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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154898
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   A47J 39/02 20060101AFI20241024BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20241024BHJP
   F25D 23/12 20060101ALI20241024BHJP
   A47B 31/02 20060101ALI20241024BHJP
   A23L 3/3409 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
A47J39/02
F25D23/00 302H
F25D23/12 L
A47B31/02 B
A47B31/02 D
A23L3/3409
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069110
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 園生
(72)【発明者】
【氏名】永井 洋
(72)【発明者】
【氏名】深谷 学
(72)【発明者】
【氏名】黒木 亜美
(72)【発明者】
【氏名】今泉 剛
(72)【発明者】
【氏名】西條 瑞織
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 萌
【テーマコード(参考)】
3L345
4B021
4B066
【Fターム(参考)】
3L345AA05
3L345AA17
3L345DD62
3L345GG15
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
4B021LP01
4B021LP10
4B021LT01
4B021MK08
4B021MP03
4B066AA05
4B066AB10
4B066BB01
4B066BD01
(57)【要約】
【課題】貯蔵室内の加湿が終了した後に加湿装置のタンク内の水を排水する場合の課題を改善すること。
【解決手段】再加熱カートユニット10であって、冷温蔵室R1と、冷温蔵室R1内を加湿する加湿装置45と、制御部60と、を備え、加湿装置45は、水が貯められる湯沸かしタンク45aと、湯沸かしタンク45a内の水を加熱して蒸気を発生させる加湿ヒータ45cと、湯沸かしタンク45a内の水を排水する排水経路81を開閉する排水側開閉部45eと、を有し、制御部60は、加湿装置45による冷温蔵室R1内の加湿が終了した後、次回の冷温蔵室R1内の加湿開始時刻の所定時間前になってから排水経路81を開いて湯沸かしタンク45a内の水を排水する、再加熱カートユニット10。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵庫であって、
貯蔵室と、
前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、
制御部と、
を備え、
前記加湿装置は、
水が貯められるタンクと、
前記タンク内の水を加熱して蒸気を発生させる加湿ヒータと、
前記タンク内の水を排水する排水経路を開閉する排水側開閉部と、
を有し、
前記制御部は、前記加湿装置による前記貯蔵室内の加湿が終了した後、次回の前記貯蔵室内の加湿開始時刻の所定時間前になってから前記排水経路を開いて前記タンク内の水を排水する、貯蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の貯蔵庫であって、
前記タンクに給水する給水経路を開閉する給水側開閉部を更に備え、
前記制御部は、前記所定時間前になると前記給水経路を開いて前記タンクに給水し、その後に前記排水経路を開いて前記タンク内の水を排水する、貯蔵庫。
【請求項3】
請求項2に記載の貯蔵庫であって、
前記タンク内の水温を検知する水温センサを備え、
前記制御部は、前記タンクへの給水が終了したときの前記タンク内の水温を前記水温センサによって検知し、検知した水温が所定の温度以下である場合に、前記排水経路を開いて前記タンク内の水を排水する、貯蔵庫。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の貯蔵庫であって、
前記加湿装置による加湿が開始されてから加湿が終了するまでを前記加湿装置の1回の運転と定義した場合に、
前記制御部は、前記加湿装置をn(n≧2)回運転する毎に前記タンク内の水の排水を1回行う、貯蔵庫。
【請求項5】
貯蔵庫であって、
貯蔵室と、
前記貯蔵室内を加熱する加熱装置と、
前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、
前記貯蔵室内の温度を検知する庫内温度センサと、
前記加熱装置及び前記加湿装置が運転されているときの前記貯蔵室内の温度区分と前記加湿装置の出力制御情報とが対応付けられて記憶されている記憶部と、
操作部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記庫内温度センサによって検知された温度が属する前記温度区分に対応付けられている前記出力制御情報に基づいて前記加湿装置の出力を制御する制御処理と、
前記操作部を介して、前記温度区分の変更、及び、少なくとも2つの前記温度区分について当該温度区分に対応付けられている前記出力制御情報の変更の少なくとも一方を受け付ける変更受付処理と、
を実行する、貯蔵庫。
【請求項6】
貯蔵庫であって、
貯蔵室と、
前記貯蔵室内を加熱する加熱装置と、
前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、
前記加熱装置及び前記加湿装置が運転されている期間の時間区分と前記加湿装置の出力制御情報とが対応付けられて記憶されている記憶部と、
操作部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記加湿装置による加湿を開始した時からの経過時間が属する前記時間区分に対応付けられている前記出力制御情報に基づいて前記加湿装置の出力を制御する制御処理と、
前記操作部を介して、前記時間区分の変更、及び、少なくとも2つの前記時間区分について当該時間区分に対応付けられている前記出力制御情報の変更の少なくとも一方を受け付ける変更受付処理と、
を実行する、貯蔵庫。
【請求項7】
貯蔵庫であって、
貯蔵室と、
前記貯蔵室内を加熱する加熱装置と、
前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、
制御部と、
を備え、
当該貯蔵庫の運転モードには、所定の停止動作が行われるまで前記加熱装置を運転する保温運転があり、
前記制御部は、前記保温運転中に前記加湿装置を運転する、貯蔵庫。
【請求項8】
請求項7に記載の貯蔵庫であって、
前記保温運転における前記加湿装置の出力制御情報が記憶されている記憶部と、
操作部と、
を備え、
前記制御部は、
前記保温運転における前記出力制御情報に基づいて前記保温運転中の前記加湿装置の出力を制御する制御処理と、
前記操作部を介して、前記保温運転における前記出力制御情報の変更を受け付ける変更受付処理と、
を実行する、貯蔵庫。
【請求項9】
貯蔵庫であって、
貯蔵室と、
前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、
制御部と、
を備え、
前記加湿装置は、
水が貯められるタンクと、
前記タンク内の水を加熱して蒸気を発生させる加湿ヒータと、
前記タンクに給水する給水経路を開閉する給水側開閉部と、
前記タンク内の水位を検知する水位センサと、
を有し、
前記制御部は、前記加湿ヒータに所定時間通電する毎に前記給水経路を開いて所定の上限水位まで給水する、貯蔵庫。
【請求項10】
請求項9に記載の貯蔵庫であって、
前記制御部は、前記タンク内の水位が所定の下限水位まで低下すると前記給水経路を開いて前記上限水位まで給水する、貯蔵庫。
【請求項11】
貯蔵庫であって、
貯蔵室と、
前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、
制御部と、
を備え、
前記加湿装置は、
水が貯められるタンクと、
前記タンク内の水を加熱して蒸気を発生させる加湿ヒータと、
前記タンク内の水を排水する排水経路を開閉する排水側開閉部と、
前記タンク内の水位を検知する水位センサと、
を有し、
前記制御部は、
前記タンク内の水位が所定の上限水位のときに、前記排水経路を開いて前記タンク内の水の排水を開始する開始処理と、
前記タンク内の水位が前記上限水位から所定の下限水位まで低下するまでの時間を計測する計測処理と、
前記計測処理で計測した時間に基づいて、前記開始処理で前記排水経路を開いた時から前記タンク内の水が全て排水されるまでの排水時間を予測する予測処理と、
前記開始処理で前記排水経路を開いた時から前記予測処理で予測した排水時間が経過すると前記排水経路を閉じて排水を終了する終了処理と、
を実行する、貯蔵庫。
【請求項12】
請求項11に記載の貯蔵庫であって、
前記タンクに給水する給水経路を開閉する給水側開閉部を更に備え、
前記制御部は、前記タンク内の水位が前記上限水位未満の場合は、前記給水経路を開いて前記上限水位まで給水してから前記開始処理を実行する、貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵室と、貯蔵室内を加湿する加湿装置とを備える貯蔵庫が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカート収容型配膳車(貯蔵庫に相当)は調理給食の配膳に使用されるものであり、トレイを多段に収容するトレイ収容室(貯蔵室に相当)と、トレイ収容室内に蒸気を供給する蒸気装置(加湿装置に相当)とを備えている(同文献の請求項1参照)。
【0003】
一般に加湿装置は蒸気として供給する水が貯められるタンクと、タンク内の水を加熱して蒸気を発生させる加湿ヒータとを有しており、加湿ヒータによって水を加熱して蒸気を発生させることで貯蔵室内を加湿する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許7197124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
貯蔵庫は貯蔵室内の加湿が終了した後に加湿装置のタンク内の水を排水することがある。従来は、加湿が終了した後にタンク内の水を排水する場合の課題について十分に検討されていなかった。
本明細書では、貯蔵室内の加湿が終了した後に加湿装置のタンク内の水を排水する場合の課題を改善する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
