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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154882
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】測色装置及び調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/50 20060101AFI20241024BHJP
   G01J 3/52 20060101ALI20241024BHJP
   G01J 3/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01J3/50
G01J3/52
G01J3/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069087
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】宮川 正好
(72)【発明者】
【氏名】森山 雅英
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA36
2G020DA43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】検出部の検出位置に対して測色器の測色位置がずれることによる測色精度の低下を抑制することが可能な測色装置を提供する。
【解決手段】測色対象物10を支持する支持台41と、測色対象物に形成された被検出部12を検出する検出部を有するとともに測色器を支持するキャリッジ30と、キャリッジを移動させる移動部20と、を備える測色装置1において、検出部に被検出部を検出させて検出部の検出位置である第1位置を特定し、測色器に被検出部を測色させて測色器の測色位置である第2位置を特定し、第1位置と第2位置とに基づいて調整値を算出し、パッチ11を測色する際のキャリッジの位置を調整値に基づいて調整する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測色チャートに形成されたパッチを測色することが可能な測色器を取り付け可能な測色装置であって、
前記測色チャートを一例とする測色対象物を支持する支持台と、
前記測色対象物に形成された被検出部を検出する検出部を有するとともに前記測色器を支持するキャリッジと、
前記支持台上において前記キャリッジを移動させる移動部と、
前記移動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部に前記被検出部を検出させて前記検出部の検出位置である第1位置を特定し、前記測色器に前記被検出部を測色させて前記測色器の測色位置である第2位置を特定し、前記第1位置と前記第2位置とに基づいて調整値を算出し、前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を前記調整値に基づいて調整することを特徴とする測色装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測色装置において、
前記調整値を記憶する不揮発性の記憶部を備え、
前記制御部は、前記調整値の算出後に前記調整値を前記記憶部に記憶させることを特徴とする測色装置。
【請求項3】
請求項1に記載の測色装置において、
前記制御部は、前記被検出部の両端の間の位置を前記第1位置及び前記第2位置として特定することを特徴とする測色装置。
【請求項4】
請求項1に記載の測色装置において、
前記制御部は、前記測色器に前記被検出部を測色させる際、前記キャリッジの移動と停止とを繰り返し、前記キャリッジを停止させた状態で前記被検出部を測色させることを特徴とする測色装置。
【請求項5】
請求項1に記載の測色装置において、
前記キャリッジは、前記測色器として第1測色器と第2測色器とを入れ替えて支持可能に構成され、
前記制御部は、前記キャリッジに支持される前記測色器が前記第1測色器から前記第2測色器に入れ替えられた場合、前記第2測色器に前記被検出部を測色させて前記第2位置を特定し、前記調整値を再算出させるとともに、再算出させた前記調整値に基づいて前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を調整することを特徴とする測色装置。
【請求項6】
請求項1に記載の測色装置において、
前記測色器を支持する支持部であって、前記測色器が前記支持部に支持された状態において前記測色器の測色部を前記キャリッジから露呈させる開口部を有する前記支持部を備え、
前記検出部は、前記開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部と、を含み、
前記制御部は、前記第1検出部の検出位置を使用して前記第1検出部に対応する前記調整値としての第1調整値を算出するとともに、前記第2検出部の検出位置を使用して前記第2検出部に対応する前記調整値としての第2調整値を算出し、前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を前記第1調整値及び前記第2調整値に基づいて調整することを特徴とする測色装置。
【請求項7】
請求項1に記載の測色装置において、
前記測色器を支持する支持部であって、前記測色器が前記支持部に支持された状態において前記測色器の測色部を前記キャリッジから露呈させる開口部を有する前記支持部を備え、
前記検出部は、前記開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部と、を含み、
前記制御部は、前記第1検出部の検出位置を使用して前記第1検出部に対応する前記調整値としての第1調整値を算出するとともに、前記第1検出部と前記第2検出部との位置関係から前記第2検出部に対応する前記調整値としての第2調整値を算出し、前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を前記第1調整値及び前記第2調整値に基づいて調整することを特徴とする測色装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の測色装置において、
前記移動部は、前記キャリッジを第1方向及び第1方向と交差する第2方向に移動可能であり、
前記第1検出部及び前記第2検出部は、前記第1方向及び前記第2方向のいずれの方向においても異なる位置に設けられることを特徴とする測色装置。
【請求項9】
請求項6または7に記載の測色装置において、
前記被検出部は、前記測色チャートに形成され、
前記測色チャートは四角形であるとともに前記測色チャートの四辺に沿って前記被検出部としての線状被検出部が形成され、
前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部が前記線状被検出部を検出した結果に基づいて、前記パッチの位置を特定することを特徴とする測色装置。
【請求項10】
請求項9に記載の測色装置において、
前記制御部は、
前記第1検出部及び前記第2検出部が前記測色チャートの各一辺に対応する前記線状被検出部につき少なくとも2点で検出した結果に基づいて、前記線状被検出部に沿う4つの直線の位置と、前記直線同士の交点の位置と、を算出し、
算出した前記交点の位置に基づいて前記パッチの位置を特定することを特徴とする測色装置。
【請求項11】
請求項6または7に記載の測色装置において、
前記被検出部は、前記測色チャートに形成され、
前記測色チャートは四角形であるとともに前記測色チャートの四隅の内少なくとも三隅に前記被検出部としての隅部被検出部が形成され、
前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部が前記隅部被検出部を検出した結果に基づいて、前記支持台に支持された前記測色対象物の向きを特定することを特徴とする測色装置。
【請求項12】
請求項1に記載の測色装置において、
前記被検出部は、前記測色チャートに形成され、前記支持台に支持された前記測色チャートの位置を検出する役割を兼ねることを特徴とする測色装置。
【請求項13】
請求項1に記載の測色装置において、
前記被検出部は、前記測色チャートとは別の前記測色対象物に形成されることを特徴とする測色装置。
【請求項14】
請求項1に記載の測色装置において、
前記測色器は、前記測色装置に対して着脱可能に設けられることを特徴とする測色装置。
【請求項15】
測色チャートに形成されたパッチを測色することが可能な測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色チャートを一例とする測色対象物を支持する支持台と、前記測色対象物に形成された被検出部を検出する検出部を有するとともに前記測色器を支持するキャリッジと、前記支持台上において前記キャリッジを移動させる移動部と、を備える測色装置における前記検出部の検出位置に対する前記測色器の測色位置を調整する調整方法であって、
