳部31から飛び出たり収まったりする)。このように、環状部20Xが耳部31の外側に膨らもうとする性質を利用して、環状部20Xの縮径及び拡径が可能となる。
【0030】
図4Cに示すように、環状部20Xの第1の接続部(係合爪21と係合孔22)が、案内枠部30Xの第2の接続部(係合爪33と係合孔34)から離間したとき(図中の左側に移動したとき)に、案内枠部30Xにおいて環状部20Xが縮径される。一方、環状部20Xの第1の接続部(係合爪21と係合孔22)が、案内枠部30Xの第2の接続部(係合爪33と係合孔34)に接近したとき(図中の右側に移動したとき)に、案内枠部30Xにおいて環状部20Xが拡径される。
図4Cにおいて、最も左側が、環状部20Xの第1の接続部(係合爪21と係合孔22)が、案内枠部30Xの第2の接続部(係合爪33と係合孔34)に最も接近した、環状部20Xの最大拡径状態に対応している。
図4Cにおいて、最も右側が、環状部20Xの第1の接続部(係合爪21と係合孔22)が、案内枠部30Xの第2の接続部(係合爪33と係合孔34)から最も離間した、環状部20Xの最大縮径状態に対応している。また、
図2は環状部20Xの拡径状態を示しており、
図3は環状部20Xの縮径状態を示している。
【0031】
図4Cの最も左側に描いた、環状部20Xの最大拡径状態において、環状部20Xの第1の接続部(係合爪21と係合孔22)の先端部が、環状部20Xの内側(内周側)を向いている。これにより、環状部20Xのうち案内枠部30Xの耳部31から飛び出した部分(
図4Cの上下の部分)を内向きに押す(上下に押し潰す)力、ひいては環状部20Xを縮径させる力を与え易くなり、陳列装置1の操作性を向上させることができる。
【0032】
以上のように構成された陳列装置1を用いて腕時計10を陳列する場合、
図5Aに示すように、環状部20Xのうち、案内枠部30Xの耳部31から飛び出した部分(
図5Aの上下の部分)を内向きに押す(上下に押し潰す)ことで、案内枠部30Xにおいて環状部20Xを縮径させる。次いで、
図5Bに示すように、環状部20Xの縮径状態で、環状部20Xの外周面に腕時計10のバンド部12の内周面を位置させる。そして、
図5C及び
図4Dに示すように、環状部20Xのうち、案内枠部30Xの耳部31から飛び出した部分(
図5Aの上下の部分)を開放することで、案内枠部30Xにおいて環状部20Xを拡径させることにより、環状部20Xの外周面に腕時計10のバンド部12の内周面を支持(フィット)させる。すなわち、環状部20Xが外側に膨らむ力を利用して腕時計10を支持する。このように、案内枠部30Xにおいて環状部20Xを縮径させた状態で、環状部20Xの外周面に腕時計10のバンド部12の内周面を位置させてから、案内枠部30Xにおいて環状部20Xを拡径させることによって、環状部20Xの外周面に腕時計10のバンド部12の内周面を支持する。
【0033】
図6は、腕時計の陳列装置1の展開状態の変形例を示す図である。
図1~
図5の例では、係合爪21と係合孔22(第1の接続部)が設けられた帯状部20、及び、係合爪33と係合孔34(第2の接続部)が設けられた一対の案内部30が、単一の部材として形成されていた。これに対して、
図6の変形例では、係合爪21と係合孔22(第1の接続部)が設けられた帯状部20、及び、係合爪33と係合孔34(第2の接続部)が設けられた一対の案内部30が別々の部材として構成されている。この場合であっても、帯状部20と一対の案内部30の各構成要素が紙材料から構成されている。紙材料の詳細については、
図1~
図5の実施例で述べたものと共通であるため、重複する説明を省略する。
【0034】