貯蔵庫であって、貯蔵室と、前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、制御部と、を備え、前記加湿装置は、水が貯められるタンクと、前記タンク内の水を加熱して蒸気を発生させる加湿ヒータと、前記タンク内の水を排水する排水経路を開閉する排水側開閉部と、を有し、前記制御部は、前記加湿装置による前記貯蔵室内の加湿が終了した後、次回の前記貯蔵室内の加湿開始時刻の所定時間前になってから前記排水経路を開いて前記タンク内の水を排水する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、貯蔵室内の加湿が終了した後に加湿装置のタンク内の水を排水する場合の課題を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1である再加熱カートユニットの分解斜視図
図2】再加熱カートユニットの斜視図
図3】カートの斜視図
図4】カートの正面図
図5】フレームカートの斜視図
図6】再加熱カートユニットの正面断面図
図7】加湿装置の外観を示す斜視図
図8】加湿装置の構成を示すブロック図
図9】再加熱カートユニットの電気的構成を示すブロック図
図10】再加熱カートユニットの運転モードを説明するための模式図
図11】湯沸かしタンク内の水の排水処理を説明するための模式図
図12】排水処理のタイミングチャート(水温が60℃以下の場合)
図13】排水処理のタイミングチャート(水温が60℃より高い場合)
図14】実施形態3に係る加湿設定テーブルの模式図
図15】加湿ヒータの運転率の変化及び冷温蔵室内の温度の変化を示すグラフ
図16】ヒータ出力の切り替わりについて説明するためのグラフ
図17】実施形態4に係る加湿設定テーブルの模式図
図18】実施形態5に係る制御1のフローチャート
図19】制御2のフローチャート
図20】制御1及び制御2の具体例を示すタイミングチャート
図21】実施形態6に係る湯沸かしタンク内の水を全て排水する処理を説明するための模式図
図22】湯沸かしタンク内の水を全て排水する処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の概要]
最初に本開示の実施態様の概要を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示の貯蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、制御部と、を備え、前記加湿装置は、水が貯められるタンクと、前記タンク内の水を加熱して蒸気を発生させる加湿ヒータと、前記タンク内の水を排水する排水経路を開閉する排水側開閉部と、を有し、前記制御部は、前記加湿装置による前記貯蔵室内の加湿が終了した後、次回の前記貯蔵室内の加湿開始時刻の所定時間前になってから前記排水経路を開いて前記タンク内の水を排水する。
【0011】
貯蔵室内を加湿する貯蔵庫は、加湿装置のタンク内に堆積した不純物が残らないようにするために、貯蔵室内の加湿が終了する毎にタンク内の水を排水することがある。この場合、加湿が終了した直後に排水することも考えられる。しかしながら、加湿が終了した直後はタンク内の水が100℃に近い高温であるので、次のような課題がある。
【0012】
・貯蔵庫を高温の排水に耐えられるように設計する必要がある。
・貯蔵庫の排水経路から施設の排水設備へと高温の排水が流れ込むと蒸気の影響で結露が発生し、排水設備周辺にカビが発生する可能性がある。
・既存施設に貯蔵庫を新規導入する場合、高温の排水に耐えられるように排水設備の工事が必要になる。
【0013】
貯蔵室内を加湿する貯蔵庫は、製品の特性上、加湿が終了してから次回の貯蔵室内の加湿開始時刻までに数時間の間があることがある。上記(1)に記載の貯蔵庫は、その間を利用して、タンク内の水温が低下するのを待つようにしたものである。言い換えると、上記(1)に記載の貯蔵庫は、加湿が終了した後、タンク内の水温が下がるのを待つ制御を加えたものである。
【0014】
上記(1)に記載の貯蔵庫によると、貯蔵室内の加湿が終了した後、次回の貯蔵室内の加湿開始時刻の所定時間前になってからタンク内の水を排水するので、貯蔵室内の加湿が終了してから当該所定時間前に至るまでの数時間を、タンク内の高温の水を室温によって自然冷却するための期間として利用できる。このため、加湿が終了した直後に排水する場合に比べて低い水温の水を排水できる。
よって上記(1)に記載の貯蔵庫によると、貯蔵室内の加湿が終了した後に加湿装置のタンク内の水を排水する場合の課題(前述した3つの課題)を改善できる。
【0015】
上記の所定時間は、タンク内の水の排水に要する見積時間と、その後に次回の加湿のためにタンクに給水するのに要する見積時間との合計時間以上であることが好ましい。このようにすると、水温が低下した水を排水しつつ、次回の加湿開始時刻の前にタンクへの給水が終了する。
上記の「加湿開始時刻の所定時間前になってから前記排水経路を開いて前記タンク内の水を排水する」は、加湿開始時刻の所定時間前になったら直ぐに排水を開始する場合も、加湿開始時刻の所定時間前になってから時間をおいて排水を開始する場合も含む。
【0016】
(2)上記(1)に記載の貯蔵庫であって、前記タンクに給水する給水経路を開閉する給水側開閉部を更に備え、前記制御部は、前記所定時間前になると前記給水経路を開いて前記タンクに給水し、その後に前記排水経路を開いて前記タンク内の水を排水してもよい。
【0017】
上記(2)に記載の貯蔵庫によると、排水の前にタンクに給水することにより、タンク内の水温を下げることができる。このため、貯蔵室内の加湿が終了した後にタンク内の水を排水する場合の課題をより確実に改善できる。
排水の前にタンクに給水する場合、前記所定時間は、タンクに給水するのに要する見積時間と、タンク内の水の排水に要する見積時間と、その後に次回の加湿のためにタンクに給水するのに要する見積時間との合計時間以上であることが好ましい。
【0018】
(3)上記(2)に記載の貯蔵庫であって、前記タンク内の水温を検知する水温センサを備え、前記制御部は、前記タンクへの給水が終了したときの前記タンク内の水温を前記水温センサによって検知し、検知した水温が所定の温度以下である場合に、前記排水経路を開いて前記タンク内の水を排水してもよい。
【0019】
上記の所定の温度は、タンク内の高温の水を排水することによる課題(前述した3つの課題)の発生を抑制できる温度であることが好ましい。このような温度としては、一般的な樹脂材料の耐熱温度である60℃が例示される。
上記(3)に記載の貯蔵庫によると、タンクへの給水が終了したときの水温が所定の温度より高い場合は排水しないので、タンク内の高温の水を排水することによる課題(前述した3つの課題)の発生を抑制できる。
【0020】
ここで、タンクへの給水が終了したときの水温が所定の温度より高くても、次回の貯蔵室内の加湿開始時刻になるまでの間に水温が所定の温度以下になることもある。しかしながら、水温が所定の温度以下になった時点で排水を開始すると、排水と次回の加湿のための給水とにそれぞれ時間を要するため、次回の加湿開始時刻に間に合わなくなる可能性がある。このため、上記(3)に記載の貯蔵庫は、タンクへの給水が終了したときの水温が所定の温度より高い場合は、その後に所定の温度以下になっても排水しない。
【0021】
(4)上記(1)から(3)のいずれか一つに記載の貯蔵庫であって、前記加湿装置による加湿が開始されてから加湿が終了するまでを前記加湿装置の1回の運転と定義した場合に、前記制御部は、前記加湿装置をn(n≧2)回運転する毎に前記タンク内の水の排水を1回行ってもよい。
【0022】
加湿装置を1回運転する毎にタンク内の水を排水すると次のような課題がある。
・加湿装置を運転する毎に給水することになるため、使用水量が増える。
・給排水の稼働回数及び稼働時間が増えるため、排水側開閉部、給水側開閉部、水位センサなどの耐久寿命が短くなる。
【0023】
上記(4)に記載の貯蔵庫によると、加湿装置を1回運転する毎に排水する場合に比べて次のような効果が奏される。
・使用水量の削減
・排水側開閉部、給水側開閉部、水位センサなどの耐久寿命が長くなる。これにより貯蔵庫を長期に亘って使用できる。
【0024】
(5)本開示の貯蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室内を加熱する加熱装置と、前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、前記貯蔵室内の温度を検知する庫内温度センサと、前記加熱装置及び前記加湿装置が運転されているときの前記貯蔵室内の温度区分と前記加湿装置の出力制御情報とが対応付けられて記憶されている記憶部と、操作部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記庫内温度センサによって検知された温度が属する前記温度区分に対応付けられている前記出力制御情報に基づいて前記加湿装置の出力を制御する制御処理と、前記操作部を介して、前記温度区分の変更、及び、少なくとも2つの前記温度区分について当該温度区分に対応付けられている前記出力制御情報の変更の少なくとも一方を受け付ける変更受付処理と、を実行する。
【0025】
従来、加熱装置及び加湿装置を備える貯蔵庫において、加熱装置及び加湿装置が運転されている期間の貯蔵室内の温度区分と加湿装置の出力制御情報とが対応付けられて記憶部に記憶されており、貯蔵室内の温度が属する温度区分に対応付けられている出力制御情報に基づいて加湿装置の出力を制御するものがある。
しかしながら、従来の貯蔵庫では、使用者は温度区分を変更できなかった。従来の貯蔵庫の温度区分は貯蔵庫の開発者が推奨する数値であると考えられ、温度区分を固定することで使用者の手間が減る可能性がある。しかしながら、貯蔵庫によって料理を加湿する場合、使用者はメニュー毎に最善の設定で加湿したいと考えることも想定される。従来は温度区分が固定されているため、必ずしも最善の設定で加湿できなかった。
上記(5)に記載の貯蔵庫によると、温度区分の変更を受け付けることにより、従来に比べてメニュー毎に最善の設定で加湿できる可能性が高くなる。
【0026】
また、従来、加熱装置及び加湿装置を備える貯蔵庫において、複数の温度区分のうち1つの温度区分の出力制御情報を使用者が変更できるものがある。しかしながら、従来の貯蔵庫では、使用者が変更できるのは複数の温度区分のうち1つの温度区分の出力制御情報だけであり、他の温度区分については出力制御情報を変更できなかった。
【0027】
例えば、従来の貯蔵庫は、75℃未満、75℃以上90℃未満、90℃以上100℃未満、100℃以上といったように温度区分が設定されている場合、使用者が出力制御情報を変更できるのは例えば100℃以上という温度区分についてだけであり、他の温度区分については出力制御情報を変更できなかった。
上記(5)に記載の貯蔵庫によると、少なくとも2つの温度区分について当該温度区分に対応する出力制御情報の変更を受け付けることにより、従来に比べてメニュー毎に最善の設定で加湿できる可能性が高くなる。
【0028】