前記検出部に前記被検出部を検出させて前記検出部の検出位置である第1位置を特定し、前記測色器に前記被検出部を測色させて前記測色器の測色位置である第2位置を特定し、前記第1位置と前記第2位置とに基づいて調整値を算出し、前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を前記調整値に基づいて調整することを特徴とする調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測色装置及び調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、測色対象物を測色する様々な測色装置が使用されている。このうち、測色チャートに形成されたパッチを測色することが可能な測色器を取り付け可能であって、測色対象物に形成された被検出部を検出する検出部を有する測色装置がある。例えば、特許文献1には、カラーマトリックスを測定するためのオプティカルシステムが先取りのセンサーにより提供される情報を使用してガイドされる自動追尾式の分光測色装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許7626724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の自動追尾式の分光測色装置は、オプティカルシステムと先取りのセンサーとの位置関係が本来想定していた位置関係からズレていた場合、オプティカルシステムによる測色位置がズレる虞がある。このように、従来の測色装置においては、検出部の検出位置に対して測色器の測色位置がズレることによる測色精度の低下を生じる虞があった。なお、測色器の測色位置がズレることを抑制するためには、パッチを大きくすることが考えられるが、パッチを大きくすると測色チャートに使用する媒体の消費量の増大や測色時間の増大を招く虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための、本発明の測色装置は、測色チャートに形成されたパッチを測色することが可能な測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色チャートを一例とする測色対象物を支持する支持台と、前記測色対象物に形成された被検出部を検出する検出部を有するとともに前記測色器を支持するキャリッジと、前記支持台上において前記キャリッジを移動させる移動部と、前記移動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部に前記被検出部を検出させて前記検出部の検出位置である第1位置を特定し、前記測色器に前記被検出部を測色させて前記測色器の測色位置である第2位置を特定し、前記第1位置と前記第2位置とに基づいて調整値を算出し、前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を前記調整値に基づいて調整することを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための、本発明の調整方法は、測色チャートに形成されたパッチを測色することが可能な測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色チャートを一例とする測色対象物を支持する支持台と、前記測色対象物に形成された被検出部を検出する検出部を有するとともに前記測色器を支持するキャリッジと、前記支持台上において前記キャリッジを移動させる移動部と、を備える測色装置における前記検出部の検出位置に対する前記測色器の測色位置を調整する調整方法であって、前記検出部に前記被検出部を検出させて前記検出部の検出位置である第1位置を特定し、前記測色器に前記被検出部を測色させて前記測色器の測色位置である第2位置を特定し、前記第1位置と前記第2位置とに基づいて調整値を算出し、前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を前記調整値に基づいて調整することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例に係る測色装置で使用可能な測色器の概略斜視図。
図2】本発明の一実施例に係る測色装置の斜視図。
図3】本発明の一実施例に係る測色装置の内部構成を表す斜視図。
図4】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す底面図であって、図1の測色器を収容した状態を表す図。
図5】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図1の測色器を収容するとともにキャリッジを走査する際の配置を表す図。
図6】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図1の測色器を収容するとともに図5の状態からキャリッジを下方に移動させて測色部が測色対象物と接触した瞬間の配置を表す図。
図7】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図1の測色器を収容するとともに図6の状態からキャリッジをさらに下方に移動させて測色対象物の測色をする際の配置を表す図。
図8】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図1の測色器を収容するとともに図7の状態からキャリッジをさらに下方に移動させてキャリッジの底面が測色対象物と接触した配置を表す図。
図9】本発明の一実施例に係る測色装置のキャリッジ周辺を表す背面図であって、図1の測色器を収容するとともにキャリッジをホームポジションに移動させた状態の配置を表す図。
図10】本発明の一実施例に係る測色装置を使用して行う検出部の検出位置に対する測色器の測色位置を調整する調整方法の一例のフローチャート。
図11図10のフローチャートにおける測色対象物の配置検出工程のフローを表すフローチャート。
図12図10のフローチャートにおけるX軸方向の調整値算出工程のフローを表すフローチャート。
図13図10のフローチャートにおける検出部間の調整工程のフローを表すフローチャート。
図14図10のフローチャートの調整方法を実施するか否かを判断するフローを表すフローチャート。
図15】測色対象物の一例としてのカラーチャートの平面図であって、被検出部の位置や、第1検出部及び第2検出部による被検出部の検出の際の第1検出部及び第2検出部の位置を説明するための図。
図16】カラーチャートとは異なる測色対象物の一例の平面図。
図17】第1検出部による被検出部の検出の際の第1検出部の位置と出力値との関係を表すグラフ。
図18】測色器による被検出部の測色の際の測色器の位置と反射率との関係を表すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様の測色装置は、測色チャートに形成されたパッチを測色することが可能な測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色チャートを一例とする測色対象物を支持する支持台と、前記測色対象物に形成された被検出部を検出する検出部を有するとともに前記測色器を支持するキャリッジと、前記支持台上において前記キャリッジを移動させる移動部と、前記移動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部に前記被検出部を検出させて前記検出部の検出位置である第1位置を特定し、前記測色器に前記被検出部を測色させて前記測色器の測色位置である第2位置を特定し、前記第1位置と前記第2位置とに基づいて調整値を算出し、前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を前記調整値に基づいて調整することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、検出部の検出位置である第1位置と測色器の測色位置である第2位置とに基づいて調整値を算出し、パッチを測色する際のキャリッジの位置を調整値に基づいて調整する。このため、例えば、測色器を取り換えるなどして検出部と測色器との位置関係が本来想定していた位置関係からズレた場合などにおいても、これらの位置関係を自動的に最適化でき、検出部の検出位置に対して測色器の測色位置がズレることによる測色精度の低下を抑制することができる。また、パッチのサイズを小さくできるため、測色チャートに使用する媒体の消費量を低減できるとともに測色時間を短縮することができる。
【0010】
次に、第2の態様の測色装置は、第1の態様に従属する態様であって、前記調整値を記憶する不揮発性の記憶部を備え、前記制御部は、前記調整値の算出後に前記調整値を前記記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、調整値の算出後に調整値を不揮発性の記憶部に記憶させる。このため、電源を再投入した後でも一度算出した調整値を再利用することができ、調整値を算出するための時間を短縮することができる。
【0012】
次に、第3の態様の測色装置は、第1または第2の態様に従属する態様であって、前記制御部は、前記被検出部の両端の間の位置を前記第1位置及び前記第2位置として特定することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、被検出部の両端の間の位置を第1位置及び第2位置として特定する。このため、検出部の検出位置に対する測色器の測色位置を正確に把握することができる。
【0014】
次に、第4の態様の測色装置は、第1から第3のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記制御部は、前記測色器に前記被検出部を測色させる際、前記キャリッジの移動と停止とを繰り返し、前記キャリッジを停止させた状態で前記被検出部を測色させることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、測色器に被検出部を測色させる際、キャリッジの移動と停止とを繰り返し、キャリッジを停止させた状態で被検出部を測色させる。このため、被検出部を測色させる際、例えば、測色器の構成などにより、連続的に被検出部を測色するのが原理的に困難な場合や、測色周期が長く測色間隔が長くなりやすい場合などにおいて、少しずつ測色位置をずらしながらキャリッジを停止して測色することで、被検出部の測色における分解能を高くすることができる。
【0016】
次に、第5の態様の測色装置は、第1から第4のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記キャリッジは、前記測色器として第1測色器と第2測色器とを入れ替えて支持可能に構成され、前記制御部は、前記キャリッジに支持される前記測色器が前記第1測色器から前記第2測色器に入れ替えられた場合、前記第2測色器に前記被検出部を測色させて前記第2位置を特定し、前記調整値を再算出させるとともに、再算出させた前記調整値に基づいて前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を調整することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、キャリッジに支持される測色器が第1測色器から第2測色器に入れ替えられた場合、第2測色器に被検出部を測色させて第2位置を特定し、調整値を再算出させるとともに、再算出させた調整値に基づいてパッチを測色する際のキャリッジの位置を調整する。このため、キャリッジに支持される測色器が変わった場合、それを認識して自動的に測色前に調整値の算出を行うことができる。
