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特開2024-154866シャットオフノズルの調整方法、シャットオフノズル、射出装置、および射出成形機
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154866
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】シャットオフノズルの調整方法、シャットオフノズル、射出装置、および射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/23 20060101AFI20241024BHJP
   B22D 17/20 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B29C45/23
B22D17/20 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069059
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AJ08
4F206AM03
4F206AM24
4F206AR07
4F206AR12
4F206JA07
4F206JD01
4F206JL02
4F206JL08
4F206JN15
4F206JP17
4F206JQ45
4F206JQ46
4F206JQ78
4F206JT01
4F206JT27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ニードル弁をニードル孔に対して適切な挿入状態に調整する、シャットオフノズルの調整方法を提供する。
【解決手段】シャットオフノズル5は、射出流路35とニードル孔36が形成されているノズル部28と、ニードル孔36に進退自在に挿入されるニードル弁29と、ニードル弁29を駆動するシリンダユニット31と、を備えている。シリンダユニット31はその後端部でブラケット33により回転可能に支持され、ブラケット33は射出装置3の固定部材42に対して固定手段46により固定されている。本開示のシャットオフノズル5の調整方法は、固定手段46を解除して固定部材42に対してブラケット33のスライドが許容されるようにし、射出装置3とノズル部28とをヒータ25により加熱し、シリンダユニット31駆動してニードル弁29を最前進位置にし、そして固定手段46を締結してブラケット33を固定部材42に固定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出装置に設けられているシャットオフノズルの調整方法であって、
前記シャットオフノズルは、内部に軸方向の射出流路が形成されていると共にその外周面から前記射出流路に達するニードル孔が形成されているノズル部と、
前記ニードル孔に進退自在に挿入されて前記射出流路を開閉するニードル弁と、
前記ニードル弁を進退方向に駆動するシリンダユニットと、
前記シリンダユニットをその後端部で回転可能に支持するブラケットと、
前記ブラケットを前記射出装置の固定部材に対して固定する固定手段と、を備え、
前記固定手段を解除して前記固定部材に対して前記ブラケットの所定幅のスライドを許容する固定解除工程と、
前記射出装置と前記ノズル部とをヒータにより加熱する昇温工程と、
前記シリンダユニットを駆動して前記ニードル弁を最前進位置にして前記ブラケットのスライド位置を調整するニードル弁最前進駆動工程と、
前記固定手段を締結して前記ブラケットを前記固定部材に固定する固定工程と、を備えている、シャットオフノズルの調整方法。
【請求項2】
前記固定手段は締結用ボルトであり、前記固定手段の解除は前記締結用ボルトを緩めることであり、
前記ブラケットには前記締結用ボルトの軸部が貫通する締結用ボルト穴が形成され、
前記締結用ボルト穴は前記軸部の径より大径の穴、または長穴に形成されている、請求項1に記載のシャットオフノズルの調整方法。
【請求項3】
前記固定部材にはノックピンが固定され、前記ブラケットには前記ノックピンが挿入されている長穴のガイド穴が開けられており、前記固定手段が解除された状態で前記固定部材に対する前記ブラケットのスライドの方向が規制されている、請求項1または2に記載のシャットオフノズルの調整方法。
【請求項4】
前記ニードル弁の頭部は半球状に形成されており、前記ニードル孔の先端部は球面状の凹部に形成されており、前記ニードル弁最前進駆動工程を実施すると前記頭部が前記凹部に着座するようになっている、請求項1または2に記載のシャットオフノズルの調整方法。