(6)本開示の貯蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室内を加熱する加熱装置と、前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、前記加熱装置及び前記加湿装置が運転されている期間の時間区分と前記加湿装置の出力制御情報とが対応付けられて記憶されている記憶部と、操作部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記加湿装置による加湿を開始した時からの経過時間が属する前記時間区分に対応付けられている前記出力制御情報に基づいて前記加湿装置の出力を制御する制御処理と、前記操作部を介して、前記時間区分の変更、及び、少なくとも2つの前記時間区分について当該時間区分に対応付けられている前記出力制御情報の変更の少なくとも一方を受け付ける変更受付処理と、を実行する。
【0029】
従来、加熱装置及び加湿装置を備える貯蔵庫において、加熱装置及び加湿装置が運転されている期間の時間区分と加湿装置の出力制御情報とが対応付けられて設定されており、加湿を開始した時からの経過時間が属する時間区分に対応付けられている出力制御情報に基づいて加湿装置の出力を制御するものがある。
【0030】
しかしながら、従来の貯蔵庫では、使用者は時間区分を変更できなかった。従来の貯蔵庫の時間区分やそれに対応付けられている出力制御情報は貯蔵庫の開発者が推奨する数値であると考えられ、時間区分を固定することで使用者の手間が減る可能性がある。しかしながら、貯蔵庫によって料理を加湿する場合、使用者はメニュー毎に最善の設定で加湿したいと考えることも想定される。従来は時間区分が固定されているため、必ずしも最善の設定で加湿できなかった。
上記(6)に記載の貯蔵庫によると、時間区分の変更を受け付けることにより、従来に比べてメニュー毎に最善の設定で加湿できる可能性が高くなる。
【0031】
また、従来、加熱装置及び加湿装置を備える貯蔵庫において、複数の時間区分のうち1つの時間区分の出力制御情報を使用者が変更できるものがある。しかしながら、従来の貯蔵庫では、使用者が変更できるのは複数の時間区分のうち1つの時間区分の出力制御情報だけであり、他の時間区分については出力制御情報を変更できなかった。
例えば、従来の貯蔵庫は、前期、後期といったように時間区分が設定されている場合、使用者が出力制御情報を変更できるのは例えば後期についてだけであり、前期については出力制御情報を変更できなかった。
上記(6)に記載の貯蔵庫によると、少なくとも2つの時間区分について当該時間区分に対応する出力制御情報の変更を受け付けることにより、従来に比べてメニュー毎に最善の設定で加湿できる可能性が高くなる。
【0032】
(7)本開示の貯蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室内を加熱する加熱装置と、前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、制御部と、を備え、当該貯蔵庫の運転モードには、所定の停止動作が行われるまで前記加熱装置を運転する保温運転があり、前記制御部は、前記保温運転中に前記加湿装置を運転する。
【0033】
詳しくは後述するが、貯蔵庫の一例である再加熱カートユニット10(図1参照)には、加熱装置が運転される運転モードとして加熱運転、蒸らし運転及び保温運転がある。従来は、加熱運転及び蒸らし運転では料理の乾燥防止のために加湿装置を運転していたが、保温運転では加湿装置を運転していなかった。本願発明者は、保温運転中に加湿装置を運転しないと次のような課題があることを見出した。
・保温運転中に料理が乾燥する可能性がある。
・加熱運転、蒸らし運転、保温運転の順で運転した場合、蒸らし運転の後に加湿装置が停止すると貯蔵室から蒸気が抜けるため、貯蔵室内の温度が低下し易い。
【0034】
上記(7)に記載の貯蔵庫によると、保温運転中も加湿装置を運転するので、次のような効果が奏される。
・保温運転中も加湿できるようになったので料理が乾燥し難くなる。
・蒸らし運転の後に蒸気が抜け難くなるので、貯蔵室内の温度の低下が抑制される。
【0035】
(8)上記(7)に記載の貯蔵庫であって、前記保温運転における前記加湿装置の出力制御情報が記憶されている記憶部と、操作部と、を備え、前記制御部は、前記保温運転における前記出力制御情報に基づいて前記保温運転中の前記加湿装置の出力を制御する制御処理と、前記操作部を介して、前記保温運転における前記出力制御情報の変更を受け付ける変更受付処理と、を実行してもよい。
【0036】
上記(8)に記載の貯蔵庫によると、保温運転における加湿装置の出力制御情報の変更を受け付けるので、メニュー毎に最善の設定で保温できる可能性が高くなる。
【0037】
(9)本開示の貯蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、制御部と、を備え、前記加湿装置は、水が貯められるタンクと、前記タンク内の水を加熱して蒸気を発生させる加湿ヒータと、前記タンクに給水する給水経路を開閉する給水側開閉部と、前記タンク内の水位を検知する水位センサと、を有し、前記制御部は、前記加湿ヒータに所定時間通電する毎に前記給水経路を開いて所定の上限水位まで給水する。
【0038】
加湿装置を運転するとタンク内の水位が低下するため、加湿装置を備える貯蔵庫は加湿装置の運転中にタンクに給水している。
従来の貯蔵庫は、タンク内の水位が所定の下限水位まで低下すると所定の上限水位まで給水している。しかしながら、一般に下限水位と上限水位とにはある程度の差があるため、下限水位から上限水位まで給水すると、タンク内の高温の水(例えば沸騰している水)に常温の水が大量に混ざる。このため、タンクのサイズが小さい場合は水温が大きく低下して加湿が中断される。このため、従来はタンクのサイズを大きくすることによって水温を下がり難くしていた。しかしながら、タンクのサイズを大きくすると次のような課題がある。
【0039】
・貯蔵庫のタンクの搭載位置が限られる。
・貯蔵庫自体も大型化する。
・タンクのサイズに比例して加湿ヒータのW(ワット)数も増加し、消費電力が増える。
【0040】
上記(9)に記載の貯蔵庫によると、加湿ヒータに所定時間通電する毎に上限水位まで給水する。このため、所定時間を適宜に設定することにより、下限水位から上限水位まで給水する場合に比べて1回あたりの給水量を少なくできる。これにより、タンクのサイズが小さくてもタンク内の水温を高温に維持できる。このため、タンクを大きくすることによる課題(前述した3つの課題)を抑制できる。
【0041】
ここで、貯蔵庫は加湿ヒータのオン(通電)とオフ(非通電)とを繰り返すことによってヒータ出力を制御することがある。その場合はオン時間の合計時間が所定時間に達する毎に給水することになる。
【0042】
(10)上記(9)に記載の貯蔵庫であって、前記制御部は、前記タンク内の水位が所定の下限水位まで低下すると前記給水経路を開いて前記上限水位まで給水してもよい。
【0043】
加湿ヒータへの通電時間だけに基づいてタンクへの給水を制御すると仮定した場合、タンク内の水位が下限水位まで低下したとき、通電時間が所定時間に達していないと、所定時間に達するまで水位が低下し続けることにより、タンク内の水位が下限水位より低くなる。水位が下限水位より低いときに加湿ヒータによって加熱すると何らかの不都合が生じる可能性がある。
上記(10)に記載の貯蔵庫によると、通電時間に基づく給水とは別に、タンク内の水位が下限水位まで低下したときにも上限水位まで給水するので、タンク内の水位が下限水位より低くなることを抑制できる。
【0044】
(11)本開示の貯蔵庫は、貯蔵室と、前記貯蔵室内を加湿する加湿装置と、制御部と、を備え、前記加湿装置は、水が貯められるタンクと、前記タンク内の水を加熱して蒸気を発生させる加湿ヒータと、前記タンク内の水を排水する排水経路を開閉する排水側開閉部と、前記タンク内の水位を検知する水位センサと、を有し、前記制御部は、前記タンク内の水位が所定の上限水位のときに、前記排水経路を開いて前記タンク内の水の排水を開始する開始処理と、前記タンク内の水位が前記上限水位から所定の下限水位まで低下するまでの時間を計測する計測処理と、前記計測処理で計測した時間に基づいて、前記開始処理で前記排水経路を開いた時から前記タンク内の水が全て排水されるまでの排水時間を予測する予測処理と、前記開始処理で前記排水経路を開いた時から前記予測処理で予測した排水時間が経過すると前記排水経路を閉じて排水を終了する終了処理と、を実行する。
【0045】
加湿装置を備える貯蔵庫は、タンク内の水を全て排水することがある。この場合、貯蔵庫はタンク内の水を全て排水した後に排水経路を閉じて排水を終了する。
従来は、タンク内の水位が所定の下限水位まで低下したことを検知した時から一定時間が経過すると、タンク内の水が全て排水されたと見做して排水経路を閉じている。しかしながら、これには次のような課題がある。
【0046】
・タンク内の水位が下限水位まで低下してから全て排水されるまでの時間は貯蔵庫の機種(より具体的にはタンクの種類)によって異なるため、機種毎に一定時間を決める必要がある。しかしながら、機種毎に適切な一定時間を決定することは設計者にとって負担である。
・設置先によって排水能力に差異があるため、同一機種でも一定時間を1つに決めるのが難しい。具体的には、排水経路を構成している排水配管の管径や長さ、勾配、向き等は設置先によって異なる。排水経路の排水能力は配管に依存するため、設置先によっては単位時間当たりの排水量が設計時の想定より少ないこと(言い換えると排水能力が低いこと)があり、一定時間を1つに決めるのが難しい。
・標準的な排水能力を基準にして一定時間を決定した場合は、排水能力が低い設置先の場合に、一定時間内に排水が終わらず、タンク内に水が残る可能性がある。
・一定時間を長くすれば排水能力が低い設置先でも全て排水できるが、排水量に拘らず排水のために確保する時間が長くなり、その後の各種動作に移行するまでに無駄な待ち時間が発生する。
【0047】
排水経路を流れる排水の流量を計測する流量センサを用いれば、タンク内の水が全て排水されたか否かを知ることができるが、部品点数が増加するため貯蔵庫のコスト増となる。
上記(11)に記載の貯蔵庫によると、上限水位から下限水位まで低下するまでの時間に基づいて排水時間を予測するので、流量センサを用いなくても、タンク内の水が全て排水されたタイミングを精度よく知ることができる。このため以下のような効果が奏される。
【0048】
・流量センサを用いることによるコストの増加を抑制できる。
・タンク内の水が全て排水される前に排水経路が閉じられてタンク内に水が残ることを抑制できる。
・タンク内の水が全て排水されてから排水経路が閉じられるまでの時間が無駄に長くなることを抑制できる。このため、タンク内の水が全て排水された後に速やかに次の動作に移行できる。
・設置先毎に上限水位から下限水位まで低下するまでの時間が計測されるので、設計者は設置先の排水環境を考慮しなくてよい。このため設計者の負担が軽減される。
・設置後徐々に排水時間が長くなった場合、配管へのスケール(水中に溶けている無機塩類が析出した物質)の付着によるものであると推測できるので、使用者に配管の清掃を促すことができる。
【0049】
(12)上記(11)に記載の貯蔵庫であって、前記タンクに給水する給水経路を開閉する給水側開閉部を更に備え、前記制御部は、前記タンク内の水位が前記上限水位未満の場合は、前記給水経路を開いて前記上限水位まで給水してから前記開始処理を実行してもよい。
【0050】
