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  • 特開-熱交換器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154908
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/22 20060101AFI20241024BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F28F9/22
F28D1/053 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069126
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】益田 大治郎
(72)【発明者】
【氏名】出口 明仁
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065DA12
3L065DA13
3L065DA14
3L103AA17
3L103BB37
3L103CC02
3L103CC22
(57)【要約】
【課題】熱交換器を大型化することなく流路損失を抑えて冷却性能を向上させる。
【解決手段】熱交換器(10)には、複数のチューブ(21)を並列に設置した熱交換コア(11)と、複数のチューブの両端に連なる一対のサイドタンク(12、13)と、が設けられている。複数のチューブ内の流れ方向と一対のサイドタンク内の流れ方向が交差している。複数のチューブの出口及び入口の少なくとも一方には複数のガイド(43、46)が設けられている。複数のチューブの出口のガイドによってチューブからサイドタンクへ冷却水の流れが整流され、複数のチューブの入口のガイドによってサイドタンクからチューブへ冷却水の流れが整流されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチューブを並列に設置した熱交換コアと、前記複数のチューブの両端に連なる一対のサイドタンクと、を備えた熱交換器であって、
前記複数のチューブ内の流れ方向と前記一対のサイドタンク内の流れ方向が交差し、
前記複数のチューブの出口及び入口の少なくとも一方には複数のガイドが設けられ、
前記複数のチューブの出口のガイドによって前記チューブから前記サイドタンクへ冷却水の流れが整流され、前記複数のチューブの入口のガイドによって前記サイドタンクから前記チューブへ冷却水の流れが整流されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記複数のチューブの出口及び入口のガイドの先端側が、前記複数のチューブの中心線を遮るように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記複数のチューブの流れ方向から見たときに、前記複数のチューブの出口及び入口のガイドが、当該チューブの出口及び入口を覆っていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記複数のチューブの出口及び入口から前記複数のガイドの先端までの間隔が同じであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記複数のチューブの出口のガイドの先端側が、前記複数のチューブの中心線を遮り、前記サイドタンク内の流れ方向の下流に向けて前記チューブの出口から離れるように傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記複数のチューブの入口のガイドの先端側が、前記複数のチューブの中心線を遮り、前記サイドタンク内の流れ方向の下流に向けて前記チューブの入口に近づくように傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記一対のサイドタンクは、冷却水が出入りする出入口タンクと冷却水が折り返す折返しタンクであり、
前記折返しタンク内に前記複数のチューブの出口及び入口のガイドが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器として、多数のチューブと多数のフィンから成る熱交換コアと、多数のチューブの両端に連なる左右一対のサイドタンクと、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。熱交換器の上流側には駆動源となるポンプが設けられており、ポンプによって熱交換器の一方のサイドタンクに向けて冷却水が送り込まれている。一方のサイドタンクから多数のチューブを通って他方のサイドタンクに冷却水が流れており、多数のチューブを通過する間に冷却水の熱が多数のフィンを介して空気中に放熱されて冷却水の温度が下げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-283692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、チューブの出入口では流路面積の変化や流れの向きの変化によって乱流が発生し易くなっている。乱流の発生によって流路損失が大きくなることで、ポンプの駆動効率が低下して冷却性能が悪化すると共にメカニカルロスが大きくなる。