【請求項5】
前記シャットオフノズルは、前記固定部材と前記シリンダユニットの前記後端部との前記軸方向に対して垂直な方向の距離である垂直距離を調整する垂直距離調整手段を備え、
前記シャットオフノズルの調整方法は、前記ニードル弁最前進駆動工程の実施後に、前記垂直距離調整手段により前記垂直距離を調整する垂直距離調整工程を実施し、その後前記固定工程を実施する、請求項1または2に記載のシャットオフノズルの調整方法。
【請求項6】
前記垂直距離調整手段は垂直距離調整用ボルトから構成され、前記垂直距離調整用ボルトは、前記ブラケットに空けられているナット部に螺合し、その先端が前記ブラケットを突き出て前記固定部材に接触しており、
前記垂直距離調整工程は、前記垂直距離調整用ボルトの前記ブラケットから突き出た長さを調整することにより前記垂直距離を調整する、請求項5に記載のシャットオフノズルの調整方法。
【請求項7】
内部に軸方向の射出流路が形成されていると共にその外周面から前記射出流路に達するニードル孔が形成されているノズル部と、
前記ニードル孔に進退自在に挿入されて前記射出流路を開閉するニードル弁と、
前記ニードル弁を進退方向に駆動するシリンダユニットと、
前記シリンダユニットをその後端部で回転可能に支持するブラケットと、
前記ブラケットを射出装置の固定部材に対して固定する固定手段と、を備え、
前記固定部材にはノックピンが固定され、前記ブラケットには前記ノックピンが挿入されている長穴のガイド穴が開けられており、
前記ブラケットは、前記固定手段が解除されると、前記ノックピンによってスライド方向が規制された状態で前記固定部材に対して所定幅のスライドが許容され、任意のスライド位置において前記固定手段により前記固定部材に固定されるようになっている、シャットオフノズル。
【請求項8】
前記固定手段は締結用ボルトからなり、前記ブラケットには前記締結用ボルトの軸部が貫通する締結用ボルト穴が形成され、前記締結用ボルト穴は前記軸部の径より大径の穴、または長穴に形成されている、請求項7に記載のシャットオフノズル。
【請求項9】
前記ニードル弁の頭部は半球状に形成されており、前記ニードル孔の先端部は球面状の凹部に形成されており、前記ニードル弁を最前進位置に駆動すると前記頭部が前記凹部に着座するようになっている、請求項7または8に記載のシャットオフノズル。
【請求項10】
前記シャットオフノズルは、前記固定部材と前記シリンダユニットの前記後端部との前記軸方向に対して垂直な方向の距離である垂直距離を調整する垂直距離調整手段を備えている、請求項7または8に記載のシャットオフノズル。
【請求項11】
前記垂直距離調整手段は垂直距離調整用ボルトから構成され、前記垂直距離調整用ボルトは、前記ブラケットに空けられているナット部に螺合し、その先端が前記ブラケットを突き出て前記固定部材に接触しており、前記垂直距離調整用ボルトの前記ブラケットから突き出た長さを調整することにより前記垂直距離が調整される、請求項10に記載のシャットオフノズル。
【請求項12】
加熱シリンダと、
前記加熱シリンダに入れられたスクリュと、
前記加熱シリンダに設けられているシャットオフノズルと、を備えた射出装置であって、
前記シャットオフノズルは、内部に軸方向の射出流路が形成されていると共にその外周面から前記射出流路に達するニードル孔が形成されているノズル部と、
前記ニードル孔に進退自在に挿入されて前記射出流路を開閉するニードル弁と、
前記ニードル弁を進退方向に駆動するシリンダユニットと、
前記シリンダユニットをその後端部で回転可能に支持するブラケットと、
前記ブラケットを前記射出装置の固定部材に対して固定する固定手段と、を備え、
前記固定部材にはノックピンが固定され、前記ブラケットには前記ノックピンが挿入されている長穴のガイド穴が開けられており、
前記ブラケットは、前記固定手段が解除されると、前記ノックピンによってスライド方向が規制された状態で前記固定部材に対して所定幅のスライドが許容され、任意のスライド位置において前記固定手段により前記固定部材に固定されるようになっている、射出装置。
【請求項13】
前記固定手段は締結用ボルトからなり、前記ブラケットには前記締結用ボルトの軸部が貫通する締結用ボルト穴が形成され、前記締結用ボルト穴は前記軸部の径より大径の穴、または長穴に形成されている、請求項12に記載の射出装置。
【請求項14】
前記ニードル弁の頭部は半球状に形成されており、前記ニードル孔の先端部は球面状の凹部に形成されており、前記ニードル弁を最前進位置に駆動すると前記頭部が前記凹部に着座するようになっている、請求項12または13に記載の射出装置。
