(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154894
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/12 20060101AFI20241024BHJP
A47J 39/02 20060101ALI20241024BHJP
A47B 31/02 20060101ALI20241024BHJP
F25D 17/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F25D23/12 L
A47J39/02
A47B31/02 B
A47B31/02 D
F25D17/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069106
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西條 瑞織
(72)【発明者】
【氏名】加藤 園生
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】永井 洋
(72)【発明者】
【氏名】石川 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】深谷 学
(72)【発明者】
【氏名】黒木 亜美
(72)【発明者】
【氏名】今泉 剛
【テーマコード(参考)】
3L345
4B066
【Fターム(参考)】
3L345AA05
3L345AA14
3L345CC01
3L345DD13
3L345KK04
4B066AA05
4B066AB10
4B066BB01
4B066BD01
(57)【要約】
【課題】カートの天面部に形成されたステーションとの連通路における埃等の侵入を防止する機構を、連通路ごとに独立させるととともに、ステーションとの連携も必要ない構成とする。
【解決手段】カート12の断熱箱体30には、天面部30aに設けられた連通路37A,37Bに対して、ステーション側開口66A,66Bにフィルタ材70を配するとともに、内部に平板状のカバー部材72を配する。ステーション側開口66A,66Bの内寸は、全域にわたって連通路の中間部64A,64Bの内寸より小さくし、カバー部材72は、全域にわったってステーション側開口66A,66Bの内寸より大きく、かつ、中間部64A,64Bの内寸より小さな外寸とし、平面視でステーション側開口66A,66Bが重畳する位置に配されて自身の周囲に空気を流す構成とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵物を収容する断熱箱体と複数の車輪とを備えたカートと、
温調装置と循環ファンとを備え、内部に格納した前記カートの前記断熱箱体との間で温調した空気を循環させるステーションと、からなる貯蔵庫であって、
前記断熱箱体は、
天面部に設けられ、前記ステーションとの間で空気の受け渡しを行うための連通路と、
前記連通路における上方の前記ステーション側の開口であるステーション側開口に配されたフィルタ材と、
前記連通路の内部に、板面が上下方向に交差する向きで配された平板状のカバー部材と、
を有し、
前記ステーション側開口の内寸は、全域にわたって前記連通路の中間部の内寸より小さくされ、
前記カバー部材は、全域にわったって前記ステーション側開口の内寸より大きく前記中間部の内寸より小さな外寸とされ、平面視で前記ステーション側開口が重畳する位置に配されて自身の周囲に空気を流すものとされている貯蔵庫。
【請求項2】
前記断熱箱体は、内部を2つの収容室に区画する仕切壁を備え、
前記天面部は、前記2つの収容室の各々に対応して、前記連通路,前記フィルタ材および前記カバー部材を2組有している請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記連通路における下方の前記断熱箱体の内部側の開口である内部側開口の内寸は、少なくとも一部において前記カバー部材の外寸より大きくされており、
前記カバー部材は、前記内部側開口から着脱可能とされている請求項1または請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記内部側開口の縁部には、上方に向かって突出する複数の台座部が設けられており、
前記カバー部材は、複数の前記台座部に対して着脱可能とされている請求項3に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記カバー部材は、金属製のものとされ、
複数の前記台座部の一部である第1台座部は、前記カバー部材が係合する係合部を有し、
複数の前記台座部の残りのものである第2台座部は、磁石を有しており、磁力によって前記カバー部材を吸着する請求項4に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記カバー部材は、概して矩形状の部材とされ、互いに対向する辺から外側に突出する突出部を有し、
前記第1台座部は、前記係合部として、一方側の前記突出部を挿入させる係合穴を有し、
