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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154917
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/38 20200101AFI20241024BHJP
   D06F 58/34 20200101ALI20241024BHJP
   D06F 34/28 20200101ALI20241024BHJP
   D06F 103/32 20200101ALN20241024BHJP
   D06F 103/42 20200101ALN20241024BHJP
   D06F 103/52 20200101ALN20241024BHJP
   D06F 105/28 20200101ALN20241024BHJP
【FI】
D06F58/38
D06F58/34
D06F34/28
D06F103:32
D06F103:42
D06F103:52
D06F105:28
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069141
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】中村 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】柴山 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】大脇 将太
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA24
3B167AB24
3B167AB29
3B167AE04
3B167AE07
3B167AE12
3B167BA13
3B167BA38
3B167BA40
3B167BA83
3B167HA56
3B167KA32
3B167KA82
3B167LA24
3B167LA36
3B167LC02
3B167LC14
(57)【要約】
【課題】異常停止の頻度を低下させ、ユーザの利便性を向上させることができる乾燥装置を提供する。
【解決手段】乾燥装置1において、制御部3は、燃料ガスの供給量を第1流量FR1としてバーナ50による燃焼を開始した後、給気温度が第1時間T1未満で第1温度SH2まで上昇する第1状態であるか否かを判断する第1判断ステップS110~S119を実行する。制御部3は第1状態であると判断した場合、供給量を第1流量FR1よりも少ない第2流量FR2に変更し、給気温度が低下する程度に基づいて、乾燥室81からの混合ガスの排出に異常がある閉塞異常であるか否かを判断する第2判断ステップS120~S128を実行する。制御部3は閉塞異常であると判断した場合、報知ステップS130及び停止ステップS131、の少なくとも一方を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを供給する燃料供給装置と、
空気を取り入れて前記燃料供給装置から供給される前記燃料ガスを燃焼させ、燃焼排気と空気とが混合した高温の混合ガスを生成するバーナと、
被乾燥物を収容する乾燥室と、
前記バーナから前記乾燥室に前記混合ガスを案内する給気通路と、
前記乾燥室に前記混合ガスを供給する送風ファンと、
前記乾燥室から前記混合ガスを排出する排気通路と、
前記給気通路内で前記混合ガスの給気温度を測定する温度測定装置と、
前記燃料供給装置、前記バーナ及び前記送風ファンを制御するとともに、前記温度測定装置が測定する前記給気温度を取得する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記燃料ガスの供給量を第1流量として前記バーナによる燃焼を開始した後、前記給気温度が第1時間未満で第1温度まで上昇する第1状態であるか否かを判断する第1判断ステップを実行し、
前記制御部は、前記第1状態であると判断した場合、前記供給量を前記第1流量よりも少ない第2流量に変更し、前記給気温度が低下する程度に基づいて、前記乾燥室からの前記混合ガスの排出に異常がある閉塞異常であるか否かを判断する第2判断ステップを実行し、
