(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154892
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/06 20060101AFI20241024BHJP
F25D 23/12 20060101ALI20241024BHJP
A47B 31/02 20060101ALI20241024BHJP
A23L 3/36 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
F25D21/06 Z
F25D21/06 J
F25D23/12 L
A47B31/02 B
A47B31/02 D
A23L3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069104
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 萌
【テーマコード(参考)】
3L046
4B022
【Fターム(参考)】
3L046AA02
3L046BA01
3L046FA04
3L046FB01
3L046GB01
3L046KA02
3L046MA01
3L046MA02
3L046MA03
3L046MA04
4B022LP02
4B022LT13
(57)【要約】
【課題】蒸発器の温度を検知する温度センサを備えていなくても、貯蔵庫の設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜できること。
【解決手段】再加熱カートユニット10であって、冷温蔵室R1と、圧縮機50及び第1蒸発器52Aを有し、冷温蔵室R1内を冷却する冷却ユニット44と、冷温蔵室R1内の温度を検知する庫内サーミスタ71Aと、制御部60と、を備え、制御部60は、冷却ユニット44の冷却能力を監視し、冷却ユニット44の冷却能力の低下が10分以上継続すると第1蒸発器52Aの除霜処理を開始し、庫内サーミスタ71Aによって検知された冷温蔵室R1内の温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると除霜処理を終了する、再加熱カートユニット10。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵庫であって、
貯蔵室と、
圧縮機及び蒸発器を有し、前記貯蔵室内を冷却する冷却装置と、
前記貯蔵室内の温度を検知する温度センサと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記冷却装置の冷却能力を監視し、前記冷却装置の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続すると前記蒸発器の除霜処理を開始し、前記温度センサによって検知された前記貯蔵室内の温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると前記除霜処理を終了する、貯蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の貯蔵庫であって、
前記制御部は、前記圧縮機を運転して前記蒸発器に冷媒を供給しているときに前記貯蔵室内の温度が低下しない状態が前記第1所定時間以上継続した場合に、前記冷却装置の冷却能力の低下が前記第1所定時間以上継続したと判断する、貯蔵庫。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の貯蔵庫であって、
前記除霜処理が終了してから次回の前記除霜処理を開始するまでに空けるべき最小の時間を最小除霜間隔と定義した場合に、
前記制御部は、前回の前記除霜処理が終了してから前記最小除霜間隔以上の時間が経過しており、且つ、前記冷却装置の冷却能力の低下が前記第1所定時間以上継続した場合に前記除霜処理を開始する、貯蔵庫。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の貯蔵庫であって、
前記貯蔵室内を加熱する加熱装置を更に備え、
前記貯蔵室内の冷却を開始してから第2所定時間が経過した時から前記貯蔵室の加熱開始時刻の第3所定時間前までの期間を除霜優先期間と定義した場合に、
前記制御部は、前記除霜優先期間において、前記冷却装置の冷却能力の低下が前記第1所定時間以上継続した場合に前記除霜処理を開始する、貯蔵庫。
【請求項5】
請求項4に記載の貯蔵庫であって、
前記制御部は、前記加熱開始時刻の第4所定時間前に前記除霜処理を強制的に開始し、
前記除霜処理が終了してから次回の前記除霜処理を開始するまでに空けるべき最小の時間を最小除霜間隔と定義した場合に、前記第3所定時間は、前記最小除霜間隔と前記第4所定時間とを合計した時間である、貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵室と、貯蔵室内を冷却する冷却装置と、を備える貯蔵庫が知られている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、特許文献1に記載の冷温蔵装置(貯蔵庫に相当)は、トレイを収納するカートと、同カートを出し入れ可能に格納するステーションとを備えている。当該冷温蔵装置はステーションにカートが格納されるとステーション内が左右に仕切られて冷蔵室(貯蔵室に相当)および温蔵室(貯蔵室に相当)が区画形成される。当該冷温蔵装置は冷蔵室及び温蔵室を冷却する冷却装置と、温蔵室を加熱する加熱装置とを備えている。温蔵室に収容された温食は冷却装置によって冷蔵保存され、予め設定されている加熱開始時刻になると加熱装置によって再加熱されて配膳される。冷温蔵装置は再加熱カートとも称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却装置は蒸発器に霜が付着すると冷却能力が低下する。このため、冷却装置によって貯蔵室内を冷却する貯蔵庫は、蒸発器に付着した霜を溶かす除霜処理を行っている。