前記第2台座部は、他方側の前記突出部を、前記磁石によって吸着する請求項5に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステーションの内部にカートを格納可能な貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、貯蔵物を収容する断熱箱体と複数の車輪とを備えたカートと、冷却手段と加熱手段と循環ファンとを備えて内部に格納したカートの断熱箱体との間で暖気あるいは冷気を循環させるステーションと、からなる冷温蔵装置(貯蔵庫)が記載されている。そのカートは、天井壁に、ステーションからの空気を吸い込む吸込路と、ステーションへ空気を吹き出す吹出路とが設けられるとともに、それら吸込路と吹出路とを開閉するシャッタ板が設けられている。このシャッタ板は、常にばね弾力により閉鎖位置に移動付勢されている一方、カートがステーションに格納されることに伴い、シャッタ板に設けられた被係合部が、ステーションに設けられた係合部に係合して、シャッタ板がばね弾力に抗して開放位置まで移動する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された貯蔵庫においては、カートにおけるシャッタ板の被係合部と、ステーションの係合部とが当接するようにするため、それらの位置調整を行う必要がある。また、例えば、上記特許文献1のように、断熱箱体内が温蔵室と冷蔵室とに区画されている場合、シャッタ板が、それら温蔵室と冷蔵室との両者を横断するため、シャッタ板と断熱箱体本体との隙間から、空気(熱)の移動が生じやすいという問題がある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、カートの天面部に形成されたステーションとの連通路における埃等の侵入を防止する機構を、連通路ごとに独立させるととともに、ステーションとの連携も必要ない構成とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本願に開示の貯蔵庫は、以下の構成とされている。
(1)貯蔵物を収容する断熱箱体と複数の車輪とを備えたカートと、
温調装置と循環ファンとを備え、内部に格納した前記カートの前記断熱箱体との間で温調した空気を循環させるステーションと、からなる貯蔵庫であって、
前記断熱箱体は、
天面部に設けられ、前記ステーションとの間で空気の受け渡しを行うための連通路と、
前記連通路における上方の前記ステーション側の開口であるステーション側開口に配されたフィルタ材と、
前記連通路の内部に、板面が上下方向に交差する向きで配された平板状のカバー部材と、
を有し、
前記ステーション側開口の内寸は、全域にわたって前記連通路の中間部の内寸より小さくされ、
前記カバー部材は、全域にわったって前記ステーション側開口の内寸より大きく前記中間部の内寸より小さな外寸とされ、平面視で前記ステーション側開口が重畳する位置に配されて自身の周囲に空気を流すものとされている貯蔵庫。
【0007】
本願に開示の貯蔵庫は、カートがステーションに格納されていない場合に、カートにおける断熱箱体の天面部に形成された連通路において、フィルタ材とカバー部材とによって、断熱箱体の内部の収容室に埃等が侵入することを防止する。詳しく言えば、連通路の上方側に配されたフィルタ材によって、ある大きさまでのゴミ等の侵入を防止し、フィルタ材を通過した塵や埃は、ステーション側開口の直下に位置するカバー部材の上に落下する。したがって、塵や埃が収容室に侵入することを防止できる。このように、本願に開示の貯蔵庫において、埃等の侵入を防止する構造が、連通路の内部に設けられているため、従来のシャッタ板のように、シャッタ板の開閉にステーションと連携させる必要がなく、そのための位置調整が必要ない。また、複数の連通路を有する場合であっても、埃等の侵入を防止する構造が連通路ごとに独立した構造とされているため、断熱箱体の内部が仕切壁によって2つの収容室に区画されている場合であっても、従来のシャッタ板が配されている場合のように2つの収容室を連通するような隙間が生じることがない。つまり、ステーションによって各収容室の温調を行う際に、効率的に行うことが可能となる。
【0008】
また、上記構成の貯蔵庫において、以下に示す種々の態様とすることが可能である。なお、本発明は以下の態様に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0009】
(2)前記断熱箱体は、内部を2つの収容室に区画する仕切壁を備え、
前記天面部は、前記2つの収容室の各々に対応して、前記連通路,前記フィルタ材および前記カバー部材を2組有している(1)項に記載の貯蔵庫。
【0010】
この構成の貯蔵庫は、断熱箱体の内部が仕切壁によって2つの収容室に区画されており、それぞれの収容室が天面部の連通路から空気の受け渡しが行われるように構成されている。この構成の貯蔵庫においては、各連通路に対して、上記の埃等の侵入を防止する構造を採用すれば、従来のシャッタ板が配されている場合のように2つの収容室を連通するような隙間が生じないため、ステーションによって各収容室の温調を行う際に、効率的に行うことが可能となる。したがって、この構成の貯蔵庫には、本願に開示の埃等の侵入を防止する構造が好適である。
【0011】
(3)前記連通路における下方の前記断熱箱体の内部側の開口である内部側開口の内寸は、少なくとも一部において前記カバー部材の外寸より大きくされており、
前記カバー部材は、前記内部側開口から着脱可能とされている(1)項または(2)項に記載の貯蔵庫。
【0012】
この構成の貯蔵庫は、カバー部材を容易に取り外すことができるため、カバー部材の清掃・洗浄を容易に行うことができ、衛生面で優れたものとなる。
【0013】
(4)前記内部側開口の縁部には、上方に向かって突出する複数の台座部が設けられており、