【請求項15】
前記シャットオフノズルは、前記固定部材と前記シリンダユニットの前記後端部との前記軸方向に対して垂直な方向の距離である垂直距離を調整する垂直距離調整手段を備えている、請求項12または13に記載の射出装置。
【請求項16】
前記垂直距離調整手段は垂直距離調整用ボルトから構成され、前記垂直距離調整用ボルトは、前記ブラケットに空けられているナット部に螺合し、その先端が前記ブラケットを突き出て前記固定部材に接触しており、前記垂直距離調整用ボルトの前記ブラケットから突き出た長さを調整することにより前記垂直距離が調整される、請求項15に記載の射出装置。
【請求項17】
射出材料を射出する射出装置と、
金型を型締する型締装置と、を備え、
前記射出装置は、加熱シリンダと、
前記加熱シリンダに入れられたスクリュと、
前記加熱シリンダに設けられているシャットオフノズルと、を備え、
前記シャットオフノズルは、内部に軸方向の射出流路が形成されていると共にその外周面から前記射出流路に達するニードル孔が形成されているノズル部と、
前記ニードル孔に進退自在に挿入されて前記射出流路を開閉するニードル弁と、
前記ニードル弁を進退方向に駆動するシリンダユニットと、
前記シリンダユニットをその後端部で回転可能に支持するブラケットと、
前記ブラケットを前記射出装置の固定部材に対して固定する固定手段と、を備え、
前記固定部材にはノックピンが固定され、前記ブラケットには前記ノックピンが挿入されている長穴のガイド穴が開けられており、
前記ブラケットは、前記固定手段が解除されると、前記ノックピンによってスライド方向が規制された状態で前記固定部材に対して所定幅のスライドが許容され、任意のスライド位置において前記固定手段により前記固定部材に固定されるようになっている、射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に設けられるシャットオフノズルの調整方法、シャットオフノズル、シャットオフノズルを備えた射出装置、および射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の射出装置に設けられるシャットオフノズルは、射出ノズルの射出材料が流れる流路を開閉していわゆるハナタレを防止することができるようになっている。シャットオフノズルには色々なタイプがあり、例えば特許文献1に記載されているように、ノズル部と、このノズル部に対して斜めに設けられたニードル弁とからなるシャットオフノズルがある。このようなタイプのシャットオフノズルは、ノズルの外周面からノズル内の射出流路に達する斜めの孔、つまりニードル孔が開けられている。このニードル孔にニードル弁が進退自在に挿入されている。ニードル弁を前進させると射出流路が閉鎖され、後退させると射出流路が開くようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-274125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなタイプのシャットオフノズルにおいてニードル弁はシリンダユニットによって駆動されて前後進されるようになっている。射出装置の所定の固定部材に対してボルトによりブラケットが取り付けられ、シリンダユニットはその後端部でブラケットに対して回転可能に支持されている。シャットオフノズルを射出装置に取り付けるとき、ブラケットを固定部材に対してノックピン等により位置決めする。この位置決めにより、ニードル弁をニードル孔に対して適切に挿入された状態にする。そうすると、ニードル弁は滑らかにニードル孔に対して摺動するはずである。しかしながら、射出装置の加熱シリンダとノズル部とをヒータにより加熱して運転可能な状態にすると、ニードル孔に対してニードル弁の挿入状態にズレが生じることがある。ズレが生じると、ニードル弁をニードル孔で前後進させるとき引っかかりが生じてしまう。
【0005】