例えば、特許文献1に記載の冷温蔵装置は、加熱開始時刻の第1所定時間前である第1開始時刻に冷却装置の除霜処理を開始している。そして、当該冷温蔵装置は、第1開始時刻の前の期間においては、第1開始時刻を起点として第2所定時間ずつ遡った時刻(第2開始時刻)に除霜処理を開始している。すなわち、当該冷温蔵装置は所定の時間間隔(第2所定時間間隔)で除霜処理を開始している。特許文献1では第2所定時間として4時間が例示されている。
【0005】
特許文献1に記載の冷温蔵装置は、上述した除霜処理において、圧縮機を停止することで蒸発器を除霜している。圧縮機を停止すると温蔵室内の温度が上昇するため、上昇した温度によって蒸発器が除霜される。当該冷温蔵装置は蒸発器の温度を検知する温度センサを備えておらず、温蔵室内の温度を検知する温度センサによって除霜処理の終了を判断している。具体的には、温蔵室内の温度が除霜終了温度に達すると、蒸発器が除霜されたと見做して除霜処理を終了している。
しかしながら、特許文献1に記載の冷温蔵装置は、冷温蔵装置の設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜する上で改善の余地があった。
【0006】
本明細書では、蒸発器の温度を検知する温度センサを備えていなくても、貯蔵庫の設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
貯蔵庫であって、貯蔵室と、圧縮機及び蒸発器を有し、前記貯蔵室内を冷却する冷却装置と、前記貯蔵室内の温度を検知する温度センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記冷却装置の冷却能力を監視し、前記冷却装置の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続すると前記蒸発器の除霜処理を開始し、前記温度センサによって検知された前記貯蔵室内の温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると前記除霜処理を終了する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、蒸発器の温度を検知する温度センサを備えていなくても、貯蔵庫の設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1である再加熱カートユニットの分解斜視図
【
図7】再加熱カートユニットの電気的構成を示すブロック図
【
図8】再加熱カートユニットの運転モードを説明するための模式図
【
図9】冷温蔵室の冷却優先期間及び除霜優先期間を説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の概要]
最初に本開示の実施態様の概要を列挙して説明する。
【0011】
(1)本開示の貯蔵庫は、貯蔵室と、圧縮機及び蒸発器を有し、前記貯蔵室内を冷却する冷却装置と、前記貯蔵室内の温度を検知する温度センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記冷却装置の冷却能力を監視し、前記冷却装置の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続すると前記蒸発器の除霜処理を開始し、前記温度センサによって検知された前記貯蔵室内の温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると前記除霜処理を終了する。
【0012】
前述した特許文献1に記載の冷温蔵装置は、温蔵室内の温度を検知する温度センサと蒸発器とが離れているため、以下のような課題があった。
・カートの出し入れのためにステーションの断熱扉を開ける際、温蔵室内の温度を検知する温度センサの検知温度が上昇し、霜が残っているのに除霜が終了する可能性がある。
・所定の時間間隔(例えば4時間間隔)で除霜を開始するため、霜が残っている状態で除霜が終了した場合、冷却装置の運転を続けると霜が着き過ぎて冷却能力が低下する可能性がある。
・カートとステーションとを備える冷温蔵装置は構造上隙間が多く、霜の着き方が設置環境の影響を受け易いため、設置後の状況に合わせて冷温蔵装置の製造メーカの保守担当者が除霜の時間間隔を変更する必要がある。
・冷温蔵装置に加湿機能が追加になった場合、直前の加熱運転での加湿の有無によって霜の着き易さが変わり、加湿有で運転した場合は4時間間隔の除霜では不十分な可能性がある。加湿の有無は日によって変わるため、設定を変更する従来の方法では対応できない可能性がある。
このため、従来の冷温蔵装置は、冷温蔵装置の設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜する上で改善の余地があった。
【0013】
これについて検討した本願発明者は、蒸発器に霜が残っている状態で除霜処理が終了した場合は、冷却能力の低下がある程度の時間以上継続することを見出した。