前記カバー部材は、複数の前記台座部に対して着脱可能とされている(3)項に記載の貯蔵庫。
【0014】
この構成の貯蔵庫は、内部側開口の縁部からカバー部材を浮かせた状態で保持することができる。したがって、カバー部材を着脱可能にしつつ、連通路内における空気流路を十分に確保することができる。
【0015】
(5)前記カバー部材は、金属製のものとされ、
複数の前記台座部の一部である第1台座部は、前記カバー部材が係合する係合部を有し、
複数の前記台座部の残りの少なくとも1つのものである第2台座部は、磁石を有しており、磁力によって前記カバー部材を吸着する(4)項に記載の貯蔵庫。
【0016】
この構成の貯蔵庫は、カバー部材の係合部を第1台座部に掛止させたり、嵌入させたりして係合させた状態で、カバー部材の他の個所を、第2台座部に対して吸着させることで、カバー部材の取り付けが完了する。したがって、この構成の貯蔵庫によれば、比較的容易にカバー部材の着脱を行うことが可能となる。
【0017】
(6)前記カバー部材は、概して矩形状の部材とされ、互いに対向する辺から外側に突出する突出部を有し、
前記第1台座部は、前記係合部として、一方側の前記突出部を挿入させる係合穴を有し、
前記第2台座部は、他方側の前記突出部を、前記磁石によって吸着する(5)項に記載の貯蔵庫。
【0018】
この構成の貯蔵庫は、第1台座部と第2台座部とを備えた構成が、より具体化された態様である。この構成の貯蔵庫は、カバー部材を傾斜させた状態で、内部側開口から連通路内に挿入し、突出部を第1台座部の係合穴に挿し込んで、カバー部材を水平に戻すと、他方側の突出部を第2台座部の磁石に吸着させることができる。したがって、この構成の貯蔵庫によれば、容易にカバー部材の着脱を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カートの天面部に形成されたステーションとの連通路における埃等の侵入を防止する機構を、連通路ごとに独立させるととともに、ステーションとの連携も必要ない構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態である再加熱カートユニットの分解斜視図
【
図9】断熱カートの排気口を下方からの視点において示す斜視図
【
図12】ステーションに設けられた検知スイッチを拡大して示す側面断面図
【
図13】ステーションに設けられた高さ指標を示す正面図
【
図18】カートに連結するステーションのダクトを拡大して示す正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の貯蔵庫の実施形態として再加熱カートユニット10を例示する。この再加熱カートユニット10(以下、単に「ユニット10」と呼ぶ場合がある)は、いわゆるニュークック・チルシステムに用いられるものであり、具体的には、急速冷却後に食器に盛付けられた状態の料理等を、チルド保存して定められた時間等に再加熱することが可能な再加熱機器である。本実施形態のユニット10は、
図1および
図2に示すように、食器に盛り付けられた料理を収容してその料理を保温・保冷可能な断熱性を有するカート12と、そのカート12を格納可能でカート12内に温風および冷風を循環させるステーション14と、からなる。そして、再加熱後は、カート12をステーション14から取り出して運搬・配膳することができる構成とされている。以下に、本実施形態の再加熱カートユニット10について、概略的な構成を、
図1から
図6を参照しつつ説明する。なお、図面には、符号F,B,L,R,U,Dを用いて方向を示しており、それぞれ、カート12がステーション14に格納された状態において本ユニット10を正面から視たときの手前側(前側),奥側(後側),左側,右側,上側,下側を表している。
【0022】
カート12は、
図3および
図4に示すように、複数のトレイTをセット可能なフレームカート16と、そのフレームカート16を内部に収納可能な概して箱状の断熱カート18と、からなる。フレームカート16は、
図5に示すように、ベース20と、そのベース20左右の側縁から立設する一対のサイドフレーム21と、ベース20に設けられた車輪22と、ベース20の底面に設けられて当該フレームカート16の移動を禁止するためのロック機構23と、を備える。また、フレームカート16は、一対のサイドフレーム21の左右方向における中央に、前後方向においてベース20と略同じ寸法で立設する断熱性を有する仕切壁24を備えている。その仕切壁24は、前後方向に長手状のセパレータ25が積み上げられて形成されている。そして、このフレームカート16は、上下に並んだ2つのセパレータ25の間に、トレイTを挿入可能とされている。また、前方および後方の両者から、トレイTを挿入可能とされている。なお、一対のサイドフレーム21には、複数のトレイガイド21aが、中央に向かって張り出した状態で設けられており、そのトレイガイド21aおいて、トレイTの左右の両端を支持するようになっている。このような構成により、フレームカート16は、複数のトレイTを、前方側と後方側の各々において、上下複数段にわたってセット可能なものとされている。
【0023】
断熱カート18は、
図3および