【0018】
次に、第6の態様の測色装置は、第1から第5のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記測色器を支持する支持部であって、前記測色器が前記支持部に支持された状態において前記測色器の測色部を前記キャリッジから露呈させる開口部を有する前記支持部を備え、前記検出部は、前記開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部と、を含み、前記制御部は、前記第1検出部の検出位置を使用して前記第1検出部に対応する前記調整値としての第1調整値を算出するとともに、前記第2検出部の検出位置を使用して前記第2検出部に対応する前記調整値としての第2調整値を算出し、前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を前記第1調整値及び前記第2調整値に基づいて調整することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、検出部は開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部を含む。このため、被検出部から近い方の検出部を使用することで、少なくとも開口部の長さ分、キャリッジの移動距離を短くすることが可能になり、装置の小型化が可能になる。また、第1検出部の検出位置を使用して第1調整値を算出するとともに、第2検出部の検出位置を使用して第2調整値を算出し、パッチを測色する際のキャリッジの位置を第1調整値及び第2調整値に基づいて調整する。このため、第1調整値の算出方法を第2調整値の算出方法に転用することができ、制御フローを簡略化することができる。
【0020】
次に、第7の態様の測色装置は、第1から第5のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記測色器を支持する支持部であって、前記測色器が前記支持部に支持された状態において前記測色器の測色部を前記キャリッジから露呈させる開口部を有する前記支持部を備え、前記検出部は、前記開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部と、を含み、前記制御部は、前記第1検出部の検出位置を使用して前記第1検出部に対応する前記調整値としての第1調整値を算出するとともに、前記第1検出部と前記第2検出部との位置関係から前記第2検出部に対応する前記調整値としての第2調整値を算出し、前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を前記第1調整値及び前記第2調整値に基づいて調整することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、検出部は開口部を挟んで設けられる第1検出部及び第2検出部を含む。このため、被検出部から近い方の検出部を使用することで、少なくとも開口部の長さ分、キャリッジの移動距離を短くすることが可能になり、装置の小型化が可能になる。また、第1検出部の検出位置を使用して第1検出部に対応する調整値としての第1調整値を算出するとともに、第1検出部と第2検出部との位置関係から第2検出部に対応する調整値としての第2調整値を算出し、パッチを測色する際のキャリッジの位置を第1調整値及び第2調整値に基づいて調整する。このため、第2調整値を算出する際に第2検出部による検出動作を省略することができ、第2調整値を算出する時間を短縮することができる。
【0022】
次に、第8の態様の測色装置は、第6または第7の態様に従属する態様であって、前記移動部は、前記キャリッジを第1方向及び第1方向と交差する第2方向に移動可能であり、前記第1検出部及び前記第2検出部は、前記第1方向及び前記第2方向のいずれの方向においても異なる位置に設けられることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、キャリッジを第1方向及び第2方向に移動可能であり、第1検出部及び第2検出部は第1方向及び第2方向のいずれの方向においても異なる位置に設けられる。このため、例えば、第1方向において異なる2カ所と第2方向において異なる2カ所とに被検出部が形成された測色対象物に対して、第1方向においても第2方向においてもキャリッジの移動距離を短くすることができる。このため、測色装置が大型化することを特に効果的に抑制しつつ測色対象物に形成されたパッチを位置ズレすることなく測色することができる。
【0024】
次に、第9の態様の測色装置は、第6から第8のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記被検出部は、前記測色チャートに形成され、前記測色チャートは四角形であるとともに前記測色チャートの四辺に沿って前記被検出部としての線状被検出部が形成され、前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部が前記線状被検出部を検出した結果に基づいて、前記パッチの位置を特定することを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、四角形であるとともに四辺に沿って被検出部としての線状被検出部が形成される測色対象物に対して、第1検出部及び第2検出部が線状被検出部を検出した結果に基づいてパッチの位置を特定する。このような構成とすることで、四辺を測定できるので、例えば、四辺の交点を算出することで測色対象物の支持台に対する傾きなどを正確に把握することができ、パッチの位置を特に正確に特定することができる。
【0026】
次に、第10の態様の測色装置は、第9の態様に従属する態様であって、前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部が前記測色チャートの各一辺に対応する前記線状被検出部につき少なくとも2点で検出した結果に基づいて、前記線状被検出部に沿う4つの直線の位置と、前記直線同士の交点の位置と、を算出し、算出した前記交点の位置に基づいて前記パッチの位置を特定することを特徴とする。
【0027】
例えば、柔らかい素材の測色対象物は変形しやすく、長方形の測色対象物が台形状になって支持台に支持される場合がある。このような場合、測色対象物が長方形であるとしてパッチの位置を特定しようとすると実際の位置からズレる虞がある。しかしながら、本態様によれば、第1検出部及び第2検出部が測色対象物の各一辺に対応する線状被検出部につき少なくとも2点で検出した結果に基づいて、線状被検出部に沿う4つの直線の位置と、直線同士の交点の位置と、を算出し、算出した交点の位置に基づいてパッチの位置を特定する。このため、長方形の測色対象物が台形状になって支持台に支持されている場合でも、第1検出部及び第2検出部の検出結果に基づいて測色対象物が台形状になって支持台に支持されていることを把握でき、算出した交点の位置に基づいてパッチの位置を正確に特定することができる。
【0028】
次に、第11の態様の測色装置は、第6から第8のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記被検出部は、前記測色チャートに形成され、前記測色チャートは四角形であるとともに前記測色チャートの四隅の内少なくとも三隅に前記被検出部としての隅部被検出部が形成され、前記制御部は、前記第1検出部及び前記第2検出部が前記隅部被検出部を検出した結果に基づいて、前記支持台に支持された前記測色対象物の向きを特定することを特徴とする。
【0029】
例えば、ユーザーのミスなどにより、長方形の測色対象物は、支持台の支持方向から見て180°回転した方向で測色対象物が支持台に支持される場合がある。しかしながら、本態様によれば、四角形であるとともに測色対象物の四隅の内少なくとも三隅に被検出部としての隅部被検出部が形成された測色対象物に対して、第1検出部及び第2検出部が隅部被検出部を検出した結果に基づいて支持台に支持された測色対象物の向きを特定する。このため、支持台の支持方向から見て180°回転した方向で長方形の測色対象物が支持台に支持された場合であっても、そのことを認識し、パッチの位置を正確に特定することができる。
【0030】
次に、第12の態様の測色装置は、第1から第8のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記被検出部は、前記測色チャートに形成され、前記支持台に支持された前記測色チャートの位置を検出する役割を兼ねることを特徴とする。
【0031】
本態様によれば、被検出部は、測色チャートに形成され、支持台に支持された測色チャートの位置を検出する役割を兼ねる。このように、測色チャートに被検出部が含まれていることで、被検出部が形成された測色対象物を測色チャートとは別に用意する手間を省くことができる。
【0032】
次に、第13の態様の測色装置は、第1から第8のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記被検出部は、前記測色チャートとは別の前記測色対象物に形成されることを特徴とする。
【0033】
本態様によれば、被検出部は、測色チャートとは別の測色対象物に形成される。このため、例えば、出荷前の検査工程のみにて調整値の算出を行う場合などにおいて、測定チャートに被検出部を形成する必要性をなくすことができ、測定チャートのパッチの形成領域を広くとることができる。
【0034】
次に、第14の態様の測色装置は、第1から第13のいずれか1つの態様に従属する態様であって、前記測色器は、前記測色装置に対して着脱可能に設けられることを特徴とする。
【0035】
本態様によれば、測色器は、測色装置に対して着脱可能に設けられる。このため、測色器を測色装置に装着することなく使用することも可能になり、測色器の使い勝手を向上することができる。
【0036】
