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  • 特開-半導体装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154948
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01L23/50 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069195
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】ミネベアパワーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宗成
(72)【発明者】
【氏名】沼田 敦
(72)【発明者】
【氏名】町田 勇一
【テーマコード(参考)】
5F067
【Fターム(参考)】
5F067BA06
5F067BB18
5F067BB19
5F067EA02
5F067EA04
(57)【要約】
【課題】 半導体パッケージやクリップ等の部品を、導電性接合材を用いずにリードフレーム上に固定することで、導電性接合材の利用による製造単価の上昇や、製造過程での部品ズレや、内蔵チップ発熱時の熱応力の発生を回避できる、半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体チップを内蔵した半導体パッケージと、前記半導体パッケージを搭載した第1リードフレームと、前記半導体パッケージを搭載しない第2リードフレームと、前記半導体パッケージと前記第2リードフレームを接続するクリップと、を有する半導体装置であって、前記半導体パッケージと前記第1リードフレームは凹部と凸部が嵌合することにより固定されており、前記半導体パッケージと前記クリップは凹部と凸部が嵌合することにより固定されている半導体装置。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを内蔵した半導体パッケージと、
前記半導体パッケージを搭載した第1リードフレームと、
前記半導体パッケージを搭載しない第2リードフレームと、
前記半導体パッケージと前記第2リードフレームを接続するクリップと、
を有する半導体装置であって、
前記半導体パッケージと前記第1リードフレームは凹部と凸部が嵌合することにより固定されており、
前記半導体パッケージと前記クリップは凹部と凸部が嵌合することにより固定されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記凹部は矩形凹部であり、前記凸部は矩形凸部であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記半導体パッケージの上面の前記矩形凹部または前記矩形凸部の方向と、
前記半導体パッケージの下面の前記矩形凹部または前記矩形凸部の方向は交差することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記半導体パッケージは、異なる第1フレームに搭載された第1半導体パッケージと第2半導体パッケージであり、
前記クリップは、第1半導体パッケージと第2半導体パッケージを接続し、
前記第1半導体パッケージの上面の矩形凹部または矩形凸部の方向と、
前記第2半導体パッケージの上面の矩形凹部または矩形凸部の方向は交差することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記凹部は複数の円形凹部であり、前記凸部は複数の円形凸部であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の半導体装置において、
前記第2リードフレームと前記クリップは加締めまたは超音波接合により固定されていることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージやクリップ等の部品をリードフレーム上に固定した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置では、はんだ等の導電性接合材を用いて半導体パッケージやクリップ等の部品をリードフレーム上に固定する構成が一般的であった。
【0003】
例えば、特許文献1の要約書には、「チップ搭載面12を有するダイパッド部10と、ダイパッド部10とは離隔しているリード部20と、第1電極32がチップ搭載面12に第1導電性接合材50を介して接合されたチップ30と、一方の端部42が第2導電性接合材52を介してチップ30の第2電極34と接合され、他方の端部44が第3導電性接合材54を介してリード部20と接合された接続子40とを備え、リード部20は、リード部20の厚さ方向に突出しかつ先端に向かうに従って横断面積が小さくなっている凸部22を有し、接続子40は、他方の端部44に形成された貫通孔46を有し、貫通孔46は、凸22部の所定の高さ位置で凸部22に嵌め込まれている半導体装置1。」と記載されており、段落0026には「本明細書において「導電性接合材」とは、導電性及び接着性を有する金属又は合金のことをいう。導電性接合材としては、例えば、はんだを用いることができる。」と記載されている。このように、特許文献1の半導体装置では、はんだ等の導電性接合材を用いて各種部品を固定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-152468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、はんだ等の導電性接合材を部品固定に用いた半導体装置には、次のような問題があった。第一に、導電性接合材の材料コストや、導電性接合材の塗布工程やリフロー工程での作業コストにより、半導体装置の製造単価が上昇するという問題があった。第二に、導電性接合材による固定前は、リードフレーム上での部品位置ズレ発生の可能性があった。第三に、導電性接合材の線膨張係数が周囲と異なるため、内蔵チップの発熱時に接合部で発生する熱応力により接合部が破損する可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、半導体パッケージやクリップ等の部品を、導電性接合材を用いずにリードフレーム上に固定することで、導電性接合材の利用による製造単価の上昇や、製造過程での部品ズレや、内蔵チップ発熱時の熱応力の発生を回避できる、半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の半導体装置は、半導体チップを内蔵した半導体パッケージと、前記半導体パッケージを搭載した第1リードフレームと、前記半導体パッケージを搭載しない第2リードフレームと、前記半導体パッケージと前記第2リードフレームを接続するクリップと、を有する半導体装置であって、前記半導体パッケージと前記第1リードフレームは凹部と凸部が嵌合することにより固定されており、前記半導体パッケージと前記クリップは凹部と凸部が嵌合することにより固定されている半導体装置とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の半導体装置によれば、導電性接合材の利用による製造単価の上昇や、製造過程での部品ズレや、内蔵チップ発熱時の熱応力の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の半導体装置の内部構造を示す分解斜視図。
