(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154862
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】組成物、物品、除菌剤および抗ウィルス剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/045 20060101AFI20241024BHJP
A01N 65/22 20090101ALI20241024BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20241024BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20241024BHJP
A01N 65/28 20090101ALI20241024BHJP
A01N 35/06 20060101ALI20241024BHJP
A01N 31/06 20060101ALI20241024BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 36/61 20060101ALI20241024BHJP
A61K 36/534 20060101ALI20241024BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241024BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241024BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20241024BHJP
A61Q 17/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K31/045
A01N65/22
A01P3/00
A01P1/00
A01N65/28
A01N35/06
A01N31/06
C09K3/00 B
A61K36/61
A61K36/534
A61P17/00 101
A61P31/12
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K8/34
A61K8/9789
A61Q17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069025
(22)【出願日】2023-04-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日:令和4年4月25日 刊行物:Poco’ce(ポコチェ) 2022年5月号 Vol.227 第14頁、第15頁 株式会社タンクパブリケーションズ 公開者:株式会社スースー 発行日:令和4年4月26日 刊行物:スポーツニッポン新聞 2022年4月26日付 朝刊 第1面 スポーツニッポン新聞社 公開者:株式会社スースー
(71)【出願人】
【識別番号】521393362
【氏名又は名称】株式会社スースー
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(74)【代理人】
【識別番号】100174849
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 理生
(72)【発明者】
【氏名】武田 大介
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
4C206
4H011
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA121
4C083AD531
4C083BB48
4C083CC02
4C083CC17
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4C206AA01
4C206AA02
4C206CA13
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4C206MA33
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4C206ZC75
4H011AA01
4H011AA04
4H011BB22
4H011DG01
(57)【要約】
【課題】長時間、強い冷却感を与えることができる組成物、並びにこの組成物を含む物品、除菌剤および抗ウィルス剤を提供すること。