上記(1)に記載の貯蔵庫も貯蔵室内の温度を検知する温度センサによって検知される温度に基づいて除霜処理の終了を判断するので、霜が残っている状態で除霜処理が終了する可能性がある。しかしながら、上記(1)に記載の貯蔵庫によると、冷却能力の低下が第1所定時間以上継続すると除霜処理を開始するので、蒸発器の温度を検知する温度センサを備えていなくても、貯蔵庫の設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜できる。
【0014】
具体的には、上記(1)に記載の貯蔵庫によると、以下のような効果が奏される。
・リアルタイムで冷却能力を監視し、冷却能力が低下したら除霜するようにしたので、設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜できる。
・扉を開けることで誤って除霜が終了した場合、冷却能力が低下することにより、所定の時間(例えば4時間)が経過しなくても次回の除霜が開始される。このため霜が着き過ぎることがなくなる。
・霜が着き難い設置環境で、従来の4時間間隔の除霜だと頻度が多すぎた場合、除霜の頻度が減るので、従来よりも庫内を一定温度で保つことができる。
・設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜できるので、製造メーカの保守担当者が設置後に除霜関係の設定値を変更しなくてよい。
【0015】
(2)上記(1)に記載の貯蔵庫であって、前記制御部は、前記圧縮機を運転して前記蒸発器に冷媒を供給しているときに前記貯蔵室内の温度が低下しない状態が前記第1所定時間以上継続した場合に、前記冷却装置の冷却能力の低下が前記第1所定時間以上継続したと判断してもよい。
【0016】
一般に冷却装置は貯蔵室内の温度を所定の温度範囲内に維持するために蒸発器への冷媒の供給と停止とが繰り返される。通常、蒸発器に冷媒を供給しているときは貯蔵室内の温度が低下するので、蒸発器に冷媒を供給しているときに貯蔵室内の温度が低下しない場合(言い換えると貯蔵室内の温度が変化しない場合あるいは貯蔵室内の温度が上昇する場合)は、蒸発器に霜が付着して冷却装置の冷却能力が低下している可能性が高い。このため、蒸発器に冷媒を供給しているときに貯蔵室内の温度が低下しない状態が第1所定時間以上継続したか否かを判断することにより、冷却装置の冷却能力が低下したか否かを判断できる。
【0017】
(3)上記(1)又は(2)に記載の貯蔵庫であって、前記除霜処理が終了してから次回の前記除霜処理を開始するまでに空けるべき最小の時間を最小除霜間隔と定義した場合に、前記制御部は、前回の前記除霜処理が終了してから前記最小除霜間隔以上の時間が経過しており、且つ、前記冷却装置の冷却能力の低下が前記第1所定時間以上継続した場合に前記除霜処理を開始してもよい。
【0018】
上記(3)に記載の貯蔵庫によると、前回の除霜処理が終了したときから最小除霜間隔以上の時間が経過していない場合には除霜処理を開始しないので、除霜処理が必要以上に頻繁に行われることを抑制できる。
【0019】
(4)上記(1)又は(2)に記載の貯蔵庫であって、前記貯蔵室内を加熱する加熱装置を更に備え、前記貯蔵室内の冷却を開始してから第2所定時間が経過した時から前記貯蔵室の加熱開始時刻の第3所定時間前までの期間を除霜優先期間と定義した場合に、前記制御部は、前記除霜優先期間において、前記冷却装置の冷却能力の低下が前記第1所定時間以上継続した場合に前記除霜処理を開始してもよい。
【0020】
貯蔵室を加熱する加熱装置を更に備える貯蔵庫は、一般に冷温蔵装置と称されている。冷温蔵装置は、貯蔵室の冷却を開始してから第2所定時間が経過するまでの期間、及び、貯蔵室の加熱開始時刻の第3所定時間前の時刻から加熱開始時刻までの期間が冷却優先期間として設定され、その間の期間(すなわち貯蔵室の冷却を開始してから第2所定時間が経過した時から温蔵室の加熱開始時刻の第3所定時間前までの期間)が除霜優先期間として設定されることがある。
上記(4)に記載の貯蔵庫によると、除霜優先期間以外の期間(すなわち冷却優先期間)は除霜処理を開始しないので、除霜優先期間以外の期間に除霜処理が開始されることを抑制できる。
【0021】
(5)上記(4)に記載の貯蔵庫であって、前記制御部は、前記加熱開始時刻の第4所定時間前に前記除霜処理を強制的に開始し、前記除霜処理が終了してから次回の前記除霜処理を開始するまでに空けるべき最小の時間を最小除霜間隔と定義した場合に、前記第3所定時間は、前記最小除霜間隔と前記第4所定時間とを合計した時間であってもよい。
【0022】
上記(5)に記載の貯蔵庫によると、加熱開始時刻の第3所定時間前の時刻を過ぎた後は、冷却装置の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続しても除霜処理を開始しない。このため、加熱開始時刻の第4所定時間前に除霜処理を強制的に開始する場合にも、前回の除霜処理から最小除霜間隔を空けて除霜処理を開始できる可能性が高くなる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態の詳細について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本開示の実施形態は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0024】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図10に基づいて説明する。
【0025】
(1)再加熱カートユニットの構成