サイドタンクを大きくすることで流路損失が緩和されるが、熱交換器が大型化するという不具合がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、大型化することなく流路損失を抑えて冷却性能を向上させることができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の熱交換器は、複数のチューブを並列に設置した熱交換コアと、前記複数のチューブの両端に連なる一対のサイドタンクと、を備えた熱交換器であって、前記複数のチューブ内の流れ方向と前記一対のサイドタンク内の流れ方向が交差し、前記複数のチューブの出口及び入口の少なくとも一方には複数のガイドが設けられ、前記複数のチューブの出口のガイドによって前記チューブから前記サイドタンクへ冷却水の流れが整流され、前記複数のチューブの入口のガイドによって前記サイドタンクから前記チューブへ冷却水の流れが整流されていることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の熱交換器によれば、複数のチューブの出口から流出する冷却水や、複数のチューブの入口に流入する冷却水がガイドによって整流されることで複数のチューブの出口付近や入口付近での乱流の発生が抑えられる。流路損失が低減されることで熱交換器の冷却性能やメカニカルロスが改善される。流路損失の緩和のためにサイドタンクを大きくする必要もないため、熱交換器の大型化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例の熱交換器の背面図である。
図2】本実施例の熱交換器の半断面図である。
図3】本実施例のガイドの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の熱交換器の熱交換コアは複数のチューブが並列に設置されており、複数のチューブの両端には一対のサイドタンクが連なっている。複数のチューブ内の流れ方向と一対のサイドタンク内の流れ方向が交差しており、複数のチューブの出口及び入口の少なくとも一方には複数のガイドが設けられている。複数のチューブの出口のガイドによってチューブからサイドタンクへ冷却水の流れが整流されて出口付近での乱流の発生が抑えられ、複数のチューブの入口のガイドによってサイドタンクからチューブへ冷却水の流れが整流されて入口付近での乱流の発生が抑えられる。流路損失が低減されることで熱交換器の冷却性能やメカニカルロスが改善される。流路損失の緩和のためにサイドタンクを大きくする必要もないため、熱交換器の大型化を抑えることができる。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例の熱交換器について説明する。図1は本実施例の熱交換器の背面図である。また、以下の図では、矢印Lは左方、矢印Rは右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、熱交換器10は一方から他方に冷却水を流した後、他方から一方に冷却水を折り返させるターンフロータイプになっている。熱交換器10は、矩形板状の熱交換コア11と、一対のサイドタンクとして出入口タンク12及び折返しタンク13と、を備えている。熱交換コア11は複数のチューブ21と複数の冷却フィン24を交互に積層して形成され、一対のインサート14によって熱交換コア11が上下方向から挟み込まれている。熱交換コア11の左側面にはプレート15を介して出入口タンク12が取り付けられ、熱交換コア11の右側面にはプレート15を介して折返しタンク13が取り付けられている。
【0012】
熱交換コア11には複数のチューブ21が並列に設置されており、各チューブ21の断面は前後方向(紙面に垂直な方向)に細長い長円状に形成されている。複数のチューブ21は左右方向に延びており、複数のチューブ21の両端には出入口タンク12及び折返しタンク13が連なっている。出入口タンク12は熱交換コア11の左側面に沿って上下に延びており、出入口タンク12に設けられた窪み31によってタンク内が上下に仕切られている。出入口タンク12の上半部は入口パイプ33が設けられたインレットタンク32になっており、出入口タンク12の下半部は出口パイプ35が設けられたアウトレットタンク34になっている。
【0013】
入口パイプ33にはインレットホース(不図示)を介してエンジンが接続され、エンジンからインレットタンク32に冷却水が送り込まれている。出口パイプ35にはアウトレットホース(不図示)を介してエンジンが接続され、アウトレットタンク34からエンジンに冷却水が送り出されている。インレットタンク32の上部にはネックフィラ37が設けられ、ネックフィラ37には加圧キャップ38が装着されている。折返しタンク13は熱交換コア11の右側面に沿って上下に延びており、折返しタンク13の上半部には熱交換コア11から冷却水が流入し、折返しタンク13の下半部から熱交換コア11に冷却水が流出する。
【0014】
熱交換器10では、インレットタンク32から折返しタンク13の上半部に向けて冷却水が流れ、熱交換コア11の上側のチューブ21を冷却水が通過する間に、冷却水の熱が複数の冷却フィン24から空気中に放熱される。また、折返しタンク13の下半部からアウトレットタンク34に向けて冷却水が流れ、熱交換コア11の下側のチューブ21を冷却水が通過する間に、冷却水の熱が複数の冷却フィン24から空気中にさらに放熱される。インレットタンク32から折返しタンク13に向かう際、折返しタンク13からアウトレットタンク34に折り返す際に、冷却水が2段階で放熱されて冷却効率が向上されている。