【解決手段】 本発明の組成物は、メントールと、ペパーミントオイルと、ユーカリオイルとを含有する。本発明の組成物は、圧倒的な「スースー感」、すなわち強い冷却感を瞬時に使用者に与えることができ、かつこのスースー感を「長時間持続」できる。また、本発明の組成物は、従来の「拭う」、「洗う」というアプローチに限られず、「嗅ぐ」、「垂らす」、「噴霧する」などのアプローチで、使用者に圧倒的な「スースー感」と「自由度の高いアプローチ」を与えることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メントールと、
ユーカリオイルと、
ペパーミントオイルと
を含有する組成物。
【請求項2】
前記組成物は、アルコールを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記メントールの含有量は、前記組成物100質量%に対し、25質量%以上35質量%以下であり、
前記ユーカリオイルの含有量は、前記組成物100質量%に対し15質量%以上25質量%以上であり、
前記ペパーミントオイルの含有量は、前記組成物100質量%に対し5質量%以上15質量%以下である、
請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記メントールの含有量は、前記組成物100質量%に対し、30質量%であり、
前記ユーカリオイルの含有量は、前記組成物100質量%に対し、20質量%であり、
前記ペパーミントオイルの含有量は、前記組成物100質量%に対し、10質量%である、
請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
樟脳と、
ボルネオールフレークと、
クローブオイルと
をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物を含む、使用者に冷却感を与える物品。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物を含む、除菌剤。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物を含む、抗ウィルス剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷感刺激を与える組成物、並びにこの組成物を含む物品、除菌剤および抗ウィルス剤に関する。
【背景技術】
【0002】
温暖化が進む現在、日本の夏はますます暑さが厳しくなっている。そのため、外出先でも簡便に冷感が得られる商品がたくさん出回っている。
【0003】
簡便に冷感が得られる製品としては、たとえば冷却スプレーやデオドラントが挙げられる。これらの製品の中には、メントールを冷却剤として含むものがある。
【0004】
さて、メントールは、気化熱による冷却ではなく、人体の神経末端の冷受容体に直接作用することによって、ヒトに「冷たい」という刺激を与えるものである。
【0005】
たとえば、特許文献1には、冷却剤としてメントール等を含む組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
市販されているデオドラントなどをヒトの肌に散布すると、散布した瞬間から少しの間は冷却感を感じることができるが、時間の経過とともに冷却感が失われやすい。
【0008】
また、デオドラント業界では、さらなる刺激を与える組成物が求められている。
【0009】
そして、2020年初頭からの新型コロナウィルスの世界的な感染の広がりから、容易に行うことができる除菌やウィルス除去が求められている。
【0010】
本発明の目的は、長時間、強い冷却感を与えることができる組成物、並びにこの組成物を含む物品、除菌剤および抗ウィルス剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、メントールと、ペパーミントオイルと、ユーカリオイルとを含有する、組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、アルコールを含まない上記組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、
メントールの含有量は、組成物100質量%に対し、25質量%以上35質量%以下であり、
ユーカリオイルの含有量は、組成物100質量%に対し、15質量%以上25質量%以上であり、
ペパーミントオイルの含有量は、組成物100質量%に対し、5質量%以上15質量%以下である、組成物を提供する。
【0014】
上記メントールの含有量は、組成物100質量%に対し、30質量%であり、
上記ユーカリオイルの含有量は、組成物100質量%に対し、20質量%であり、