本発明の貯蔵庫の第1の実施形態として再加熱カートユニット10を例示する。この再加熱カートユニット10は、いわゆるニュークック・チルシステムに用いられるものであり、具体的には、急速冷却後に食器に盛付けられた状態の料理等を、チルド保存して定められた時間等に再加熱することが可能な再加熱機器である。
【0026】
本実施形態の再加熱カートユニット10は、
図1および
図2に示すように、食器に盛り付けられた料理を収容してその料理を保温・保冷可能な断熱性を有するカート12と、そのカート12を格納可能でカート12内に温風および冷風を循環させるステーション14と、からなる。そして、再加熱後は、カート12をステーション14から取り出して運搬・配膳することができる構成とされている。
【0027】
以下に、本実施形態の再加熱カートユニット10について、概略的な構成を、
図1から
図6を参照しつつ説明する。なお、図面には、符号F,B,L,R,U,Dを用いて方向を示しており、それぞれ、カート12がステーション14に格納された状態において再加熱カートユニット10を正面から視たときの手前側(前側),奥側(後側),左側,右側,上側,下側を表している。
【0028】
カート12は、
図3および
図4に示すように、複数のトレイTをセット可能なフレームカート16と、そのフレームカート16を内部に収納可能な概して箱状の断熱カート18と、からなる。フレームカート16は、
図5に示すように、ベース20と、そのベース20の左右の側縁から立設する一対のサイドフレーム21と、ベース20に設けられた車輪22と、ベース20の底面に設けられて当該フレームカート16の移動を禁止するためのロック機構23と、を備える。
【0029】
また、フレームカート16は、一対のサイドフレーム21の左右方向における中央に、前後方向においてベース20と略同じ寸法で立設する断熱性を有する仕切壁24を備えている。その仕切壁24は、前後方向に長手状のセパレータ25が積み上げられて形成されている。そして、このフレームカート16は、上下に並んだ2つのセパレータ25の間に、トレイTを挿入可能とされている。また、前方および後方の両者から、トレイTを挿入可能とされている。
【0030】
なお、一対のサイドフレーム21には、複数のトレイガイド21aが、中央に向かって張り出した状態で設けられており、そのトレイガイド21aによってトレイTの左右の両端を支持するようになっている。このような構成により、フレームカート16は、複数のトレイTを、前方側と後方側の各々において、上下複数段にわたってセット可能なものとされている。
【0031】
断熱カート18は、
図3および
図4に示すように、前方および後方に開口する概して矩形状の断熱箱体30と、断熱箱体30の前後の開口を開閉する断熱扉31と、断熱箱体30の底面に設けられた車輪32と、断熱箱体30の底面に設けられて当該断熱カート18の移動を禁止するためのロック機構33と、を備えている。断熱扉31は、観音開き式のものである。
【0032】
断熱カート18は、前方の断熱扉31の脇に、使用者が運搬等を行う際に把持することが可能なグリップ34,35が設けられている。また、断熱カート18は、前方の断熱扉31を開いて、この前方側の開口から上述したフレームカート16を出し入れ可能となっている。なお、フレームカート16が断熱カート18内に収納されると、断熱箱体30内がフレームカート16の仕切壁24によって左右に仕切られて、冷温蔵室R1(貯蔵室の一例)および冷蔵室R2(貯蔵室の一例)が区画形成されるようになっている。
【0033】
断熱カート18は、ステーション14との間で、空気(温風および冷風)の受け渡しが行われるようになっている。具体的には、断熱箱体30は、
図3に示すように、天面部30aに、上方に開口する吸気口36A,36Bおよび排気口37A,37Bを有している。また、断熱箱体30は、
図6に示すように、断熱箱体30の両側の側壁部30b,30cの各々に、吸気口36A,36Bから冷温蔵室R1および冷蔵室R2に空気を案内する空気供給路38A,38Bが形成されている。
【0034】
なお、断熱箱体30は、外箱と内箱との間に断熱材としてメラミンフォームやウレタンフォーム等の発泡材が充填された構成のものであるが、側壁部30b,30cは、内側に間隔を空けて設けられたダクト部材39も含んで構成されており、空気供給路38A,38Bは、ダクト部材39と内箱との間に形成されている。
【0035】
そして、吸気口36A,36Bから吸い込まれて空気供給路38A,38Bを流れる空気は、ダクト部材39に形成された複数の長孔からなる吹出口39a(
図1参照)から、冷温蔵室R1および冷蔵室R2内に吹き出される。一方、冷温蔵室R1および冷蔵室R2内の空気は、天面部30aを厚み方向に貫通形成された排気口37A,37Bに向かって流れることになる。
【0036】
ステーション14は、
図1に示すように、前方視で門型に開口するカート格納部40aを有する本体部40を主体として構成され、上記カート12をカート格納部40aに対して前方側から出し入れ可能とされている。ステーション14は、
図2に示すように、本体部40の上側に一対のサイドパネル41とフロントパネル42とを備え、それらによって形成される機械室R3を有するものとなっている。
【0037】
機械室R3には、冷凍サイクル式の冷却ユニット44(冷却装置の一例)の一部,加湿装置45,コントロールボックス46が配されている。冷却ユニット44は、後に詳しく説明するが、圧縮機50と、凝縮器51aと凝縮器ファン51bとからなる凝縮器ユニット51と、2つの蒸発器(第1蒸発器52A,第2蒸発器52B)と、を含んで構成される。
【0038】