図6において、帯状部20と一対の案内部30を結合する際には、帯状部20の長手方向の中間部、及び、一対の案内部30の短手方向の中間部を位置合わせする。また、帯状部20の長手方向の中間部の短手方向の両側に形成された一対の係合爪23を、一対の案内部30の耳部31の短手方向の内側(折曲片40の近傍)に形成された一対の係合孔35に係合する。なお、帯状部20と一対の案内部30の結合構造には自由度があり、種々の設計変更が可能である。例えば、帯状部20の長手方向の中間部、及び、一対の案内部30の短手方向の中間部を位置合わせした状態で、両者の重なり部分を接着剤で接着してもよい。
【0035】
図7A、
図7Bは、腕時計の陳列装置1の第1の発展例を示す図である。
図7A、
図7Bでは、載置面に載置される箱状の第1の陳列基部(第1の支持基部)60を有している。第1の陳列基部60には、環状部20Xと案内枠部30Xに支持された腕時計10を収容する収容部61と、この収容部61の側方に形成された一対の差込折曲溝62とが設けられている。さらに、一対の案内部30の係合爪33と係合孔34(第2の接続部)の近傍に位置する一対の折曲片50を「差込折曲片」として、一対の差込折曲片50を第1の陳列基部60の一対の差込折曲溝62に挿入する。この挿入状態において、一対の案内部30の耳部31が、第1の陳列基部60の収容部61の側方に露出する(
図7B参照)。
【0036】
なお、帯状部20と一対の案内部30の境界部に位置する一対の折曲片40を「差込折曲片」として、一対の差込折曲片40を第1の陳列基部60の一対の差込折曲溝62に挿入してもよい。すなわち、帯状部20と一対の案内部30の境界部に位置する一対の差込折曲片40、又は、一対の案内部30の係合爪33と係合孔34(第2の接続部)の近傍に位置する一対の差込折曲片50を、第1の陳列基部60の一対の差込折曲溝62に挿入してもよい。
【0037】
図8A、
図8Bは、腕時計の陳列装置の第2の発展例を示す図である。
図8A、
図8Bでは、
図7A、
図7Bの第1の陳列基部60を支持することによって陳列高さを調整する(陳列高さを高くする)とともに、陳列の安定性を高めるための台座部として、第2の陳列基部(第2の支持基部)70を有している。第2の陳列基部70は、箱状の第1の陳列基部60の底面及びその近傍を収容する収容部71と、収容部71を取り囲むように形成された傾斜状台座部72とを有している。傾斜状台座部72は、仮想的な四角錐を所定の高さ位置にて水平に切り取ったものに相当し、その内部が直方体状の凹部からなる収容部71となっている。例えば、収容部71の底面の高さを、第2の陳列基部70の載置面の高さよりも高くする(上げ底)にすることで、第1の陳列基部60ひいては腕時計10の陳列高さを高くすることができる。
【0038】
図9A、
図9B、
図9Cは、腕時計の陳列装置の第3の発展例を示す図である。
図9A~
図9Cでは、環状部20Xと案内枠部30Xに支持された腕時計10を収容する箱部(内部構造体)としての第3の陳列基部(第3の支持基部)80を有している。
図9A、
図9Bに示すように、第3の陳列基部80には、環状部20Xと案内枠部30Xに支持された腕時計10を収容する収容部81と、この収容部81の側方に形成された一対の被係合突起(被係合部)82とが設けられている。さらに、帯状部20と一対の案内部30の境界部に位置する一対の係合突起(係合部)24を形成して、一対の係合突起(係合部)24を一対の被係合突起(被係合部)82に係合させる。
【0039】
なお、一対の案内部30の係合爪33と係合孔34(第2の接続部)の近傍に位置する一対の係合突起(係合部)24を形成して、一対の係合突起(係合部)24を一対の被係合突起(被係合部)82に係合させてもよい。すなわち、帯状部20と一対の案内部30の境界部に位置する一対の係合突起(係合部)24、又は、一対の案内部30の係合爪33と係合孔34(第2の接続部)の近傍に位置する一対の係合突起(係合部)24を形成して、一対の係合突起(係合部)24を一対の被係合突起(被係合部)82に係合させてもよい。また、