上記ペパーミントオイルの含有量は、組成物100質量%に対し、10質量%である、上記組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、樟脳と、ボルネオールフレークと、クローブオイルとをさらに含有する上記組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、上記組成物を含む、使用者に冷却感を与える物品を提供する。
【0017】
また、本発明は、上記組成物を含む、除菌剤を提供する。
【0018】
また、本発明は、上記組成物を含む、抗ウィルス剤を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の組成物は、ヒトに適用すると、瞬時に強い冷却感を与えることができる。また、冷却感は、適用後すぐに消尽せず、長時間維持される。
【0020】
また、本発明の使用者に冷却感を与える物品は、使用者に対し、強い冷却感を瞬時与えることができる。また、冷却感は、適用後すぐに消尽せず、長時間維持できる。
【0021】
また、本発明の除菌剤は、雑菌を効果的に除菌できる。
【0022】
また、本発明の抗ウィルス剤は、たとえば新型コロナウィルスやインフルエンザウイルスを効果的に不活性化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の物品の他の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】本発明の物品の一例を示す概略斜視図である。
【
図3】
図2に示す物品の蓋をとった状態の概略斜視図である。
【
図4】実施例の組成物の抗インフルエンザウィルス試験結果を示す図である。
【
図5】実施例の組成物の抗コロナウィルス試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の組成物は、圧倒的な「スースー感」、すなわち強い冷却感を瞬時に使用者に与えることができ、かつこのスースー感を「長時間持続」できる。また、本発明の組成物は、従来の「拭う」、「洗う」というアプローチに限られず、「嗅ぐ」、「垂らす」、「噴霧する」などのアプローチで、使用者に圧倒的な「スースー感」と「自由度の高いアプローチ」を与えることができる。
【0025】
また、本発明の使用者に冷却感を与える物品は、圧倒的な「スースー感」、すなわち強い冷却感を使用者に与えることができ、スースー感を長時間持続できる。また、紙や布等に本発明の組成物を染み込ませた物品、または本発明の組成物を固体状、液体状、もしくは気体状で収容した物品であれば、本発明の組成物を吸い込むだけでも冷却感を与えることができるので、「嗅ぐ」というアプローチでもスースー感を使用者に与えることができる。また、組成物を液滴として垂らすことができる物品であれば、「垂らす」というアプローチでスースー感を使用者に与えることができる。また、組成物をスプレーとして噴霧できる物品であれば、「噴霧する」というアプローチでスースー感を使用者に与えることができる。
【0026】
また、本発明の除菌剤は、雑菌を効果的に除菌できる。
【0027】
また、本発明の抗ウィルス剤は、たとえば新型コロナウィルスやインフルエンザウイルスを効果的に不活性化することができる。
【0028】
以下、本発明の組成物、使用者に冷却感を与える物品、除菌剤および抗ウィルス剤を詳細に説明する。ただし、以下は単なる例示であり、本発明は以下に説明する態様に限定されるものではない。
【0029】
[組成物]
本発明の組成物は、メントールと、ユーカリオイルと、ペパーミントオイルとを、必須成分として含有する。
【0030】
メントールは、ミントに含まれる成分の1つである。メントールには、眠気覚まし、気分転換、筋肉痛の緩和、口臭・体臭を和らげる、頭痛、肩こりを楽に、傷みやかゆみを鎮める効果がある。また、冷え性には保温効果がある。
【0031】
本発明に使用するメントールは、結晶メントール(CAS No. 2216-51-5)を使用することができる。本発明に使用するメントールは、任意のメントール、たとえば市販のメントールを使用することができ、たとえば本発明を商品化できるタイのOEM会社による仕入れによって高純度な結晶メントールを入手することができる。
【0032】
ユーカリオイルは、ユーカリ属の植物の葉、枝を水蒸気蒸留して得られる精油である。抗菌作用、デオドラント(消臭)作用に優れている。意識を明確にし、集中力を高める歓喜や怒りなどの興奮に対して、気持ちを鎮め、冷静さを取り戻す助けになる。また毛細血管を収縮し、冷却作用を発揮する。また、炎症、かゆみ、日焼けの症状を緩和できる。そして、毒素のうっ滞を取り除き、疥癬、皮膚炎、白癬、かゆみに対しても役立つ。
【0033】