本開示において、ニードル弁をニードル孔に対して適切な挿入状態に調整する、シャットオフノズルの調整方法を提供する。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、射出装置に設けられているシャットオフノズルの調整方法になっている。シャットオフノズルは、内部に軸方向の射出流路が形成されていると共にその外周面から射出流路に達するニードル孔が形成されているノズル部と、ニードル孔に進退自在に挿入されるニードル弁と、ニードル弁を駆動するシリンダユニットと、を備えている。シリンダユニットはその後端部でブラケットにより回転可能に支持され、ブラケットは射出装置の固定部材に対して固定手段により固定されるようになっている。本開示のシャットオフノズルの調整方法は、固定手段を解除して固定部材に対してブラケットの所定幅のスライドを許容する固定解除工程を実施する。次いで射出装置とノズル部とをヒータにより加熱する昇温工程を実施し、シリンダユニットを駆動してニードル弁を最前進位置にしてブラケットのスライド位置を調整するニードル弁最前進駆動工程を実施する。そして、固定手段を締結してブラケットを固定部材に固定する固定工程を実施するようにする。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、ニードル弁をニードル孔に対して適切な挿入状態になるようシャットオフノズルを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る射出成形機を示す正面図である。
図2】第1の実施形態に係るシャットオフノズルと射出装置の一部を示す正面断面図である。
図3】第1の実施形態に係るシャットオフノズルのブラケットの側面図である。
図4】第1の実施形態に係るシャットオフノズルのノズル部の一部とニードル弁の一部とを示す正面断面図である。
図5】第1の実施形態に係るゲージを示す斜視図である。
図6】第1の実施形態に係るシャットオフノズルの調整方法を説明するフローチャートである。
図7A】第1の実施形態に係るシャットオフノズルの正面断面図である。
図7B】第1の実施形態に係るシャットオフノズルの正面断面図である。
図7C】第1の実施形態に係るシャットオフノズルのノズル部の一部とニードル弁の一部とを示す正面断面図である。
図7D】第1の実施形態に係るシャットオフノズルの正面断面図である。
図7E】第1の実施形態に係るシャットオフノズルの正面断面図である。
図8】第2の実施形態に係るシャットオフノズルの正面断面図である。
図9】第2の実施形態に係るシャットオフノズルのブラケットの側面図である。
図10】第2の実施形態に係るシャットオフノズルの調整方法を説明するフローチャートである。
図11A】第2の実施形態に係るシャットオフノズルの一部を示す正面断面図である。
図11B】第2の実施形態に係るシャットオフノズルの一部を示す正面断面図である。
図11C】第2の実施形態に係るシャットオフノズルの一部を示す正面断面図である。
図11D】第2の実施形態に係るシャットオフノズルのノズル部の一部とニードル弁の一部とを示す正面断面図である。
図11E】第2の実施形態に係るシャットオフノズルの一部を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0011】
[第1の実施形態]
<射出成形機>
第1の実施形態に係る射出成形機1は、図1に示されているように、いわゆる竪型射出成形機からなり、トグル式の型締装置2と、射出装置3と、を備えている。射出成形機1には制御装置4が設けられ、型締装置2、射出装置3を制御するようになっている。
【0012】
<型締装置>
型締装置2は、いわゆる竪型型締装置からなり、ベッド7に固定されている固定盤9と、この固定盤9の上方に設けられている上可動盤10と、ベッド7内に設けられている下可動盤11とを備えている。この実施の形態において、上可動盤10と下可動盤11は3本のタイバー12、12、…で連結されている。下可動盤11と固定盤9の間にはトグル機構14が設けられ、固定盤9の上にはターンテーブル15が設けられている。上可動盤10には上側金型17が、そしてターンテーブル15には下側金型18が設けられている。トグル機構14を駆動すると上側金型17と下側金型18が型開閉される。
【0013】
<射出装置>
射出装置3は、型締装置2の上可動盤10の上に設けられている。射出装置3は、加熱シリンダ19と、加熱シリンダ19内に設けられているスクリュ20と、スクリュ駆動装置22と、射出装置3全体を昇降する昇降装置23と、を備えている。加熱シリンダ19には、次に詳しく説明するが、図2に示されているように第1の実施形態に係るシャットオフノズル5が設けられている。そして、加熱シリンダ19とシャットオフノズル5にはヒータ25、25、…が設けられ、これらが加熱されるようになっている。ヒータ25、25、…により加熱し、そしてスクリュ20を回転すると射出材料が溶融され、計量される。スクリュ20を軸方向に駆動すると射出材料が射出される。
【0014】
<シャットオフノズル>
