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特開2024-154880液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154880
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241024BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241024BHJP
   C09D 11/54 20140101ALI20241024BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20241024BHJP
   D06P 5/30 20060101ALN20241024BHJP
   C09D 11/30 20140101ALN20241024BHJP
【FI】
B41J2/165 401
B41J2/01 123
B41J2/165 301
C09D11/54
B41M5/00 114
B41M5/00 120
B41M5/00 134
D06P5/30
C09D11/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069085
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小林 悟
(72)【発明者】
【氏名】安▲藤▼ 将明
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4H157
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA21
2C056EC07
2C056EC23
2C056EC37
2C056FA10
2C056FB03
2C056HA24
2C056HA42
2C056HA44
2C056JA01
2C056JB04
2C056JB15
2H186AB10
2H186AB49
4H157GA06
4J039CA03
4J039CA06
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】ノズル面の撥水性の低下を抑制できる液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】搬送される布帛22に対し、第1液体を吐出可能な第1ノズル群と、第2液体を吐出可能な第2ノズル群と、を有する液体吐出ユニット17と、第1ノズル群が設けられたノズル面28をワイピングするワイピング部18と、を備え、第1液体は水性インクであり、第2液体は柔軟剤を含む液体であって、第2ノズル群は、布帛22に第2液体を吐出する柔軟処理と、ノズル面28に第2液体を付着させる撥水処理と、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される布帛に対し、第1液体を吐出可能な第1ノズル群と、第2液体を吐出可能な第2ノズル群と、を有する液体吐出ユニットと、
前記第1ノズル群が設けられたノズル面をワイピングするワイピング部と、
を備え、
前記第1液体は水性インクであり、前記第2液体は柔軟剤を含む液体であって、
前記第2ノズル群は、前記布帛に前記第2液体を吐出する柔軟処理と、前記ノズル面に前記第2液体を付着させる撥水処理と、
を実行することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記第2ノズル群は、吐出した霧状の前記第2液体により前記撥水処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第2ノズル群から前記第2液体を吐出させるパラメーターは、前記柔軟処理と前記撥水処理とで異なることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ワイピング部は、前記撥水処理後かつ前記第1ノズル群が前記布帛に前記第1液体を吐出する前に前記ノズル面をワイピングすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記ノズル面を第1ノズル面としたとき、
前記液体吐出ユニットは、前記第2ノズル群が設けられた第2ノズル面を有することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第2ノズル群から前記第2液体を排出させるクリーニング機構を更に備え、
前記クリーニング機構は、前記第2液体を排出させて前記第2ノズル面に前記第2液体を付着させ、
前記ワイピング部は、前記第2ノズル面をワイピングした後に前記第1ノズル面をワイピングすることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第2ノズル群は、前記ノズル面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第2ノズル群から前記第2液体を排出させるクリーニング機構をさらに備え、
前記クリーニング機構は、前記第2液体を排出させて前記ノズル面に前記第2液体を付着させることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記クリーニング機構は、前記第2液体を加圧して前記第2ノズル群から排出させる加圧機構を有することを特徴とする請求項6又は請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記クリーニング機構は、
前記液体吐出ユニットに接触することで前記第2ノズル群が開口する空間を囲むキャップと、
前記キャップ内を吸引可能な吸引機構と、