上記(12)に記載の貯蔵庫によると、タンク内の水位が上限水位未満のときでも、上限水位まで給水してから排水を開始することにより、排水時間を予測できる。
【0051】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態の詳細について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本開示の実施形態は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【0052】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図13に基づいて説明する。
【0053】
(1)再加熱カートユニットの構成
本発明の貯蔵庫の第1の実施形態として再加熱カートユニット10を例示する。この再加熱カートユニット10は、いわゆるニュークック・チルシステムに用いられるものであり、具体的には、急速冷却後に食器に盛付けられた状態の料理等を、チルド保存して定められた時間等に再加熱することが可能な再加熱機器である。
【0054】
本実施形態の再加熱カートユニット10は、図1および図2に示すように、食器に盛り付けられた料理を収容してその料理を保温・保冷可能な断熱性を有するカート12と、そのカート12を格納可能でカート12内に温風および冷風を循環させるステーション14と、からなる。そして、再加熱後は、カート12をステーション14から取り出して運搬・配膳することができる構成とされている。
【0055】
以下に、本実施形態の再加熱カートユニット10について、概略的な構成を、図1から図6を参照しつつ説明する。なお、図面には、符号F,B,L,R,U,Dを用いて方向を示しており、それぞれ、カート12がステーション14に格納された状態において再加熱カートユニット10を正面から視たときの手前側(前側),奥側(後側),左側,右側,上側,下側を表している。
【0056】
カート12は、図3および図4に示すように、複数のトレイTをセット可能なフレームカート16と、そのフレームカート16を内部に収納可能な概して箱状の断熱カート18と、からなる。フレームカート16は、図5に示すように、ベース20と、そのベース20の左右の側縁から立設する一対のサイドフレーム21と、ベース20に設けられた車輪22と、ベース20の底面に設けられて当該フレームカート16の移動を禁止するためのロック機構23と、を備える。
【0057】
また、フレームカート16は、一対のサイドフレーム21の左右方向における中央に、前後方向においてベース20と略同じ寸法で立設する断熱性を有する仕切壁24を備えている。その仕切壁24は、前後方向に長手状のセパレータ25が積み上げられて形成されている。そして、このフレームカート16は、上下に並んだ2つのセパレータ25の間に、トレイTを挿入可能とされている。また、前方および後方の両者から、トレイTを挿入可能とされている。
【0058】
なお、一対のサイドフレーム21には、複数のトレイガイド21aが、中央に向かって張り出した状態で設けられており、そのトレイガイド21aによってトレイTの左右の両端を支持するようになっている。このような構成により、フレームカート16は、複数のトレイTを、前方側と後方側の各々において、上下複数段にわたってセット可能なものとされている。
【0059】
断熱カート18は、図3および図4に示すように、前方および後方に開口する概して矩形状の断熱箱体30と、断熱箱体30の前後の開口を開閉する断熱扉31と、断熱箱体30の底面に設けられた車輪32と、断熱箱体30の底面に設けられて当該断熱カート18の移動を禁止するためのロック機構33と、を備えている。断熱扉31は、観音開き式のものである。
【0060】
断熱カート18は、前方の断熱扉31の脇に、使用者が運搬等を行う際に把持することが可能なグリップ34,35が設けられている。また、断熱カート18は、前方の断熱扉31を開いて、この前方側の開口から上述したフレームカート16を出し入れ可能となっている。なお、フレームカート16が断熱カート18内に収納されると、断熱箱体30内がフレームカート16の仕切壁24によって左右に仕切られて、冷温蔵室R1(貯蔵室の一例)および冷蔵室R2が区画形成されるようになっている。
【0061】
断熱カート18は、ステーション14との間で、空気(温風および冷風)の受け渡しが行われるようになっている。具体的には、断熱箱体30は、図3に示すように、天面部30aに、上方に開口する吸気口36A,36Bおよび排気口37A,37Bを有している。また、断熱箱体30は、図6に示すように、断熱箱体30の両側の側壁部30b,30cの各々に、吸気口36A,36Bから冷温蔵室R1および冷蔵室R2に空気を案内する空気供給路38A,38Bが形成されている。
【0062】
なお、断熱箱体30は、外箱と内箱との間に断熱材としてメラミンフォームやウレタンフォーム等の発泡材が充填された構成のものであるが、側壁部30b,30cは、内側に間隔を空けて設けられたダクト部材39も含んで構成されており、空気供給路38A,38Bは、ダクト部材39と内箱との間に形成されている。
【0063】
そして、吸気口36A,36Bから吸い込まれて空気供給路38A,38Bを流れる空気は、ダクト部材39に形成された複数の長孔からなる吹出口39a(図1参照)から、冷温蔵室R1および冷蔵室R2内に吹き出される。一方、冷温蔵室R1および冷蔵室R2内の空気は、天面部30aを厚み方向に貫通形成された排気口37A,37Bに向かって流れることになる。
【0064】
ステーション14は、図1に示すように、前方視で門型に開口するカート格納部40aを有する本体部40を主体として構成され、上記カート12をカート格納部40aに対して前方側から出し入れ可能とされている。ステーション14は、図2に示すように、本体部40の上側に一対のサイドパネル41とフロントパネル42とを備え、それらによって形成される機械室R3を有するものとなっている。
【0065】
機械室R3には、冷凍サイクル式の冷却ユニット44の一部、加湿装置45、コントロールボックス46が配されている。冷却ユニット44は、後に詳しく説明するが、圧縮機50と、凝縮器51aと凝縮器ファン51bとからなる凝縮器ユニット51と、2つの蒸発器52A,52Bと、を含んで構成される。
【0066】
本体部40は、カート格納部40aの上方に、操作部47を有するディスプレイパネル48が配されている。この操作部47は、再加熱カートユニット10における各種情報が表示されるディスプレイ47aを含み、例えば、庫内の温度や運転状態を示す情報等が表示される。また、操作部47はディスプレイ47aの前面に配されているタッチパネルを含み、例えば、運転に関する各種設定の入力や運転指示などを行うことが可能とされている。
【0067】
図6に示すように、ステーション14は、ディスプレイパネル48で覆われた部分に、つまり、カート格納部40aと機械室R3との間に、左右に並んで2つの熱交換室R4,R5を有している。第1熱交換室R4には、第1蒸発器52Aが収容され、第2熱交換室R5には、第2蒸発器52Bが収容されている。
【0068】
第1蒸発器52Aおよび第2蒸発器52Bは、冷媒管や開閉弁を介して圧縮機50や凝縮器51aと並列接続されている。その開閉弁が切り替えられることにより、2つの蒸発器52A,52Bに対する冷媒の供給が制御される。つまり、再加熱カートユニット10は、第1蒸発器52Aと第2蒸発器52Bとが両方作動している状態、第1蒸発器52Aのみが作動している状態、第2蒸発器52Bのみが作動している状態を、切り替えることができるようになっている。
【0069】
また、第1熱交換室R4には、ヒータ54(加熱装置の一例)が収容されており、第1熱交換室R4内の空気を加熱することも可能とされている。さらに、この第1熱交換室R4内の空気は、機械室R3に配されている加湿装置45によって、加湿することも可能とされている。加湿装置45についての説明は後述する。
【0070】
第1熱交換室R4および第2熱交換室R5には、第1循環ファン55A,第2循環ファン55Bが収容されている。これら第1循環ファン55A,第2循環ファン55Bは、下方側から空気を吸い込んで、後方側に配された第1蒸発器52A,第2蒸発器52B側に空気を送り出すことで、連結されたカート12の冷温蔵室R1と冷蔵室R2との間で、空気を循環させるものである。以下に、ステーション14とカート12との間で空気を循環させる構造について説明する。
【0071】
ステーション14は、図6に示すように、第1熱交換室R4および第2熱交換室R5の下方に、それぞれに連通する排気ダクト56A,56Bと、吸気ダクト57A,57Bと、を備えている。これら4本のダクト56A,56B,57A,57Bは、ゴム等の弾性材によって蛇腹状に形成された部材であり、上下方向に伸縮可能なものとされている。ステーション14内にカート12が格納されると、排気ダクト56A,56Bの直下に、断熱カート18の吸気口36A,36Bが位置するとともに、吸気ダクト57A,57Bの直下に、断熱カート18の排気口37A,37Bが位置することとなる。
【0072】
ステーション14は、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを伸縮させる伸縮機構58を有している。その伸縮機構58は、レバー58a(図2参照)が回動させられることで、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを保持したダクト保持部材58bを昇降させて、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを伸縮させるものとされている。
【0073】
つまり、使用者は、カート12をステーション14内に格納した後、レバー58aを回動させ、4本のダクト56A,56B,57A,57Bを伸長させて、それら4本のダクト56A,56B,57A,57Bの下端を下降させる。それにより、4本のダクト56A,56B,57A,57Bの下端は、吸気口36A,36Bおよび排気口37A,37Bを覆う状態で、断熱カート18の天面部30aに接することになり、カート12とステーション14とが連結された状態となるのである。
【0074】
カート12とステーション14とが連結された状態で、第1循環ファン55Aが作動させられると、第1熱交換室R4の空気は、第1排気ダクト56Aからカート12の第1吸気口36A,第1空気供給路38Aを介して冷温蔵室R1に送られ、その冷温蔵室R1の空気は、第1排気口37Aから第1吸気ダクト57Aを介して、第1熱交換室R4に戻される。
【0075】
そして、第1熱交換室R4は、第1蒸発器52Aによって内部の空気を冷却すること、あるいは、ヒータ54および加湿装置45によって内部の空気を加熱・加湿することが可能とされており、第1熱交換室R4から冷風あるいは温風が送られる冷温蔵室R1は、冷蔵室あるいは温蔵室として機能する。
【0076】
また、同様に、第2循環ファン55Bが作動させられると、第2熱交換室R5の空気は、第2排気ダクト56Bからカート12の第2吸気口36B,第2空気供給路38Bを介して冷蔵室R2に送られ、その冷蔵室R2の空気は、第2排気口37Bから第2吸気ダクト57Bを介して、第2熱交換室R5に戻される。この第2熱交換室R5は、第2蒸発器52Bによって空気を冷却することが可能とされており、第2熱交換室R5から冷風が送られる冷蔵室R2は、冷蔵室として機能する。