前記制御部は、前記閉塞異常であると判断した場合、前記閉塞異常を報知する報知ステップ、及び、前記燃料供給装置と前記バーナとを停止させる停止ステップ、の少なくとも一方を実行するように構成されていることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1判断ステップにおいて前記給気温度の上昇勾配を測定し、前記上昇勾配が異常判定値以上である場合、前記閉塞異常であると判断して前記第1判断ステップを終了し、前記第2判断ステップを実行することなく、前記報知ステップ及び前記停止ステップの少なくとも一方を実行する請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1判断ステップにおいて前記給気温度の上昇勾配を測定し、前記上昇勾配が正常判定値以下である場合、前記閉塞異常ではないと判断して前記第1判断ステップを終了し、前記第2判断ステップを実行しない請求項1又は2記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の乾燥装置の一例であるガス衣類乾燥機が開示されている。このガス衣類乾燥機は、ガスバーナ、ドラム、温風路、ファン、排気口、温度検出センサ及び制御部を備えている。
【0003】
ガスバーナは、空気を取り入れて外部から供給される燃料ガスを燃焼させ、燃焼排気と空気とが混合した高温の混合ガスを生成する。ドラムは、衣類を収容する。温風路は、ガスバーナからドラムに混合ガスを案内する。
【0004】
ファンは、ドラムに混合ガスを供給する。ファンのドラム側には、フィルタが設けられている。排気口は、ドラムから混合ガスを排出する。温度検出センサは、温風路内で混合ガスの給気温度を測定する。制御部は、ガスバーナ及びファンを制御するとともに、温度検出センサが測定する給気温度を取得する。
【0005】
制御部は、ガスバーナによる燃焼を開始した後、一定時間内の給気温度の上昇勾配を監視回路で演算し、この上昇勾配が設定値を超えた場合に、フィルタの閉塞異常を判断し、報知回路を駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-319899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のガス衣類乾燥機のような従来の乾燥装置では、燃焼開始後の給気温度が急激に上昇し易い。このため、給気温度の上昇勾配の設定値に対する大小関係に基づいて閉塞異常を判断する場合、閉塞異常であるにもかかわらず閉塞異常ではないと誤判断することを抑制するために、設定値を低めに設定する必要がある。
【0008】
しかしながら、この場合、閉塞異常でないにもかかわらず閉塞異常であると誤判断し易くなる。その結果、この乾燥装置は、異常停止の頻度を低下させ難く、ユーザの利便性を向上させることが難しい。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、異常停止の頻度を低下させ、ユーザの利便性を向上させることができる乾燥装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の乾燥装置は、燃料ガスを供給する燃料供給装置と、
空気を取り入れて前記燃料供給装置から供給される前記燃料ガスを燃焼させ、燃焼排気と空気とが混合した高温の混合ガスを生成するバーナと、
被乾燥物を収容する乾燥室と、
前記バーナから前記乾燥室に前記混合ガスを案内する給気通路と、
前記乾燥室に前記混合ガスを供給する送風ファンと、
前記乾燥室から前記混合ガスを排出する排気通路と、
前記給気通路内で前記混合ガスの給気温度を測定する温度測定装置と、
前記燃料供給装置、前記バーナ及び前記送風ファンを制御するとともに、前記温度測定装置が測定する前記給気温度を取得する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記燃料ガスの供給量を第1流量として前記バーナによる燃焼を開始した後、前記給気温度が第1時間未満で第1温度まで上昇する第1状態であるか否かを判断する第1判断ステップを実行し、
前記制御部は、前記第1状態であると判断した場合、前記供給量を前記第1流量よりも少ない第2流量に変更し、前記給気温度が低下する程度に基づいて、前記乾燥室からの前記混合ガスの排出に異常がある閉塞異常であるか否かを判断する第2判断ステップを実行し、
前記制御部は、前記閉塞異常であると判断した場合、前記閉塞異常を報知する報知ステップ、及び、前記燃料供給装置及び前記バーナを停止させる停止ステップ、の少なくとも一方を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の乾燥装置において、排気通路は、例えば、排気通路の乾燥室側に配置されるフィルタが目詰まりしたり、排気通路の屋外側に配置される排気ダクトに異物が詰まったり、排気ダクトに強風が吹き付けたりすることにより閉塞する場合がある。この場合、乾燥室からの混合ガスの排出に異常がある閉塞異常となる。
【0012】
制御部は、第1判断ステップにおいて第1状態であると判断した場合、つまり給気温度が上昇する程度が大きいと判断する場合、直ちに閉塞異常と判断するのではなく、第2判断ステップを実行する。
【0013】