次に、第15の態様の調整方法は、測色チャートに形成されたパッチを測色することが可能な測色器を取り付け可能な測色装置であって、前記測色チャートを一例とする測色対象物を支持する支持台と、前記測色対象物に形成された被検出部を検出する検出部を有するとともに前記測色器を支持するキャリッジと、前記支持台上において前記キャリッジを移動させる移動部と、を備える測色装置における前記検出部の検出位置に対する前記測色器の測色位置を調整する調整方法であって、前記検出部に前記被検出部を検出させて前記検出部の検出位置である第1位置を特定し、前記測色器に前記被検出部を測色させて前記測色器の測色位置である第2位置を特定し、前記第1位置と前記第2位置とに基づいて調整値を算出し、前記パッチを測色する際の前記キャリッジの位置を前記調整値に基づいて調整することを特徴とする。
【0037】
本態様によれば、検出部の検出位置である第1位置と測色器の測色位置である第2位置とに基づいて調整値を算出し、パッチを測色する際のキャリッジの位置を調整値に基づいて調整する。このため、例えば、測色器を取り換えるなどして検出部と測色器との位置関係が本来想定していた位置関係からズレた場合などにおいても、これらの位置関係を自動的に最適化でき、検出部の検出位置に対して測色器の測色位置がズレることによる測色精度の低下を抑制することができる。また、パッチのサイズを小さくできるため、測色チャートに使用する媒体の消費量を低減できるとともに測色時間を短縮することができる。
【0038】
以下、本発明を具体的に説明する。
なお、各図に示すX-Y-Z座標系は直交座標系であり、X-Y平面が水平面であり、X-Z平面及びY-Z平面が垂直面となる。ここで、Z軸方向は鉛直方向すなわち高さ方向であって、+Z方向が鉛直上方向、-Z方向が鉛直下方向である。また、X軸方向は鉛直方向であるZ軸方向と直交する水平方向である。また、Y軸方向は水平方向であるとともにX軸方向及びZ軸方向のいずれとも直交する方向である。なお、以下の説明では、測色装置1の+Y方向側を背面方向側、測色装置1の-Y方向側を正面方向側、測色装置1の+X方向側を右方向側、測色装置1の-X方向側を左方向側としている。
【0039】
最初に、図1を参照して、本発明の一実施例の測色装置1で使用可能な測色器100の一実施例について説明する。本実施例の測色器100は、測色口106を備え、測色口106から-Z方向に光を照射して、図2で表されるような測色対象物10であるカラーチャート10Aにより反射された光を受光することで測色する光学装置である。別の表現をすると、光軸方向はZ軸方向であり、光軸の位置は測色口106の位置に対応する。
【0040】
本実施例の測色器100は、+Z方向側の面である上面121、測色部であるとともに-Z方向側の底面であって測色口106が設けられた測色面122、+Y方向側の面である背面123、-Y方向側の面である前面124、+X方向側の面である右側面125、-X方向側の面である左側面126、を有する筐体120を備えている。
【0041】
上面121には、操作部110と画面部105とがY軸方向に沿って配置されている。詳細には、上面121の+Y方向側に操作部110が設けられ、上面121の-Y方向側に画面部105が設けられている。操作部110は、Y軸方向に沿って延設されるバー形状111aとX軸方向に沿って延設されるバー形状111bとからなるプラス形ボタン111と、プラス形ボタン111の中心に設けられた決定ボタン112と、を備えている。例えば、ユーザーは、画面部105に表示される複数のメニューに対して、プラス形ボタン111を押すことで前後左右にアクティブとなるメニューを移動させ、決定ボタン112を押すことで所望のメニューを決定することができる。
【0042】
背面123には、図2などで表されるUSBケーブル50を接続することが可能な端子101が形成されている。また、本実施例の測色器100は、Y軸方向に沿って見たときに外側に向かって凸状となる凸部127及び凸部128が設けられている。詳細には、凸部127は右側面125におけるZ軸方向の中央部よりも+Z方向側の領域に設けられており、凸部128は左側面126におけるZ軸方向の中央部よりも+Z方向側の領域に設けられている。
【0043】
次に、図2から図4を参照して、本発明の一実施例の測色装置1の詳細な構成について説明する。図2は、本実施例の測色装置1の構成を表している。測色装置1は、X軸方向及びY軸方向に延設される支持台41を有する本体部40を備え、また、支持台41の一部を+Z方向側から覆うようにY軸方向に延設されるガントリー20を備えている。
【0044】
ガントリー20には、測色器100を収容可能な支持部310を有するキャリッジ30が取り付けられる。ガントリー20は支持台41に対してX軸方向に沿って移動可能であり、キャリッジ30はガントリー20に対してY軸方向に沿って移動可能である。これらの移動は、走査とも呼ばれる。ここで、キャリッジ30は、ガントリー20に対してY軸方向に沿って移動可能であるとともに、ガントリー20に対してZ軸方向に沿って移動することも可能である。ガントリー20にはUSBケーブル50の一端が接続されるとともに、USBケーブル50の他端はキャリッジ30に収容された測色器100に接続される。
【0045】
支持台41には測色対象物10の一例としての測色チャートであるカラーチャート10Aを載置可能であり、カラーチャート10Aは例えば複数のカラーパッチ11と黒枠12と隅部被検出部13とが生地部14に形成されることで構成される。カラーチャート10Aは、例えば粘着テープをカラーチャート10Aの周囲に貼り付けることで支持台41に固定され、例えばA3サイズまでの自動測色に対応している。ただし、ガントリー20はX軸方向から見て門形状となっており該門形状に対応する空間部21を有するので、X軸方向においてA3サイズを超えるような長尺紙も支持台41に載置することが可能である。
【0046】
なお、本体部40の-Y方向側には支持台41よりも-Z方向側に下がった位置にフロント面42が設けられ、本体部40の+Y方向側には支持台41よりも-Z方向側に下がった位置にリア面43が設けられている。そして、フロント面42には、測色装置1の操作部の一例である電源ボタン42aが設けられている。
【0047】
図3は、測色装置1の内部構成を表し、図2の外装部品を外した図である。ケースロア48の上方である+Z方向側にはフロントフレーム44とリアフレーム45が間隔を空けてX軸方向に延設されるように配置されており、ガントリー20の一部を構成する門形状をしたガントリーフレーム26がフロントフレーム44及びリアフレーム45に沿ってX軸方向に沿って移動する。
【0048】
フロントフレーム44とリアフレーム45とは本体部40の+X方向側の位置で連結軸46によって連結されており、ガントリー20をX軸方向に沿って移動させるための動力源であるガントリーモーター47から不図示の歯車群を介して連結軸46にガントリーモーター47の回転駆動が伝わる。そして、連結軸46に伝わった回転駆動により、連結軸46の-Y方向側であるフロントフレーム44側に設けられた不図示のプーリーに架けられた不図示の無端ベルトと、連結軸46の+Y方向側であるリアフレーム45側に設けられた不図示のプーリーに架けられた不図示の無端ベルトと、を周回させ、これらの無端ベルトに接続されたガントリーフレーム26を移動させる。
【0049】
ガントリーフレーム26の-Y方向側に対応する手前側にはキャリッジモーター22が固定されており、手前プーリー24と奥プーリー25に掛けられた無端状のキャリッジベルト23が、キャリッジモーター22に接続される手前プーリー24を介して周回する。キャリッジ30の一部を構成するキャリッジスライダー31は、キャリッジベルト23に固定されており、キャリッジモーター22の周回動作に伴うキャリッジベルト23の周回動作に伴ってY軸方向に沿って移動する。なお、本体部40の内部には、制御部としてのメイン基板52及びサブ基板53や、電源ボックス51などが設けられている。なお、制御部としてのメイン基板52には、情報を記憶することが可能な不揮発性の記憶部52aが設けられている。
【0050】
図4は測色器100をキャリッジ30に取り付けた状態におけるキャリッジ30周辺を表す底面図である。測色器100は、キャリッジ30に対して、キャリッジ30に設けられたリブ301でY軸方向において右側面125及び左側面126が支持されるとともに、キャリッジ30に設けられたリブ303でX軸方向において背面123及び前面124が支持される。なお、図4で表されるように、キャリッジ30の-Z方向側の面にはカラーチャート10Aの黒枠12の位置を読み取ることでカラーチャート10Aの幅やカラーパッチ11の位置を検出することが可能な検出部37としてのフロント側センサー37Aとリア側センサー37Bとが設けられている。ここで、図4で表されるように、キャリッジ30は測色器100を支持する支持部310を有し、支持部310は測色器100が支持された状態において測色器100の測色面122をキャリッジ30から露呈させる開口部である孔部302aを有する。そして、孔部302aを挟んで、被検出部としての黒枠12や隅部被検出部13などを検出する第1検出部としてのフロント側センサー37A及び第2検出部としてのリア側センサー37Bが、キャリッジ30に設けられている。
【0051】
キャリッジ30は、駆動源であるZ軸移動方向移動モーター36の動力がモーターギア61、ウォームギア62、第1駆動ギア63、第2駆動ギア64、と順に伝わることで、ラックギア65を介してガントリー20に対してキャリッジ30はZ軸方向に沿ってスライド移動する。また、図4で表されるように、キャリッジ30にはガントリー20に対するキャリッジ30のZ軸方向における位置がホームポジションにあるか否かを検出するホームポジションセンサー39が設けられている。
【0052】
次に、主に図5から図9を参照して、キャリッジ30のガントリー20に対するZ軸方向における位置、すなわち、キャリッジ30及びキャリッジ30に収容された測色器100の支持台41に載置された測色対象物10に対するZ軸方向における位置、について説明する。図5は、測色器100をキャリッジ30に収容させた状態でキャリッジ30を走査する際、すなわち、ガントリー20に対してキャリッジ30をY軸方向に沿って移動させる際の配置を表す図である。この際は、測色器100の測色面122及びキャリッジ30の底面302のいずれも、測色対象物10に対して、Z軸方向において隙間が空いた状態となっている。