本発明に使用するユーカリオイルは、ユーカリオイル(CAS No. 8000-48-4)を使用することができる。本発明に使用するユーカリオイルは、任意のユーカリオイル、たとえば市販のユーカリオイルを使用することができ、たとえば本発明を商品化できるタイのOEM会社による仕入れによってユーカリオイルを入手することができる。
【0034】
ペパーミントオイルは、ハッカ油とも呼ばれ、ペパーミントの葉から得られる精油で、メントールのスッとした香りの中に程よい甘さを感じる爽やかな香りが特徴である。眠気覚まし、頭と気持ちをはっきりさせる効能もある。また、乗物酔いや殺菌、防虫効果に有効である。さらに、怒りやヒステリーなどの興奮時の状態を好転させる効能もある。そして、呼吸不調全般、鼻づまり、からせき、気管支炎、喘息時に短期間炎症を軽減させる効果もある。
【0035】
本発明に使用するペパーミントオイルは、ペパーミントオイル(CAS No. 8006-90-4)を使用することができる。本発明に使用するペパーミントオイルは、任意のペパーミントオイル、たとえば市販のペパーミントオイルを使用することができ、たとえば本発明を商品化できるタイのOEM会社による仕入れによってペパーミントオイルを入手することができる。
【0036】
本発明の組成物は、メントールと、ユーカリオイルと、ペパーミントオイルとを組み合わせて含むことにより、圧倒的な「スースー感」、すなわち強い冷却感を瞬時に使用者に与えることができ、かつこのスースー感を長時間持続できる。それにより、気温が高過ぎても、使用者に快適感を与えることができる。
【0037】
さらに、本発明の組成物が与える冷却感は、使用者の気分を高めることができ、イベントやスポーツで受ける興奮を高めることができる。
【0038】
また、本発明の組成物は、メントールの覚醒効果より、勉強、デスクワーク、作業、トレーニングなどの際の集中力を高めることができる。さらに、本発明の組成物は、ユーカリオイルとメントールとの組み合わせの効果により、使用者にリラックス効果を与えることができ、ストレスを緩和することができる。それにより、本発明の組成物は、パフォーマンスを高めることができる。
【0039】
また、本発明の組成物は、ユーカリオイルの成分により、杉や稲などの花粉によるアレルギー反応を抑制することができる。さらに、花粉による不快感を低減することができる。よって、本発明の組成物は、花粉の季節の生活を向上できる。
【0040】
そして、本発明の組成物は、新型コロナウィルスやインフルエンザなどを効果的に不活化させることができる。また、本発明の組成物は、抗菌効果も有する。
【0041】
本発明の組成物は、従来の冷却剤に多い、含アルコール組成物ではないものであり得る。すなわち、本発明の組成物は、アルコールを含まなくてもよい。アルコールを含まないことにより、アルコール過敏症のヒトも安心して使用することができる。また、本発明の組成物は、アルコールの気化に基づく冷却感を利用する必要がない。また、本発明の組成物は、アルコールや水分の揮発による冷却ではなく、オイル成分による冷却効果であるため、長期間にわたって効果を発揮することができる。従来のデオドラント商品の多くは、アルコールまたは水分を主成分とした液体を用いて「拭く」、「洗う」、「スプレーする」ことによって冷却感を生じさせるが、本発明の組成物は、オイル成分の鮮烈なスースー感を「嗅ぐ」、「垂らす」、「スプレーする」という全く新しい使用方法で、鼻腔内、マスク内、首筋、ワキ等体温の高い箇所、冷感が気持ちよい箇所に、好みの量で使用することができる。
【0042】
なお、本発明の組成物は、アルコールを除外するものではなく、アルコールを含むものであってもよい。
【0043】
本発明の組成物において、メントールの含有量は、25質量%以上35質量%以下であることが好ましく、27質量%以上32質量%以下であることが好ましく、最も好ましくは30質量%である。また、ユーカリオイルの含有量は、15質量%以上25質量%以上であることが好ましく、18質量%以上21質量%以下であることが好ましく、最も好ましくは20質量%である。また、ペパーミントオイルの含有量は、5質量%以上15質量%以下であることが好ましく、8質量%以上13質量%以下であることが好ましく、最も好ましくは10質量%である。なお、上記含有量は、組成物の質量を100質量%とした場合の各成分の含有量である。
【0044】
各成分の含有量が上記好ましい範囲にあると、より刺激的な冷却効果、より高い覚醒効果、より高いリラックス効果を与えることができる。
【0045】
本発明の組成物は、他の成分をさらに含むこともできる。たとえば、樟脳と、ボルネオールフレークと、クローブオイルとをさらに含有することができる。
【0046】