【0077】
第1熱交換室R4には、第1吸気ダクト57Aを介して第1熱交換室R4に戻された冷温蔵室R1内の空気の温度を検知する庫内サーミスタ71A(庫内温度センサの一例)が配されている。第2熱交換室R5には、第2吸気ダクト57Bを介して第2熱交換室R5に戻された冷蔵室R2内の空気の温度を検知する庫内サーミスタ71Bが配されている。
【0078】
(2)加湿装置の構成
図2及び図7を参照して、加湿装置45について説明する。図2に示すように、加湿装置45は、水が貯められる金属製の湯沸かしタンク45a(タンクの一例)を主体とするもので、給水した水を沸騰させ、それによる蒸気を、スチームパイプ45bを介して第1熱交換室R4に供給することで、第1熱交換室R4内の空気を加湿するようになっている。
【0079】
図7に示すように、湯沸かしタンク45aには、湯沸かしタンク45aに給水する給水経路80、湯沸かしタンク45a内の水を排水する排水経路81、及び、湯沸かしタンク45a内でオーバーフローした水を排水するオーバーフロー排水経路82が接続されている。
【0080】
オーバーフロー排水経路82は、一端が湯沸かしタンク45aの上端部に接続されて水平方向にU字状に湾曲しながら延びている第1水平部82a、一端が第1水平部82aの他端に接続されて下に延びている第1鉛直部82b、一端が第1鉛直部82bの下端に接続されているU字状のトラップ部82c、一端がトラップ部82cの他端に接続されて水平方向に延びている第2水平部82d、及び、第2水平部82dの他端から下に延びて排水経路81と合流している第2鉛直部82eを有している。
【0081】
図8を参照して、加湿装置45の構成について説明する。加湿装置45は湯沸かしタンク45a、スチームパイプ45b(図2図6参照)、湯沸かしタンク45a内の水を加熱して蒸気を発生させる加湿ヒータ45c、給水経路80を開閉する給水側開閉部45d、排水経路81を開閉する排水側開閉部45e、湯沸かしタンク45a内の水温を検知する水温センサ45f、及び、湯沸かしタンク45a内の水位を検知する水位センサ45gを備えている。
【0082】
給水側開閉部45dは、給水経路80に設けられている給水バルブと、給水バルブを駆動するモータなどの駆動装置とを有している。給水側開閉部45dは電磁弁であってもよい。
排水側開閉部45eは、排水経路81に設けられている排水バルブと、排水バルブを駆動するモータなどの駆動装置とを有している。給水側開閉部45dは電磁弁であってもよい。
【0083】
水位センサ45gは、湯沸かしタンク45aの外に立設されている水位検知タンク85を有している。水位検知タンク85の下部は連通管86によって湯沸かしタンク45aの下部に連通接続されている。水位センサ45gは、水位検知タンク85内の水位に応じて上下するフロート87、所定の上限水位yAに対応して設けられているフロート上接点88、及び、上限水位yAより低い所定の下限水位yBに対応して設けられているフロート下接点89を有している。
【0084】
水位検知タンク85内の水位(言い換えると湯沸かしタンク45a内の水位)が上限水位yA未満のときはフロート上接点88が開いており、上限水位yAまで上昇するとフロート上接点88が閉じる。湯沸かしタンク45aに給水するとき、フロート上接点88が開から閉に変化することで、湯沸かしタンク45a内の水位が上限水位yAまで上昇したタイミングを知ることができる。同様に、フロート下接点89が閉から開に変化することで、湯沸かしタンク45a内の水位が下限水位yBより低い水位まで低下したタイミングを知ることができる。
【0085】
再加熱カートユニット10は、湯沸かしタンク45aに給水するとき、水位が上限水位yAまで上昇すると給水を終了する。このため、基本的には、湯沸かしタンク45a内の水位は上限水位yAより高くならない。オーバーフロー排水経路82を設けている理由は、何らかの異常によって給水が停止しなかった場合に、給水された水を排水経路81に逃がすためである。
【0086】
(3)再加熱カートユニットの電気的構成
図9を参照して、再加熱カートユニット10の電気的構成について説明する。再加熱カートユニット10は制御部60を備えている。制御部60はCPU60A、RAM60B及び記憶部60Cを有している。制御部60には操作部47、庫内サーミスタ71A、庫内サーミスタ71B、第1循環ファン55A、第2循環ファン55B、ヒータ54、冷却ユニット44(より具体的には圧縮機50など)、加湿装置45、レバーセンサ74及びカートセンサ75が電気的に接続されている。
レバーセンサ74はレバー58aの回動を検知するセンサである。カートセンサ75はカート12が格納されたことや取り出されたことを検知するセンサである。
【0087】
(4)再加熱カートユニットの運転
図10を参照して、再加熱カートユニット10の運転モードについて説明する。再加熱カートユニット10の運転モードにはチルド運転、保冷運転、加熱運転、蒸らし運転、保温運転及び予冷運転がある。
【0088】
チルド運転は料理を冷蔵保存する運転である。チルド運転では、制御部60は庫内サーミスタ71Aによって検知された温度と庫内サーミスタ71Bによって検知された温度とに基づいて開閉弁の開閉や圧縮機50の運転・停止を切り替えることにより、冷温蔵室R1及び冷蔵室R2をそれぞれ所定の温度範囲内に維持する。保冷運転はチルド運転より高い温度(冷食用の温度)で料理を冷蔵保存する運転である。
【0089】
加熱運転は冷温蔵室R1に冷蔵保存されている料理を加熱する運転である。蒸らし運転は加熱運転によって加熱された料理を蒸らす運転である。加熱運転及び蒸らし運転では乾燥防止のために加湿装置45によって冷温蔵室R1内が加湿される。保温運転は蒸らし運転によって蒸らされた料理を保温する運転である。予冷運転についての説明は後述する。
【0090】
例えば再加熱カートユニット10によって朝食を提供する場合、使用者は急速冷却した朝食を食器に盛付けて各トレイTに載置する。トレイTの一方には温食が、他方には冷食が載置される。使用者は複数のトレイTを収容したカート12をステーション14に格納し、カート12とステーション14とを互いに連結する。
そして、使用者は操作部47を操作して朝食の加熱完了時刻、加熱時間、蒸らし時間、各運転モードの温度などの各種の設定値を設定する。制御部60は各種の設定値が設定されると、加熱時間と蒸らし時間とを合計した時間だけ加熱完了時刻から遡った時刻を加熱開始時刻として設定する。すなわち、制御部60は加熱完了時刻から逆算によって加熱開始時刻を設定する。加熱運転が開始されると加湿装置45による加湿も開始されるので、加熱開始時刻は加湿装置45の加湿開始時刻でもある。
【0091】
使用者は上述した各種の設定値を設定した後、操作部47のスタートボタンを押す。制御部60はスタートボタンが押されると冷温蔵室R1及び冷蔵室R2のチルド運転を開始する。制御部60はチルド運転を開始した後、加熱開始時刻に達すると冷温蔵室R1のチルド運転を終了して加熱運転を開始する。冷蔵室R2については、制御部60はチルド運転を終了して保冷運転を開始する。
【0092】
制御部60は加熱運転を開始してから加熱時間が経過すると蒸らし運転を開始し、蒸らし運転を開始してから蒸らし時間が経過すると保温運転を開始する。保温運転は所定の停止動作が行われるまで継続される。所定の停止動作はレバー58aを回動させる動作やカート12を取り出す動作などである。所定の停止動作は適宜に決定できる。保温運転を停止すると冷蔵室R2の保冷運転も停止される。
【0093】
前述した予冷運転について説明する。予冷運転は、保温運転などの後にチルド運転を行う場合に、チルド運転の前に予め冷温蔵室R1内を冷却する運転である。例えば朝食を提供した後に昼食を提供する場合、朝食を保温していたため冷温蔵室R1内が高温になっている。昼食を収容する前に予冷運転を行うと冷温蔵室R1内の温度を下げることができる。予冷運転は操作部47の予冷ボタンを押すと開始される。
使用者は操作部47を操作して各運転モードでの運転を単独で実行させることもできる。
【0094】
(5)湯沸かしタンク内の水の排水処理
図11を参照して、湯沸かしタンク45a内の水の排水処理について説明する。制御部60は、湯沸かしタンク45a内に堆積した不純物が残らないようにするために、蒸らし運転が終了する毎(言い換えると加湿装置45による加湿が終了する毎)に、湯沸かしタンク45a内の水を全て排水する排水処理を実行する。制御部60は、排水処理を実行した後、次回の加熱開始時刻(すなわち次回の加湿開始時刻)までに湯沸かしタンク45aに給水する。以下、具体的に説明する。
【0095】
(5-1)排水処理の開始条件
排水処理は以下の条件1、2及び3が成立すると開始される。
【0096】
条件1:加湿制御がオンであること。加湿制御がオンであるとは、加熱運転中及び蒸らし運転中に冷温蔵室R1内を加湿する設定がオンになっていることをいう。ここでは加湿制御がオンであるとする。
条件2:冷温蔵室R1の現在の運転モードが待機中及び予冷中のどちらでもないこと。すなわち、冷温蔵室R1の現在の運転モードがチルド運転、加熱運転、蒸らし運転又は保温運転のいずれかであること。
条件3:次回の加熱開始時刻(すなわち次回の加湿開始時刻)までの時間が30分(所定時間の一例)以下であること。30分は、湯沸かしタンク45a内の水の排水に要する見積時間と、その後に次回の加湿のために湯沸かしタンク45aに給水するのに要する見積時間との合計時間以上の時間である。
【0097】
図11を参照して、排水処理の開始条件が成立する具体例について説明する。図11に示す例では以下のように運転されている。
[朝7:00]朝食のための蒸らし運転終了。蒸らし運転が終了すると加湿運転も終了する。加湿運転が終了した直後は、湯沸かしタンク45a内の水は100℃に近い高温である。
[朝7:30]朝食のための保温運転終了。
[朝8:00]昼食のための予冷運転開始。
[朝9:00]昼食のためのチルド運転開始。
[朝11:30]昼食のための加熱運転開始(すなわち次回の加湿運転開始)。
【0098】
図11に示す例では、加湿制御の設定がオンであるので条件1は常に成立している。そして、11:30(すなわち次回の冷温蔵室R1内の加湿開始時刻)の30分前である11:00に条件3が成立する。11:00の時点ではチルド運転が行われているので条件2が成立している。このため11:00に条件1,2及び3が成立して排水処理が開始される。
【0099】
上述したように、7:00に朝食のための蒸らし運転(すなわち加湿運転)が終了しても、湯沸かしタンク45a内の水の排水処理が開始されるのは11:00(次回の加熱開始時刻の30分前、言い換えると次回の加湿開始時刻の30分前)になってからであるので、7:00から11:00までの4時間(冷温蔵室R1内の加湿が終了してから次回の冷温蔵室R1内の加湿開始時刻の所定時間前に至るまでの数時間)を、湯沸かしタンク45a内の高温の水を室温によって自然冷却するための期間として利用できる。
【0100】
(5-2)排水処理