ここで、制御部は、排気通路の閉塞率が高くなると、閉塞率の僅かな違いでも給気温度が低下する程度に明確な差が出ることを利用する。
【0014】
すなわち、制御部は、給気温度が上昇しているときには閉塞異常であるか否かを示す差が明確でない場合に、第2判断ステップにおいて、燃料ガスの供給量を第1流量よりも少ない第2流量に変更することで給気温度を低下させる。そして、制御部は、その給気温度が低下する程度の差が明確に出る状態で、閉塞異常であるか否かを判断する。
【0015】
その結果、制御部は、閉塞異常であるにもかかわらず閉塞異常ではないと誤判断したり、閉塞異常でないにもかかわらず閉塞異常であると誤判断したりすることを抑制できる。
【0016】
したがって、本発明の乾燥装置は、異常停止の頻度を低下させ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0017】
さらに、この乾燥装置は、燃料ガスの供給量を減少させて実行する第2判断ステップにより、被乾燥物が高温の混合ガスで傷むことを抑制できる。
【0018】
制御部は、第1判断ステップにおいて給気温度の上昇勾配を測定し、上昇勾配が異常判定値以上である場合、閉塞異常であると判断して第1判断ステップを終了し、第2判断ステップを実行することなく、報知ステップ及び停止ステップの少なくとも一方を実行することが望ましい。
【0019】
この場合、制御部は、給気温度が過度に上昇する場合に、バーナによる燃焼を継続しない方が良いと判断することで、報知ステップ及び停止ステップの少なくとも一方を迅速に実行できる。その結果、この乾燥装置は、閉塞異常に起因する不具合を抑制できる。
【0020】
制御部は、第1判断ステップにおいて給気温度の上昇勾配を測定し、上昇勾配が正常判定値以下である場合、閉塞異常ではないと判断して第1判断ステップを終了し、第2判断ステップを実行しないことが望ましい。
【0021】
この場合、閉塞異常でないにもかかわらず第2判断ステップでガスの供給量を減少させてしまうことを抑制できるので、乾燥時間が長くなり難い。
【発明の効果】
【0022】
本発明の乾燥装置によれば、異常停止の頻度を低下させ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施例の衣類乾燥機の模式断面図である。
図2図2は、実施例の衣類乾燥機に係り、閉塞異常判断プログラムのフローチャートである。
図3図3は、実施例の衣類乾燥機に係り、閉塞異常判断プログラムのフローチャートである。
図4図4は、バーナによる燃焼を開始した後の給気温度の変化を示すグラフであって、第1判断ステップを説明するグラフである。
図5図5は、バーナによる燃焼を開始した後の給気温度の変化を示すグラフであって、第2判断ステップを説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0025】
(実施例)
図1に示すように、実施例の衣類乾燥機1は、本発明の乾燥装置の具体的態様の一例である。衣類乾燥機1は、燃料ガスを燃焼させ、燃焼排気と空気とが混合した高温の混合ガスによって衣類を乾燥させるガス衣類乾燥機である。衣類乾燥機1は、筐体8、回転ドラム80及び扉89を備えている。
【0026】
本実施例では、略箱状体である筐体8における扉89が配置された側面側を筐体8の前面側と規定し、筐体8における扉89が配置された側面とは反対の側面側を筐体8の後面側と規定する。
【0027】
筐体8の前面には、衣類投入口88が設けられている。衣類投入口88における筐体8の内部に位置する端縁には、略円環状のリング板87の内周縁が接合されている。リング板87の下部分には、連通孔87Aが形成されている。
【0028】
筐体8の後面側の壁には、回転軸心X80を中心とするドラム支持軸80Sが固定されている。回転軸心X80は、筐体8の前後方向に水平に延びている。ドラム支持軸80Sは、筐体8の前面側に向かって突出している。
【0029】
回転ドラム80は、筐体8内に設けられている。回転ドラム80は、円筒部84及び奥壁部82を有している。円筒部84は、回転軸心X80を中心とする円筒形状である。奥壁部82は、円筒部84における筐体8の後面側に位置する端縁に接続する略円盤形状である。
【0030】
回転ドラム80は、円筒部84及び奥壁部82によって、衣類CL1を収容する乾燥室81を形成している。衣類CL1は、本発明の「被乾燥物」の一例である、奥壁部82には、通気部83が設けられている。通気部83は、複数の孔と、各孔を覆うフィルタ83Fと、によって構成されている。
【0031】
回転ドラム80は、奥壁部82がドラム支持軸80Sによって回転可能に支持され、かつ円筒部84における筐体8の前面側に位置する端縁がリング板87の外周縁によって回転可能に支持されることにより、回転軸心X80周りに回転可能となっている。
【0032】
