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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154879
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241024BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20241024BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20241024BHJP
   F21V 14/02 20060101ALI20241024BHJP
   F21V 13/02 20060101ALI20241024BHJP
   F21W 131/10 20060101ALN20241024BHJP
   F21W 107/10 20180101ALN20241024BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241024BHJP
【FI】
F21S2/00 330
F21S2/00 355
F21V5/04 250
F21V5/04 400
F21V5/04 500
F21V5/04 450
F21V5/00 510
F21V14/02 100
F21V13/02 400
F21W131:10
F21W107:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069084
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】安間 巳緒
(72)【発明者】
【氏名】高山 良平
(72)【発明者】
【氏名】小林 廉
(57)【要約】
【課題】ワークランプとして適切な照明装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の照明装置は、光源と、レンズとを備える。前記レンズは、前記光源の出射側に配置される。前記レンズは、光軸に直交する第1の方向に対して、自由曲面の入射面において前記光源から発せられた光を集光し、自由曲面の出射面において光を広げ、前記光軸および前記第1の方向と直交する第2の方向に対して、自由曲面の入射面において前記光源から発せられた光を集光し、自由曲面の出射面において光を集光する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源の出射側に配置されたレンズと、を備え、
前記レンズは、
光軸に直交する第1の方向に対して、自由曲面の入射面において前記光源から発せられた光を集光し、自由曲面の出射面において光を広げ、
前記光軸および前記第1の方向と直交する第2の方向に対して、自由曲面の入射面において前記光源から発せられた光を集光し、自由曲面の出射面において光を集光する、
照明装置。
【請求項2】
前記レンズは、
前記第1の方向に対して、入射面の断面形状が凹形状であり、出射面の断面形状が凸形状であり、
前記第2の方向に対して、入射面の断面形状が凸形状であり、出射面の断面形状が前記第1の方向の出射面よりも細い凸形状である、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1の方向は、使用時における水平方向であり、
前記第2の方向は、使用時における垂直方向である、
請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記レンズは、前記入射面および前記出射面から外側に延在する平坦部を有する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記レンズの中心軸に対する前記光源の配置を変えることで配光を調整する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源を複数とすることで配光を調整する、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
複数の前記光源の個々の発光量の比を制御することで配光を調整する、
請求項6に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクター等の農業機械に夜間の農作業を行うために設けられるワークランプとして用いられる照明装置がある。また、農業機械とは異なるが、建設機械の運転室の天井に設けられる作業灯が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
【0003】
従来の照明装置は、例えば、8個の略半球状の内面による反射面が設けられた、アルミ蒸着されたリフレクタを有しており、反射面の根元の開口部にLED(Light Emitting Diode)等の光源が配置されている。また、リフレクタの出射側には、例えば、拡散のためにフライアイレンズが設けられたアウターレンズが配置される。
【0004】
図1は、従来の照明装置が2台、トラクターの上部に取り付けられた場合の路面照度分布の例を示す図である。図1の下側の中央にトラクターがあり、2台の照明装置は、地面から例えば2.5mの高さに、左右に1.5mの間隔をもって配置され、進行方向を照らしている。照明装置が2台とされているのは、水平方向の配光を広くするためである。図1から明らかなように、正面の領域における路面照度は充分であるが、破線の三角形で示された左右の手前のトラクター前輪回りの領域に暗部が生じており、作業性や安全性を低下させる要因となり得る。
【0005】