実施形態1に係る制御部60は、次回の冷温蔵室R1内の加湿開始時刻の30分前になると直ちに湯沸かしタンク45a内の水を排水するのではなく、給水バルブを開いて(言い換えると給水経路80を開いて)湯沸かしタンク45aに上限水位yAまで給水する。
そして、制御部60は給水後の湯沸かしタンク45a内の水温を水温センサ45fによって検知し、検知した水温が60℃(所定の温度の一例)以下である場合に、排水バルブを開いて(言い換えると排水経路81を開いて)湯沸かしタンク45a内の水を排水する。60℃は一般的な樹脂材料の耐熱温度である。所定の温度は60℃に限定されず、適宜に決定できる。
【0101】
前述した30分(所定時間の一例)は、上限水位yAまで湯沸かしタンク45aに給水するのに要する見積時間と、湯沸かしタンク45a内の水の排水に要する見積時間と、その後に次回の加湿のために湯沸かしタンク45aに給水するのに要する見積時間との合計時間以上である。
【0102】
図12に示すタイミングチャートを参照して、排水処理についてより具体的に説明する。ここでは図11に示す11:00に開始される排水処理を例に説明する。
制御部60は11:00になった時点T1で給水を開始する。時点T2は湯沸かしタンク45a内の水位が上限水位yAに達した時点である。制御部60は時点T2で給水バルブを閉じて給水を停止する。
【0103】
制御部60は、時点T2で給水を停止すると、水温センサ45fによって湯沸かしタンク45a内の水温(すなわち給水が終了した直後の水温)を検知し、水温が60℃以下であるか否かを判定する。図12に示す例では60℃以下である。このため、制御部60は時点T2で排水バルブを開いて排水を開始する。
時点T3は時点T2から一定時間が経過した時刻である。制御部60は時点T2で排水を開始した時から一定時間が経過すると、湯沸かしタンク45a内の水が全て排水されたと見做して排水バルブを閉じる。
【0104】
制御部60は、時点T3において、上述したように排水バルブを閉じるとともに、次回の加湿運転のために給水バルブを開いて湯沸かしタンク45aへの給水を開始する。給水は湯沸かしタンク45a内の水位が上限水位yAに達した時点T4まで継続される。制御部60は時点T4で給水バルブを閉じて給水を停止する。
そして、制御部60は昼食のための加熱開始時刻(11:30)まで加湿装置45の運転を待機し、加熱開始時刻に達すると加湿装置45の運転を開始する。
【0105】
図13は、湯沸かしタンク45aへの給水が終了した時点T2で水温が60℃より高いと判定した場合のタイミングチャートである。制御部60は、時点T2で水温が60℃より高いと判定した場合は排水バルブを開かず、閉じたままにする。そして、制御部60は加熱開始時刻(ここでは11:30)まで加湿装置45の運転を待機し、加熱開始時刻に達すると加湿装置45の運転を開始する。
【0106】
図13に示す例では、時点T2で給水が終了したときの水温が60℃より高いが、その後の時点T5で60℃以下まで下がっている。しかしながら、排水と次回の加湿のための給水とにそれぞれ時間を要するため、時点T5で排水を開始すると次回の加熱開始時刻(加湿開始時刻)に間に合わなくなる可能性がある。このため、制御部60は、湯沸かしタンク45aへの給水が終了した時点T2の水温が60℃より高い場合は、その後に60℃以下になっても排水しない。
【0107】
(6)実施形態の効果
実施形態1に係る再加熱カートユニット10によると、冷温蔵室R1内の加湿が終了した後、次回の冷温蔵室R1内の加湿開始時刻の30分前になってから湯沸かしタンク45a内の水を排水するので、冷温蔵室R1内の加湿が終了してから当該30分前に至るまでの数時間を、湯沸かしタンク45a内の高温の水を室温によって自然冷却するための期間として利用できる。このため、加湿が終了した直後に排水する場合に比べて低い水温の水を排水できる。
よって再加熱カートユニット10によると、冷温蔵室R1内の加湿が終了した後に加湿装置45の湯沸かしタンク45a内の水を排水する場合の課題(前述した3つの課題)を改善できる。
【0108】
上述した30分は、湯沸かしタンク45a内の水の排水に要する見積時間(時点T2から時点T3までの見積時間)と、その後に次回の加湿のために湯沸かしタンク45aに給水するのに要する見積時間(時点T3から時点T4までの見積時間)との合計時間以上である。このようにすると、水温が低下した水を排水しつつ、次回の加湿開始時刻の前に湯沸かしタンク45aへの給水が終了する。
【0109】
再加熱カートユニット10によると、排水の前に上限水位yAまで湯沸かしタンク45aに給水することにより、湯沸かしタンク45a内の水温を下げることができる。このため、冷温蔵室R1内の加湿が終了した後に湯沸かしタンク45a内の水を排水する場合の課題をより確実に改善できる。
【0110】
再加熱カートユニット10によると、湯沸かしタンク45aへの給水が終了した時点T2の水温が60℃より高い場合は排水しないので、湯沸かしタンク45a内の高温の水を排水することによる課題(前述した3つの課題)の発生を抑制できる。
【0111】
<実施形態2>
実施形態2に係る排水制御は、給水経路80に浄水器が設置されているという前提での排水制御である。
前述した実施形態1では、加湿装置45による加湿が開始されてから加湿が終了するまで(具体的には加熱運転が開始されてから蒸らし運転が終了するまで)を加湿装置45の1回の運転と定義した場合、加湿装置45を1回運転する毎に湯沸かしタンク45a内の水を排水する。
【0112】
これに対し、実施形態2に係る再加熱カートユニット10は、加湿装置45をn(n≧2)回運転する毎にタンク内の水の排水を1回行う。nは適宜に決定できる。例えば3回に1回排水する場合は、制御部60は加湿装置45を3回運転すると湯沸かしタンク45a内の水を全て排水し、次の2回の運転では排水制御をキャンセルする。
【0113】
実施形態2に係る再加熱カートユニット10によると、加湿装置45を1回運転する毎に排水する場合に比べて次のような効果が奏される。
・使用水量の削減
・排水側開閉部45e、給水側開閉部45d、水位センサ45gなどの耐久寿命が長くなる。これにより再加熱カートユニット10を長期に亘って使用できる。
【0114】
ここで、給水経路80に浄水器が設置されていない場合は、湯沸かしタンク45a内の水を毎回排水しないと湯沸かしタンク45a内に不純物が残ることが懸念される。これに対し、給水経路80に浄水器が設置されている場合は毎回排水しなくても不純物が残り難い。このため、実施形態2の排水制御を行う場合は給水経路80に浄水器が設置されていることが好ましい。
【0115】
<実施形態3>
実施形態3を図14ないし図16によって説明する。
図14を参照して、加湿設定テーブル90について説明する。加湿設定テーブル90は加熱運転中(すなわちヒータ54及び加湿ヒータ45cが運転されている期間)の冷温蔵室R1内の温度区分と加湿ヒータ45cのヒータ出力(加湿装置の出力制御情報の一例)とが対応付けられているテーブルである。加湿設定テーブル90は記憶部60Cに記憶されている。
【0116】
制御部60は、加熱運転中に庫内サーミスタ71Aによって冷温蔵室R1内の庫内温度を検知し、検知した温度が属する温度区分に対応付けられているヒータ出力に基づいて加湿ヒータ45cの出力を制御する(制御処理の一例)。以下の説明では冷温蔵室R1内の庫内温度のことを加熱室吸い込み温度という。
【0117】
更に、加湿設定テーブル90には蒸らし運転中(すなわちヒータ54及び加湿ヒータ45cが運転されている期間)の時間区分とヒータ出力とが対応付けられている。制御部60は、加熱運転が終了して蒸らし運転に切り替わると、蒸らし運転に切り替わった時(言い換えると蒸らし運転のために加湿ヒータ45cによる加湿を開始した時)からの経過時間(蒸らし経過時間)が属する時間区分に対応付けられているヒータ出力に基づいて加湿ヒータ45cの出力を制御する(制御処理の一例)。
【0118】
(1)加湿設定テーブル
図14を参照して、加湿設定テーブル90について具体的に説明する。
【0119】
(1-1)加熱運転中の温度区分
図14に示す例の場合、加熱運転中の加熱室吸い込み温度(すなわち冷温蔵室R1内の庫内温度)が温度区分1(コントロール)、温度区分2(加熱初期)、温度区分3(加熱中期)、温度区分4(加熱後期)の4つに区分されている。加湿設定テーブル90において加湿開始温度は各区分の開始温度(ただし温度区分1は除く)である。
【0120】
温度区分1は湯沸かしタンク45a内の水を温める期間の温度である。温度区分1に対応付けられているヒータ出力には、湯沸かしタンク45a内の水温を93℃にコントロールするためのヒータ出力が予め固定で設定されている。
温度区分2、3及び4にはその温度区分の開始温度(加湿開始温度)が設定されている。温度区分2には50℃以上の温度を設定できる。例えば温度区分2に50℃、温度区分3に80℃、温度区分4に100℃が設定されている場合、温度区分1は自動的に50℃未満の範囲となる。温度区分2は50℃以上80℃未満の範囲、温度区分3は80℃以上100℃未満の範囲、温度区分4は100℃以上の範囲となる。
【0121】
(1-2)蒸らし運転中の時間区分
図14に示す例の場合、蒸らし運転中の期間が初期と後期とに区分されている。前述したように蒸らし時間は予め使用者によって設定される。初期には蒸らし時間より短い範囲で任意の時間(分)が設定される。後期は蒸らし時間から初期の時間を減じた時間として自動で決定される。例えば蒸らし時間が20分であり、初期の時間として5分が設定されている場合、後期の時間は15分となる。
使用者が後期の時間を設定し、蒸らし時間から後期の時間を減じた時間を初期の時間としてもよい。
【0122】
(1-3)ヒータ出力
ヒータ出力は、具体的には例えば加湿ヒータ45cの運転率である。運転率は1サイクル中の加湿ヒータ45cがオンにされている時間の割合(%)で表される。例えば1サイクルが10秒であり、ヒータ出力が70%であるとすると、加湿ヒータ45cが3秒オフにされ、7秒オンにされることが繰り返される。これによりヒータ出力が70%に制御される。ヒータ出力は加湿ヒータ45cの運転率と言い換えることもできる。
【0123】
(2)加湿設定テーブルの変更
制御部60は、操作部47を介して、加熱運転の温度区分の変更、及び、少なくとも2つの温度区分について当該温度区分に対応付けられているヒータ出力の変更の少なくとも一方を受け付ける(変更受付処理の一例)。
更に、制御部60は、操作部47を介して、蒸らし運転の時間区分の変更、及び、少なくとも2つの時間区分について当該時間区分に対応付けられているヒータ出力の変更の少なくとも一方を受け付ける(変更受付処理の一例)。
【0124】
先ず、加熱運転の温度区分の変更について説明する。使用者は温度区分2,3及び4を直接変更できる一方、温度区分1については直接変更することはできない。温度区分1は温度区分2が変更されると自動で変更される。例えば使用者が温度区分2に50℃を設定した場合、温度区分1は自動的に50℃未満となる。前述したように温度区分2には50℃以上の温度を設定できる。温度区分3及び4には直前の温度区分より高い温度だけを設定できる。例えば使用者が温度区分2に55℃を設定した場合、温度区分3には56度以上の温度を設定できる。
【0125】