第1の実施形態に係るシャットオフノズル5は、図2に示されているように、ノズル部28と、ニードル弁29と、ニードル弁29を駆動するシリンダユニット31と、シリンダユニット31を支持するブラケット33と、を備えている。ノズル部28には、その内部に射出材料が流れる射出流路35が形成されている。本明細書において軸方向は、ノズル部28の軸の方向を意味するものとし、射出流路35は軸方向に形成されている。ノズル部28には、その外周面から射出流路35に達する孔、つまりニードル孔36も形成されている。ニードル孔36は軸方向に対して斜めに形成されており、ニードル弁29が進退自在に挿入されている。図4に示されているようにニードル孔36の先端部は球面状の凹部39に形成され、ニードル弁29の頭部38は半球状に形成されている。ニードル弁29を前進させると、この頭部38が凹部39に着座することになる。
【0015】
ニードル弁29は、シリンダユニット31によって駆動されるようになっており、ニードル弁29の後端部はシリンダユニット31のロッド40に対してカップリング41により接続されている。後で説明するように、シャットオフノズル5の調整が適切にされている場合、ニードル弁29を最前進位置に駆動するとき、露出しているロッド40の長さ43が規定の長さになる。この長さ43をチェックして、シャットオフノズル5の調整が適切にされているか否かを判定することができる。
【0016】
シリンダユニット31は、その後端部がブラケット33によって回転可能に支持されている。シリンダユニット31は流体の供給により駆動される。後で説明するように、シャットオフノズル5の調整方法を実施するとき、ブラケット33を上下のスライドが許容された状態にして、シリンダユニット31の駆動力によって、ブラケット33を上方にスライドさせるようにする。つまりブラケット33の重量に抗してブラケット33を上方にスライドさせるので、シリンダユニット31の駆動力は比較的大きい。エア等により駆動されるようになっていてもよいが、第1の実施形態においては比較的駆動力が大きい油圧等により駆動されるようになっている。
【0017】
ブラケット33は、射出装置3に設けられている固定部材42に対して取り付けられている。ブラケット33にはフランジ部44が形成され、このフランジ部44が締結用ボルト46、46、…によって固定部材42に固定されている。図3にはブラケット33を図2における矢印47の方向から見た図が示されている。フランジ部44には、4個のボルト穴49、49、…が空けられている。図3において、締結用ボルト46、46、…はその軸部50、50が示されている。軸部50、50の径に対してボルト穴49、49、…の径は大きい。したがって締結用ボルト46、46、…を緩めると、締結用ボルト46、46、…の軸部50、50はボルト穴49、49、…の範囲で移動が可能になる。つまり、ブラケット33を固定部材42(図2参照)に対して若干の範囲でスライドさせることができる。
【0018】
図2図3に示されているように、第1の実施形態においては固定部材42とブラケット33との間にノックピン52、52が設けられている。ノックピン52、52は固定部材42に埋め込まれ、その一部が露出している。ブラケット33には図3に示されているように長穴のガイド孔53、53が形成されている。ノックピン52、52の露出した部分は、このガイド孔53、53に入れられている。したがって、ノックピン52、52はガイド孔53、53に沿って長手方向での移動が可能になる。つまり、締結用ボルト46、46、…を緩めると、ブラケット33は、ノックピン52、52によってスライドの方向が規制された状態で、固定部材42に対して若干のスライドが許容されることになる。
【0019】
図2に示されているように、固定部材42にはニードル弁29をその後端部近傍で支持するガイド部55が設けられている。ガイド部55には斜めの貫通孔56が空けられており、ニードル弁29はこの貫通孔56に挿入されている。第1の実施形態において貫通孔56の内径はニードル弁29におけるこの部分の径よりも若干大きくなっており、ニードル弁29は若干の隙間が確保された状態で緩やかに挿入されている。
【0020】
<ゲージ>
次に説明する第1の実施形態に係るシャットオフノズル5(図2参照)の調整方法では、シリンダユニット31を駆動してニードル弁29を最前進位置にしたとき、ロッド40の露出部分の長さ43が適切かどうかをチェックする。図5には、このチェックを行うためのゲージ60が示されている。ゲージ60は肉厚の円筒を半割にしたような構造をしている。ゲージ60の内周面61は、その内径がロッド40(図2参照)の径より若干大きく、ロッド40に接するようになっている。ゲージ60の幅62は、ロッド40の長さ43に対応しており、これが適切な長さかどうかをチェックできるようになっている。