【0053】
図6は、図5の状態からキャリッジを下方である-Z方向に移動させて測色器100の測色面122が測色対象物10と接触した瞬間の配置を表す図である。なお、例えば、本実施例においては、この際のキャリッジ30の底面302と測色対象物10とのZ軸方向の隙間G1は2mmとなっている。ここで、本実施例においては、測色器100は、キャリッジ30に対して、凸部127及び凸部128がキャリッジ30に設けられたリブ301に自重により引っ掛かって載置された状態で収容されているとともに、測色器100の測色面122が図4で表されるキャリッジ30の底面302に設けられた開口部である孔部302aから-Z方向に突出する構成となっている。
【0054】
このため、図7で表されるように、図6の状態からキャリッジ30をさらに-Z方向に移動させると、測色面122には測色器100の自重がかかる。なお、図7は、測色対象物10の測色の際の配置、すなわち、カラーチャート10Aのカラーパッチ11や黒枠12などの測色をする際の配置を表している。なお、例えば、本実施例においては、この際のキャリッジ30の底面302と測色対象物10とのZ軸方向の隙間G2は1mmとなっている。別の表現をすると、本実施例の測色装置1は、測色対象物10の測色の際、測色対象物10に対して測色面122は接触するがキャリッジ30の底面302は隙間が設けられた状態となる。
【0055】
本実施例の測色装置1においては、測色器100の測色面122のZ軸方向から見た全周が支持台41上の測色対象物10に接触して測色対象物10の表面に倣った状態で測色する。このような構成であることで、測色器100の光軸開口である測色口106が測色面122で覆われた状態で測色できるので、外光の影響を受けにくく測色精度が上がる。なお、図6の状態でも外光の影響を受けにくい状態で測色することは可能であるが、キャリッジ30や測色器100や支持台41には部品の製造ばらつきなどに伴う公差が生じるので、キャリッジ30の測色器100の保持位置や測色面122から支持台41までの距離にずれが生じる場合がある。しかしながら、図6の状態からさらにキャリッジ30を下げることで、このような公差の影響を受けずに測色を行うことが可能になる。
【0056】
また、図7の状態では、キャリッジ30の底面302と測色対象物10との間に隙間G2ができており、キャリッジ30の底面302と測色対象物10とが離間した状態となっている。このため、キャリッジ30の重量が測色対象物10に伝わらず、測色器100の自重のみ測色対象物10に掛かった状態になる。したがって、測色器100は適度な荷重が掛かった状態で測色対象物10に接触するので、測色対象物10を損傷させにくい。
【0057】
なお、本実施例の測色装置1は、カラーチャート10Aだけではなく、様々な測色対象物10の測色が可能である。本実施例の測色装置1が測色可能な測色対象物10には様々な厚みのものがある。このため、本実施例の測色装置1は、使用する測色対象物10に対してキャリッジ30をZ軸方向に移動させることでキャリッジ30を測色対象物10に当接させ、その当接時のキャリッジ30の高さである度当て高さを測定することができる。別の観点から説明すると、キャリッジ30の度当て高さとは、測色対象物10に接触したときのキャリッジ30の高さのことである。具体的には、本実施例の測色装置1は、キャリッジ30の度当て高さを知るために、キャリッジ30の底面302が測色対象物10に当たりZ軸移動方向移動モーター36の負荷がある閾値を超えるまでZ軸移動方向移動モーター36を駆動してキャリッジ30の高さを下げ続け、その閾値を超えた高さを検出することでキャリッジ30の度当て高さを知ることができる。図8は、キャリッジ30の度当て高さを知るために、キャリッジ30の底面302が測色対象物10に度当たりZ軸移動方向移動モーター36の負荷がある閾値を超えた際の状態を表している。
【0058】
また、本実施例の測色装置1は、上記のように、ガントリー20に対するキャリッジ30のZ軸方向における位置がホームポジションにあるか否かを検出するホームポジションセンサー39が設けられている。図9は、キャリッジ30がZ軸方向においてホームポジションにある状態を表している。
【0059】
上記のように、本実施例の測色装置1は、カラーパッチ11が形成されたカラーチャート10Aのカラーパッチ11を測色する測色器100を取り付け可能な測色装置である。そして、本実施例の測色装置1は、カラーチャート10Aなどの測色対象物10を支持する支持台41を備えている。また、本実施例の測色装置1は、測色対象物10に形成されたカラーパッチ11や黒枠12などの被検出部を検出する検出部37としてのフロント側センサー37A及びリア側センサー37Bを有するとともに測色器100を支持するキャリッジ30を備えている。また、本実施例の測色装置1はガントリー20を備え、ガントリー20は、キャリッジモーター22、キャリッジベルト23、手前プーリー24及び奥プーリー25などを備え、支持台41上においてキャリッジ30を移動させる移動部としての役割をしている。また、本実施例の測色装置1は、測色器100とキャリッジ30とガントリー20とを制御する制御部としてのメイン基板52などを備えている。
【0060】
ここで、上記のように、本実施例の測色装置1においては、測色器100は、キャリッジ30に対して、凸部127及び凸部128がキャリッジ30に設けられたリブ301に自重により引っ掛かって載置された状態で収容されている。また、本実施例の測色装置1においては、測色器100を着脱可能である。このような構成の測色装置1においては、キャリッジ30の位置に対して、測色器100の測色口106の位置、すなわち、測色器100の測色位置がズレる虞がある。キャリッジ30には検出部37としてのフロント側センサー37A及びリア側センサー37Bが設けられている。このため、上記について別の表現をすると、このような構成の測色装置1においては、検出部37の検出位置である第1位置に対して測色器100の測色位置である第2位置がズレやすい。そこで、本実施例の測色装置1においては、第1位置(検出部37の検出位置)に対して第2位置(測色器100の測色位置)がズレた場合でも測色器100によりカラーパッチ11を測色する際の測色位置がズレないように、キャリッジ30の位置を調整することが可能な構成になっている。なお、検出部37の検出位置は、検出部37が被検出部を検出する際のキャリッジ30のXY平面における位置とみなすことができる。同様に、測色器100の測色位置は、測色器100が被検出部を測色する際のキャリッジ30のXY平面における位置とみなすことができる。
【0061】
以下に、本実施例の測色装置1を使用して行う、検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を調整する調整方法の一例について図10から図17を参照して説明する。詳細には、測色対象物10としてカラーチャート10Aを用いた場合の、検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を調整する調整方法について説明する。
【0062】
ここで、図10のフローチャートは、本実施例の測色装置1を使用して行う検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を調整する調整方法の一例のフローチャートである。また、図11は、図10のフローチャートにおける測色対象物の配置検出工程のフローを表すフローチャートである。また、図12は、図10のフローチャートにおけるX軸方向の調整値算出工程のフローを表すフローチャート。ある。また、図13は、図10のフローチャートにおける検出部間(第1検出部であるフロント側センサー37Aと第2検出部であるリア側センサー37Bとの間)の調整工程のフローを表すフローチャートある。また、図14は、図10のフローチャートの調整方法を実施するか否かを判断するフローを表すフローチャートある。また、図15は、カラーチャート10Aの平面図であって、被検出部の位置や、フロント側センサー37A及びリア側センサー37Bによる被検出部の検出の際のフロント側センサー37A及びリア側センサー37Bの位置を説明するための図である。また、図16は、カラーチャート10Aとは異なる測色対象物10の一例の平面図である。また、図17は、フロント側センサー37Aによる被検出部の検出の際のフロント側センサー37Aの位置と出力値との関係を表すグラフである。また、図18は、測色器100による被検出部の測色の際の測色器100の位置と反射率との関係を表すグラフである。なお、図10から図14のフローチャートで表される本実施例の調整方法は、制御部としてのメイン基板52の制御により各ステップが実行される。
【0063】
図10のフローチャートを開始すると、最初に、ステップS110で、測色対象物10の厚みを検出する。測色対象物10の厚みの検出方法は、上記のとおりキャリッジ30の度当て高さを検出することで行う。そして、ステップS110で検出した測色対象物10の厚みに基づいて、検出部としてのフロント側センサー37A及びリア側センサー37B、並びに、測色器100で測色対象物10に形成された被検出部を検出または測色する際のZ軸方向のキャリッジ30の位置を決定する。
【0064】
次に、ステップS120で、測色対象物10の支持台41上での配置、すなわち、測色対象物10の支持台41上での所望の位置からの位置ズレや傾きを検出する。別の表現をすると、ステップS120で、第1検出部としてのフロント側センサー37A及び第2検出部としてのリア側センサー37Bによって被検出部としての黒枠12を検出し、その検出結果によりカラーパッチ11の位置を特定する。以下に、そのフローについて図11図15及び図17を参照して詳細に説明する。なお、図15では、各構成部材の位置がわかりやすいように、キャリッジ30は透視図となっている。
【0065】