図4に示すように、前方および後方に開口する概して矩形状の断熱箱体30と、断熱箱体30の前後の開口を開閉する断熱扉31と、断熱箱体30の底面に設けられた車輪32と、断熱箱体30の底面に設けられて当該断熱カート18の移動を禁止するためのロック機構33と、を備えている。断熱扉31は、観音開き式のものである。断熱カート18は、前方の断熱扉31の脇に、使用者が運搬等を行う際に把持することが可能なグリップ34,35が設けられている。また、断熱カート18は、前方の断熱扉31を開いて、この前方側の開口から上述したフレームカート16を出し入れ可能となっている。なお、フレームカート16が断熱カート18内に収納されると、断熱箱体30内がフレームカート16の仕切壁24によって左右に仕切られて、2つの収容室である第1収容室R1および第2収容室R2が区画形成されるようになっている。
【0024】
断熱カート18は、ステーション14との間で、空気(温風および冷風)の受け渡しが行われるようになっている。具体的には、断熱箱体30は、
図3に示すように、天面部30aに、上方に開口する吸気口36A,36Bおよび排気口37A,37Bを有している。また、断熱箱体30は、
図6に示すように、断熱箱体30の両側の側壁部30b,30cの各々に、吸気口36A,36Bから各収容室R1,R2に空気を案内する空気供給路38A,38Bが形成されている。なお、断熱箱体30は、外箱と内箱との間に断熱材としてメラミンフォームやウレタンフォーム等の発泡材が充填された構成のものであるが、側壁部30b,30cは、内側に間隔を空けて設けられたダクト部材39も含んで構成されており、空気供給路38A,38Bは、ダクト部材39と内箱との間に形成されている。そして、吸気口36A,36Bから吸い込まれて空気供給路38A,38Bを流れる空気は、ダクト部材39に形成された複数の長孔からなる吹出口39a(
図1参照)から、各収容室R1,R2内に吹き出される。一方、各収容室R1,R2内の空気は、天面部30aを厚み方向に貫通形成された排気口37A,37Bに向かって流れることになる。
【0025】
ステーション14は、
図1に示すように、前方視で門型に開口するカート格納部40aを有する本体部40を主体として構成され、上記カート12をカート格納部40aに対して前方側から出し入れ可能とされている。ステーション14は、
図2に示すように、本体部40の上側に一対のサイドパネル41とフロントパネル42とを備え、それらによって形成される機械室R3を有するものとなっている。機械室R3には、冷凍サイクル式の冷却ユニット(温調装置の一例)44の一部,加湿装置45,コントロールボックス46が配されている。冷却ユニット44は、後に詳しく説明するが、圧縮機50と、凝縮器51aと凝縮器ファン51bとからなる凝縮器ユニット51と、2つの冷却器52A,52Bと、を含んで構成される。
【0026】
本体部40は、カート格納部40aの上方に、ディスプレイ47を有するディスプレイパネル48が配されている。このディスプレイ47は、本ユニット10における各種情報が表示される表示部47a(表示パネル)を含み、例えば、庫内の温度や運転状態を示す情報等が表示される。また、ディスプレイ47は、使用者が本ユニット10を操作する操作部47bを含み、例えば、運転に関する各種設定の入力や運転指示などを行うことが可能とされている。
【0027】
図6に示すように、ステーション14は、ディスプレイパネル48で覆われた部分に、つまり、カート格納部40aと機械室R3との間に、左右に並んで2つの熱交換室R4,R5を有している。第1熱交換室R4には、第1冷却器52Aが収容され、第2熱交換室R5には、第2冷却器52Bが収容されている。第1冷却器52Aおよび第2冷却器52Bは、冷媒管や開閉弁を介して圧縮機50や凝縮器51aと並列接続されているその開閉弁を切り替えられることにより、2つの冷却器52A、52Bに対する冷媒の供給が制御される。つまり、本ユニット10は、第1冷却器52Aと第2冷却器52Bとが両方作動している状態、第1冷却器52Aのみが作動している状態、第2冷却器52Bのみが作動している状態を、切り替えることができるようになっている。
【0028】
また、第1熱交換室R4には、ヒータ(温調装置の一例)54が収容されており、第1熱交換室R4内の空気を加熱することも可能とされている。さらに、この第1熱交換室R4内の空気は、加湿装置45によって、加湿することも可能とされている。加湿装置45は、湯沸かしタンク45aを主体とするもので、給水した水を沸騰させ、それによる蒸気を、スチームパイプ45bを介して第1熱交換室R4に供給することで、第1熱交換室R4内の空気を加湿するようになっている。
【0029】
第1熱交換室R4および第2熱交換室R5には、第1循環ファン55A,第2循環ファン55Bが収容されている。これら第1循環ファン55A,第2循環ファン55Bは、下方側から空気を吸い込んで、後方側に配された第1冷却器52A,第2冷却器52B側に空気を送り出すことで、連結されたカート12の収容室R1,R2との間で、空気を循環させるものである。以下に、ステーション14とカート12との間で空気を循環させる構造について説明する。
【0030】
ステーション14は、
図6に示すように、第1熱交換室R4および第2熱交換室R5の下方に、それぞれに連通する排気ダクト56A,56Bと、吸気ダクト57A,57Bと、を備えている。これら4本のダクト56A,56B,57A,57Bは、ゴム等の弾性材によって蛇腹状に形成された部材であり、上下方向に伸縮可能なものとされている。ステーション14内にカート12が格納されると、排気ダクト56A,56Bの直下に、断熱カート18の吸気口36A,36Bが位置するとともに、吸気ダクト57A,57Bの直下に、断熱カート18の排気口37A,37Bが位置することとなる。
【0031】