【0021】
<シャットオフノズルの調整方法>
第1の実施形態に係るシャットオフノズル5の調整方法を説明する。最初に図6に示されているように固定解除工程(ステップS01)を実施する。すなわち、図7Aに示されているように、締結用ボルト46、46を緩めてブラケット33の固定部材42に対する固定状態を解除する。そうすると、ブラケット33はノックピン52と長穴のガイド孔53とによってスライドの方向が上下方向に規制された状態で、所定範囲でスライドが許容される。次いで、図6に示されているように昇温工程(ステップS02)を実施する。すなわちヒータ25、25(図7A参照)により加熱シリンダ19とノズル部28とを加熱する。加熱によりこれらが運転可能な状態に昇温されるまで待機する。そうすると熱膨張により加熱シリンダ19とノズル部28がわずかに伸張する。
【0022】
加熱シリンダ19とノズル部28が昇温したら図6に示されているように、ニードル弁最前進駆動工程(ステップS03)を実施する。すなわち図7Bに示されているように、シリンダユニット31に流体を供給してニードル弁29を最前進位置に駆動する。そうすると、図7Cに示されているように、ニードル弁29の頭部38がノズル部28のニードル孔36の凹部39に着座する。ニードル弁29には矢印65の方向に反力が作用する。そうすると、図7Dに示されているように、シリンダユニット31を介してブラケット33に矢印66で示されているように上向きに力が作用する。この力によってブラケット33が重力に抗してわずかに上向きにスライドする。
【0023】
ゲージ60をロッド40の部分に挿入する。露出したロッド40の長さ43が適切になっていることを確認する。もし、適切な長さになっていなければ、ニードル弁29が最前進位置になっていない可能性がある。ニードル弁29に振動を与えたりしてニードル弁29がニードル孔36の中でスムーズにスライドされるようにする。あるいは、締結用ボルト46、46を緩めて、ニードル29を手で揺らしながらニードル29を複数回手で前進後退させる。さらには締結用ボルト46、46を緩めた後にガイド部55を緩めて貫通孔56とニードル弁29との摩擦を低減させてニードル29をシリンダユニット31に複数回流体を供給して前進後退確認してもよい。再びシリンダユニット31に流体を供給し、ニードル弁29を最前進位置まで駆動する。ゲージ60をロッド40の部分に挿入することができたら、ニードル弁最前進駆動工程を完了する。
【0024】
図6に示されているように、固定工程(ステップS04)を実施する。すなわち、図7Eに示されているように、締結用ボルト46、46を締め付ける。そうするとブラケット33が固定部材42に対して固定される。シャットオフノズル5の調整方法を完了する。
【0025】
[第2の実施形態]
<射出成形機>
第2の実施形態を説明する。第2の実施形態に係る射出成形機1についても、型締装置2、射出装置3、制御装置4については、図1に示されている第1の実施形態に係る射出成形機1、型締装置2、射出装置3、制御装置4と同様に構成されている。したがって、これらについての説明は省略する。
【0026】
<シャットオフノズル>
第2の実施形態に係るシャットオフノズル5Aは、図8に示されている。第2の実施形態に係るシャットオフノズル5Aは、ブラケット33Aの構造が第1の実施形態と異なっている。しかしながら他の部材、構造については図2に示されている第1の実施形態に係るシャットオフノズル5と同様に構成されている。したがって、同様に構成されている部材構造については説明を省略する。
【0027】
第2の実施形態に係るシャットオフノズル5Aのブラケット33Aも、第1の実施形態と同様に締結用ボルト46、46、…によって固定部材42に対して固定されるようになっているが、いくつかの点で第1の実施形態と異なっている。図9にはブラケット33Aを図8における矢印70から見た状態が示されている。ブラケット33Aのフランジ部44Aには、締結用ボルト46、46、…の軸部50、50、…が入れられるボルト穴71、71、…が空けられている。第2の実施形態においてこれらのボルト穴71、71、…は長穴からなる。したがって、これらボルト穴71、71、…によって締結用ボルト46、46、…の軸部50、50、…は上下方向の移動だけが許容される。第2の実施形態においては、第1の実施形態に設けられていたノックピン52、52(図2図3参照)はないが、第1の実施形態と同様にブラケット33Aは上下方向のスライドが許容される。
【0028】