本体部40は、カート格納部40aの上方に、操作部47を有するディスプレイパネル48が配されている。この操作部47は、再加熱カートユニット10における各種情報が表示されるディスプレイ47aを含み、例えば、庫内の温度や運転状態を示す情報等が表示される。また、操作部47はディスプレイ47aの前面に配されているタッチパネルを含み、例えば、運転に関する各種設定の入力や運転指示などを行うことが可能とされている。
【0039】
図6に示すように、ステーション14は、ディスプレイパネル48で覆われた部分に、つまり、カート格納部40aと機械室R3との間に、左右に並んで2つの熱交換室R4,R5を有している。第1熱交換室R4には、第1蒸発器52Aが収容され、第2熱交換室R5には、第2蒸発器52Bが収容されている。
【0040】
第1蒸発器52Aおよび第2蒸発器52Bは、冷媒管や開閉弁を介して圧縮機50や凝縮器51aと並列接続されている。その開閉弁が切り替えられることにより、2つの蒸発器52A,52Bに対する冷媒の供給が制御される。つまり、再加熱カートユニット10は、第1蒸発器52Aと第2蒸発器52Bとが両方作動している状態、第1蒸発器52Aのみが作動している状態、第2蒸発器52Bのみが作動している状態を、切り替えることができるようになっている。第1蒸発器52Aへの冷媒の供給と第2蒸発器52Bへの冷媒の供給とを同時に停止する場合は圧縮機50が停止される。
【0041】
また、第1熱交換室R4には、ヒータ54(加熱装置の一例)が収容されており、第1熱交換室R4内の空気を加熱することも可能とされている。さらに、この第1熱交換室R4内の空気は、加湿装置45によって、加湿することも可能とされている。加湿装置45は、湯沸かしタンク45aを主体とするもので、給水した水を沸騰させ、それによる蒸気を、スチームパイプ45bを介して第1熱交換室R4に供給することで、第1熱交換室R4内の空気を加湿するようになっている。
【0042】
第1熱交換室R4および第2熱交換室R5には、第1循環ファン55A,第2循環ファン55Bが収容されている。これら第1循環ファン55A,第2循環ファン55Bは、下方側から空気を吸い込んで、後方側に配された第1蒸発器52A,第2蒸発器52B側に空気を送り出すことで、連結されたカート12の冷温蔵室R1と冷蔵室R2との間で、空気を循環させるものである。以下に、ステーション14とカート12との間で空気を循環させる構造について説明する。
【0043】
ステーション14は、
図6に示すように、第1熱交換室R4および第2熱交換室R5の下方に、それぞれに連通する排気ダクト56A,56Bと、吸気ダクト57A,57Bと、を備えている。これら4本のダクト56A,56B,57A,57Bは、ゴム等の弾性材によって蛇腹状に形成された部材であり、上下方向に伸縮可能なものとされている。ステーション14内にカート12が格納されると、排気ダクト56A,56Bの直下に、断熱カート18の吸気口36A,36Bが位置するとともに、吸気ダクト57A,57Bの直下に、断熱カート18の排気口37A,37Bが位置することとなる。
【0044】
ステーション14は、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを伸縮させる伸縮機構58を有している。その伸縮機構58は、レバー58a(
図2参照)が回動させられることで、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを保持したダクト保持部材58bを昇降させて、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを伸縮させるものとされている。
【0045】
つまり、使用者は、カート12をステーション14内に格納した後、レバー58aを回動させ、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを伸長させて、それら4本のダクト56A,56B,57A,57Bの下端を下降させる。それにより、4本のダクト56A,56B,57A,57Bの下端は、吸気口36A,36Bおよび排気口37A,37Bを覆う状態で、断熱カート18の天面部30aに接することになり、カート12とステーション14とが連結された状態となるのである。
【0046】
カート12とステーション14とが連結された状態で、第1循環ファン55Aが作動させられると、第1熱交換室R4の空気は、第1排気ダクト56Aからカート12の第1吸気口36A,第1空気供給路38Aを介して冷温蔵室R1に送られ、その冷温蔵室R1の空気は、第1排気口37Aから第1吸気ダクト57Aを介して、第1熱交換室R4に戻される。
【0047】
そして、第1熱交換室R4は、第1蒸発器52Aによって内部の空気を冷却すること、あるいは、ヒータ54および加湿装置45によって内部の空気を加熱・加湿することが可能とされており、第1熱交換室R4から冷風あるいは温風が送られる冷温蔵室R1は、冷蔵室あるいは温蔵室として機能する。
【0048】
また、同様に、第2循環ファン55Bが作動させられると、第2熱交換室R5の空気は、第2排気ダクト56Bからカート12の第2吸気口36B,第2空気供給路38Bを介して冷蔵室R2に送られ、その冷蔵室R2の空気は、第2排気口37Bから第2吸気ダクト57Bを介して、第2熱交換室R5に戻される。この第2熱交換室R5は、第2蒸発器52Bによって空気を冷却することが可能とされており、第2熱交換室R5から冷風が送られる冷蔵室R2は、冷蔵室として機能する。
【0049】
第1熱交換室R4には、第1吸気ダクト57Aを介して第1熱交換室R4に戻された冷温蔵室R1内の空気の温度を検知する庫内サーミスタ71A(温度センサの一例)が配されている。第2熱交換室R5には、第2吸気ダクト57Bを介して第2熱交換室R5に戻された冷蔵室R2内の空気の温度を検知する庫内サーミスタ71B(温度センサの一例)が配されている。