一方、4台や8台の照明装置を搭載し、手動でそれぞれの照明装置の照射角度を変えることができるようにしたトラクターも提供されている。この場合、何台かの照明装置の照射角度をトラクター前輪回りに向けることで暗部を解消することが可能となるが、手動による調整が必要となり煩雑であった。また、照明装置の台数が多くなることで、照明装置の総重量の増加、消費電力の増大、コストアップ等の問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-227521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、夜間の農作業等における作業性や安全性を高めるためには、照射範囲が水平方向に広く、明るいものであるとともに、暗部が発生しないことが求められる。また、製品の軽さ、消費電力の少なさ、適正なコスト等も求められる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ワークランプとして適切な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る照明装置は、光源と、レンズとを備える。前記レンズは、前記光源の出射側に配置される。前記レンズは、光軸に直交する第1の方向に対して、自由曲面の入射面において前記光源から発せられた光を集光し、自由曲面の出射面において光を広げ、前記光軸および前記第1の方向と直交する第2の方向に対して、自由曲面の入射面において前記光源から発せられた光を集光し、自由曲面の出射面において光を集光する。
【0010】
本発明の一態様に係る照明装置は、ワークランプとして適切な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、従来の照明装置が2台、トラクターの上部に取り付けられた場合の路面照度分布の例を示す図である。
図2図2は、トラクターに照明装置が取り付けられた状態の例を示す図である。
図3図3は、一実施形態にかかる照明装置の構成例を示す図である。
図4図4は、レンズの斜視図(1)である。
図5図5は、レンズの斜視図(2)である。
図6図6は、レンズの図4におけるY-Y断面図である。
図7図7は、レンズの図4におけるX-X断面図である。
図8図8は、レンズによる水平方向と垂直方向のそれぞれの光線イメージの例を示す図である。
図9図9は、水平方向と垂直方向のそれぞれの光軸に対する角度での光度の例を示す図である。
図10図10は、照明装置の傾斜度に対する灯具姿勢、配光分布および路面照度分布の例を示す図である。
図11図11は、レンズの光軸方向の中心軸に対する光源の変位yを示す図である。
図12図12は、変位yに対する光線イメージ、配光分布および路面照度分布の例を示す図である。
図13図13は、2つの光源を設けた上で発光量の比(Duty)を変えた場合の光線イメージ、配光分布および路面照度分布の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る照明装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0013】
図2は、トラクターTに照明装置1が取り付けられた状態の例を示す図である。図2において、トラクターTの上部の前方に照明装置1が取り付けられる。なお、便宜上、照明装置1からの光の照射方向をZ軸の正方向、奥行方向をX軸方向、照射方向および奥行方向に直交する方向をY軸方向としている。
【0014】
図3は、一実施形態にかかる照明装置1の構成例を示す図である。図3において、照明装置1は、基板2と、光源3と、レンズ4とを備えている。なお、ケース(筐体)の図示は省略されている。基板2はプリント基板等であり、基板2上にはLED(Light Emitting Diode)等の光源3が配置されている。光源3には、基板2上の配線を介して駆動電流が供給されるようになっている。光源3の出射側には、レンズ4が配置されている。
【0015】
図4および図5はレンズ4の斜視図であり、図4はレンズ4の出射面4c側から見た図、図5はレンズ4の入射面4b側から見た図である。図4および図5において、レンズ4は、略平板状であり、中央の入射面4bおよび出射面4cによる凹凸部分の外側(入射面4bおよび出射面4cから外側に延在する部分)は平坦部4aとなっている。レンズ4の外側が平坦部4aとなっているため、筐体等の対象物への接着やネジ止め等による固定が容易に行えるようになっている。レンズ4の入射側(Z軸の負方向側)の略中央には自由曲面による入射面4bが設けられており、出射側(Z軸の正方向側)の略中央には自由曲面による出射面4cが設けられている。
【0016】
図6はレンズ4の図4におけるY-Y断面図であり、図7はレンズ4の図4におけるX-X断面図である。図6における左右方向(X軸方向、第1の方向)はトラクター等での使用時における水平方向である。入射面4bの断面形状は凹形状であり、出射面4cの断面形状は凸形状である。図7における左右方向(Y軸方向、第2の方向)はトラクター等での使用時における垂直方向である。入射面4bの断面形状は凸形状であり、出射面4cの断面形状は第1の方向の出射面4c(図6)よりも細い凸形状である。
【0017】
図8は、レンズ4による水平方向と垂直方向のそれぞれの光線イメージの例を示す図である。水平方向については、自由曲面の入射面4bにおいて光源3から発せられた光を集光し(フラット面と比較した場合は光を広げる)、自由曲面の出射面4cにおいて光を広げている。垂直方向については、自由曲面の入射面4bにおいて光源3から発せられた光を集光し、自由曲面の出射面4cにおいて光を集光している。
【0018】