図15で表されるカラーチャート10Aは、四角形であるとともに、カラーパッチ11が形成される領域の周囲に、カラーチャート10Aの四辺に沿って被検出部としての線状被検出部である黒枠12が形成されている。詳細には、図15で表されるカラーチャート10Aは、黒枠12として、カラーチャート10Aの-X方向側の辺の近傍に形成された黒枠12a、カラーチャート10Aの+X方向側の辺の近傍に形成された黒枠12b、カラーチャート10Aの+Y方向側の辺の近傍に形成された黒枠12c、カラーチャート10Aの-Y方向側の辺の近傍に形成された黒枠12dを有している。そして、測色装置1の記憶部52aには、黒枠12a、黒枠12b、黒枠12c及び黒枠12dに対する各カラーパッチ11の位置関係に関する情報が記憶されている。すなわち、各々の黒枠12の位置から各カラーパッチ11の位置を把握することが可能な構成になっている。
【0066】
図11のフローチャートを開始すると、最初に、ステップS1110で、キャリッジモーター22などを駆動して、キャリッジ30を図15で表される位置PAに移動する。そして、次に、ステップS1120で、ガントリーモーター47などを駆動して、キャリッジ30を図15で表される位置PBに移動する。ここで、キャリッジ30を位置PAから位置PBに移動する際、フロント側センサー37Aをオンにしその出力値を記録する。図16のグラフは、キャリッジ30を位置PAから位置PBに移動した際のフロント側センサー37Aの出力値を表している。
【0067】
次に、ステップS1130で、ステップS1120で取得した出力値から黒枠12aの生地部14に対する境界位置PC及びPDを求める。具体的には、出力値が予め定められた閾値を下回った時点を境界位置PCとし、出力値がこの閾値を再度上回った時点を境界位置PDとする。そして、境界位置PC及びPDの中間地点を黒枠12aの中心位置PEとして求める。ここで、図17のグラフは、境界位置PC及びPDの中間地点を黒枠12aの中心位置PEの位置と出力値との関係を表している。
【0068】
次に、ステップS1140で、キャリッジモーター22やガントリーモーター47などを駆動して、キャリッジ30を図15で表される位置PFに移動する。そして、さらに、ガントリーモーター47などを駆動して、キャリッジ30を図15で表される位置PGに移動する。なお、この際も、フロント側センサー37Aをオンにしその出力値を記録する。そして、その出力値から黒枠12aの中心位置PHを求める。ここで、中心位置PHは中心位置PEに対してY軸方向にずれており、中心位置PHと中心位置PEとを結ぶ直線は、黒枠12aの中心直線となる。ステップS1150では、この黒枠12aの中心直線を求める。
【0069】
次に、ステップS1160で、ステップS1110からステップS1150と同様の手順で、黒枠12bの中心位置PI及びPJ、並びに、黒枠12bの中心直線を求める。ただし、この際、フロント側センサー37Aではなくリア側センサー37Bが使用される。図11で表されるようにリア側センサー37Bはフロント側センサー37Aよりも+X方向側に設けられている。このため、-X方向側の黒枠12aの検出をフロント側センサー37Aで行い、+X方向側の黒枠12bの検出をリア側センサー37Bで行うことで、X軸方向におけるガントリー20及びキャリッジ30の走査範囲を狭くすることができ、X軸方向における支持台41の長さを短くすることができる。
【0070】
次に、ステップS1170で、ステップS1110からステップS1150と同様の手順で、黒枠12cの中心位置PK及びPL、並びに、黒枠12cの中心直線を求める。ただし、黒枠12cを検出する際のキャリッジ30の移動方向はY軸方向に沿う方向となる。また、この際、リア側センサー37Bが使用される。次に、ステップS1180で、ステップS1110からステップS1150と同様の手順で、黒枠12dの中心位置PM及びPN、並びに、黒枠12dの中心直線を求める。黒枠12dを検出する際のキャリッジ30の移動方向もY軸方向に沿う方向となる。また、この際、フロント側センサー37Aが使用される。図15で表されるように、フロント側センサー37Aはリア側センサー37Bよりも-Y方向側に設けられている。このため、+Y方向側の黒枠12cの検出をリア側センサー37Bで行い、-Y方向側の黒枠12dの検出をフロント側センサー37Aで行うことで、Y軸方向におけるキャリッジ30の走査範囲を狭くすることができ、Y軸方向における支持台41の長さを短くすることができる。
【0071】
次に、ステップS1190で、黒枠12aの中心直線、黒枠12bの中心直線、黒枠12cの中心直線及び黒枠12dの中心直線から、これらの交点PO、PP、PQ及びPRを求める。ここで、メイン基板52は、交点PO、PP、PQ及びPRの位置から、例えば本来長方形のカラーチャート10Aが変形などして台形になっていないかなどを認識することが可能である。そこで、ステップS1200で、メイン基板52は、交点PO、PP、PQ及びPRの位置から、台形補正などの補正処理を行い、あわせて、カラーチャート10Aの配置、すなわち、カラーパッチ11の位置を特定し、図11で表されるフローチャートを終了する。
【0072】
次に、図10のフローチャートにおけるステップS130で、ステップS120で検出した測色対象物10の配置に基づいて、キャリッジ30の走査範囲に対応するキャリッジ30の移動位置を決定する。そして、ステップS140で、X軸方向における検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を調整するための調整値を算出する。ステップS140の詳細は、図12のフローチャートで表される。
【0073】
図10のフローチャートのステップS140が開始されると、図12のフローチャートで表されるように、最初に、ステップS2110で、検出部37のうちのフロント側センサー37Aによって被検出部である黒枠12aを検出開始することが可能な位置にキャリッジ30を移動させる。そして、ステップS2120でキャリッジ30を走査してX軸方向における黒枠12aを検出し、ステップS2130でX軸方向における黒枠12aの中心位置を特定する。なお、この際の検出動作は、図11のフローチャートにおけるステップS1110からステップS1150までと同様である。具体的には、例えば、境界位置PCよりも若干-X方向側の位置を検出開始位置とし、境界位置PDよりも若干+X方向側の位置を検出終了位置とし、ステップS2130において中心位置PEを求める。さらに詳細には、例えば、図17で表されるように、出力値が予め定められた閾値を下回った時点を境界位置PCとし、出力値がこの閾値を再度上回った時点を境界位置PDとする。そして、境界位置PC及びPDの中間地点を黒枠12aの中心位置PEとして求める。このようなX軸方向における被検出物の中心位置の検出を図11のフローチャートのフローの際と同様に例えばY軸方向における場所を変えて2回行って、X軸方向における黒枠12aの中心位置を特定してもよい。
【0074】
次に、ステップS2140で、XY平面状において測色器100によって被検出部である黒枠12aの検出、すなわち、黒枠12aの測色を開始することが可能な位置にキャリッジ30を移動させる。そして、ステップS2150でキャリッジ30をZ軸方向に沿って下降する方向に移動させてZ軸方向における所望の位置で黒枠12aを測色し、ステップS2160で次の測色位置を設定する。本実施例の測色器100は、測色器100を停止した状態で測色する構成となっているためこのような工程としている。しかしながら、測色器100がフロント側センサー37Aやリア側センサー37Bと同じように移動しながら連続的に検出動作が可能な構成である場合は、ステップS2140から後述のステップS2190までの工程を行う代わりに、フロント側センサー37Aを測色器100に読み替えてステップS2110からステップS2130のような工程を行うようにすることも可能である。
【0075】
ステップS2160の実行後は、黒枠12aの検出ループを開始する。黒枠12aの検出ループでは、ステップS2170で、設定された測色位置にキャリッジ30を移動して測色を行う。そして、ステップS2180で、次の測色位置を設定する。なお、本実施例においては、黒枠12aの検出ループを、+X方向に向けて少しずつ測色位置をずらしながら測色を行うこととしている。具体的には、例えば、境界位置PCよりも若干-X方向側の位置を測色開始位置とし、境界位置PDよりも若干+X方向側の位置を測色終了位置とし、後述のステップS2190において中心位置PEを求める。さらに詳細には、例えば、反射率が予め定められた閾値を上回った時点を境界位置PCとし、反射率がこの閾値を再度下回った時点を境界位置PDとする。そして、境界位置PC及びPDの中間地点を黒枠12aの中心位置PEとして求める。この際のキャリッジ30の位置と測色器100により得られる反射率との関係をグラフで表すと図18のようになる。なお、上記のように本実施例においては黒枠12aの検出ループを+X方向に向けて少しずつ測色位置をずらしながら測色を行うのでキャリッジ30の位置と反射率の関係は複数の点で表されるが、図18ではこの複数の点を滑らかな線で結んで表している。
【0076】
そして、黒枠12aの検出ループを所望の回数行った後、黒枠12aの検出ループを終了してステップS2190に移行する。ステップS2190では、X軸方向における黒枠12aの中心位置を特定する。ここで、図11のフローチャートのフローの際と同様に例えばY軸方向における場所を変えてステップS2110からステップS2190までを2回繰り返し、X軸方向における黒枠12aの中心位置を特定してもよい。なお、ステップS2130で特定したX軸方向における黒枠12aの中心位置はフロント側センサー37Aによる検出位置に基づく中心位置であるのに対し、ステップS2190で特定したX軸方向における黒枠12aの中心位置は測色器100による測色位置に基づく中心位置である。このため、これらの中心位置に基づいて、ステップS2200で、X軸方向におけるフロント側センサー37Aの検出位置に対する測色器100の測色位置を調整するための調整値を算出し、図12のフローチャートのフローを終了する。
【0077】
図10のフローチャートのステップS140の終了後、ステップS150で、Y軸方向における検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を調整するための調整値を算出する。ステップS150の詳細は、図12のフローチャートにおいて、黒枠12aの代わりにカラーチャート10Aのカラーパッチ11のうちのカラーパッチ11aを使用すること、並びに、X軸方向をY軸方向と読み替えること、により説明することができる。なお、図12のフローチャートの説明における境界位置PC及びPD、中心位置PEは、境界位置PS及びPT、中心位置PUと読み替えることができる。