を有することを特徴とする請求項6又は請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記液体吐出ユニットに接触することで前記第1ノズル群が開口する空間を囲むキャップを更に備え、
前記キャップは、前記液体吐出ユニットに接触するリップ部を有し、
前記第2ノズル群は、前記リップ部に前記第2液体を付着させることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記液体吐出ユニットは、複数の前記第1ノズル群を有し、
前記第2ノズル群は、無機顔料を含まない前記第1液体を吐出可能な前記第1ノズル群より、前記無機顔料を含む前記第1液体を吐出可能な前記第1ノズル群に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記ノズル面に付着した前記第2液体を乾燥させる乾燥部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
搬送される布帛に対し、第1液体を吐出可能な第1ノズル群と、第2液体を吐出可能な第2ノズル群と、を有する液体吐出ユニットと、
前記第1ノズル群が設けられたノズル面をワイピングするワイピング部と、
を備え、
前記第1液体は水性インクであり、前記第2液体は柔軟剤を含む液体であって、
前記第2ノズル群が前記布帛に前記第2液体を吐出する柔軟処理を実行することと、
前記第2ノズル群が前記第2液体を吐出して前記ノズル面に付着させる撥水処理を実行することと、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンターなどの液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、記録ヘッドから液体の一例であるインクを吐出して印刷する液体吐出装置の一例であるプリンターがある。プリンターは、記録ヘッドのノズル面をワイピングする払拭部材を備える。ノズル面は、撥水処理されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-12826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノズル面の撥水性は、例えばワイピングに伴って低下することがある。撥水性が低下すると、ノズル面をワイピングしても、ノズル面には液体が残りやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、搬送される布帛に対し、第1液体を吐出可能な第1ノズル群と、第2液体を吐出可能な第2ノズル群と、を有する液体吐出ユニットと、前記第1ノズル群が設けられたノズル面をワイピングするワイピング部と、を備え、前記第1液体は水性インクであり、前記第2液体は柔軟剤を含む液体であって、前記第2ノズル群は、前記布帛に前記第2液体を吐出する柔軟処理と、前記ノズル面に前記第2液体を付着させる撥水処理と、を実行する。
【0006】
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、搬送される布帛に対し、第1液体を吐出可能な第1ノズル群と、第2液体を吐出可能な第2ノズル群と、を有する液体吐出ユニットと、前記第1ノズル群が設けられたノズル面をワイピングするワイピング部と、を備え、前記第1液体は水性インクであり、前記第2液体は柔軟剤を含む液体であって、前記第2ノズル群が前記布帛に前記第2液体を吐出する柔軟処理を実行することと、前記第2ノズル群が前記第2液体を吐出して前記ノズル面に付着させる撥水処理を実行することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、液体吐出装置の第1実施形態の模式図である。
図2図2は、液体吐出ユニットの模式図である。
図3図3は、液体吐出装置の第2実施形態の模式図である。
図4図4は、液体吐出装置の第3実施形態の模式図である。
図5図5は、液体吐出ユニットの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法の一実施形態について図を参照しながら説明する。液体吐出装置は、例えば、布帛に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0009】
図面では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。
【0010】
<液体吐出装置>
図1に示すように、液体吐出装置11は、筐体12と、制御部13と、を備えてもよい。
【0011】
筐体12は、液体吐出装置11が備える各種構成を収容する。
制御部13は、液体吐出装置11における各機構の駆動を統括的に制御し、液体吐出装置11で実行される各種動作を制御する。
【0012】
制御部13は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0013】
液体吐出装置11は、搬送ベルト15と、乾燥部16と、を備えてもよい。液体吐出装置11は、液体吐出ユニット17と、ワイピング部18と、を備える。液体吐出装置11は、キャッピング部20を備えてもよい。
【0014】
搬送ベルト15と乾燥部16は、印刷領域PAに設けられてもよい。印刷領域PAは、布帛22に印刷を行う領域である。ワイピング部18とキャッピング部20は、メンテナンス領域MAに設けられてもよい。メンテナンス領域MAは、液体吐出ユニット17のメンテナンスを行う領域である。印刷領域PAとメンテナンス領域MAは、走査方向Xに並んで設けられる。走査方向Xは、X軸に平行な方向であってもよい。
【0015】