【0050】
(2)再加熱カートユニットの電気的構成
図7を参照して、再加熱カートユニット10の電気的構成について説明する。再加熱カートユニット10は制御部60を備えている。制御部60はCPU60A、RAM60B及び記憶部60Cを有している。制御部60には操作部47、庫内サーミスタ71A、庫内サーミスタ71B、第1循環ファン55A、第2循環ファン55B、ヒータ54、冷却ユニット44(より具体的には圧縮機50など)、加湿装置45、レバーセンサ74及びカートセンサ75が電気的に接続されている。
レバーセンサ74はレバー58aの回動を検知するセンサである。カートセンサ75はカート12が格納されたことや取り出されたことを検知するセンサである。
【0051】
(3)再加熱カートユニットの運転
図8を参照して、再加熱カートユニット10の運転モードについて説明する。再加熱カートユニット10の運転モードにはチルド運転、保冷運転、加熱運転、蒸らし運転、保温運転及び予冷運転がある。
【0052】
チルド運転は料理を冷蔵保存する運転である。チルド運転では、制御部60は庫内サーミスタ71Aによって検知された温度と庫内サーミスタ71Bによって検知された温度とに基づいて開閉弁の開閉や圧縮機50の運転・停止を切り替えることにより、冷温蔵室R1及び冷蔵室R2をそれぞれ所定の温度範囲内に維持する。保冷運転はチルド運転より高い温度(冷食用の温度)で料理を冷蔵保存する運転である。
【0053】
加熱運転は冷温蔵室R1に冷蔵保存されている料理を加熱する運転である。蒸らし運転は加熱運転によって加熱された料理を蒸らす運転である。加熱運転及び蒸らし運転では乾燥防止のために加湿装置45によって冷温蔵室R1内が加湿される。保温運転は蒸らし運転によって蒸らされた料理を保温する運転である。予冷運転についての説明は後述する。
【0054】
例えば再加熱カートユニット10によって朝食を提供する場合、使用者は急速冷却した朝食を食器に盛付けて各トレイTに載置する。トレイTの一方には温食が、他方には冷食が載置される。使用者は複数のトレイTを収容したカート12をステーション14に格納し、カート12とステーション14とを互いに連結する。
【0055】
そして、使用者は操作部47を操作して朝食の加熱完了時刻、加熱時間、蒸らし時間、各運転モードの温度などの各種の設定値を設定する。制御部60は各種の設定値が設定されると、加熱時間と蒸らし時間とを合計した時間だけ加熱完了時刻から遡った時刻を加熱開始時刻として設定する。すなわち、制御部60は加熱完了時刻から逆算によって加熱開始時刻を設定する。
【0056】
使用者は上述した各種の設定値を設定した後、操作部47のスタートボタンを押す。スタートボタンが押されると、制御部60は冷温蔵室R1及び冷蔵室R2のチルド運転を開始する。制御部60はチルド運転を開始した後、加熱開始時刻に達すると冷温蔵室R1のチルド運転を終了して加熱運転を開始する。冷蔵室R2については、制御部60はチルド運転を終了して保冷運転を開始する。
【0057】
制御部60は加熱運転を開始してから加熱時間が経過すると蒸らし運転を開始し、蒸らし運転を開始してから蒸らし時間が経過すると保温運転を開始する。保温運転は、保温運転を停止する動作が行われるまで継続される。保温運転を停止する動作はレバー58aを回動させる動作やカート12を取り出す動作などである。保温運転を停止する動作はこれらに限定されず、適宜に決定できる。保温運転を停止すると冷蔵室R2の保冷運転も停止される。
【0058】
前述した予冷運転について説明する。予冷運転は、保温運転の後にチルド運転を行う場合に、チルド運転の前に予め冷温蔵室R1内を冷却する運転である。例えば朝食を提供した後に昼食を提供する場合、朝食を保温していたため冷温蔵室R1内が高温になっている。昼食を収容する前に予冷運転を行うと冷温蔵室R1内の温度を下げることができる。予冷運転は操作部47の予冷ボタンを押すと開始される。
【0059】
(4)除霜処理
先ず、冷温蔵室R1内を冷却する第1蒸発器52Aの除霜について説明する。除霜処理は、冷温蔵室R1のチルド運転中あるいは予冷運転中に、第1循環ファン55Aを回転させたまま、開閉弁を切り替えて第1蒸発器52Aへの冷媒の供給を一時的に停止させる処理である(オフサイクル除霜)。第1蒸発器52Aへの冷媒の供給を停止させると冷温蔵室R1内の温度が上昇するため、第1蒸発器52Aに付着している霜が溶ける。これにより冷却能力を回復させることができる。
制御部60は、除霜処理を開始した後、庫内サーミスタ71Aによって検知された冷温蔵室R1内の温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると除霜処理を終了する。
【0060】
冷蔵室R2内を冷却する第2蒸発器52Bの除霜も同様である。冷蔵室R2の場合はチルド運転中あるいは保冷運転中に除霜される。冷蔵室R2の場合は第2循環ファン55Bを回転させたまま第2蒸発器52Bへの冷媒の供給が停止される。制御部60は、除霜処理を開始した後、庫内サーミスタ71Bによって検知された冷蔵室R2内の温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると除霜処理を終了する。
【0061】
上述したように除霜処理では第1循環ファン55A及び第2循環ファン55Bを回転させたままにするので、第1蒸発器52Aおよび第2蒸発器52Bに風が当たって除霜が促進される。
【0062】
(4-1)第1蒸発器の除霜処理