ステーション14は、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを伸縮させる伸縮機構58を有している。その伸縮機構58は、レバー58a(
図2参照)が回動させられることで、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを保持したダクト保持部材58bを昇降させて、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを伸縮させるものとされている。つまり、使用者は、カート12をステーション14内に格納した後、レバー58aを回動させ、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを伸長させて、それら4本のダクト56A,56B,57A,57Bの下端を下降させる。それにより、4本のダクト56A,56B,57A,57Bの下端は、吸気口36A,36Bおよび排気口37A,37Bを覆う状態で、断熱カート18の天面部30aに接することになり、カート12とステーション14とが連結された状態となるのである。
【0032】
カート12とステーション14とが連結された状態で、第1循環ファン55Aが作動させられると、第1熱交換室R4の空気は、第1排気ダクト56Aからカート12の第1吸気口36A,第1空気供給路38Aを介して第1収容室R1に送られ、その第1収容室R1の空気は、第1排気口37Aから第1吸気ダクト57Aを介して、第1熱交換室R4に戻される。そして、第1熱交換室R4は、第1冷却器52Aによって内部の空気を冷却すること、あるいは、ヒータ54および加湿装置45によって内部の空気を加熱・加湿することが可能とされており、第1熱交換室R4から冷風あるいは温風が送られる第1収容室R1は、冷蔵室あるいは温蔵室として機能する。
【0033】
また、同様に、第2循環ファン55Bが作動させられると、第2熱交換室R5の空気は、第2排気ダクト56Bからカート12の第2吸気口36B,第2空気供給路38Bを介して第2収容室R2に送られ、その第2収容室R2の空気は、第2排気口37Bから第2吸気ダクト57Bを介して、第2熱交換室R5に戻される。この第2熱交換室R5は、第2冷却器52Bによって空気を冷却することが可能とされており、第2熱交換室R5から冷風が送られる第2収容室R2は、冷蔵室として機能する。
【0034】
以上のように構成された本実施形態の再加熱カートユニット10は、コントロールボックス46内に収容された制御装置によって制御される。例えば、使用者は、急速冷却した料理を食器に盛付けて各トレイTに載置する。トレイTの一方には温食が、他方には冷食が載置される。その複数のトレイTを収容したカート12をステーション14に格納し、それらカート12とステーション14とを互いに連結する。そして、使用者は、例えば、設定された時刻(配膳時刻)にトレイTに載置した料理を食事できる状態とすべく、ディスプレイ47から運転の設定と開始操作を行う。
【0035】
本ユニット10におけるその運転では、制御装置は、まず、料理を再加熱し始める直前となるまでは、トレイT上の料理をチルド保存するチルド運転を行う。つまり、冷却ユニット44を制御して、第1収容室R1および第2収容室R2の両者がチルド保冷される。そして、設定された時間になると、ヒータ54および加湿装置45を制御して第1収容室R1を加熱するとともに乾燥防止のために加湿する再加熱運転を行い、第2収容室R2に対しては、チルド保冷の設定温度より温度を上昇させ、冷食用の温度に保冷する保冷運転を行う。そして、第1収容室R1に収容されている料理の再加熱が完了すると、第1収容室R1に対しては、加湿装置45を制御して、料理の乾燥等を防ぐための蒸らし運転を行う。そして、使用者は、運転を停止してカート12とステーション14との連結を解除し、カート12をステーション14から取り出して、配膳を行うことができる。
【0036】
上述したように、本ユニット10は、カート12をステーション14から抜き出すことが可能とされている。カート12は、ステーション14から抜き出された状態において、天面部30aに、上方に開口する吸気口36A,36Bおよび排気口37A,37Bを有しているため、それらからゴミ等の侵入を防止することが望まれる。特に、
図6に示すように、排気口37A,37Bは、直下に、収容室R1,R2に収容したトレイTが位置するため、比較的大きなゴミだけでなく、細かな塵や埃等の侵入も防止する必要がある。本ユニット10は、そのカート12において、埃等の侵入を防止する構造に特徴を有するものとなっている。以下に、その構造について、
図7~
図10を参照しつつ詳しく説明する。
【0037】
断熱箱体30の天面部30aは、
図7に示すように、断熱材60aを保持して断熱箱を形成する主体となる断熱箱本体60と、断熱箱本体60の下側に配されて収容室R0の天井側の内面をなす天面パネル61と、断熱箱本体60の上側に配されて断熱箱体30の最上部をなすトップパネル62と、からなる。断熱箱本体60には、上下方向に貫通する貫通孔64A,64Bが形成されている。なお、貫通孔64A,64Bは、断面矩形状で、一定の大きさで、上下方向に貫通形成されている。
【0038】