搬送ベルト15は、布帛22を支持するように構成される。搬送ベルト15は、例えば環状のベルトである。搬送ベルト15は、回転することで、布帛22を搬送方向Yに搬送する。搬送方向Yは、Y軸に平行な方向であってもよい。
【0016】
乾燥部16は、1以上のファン24を備えてもよい。乾燥部16は、気流を発生させる。本実施形態の乾燥部16は、複数のファン24を備える。複数のファン24は、走査方向Xに並んで設けられてもよい。乾燥部16は、搬送ベルト15の上方に設けられてもよい。乾燥部16は、搬送ベルト15に対して、布帛22の厚みよりも大きな間隔を空けて設けられてもよい。乾燥部16は、液体吐出ユニット17よりも搬送方向Yの上流の位置に設けられてもよい。
【0017】
液体吐出ユニット17は、搬送される布帛22に対して液体を吐出可能である。液体吐出ユニット17は、キャリッジ26と、1以上のヘッド27と、を備えてもよい。ヘッド27は、キャリッジ26に搭載される。
【0018】
キャリッジ26は、走査方向Xに往復移動可能である。キャリッジ26は、印刷領域PAと、メンテナンス領域MAと、に亘ってヘッド27を移動させる。
ヘッド27は、ノズル面28を有する。ノズル面28には、複数のノズル29が開口する。複数のノズル29のうち、同じ種類の液体を吐出するノズル29のまとまりをノズル群30ともいう。液体吐出ユニット17は、複数のノズル群30を有する。複数のノズル群30は、それぞれ異なる液体を吐出してもよい。複数のノズル群30は、少なくとも2つが同じ液体を吐出してもよい。
【0019】
ワイピング部18は、ノズル面28をワイピングするように構成される。ワイピング部18は、払拭部31を備えてもよい。払拭部31は、複数のヘッド27を1つずつワイピングしてもよいし、まとめてワイピングしてもよい。払拭部31は、例えば液体を吸収可能な帯状の部材であってもよい。ワイピング部18は、払拭部31を搬送方向Yに往復移動させることで、ワイピングを行ってもよい。
【0020】
キャッピング部20は、1以上のキャップ32を備える。キャッピング部20は、1つのヘッド27に対して複数のキャップ32を備えてもよい。キャッピング部20は、ヘッド27と同数のキャップ32を備えてもよいし、複数のキャップ32に対して1つのキャップ32を備えてもよい。
【0021】
キャップ32は、リップ部33を有する。リップ部33は、液体吐出ユニット17に接触可能である。キャッピング部20は、図1に示す離間位置と、図4に示すキャッピング位置と、にキャップ32を移動させる。
【0022】
離間位置は、リップ部33が液体吐出ユニット17から離れる位置である。キャップ32が離間位置に位置するとき、キャップ32とノズル面28との間には、隙間が形成される。
【0023】
キャッピング位置は、離間位置より上方の位置である。キャッピング位置に位置するキャップ32は、リップ部33がノズル面28に接触する。キャッピング位置は、キャップ32がヘッド27をキャッピングする位置である。
【0024】
<ヘッド>
ヘッド27は、液体を吐出するように構成される。ヘッド27は、布帛22に対して走査する。ヘッド27は、印刷領域PAにおいて、布帛22に印刷を行う。ヘッド27は、走査方向Xに移動しながら液体を吐出することで、搬送ベルト15に支持される布帛22に印刷する。ヘッド27は、搬送が停止された状態の布帛22に液体を吐出する。本実施形態の液体吐出装置11は、シリアルプリンターである。
【0025】
図2に示すように、本実施形態の液体吐出ユニット17は、13個のヘッド27を備える。複数のヘッド27を区別する場合には、第1ヘッド27a~第13ヘッド27mともいう。第1ヘッド27a~第9ヘッド27iは、走査方向Xに並んで設けられてもよい。第10ヘッド27j~第13ヘッド27mは、走査方向Xに並んで設けられてもよい。第10ヘッド27j~第13ヘッド27mは、第1ヘッド27a~第9ヘッド27iより搬送方向Yの下流に設けられてもよい。
【0026】
第1ヘッド27aと第10ヘッド27jは、搬送方向Yに並んで設けられてもよい。第4ヘッド27dと第11ヘッド27kは、搬送方向Yに並んで設けられてもよい。第6ヘッド27fと第12ヘッド27lは、搬送方向Yに並んで設けられてもよい。第9ヘッド27iと第13ヘッド27mは、搬送方向Yに並んで設けられてもよい。
【0027】
本実施形態では、液体吐出ユニット17が備える複数のノズル群30を、第1ノズル群30f、第2ノズル群30s、及び第3ノズル群30tともいう。すなわち、液体吐出ユニット17は、1以上の第1ノズル群30fと、1以上の第2ノズル群30sと、を有する。液体吐出ユニット17は、1以上の第3ノズル群30tを有してもよい。本実施形態の1つのヘッド27は、第1ノズル群30f、第2ノズル群30s、及び第3ノズル群30tのうち2つを有する。
【0028】
ノズル群30は、1以上のノズル列35を有してもよい。ノズル列35は、搬送方向Yに並ぶ複数のノズル29により構成される。本実施形態では、4つのノズル列35によってノズル群30が構成される。1つのノズル群30を構成する4つのノズル列35は、走査方向X及び搬送方向Yにおいてそれぞれずれるように位置する。
【0029】
本実施形態では、少なくとも1つの第1ノズル群30fが設けられたノズル面28を第1ノズル面28fともいう。本実施形態では、少なくとも1つの第2ノズル群30sが設けられたノズル面28を第2ノズル面28sともいう。本実施形態の第1ノズル群30fと第2ノズル群30sは、異なるノズル面28に設けられる。本実施形態では、第3ノズル群30tのみが設けられたノズル面28を第3ノズル面28tともいう。
【0030】
例えば第1ヘッド27aと第9ヘッド27iは、それぞれ第1ノズル群30fと第3ノズル群30tを有する。第3ノズル群30tは、第1ノズル群30fより外側に位置してもよい。例えば第2ヘッド27b~第4ヘッド27d及び第6ヘッド27f~第8ヘッド27hは、それぞれ2つの第1ノズル群30fを有する。そのため、例えば第1ヘッド27a~第4ヘッド27d及び第6ヘッド27f~第9ヘッド27iは、第1ノズル面28fを有する。