【0015】
このような熱交換器10では、熱交換コア11の複数のチューブ21の細い空間から折返しタンク13の広い空間に冷却水が流れ込むと共に、チューブ21内の流れ方向と折返しタンク13内の流れ方向が略直交している。このため、折返しタンク13内のチューブ21の出口や入口では乱流が発生し易くなり、乱流によって流路損失が大きくなることでポンプの駆動効率が低下して冷却性能が悪化すると共にメカニカルロスが大きくなる。そこで、本実施例の熱交換器10では、折返しタンク13内に第1、第2のガイド43、46(図2参照)が設けられて、第1、第2のガイド43、46によって複数のチューブ21の出入口付近の冷却水が整流されている。
【0016】
図2及び図3を参照して、本実施例の熱交換器のガイドについて説明する。図2は本実施例の熱交換器の半断面図である。図3は本実施例のガイドの拡大図である。なお、図3(A)は第1のガイドの拡大図、図3(B)は第2のガイドの拡大図をそれぞれ示している。
【0017】
図2に示すように、熱交換器10の出入口タンク12はインレットタンク32とアウトレットタンク34に分かれている。インレットタンク32は後方に向かって上下間隔を狭めるように膨出し、インレットタンク32の膨出部分に入口パイプ33が設けられている。アウトレットタンク34は後斜め下方に向かって上下間隔を狭めるように膨出し、アウトレットタンク34の膨出部分に出口パイプ35が設けられている。インレットタンク32内には熱交換コア11への入口となるチューブ21の左端が突き出しており(不図示)、アウトレットタンク34内には熱交換コア11からの出口となるチューブ21の左端が突き出している(不図示)。
【0018】
インレットタンク32には熱交換コア11を挟んで折返しタンク13の上半部が対向しており、アウトレットタンク34には熱交換コア11を挟んで折返しタンク13の下半部が対向している。折返しタンク13の上半部の右側面41は下方に向かって熱交換コア11から離れるように傾斜しており、折返しタンク13の下半部の右側面41は下方に向かって熱交換コア11に近づくように傾斜している。折返しタンク13の上半部内には熱交換コア11からの出口となるチューブ21の右端が突き出しており、折返しタンク13の下半部内には熱交換コア11への入口となるチューブ21の右端が突き出している。
【0019】
折返しタンク13の上半部内には各チューブ21の出口付近に第1のガイド43が設けられており、折返しタンク13の下半部内には各チューブ21の入口23付近に複数の第2のガイド46が設けられている。第1のガイド43によって各チューブ21から折返しタンク13へ冷却水の流れが整流され、第2のガイド46によって折返しタンク13から各チューブ21への冷却水の流れが整流される。折返しタンク13内に第1、第2のガイド43、46が設けられることで、チューブ21から流出する冷却水の流れとチューブ21へ流入する冷却水の流れが折返しタンク13内に混在しても乱流の発生が効果的に抑えられる。
【0020】
図3(A)に示すように、第1のガイド43は各チューブ21の出口22の上方に設けられている。第1のガイド43はプレート15から右斜め下方に突き出た断面視略三角形状に形成されている。第1のガイド43の底壁44は各チューブ21の出口22の上縁から右方に突き出し、底壁44の先端側が右斜め下方に向かって湾曲している。第1のガイド43の斜壁45は、各チューブ21の1つ上のチューブ21の出口22の下縁から右斜め下方に突き出して底壁44の先端側に連なっている。各チューブ21の流れ方向から見たときに、第1のガイド43の底壁44の先端側に各チューブ21の出口22が覆われて出口22付近の冷却水の流れが効果的に整流される。
【0021】
第1のガイド43の底壁44の先端側は、各チューブ21の中心線Cを遮り、下方(折返しタンク13の流れ方向の下流)に向けてチューブ21の出口22から離れるように傾斜している。第1のガイド43の底壁44の先端側は1つ下の第1のガイド43の斜壁45の基端側に対向している。第1のガイド43の底壁44によってチューブ21の出口22から流出した冷却水が上側から整流され、1つ下の第1のガイド43の斜壁45によってチューブ21の出口22から流出した冷却水が下側から整流される。これにより、各チューブ21の出口22付近での乱流の発生が抑えられ、折返しタンク13内の冷却水の流れが整流されて流路損失が低減される。
【0022】
図3(B)に示すように、第2のガイド46は各チューブ21の入口23の下方に設けられている。第2のガイド46はプレート15から右斜め上方に突き出た断面視略三角形状に形成されている。第2のガイド46の上壁47は各チューブ21の入口23の下縁から右方に突き出し、上壁47の先端側が右斜め上方に向かって湾曲している。第2のガイド46の斜壁48は、各チューブ21の1つ下のチューブ21の入口23の上縁から右斜め上方に突き出して上壁47の先端側に連なっている。各チューブ21の流れ方向から見たときに、第2のガイド46の上壁47の先端側に各チューブ21の入口23が覆われて入口23付近の冷却水の流れが効果的に整流される。
【0023】