また、天面パネル61には、断熱箱本体60の貫通孔64A,64Bに連通する開口65A,65Bが設けられるとともに、トップパネル62には、貫通孔64A,64Bに連通する開口66A,66Bが設けられている。つまり、開口65A,貫通孔64A,開口66Aによって、第1排気口37Aが形成され、開口65B,貫通孔64B,開口66Bによって、第2排気口37Bが形成されており、収容室R0(フレームカート16が収容されている状態においては、第1収容室R1あるいは第2収容室R2)とステーション14とを連通する連通路となっている。そして、天面パネル61の開口65A,65Bは、その連通路における断熱箱体30の内部側の開口である内部側開口であり、以下、内部側開口65A,65Bと呼ぶこととする。また、トップパネル62の開口66A,66Bは、連通路におけるステーション14側の開口であるステーション側開口であり、以下、ステーション側開口66A,66Bと呼ぶこととする。
【0039】
そして、これら2つの排気口37A,37Bから収容室R0内へのゴミ等の侵入を防止するために、トップパネル62と断熱箱本体60との間に、メッシュ状のフィルタ材70が設けられている。しかしながら、このフィルタ材70は、メッシュ状のものであるため、そのメッシュより細かな埃等の侵入は防止することができない。そこで、排気口37A,37Bの内部には、フィルタ材70を通過した細かな埃等の収容室R0内への侵入を防止する埃カバー72が設けられている。埃カバー72は、金属製の薄板状の部材であり、長方形状のカバー本体部73と、カバー本体部73における対向する長辺の各々から外側に突出する4つの突出部74a,74b,74c,74d(
図10参照)と、を有するものとなっている。
【0040】
図8(この図において、フィルタ材70は省略している)に示すように、ステーション側開口66A,66Bは、その内寸が、全域にわたって、貫通孔64A,64Bの内寸より小さくされている。一方で、埃カバー72のカバー本体部73は、その外寸が、全域にわたって、貫通孔64A,64Bの内寸より小さく、かつ、ステーション側開口66A,66Bの内寸より大きくされている。また、埃カバー72は、平面視で、ステーション側開口66A,66Bが重畳する位置に配されている、換言すれば、ステーション側開口66A,66Bが全域にわたって埃カバー72のカバー本体部73の内側に位置している。したがって、カート12が、ステーション14から抜き出されている場合において、フィルタ材70を通過した埃等は、埃カバー72の上に落下するため、収容室R0への埃等の侵入を防止することができる。なお、カート12がステーション14に格納されて、ステーション14との間で温調した空気の循環が行われる場合、
図7に示すように、貫通路64A,64B内においては、埃カバー72の周囲に空気が流れるようになっている。
【0041】
従来のカートにおいては、例えば、トップパネル62と断熱箱本体60との間に、1枚のプレート状のシャッタ部材が水平方向にスライド移動可能に設けられて、トップパネルの全ての開口(2つの吸気口と2つの排気口)を開閉する構成とされる場合があったが、このような構成であると、第1収容室R1と第2収容室R2とが異なる温度で保温されている場合に、シャッタ部材と断熱箱体との間に隙間があり、第1収容室R1と第2収容室R2との間で空気(熱)の流れが生じて、十分に温調できない虞があった。それに対して、本実施形態によれば、2つの排気口37A,37Bに対する埃等の侵入を防止する構造が独立しているため、第1収容室R1と第2収容室R2との間で空気(熱)の流れが生じることがなく、第1収容室R1と第2収容室R2の温調を効率的に行うことができる。
【0042】
また、
図8に示すように、内部側開口65A,65Bは、その内寸が、ステーション側開口66A,66Bの内寸よりは大きいものの、全域にわたって、貫通孔64A,64Bの内寸より小さくされている。一方で、埃カバー72のカバー本体部73は、その外寸が、内部側開口65A,65Bの内寸より僅かに小さくされている。ただし、突出部74a,74b,74c,74dを含めた埃カバー72の短辺方向の外寸は、内部側開口65A,65Bの内寸より大きくされている。
【0043】
埃カバー72は、排気口37A,37Bに対して、上記のような関係とされていることで、内部側開口65A,65Bから貫通孔64A,64Bに対して挿抜すること、つまり、埃カバー72を着脱することができる。具体的に言えば、作業者は、埃カバー72の下面側に設けられた把持部75を把持し、前後方向に傾倒させた状態とすることで、埃カバー72を、内部側開口65A,65Bから貫通孔64A,64Bに対して挿抜することができる。
【0044】
天面パネル61の上面側、つまり、貫通孔64A,64Bの内部には、
図10に示すように、上方に向かって突出する4つの台座部76a,76b,76c,76dが設けられている。そして、それら4つの台座部76a,76b,76c,76dに対して、埃カバー72の4つの突出部74a,74b,74c,74dを固定することで、埃カバー72を貫通孔64A,64B内において、上述した位置関係に配置することができる。
【0045】
突出部74a,74b,74c,74dの台座部76a,76b,76c,76dへの固定構造について説明する。カバー本体部73の一方側の長辺に設けられた2つの突出部74a,74bと、他方側の長辺に設けられた1つの突出部74cは、単に、カバー本体部73から延び出した板状のものであるのに対して、残りの突出部74dは、先端が下方に向かって折れ曲がった形状となっている。一方、台座部のうちの長辺の延びる方向に並ぶ2つの台座部76a,76bは、前方に向かって開口する孔部76a1,76b1が形成されている。また、台座部のうちの残りの2つのうちの一方の台座部76cは、上端に磁石77が設けられており、他方の台座部76dは、上下方向に貫通する孔部76d1が形成されている。