図9を参照して、冷温蔵室R1の冷却優先期間及び除霜優先期間について説明する。冷却優先期間は冷却を優先するために除霜処理が開始されない期間である。除霜優先期間は必要に応じて除霜処理が開始される期間である。
実施形態1では、除霜処理が終了してから次回の除霜処理を開始するまでに空けるべき最小の時間(最小除霜間隔)が設定されているものとする。最小除霜間隔は例えば60分である。
【0063】
図9において時点T1は予冷運転あるいはチルド運転が開始された時点である。時点T2は時点T1から除霜前冷却時間(例えば120分)が経過した時点である。除霜前冷却時間は第2所定時間の一例である。時点T1から時点T2までの期間は冷却優先期間である。
【0064】
時点T2から時点T3までの期間は除霜優先期間である。
時点T5は冷温蔵室R1の加熱開始時刻である。時点T4は加熱開始時刻(時点T5)の除霜後冷却時間(例えば120分)前の時点である。除霜後冷却時間は第4所定時間の一例である。制御部60は時点T4に達すると除霜運転を強制的に開始する。時点T3は時点T4から最小除霜間隔前の時点である。時点T3から時点T5(加熱開始時刻)までの期間は冷却優先期間である。時点T3から時点T5までの時間(すなわち最小除霜間隔と第4所定時間とを合計した時間)は第3所定時間の一例である。
【0065】
制御部60は、除霜優先期間において、冷却ユニット44(具体的には第1蒸発器52A)の冷却能力を監視し、前回の除霜処理が終了してから最小除霜間隔以上の時間が経過しており、且つ、冷却ユニット44の冷却能力の低下が第1所定時間(例えば10分)以上継続した場合に第1蒸発器52Aの除霜処理を開始する。
上述した冷却能力の低下について具体的に説明する。通常、第1蒸発器52Aに冷媒を供給すると冷温蔵室R1内の温度が低下する。しかしながら、第1蒸発器52Aに霜が付着していると冷温蔵室R1内の温度が下がり難くなる。このため、制御部60は、第1蒸発器52Aに冷媒を供給しているときに冷温蔵室R1内の温度が低下しない状態(言い換えると庫内温度が変化しない状態あるいは庫内温度が上昇する状態)が第1所定時間以上継続した場合に、冷却ユニット44の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続したと判断する。
【0066】
上述した最小除霜間隔、第1所定時間、除霜前冷却時間(第2所定時間の一例)及び除霜後冷却時間(第4所定時間の一例)は固定値として設定されていてもよいし、使用者が操作部47を介して設定できる構成であってもよい。
【0067】
(4-2)第2蒸発器の除霜処理
冷蔵室R2の場合は時点T2以降の期間が除霜優先期間となる。冷温蔵室R1の場合と同様に、制御部60は、除霜優先期間において、前回の除霜処理が終了してから最小除霜間隔以上の時間が経過しており、且つ、冷却ユニット44(具体的には第2蒸発器52B)の冷却能力の低下が第1所定時間(例えば10分)以上継続した場合に除霜処理を開始する。
【0068】
(5)除霜処理を開始する処理
図10を参照して、除霜処理を開始する処理について説明する。ここでは第1蒸発器52Aの除霜を例に説明する。制御部60は除霜優先期間中に以下のフローを所定の時間間隔で繰り返し実行する。
【0069】
S101では、制御部60は前回の除霜処理の終了からの経過時間が最小除霜間隔以上であるか否かを判断し、最小除霜間隔以上の場合はS102に進み、最小除霜間隔未満の場合は所定時間が経過した後に再度S101を実行する。
S102では、制御部60は冷温蔵室R1を冷却中(言い換えると第1蒸発器52Aに冷媒を供給中)であるか否かを判断する。制御部60は、冷却中である場合はS103に進み、冷却中でない場合は所定時間が経過した後に再度S102を実行する。
【0070】
S103では、制御部60は庫内サーミスタ71Aによって冷温蔵室R1の現在の庫内温度を検知し、検知した温度を変数Temp1に代入する。
S104では、制御部60は、S103を実行してから所定時間が経過した後、庫内サーミスタ71Aによって冷温蔵室R1の現在の庫内温度を検知する。
S105では、制御部60はS104で検知した現在の庫内温度とTemp1とを比較し、現在の庫内温度がTemp1以上の場合(すなわち冷却能力が低下している場合)はS106に進み、Temp1より小さい場合(すなわち冷却能力が低下していない場合)はS103に戻って処理を繰り返す。
【0071】
S106では、制御部60はタイマをスタートする。
S107では、制御部60は庫内サーミスタ71Aによって冷温蔵室R1の現在の庫内温度を検知する。
S108では、制御部60はS107で検知した現在の庫内温度とTemp1とを比較し、現在の庫内温度がTemp1以上の場合(すなわち冷却能力が低下している場合)はS109に進み、Temp1未満の場合(すなわち冷却能力が低下していない場合)はS103に戻って処理を繰り返す。
【0072】
S109では、制御部60はタイマによってカウントされた経過時間が10分(第1所定時間)以上であるか否かを判断し、10分未満の場合はS107に戻って処理を繰り返す。制御部60は、経過時間が10分以上の場合は、冷温蔵室R1を冷却しているとき(言い換えると第1蒸発器52Aに冷媒を供給しているとき)に冷温蔵室R1内の温度が低下しない状態が10分以上継続したと判断し、S110に進む。
ここで、制御部60は、S103からS109の間、冷温蔵室R1を冷却中であるか否かを所定の時間間隔で判断し、冷却中ではなくなった場合はS102に戻るものとする。
S110では、制御部60は第1蒸発器52Aの除霜処理を開始する。
【0073】
(6)実施形態の効果