第2のガイド46の上壁47の先端側は、各チューブ21の中心線Cを遮り、下方(折返しタンク13の流れ方向の下流)に向けてチューブ21の入口23に近づくように傾斜している。第2のガイド46の上壁47の先端側は1つ上の第2のガイド46の斜壁48の基端側に対向している。第1のガイド43の上壁47によってチューブ21の入口23に流入する冷却水が下側から整流され、1つ上の第1のガイド43の斜壁48によってチューブ21の入口23に流入する冷却水が上側から整流される。これにより、各チューブ21の入口23付近での乱流の発生が抑えられ、折返しタンク13内の冷却水の流れが整流されて流路損失が低減される。
【0024】
図3(A)、(B)に示すように、折返しタンク13の上半部にて各チューブ21の出口22から各第1のガイド43の先端までの間隔が略同じに形成されている。折返しタンク13の下半部にて各チューブ21の入口23から各第2のガイド46の先端までの間隔が略同じに形成されている。さらに、各チューブ21の出口22から各第1のガイド43の先端までの間隔と各チューブ21の入口23から各第2のガイド46の先端までの間隔が略同じである。折返しタンク13内で第1、第2のガイド43、46の突出量が揃うことで、第1、第2のガイド43、46を設けたことによって折返しタンク13内の冷却水の流れが乱されることが抑えられる。
【0025】
続いて、熱交換器10内の冷却水の流れについて説明する。図2に示すように、エンジンのウォータポンプ50が駆動することで、エンジンから入口パイプ33を通じてインレットタンク32に冷却水が送り込まれる。インレットタンク32から熱交換コア11の上半部の各チューブ21に冷却水が流れ込み、各チューブ21を通じてインレットタンク32から折返しタンク13の上半部に向けて冷却水が流れる。冷却水の熱が各チューブ21から各冷却フィン24に伝えられて空気中に放熱され、各チューブ21から折返しタンク13の上半部に温度が低下した冷却水が流れ込む。
【0026】
図3(A)に示すように、折返しタンク13の上半部では各チューブ21の出口22から冷却水が流出し、出口22上側の第1のガイド43の底壁44と出口22下側の第1のガイド43の斜壁45の間を通って冷却水の流れの向きが右斜め下方向にスムーズに変更される。各チューブ21内の流れ方向と折返しタンク13内の流れ方向が交差していても、第1のガイド43によって冷却水の流れが整流されて、各チューブ21の出口22付近での乱流の発生が抑えられて流路損失が低減される。冷却水が第1のガイド43を通過すると、折返しタンク13の上半部から下半部に向けて冷却水が流れる。
【0027】
図3(B)に示すように、折返しタンク13の下半部では各チューブ21の入口23に向けて冷却水が流れる。入口23下側の第2のガイド46の上壁47と入口23上側の第2のガイド46の斜壁48の間を通って冷却水の流れの向きが左方向にスムーズに変更される。折返しタンク13内の流れ方向と各チューブ21内の流れ方向が交差していても、第2のガイド46によって冷却水の流れが整流されて、各チューブ21の入口23付近での乱流の発生が抑えられて流路損失が低減される。冷却水が第2のガイド46を通過すると、折返しタンク13の下半部から各チューブ21の入口23に冷却水が流入する。
【0028】
図2に示すように、折返しタンク13の下半部から各チューブ21に冷却水が流れ込み、各チューブ21を通じて折返しタンク13の下半部からアウトレットタンク34に向けて冷却水が流れる。冷却水の熱が各チューブ21から各冷却フィン24に伝えられて空気中に放熱され、各チューブ21からアウトレットタンク34にさらに温度が低下した冷却水が流れ込む。アウトレットタンク34から出口パイプ35に向けて冷却水が流れ、出口パイプ35からエンジンに冷却水が戻される。熱交換器10の流路損失が低減されることで、ウォータポンプ50の駆動効率が向上されている。
【0029】
以上、本実施例の熱交換器10によれば、複数のチューブ21の出口22から流出する冷却水や、複数のチューブ21の入口23に流入する冷却水が第1、第2のガイド43、46によって整流されることで複数のチューブ21の出口22付近や入口23付近での乱流の発生が抑えられる。流路損失が低減されることで熱交換器10の冷却性能やメカニカルロスが改善される。流路損失の緩和のために折返しタンク13を大きくする必要もないため、熱交換器10の大型化を抑えることができる。
【0030】
なお、本実施例においては、折返しタンク内の複数のチューブの出口及び入口に複数のガイドが設けられたが、熱交換器には複数のチューブの出口及び入口の少なくとも一方に複数のガイドが設けられていればよい。このため、折返しタンク内の複数のチューブの出口にのみ複数のガイドが設けられてもよいし、折返しタンク内の複数のチューブの入口にのみ複数のガイドが設けられてもよい。また、インレットタンク内の複数のチューブの入口にも複数のガイドが設けられてもよいし、アウトレットタンク内の複数のチューブの出口にも複数のガイドが設けられてもよい。
【0031】
また、本実施例においては、複数のガイドの先端側によってチューブの出口及び入口が全体的に覆われているが、複数のガイドの先端側によってチューブの出口及び入口が部分的に覆われていてもよい。
【0032】
また、本実施例においては、複数のガイドが折返しタンクと一体に設けられているが、複数のガイドがプレートと一体に設けられていてもよい。