扉89は、閉鎖位置と開放位置との間で揺動可能に筐体8の前面側に支持されている。扉89は、閉鎖位置にある状態で、衣類投入口88を覆って乾燥室81を閉鎖する。その一方、扉89は、開放位置にある状態で、衣類投入口88から離間して乾燥室81を開放する。
【0033】
筐体8内における回転ドラム80よりも下方には、モータ60が設けられている。モータ60は、回転軸心X80と平行な駆動軸心X60を中心とする第1駆動軸61及び第2駆動軸62を有している。第1駆動軸61は、筐体8の前面側に向かって突出している。第2駆動軸62は、筐体8の後面側に向かって突出している。
【0034】
第1駆動軸61には、第1プーリ61Pが一体回転可能に固定されている。そして、第1伝達ベルト61Bが第1プーリ61Pと回転ドラム80の円筒部84とに巻き掛けられている。
【0035】
モータ60が作動して駆動力を発生すると、第1駆動軸61、第1プーリ61P及び第1伝達ベルト61Bを経由して円筒部84に駆動力が伝達され、回転ドラム80が回転軸心X80周りに回転する。回転ドラム80の回転は、乾燥室81に収容されている衣類CL1を定位置に止めることなく常に動かすために行われる。
【0036】
衣類乾燥機1は、給気口71、給気通路72、排気口75、排気通路76、送風ファン78、燃料供給装置53及びバーナ50を備えている。
【0037】
給気口71は、筐体8の底壁に貫設された複数の穴である。給気通路72は、筐体8内における前面側、かつ底壁側に設けられている。給気通路72には、導入口72Aが形成されている。導入口72Aは、筐体8内において給気口71から上方かつ前方に離間した位置にあって、後述するバーナ50の燃焼室50Bに接続している。給気通路72は、導入口72Aから上向きに延びて、その上端がリング板87の連通孔87Aに接続している。
【0038】
排気口75は、回転ドラム80よりも筐体8の後面側において、筐体8の上壁に貫設された穴である。排気通路76は、回転ドラム80の奥壁部82と筐体8の後面側の壁との間に設けられている。排気通路76には、導出口76Aが形成されている。導出口76Aは、筐体8内において奥壁部82の通気部83に対向する位置で前向きに大きく開口している。排気通路76は、導出口76Aから上向きに延びて、その上端が排気口75に接続している。
【0039】
排気口75には、排気ダクト75Dが接続されている。排気ダクト75Dは、衣類乾燥機1が設置される住宅の外壁に形成された貫通穴に接続している。
【0040】
送風ファン78は、排気通路76内に設けられている。送風ファン78は、奥壁部82の通気部83に対向する状態で、ドラム支持軸80Sに外挿された円筒状のファン支持体78Sに一体回転可能に固定されている。これにより、送風ファン78は、回転軸心X80周りに回転可能となっている。
【0041】
モータ60の第2駆動軸62には、第2プーリ62Pが一体回転可能に固定されている。そして、第2伝達ベルト62Bが第2プーリ62Pとファン支持体78Sとに巻き掛けられている。
【0042】
モータ60が作動して駆動力を発生すると、第2駆動軸62、第2プーリ62P及び第2伝達ベルト62Bを経由してファン支持体78Sに駆動力が伝達され、送風ファン78が回転軸心X80周りに回転する。
【0043】
燃料供給装置53及びバーナ50は、給気口71よりも上方、かつ給気通路72の導入口72Aよりも後方に位置している。
【0044】
燃料供給装置53は、図示しないガス供給源から供給される燃料ガスをガス噴射ノズル51からバーナ50のガス入口50Aに向けて噴射することにより、バーナ50に燃料ガスを供給する。
【0045】
バーナ50は、給気口71から筐体8内に進入する空気を取り入れて燃料供給装置53から供給される燃料ガスを燃焼室50B内で燃焼させ、燃焼排気と空気とが混合した高温の混合ガスを生成する。
【0046】
バーナ50が点火していない状態で、モータ60が作動して送風ファン78が回転することにより、乾燥室81内の空気が通気部83、排気通路76及び排気口75を経由して筐体8の外部に排出される。これにより、乾燥室81内が負圧となり、給気口71から筐体8内に進入する空気が燃焼室50B、給気通路72及び連通孔87Aを経由して乾燥室81内に供給され、乾燥室81内で流通した後、通気部83、排気通路76及び排気口75を経由して筐体8の外部に排出される。
【0047】
その状態で、バーナ50が点火して高温の混合ガスを生成すると、給気通路72はバーナ50の燃焼室50Bから乾燥室81に混合ガスを案内し、送風ファン78は乾燥室81に混合ガスを供給する。そして、その高温の混合ガスは、乾燥室81内で流通して衣類CL1の湿気を吸収する。その後、排気通路76は、乾燥室81から混合ガスを筐体8の外部に排出する。
【0048】