【0046】
このような構成から、作業者は、
図10に示すように、貫通孔64B内に挿入した埃カバー72の2つの突出部74a,74bを、台座部(第1台座部)76a,76bの前方に開口する孔部(係合部,係合穴)76a1,76b1に挿し込んで、その部分を基点として、他方側を下方に倒すこと(水平に戻すこと)で、突出部74dが台座部76dの孔部76d1に挿し込まれつつ、突出部74cが台座部(第2台座部)76cの磁石77に吸着することになる。このような構成により、埃カバー72は、台座部76a,76b,76c,76dに取り付けられると、前後左右上下への移動が規制されつつ、しっかりと固定されることになる。つまり、カート12が移動させられている場合であっても、埃カバー72は、ズレが生じることがない。このように、埃カバー72は、比較的容易に着脱可能であるため、埃カバー72の清掃・洗浄を容易に行うことができ、衛生面で優れたものとなる。なお、カート12がステーション14に格納されて、ステーション14との間で温調した空気の循環が行われる場合、収容室R0内の空気は、4つの台座部76a,76b,76c,76dの間を通って、貫通孔64A,64B内に流入することとなる。
【0047】
また、従来のカートは、カートに設けられた一部(被係合部)がステーションの一部(係合部)に接触するようにして、それらの係合に伴ってシャッタ部材が開くように構成されていた。つまり、カートをステーションに格納する際に、被係合部が係合部に接触するよう、細かな位置調整が必要となる。それに対して、本ユニット10は、カート12の埃等の侵入を防止する構造は、ステーション14との連携が必要なく、そのための位置調整は必要ないものとなっている。
【0048】
ただし、本ユニット10は、前述したように、ステーション14が、伸縮機構58によって4本のダクト56A,56B,57A,57Bを下降させることで、4本のダクト56A,56B,57A,57Bの下端が、吸気口36A,36Bおよび排気口37A,37Bを覆う状態で、断熱カート18の天面部30aに接することになり、カート12とステーション14とが連結された状態となるように構成されている。そのため、カート12が伸縮機構58の可動範囲内に位置するように、カート12に対して、ステーション14の高さを調整する必要がある。本ユニット10は、そのカート12に対するステーション14の高さを容易に調整することが可能となっている。以下に、その構成について詳しく説明する。
【0049】
ステーション14は、
図11に示すように、カート格納部40a内に、カート12を検知する検知スイッチ80が設けられている。具体的には、カート格納部40aの背面側の壁面を形成する本体部40の背面パネル40bの上方側で、4本のダクト56A,56B,57A,57Bおよびダクト保持部材58bの後方側に取り付けられている。検知スイッチ80は、下方に延び出した状態で保持されたセンシングプレート81を主体とするものであり、そのセンシングプレート81が、格納されたカート12によって押し込まれることで、検知スイッチ80が作動し、カート12が正常に格納されたことを検知する。具体的には、
図12に示すように、カート12(詳しく言えば、断熱カート18)のトップパネル62の後端面が、センシングプレート81に当接することで、検知スイッチ80は作動するようになっている。つまり、そのトップパネル62とセンシングプレート81とが当接する高さとすることで、カート12の高さを伸縮機構58の可動範囲内に位置させることができる。ちなみに、ステーション14は、脚部82がアジャスト機構を有しており、各脚部82の高さを調整することで、カート12に対する高さを変更したり、水平状態を確保したりすることができる。
【0050】
この検知スイッチ80は、カート格納部40aの奥側に設けられているため、カート12とステーション14との高さ関係が適切か否かを判断することが難しい。そこで、本ユニット10は、ステーション14に、カート12の適切な高さを示す指標が設けられている。ステーション14に対してカート12を挿入する場合、左右方向の位置がずれていると、トップパネル62が、ステーション14の本体部40におけるサイドパネル40cに当接し易い。そのため、サイドパネル40cには、その前端面におけるトップパネル62が当接し易い高さに、カバープレート84が取り付けられる場合がある。そこで、本実施形態においては、そのカバープレート84が、カート12の高さを示す指標となっている。詳しく言えば、カバープレート84の上端84aが、トップパネル62の上面より高く、カバープレート84の下端84bがトップパネル62の下面より低くなる位置に、ステーション14の高さを調整することで、カート12に対するステーション14の高さを調整することができる。つまり、作業者は、カート12とステーション14との高さ関係を、正面側から目視で確認することができるため、その高さ調整を容易に行うことができるようになっているのである。
【0051】
ここで、カート12とステーション14との高さ関係を示す指標(以下、「高さ指標」と呼ぶ場合がある)の変形例を、いくつか例示する。本実施形態において、ステーション14は、
図13に示すように、サイドパネル40cの内面に、カート12の左右方向の位置がずれないように、内側に案内するガイド部材85が、サイドパネル40cの内面から内側に突出する状態で設けられている。このガイド部材85は、トップパネル62が当接する高さに、一定の幅(上下方向の寸法)で前後方向に延設されている。第1の変形例の高さ指標には、このガイド部材を用いている。具体的には、