【0031】
例えば第5ヘッド27e、第10ヘッド27j、及び第13ヘッド27mは、それぞれ2つの第3ノズル群30tを有する。そのため、第5ヘッド27e、第10ヘッド27j、及び第13ヘッド27mは、第3ノズル面28tを有する。
【0032】
例えば第11ヘッド27kと第12ヘッド27lは、それぞれ2つの第2ノズル群30sを有する。そのため、第11ヘッド27kと第12ヘッド27lは、第2ノズル面28sを有する。
【0033】
第1ノズル群30fは、第1液体を吐出可能である。第1液体は、水性インクである。第1液体は、例えば、布帛22に印刷される画像の色を構成するインクである。第1液体は、例えば、顔料インクである。複数の第1ノズル群30fは、それぞれ異なる色のインクを吐出可能であってもよい。
【0034】
少なくとも1つのノズル群30は、第1液体として無機顔料を含むインクを吐出可能であってもよい。無機顔料を含むインクとしては、例えばカーボンブラック、チタンホワイトなどがある。
【0035】
本実施形態では、第4ヘッド27dと、第6ヘッド27fが有する少なくとも1つの第1ノズル群30fが、無機顔料を含む第1液体を吐出する。本実施形態では、第1ヘッド27a~第3ヘッド27c及び第7ヘッド27g~第9ヘッド27iが有する第1ノズル群30fが、無機顔料を含まない第1液体を吐出する。
【0036】
第2ノズル群30sは、第2液体を吐出可能である。第2液体は柔軟剤を含む液体である。柔軟剤としては、布帛22に柔軟性かつ撥水性を付与できるものであれば特に限定されないが、シリコーン化合物が好ましい。シリコーン化合物の例としては、ジメチルシリコーンオイルが挙げられる。第2ノズル群30sは、布帛22に第2液体を吐出する柔軟処理と、ノズル面28に第2液体を付着させる撥水処理と、を実行可能である。柔軟処理を行うことにより、印刷される画像の発色性を高めることができる。
【0037】
例えば第2液体を吐出する第11ヘッド27kは、無機顔料を含む第1液体を吐出可能な第4ヘッド27dに対して、搬送方向Yの下流に設けられる。第4ヘッド27dは、無機顔料を含まない第1液体を吐出可能な第1ヘッド27a~第3ヘッド27c及び第7ヘッド27g~第9ヘッド27iと走査方向Xに並んで設けられる。すなわち、第11ヘッド27kは、第1ヘッド27a~第3ヘッド27c及び第7ヘッド27g~第9ヘッド27iより第4ヘッド27dに近い位置に設けられる。換言すると、第11ヘッド27kの第2ノズル群30sは、無機顔料を含まない第1液体を吐出可能な第1ヘッド27a~第3ヘッド27c及び第7ヘッド27g~第9ヘッド27iが有する第1ノズル群30fより、無機顔料を含む第1液体を吐出可能な第4ヘッド27dの第1ノズル群30fに近い位置に配置されている。
【0038】
同様に、第2液体を吐出する第12ヘッド27lは、無機顔料を含む第1液体を吐出可能な第6ヘッド27fに対して、搬送方向Yの下流に設けられる。第12ヘッド27lの第2ノズル群30sは、無機顔料を含まない第1液体を吐出可能な第1ヘッド27a~第3ヘッド27c及び第7ヘッド27g~第9ヘッド27iが有する第1ノズル群30fより、無機顔料を含む第1液体を吐出可能な第6ヘッド27fが有する第1ノズル群30fに近い位置に配置されている。
【0039】
第3ノズル群30tは、第3液体を吐出可能である。第3液体は、第1液体を硬化させる成分を含む液体であってもよいし、布帛22に付着した第1液体を保護する成分を含む液体であってもよい。
【0040】
<柔軟処理>
制御部13は、第2ノズル群30sが布帛22に第2液体を吐出する柔軟処理を実行させる。柔軟処理は、第1液体による布帛22への印刷と一緒に実行されてもよい。液体吐出ユニット17は、印刷領域PAにおいて、走査方向Xに往復移動に移動しながら第2液体を吐出することで柔軟処理を行う。
【0041】
<撥水処理>
制御部13は、第2ノズル群30sが第2液体を吐出してノズル面28に付着させる撥水処理を実行させてもよい。撥水処理は、布帛22への印刷とは異なるタイミングで実行されてもよい。液体吐出ユニット17は、メンテナンス領域MAにおいて停止した状態で第2液体を吐出することで撥水処理を行う。
【0042】
制御部13は、第2ノズル群30sから第2液体を吐出させる。第2ノズル群30sから第2液体を吐出させるパラメーターは、柔軟処理と撥水処理とで異なってもよい。すなわち、制御部13は、図示しない圧電素子に印加する電圧の大きさ、電圧を印加する長さ、電圧を印加するタイミングなどのパラメーターを、柔軟処理と撥水処理とで異ならせてもよい。
【0043】
圧電素子に電圧が印加されると、ノズル29は、大きな液滴と、霧状の小さな液滴と、を吐出する。大きな液滴は、ノズル面28から離れるように、ノズル面28に対して垂直な方向に飛ぶ。小さな液滴は、ノズル29の周囲を漂う。霧状の小さな液滴は、ミストともいう。
【0044】
ミストが発生しやすいパラメーターは、ノズル29の大きさ、ヘッド27の構造などの機体条件、液体の粘度、密度、比重などの液体条件、気温、湿度、気圧などの環境条件などに応じて変化する。パラメーターは、少なくとも1つの条件に基づいて予め設定されていてもよい。制御部13は、予め設定されたパラメーターで、液体の吐出を実行させてもよい。
【0045】
制御部13は、ミストが発生しにくいパラメーターで第2液体を吐出させることで、柔軟処理を実行してもよい。制御部13は、ミストが発生しやすいパラメーターで第2液体を吐出させることで、撥水処理を実行してもよい。第2ノズル群30sは、吐出した霧状の第2液体により撥水処理を行ってもよい。
【0046】