【0078】
ここで、上記のように、図10のフローチャートの調整方法においては、検出部37としてフロント側センサー37Aを用いて、ステップS140及びステップS150を実行する。ただし、上記のように、本実施例の測色装置1は、検出部37としてフロント側センサー37Aに加えてリア側センサー37Bを備え、ステップS120では、リア側センサー37Bの検出結果も使用する。そこで、ステップS160では、2つの検出部37であるフロント側センサー37A及びリア側センサー37Bの間の位置関係、具体的には、フロント側センサー37Aのキャリッジ30における位置に対するリア側センサー37Bのキャリッジ30における位置、に基づいてキャリッジ30の位置を調整する。なお、ステップS160の詳細は、図13のフローチャートで表される。
【0079】
図10のフローチャートのステップS160が開始されると、図13のフローチャートで表されるように、最初に、ステップS3110で検出部37のうちのリア側センサー37Bによって被検出部である黒枠12aを検出開始することが可能な位置にキャリッジ30を移動させる。そして、ステップS3120でキャリッジ30を走査してX軸方向における黒枠12aを検出し、ステップS3130でX軸方向における黒枠12aの中心位置を特定する。なお、この際の検出動作は、図12のフローチャートにおけるステップS2110からステップS2130までの説明においてフロント側センサー37Aをリア側センサー37Bに読み替えただけのものである。
【0080】
次に、ステップS3140でリア側センサー37Bによって被検出部であるカラーパッチ11aを検出開始することが可能な位置にキャリッジ30を移動させる。そして、ステップS3150でキャリッジ30を走査してY軸方向におけるカラーパッチ11aを検出し、ステップS3160でY軸方向におけるカラーパッチ11aの中心位置を特定する。
【0081】
次に、ステップS3170で、図12のフローチャートを実行することでフロント側センサー37Aにより特定したX軸方向における黒枠12aの中心位置と、ステップS3130でリア側センサー37Bにより特定したX軸方向における黒枠12aの中心位置と、から、第1検出部であるフロント側センサー37Aと第2検出部であるリア側センサー37BとのX軸方向における距離を算出する。さらに、ステップS3170で、図12のフローチャートを実行することでフロント側センサー37Aにより特定したY軸方向におけるカラーパッチ11aの中心位置と、ステップS3160でリア側センサー37Bにより特定したY軸方向におけるカラーパッチ11aの中心位置と、から、第1検出部であるフロント側センサー37Aと第2検出部であるリア側センサー37BとのY軸方向における距離を算出する。
【0082】
そして、ステップS3180で、フロント側センサー37Aとリア側センサー37BとのX軸方向における距離とY軸方向における距離とを記憶部52aに記憶させるとともに、これらの距離に基づいてキャリッジ30の移動を制御することで、図13のフローチャートの全工程、すなわち、図10のフローチャートのステップS160を終了する。
【0083】
次に、図10のフローチャートのステップS170では、ステップS160を実行することで得たフロント側センサー37Aとリア側センサー37BとのX軸方向における距離とY軸方向における距離とに基づいて、X軸方向及びY軸方向におけるリア側センサー37Bの検出位置に対する測色器100の測色位置を調整するための調整値を算出する。そして、ステップS170において、上記のようにして得たX軸方向及びY軸方向におけるリア側センサー37Bの検出位置に対する測色器100の測色位置を調整するための調整値と、ステップS140及びステップS150で得たX軸方向及びY軸方向におけるフロント側センサー37Aの検出位置に対する測色器100の測色位置を調整するための調整値と、を記憶部52aに記憶させる。そして、ステップS170の終了に伴い、図10のフローチャートを終了する。
【0084】
なお、上記においては、測色対象物10としてカラーチャート10Aを用いた。すなわち、カラーチャート10Aの被検出部は、測色チャートの一例であるカラーチャート10Aに形成され、支持台41に支持されたカラーチャート10Aの位置を検出する役割を兼ねている。このように、カラーチャート10Aに被検出部が含まれていることで、被検出部が形成された測色対象物10をカラーチャート10Aとは別に用意する手間を省くことができる。
【0085】
しかしながら、図10のフローチャートの調整方法においては、カラーチャート10Aではなく、検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を調整するための専用の測色対象物10を使用することも可能である。ここで、図16は、検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を調整するための専用の測色対象物10Bの一例を表している。図16で表されるように、測色対象物10Bは、黒枠12に加えて、X軸方向における検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を調整するための調整値を算出するための被検出部15であるX軸方向調整用被検出部15Aを有している。さらに、Y軸方向における検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を調整するための調整値を算出するための被検出部15であるY軸方向調整用被検出部15Bを有している。本実施例の測色装置1は、例えば、X軸方向調整用被検出部15Aの境界位置PC及びPDから中心位置PEを算出するとともに、Y軸方向調整用被検出部15Bの境界位置PS及びPTから中心位置PUを算出するなどして、検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を調整することが可能である。
【0086】
このように、被検出部15がカラーチャート10Aとは別の測色対象物10に形成されることで、例えば、出荷前の検査工程のみにて調整値の算出を行う場合などにおいて、測定チャートに被検出部を形成する必要性をなくすことができ、カラーチャート10Aのカラーパッチ11の形成領域を広くとることができる。
【0087】
また、上記のように、本実施例の測色装置1では、測色器100は測色装置1に対して着脱可能に設けられている。このため、測色器100を測色装置1に装着することなく使用することも可能になり、測色器100の使い勝手を向上することができる。
【0088】
なお、前回の測色装置1の使用時から測色器100の着脱を行っていない場合など、図10のフローチャートの調整方法は、必ずしも毎回行う必要はない。そこで、本実施例の測色装置1は、図10のフローチャートの調整方法を行うか否かの判断をすることができる。ここで、図14は、図10のフローチャートの調整方法を実施するか否かを判断するフローを表すフローチャートである。
【0089】
図14のフローチャートにおいては、最初に、ステップS4110で、制御部としてのメイン基板52は、キャリッジ30に装着された測色器100の識別番号が記憶部52aに記憶されている識別番号に含まれるか否かを判断する。ここで、本実施例の測色装置1は、測色器100毎に設定された識別番号を認識可能な構成となっている。ステップS4110においてキャリッジ30に装着された測色器100の識別番号が記憶部52aに記憶されている識別番号に含まれないと判断された場合はステップS4120に進み、ステップS4120において、図10のフローチャートの調整方法に対応する調整処理を実行させる。一方、ステップS4110においてキャリッジ30に装着された測色器100の識別番号が記憶部52aに記憶されている識別番号に含まれると判断された場合はステップS4130に進み、記憶部52aに記憶されている該当する識別番号の測色器100の調整値に設定をし、図10のフローチャートの調整方法に対応する調整処理の実行を省略する。
【0090】
上記のように、本実施例の測色装置1は、検出部37に被検出部を検出させて検出部37の検出位置である第1位置を特定し、測色器100に被検出部を測色させて測色器100の測色位置である第2位置を特定し、第1位置と第2位置とに基づいて調整値を算出し、カラーパッチ11を測色する際のキャリッジ30の位置を調整値に基づいて調整する。このため、例えば、測色器100を取り換えるなどして検出部37と測色器100との位置関係が本来想定していた位置関係からズレた場合などにおいても、これらの位置関係を自動的に最適化でき、検出部37の検出位置に対して測色器100の測色位置がズレることによる測色精度の低下を抑制することができる。また、このような構成とすることで、カラーパッチ11のサイズを小さくできるため、カラーチャート10Aに使用する媒体の消費量を低減できるとともに測色時間を短縮することができる。なお、図10のフローチャートの調整方法では、図12のフローチャートで表されるように、検出部37の検出位置である第1位置を特定してから測色器100の測色位置である第2位置を特定しているが、測色器100の測色位置である第2位置を特定してから検出部37の検出位置である第1位置を特定してもよい。
【0091】
また、本実施例の測色装置1は、調整値を記憶する不揮発性の記憶部52aを備えており、図10のフローチャートのステップS170で表されるように、制御部としてのメイン基板52は、調整値の算出後に調整値を記憶部52aに記憶させる。このため、本実施例の測色装置1は、電源を再投入した後でも一度算出した調整値を再利用することができ、調整値を算出するための時間を短縮することができる。
【0092】
また、上記のように、本実施例の測色装置1は、第1位置及び第2位置を特定する際、例えば、境界位置PC及びPDから中心位置PEを算出し、中心位置PEを第1位置及び第2位置とする。すなわち、メイン基板52は、被検出部の両端の間の位置を第1位置及び第2位置として特定する。このような構成とすることで、検出部37の検出位置に対する測色器100の測色位置を正確に把握することができる。なお、本実施例においては、被検出部の両端の間の中央の位置を第1位置及び第2位置として特定するが、このような構成に限定されず、被検出部の両端の間の位置であれば中央の位置でなくてもよい。