樟脳は、カンファーとも呼ばれ、強く刺すような樹脂系のシャープな香りを持つ。優れた防虫効果があり、古くから防虫剤の原料として知られている。中枢神経 興奮作用、局所刺激作用、防腐作用があり、凍傷、神経痛、打撲傷、皮膚病などの薬に配合される。
【0047】
本発明に使用する樟脳は、カンファー(CAS No. 76-22-2)を使用することができる。本発明に使用する樟脳は、任意のカンファー、たとえば市販のカンファーを使用することができ、たとえば本発明を商品化できるタイのOEM会社による仕入れによって高純度なカンファ―を入手することができる。
【0048】
ボルネオールは、自然植物の花や葉、木部、果皮、樹皮、根、種子などの部分に存在する天然の液体のことで、その植物の香り成分が凝縮されて含まれている。アロマ芳香剤、殺虫剤、線香、漢方薬など幅広く利用されている。神経疲労、神経痛、熱、感染症、気管支炎、咳、循環不全、リウマ チ、捻挫、衰弱切り傷、内出血、虫除けに効果がある。
【0049】
本発明に使用するボルネオールは、ボルネオールフレーク(CAS No. 507-70-0)を使用することができる。本発明に使用するボルネオールは、任意のボルネオール、たとえば市販のボルネオールを使用することができ、たとえば本発明を商品化できるタイのOEM会社による仕入れによってボルネオ―ルを入手することができる。
【0050】
本発明に使用するクローブオイルは、純度85%以上のクローブオイル(CAS No. 8000-34-8)を使用することができる。本発明に使用するクローブオイルは、任意のクローブオイル、たとえば市販のクローブオイルを使用することができ、たとえばタイのOEM会社による仕入れによってクローブオイルを入手することができる。
【0051】
スプレー等に使用するための液剤は、各成分を混合することによって溶液として製造することができる。本発明の組成物は、たとえば、各成分を混合するだけで簡単に製造することができる。なお、メンソールは、たとえば結晶として混合してもよい。また、樟脳は、オイルとして混合してもよいし、または粉末であってもよい。インヘラーに使用するためには、各成分を混合することによって上記液剤とし、これを固体とすることによって製造することができる。たとえば、インヘラー用に液体を固体化するために一般的に使用される材料を上記液剤と混合して固体にすることによってて製造することができる。
【0052】
本発明の組成物は、メントールとユーカリオイルとペパーミントオイルとを含有することにより、各成分を単独で使用する従来の成分と比較して、圧倒的な「スースー感」、すなわち強い冷却感を瞬時に使用者に与えることができ、かつこのスースー感を「長時間持続」できる。
【0053】
[物品]
本発明の物品は、上記組成物を含む、使用者に冷却感を与える物品である。
【0054】
本発明の組成物は、上記の通り、強い冷却感を与えることができ、使用者の集中力を高めることができ、使用者にリラックス効果を与えることができ、ストレスを緩和することができ、花粉の季節の生活を向上でき、新型コロナウィルスやインフルエンザなどを効果的に失活させることができ、雑菌効果も有する。
【0055】
本発明の物品の具体的な態様は特に限定されないが、本発明の組成物の上記効果のいずれかを効果的に発揮できる態様であることが好ましい。
【0056】
以下に、本発明の物品の具体例を図面を参照しながら説明する。しかし、本発明の物品は、以下に図示する例に限定されるものではない。
【0057】
たとえば、本発明の物品は、液体としての本発明の組成物と、該組成物を収容した容器とを含むことができる。
【0058】
【0059】
図1に示す物品1は、スプレーの例を示す。物品1は、液体状の本発明の組成物10を収容した容器11を含む。容器11は、有底の瓶であり、開口部を有する。開口部は、蓋12で閉じられている。蓋12には、通路13が貫通している。通路13の上端には、スプレー口14が接続される。スプレー口14は、通路13から吸い上げた組成物10を噴霧できるように接続することにいおり、組成物10をスプレーすることもできる。これにより、組成物10を使用者の所望の場所に「噴霧」して、冷却感等を与えることができる。スーツ等の衣服の上に噴霧しても、使用者に爽快感を与えることが出来る。
【0060】
容器11の材料は、特に限定されない。たとえば、ガラス製でも良いし、プラスチック製でもよい。蓋12の材料も、特に限定されない。
【0061】
図1では、通路13の上端にスプレー口14を備えるが、通路13を単に管として設置してもよい。たとえば、管13を通して、本発明の組成物10を、「垂らす」ことで、使用者に冷却感等を与えることができる。より具体的には、たとえば、お湯をはった浴槽に垂らすことで、体を冷やさずに、メントールによる冷却感等を享受できる。あるいは、ハンカチ等に組成物10を「垂らし」、組成物10を所望の場所に塗布することもできる。