撥水処理は、液体吐出ユニット17をキャッピング部20の上方に位置させると共に、キャップ32を離間位置に位置させた状態で行ってもよい。霧状の第2液体は、液体吐出ユニット17とキャップ32の空間を浮遊するうちに、ノズル面28及びリップ部33などに付着する。具体的には、第2ノズル群30sは、第1ノズル群30fが設けられた第1ノズル面28fに第2液体を付着させる。第2ノズル群30sは、第2ノズル面28s、及び第3ノズル面28tに第2液体を付着させてもよい。第2ノズル群30sは、リップ部33に第2液体を付着させてもよい。第2ノズル群30sは、ノズル面28とリップ部33に撥水処理を行ってもよい。
【0047】
制御部13は、撥水処理時にファン24を駆動させてもよい。制御部13は、気流を生じさせることで、複数のヘッド27及び複数のキャップ32に霧状の第2液体を行き渡らせてもよい。
【0048】
ワイピング部18は、撥水処理後かつ第1ノズル群30fが布帛22に第1液体を吐出する前にノズル面28を払拭してもよい。制御部13は、液体吐出ユニット17をワイピング部18の上方に位置させると共に、払拭部31を搬送方向Yに往復移動させる。ワイピング部18は、第1ノズル面28f、第2ノズル面28s、及び第3ノズル面28tをワイピングする。
【0049】
例えばノズル面28の一部に第2液体が付着した場合、ワイピングにより第2液体を塗り広げることができる。第2液体がノズル面28に余分に付着した場合、ワイピングにより第2液体を拭き取ることができる。すなわち、第2液体が乾燥する前にワイピングを行うことで、ノズル面28における撥水性の偏りを低減できる。
【0050】
制御部13は、ノズル面28に付着した第2液体を乾燥部16により乾燥させてもよい。第2液体の乾燥は、ヘッド27をキャッピングした状態で行ってもよい。制御部13は、液体吐出ユニット17をキャッピング部20の上方に位置させると共に、キャップ32をキャッピング位置に位置させる。各キャップ32は、液体吐出ユニット17に接触することで第1ノズル群30f、第2ノズル群30s、及び第3ノズル群30tのうち少なくとも1つが開口する空間を囲む。すなわち、乾燥部16は、キャップ32によりノズル29が保護された状態の液体吐出ユニット17に対して気流を当ててもよい。
【0051】
<第1実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
第2ノズル群30sが吐出した霧状の第2液体は、ノズル面28もしくはリップ部33などに付着する。第2液体は、第2液体の液滴同士が結合しながらノズル面28もしくはリップ部33の表面を濡れ拡がる。そのため、第2液体が乾燥することで、ノズル面28及びリップ部33の表面には、撥水膜が形成される。
【0052】
<第1実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)第2ノズル群30sは、第2液体を吐出することで、布帛22の柔軟処理と、第1ノズル群30fが設けられた第1ノズル面28fの撥水処理と、を実行する。そのため、ノズル面28の撥水性の低下を抑制できる。
【0053】
(1-2)第2ノズル群30sは、霧状の第2液体により撥水処理を行う。霧状の第2液体は浮遊しやすいため、広範囲の撥水処理を容易に行うことができる。
(1-3)霧の発生しやすさは、例えば第2液体を吐出させるパラメーターによって変化する。柔軟処理において第2ノズル群30sから第2液体を吐出させるパラメーターと、撥水処理において第2ノズル群30sから液体を吐出させるパラメーターと、が異なる。第2ノズル群30sは、それぞれの処理に適した吐出の仕方で、第2液体を吐出することができる。
【0054】
(1-4)ワイピング部18は、撥水処理をしてから、第1ノズル群30fが第1液体を吐出するまでの間に、ノズル面28をワイピングする。ノズル面28に付着した第2液体は、ワイピングにより塗り広げられる。そのため、ノズル面28の撥水性を高めた状態で第1液体の吐出を行うことができる。
【0055】
(1-5)キャップ32が液体吐出ユニット17に接触すると、リップ部33に付着した第1液体により液体吐出ユニット17が汚れてしまう虞がある。その点、第2液体をリップ部33に付着させることで、リップ部33の撥水性を高めることができる。したがって、リップ部33に付着する第1液体を低減できる。
【0056】
(1-6)無機顔料を含む第1液体は、無機顔料を含まない第1液体よりもノズル面28の撥水性を低下させやすい。その点、第2ノズル群30sは、無機顔料を含まない第1液体を吐出可能な第1ノズル群30fよりも、無機顔料を含む第1液体を吐出可能な第1ノズル群30fに近い位置に設けられる。そのため、撥水性が低下しやすい部分に対して、撥水処理を効率的に行いやすくすることができる。
【0057】
(1-7)乾燥部16は、ノズル面28に付着した第2液体を乾燥させるため、第2液体に含まれる撥水性分をノズル面28に定着させやすくすることができる。
[第2実施形態]
次に、液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法の第2実施形態について図を参照しながら説明する。なお、この第2実施形態は、クリーニング機構を備える点で第1実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0058】
図3に示すように、液体吐出装置11は、クリーニング機構37を備えてもよい。クリーニング機構37は、加圧機構39を有してもよい。加圧機構39は、加圧した液体を1以上のヘッド27に供給可能である。加圧機構39は、液体吐出ユニット17内の液体を加圧することにより、液体をヘッド27から排出させる。加圧機構39は、例えば複数のヘッド27からまとめて液体を排出させてもよい。加圧機構39は、ヘッド27毎に液体を排出させてもよい。加圧機構39は、ノズル群30毎に液体を排出させてもよい。