衣類乾燥機1は、給気温度センサS1を備えている。給気温度センサS1は、本発明の「温度測定装置」の一例である。給気温度センサS1は、給気通路72内における連通孔87Aの近傍に位置している。給気温度センサS1は、給気通路72内で混合ガスの給気温度を測定する。
【0049】
衣類乾燥機1は、制御部3を有している。制御部3は、筐体8の前面における扉89よりも下方の位置に収容されている。
【0050】
制御部3は、図示しないCPU、ROM、RAM及びインターフェース回路等により構成された電子回路ユニットである。ROMには、衣類乾燥機1の乾燥運転等の各種動作を実行するためのプログラム等が格納されている。例えば、ROMには、図2及び図3に示す「閉塞異常判断プログラム」が格納されている。RAMは、CPUが上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号を一時的に記録する記憶領域、又はデータ処理の作業領域として使用される。
【0051】
制御部3は、送風ファン78を駆動するモータ60、燃料供給装置53、バーナ50等を制御するとともに、給気温度センサS1が測定する給気温度を取得して、乾燥室81に収容された衣類CL1を乾燥させる乾燥運転を実行する。
【0052】
図1に示すように、衣類乾燥機1は、入力部3E及び表示部3Dを有している。入力部3E及び表示部3Dは、筐体8の前面における扉89よりも下方の位置に露出するように設けられている。
【0053】
入力部3Eは、電源ボタン、乾燥運転等の開始を指示するためのスタートボタン、数値入力や各種のモードの選択を行うボタン等の複数のボタンを有している。ユーザが入力部3Eに対して行う各種の操作は、制御部3に伝達されて乾燥運転等の制御に反映される。
【0054】
表示部3Dは、複数並んで配置される7セグメントLED、液晶ディスプレイ、間又はLEDランプ等である。表示部3Dは、制御部3に制御されて、衣類乾燥機1の運転状況に関する各種の情報やエラーメッセージ等を表示する。
【0055】
<閉塞異常判断プログラム>
実施例の衣類乾燥機1において、排気通路76は、例えば、排気通路76の乾燥室81側に配置されるフィルタ83Fが目詰まりしたり、排気通路76の屋外側に配置される排気ダクト75Dに異物が詰まったり、排気ダクト75Dに強風が吹き付けたりすることにより閉塞する場合がある。この場合、乾燥室81からの混合ガスの排出に異常がある閉塞異常となる。
【0056】
ユーザが入力部3Eを操作して乾燥運転の開始を指示すると、制御部3は、乾燥運転を開始して、図2及び図3に示す「閉塞異常判断プログラム」を実行する。
【0057】
初めに、制御部3は図2に示すステップS101において、モータ60を作動させ、乾燥ドラム80及び送風ファン78の回転を開始する。本実施例では、乾燥ドラム80の回転速度は、予め設定された速度で一定である。送風ファン78も同様である。
【0058】
次に、制御部3はステップS102に移行し、燃料ガスの供給量を第1流量FR1として、燃料供給装置53による燃料ガスの供給を開始する。第1流量FR1は、予め設定されている。そして、制御部3は、バーナ50に点火し、バーナ50による燃焼を開始するとともに、タイマの計時を開始する。
【0059】
これにより、給気通路72がバーナ50の燃焼室50Bから乾燥室81に混合ガスを案内し、給気温度センサS1が測定する給気温度が上昇する。制御部3は、給気温度センサS1が測定する給気温度を常時取得する。
【0060】
次に、制御部3はステップS110に移行し、第1判断ステップを開始してステップS111~S115を実行する。ステップS111~S115は、給気温度の上昇勾配US1を測定する処理である。
【0061】
図4に示すように、本実施例では、上昇勾配測定開始温度SH1及び上昇勾配測定終了温度SH2(>SH1)は、予め設定されている。上昇勾配測定終了温度SH2は、本発明の「第1温度」の一例である。
【0062】
給気温度が上昇勾配測定開始温度SH1まで上昇したときの上昇勾配測定開始時間ST1と、給気温度が上昇勾配測定終了温度SH2まで上昇したときの上昇勾配測定終了時間ST2と、は、排気通路76の閉塞率に応じて変化する。
【0063】
上昇勾配測定終了時間ST2と上昇勾配測定開始時間ST1との差(図4に一例として示すL1、L2)は、排気通路76の閉塞率が高くなるほど小さくなる。
【0064】
なお、図4では説明を容易にするため、給気温度の変動パターンの一例として変動パターンE1、N1、J1、J2を直線状に示しているが、実際の給気温度の変動パターンが直線状になるとは限らない。
【0065】
制御部3は図2に示すステップS111に移行すると、給気温度が上昇勾配測定開始温度SH1まで上昇したか否かを判断し、「Yes」となるまでステップS111を繰り返す。
【0066】