【0033】
また、本実施例においては、ターンフロータイプの熱交換器に複数のガイドが設けられたが、ダウンフロータイプの熱交換器やクロスフロータイプの熱交換器に複数のガイドが設けられていてもよい。クロスフロータイプの熱交換器の場合には、複数のチューブの入口で冷却水の流れを整流する複数のガイドがインレットタンクに設けられ、複数のチューブの出口で冷却水の流れを整流する複数のガイドがアウトレットタンクに設けられる。
【0034】
また、本実施例においては、複数のガイドが断面視略三角形状に形成されているが、複数のガイドはチューブから折返しタンクへ冷却水の流れを整流可能又は折返しタンクからチューブへの冷却水の流れを整流可能に形成されていればよい。例えば、複数のガイドがルーバー状に形成されていてもよい。
【0035】
また、本実施例においては、複数のチューブ内の流れ方向と折返しタンクの流れ方向が略直交しているが、複数のチューブ内の流れ方向と折返しタンクの流れ方向が交差していればよく、複数のチューブ内の流れ方向と折返しタンクの流れ方向の交差角度は直交に限定されない。
【0036】
また、本実施例の熱交換器は、自動二輪車、自動四輪車、ATV(A11 Terrain Vehicle)や水上バイク等の乗り物に採用されてもよいし、冷却水を用いる他の機械に採用されてもよい。
【0037】
以上の通り、第1態様は、複数のチューブ(21)を並列に設置した熱交換コア(11)と、複数のチューブの両端に連なる一対のサイドタンク(出入口タンク12、折返しタンク13)と、を備えた熱交換器(10)であって、複数のチューブ内の流れ方向と一対のサイドタンク内の流れ方向が交差し、複数のチューブの出口(22)及び入口(23)の少なくとも一方には複数のガイド(第1、第2のガイド43、46)が設けられ、複数のチューブの出口のガイドによってチューブからサイドタンクへ冷却水の流れが整流され、複数のチューブの入口のガイドによってサイドタンクからチューブへ冷却水の流れが整流されている。この構成によれば、複数のチューブの出口から流出する冷却水や、複数のチューブの入口に流入する冷却水がガイドによって整流されることで複数のチューブの出口付近や入口付近での乱流の発生が抑えられる。流路損失が低減されることで熱交換器の冷却性能やメカニカルロスが改善される。流路損失の緩和のためにサイドタンクを大きくする必要もないため、熱交換器の大型化を抑えることができる。
【0038】
第2態様は、第1態様において、複数のチューブの出口及び入口のガイドの先端側が、複数のチューブの中心線(C)を遮るように傾斜している。この構成によれば、ガイドによって冷却水がスムーズに整流されて、複数のチューブの出入口付近での乱流の発生が抑えられる。
【0039】
第3態様は、第1態様及び第2態様において、複数のチューブの流れ方向から見たときに、複数のチューブの出口及び入口のガイドが、当該チューブの出口及び入口を覆っている。この構成によれば、複数のチューブの出入口付近で冷却水の流れがより効果的に整流されて乱流の発生が抑えられる。
【0040】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1態様において、複数のチューブの出口及び入口から複数のガイドの先端までの間隔が同じである。この構成によれば、複数のガイドを設けたことによって、サイドタンク内の冷却水の流れが乱されることが抑えられる。
【0041】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1態様において、複数のチューブの出口のガイドの先端側が、複数のチューブの中心線を遮り、サイドタンク内の流れ方向の下流に向けてチューブの出口から離れるように傾斜している。この構成によれば、チューブの出口付近での乱流の発生が抑えられ、サイドタンク内の冷却水の流れを整流して流路損失が低減される。
【0042】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1態様において、複数のチューブの入口のガイドの先端側が、複数のチューブの中心線を遮り、サイドタンク内の流れ方向の下流に向けてチューブの入口に近づくように傾斜している。この構成によれば、チューブの入口付近での乱流の発生が抑えられ、流路損失が低減させつつチューブ内にスムーズに冷却水が導かれる。
【0043】
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1態様において、一対のサイドタンクは、冷却水が出入りする出入口タンクと冷却水が折り返す折返しタンクであり、折返しタンク内に複数のチューブの出口及び入口のガイドが設けられている。この構成によれば、複数のチューブからの流れと複数のチューブへの流れが折返しタンク内に混在しても乱流の発生が効果的に抑えられる。
【0044】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0045】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0046】
10:熱交換器
11:熱交換コア
12:出入口タンク(サイドタンク)
13:折返しタンク(サイドタンク)
21:チューブ
22:チューブの出口
23:チューブの入口
43:第1のガイド(ガイド)
46:第2のガイド(ガイド)
図1
図2
図3