【0059】
クリーニング機構37は、第1ノズル群30fから第1液体を排出させる。クリーニング機構37は、第2ノズル群30sから第2液体を排出させる。クリーニング機構37は、第3ノズル群30tから第3液体を排出させる。
【0060】
<第2実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
撥水処理を行う場合、クリーニング機構37は、第2液体を排出させて第2ノズル面28sに第2液体を付着させる。すなわち、加圧機構39は、第2液体を加圧して、第2ノズル群30sから排出させる。加圧機構39は、ノズル29から第2液体を溢れさせる。ノズル29から溢れた第2液体は、第2ノズル面28sに沿って濡れ拡がる。撥水処理は、液体吐出ユニット17をワイピング部18の上方に位置させた状態で行ってもよい。
【0061】
ワイピング部18は、搬送方向Yの下流から上流に向かって移動することで、ノズル面28をワイピングしてもよい。ワイピング部18は、第2ノズル面28sをワイピングした後に第1ノズル面28fをワイピングしてもよい。
【0062】
第2ノズル面28sをワイピングすると、第2液体が払拭部31に付着する。撥水処理は、複数の第1ノズル面28fのうち、一部の第1ノズル面28fに対して行ってもよい。例えば、撥水処理は、無機顔料を含む第1液体を吐出する第4ヘッド27dと第6ヘッド27fがそれぞれ有する第1ノズル面28fに対して行ってもよい。第2液体が付着した払拭部31で第1ノズル面28fをワイピングすることにより、第1ノズル面28fに第2液体を塗り付けることができる。すなわち、ワイピングを行うことで、第1ノズル面28fの撥水処理を行ってもよい。
【0063】
撥水処理を行った後、制御部13は、ノズル面28に付着した第2液体を乾燥部16により乾燥させてもよい。第2液体の乾燥は、ヘッド27をキャッピングした状態で行ってもよい。
【0064】
制御部13は、第2ノズル群30sから第2液体を吐出させる撥水処理と、第2ノズル群30sから第2液体を排出させる撥水処理と、を任意のタイミングで行ってもよい。例えば制御部13は、印刷を実行する前に第2ノズル群30sから第2液体を吐出させて撥水処理を実行してもよい。例えば制御部13は、第1ノズル面28fをワイピングした回数が所定の回数を超えた場合に、加圧機構39により第2液体を排出させて撥水処理を実行してもよい。
【0065】
<第2実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(2-1)液体吐出ユニット17は、第1ノズル面28fと、第2ノズル面28sと、を有する。すなわち、第1ノズル群30fと第2ノズル群30sは、異なるノズル面28に設けられる。そのため、第2ノズル面28sに付着する第1液体を低減できる。
【0066】
(2-2)ワイピング部18は、第2ノズル面28sと第1ノズル面28fをワイピングする。第2ノズル面28sに付着した第2液体は、ワイピングによってワイピング部18に付着する。第2液体が付着したワイピング部18で第1ノズル面28fをワイピングすることで、第1ノズル面28fの撥水処理を容易に行うことができる。
【0067】
(2-3)クリーニング機構37は、加圧機構39によって第2液体を加圧することで、第2ノズル群30sから第2液体を容易に排出させることができる。
[第3実施形態]
次に、液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法の第3実施形態について図を参照しながら説明する。なお、この第3実施形態は、クリーニング機構を備える点で第1実施形態の場合とは異なっている。そして、その他の点では第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0068】
図4に示すように、液体吐出装置11は、クリーニング機構37を備えてもよい。クリーニング機構37は、キャップ32と、吸引機構41と、を有してもよい。すなわち、キャッピング部20が有するキャップ32は、クリーニング機構37として機能してもよい。
【0069】
液体吐出ユニット17は、1つのヘッド27を備えてもよい。ヘッド27は、ノズル面28を有する。
図5に示すように、ノズル面28には、例えば第1実施形態と同様の配置で第1ノズル群30f~第3ノズル群30tが設けられてもよい。第1ノズル群30fと第2ノズル群30sは、同じノズル面28に設けられてもよい。第1ノズル群30f~第3ノズル群30tは、同じノズル面28に設けられてもよい。
【0070】
キャップ32は、液体吐出ユニット17に接触することで少なくとも第2ノズル群30sが開口する空間を囲む。吸引機構41は、キャップ32内を吸引可能である。吸引機構41は、第2ノズル群30sを囲むキャップ32内を吸引することで、第2ノズル群30sから第2液体を排出させる。排出された第2液体は、ノズル面28に付着する。
【0071】
<第3実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
クリーニング機構37は、第2液体を排出させて第2ノズル面28sに第2液体を付着させる。すなわち、吸引機構41は、第2液体を吸引して第2ノズル群30sから排出させる。排出された第2液体は、キャップ32内に位置するノズル面28に付着する。
【0072】
キャップ32を離間位置に移動させると、ノズル面28に付着した第2液体は、キャップ32に囲われていた範囲よりも外側まで濡れ拡がる。制御部13は、ノズル面28をワイピングして、第2液体を塗り広げてもよい。乾燥部16は、ノズル面28に付着した第2液体を乾燥させてもよい。制御部13は、第2ノズル群30sから第2液体を吐出させる撥水処理と、第2ノズル群30sから第2液体を排出させる撥水処理と、を任意のタイミングで行ってもよい。