【0062】
あるいは、管13を通して、組成物10の上記を「嗅ぐ」ことでも、使用者は冷却感等を享受できる。
【0063】
【0064】
図2および
図3に示す物品1は、インヘラーとして使用される例を示す。物品1は、容器1を有する。容器1は、
図3に示す、固体状の本発明の組成物10を収容している。物品1は、固体状の組成物10を覆うことができる蓋12をさらに含む。
図3は、
図2に示した物品1から蓋12を外した状態のものである。
【0065】
使用者は、物品1の使用時、
図3のように蓋12をはずし、組成物10を「嗅ぐ」ことで、冷却感等を享受することができる。
【0066】
あるいは、固体状の組成物10は、摩擦に容易に溶融できるものであり得る。このようなものであれば、所望の部分、たとえば鼻腔内、マスク内、首筋・ワキ等体温の高い箇所、冷感が気持ち良いところに「塗る」ことでも、冷却感等を与えることができる。
【0067】
本発明の物品は、本発明の組成物を備えるものであれば良いので、たとえば、液体状の本発明の組成物を染み込ませた布や紙も、本発明に包含される。
【0068】
[除菌剤および抗ウィルス剤]
また、本発明の除菌剤および抗ウィルス剤は、本発明の組成物を含む。
【0069】
驚くべきことに、本発明の組成物は、以上に説明した強い冷却感や覚醒効果等だけでなく、除菌効果、およびウィルス不活化効果を有することが分かった。
【0070】
特に、本発明の組成物は、インフルエンザウィルスや新型コロナウィルスを有効に不活化できる。
【0071】
マスクや服の上から吹き付けることで、抗菌や抗ウィルスを図ることが出来る。
【実施例0072】
[組成物の調製]
(実施例)
実施例において使用した成分は、以下のとおりである:
(1)結晶メントール(CAS No. 2216-51-5)
(2)カンファー(CAS No. 76-22-2)
(3)ボルネオールフレーク(CAS No. 507-70-0)
(4)ユーカリオイル(CAS No. 8000-48-4)
(5)ペパーミントオイル(CAS No. 8006-90-4)
(6)クローブオイル(純度85%以上) (CAS No. 8000-34-8)
(7)エタノール
成分(1)-(6)は、市販品をタイのOEM会社による仕入れによって入手した。
【0073】
以下の組成の実施例の組成物は、各成分を示した割合で混合することにより、溶液として調製した。
(1)結晶メントール(CAS No. 2216-51-5) 30.00質量%
(2)カンファー(CAS No. 76-22-2) 15.00質量%
(3)ボルネオールフレーク(CAS No. 507-70-0) 15.00質量%
(4)ユーカリオイル(CAS No. 8000-48-4) 20.00質量%
(5)ペパーミントオイル(CAS No. 8006-90-4) 10.00質量%
(6)クローブオイル(純度85%以上) (CAS No. 8000-34-8) 10.00質量%
【0074】
(比較例)
以下の組成の比較例の組成物は、各成分を示した割合で混合することにより、溶液として調製した。
(1)結晶メントール(CAS No. 2216-51-5) 30.00質量%
(2)カンファー(CAS No. 76-22-2) 15.00質量%
(3)ボルネオールフレーク(CAS No. 507-70-0) 15.00質量%
(4)クローブオイル(純度85%以上) (CAS No. 8000-34-8) 10.00質量%
(5)エタノール 30質量%
【0075】
[官能試験]
100人の調査員の一方の腕に、実施例の組成物を噴霧した。また、もう一方の腕に、比較例の組成物を噴霧した。なお、どちら腕に実施例の組成物を噴霧したかは、調査員には隠しておいた。
【0076】
100人中、87人が、実施例の組成物の方が、冷却感が長持ちしたと回答した。
【0077】
[抗インフルエンザウィルス試験]
<試験資材の作製>
標準布を20mm×20mmの大きさに裁断し、重ねて質量を0.40g±0.05gとして、試験資材付付着布とした。
【0078】
対照資材として、無処理の標準布を用いた。
【0079】
<供試ウィルス>
インフルエンザウィルス:swine influenza virus H1N1 IOWA 株
培養細胞MDCK細胞(イヌ腎臓由来株化細胞)
【0080】
【0081】
試験は、「ISO 18184 JIS L 1922 繊維製品の抗ウイルス性試験法」を一部参考として実施した。
【0082】
<試験手順および方法>
(1)ウィルス液の接種およびウィルス力価測定