そして、制御部3はステップS111において「Yes」となると、ステップS112に移行し、給気温度が上昇勾配測定開始温度SH1まで上昇したときの上昇勾配測定開始時間ST1を記憶する。
【0067】
次に、制御部3はステップS113に移行し、給気温度が上昇勾配測定終了温度SH2まで上昇したか否かを判断し、「Yes」となるまでステップS113を繰り返す。
【0068】
そして、制御部3はステップS113において「Yes」となると、ステップS114に移行し、給気温度が上昇勾配測定終了温度SH2まで上昇したときの上昇勾配測定終了時間ST2を記憶する。
【0069】
次に、制御部3はステップS115に移行し、給気温度の上昇勾配US1を算出する。上昇勾配US1は、上昇勾配測定終了温度SH2と上昇勾配測定開始温度SH1との差を上昇勾配測定終了時間ST2と上昇勾配測定開始時間ST1との差で除した値である(US1=(SH2-SH1)/(ST2-ST1))。上昇勾配US1は、正の値であり、排気通路76の閉塞率が高くなるほど大きい値となる。
【0070】
次に、制御部3はステップS116に移行し、上昇勾配US1が異常判定値G1以上であるか否かを判断する。
【0071】
図4に実線で示す変動パターンE1上の領域と、変動パターンE1よりも図4の左方に位置する領域とは、明確に閉塞異常と判断すべき領域である。本実施例では、異常判定値G1は、変動パターンE1の上昇勾配US1である(US1=(SH2-SH1)/(ST2(E)-ST1(E)))。
【0072】
制御部3は図2に示すステップS116において「Yes」の場合、図3に示すステップS128に移行する。ステップS128以降の処理については後述する。
【0073】
その一方、制御部3は図2に示すステップS116において「No」の場合、ステップS117に移行する。そして、制御部3は、上昇勾配US1が正常判定値G2以上であるか否かを判断する。
【0074】
図4に破線で示す変動パターンN1上の領域と、変動パターンN1よりも図4の右方に位置する領域とは、明確に正常と判断すべき領域である。本実施例では、正常判定値G2は、変動パターンN1の上昇勾配US1である(US1=(SH2-SH1)/(ST2(N)-ST1(N)))。
【0075】
制御部3は図2に示すステップS117において「Yes」の場合、図3に示すステップS140に移行する。ステップS140以降の処理については後述する。
【0076】
その一方、制御部3は図2に示すステップS117において「No」の場合、ステップS118に移行する。そして、制御部3は、タイマが第1時間T1未満であるか否かを判断する。
【0077】
図4に示すように、本実施例では、第1時間T1は、変動パターンN1に係る上昇勾配測定終了時間ST2(E)よりも後になるように予め設定されている。
【0078】
制御部3は図2に示すステップS118において「No」の場合、図3に示すステップS140に移行する。ステップS140以降の処理については後述する。
【0079】
その一方、制御部3は図2に示すステップS118において「Yes」の場合、ステップS119に移行する。そして、制御部3は、給気温度が第1時間T1未満で上昇勾配測定終了温度SH2(「第1温度」の一例)まで上昇する第1状態であると判断し、図3に示すステップS120に移行する。
【0080】
すなわち、第1状態は、明確に閉塞異常と判断すべき領域と、明確に正常と判断すべき領域と、の間に位置する領域であり、図4に示す変動パターンJ1、J2はその領域にある。
【0081】
制御部3は、図2に示すステップS119から図3に示すステップS120に移行すると、第2判断ステップを開始する。
【0082】
次に、制御部3はステップS121に移行し、燃料供給装置53を制御して燃料ガスの供給量を第1流量FR1よりも少ない第2流量FR2に変更する。第2流量FR2は、予め設定されている。
【0083】
第2流量FR2は、図5に示す変動パターンJ1、J2のように、給気温度が上昇から下降に変化する程度に少ない流量に設定される。本実施例では、第2流量FR2は、第1流量FR1の50%以下である。
【0084】
次に、制御部3はステップS122~S126を実行する。ステップS122~S126は、給気温度の下降勾配DS1を測定する処理である。
【0085】
図5に示すように、本実施例では、下降勾配測定開始温度SH3及び下降勾配測定終了温度SH4(<SH3)は、予め設定されている。また、本実施例では、下降勾配測定開始温度SH3は、上昇勾配測定終了温度SH2と等しい。なお、下降勾配測定開始温度SH3が上昇勾配測定終了温度SH2と異なっていてもかまわない。
【0086】
給気温度が下降勾配測定開始温度SH3まで下降したときの下降勾配測定開始時間ST3と、給気温度が下降勾配測定終了温度SH4まで下降したときの下降勾配測定終了時間ST4と、は、排気通路76の閉塞率に応じて変化する。