【0073】
<第3実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(3-1)第1ノズル群30fと第2ノズル群30sは、同じノズル面28に設けられる。したがって、ノズル面28に第2液体を容易に付着させることができる。
【0074】
(3-2)クリーニング機構37は、第2ノズル群30sから第2液体を排出させることで、ノズル面28に第2液体を付着させる。したがって、ノズル面28に第2液体を容易に付着させることができる。
【0075】
(3-3)キャップ32は、第2ノズル群30sが開口する空間を囲む。吸引機構41は、キャップ32内を吸引することで、第2ノズル群30sから第2液体を容易に排出させることができる。
【0076】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0077】
・乾燥部16は、メンテナンス領域MAに設けられてもよい。乾燥部16は、印刷領域PAとメンテナンス領域MAに亘って設けられてもよい。乾燥部16は、キャリッジ26に設けられてもよい。乾燥部16は、液体吐出ユニット17が移動する移動領域の上方に設けられてもよい。乾燥部16は、液体吐出ユニット17が移動する移動領域の搬送方向Yの下流に設けられてもよい。
【0078】
・液体吐出装置11は、1つのヘッド27を有する液体吐出ユニット17と、加圧機構39を有するクリーニング機構37と、を備えてもよい。
・液体吐出装置11は、複数のヘッド27を有する液体吐出ユニット17と、吸引機構41を有するクリーニング機構37と、を備えてもよい。
【0079】
・液体吐出装置11は、乾燥部16を備えてない構成としてもよい。ノズル面28に付着した第2液体は、自然乾燥させてもよい。
・全ての第1ノズル群30fは、無機顔料を含まない第1液体を吐出してもよい。
【0080】
・複数のヘッド27のうち、第2ノズル群30sを設けるヘッド27は、任意に選択してもよい。
・払拭部31は、例えばゴム製のワイパーであってもよい。払拭部31は、撓み変形可能であってもよい。ワイピング部18は、払拭部31の先端をノズル面28より上方に位置させることで、ワイピング部18の上方を通過する液体吐出ユニット17のノズル面28をワイピングしてもよい。
【0081】
・第2実施形態及び第3実施形態において、リップ部33に撥水処理を行う場合、液体吐出ユニット17は、キャップ32と対向した状態で第2液体を吐出させてもよい。
・ワイピング部18は、撥水処理を行ってから第1ノズル群30fが布帛22に第1液体を吐出するまでにワイピングを行わなくてもよい。
【0082】
・柔軟処理で第2液体を吐出させるパラメーターと、撥水処理で第2液体を吐出させるパラメーターは、同じであってもよい。
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0083】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0084】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0085】
(A)液体吐出装置は、搬送される布帛に対し、第1液体を吐出可能な第1ノズル群と、第2液体を吐出可能な第2ノズル群と、を有する液体吐出ユニットと、前記第1ノズル群が設けられたノズル面をワイピングするワイピング部と、を備え、前記第1液体は水性インクであり、前記第2液体は柔軟剤を含む液体であって、前記第2ノズル群は、前記布帛に前記第2液体を吐出する柔軟処理と、前記ノズル面に前記第2液体を付着させる撥水処理と、を実行する。
【0086】
この構成によれば、第2ノズル群は、第2液体を吐出することで、布帛の柔軟処理と、第1ノズル群が設けられたノズル面の撥水処理と、を実行する。そのため、ノズル面の撥水性の低下を抑制できる。
【0087】
(B)(A)に記載の液体吐出装置において、前記第2ノズル群は、吐出した霧状の前記第2液体により前記撥水処理を行ってもよい。
この構成によれば、第2ノズル群は、霧状の第2液体により撥水処理を行う。霧状の第2液体は浮遊しやすいため、広範囲の撥水処理を容易に行うことができる。
【0088】
(C)(A)又は(B)に記載の液体吐出装置において、前記第2ノズル群から前記第2液体を吐出させるパラメーターは、前記柔軟処理と前記撥水処理とで異なってもよい。
霧の発生しやすさは、例えば第2液体を吐出させるパラメーターによって変化する。この構成によれば、柔軟処理において第2ノズル群から第2液体を吐出させるパラメーターと、撥水処理において第2ノズル群から液体を吐出させるパラメーターと、が異なる。第2ノズル群は、それぞれの処理に適した吐出の仕方で、第2液体を吐出することができる。
【0089】
(D)(A)~(C)に記載の液体吐出装置において、前記ワイピング部は、前記撥水処理後かつ前記第1ノズル群が前記布帛に前記第1液体を吐出する前に前記ノズル面をワイピングしてもよい。
【0090】
この構成によれば、ワイピング部は、撥水処理をしてから、第1ノズル群が第1液体を吐出するまでの間に、ノズル面をワイピングする。ノズル面に付着した第2液体は、ワイピングにより塗り広げられる。そのため、ノズル面の撥水性を高めた状態で第1液体の吐出を行うことができる。
【0091】
(E)(A)~(D)に記載の液体吐出装置において、前記ノズル面を第1ノズル面としたとき、前記液体吐出ユニットは、前記第2ノズル群が設けられた第2ノズル面を有してもよい。
【0092】
この構成によれば、液体吐出ユニットは、第1ノズル面と、第2ノズル面と、を有する。すなわち、第1ノズル群と第2ノズル群は、異なるノズル面に設けられる。そのため、第2ノズル面に付着する第1液体を低減できる。