試験実施前に、資材を細胞意地培地10mLで洗い出し後、さらに10倍段階希釈し、各希釈液を培養細胞に接種し、37℃、5%CO2下で5日間培養した。培養細胞が正常な形状を示さなかった場合、資材による細胞毒性有りと判定し、本試験では細胞毒性が確認された希釈倍率を試験から除外した。
その結果、試験資材では10倍希釈液において細胞の発育不良が確認された。試験に際しては、試験資材とウィルスの混合液を10倍以上希釈した後接種する必要があると判明した。本試験における検出限界は洗い出し液中の濃度として100.5TCID50/mL、試験片当たり102.5TCID50/試験片とした。
<1>各試験片をバイアル瓶に入れオートクレーブ処理を行い、自然乾燥させた。
<2>試験区は試験資材を全体にスプレーしたものを、対照区は未処理のものを供試した。
<3>試験片表面にウィルス液を0.2mL添加して密封した。
<4>対照区のみウィルス添加直後、バイアル瓶内に細胞意地培地を10mL入れ試験片からウィルスを洗い出した。残りの試験片は、室温下で所定の時間静置し感作時間とした。
<5>感作時間経過後、密封容器内に細胞維持培地を10mL添加し、試験片に付着している残存ウィルスを洗い出した。
<6>洗い出し液について、さらに細胞維持培地で10倍段階希釈を行い、各希釈液を96wellマイクロプレートの培養細胞に接種し、5%CO2ガス存在下で37℃、5日間培養した。
<7>培養細胞を顕微鏡観察し、培養細胞に現れるCPE(細胞変性)をもってウィルス増殖の有無を確認し、その濃度を算出した。
【0083】
<評価>
試験結果において、検査時点ごとに、対照区に対する試験区の減少率(%)を算出し、効果を確認した。
なお、本試験において減少率は以下の式で算出した。
減少率(%) = {(対照区-試験区)/対照区}×100
【0084】
<結果>
インフルエンザウイルスに対する試験結果を表2および
図4に示した。
【0085】
対照区では試験開始から、開示後2時間までの間にウイルス量の変化は見られなかった(107.5TCID50/試験片)
【0086】
試験区では開始後2時間で103.7TCID50未満/試験片、すなわち減少率99.98%以上となった。
【0087】
【0088】
<考察>
今回、試験資材のインフルエンザウイルスに対する不活性効果試験を実施した。その結果、2時間の接触で、99.98%の不活性効果があることが判明した。
【0089】
[抗コロナウィルス試験]
この試験では、以下の供試ウイルスを用いたこと以外は、抗インフルエンザウィルス試験と同様にして、抗コロナウィルス試験を行なった。
<供試ウィルス>
SARS-CoV-2(新型コロナウィルス デルタ株)
人由来分離株:唾液よりVero細胞を用いて分離培養後、リアルタイムPCRを用いてSARS-CoV-2遺伝子の増幅の確認(厚生労働省通知法)およびN501Y(-)、L452(+)の変更確認を行なったウイルス株
【0090】
<結果>
SARS-CoV-2(デルタ株)に対する試験結果を表3および
図5に示した。
【0091】
試験開示においては、ウィルス感染価で105.3TCID50/試験片であった。対照区では開始2時間後においてウィルスの自然減衰が見られた104.9TCID50/試験片となった。
【0092】
試験区では、開示2時間後で104.9TCID50未満/試験片、すなわち減少率99.59%以上となった。
【0093】
【0094】
<考察>
本試験は、試験資材のSARS-CoV-2(デルタ株)に対する効果を確認するために実施した。
【0095】
試験の結果、2時間接触させることで、99.59%以上のウイルス不活性効果が見られるものと判定された。
本発明の組成物は、圧倒的な「スースー感」、すなわち強い冷却感を瞬時に使用者に与えることができ、かつこのスースー感を長時間持続できる。また、本発明の組成物は、従来の「拭う」「洗う」というアプローチに限られず、「嗅ぐ」「垂らす」「噴霧する」などのアプローチで、使用者に圧倒的な「スースー感」を与えることができる。
たとえば、本発明の使用者に冷却感を与える物品は、鼻腔内、マスク内、首筋・ワキ等体温の高い箇所、冷感が気持ち良いところに適用することで、圧倒的なスースー感で働きかけることができる。
本発明の組成物および物品の衝撃的スースー体験がもたらす効果としては、たとえば、以下が挙げられる:(1)温暖化によって年々暑くなる日本に体感的にスースーする気持ち良い効果、(2)マスク文化によるマスク内の蒸れ感緩和を緩和する効果、(3)抗菌効果によるウイルス・雑菌対策、(4)花粉シーズンの粘膜的不快感の軽減、(5)眠気を覚ます効果、(6)アロマ効果によるストレス軽減、(7)スポーツシーンでの鮮烈な涼感と抗菌による体臭発生の抑制。