実施形態1に係る再加熱カートユニット10の効果について説明する。以下では冷温蔵室R1についての効果を説明するが、冷蔵室R2についても同様の効果が奏される。
【0074】
実施形態1に係る再加熱カートユニット10も庫内サーミスタ71Aによって検知される温度に基づいて除霜処理の終了を判断するので、霜が残っている状態で除霜処理が終了する可能性がある。しかしながら、再加熱カートユニット10によると、冷却能力の低下が第1所定時間(例えば10分)以上継続すると除霜処理を開始するので、第1蒸発器52Aの温度を検知する温度センサを備えていなくても、再加熱カートユニット10の設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜できる。
【0075】
具体的には、再加熱カートユニット10によると、以下のような効果が奏される。
・リアルタイムで冷却能力を監視し、冷却能力が低下したら除霜するようにしたので、設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜できる。
・断熱扉31を開けることで誤って除霜が終了した場合、冷却能力が低下することにより、所定の時間(例えば4時間)が経過しなくても次回の除霜が開始される。このため霜が着き過ぎることがなくなる。
・霜が着き難い設置環境で、従来の4時間間隔の除霜だと頻度が多すぎた場合、除霜の頻度が減るので、従来よりも庫内を一定温度で保つことができる。
・設置環境や使い方に合わせて適切な頻度で除霜できるので、製造メーカの保守担当者が設置後に除霜関係の設定値を変更しなくてよい。
【0076】
再加熱カートユニット10によると、圧縮機50を運転して第1蒸発器52Aに冷媒を供給しているときに冷温蔵室R1内の温度が低下しない状態が10分以上継続したか否かを判断することにより、冷却ユニット44の冷却能力が低下したか否かを判断できる。
【0077】
再加熱カートユニット10によると、前回の除霜処理が終了したときから最小除霜間隔以上の時間が経過していない場合には除霜処理を開始しないので、除霜処理が必要以上に頻繁に行われることを抑制できる。
【0078】
再加熱カートユニット10によると、除霜優先期間以外の期間(すなわち冷却優先期間)は除霜処理を開始しないので、除霜優先期間以外の期間に除霜処理が開始されることを抑制できる。
【0079】
再加熱カートユニット10によると、時点T3(加熱開始時刻の第3所定時間前の時刻)を過ぎた後は、冷却ユニット44の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続しても除霜処理を開始しない。このため、加熱開始時刻の第4所定時間前に除霜処理を強制的に開始する場合にも、前回の除霜処理から最小除霜間隔を空けて除霜処理を開始できる可能性が高くなる。
【0080】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0081】
(1)上記実施形態では、第1蒸発器52Aに冷媒を供給しているときに冷温蔵室R1内の温度が低下しない状態が第1所定時間以上継続した場合に、冷却ユニット44の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続したと判断する場合を例示した。しかしながら、冷却ユニット44の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続したか否かを判断する方法はこれに限られない。例えば、圧縮機50を運転しているときに、冷温蔵室R1内に露出している何らかの部材の温度が低下しない状態が第1所定時間以上継続した場合に、冷却ユニット44の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続したと判断してもよい。
【0082】
(2)上記実施形態1では、前回の除霜処理が終了してから最小除霜間隔以上の時間が経過しており、且つ、冷却ユニット44の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続した場合に除霜処理を開始する場合を例示した。これに対し、前回の除霜処理が終了してから最小除霜間隔以上の時間が経過したか否かは判断せず、冷却ユニット44の冷却能力の低下が第1所定時間以上継続した場合に除霜処理を開始してもよい。
【0083】
(3)上記実施形態では、冷却優先期間(すなわち除霜優先期間以外の期間)は除霜処理を開始しない場合を例示した。これに対し、冷却優先期間に除霜処理を開始してもよい。
【0084】
(4)上記実施形態では、第3所定時間として、最小除霜間隔と第4所定時間とを合計した時間を例示したが、第3所定時間はこれに限られない。例えば、再加熱カートユニット10の製造メーカの保守担当者あるいは貯蔵庫の使用者が第3所定時間を任意に設定してもよい。
【0085】
(5)上記実施形態では貯蔵庫として冷温蔵室R1と冷蔵室R2とを有する再加熱カートユニット10を例示した。これに対し、貯蔵庫は冷温蔵室R1だけを備える所謂冷温蔵庫であってもよいし、冷蔵室R2だけを備える所謂冷蔵庫であってもよい。
【符号の説明】
【0086】
10: 再加熱カートユニット(貯蔵庫の一例)
44: 冷却ユニット(冷却装置の一例)
50: 圧縮機
52A: 第1蒸発器(蒸発器の一例)
52B: 第2蒸発器(蒸発器の一例)
54: ヒータ(加熱装置の一例)
60: 制御部
71A: 庫内サーミスタ(温度センサの一例)
71B: 庫内サーミスタ(温度センサの一例)
R1: 冷温蔵室(貯蔵室の一例)
R2: 冷蔵室(貯蔵室の一例)