【0087】
下降勾配測定終了時間ST4と下降勾配測定開始時間ST3との差(図5に一例として示すL3、L4)は、排気通路76の閉塞率が高くなるほど大きくなる。
【0088】
制御部3は図3に示すステップS122に移行すると、給気温度が下降勾配測定開始温度SH3まで下降したか否かを判断し、「Yes」となるまでステップS122を繰り返す。
【0089】
そして、制御部3はステップS122において「Yes」となると、ステップS123に移行し、給気温度が下降勾配測定開始温度SH3まで下降したときの下降勾配測定開始時間ST3を記憶する。
【0090】
次に、制御部3はステップS124に移行し、給気温度が下降勾配測定終了温度SH4まで下降したか否かを判断し、「Yes」となるまでステップS124を繰り返す。
【0091】
そして、制御部3はステップS124において「Yes」となると、ステップS125に移行し、給気温度が下降勾配測定終了温度SH4まで下降したときの下降勾配測定終了時間ST4を記憶する。
【0092】
次に、制御部3はステップS126に移行し、給気温度の下降勾配DS1を算出する。下降勾配DS1は、下降勾配測定終了温度SH4と下降勾配測定開始温度SH3との差を下降勾配測定終了温度SH4と下降勾配測定開始温度SH3との差で除した値である(DS1=(SH4-SH3)/(ST4-ST3))。下降勾配DS1は、負の値であり、排気通路76の閉塞率が高くなるほどゼロに近い値となる。
【0093】
次に、制御部3はステップS127に移行し、下降勾配DS1が異常判定値G3以上であるか否かを判断する。
【0094】
図5に示す変動パターンJ1における下降曲線上にある領域と、その領域よりも上方に位置する領域とは、閉塞異常と判断すべき領域である。本実施例では、異常判定値G3は、変動パターンJ1における「L4」で示す範囲の下降勾配DS1である。(DS1=(SH4-SH3)/(ST4(E)-ST3(E)))。
【0095】
制御部3は図3に示すステップS127において「No」の場合、ステップS140に移行する。ステップS140以降の処理については後述する。
【0096】
その一方、ステップS127において「Yes」の場合、ステップS128に移行する。
【0097】
図2に示すステップS116、又は図3に示すステップS127からステップS128に移行すると、制御部3は閉塞異常であると判断する。
【0098】
次に、制御部3はステップS130に移行し、表示部3Dを制御して閉塞異常を報知する。ステップS130は、報知ステップである。
【0099】
次に、制御部3はステップS131に移行し、燃料供給装置53を制御して燃料ガスの供給を停止し、バーナ50を消火する。ステップS131を停止ステップである。
【0100】
次に、制御部3はステップS131に移行し、給気温度センサS1が測定する給気温度や、図示しない排気温度センサが測定する排気温度が有る程度低下したことを確認してからモータ60を停止させ、乾燥ドラム80及び送風ファン78を停止させてこのプログラムを終了する。こうして、制御部3は、乾燥運転を異常終了する。
【0101】
なお、図4に示すように、制御部3は、給気温度センサS1が測定する給気温度が安全上の観点から予め設定される上限温度Tmaxまで上昇した場合も、乾燥運転を異常終了する。
【0102】
図2に示すステップS117、ステップS118、又は図3に示すステップS127からステップS140に移行すると、制御部3は閉塞異常ではないと判断してこのプログラムを終了し、乾燥運転を続行する。
【0103】
<作用効果>
実施例の衣類乾燥機1において、制御部3は、図2に示す第1判断ステップS110~S119において第1状態であると判断した場合、つまり給気温度が上昇する程度が大きいと判断する場合、直ちに閉塞異常と判断するのではなく、図3に示す第2判断ステップS120~S128を実行する。
【0104】
ここで、制御部3は、排気通路76の閉塞率が高くなると、閉塞率の僅かな違いでも給気温度が低下する程度に明確な差が出ることを利用する。
【0105】
すなわち、制御部3は、給気温度が上昇しているときには閉塞異常であるか否かを示す差が明確でない場合に、第2判断ステップのステップS121において、燃料ガスの供給量を第1流量FR1よりも少ない第2流量FR2に変更することで給気温度を低下させる。そして、制御部3は、ステップS122~S128において、例えば、図5に示す変動パターンJ1,J2のように、その給気温度が低下する程度の差が明確に出る状態で、閉塞異常であるか否かを判断する。
【0106】
その結果、制御部3は、閉塞異常であるにもかかわらず閉塞異常ではないと誤判断したり、閉塞異常でないにもかかわらず閉塞異常であると誤判断したりすることを抑制できる。
【0107】