図9は、水平方向と垂直方向のそれぞれの光軸に対する角度での光度の例を示す図である。図9において、水平方向の光度は実線で示されており、単純に水平方向に広げるだけでなく、正面光度に対して同等の光度となる範囲が広くなっている。垂直方向の光度は破線で示されており、角度0付近のみの光度が高くなるようになっている。このように、自由曲面によるレンズ4を用いることで、一つのレンズ4で一軸方向への超広角配光と直交する方向への狭角配光とを実現することができる。
【0019】
図10は、照明装置1の傾斜度に対する灯具姿勢、配光分布および路面照度分布の例を示す図である。図10において、傾斜度0degの場合、配光分布は上下に対称に左右方向に拡がるものとなるが、傾斜度20degの場合、配光分布は下側に移動し、路面照度分布はトラクター前輪回りの領域を照らすようになる。ただし、照明装置1を傾斜してトラクター等に取り付ける場合には、安定した固定が困難になるため好ましくない。そこで、以下に、照明装置1を傾斜しなくても、傾斜した場合と同様の配光が得られる手法を説明する。
【0020】
図11は、レンズ4の光軸方向の中心軸に対する光源3の変位yを示す図であり、変位yを変えることによって、配光を変えることができる。なお、水平方向(X軸方向)に対しては中心に光源3が配置されるものとしている。
【0021】
図12は、変位yに対する光線イメージ、配光分布および路面照度分布の例を示す図である。変位yの単位は[mm]である。なお、レンズ4の出射面4cの立ち上がり部分(根元)のY軸方向の寸法は約15mmである。
【0022】
図12において、変位y=0から変位y=+0.5、変位y=+1.0、変位y=+1.5、変位y=+2.0と大きくなるにつれて、配光分布は下側に移動していき、路面照度分布は正面方向からトラクター前輪回りの領域を照らすようになる。
【0023】
なお、中心軸に沿って垂直方向に光源3を変位させた場合について説明したが、水平方向に変位させてもよいし、垂直方向および水平方向に変位させてもよい。
【0024】
図13は、2つの光源3A、3Bを設けた上で発光量の比(Duty)を変えた場合の光線イメージ、配光分布および路面照度分布の例を示す図である。発光量は光源3A、3Bに供給する電流によって動的に制御することができる。
【0025】
図13において、パターン#1(y=0のDuty=100%)は図12のy=0の場合の光線イメージ、配光分布および路面照度分布と同じになり、トラクター等に適用した場合には進行方向を照明するのに適する。パターン#2(y=+1.5のDuty=100%)は図12のy=+1.5の場合の光線イメージ、配光分布および路面照度分布と同じになり、トラクター等に適用した場合には前輪回りを照明するのに適する。パターン#3(y=0のDuty=50%、y=+1.5のDuty=50%)はパターン#1とパターン#2とが合成された光線イメージ、配光分布および路面照度分布となり、トラクター等に適用した場合には進行方向および前輪回りを照明するのに適する。
【0026】
なお、光軸に沿って垂直方向に光源を2つ配置し、一方の光源を中心軸上に配置した場合について説明したが、2つの光源を垂直方向について中心軸からずらして配置してもよい。また、2つの光源のいずれかまたは両方を水平方向についても中心軸からずらして配置してもよい。更に、光源を3つ以上とし、中心軸に対する配置を任意とすることもできる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0028】
以上のように、実施形態に係る照明装置は、光源と、前記光源の出射側に配置されたレンズと、を備え、前記レンズは、光軸に直交する第1の方向に対して、自由曲面の入射面において前記光源から発せられた光を集光し、自由曲面の出射面において光を広げ、前記光軸および前記第1の方向と直交する第2の方向に対して、自由曲面の入射面において前記光源から発せられた光を集光し、自由曲面の出射面において光を集光する。これにより、ワークランプとして適切な照明装置を提供することができる。
【0029】
また、前記レンズは、前記第1の方向に対して、入射面の断面形状が凹形状であり、出射面の断面形状が凸形状であり、前記第2の方向に対して、入射面の断面形状が凸形状であり、出射面の断面形状が前記第1の方向の出射面よりも細い凸形状である。これにより、レンズを具体的な形状で実現することができる。
【0030】
また、前記第1の方向は、使用時における水平方向であり、前記第2の方向は、使用時における垂直方向である。これにより、トラクター等のワークランプに適用することができる。
【0031】
また、前記レンズは、前記入射面および前記出射面から外側に延在する平坦部を有する。これにより、筐体等にレンズの固定を容易に行うことができ、レンズホルダ等の保持部材が不要となり、部品点数削減およびコスト削減ができる。
【0032】
また、前記レンズの中心軸に対する前記光源の配置を変えることで配光を調整する。これにより、照明装置の姿勢を変えなくても配光を変えることができ、自由度の高い配光を実現することができる。
【0033】
また、前記光源を複数とすることで配光を調整する。これにより、自由度の高い配光を実現することができる。また、一つのレンズで複数灯に対応が可能となり、金型・レンズコストが低減できる。
【0034】
また、複数の前記光源の個々の発光量の比を制御することで配光を調整する。これにより、動的に配光を切り替えることができる。一般的に、トラクターは車体周り、コンバインは前方方向が照射エリアとして必要とされているが、光源の電流制御により、灯具一台でトラクター・コンバイン向け灯具として使用することも可能となる。
【0035】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 照明装置,2 基板,3、3A、3B 光源,4 レンズ,4a 平坦部,4b 入射面,4c 出射面,T トラクター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13