次に、蒸らし運転の時間区分の変更について説明する。使用者は蒸らし運転の期間の初期の時間(分)を変更できる。初期の時間として設定できる時間は蒸らし時間より短い時間だけである。前述したように、使用者が初期の時間を設定すると、蒸らし時間から初期の時間を減じた時間が後期の時間として自動で設定される。
【0126】
次に、ヒータ出力の変更について説明する。前述したように、温度区分1に対応付けられているヒータ出力は固定で設定されている。このため、使用者は加熱運転中の温度区分2、3及び4に対応付けられているヒータ出力、並びに、蒸らし運転中の初期及び後期に対応付けられているヒータ出力をそれぞれ変更できる。
【0127】
(3)加湿ヒータの運転率の変化
図15を参照して、加湿ヒータ45cの運転率の変化と冷温蔵室R1内の温度(加熱室吸い込み温度)の変化とについて説明する。図15において時点T2は加熱運転の加熱開始時刻である。時点T1は加熱開始時刻の10分前である。制御部60は加熱開始時刻の10分前になると温度区分1のヒータ出力で加湿ヒータ45cの運転を開始する。そして、時点T2で冷温蔵室R1内の加熱が開始される。加熱が開始されると冷温蔵室R1内の温度が上昇する。
【0128】
図15に示す例では時点T3で加熱室吸い込み温度が温度区分2の開始温度に達している。このため時点T3で加湿ヒータ45cのヒータ出力が温度区分2のヒータ出力に切り替えられる。同様にして時点T4で温度区分3のヒータ出力に切り替えられており、時点T5で温度区分4のヒータ出力に切り替えられている。
【0129】
図15に示す例では時点T6で蒸らし運転に切り替わっている。制御部60は蒸らし運転に切り替わると蒸らし運転の初期の時間が経過するまで初期に対応付けられているヒータ出力に切り替え、初期の時間が経過した時点T7で後期に対応付けられているヒータ出力に切り替える。
【0130】
図16を参照して、ヒータ出力の切り替わりについて説明する。ここでは前述した時点T6において加熱運転から蒸らし運転の初期に切り替わる場合を示している。図16に示す例では蒸らし運転に切り替わる直前のヒータ出力が70%であり、蒸らし運転の初期のヒータ出力が40%である場合を示している。加湿ヒータ45cがオンのときにヒータ出力(運転率)が変化した場合は、変化した後の運転率でオン時間が判断される。
【0131】
(4)実施形態の効果
実施形態3に係る再加熱カートユニット10によると、加熱運転の温度区分の変更を受け付けるので、従来に比べてメニュー毎に最善の設定で加湿できる可能性が高くなる。
【0132】
再加熱カートユニット10によると、少なくとも2つの温度区分について当該温度区分に対応するヒータ出力の変更を受け付けるので、従来に比べてメニュー毎に最善の設定で加湿できる可能性が高くなる。
【0133】
再加熱カートユニット10によると、蒸らし運転の時間区分の変更を受け付けるので、従来に比べてメニュー毎に最善の設定で加湿できる可能性が高くなる。
【0134】
再加熱カートユニット10によると、少なくとも2つの時間区分について当該時間区分に対応するヒータ出力の変更を受け付けるので、従来に比べてメニュー毎に最善の設定で加湿できる可能性が高くなる。
【0135】
<実施形態4>
実施形態4を図17によって説明する。
前述した実施形態1~3では、保温運転中は加湿装置45が運転されない。これに対し、実施形態4では保温運転中も加湿装置45が運転される。
【0136】
図17を参照して、実施形態4に係る加湿設定テーブル91について説明する。加湿設定テーブル91は、実施形態3に係る加湿設定テーブル90に、保温運転におけるヒータ出力(出力制御情報の一例)を追加したものである。
実施形態4に係る制御部60は、保温運転におけるヒータ出力に基づいて保温運転中の加湿ヒータ45cの出力を制御する(制御処理の一例)。そして、制御部60は、操作部47を介して、保温運転におけるヒータ出力の変更を受け付ける(変更受付処理の一例)。
【0137】
ここで、保温運転には以下の2パターンがある。保温運転中の加湿装置45の運転は以下の2パターンのどちらでも行われる。
パターン1:使用者が操作部47を操作して保温運転を単独で実行させるパターン。
パターン2:スタートボタンが押されてチルド運転、加熱運転、蒸らし運転及び保温運転がこの順で行われるパターン。
【0138】
実施形態4に係る再加熱カートユニット10によると、保温運転中も加湿装置45を運転するので、次のような効果が奏される。
・保温運転中も加湿できるようになったので料理が乾燥し難くなる。
・蒸らし運転の後に蒸気が抜け難くなるので、冷温蔵室R1内の温度の低下が抑制される。
【0139】
再加熱カートユニット10によると、保温運転における加湿装置45のヒータ出力の変更を受け付けるので、メニュー毎に最善の設定で保温できる可能性が高くなる。
【0140】
<実施形態5>
実施形態5を図18ないし図20によって説明する。
加湿装置45を運転すると湯沸かしタンク45a内の水位が低下する。このため、制御部60は加湿装置45の運転中に湯沸かしタンク45aに給水する。実施形態5に係る制御部60は、加湿装置45の運転中の湯沸かしタンク45aへの給水について、以下の2つの制御を行う。
【0141】
[制御1]加湿ヒータ45cのオン時間の合計時間が所定の給水時間間隔(所定時間の一例)に達する毎に上限水位yAまで給水する。例えば加湿ヒータ45cを70%の出力で運転する場合、10秒を1サイクルとすると、加湿ヒータ45cが3秒オフにされ、7秒オンにされる。この場合、このサイクルが10回繰り返されたとすると、加湿ヒータ45cのオン時間の合計時間は70秒となる。
【0142】
[制御2]湯沸かしタンク45a内の水位が下限水位yBまで低下すると上限水位yAまで給水する。
【0143】
(1)制御1のフロー
図18を参照して、上述した制御1のフローについて説明する。制御1のフローは加湿装置45の運転中に繰り返し実行される。
S101では、制御部60は加湿ヒータ45cのオン時間の合計時間をカウントするカウンタの値(すわち加湿ヒータ45cのオン時間の合計時間)が所定の給水時間間隔に達しているか否かを判断し、達している場合はS102に進み、達していない場合は処理を終了する。
【0144】
S102では、制御部60は、湯沸かしタンク45aの水位が上限水位yA未満であるか否かを判断し、上限水位yA未満である場合はS103に進み、上限水位yA未満ではない場合(すなわち上限水位yA以上である場合)はS104に進む。
S103では、制御部60は給水バルブを開いて上限水位yAまで給水する。
S104では、制御部60はカウンタを0にリセットする。
【0145】
(2)制御2のフロー
図19を参照して、上述した制御2のフローについて説明する。制御2のフローも加湿装置45の運転中に繰り返し実行される。
S201では、制御部60は湯沸かしタンク45aの水位が下限水位yB以下であるか否かを判断し、下限水位yB以下である場合はS202に進み、下限水位yBより高い場合は処理を終了する。
【0146】
S202では、制御部60は給水バルブを開いて上限水位yAまで給水する。
S203では、制御部60はカウンタを0にリセットする。カウンタは前述した制御1で用いられるものであり、制御2では用いられないが、カウンタのリセットは制御2でも行われる。
【0147】
(3)制御1及び制御2の具体例
図20を参照して、制御1及び制御2の具体例について説明する。ここでは先ず制御2の具体例について説明する。図20において時点T1は加湿装置45の運転が開始されてからある程度の時間が経過した時点である。この時点でカウンタの値は0より大きい。
時点T2は湯沸かしタンク45aの水位が下限水位yBまで低下した時点である。水位が下限水位yBまで低下すると、前述した制御2のS201で下限水位yB以下であると判断され、給水バルブが開かれる。これにより湯沸かしタンク45aへの給水が開始される。そして、時点T3で水位が上限水位yAに達し、給水バルブが閉じられて給水が停止される(S202)。そして、カウンタが0にリセットされる(S203)。
【0148】
次に、制御1の具体例について説明する。図20に示す例では時点T4でカウンタの値が所定の給水時間間隔に達していると判断される(S101)。時点T4では湯沸かしタンク45aの水位が上限水位yA未満であるので(S102:Yes)、給水バルブが開かれて給水が開始される。図20に示す例では時点T5で湯沸かしタンク45aの水位が上限水位yAに達して給水が停止する(S103)。そして、時点T5においてカウンタが0にリセットされる。
【0149】
(4)実施形態の効果
実施形態5に係る再加熱カートユニット10によると、加湿ヒータ45cに所定の給水時間間隔通電する毎に上限水位yAまで給水する。このため、給水時間間隔を適宜に設定することにより、下限水位yBから上限水位yAまで給水する場合に比べ、1回あたりの給水量を少なくできる。これにより、湯沸かしタンク45aのサイズが小さくても湯沸かしタンク45a内の水温を高温に維持できる。このため、湯沸かしタンク45aを大きくすることによる課題(前述した3つの課題)を抑制できる。
【0150】
再加熱カートユニット10によると、通電時間に基づく給水とは別に、湯沸かしタンク45a内の水位が下限水位yBまで低下したときにも上限水位yAまで給水するので、湯沸かしタンク45a内の水位が下限水位yBより低くなることを抑制できる。
【0151】
<実施形態6>
実施形態6を図21ないし図22によって説明する。
実施形態6に係る制御部60は、所定の条件が成立すると湯沸かしタンク45a内の水を全て排水する。所定の条件は適宜に決定できる。例えば冷温蔵室R1の蒸らし運転が終了する毎(言い換えると加湿装置45による加湿が終了する毎)に湯沸かしタンク45a内の水を全て排水してもよい。この場合、所定の条件は「冷温蔵室R1の蒸らし運転が終了したこと」である。
【0152】
図21を参照して、制御部60が湯沸かしタンク45a内の水を全て排水する処理について説明する。制御部60は、湯沸かしタンク45a内の水を全て排水するとき、湯沸かしタンク45a内の水位が上限水位yAであるか否かを判定し、上限水位yA未満の場合は上限水位yAまで給水する。そして、制御部60は湯沸かしタンク45a内の水位が上限水位yAのときに、排水バルブを開いて湯沸かしタンク45a内の水の排水を開始する(開始処理の一例)。
【0153】
そして、制御部60は、湯沸かしタンク45a内の水位が上限水位yAから下限水位yBまで低下するまでの時間を計測し(計測処理の一例)、計測した時間に基づいて、排水バルブを開いた時から湯沸かしタンク45a内の水が全て排水されるまでの排水時間を予測する(予測処理の一例)。予測処理についての説明は後述する。
そして、制御部60は、排水バルブを開いた時から予測処理で予測した排水時間が経過すると、湯沸かしタンク45a内の水が全て排水されたと見做し、排水バルブを閉じて排水を終了する(終了処理の一例)。
【0154】
(1)予測処理
図21を参照して、上述した予測処理について具体的に説明する。便宜上、ここでは上限水位yAより高いオーバーフロー水位y0のときに排水が開始されるものとして説明する。
湯沸かしタンク45aの内部空間の断面積をS0、排水口の開口面積をμ、重力加速度をgと定義した場合、オーバーフロー水位y0から上限水位yAまでの排水時間xAは以下の式1によって表される。
【数1】
・・・ 式1
【0155】