図9Cに示すように、環状部20Xと案内枠部30Xに支持された腕時計10を収容した第3の陳列基部80に被せる蓋部85を設けてもよい。
【0040】
図10は、腕時計の陳列装置の第4の発展例を示す図である。
図10は、
図7~
図9の第1~第3の発展例を組み合わせたショーケース内部構造物としての第4の陳列基部(第4の支持基部)90を示している。
図10では、ショーケース内部が互いに隣接する第1のブース91と第2のブース92と第3のブース93とに区画されている。中央の第2のブース92における前側領域では、
図7の第1の発展例の陳列構造が採用されており、中央の第2のブース92における後側領域では、
図8の第2の発展例の陳列構造が採用されている。また、両脇の第1のブース91と第3のブース93では、
図9の第3の発展例の陳列構造(係合突起と被係合突起による陳列構造のみを抽出)が採用されている。
【0041】
このように、本実施形態の環状品の支持装置は、展開状態において、帯状部と、帯状部の長手方向の両端部に設けられた第1の接続部と、帯状部の長手方向の中間部から短手方向に延びる一対の案内部と、一対の案内部の帯状部と反対側の両端部に設けられた第2の接続部と、を有している。また、第1の接続部を接続することにより、帯状部が環状部に成形され、第2の接続部を接続することにより、一対の案内部が案内枠部に成形される。また、案内枠部に環状部が収容されるとともに、案内枠部において環状部の縮径及び拡径が可能である。また、案内枠部において環状部を縮径させた状態で、環状部の外周面に環状品の内周面を位置させてから、案内枠部において環状部を拡径させることによって、環状部の外周面に環状品の内周面を支持する。これにより、簡単な構成で好適に環状品を支持することができる。
【0042】
さらに、本実施形態の環状品の支持装置は、紙材料の組立により地域的・場所的な制限を取り払って簡単に製造することができる(現行品は製作可能な地域や場所が限られる)。また、再生可能材料である紙材料を使用することにより環境への配慮を図ることができる(現行品はスチールやプラスチック等を使用したものが多いため環境への配慮が不十分である)。また、紙材料を使用することで、スチールやプラスチック等を使用した現行品よりもコストメリットを図ることができる。
【0043】
以上、本開示に係る発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示に係る発明が本開示中に説明した実施形態に限定されないということは明らかである。本開示に係る発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて定まる発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に係る発明に対して何ら制限的な意味をもたらさない。
【符号の説明】
【0044】
1 腕時計の陳列装置(環状品の陳列装置、腕時計の支持装置、環状品の支持装置)
10 腕時計(環状品)
11 盤面部
12 バンド部
20 帯状部
20X 環状部
21 係合爪(第1の接続部、係合部)
22 係合孔(第1の接続部、被係合部)
23 係合爪
24 係合突起(係合部)
30 案内部
30X 案内枠部
31 耳部
32 拡径抑制部
33 係合爪(第2の接続部、係合部)
34 係合孔(第2の接続部、被係合部)
35 係合孔
40 折曲片(差込折曲片)
50 折曲片(差込折曲片)
60 第1の陳列基部(陳列基部、支持基部、第1の支持基部)
61 収容部
62 差込折曲溝
70 第2の陳列基部(陳列基部、支持基部、第2の支持基部)
71 収容部
72 傾斜状台座部
80 第3の陳列基部(陳列基部、支持基部、第3の支持基部)
81 収容部
82 被係合突起(被係合部)
83 蓋部
90 第4の陳列基部(陳列基部、支持基部、第4の支持基部)
91 第1のブース
92 第2のブース
93 第3のブース