【0093】
また、本実施例の測色装置1において、メイン基板52は、測色器100に被検出部を測色させる際、キャリッジ30の移動と停止とを繰り返し、キャリッジ30を停止させた状態で被検出部を測色させる。このため、被検出部を測色させる際、例えば、測色器100の構成などにより、連続的に被検出部を測色するのが原理的に困難な場合や、測色周期が長く測色間隔が長くなりやすい場合などにおいて、少しずつ測色位置をずらしながらキャリッジ30を停止して測色することで、被検出部の測色における分解能を高くすることができる。なお、本実施例の測色装置1は、測色位置で停止した状態で測色する構成であるが、例えば連続的に被検出部を測色するのが可能な測色装置などにおいては、測色位置でキャリッジ30を停止させることなく、測色器100を移動させた状態で測色をしてもよい。
【0094】
また、上記のように、本実施例の測色装置1は、異なる識別番号を有する測色器100を使用可能である。別の表現をすると、本実施例の測色装置1において、キャリッジ30は、測色器100として第1測色器と第2測色器とを入れ替えて支持可能に構成されている。そして、図10のフローチャートの調整方法を実行することで、メイン基板52は、キャリッジ30に支持される測色器100が第1測色器から第2測色器に入れ替えられた場合、第2測色器に被検出部を測色させて第2位置を特定し、調整値を再算出させるとともに、再算出させた調整値に基づいてカラーパッチ11を測色する際のキャリッジ30の位置を調整することができる。このため、キャリッジ30に支持される測色器100が変わった場合、それを認識して自動的に測色前に調整値の算出を行うことができる。
【0095】
なお、測色器100として第1測色器と第2測色器とを入れ替えない場合でも、例えば、所定回数の測色が行われた場合に調整値を再び算出してもよいし、所定時間の測色が行われた場合に調整値を再び算出してもよいし、前回の測色した時から所定時間経過した場合に調整値を再び算出してもよい。さらには、ユーザーが調整値を再び算出させる指示を入力可能な操作部を備える構成とし、ユーザーが手動で調整値を再び算出させることを実行させる構成としてもよい。
【0096】
なお、上記のように、キャリッジ30は測色器100を支持する支持部310を有し、支持部310は測色器100が支持された状態において測色器100の測色面122をキャリッジ30から露呈させる開口部である孔部302aを有する。そして、孔部302aを挟んで、被検出部としての黒枠12や隅部被検出部13などを検出する第1検出部としてのフロント側センサー37A及び第2検出部としてのリア側センサー37Bが、キャリッジ30に設けられている。このため、被検出部から近い方の検出部37を使用することで、少なくとも開口部(孔部302a)の長さ分、キャリッジ30の移動距離を短くすることが可能になり、装置の小型化が可能になる。
【0097】
また、本実施例の測色装置1において、メイン基板52は、ステップS140及びステップS150で表されるようにフロント側センサー37Aの検出位置を使用してフロント側センサー37Aに対応する調整値(第1調整値)を算出するとともに、図13のフローチャートで表されるようにフロント側センサー37Aとリア側センサー37Bとの位置関係からリア側センサー37Bに対応する調整値(第2調整値)を算出することができる。そして、カラーパッチ11を測色する際のキャリッジ30の位置を第1調整値及び第2調整値に基づいて調整することができる。このため、第2調整値を算出する際にリア側センサー37Bによる検出動作を省略することができ、第2調整値を算出する時間を短縮することができる。
【0098】
一方、本実施例の測色装置1において、メイン基板52は、ステップS140及びステップS150で表されるようにフロント側センサー37Aの検出位置を使用してフロント側センサー37Aに対応する調整値(第1調整値)を算出するとともに、ステップS140及びステップS150と同様の手順でリア側センサー37Bの検出位置を使用してリア側センサー37Bに対応する調整値(第2調整値)を算出することもできる。そして、カラーパッチ11を測色する際のキャリッジ30の位置を第1調整値及び第2調整値に基づいて調整することができる。このような手順を行うことで、第1調整値の算出方法を第2調整値の算出方法に転用することができ、制御フローを簡略化することができる。
【0099】
また、上記のように、フロント側センサー37A及びリア側センサー37Bは、第1方向としてのY軸方向と、Y軸方向と交差する方向である第2方向としてのX軸方向と、の両方において異なる位置に設けられている。このため、例えば、図15で表されるような、Y軸方向において異なる2カ所とX軸方向において異なる2カ所とに黒枠12が形成されたカラーチャート10Aに対して、Y軸方向においてもX軸方向においてもキャリッジ30の移動距離を短くすることができる。このため、本実施例の測色装置1は、測色装置1が大型化することを特に効果的に抑制しつつカラーチャート10Aに形成されたカラーパッチ11を位置ズレすることなく測色することができる。
【0100】
また、図15で表されるカラーチャート10Aは、四角形であるとともにカラーチャート10Aの四辺に沿って被検出部としての線状被検出部である黒枠12が形成されている。そして、本実施例の測色装置1は、上記のように、メイン基板52の制御により、フロント側センサー37A及びリア側センサー37Bが黒枠12を検出した結果に基づいて、カラーパッチ11の位置を特定することができる。このような構成とすることで、カラーチャート10Aの四辺を測定できるので、例えば、カラーチャート10Aの四辺の交点PO、PP、PQ及びPRを算出することでカラーチャート10Aの支持台41に対する傾きなどを正確に把握することができ、カラーパッチ11の位置を特に正確に特定することができる。
【0101】
また、例えば、柔らかい素材のカラーチャート10Aは変形しやすく、長方形のカラーチャート10Aが台形状になって支持台41に支持される場合がある。このような場合、カラーチャート10Aが長方形であるとしてカラーパッチ11の位置を特定しようとすると実際の位置からズレる虞がある。しかしながら、本実施例の測色装置1は、メイン基板52の制御により、フロント側センサー37A及びリア側センサー37Bがカラーチャート10Aの各一辺に対応する黒枠12につき少なくとも2点で検出した結果に基づいて、4つの黒枠12の中心直線の位置と、中心直線同士の交点PO、PP、PQ及びPRの位置と、を算出し、算出した交点PO、PP、PQ及びPRの位置に基づいてカラーパッチ11の位置を特定する。このため、長方形のカラーチャート10Aが台形状に変形した状態で支持台41に支持されている場合でも、フロント側センサー37A及びリア側センサー37Bの検出結果に基づいてカラーチャート10Aが台形状になって支持台41に支持されていることを把握でき、算出した交点PO、PP、PQ及びPRの位置に基づいてカラーパッチ11の位置を正確に特定することができる。
【0102】
また、図15で表されるように、図15のカラーチャート10Aは四角形であるとともにカラーチャート10Aの四隅に隅部被検出部13が形成されている。そして、隅部被検出部13のうちの隅部被検出部13a、隅部被検出部13b及び隅部被検出部13cは黒色のパッチであるが、隅部被検出部13dは白色のパッチである。そして、本実施例の測色装置1は、メイン基板52の制御により、フロント側センサー37A及びリア側センサー37Bに4つの隅部被検出部13のうちの少なくとも3つを検出させることができ、フロント側センサー37A及びリア側センサー37Bの検出結果に基づいて、支持台41に支持されたカラーチャート10Aの向きを特定することができる。なお、隅部被検出部13をカラーパッチ11aの代わりに使用することも可能である。
【0103】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、本実施例の測色装置1は測色対象物と接触した状態で測色対象物を測色する構成であるが、測色対象物と非接触の状態で測色対象物を測色する構成に適用してもよい。また、例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0104】
1…測色装置、10…測色対象物、10A…カラーチャート(測色対象物)、10B…測色対象物、11…カラーパッチ、11a…カラーパッチ(被検出部)、12…黒枠(被検出部)、13…隅部被検出部、14…生地部、15…被検出部、15A…X軸方向調整用被検出部、15B…Y軸方向調整用被検出部、20…ガントリー(移動部)、21…空間部、22…キャリッジモーター、23…キャリッジベルト、24…手前プーリー、25…奥プーリー、26…ガントリーフレーム、30…キャリッジ、31…キャリッジスライダー、36…Z軸移動方向移動モーター、37…検出部、37A…フロント側センサー(第1検出部)、37B…リア側センサー(第2検出部)、39…ホームポジションセンサー、40…本体部、41…支持台、42…フロント面、42a…電源ボタン、43…リア面、44…フロントフレーム、45…リアフレーム、46…連結軸、47…ガントリーモーター、48…ケースロア、50…USBケーブル、51…電源ボックス、52…メイン基板(制御部)、52a…記憶部、53…サブ基板、61…モーターギア、62…ウォームギア、63…第1駆動ギア、64…第2駆動ギア、65…ラックギア、100…測色器、101…端子、105…画面部、106…測色口、110…操作部、111…プラス形ボタン、111a…バー形状、111b…バー形状、112…決定ボタン、120…筐体、121…上面、122…測色面(測色部)、123…背面、124…前面、125…右側面、126…左側面、127…凸部、128…凸部、301…リブ、302…底面、302a…孔部、303…リブ、310…支持部、G1…隙間、G2…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18