【0093】
(F)(A)~(E)に記載の液体吐出装置は、前記第2ノズル群から前記第2液体を排出させるクリーニング機構を更に備え、前記クリーニング機構は、前記第2液体を排出させて前記第2ノズル面に前記第2液体を付着させ、前記ワイピング部は、前記第2ノズル面をワイピングした後に前記第1ノズル面をワイピングしてもよい。
【0094】
この構成によれば、ワイピング部は、第2ノズル面と第1ノズル面をワイピングする。第2ノズル面に付着した第2液体は、ワイピングによってワイピング部に付着する。第2液体が付着したワイピング部で第1ノズル面をワイピングすることで、第1ノズル面の撥水処理を容易に行うことができる。
【0095】
(G)(A)~(D)に記載の液体吐出装置において、前記第2ノズル群は、前記ノズル面に設けられてもよい。
この構成によれば、第1ノズル群と第2ノズル群は、同じノズル面に設けられる。したがって、ノズル面に第2液体を容易に付着させることができる。
【0096】
(H)(G)に記載の液体吐出装置は、前記第2ノズル群から前記第2液体を排出させるクリーニング機構をさらに備え、前記クリーニング機構は、前記第2液体を排出させて前記ノズル面に前記第2液体を付着させてもよい。
【0097】
この構成によれば、クリーニング機構は、第2ノズル群から第2液体を排出させることで、ノズル面に第2液体を付着させる。したがって、ノズル面に第2液体を容易に付着させることができる。
【0098】
(I)(F)又は(H)に記載の液体吐出装置は、前記クリーニング機構は、前記第2液体を加圧して前記第2ノズル群から排出させる加圧機構を有してもよい。
この構成によれば、クリーニング機構は、加圧機構によって第2液体を加圧することで、第2ノズル群から第2液体を容易に排出させることができる。
【0099】
(J)(F)又は(H)に記載の液体吐出装置において、前記クリーニング機構は、前記液体吐出ユニットに接触することで前記第2ノズル群が開口する空間を囲むキャップと、前記キャップ内を吸引可能な吸引機構と、を有してもよい。
【0100】
この構成によれば、キャップは、第2ノズル群が開口する空間を囲む。吸引機構は、キャップ内を吸引することで、第2ノズル群から第2液体を容易に排出させることができる。
【0101】
(K)(B)に記載の液体吐出装置は、前記液体吐出ユニットに接触することで前記第1ノズル群が開口する空間を囲むキャップを更に備え、前記キャップは、前記液体吐出ユニットに接触するリップ部を有し、前記第2ノズル群は、前記リップ部に前記第2液体を付着させてもよい。
【0102】
キャップが液体吐出ユニットに接触すると、リップ部に付着した第1液体により液体吐出ユニットが汚れてしまう虞がある。その点、この構成によれば、第2液体をリップ部に付着させることで、リップ部の撥水性を高めることができる。したがって、リップ部に付着する第1液体を低減できる。
【0103】
(L)(A)~(F)に記載の液体吐出装置において、前記液体吐出ユニットは、複数の前記第1ノズル群を有し、前記第2ノズル群は、無機顔料を含まない前記第1液体を吐出可能な前記第1ノズル群より、前記無機顔料を含む前記第1液体を吐出可能な前記第1ノズル群に近い位置に配置されてもよい。
【0104】
無機顔料を含む第1液体は、無機顔料を含まない第1液体よりもノズル面の撥水性を低下させやすい。その点、この構成によれば、第2ノズル群は、無機顔料を含まない第1液体を吐出可能な第1ノズル群よりも、無機顔料を含む第1液体を吐出可能な第1ノズル群に近い位置に設けられる。そのため、撥水性が低下しやすい部分に対して、撥水処理を効率的に行いやすくすることができる。
【0105】
(M)(A)~(L)に記載の液体吐出装置は、前記ノズル面に付着した前記第2液体を乾燥させる乾燥部を更に備えてもよい。
この構成によれば、乾燥部は、ノズル面に付着した第2液体を乾燥させるため、第2液体に含まれる撥水性分をノズル面に定着させやすくすることができる。
【0106】
(N)液体吐出装置の制御方法は、搬送される布帛に対し、第1液体を吐出可能な第1ノズル群と、第2液体を吐出可能な第2ノズル群と、を有する液体吐出ユニットと、前記第1ノズル群が設けられたノズル面をワイピングするワイピング部と、を備え、前記第1液体は水性インクであり、前記第2液体は柔軟剤を含む液体であって、前記第2ノズル群が前記布帛に前記第2液体を吐出する柔軟処理を実行することと、前記第2ノズル群が前記第2液体を吐出して前記ノズル面に付着させる撥水処理を実行することと、を含む。
【0107】
この方法によれば、上記液体吐出装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0108】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…制御部、15…搬送ベルト、16…乾燥部、17…液体吐出ユニット、18…ワイピング部、20…キャッピング部、22…布帛、24…ファン、26…キャリッジ、27…ヘッド、27a…第1ヘッド、27b…第2ヘッド、27c…第3ヘッド、27d…第4ヘッド、27e…第5ヘッド、27f…第6ヘッド、27g…第7ヘッド、27h…第8ヘッド、27i…第9ヘッド、27j…第10ヘッド、27k…第11ヘッド、27l…第12ヘッド、27m…第13ヘッド、28…ノズル面、28f…第1ノズル面、28s…第2ノズル面、28t…第3ノズル面、29…ノズル、30…ノズル群、30f…第1ノズル群、30s…第2ノズル群、30t…第3ノズル群、31…払拭部、32…キャップ、33…リップ部、35…ノズル列、37…クリーニング機構、39…加圧機構、41…吸引機構、MA…メンテナンス領域、PA…印刷領域、X…走査方向、Y…搬送方向。
図1
図2
図3
図4
図5