第2の実施形態においてブラケット33Aには、垂直距離調整用ボルト73、73が設けられている。図9には垂直距離調整用ボルト73、73の軸部74、74、つまり雄ネジの部分が示されているが、フランジ部44Aには雌ネジが形成され、これら雌ネジに螺合している。そして垂直距離調整用ボルト73、73は、軸部74、74の先端部が図8に示されているようにフランジ部44Aを突き出して固定部材42に接している。したがって、垂直距離調整用ボルト73、73を回転すると、突き出した軸部74、74の長さが変化して、固定部材42に対するブラケット33Aの高さが変化する。つまりシャットオフノズル5Aにおける軸方向と垂直な方向の距離、つまり垂直距離を調整することができる。垂直距離調整用ボルト73、73は垂直距離調整手段になっている。
【0029】
<シャットオフノズルの調整方法>
第2の実施形態に係るシャットオフノズル5Aの調整方法を説明する。図10に示されているように、固定解除工程(ステップS01)を実施する。この工程は第1の実施形態と同様であり、図11Aに示されているように、締結用ボルト46、46、…を緩める。そうするとブラケット33Aが固定部材42に対して上下方向のスライドが許容される。このとき、垂直距離調整用ボルト73、73の先端が固定部材42から離間する。もし先端と固定部材42の隙間が原因でブラケット33Aがガタつくようであれば、図11Bに示されているように、垂直距離調整用ボルト73、73を回してガタつきをなくすようにしてもよい。あるいは、垂直距離調整用ボルト73、73を回して隙間を大きくしてもよい。いずれにしても、ブラケット33Aが固定部材42に対して滑らかにスライドできるようにする。
【0030】
図10に示されているように、昇温工程(ステップS02)を実施する。すなわち第1の実施形態と同様に、ヒータ25、25(図8参照)により加熱シリンダ19とノズル部28とを加熱する。昇温したら、ニードル弁最前進駆動工程(ステップS03)を実施する。すなわち第1の実施形態と同様に、シリンダユニット31に流体を供給してニードル弁29を最前進位置に駆動する。既に説明したように、ニードル弁29が最前進位置に駆動されると、シリンダユニット31によりブラケット33Aがわずかに上方向にスライドされる。必要に応じてゲージ60(図5参照)を使って、シリンダユニット31が最前進位置に駆動されていることを確認する。
【0031】
第2の実施形態においては、次に図10に示されているように、垂直距離調整工程(ステップS10)を実施する。すなわち、図11Cに示されているように、垂直距離調整用ボルト73、73を回転して、ブラケット33Aの固定部材42に対する垂直距離を調整する。そうすると、図11Dに示されているように、ニードル弁29の角度を調整することができる。ニードル弁29がニードル孔36に対して同軸になるように角度を調整する。つまりニードル孔36の内周面においてニードル弁29が片当たりしないように調整する。
【0032】
最後に固定工程(ステップS04)を実施する。図11Eに示されているように、締結用ボルト46、46、…を締め付ける。そうするとブラケット33Aが固定部材42に対して固定される。第2の実施形態に係るシャットオフノズル5Aの調整方法を完了する。
【0033】
<変形例>
第2の実施形態は垂直距離調整手段によって、固定部材42に対するブラケット33Aの高さを調整できる点が第1の実施形態と相違している。この垂直距離調整手段を変形することができる。例えば、垂直距離調整用ボルト73、73にロックナットを設け、これらが緩まないようにすることができる。また、垂直距離調整用ボルト73、73は、図9に示されているように2本からなるが、4本、あるいは他の本数設けるようにしてもよい。
【0034】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 4 制御装置
5 シャットオフノズル 7 ベッド
9 固定盤 10 上可動盤
11 下可動盤 12 タイバー
14 トグル機構 15 ターンテーブル
17 上側金型 18 下側金型
19 加熱シリンダ 20 スクリュ
22 スクリュ駆動装置 23 昇降装置
25 ヒータ 28 ノズル部
29 ニードル弁 31 シリンダユニット
33 ブラケット 35 射出流路
36 ニードル孔 38 頭部
39 凹部 40 ロッド
41 カップリング 42 固定部材
43 ロッドの長さ 44 フランジ部
46 締結用ボルト 49 ボルト穴
50 軸部 52 ノックピン
53 ガイド孔 55 ガイド部
56 貫通孔 60 ゲージ
71 ボルト穴 73 垂直距離調整用ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E