同様に、オーバーフロー水位y0から下限水位yBまでの排水時間xBは以下の式2によって表される。
【数2】
・・・ 式2
【0156】
このため、上限水位yAから下限水位yBまでの時間(xB-xA)は以下の式3によって表される。
【数3】
・・・ 式3
【0157】
そして、オーバーフロー水位y0から全て排水されるまで(言い換えると水位が0になるまで)の時間x0は以下の式4によって表される。
【数4】
・・・ 式4
【0158】
ここで、式3は以下の式5のように変形できる。
【数5】
・・・ 式5
【0159】
このため、式4に式5を代入することにより、以下の式6のように変形できる。
【数6】
・・・ 式6
【0160】
ここで、前述したように湯沸かしタンク45a内の水の排水は上限水位yAのときに開始される。このためy0=yAとなる。式6のy0にyAを代入すると、上限水位yAから全て排水されるまでの時間x0は以下の式7によって表される。
【数7】
・・・ 式7
【0161】
上限水位yA及び下限水位yBは既知であるので、上限水位yAから下限水位yBまで排水されるのに要する時間(xB-xA)を計測すれば、排水バルブを開いた時から湯沸かしタンク45a内の水が全て排水されるまでの時間x0を予測できる。
【0162】
(2)湯沸かしタンク内の水を全て排水する処理のフロー
図22を参照して、湯沸かしタンク45a内の水を全て排水する処理のフローについて説明する。本処理は前述した所定の条件が成立すると開始される。
【0163】
S301では、制御部60は湯沸かしタンク45a内の水位が上限水位yAであるか否か(すなわちフロート上接点88が閉であるか否か)を判定し、上限水位yA未満である場合はS302に進み、上限水位yAである場合はS303に進む。
S302では、制御部60は給水バルブを開いて上限水位yAまで給水する。
S303では、制御部60は排水バルブを開いて排水を開始する。
【0164】
S304では、制御部60は排水時間をカウントするタイマをスタートする。
S305では、制御部60は湯沸かしタンク45a内の水位が下限水位yBまで低下したか否か(すなわちフロート下接点89が開であるか否か)を判断し、下限水位yBまで低下した場合はS306に進む。制御部60は、下限水位yBまで低下していない場合は所定時間(例えば1秒)が経過した後に再度S305を実行する。
【0165】
S306では、制御部60は水位が上限水位yAから下限水位yBまで低下するまでの時間(=xB-xA)を式7に代入することにより、排水時間を予測する。
S307では、制御部60はS303で排水を開始したときからS306で予測した排水時間が経過したか否かを判定し、経過している場合はS308に進む。制御部60は、経過していない場合は所定時間(例えば1秒)が経過した後に再度S307を実行する。
S308では、制御部60は、湯沸かしタンク45a内の水が全て排水されたと見做し、排水バルブを閉じて排水を終了する。
【0166】
(3)実施形態の効果
実施形態6に係る再加熱カートユニット10によると、上限水位yAから下限水位yBまで低下するまでの時間に基づいて排水時間を予測するので、流量センサを用いなくても、湯沸かしタンク45a内の水が全て排水されたタイミングを精度よく知ることができる。このため以下のような効果が奏される。
【0167】
・流量センサを用いることによるコストの増加を抑制できる。
・湯沸かしタンク45a内の水が全て排水される前に排水経路81が閉じられて湯沸かしタンク45a内に水が残ることを抑制できる。
・湯沸かしタンク45a内の水が全て排水されてから排水経路81が閉じられるまでの時間が無駄に長くなることを抑制できる。このため、湯沸かしタンク45a内の水が全て排水された後に速やかに次の動作に移行できる。
・設置先毎に上限水位yAから下限水位yBまで低下するまでの時間が計測されるので、設計者は設置先の排水環境を考慮しなくてよい。このため設計者の負担が軽減される。
・設置後徐々に排水時間が長くなった場合、配管へのスケール(水中に溶けている無機塩類が析出した物質)の付着によるものであると推測できるので、使用者に配管の清掃を促すことができる。
【0168】
再加熱カートユニット10によると、湯沸かしタンク45a内の水位が上限水位yA未満のときでも、上限水位yAまで給水してから排水を開始することにより、排水時間を予測できる。
【0169】
<関連技術1>
関連技術1を図7によって説明する。
湯沸かしタンク45aで生成された蒸気は、本来の目的である冷温蔵室R1に供給されるだけでなく、オーバーフロー排水経路82を介して排水経路81にも流れていく可能性がある。このため、従来はオーバーフロー排水経路82にU字状のトラップ部82cを設け、トラップ部82cに水を貯めておくことで、蒸気がオーバーフロー排水経路82から排水経路81を介して外に流れていくことを防いでいた。
【0170】
しかしながら、従来は、再加熱カートユニット10の設置時にオーバーフロー排水経路82を分解して直接トラップ部82cに水を流し込むか、何回か運転することでトラップ部82cを通過した蒸気などが凝縮した水でトラップ部82c内を満たしていた。このため次のような課題があった。
・再加熱カートユニット10の設置時に一部分解する必要がある。
・再加熱カートユニット10の排水経路81から施設の排水設備へと高温の蒸気が流れ込む影響で結露が発生し、排水設備周辺でカビが発生する可能性がある。
【0171】
関連技術1は、上記の課題を解決するために、加熱運転前の湯沸かしタンク45aへの給水制御を追加したものである。
【0172】
(1)加熱運転前の湯沸かしタンクへの給水制御
加熱運転前の湯沸かしタンク45aへの給水制御は、加熱運転前に湯沸かしタンク45aをオーバーフローさせてオーバーフロー排水経路82のトラップ部82cに水を貯める制御である。この制御は以下の2つの条件が成立すると開始される。
・加湿制御がオンであり、且つ、加熱開始時刻までの時間が30分以下のとき。
・加湿設定(温度、出力)が未設定の場合は開始しない。
【0173】
加熱運転前の湯沸かしタンク45aへの給水制御では、制御部60は以下の2つの動作を行わせる。
[1]給水経路80を開いて給水を開始する。
[2]水位センサ45gによって上限水位yAが検知された時から1.3L通水したら給水を終了する。例えば、給水経路80の単位時間当たりの流量が記憶部60Cに記憶されており、制御部60は1.3L通水するのに必要な時間を単位時間当たりの流量から判断する。制御部60は給水経路80を開いたときから当該時間が経過すると、1.3L通水したと見做して給水経路80を閉じる。
【0174】
上限水位yAが検知された時からの給水量の内訳について説明する。
・上限水位yAからオーバーフロー水位y0までの水量=0.96L
・トラップ部82cの容量=30mL
上記の内訳から、必要な給水量は0.99Lとなる。しかしながら、関連技術1ではトラップ部82cに確実に水を貯めるために多めに給水される。具体的には、制御部60は安全率を1.3として、1.3L(=0.99L×1.3)通水する。
【0175】
ここで、前述したように制御部60は加湿運転中に湯沸かしタンク45aに給水する。加熱運転前の湯沸かしタンク45aへの給水制御は加湿運転中の給水とは別の制御であり、加熱運転前(言い換えると加湿運転前)にのみ行われる。
【0176】
(2)関連技術の効果
関連技術1に係る再加熱カートユニット10によると、加熱運転前(言い換えると加湿運転前)にオーバーフロー排水経路82に水が流れるまで給水することでオーバーフロー排水経路82のトラップ部82cに水を貯めることができるようにしたので、以下のような効果が奏される。
・加湿装置45によって生成した蒸気が排水経路81に流れていくことを抑制できる。これにより排水経路81からの蒸気漏れが抑制され、周辺のカビ発生リスクを軽減できる。
・蒸気を再加熱カートユニット10の庫内にのみ供給する仕組みを整えることで、庫内湿度の安定性を確保できる。
【0177】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0178】
(1)上記実施形態では貯蔵庫として再加熱カートユニット10を例示したが、貯蔵庫は貯蔵室内を加湿する加湿装置45を備えるものであれば再加熱カートユニット10に限定されない。例えば、再加熱カートユニット10は冷蔵室と冷温蔵室R1とを備えているが、貯蔵庫は冷蔵室を備えていなくてもよい。
【0179】
(2)上記実施形態では貯蔵庫がヒータ54及び冷却装置を備えている場合を例示したが、貯蔵庫は冷却装置を備えていなくてもよい。すなわち、貯蔵庫は貯蔵室内を加熱する一方、冷却はしないものであってもよい。
【0180】
(3)上記実施形態では貯蔵庫としてヒータ54と加湿装置45とを備えている場合を例示したが、貯蔵庫はヒータ54を備えていなくてもよい。すなわち、貯蔵庫は貯蔵室内を加湿するだけのものであってもよい。
【0181】
(4)上記実施形態1では加湿開始時刻(言い換えると加熱開始時刻)の30分前になると湯沸かしタンク45aに給水し、給水が終了してから排水を開始する場合を例示した。これに対し、給水は行わずに排水を開始してもよい。この場合は加湿開始時刻の30分前になると直ちに排水を開始してもよい。
【0182】
(5)上記実施形態1では湯沸かしタンク45aへの給水が終了したときの水温が60℃より高い場合は排水しない場合を例示した。これに対し、湯沸かしタンク45aへの給水が終了した後、湯沸かしタンク45a内の水温の高低によらず排水してもよい。
【0183】
(6)上記実施形態3では温度区分の変更、及び、少なくとも2つの温度区分について当該温度区分に対応付けられているヒータ出力の変更の両方を受け付ける場合を例示した。これに対し、温度区分の変更だけを受け付けてもよいし、少なくとも2つの温度区分について当該温度区分に対応付けられているヒータ出力の変更だけを受け付けてもよい。
同様に、上記実施形態3では時間区分の変更、及び、少なくとも二つの時間区分について当該時間区分に対応付けられているヒータ出力の変更の両方を受け付ける場合を例示した。これに対し、時間区分の変更だけを受け付けてもよいし、少なくとも2つの時間区分について当該時間区分に対応付けられているヒータ出力の変更だけを受け付けてもよい。
【0184】
(7)上記実施形態5では、湯沸かしタンク45a内の水位が下限水位yBまで低下した場合にも上限水位yAまで給水する場合を例示した(制御2)。これに対し、制御2は行わなくてもよい。
【符号の説明】
【0185】
10: 再加熱カートユニット(貯蔵庫の一例)
45: 加湿装置
45a: 湯沸かしタンク(タンクの一例)
45c: 加湿ヒータ
45d: 給水側開閉部
45e: 排水側開閉部
45f: 水温センサ
45g: 水位センサ
47: 操作部
54: ヒータ(加熱装置の一例)
60: 制御部
60C: 記憶部
71A: 庫内サーミスタ(庫内温度センサの一例)
80: 給水経路
81: 排水経路
R1: 冷温蔵室(貯蔵室の一例)
yA: 上限水位
yB: 下限水位
図1
図2
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図5
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