図14に示すように、ガイド部材86は、本実施形態におけるガイド部材85に比較して、上下方向の寸法が大きくされており、上端86aが、トップパネル62の上限位置を示すとともに、下端86bが、トップパネル62の下限位置を示すものとなっている。
【0052】
また、第2の変形例の高さ指標も、ガイド部材を用いている。第2の変形例において、ガイド部材87は、
図15に示すように、断面コの字形状の部材とされており、上端および下端からフランジ87a,87bが内側に向かって張り出している。そして、カート12が挿入される際、トップパネル62が、それらフランジ87a,87bの間に入り込めば、カート12とステーション14との高さ関係が適切化されている構成となっている。
【0053】
図16に示すように、サイドパネル40cの前端面には、カート12の接触を防止するための注意を促すべく、例えば、サイドパネル40cの内面位置を示すラベル88が貼着される場合がある。第3の変形例の高さ指標は、このラベル88を用いている。具体的には、
図16に示すように、トップパネル62の上限位置を示すライン88aと、トップパネル62の下限位置を示すライン88bとが示されている。
【0054】
さらにまた、第4の変形例の高さ指標は、
図17に示すように、サイドパネル40cの前端面に直接形成されたマーキングである。具体的には、トップパネル62の上限位置、および、トップパネル62の下限位置に、それぞれボス部89aおよび89bが突出形成されている。なお、マーキングとしては、それに限定されず、例えば、サイドパネル40cの表面に、上限ラインおよび下限ラインを、ケガキ線で形成してもよい。以上のように、いずれの変形例の高さ指標も、作業者が正面側から目視でき、容易にステーション14の高さをカート12に合わせることができる。
【0055】
また、ステーション14の伸縮機構58側において、カート12とステーション14との高さ関係の適正範囲を大きくする工夫が施されており、高さ調整の容易化が図られている。詳しく言えば、
図18に示すように、4本のダクト56A,56B,57A,57Bは、弾性材によって蛇腹状に形成された部材であり、上端90が固定保持されるとともに、下方側に設けられた固定用フランジ91において、ダクト保持部材58bに固定されている。そして、ダクト保持部材58bが下降させられることで、ダクト56A,56B,57A,57Bは伸ばされることになる。それらダクト56A,56B,57A,57Bは、固定用フランジ91の下方側にも、蛇腹部92が設けられており、その蛇腹部92の潰し代分だけ、カート12とステーション14との高さ調整範囲に余裕が生まれることになり、高さ調整を容易化することができるのである。
【0056】
なお、その蛇腹部92の潰れは、ダクト56A,56B,57A,57Bの下端をトップパネル62に押し付ける力となり、それらの間の密閉性を高めることもできる。また、ダクト56A,56B,57A,57Bの下端には、円筒状の筒部93から垂直に張り出した円環状のフランジ94が設けられており、フランジ94の下面において、トップパネル62に接するようになっている。つまり、下端が徐々に外側に広がる曲面状に形成された場合に比較して、トップパネル62への接触面積を常時大きくすることができ、ダクト56A,56B,57A,57Bとトップパネル62との密閉性を高めることができるようになっている。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0058】
上記実施形態において、連通路である排気口37A,37Bの形状は、断面長方形状とされていたが、それに限定されず、断面円形状であってもよい。その場合には、ステーション側開口の内径は、連通路の中間部の内径より小さくされ、カバー部材は、ステーション側開口の内径より大きく中間部の内径より小さな外径のものとすることができる。
【0059】
カバー部材を保持する構造は、特に限定されず、カバー部材の外縁と連通路の内面との間に、ステーション14との間で循環される空気の流量を確保可能な面積を確保できる構造であればよい。
【0060】
上記実施形態において、カバー部材である埃カバー72は、断熱箱体30からステーション14側に空気を送る排気口37A,37Bに配されていたが、吸気口36A,36Bに設けてもよい。
【0061】
上記実施形態において、カート12は、断熱カート18にフレームカート12を収容可能な構成のものとされていたが、断熱箱体内に仕切壁が固定された構成のもの、いわゆるトロリータイプのものに、本発明の埃等を防止する構造を採用することもできる。
【符号の説明】
【0062】
10…再加熱カートユニット〔貯蔵庫〕、12…カート、14…ステーション、30…断熱箱体、30a…天面部、32…車輪、37A…第1排気口〔連通路〕、37B…第2排気口〔連通路〕、44…冷却ユニット〔温調装置〕、54…ヒータ〔温調装置〕、55A…第1循環ファン、55B…第2循環ファン、60…断熱箱本体、61…天面パネル、62…トップパネル、64A,64B…貫通孔〔連通路の中間部〕、65A,65B…内部側開口、66A,66B…ステーション側開口、70…フィルタ材、72…埃カバー〔カバー部材〕、73…カバー本体部、74a,74b,74c,74d…突出部、76a,76b…第1台座部、76a1,76b1…孔部〔係合部,係合穴〕、76c…第2台座部、76d…台座部、77…磁石