したがって、実施例の衣類乾燥機1は、異常停止の頻度を低下させ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0108】
さらに、この衣類乾燥機1は、燃料ガスの供給量を第1流量FR1から第2流量FR2に減少させて実行する第2判断ステップS120~S128により、衣類CL1が高温の混合ガスで傷むことを抑制できる。
【0109】
また、この衣類乾燥機1において、制御部3は、図2に示す第1判断ステップS110~S119において給気温度の上昇勾配US1を測定し、上昇勾配US1が異常判定値G1以上である場合、閉塞異常であると判断して第1判断ステップS110~S119を終了し、図3に示すように、第2判断ステップS120~S128を実行することなく、報知ステップS130及び停止ステップS131を実行する。このように、制御部3は、給気温度が過度に上昇する場合に、バーナ50による燃焼を継続しない方が良いと判断することで、報知ステップS130及び停止ステップS131を迅速に実行できる。その結果、この衣類乾燥機1は、閉塞異常に起因する不具合を抑制できる。
【0110】
さらに、この衣類乾燥機1において、制御部3は、図2に示す第1判断ステップS110~S119において給気温度の上昇勾配US1を測定し、上昇勾配US1が正常判定値G2以下である場合、閉塞異常ではないと判断して第1判断ステップS110~S119を終了し、図3に示す第2判断ステップS120~S128を実行しない。この構成により、閉塞異常でないにもかかわらず第2判断ステップS120~S128でガスの供給量を減少させてしまうことを抑制できるので、乾燥時間が長くなり難い。
【0111】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0112】
実施例では、本発明の乾燥装置を衣類乾燥機1として具体化したが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、本発明の乾燥装置は、衣類とは異なる被乾燥物、例えば、製造工程における中間部材等を乾燥させる工業用の乾燥装置であってもよい。
【0113】
実施例では、制御部3は、閉塞異常であると判断した場合、報知ステップS130及び停止ステップS131を実行するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、制御部が報知ステップのみを実行する構成や、制御部が停止ステップのみを実行する構成も、本発明に含まれる。
【0114】
実施例では、給気温度センサS1が給気通路72内における連通孔87Aの近傍に位置しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、実施例に係る給気温度センサS1の位置を導入口72Aの近傍に変更したり、連通孔87Aと導入口72Aとの中間位置に変更したりした構成も、本発明に含まれる。
【0115】
実施例では、制御部3は、第2判断ステップS120~S128において下降勾配DS1に基づいて閉塞異常であるか否かを判断するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、制御部は、第2判断ステップにおいて給気温度が閾値まで下降するときの所要時間に基づいて閉塞異常であるか否かを判断してもよい。
【0116】
実施例では、上昇勾配測定終了温度SH2が本発明の「第1温度」の一例であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第1温度を上昇勾配測定終了温度SH2よりも高く設定してもよい。
【0117】
実施例では、第1時間T1が変動パターンN1に係る上昇勾配測定終了時間ST2(E)よりも後になるように設定されているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第1時間T1が変動パターンN1に係る上昇勾配測定終了時間ST2(E)と同じになるように設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は例えば、衣類乾燥機等の乾燥装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0119】
1…乾燥装置(衣類乾燥機)
53…燃料供給装置
50…バーナ
CL1…被乾燥物(衣類)
81…乾燥室
72…給気通路
78…送風ファン
76…排気通路
S1…温度測定装置(給気温度センサ)
3…制御部
FR1…第1流量
T1…第1時間
SH2…第1温度(上昇勾配測定終了温度)
S110~S119…第1判断ステップ
FR2…第2流量
S120~S128…第2判断ステップ
S130…報知ステップ
S131…停止ステップ
G1…異常判定値
G2…正常判定値
図1
図2
図3
図4
図5