図2】実施例1の半導体装置の製造手順を示すフローチャート。
図3】実施例1の半導体装置の要部を示す第1概略図。
図4】実施例1の半導体装置の要部を示す第2概略図。
図5】実施例2の半導体装置の要部を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の半導体装置の実施例を説明する。
【実施例0011】
まず、図1から図4を用いて、本発明の実施例1に係る半導体装置を説明する。
【0012】
<半導体装置100の構成、および、製造方法>
図1は、本実施例の半導体装置100の内部構造を示す分解斜視図であり、端子部11(11A~11D)以外を封止する封止構造(エポキシ樹脂等)の図示を省略した図である。なお、以下では、図示するように前後左右の各方向を定義する。
【0013】
ここに示すように、本実施例の半導体装置100は、4つのリードフレーム1(1A~1D)と、4つの半導体パッケージ2(2A~2D)と、2つのクリップ3(3A、3B)を有している。そして、最も左側にあるリードフレーム1Aの表面に半導体パッケージ2A、2Bを前後方向に並べて搭載しており、最も右側にあるリードフレーム1Dの表面に半導体パッケージ2C、2Dを前後方向に並べて搭載している。また、後側のクリップ3Aを用いて半導体パッケージ2A上面とリードフレーム1Cと半導体パッケージ2C上面を電気的に接続しており、前側のクリップ3Bを用いて半導体パッケージ2B上面とリードフレーム1Bと半導体パッケージ2D上面を電気的に接続している。
【0014】
ここで、各々のリードフレーム1は、銅やアルミ等の金属で成形された基材であり、封止構造による封止後に外部に露出する端子部11と、後述する半導体パッケージ2下面の矩形凸部22と嵌合する矩形凹部12を有している。各々の半導体パッケージ2は、所望の半導体チップを内蔵したパッケージであり、上面には矩形凸部21が形成され、下面には矩形凸部21の方向と交差する方向の矩形凸部22が形成されている。各々のクリップ3は、銅やアルミ等の金属で成形された接続子であり、半導体パッケージ2上面の矩形凸部21と嵌合する矩形凹部31を有している。
【0015】
図2のフローチャートは、半導体製造装置による半導体装置100の概略の製造手順を示す。まず、ステップS1では、半導体製造装置は、リードフレーム1上面の矩形凹部12に半導体パッケージ2下面の矩形凸部22を装着する。次に、ステップS2では、半導体製造装置は、半導体パッケージ2上面の矩形凸部21にクリップ3下面の矩形凹部31を装着する。ステップS3では、半導体製造装置は、クリップ3下面をリードフレーム1上面に固定する。最後に、ステップS4では、半導体製造装置は、半導体パッケージ2とクリップ3、および、リードフレーム1の端子部11以外の部分を、エポキシ樹脂等の封止構造で封止する。なお、各ステップの詳細については必要に応じて後述する。
【0016】
以下では、図1の要部を簡略化した図3図4の概略図を用いて、はんだ等の導電性接合材を用いることなく各部品を固定した、本発明の半導体装置100の詳細を説明する。
【0017】
<第1概略図>
図3は、半導体装置100の要部を簡略化した第1概略図であり、リードフレーム1と半導体パッケージ2の接続方法、半導体パッケージ2とクリップ3の接続方法、および、リードフレーム1とクリップ3の接続方法を説明する図である。
【0018】
ここに示すように、右側のリードフレーム1Xの上面には前後方向に延びる矩形凹部12Xが形成されており、左側のリードフレーム1Yの上面は平坦である。また、半導体パッケージ2Xの上面には左右方向に延びる矩形凸部21Xが形成されており、下面には前後方向に延びる矩形凸部22Xが形成されている。さらに、クリップ3の左端の下面は平坦であり、右端の下面には左右方向に延びる矩形凹部31Xが形成されている。
【0019】
なお、嵌合関係にある矩形凹部12Xと矩形凸部22Xは略同幅かつ略同高であり、同じく嵌合関係にある矩形凸部21Xと矩形凹部31Xも略同幅かつ略同高である。また、半導体パッケージ2の矩形凸部21Xと矩形凸部22Xの表面には、内蔵チップの端子と電気的に接続された金属端子が露出しており、リードフレーム1Xやクリップ3と電気的に接続できるようになっている。
【0020】
<<ステップS1:リードフレーム1と半導体パッケージ2の接続>>
上記したステップS1にて、リードフレーム1Xの矩形凹部12Xに半導体パッケージ2Xの矩形凸部22Xを装着すると、リードフレーム1Xに対する半導体パッケージ2Xの左右方向への変動が規制される。このとき、半導体パッケージ2Xの矩形凸部22Xに設けた金属端子とリードフレーム1Xが接触するので、半導体パッケージ2Xの内蔵チップとリードフレーム1Xが電気的に接続される。
【0021】
<<ステップS2:半導体パッケージ2とクリップ3の接続>>
上記したステップS2にて、半導体パッケージ2Xの矩形凸部21Xにクリップ3の矩形凹部31Xを装着すると、半導体パッケージ2Xに対するクリップ3の前後方向への変動が規制される。このとき、半導体パッケージ2Xの矩形凸部21Xに設けた金属端子とクリップ3が接触するので、半導体パッケージ2Xの内蔵チップとクリップ3が電気的に接続される。
【0022】
<<ステップS3:リードフレーム1とクリップ3の接続部>>
上記したステップS3にて、リードフレーム1Y上面とクリップ3下面を接続する。これにより、クリップ3を介して半導体パッケージ2Xの内蔵チップとリードフレーム1Yが電気的に接続される。なお、リードフレーム1Yとクリップ3の接続には、加締めや超音波による金属接合(超音波接合)等の、はんだ等の導電性接合材を用いない周知の接続方法を利用する。
【0023】
<<図3の構成の効果>>
図3に示すように、本実施例では、はんだ等の導電性接合材を用いることなく、各部品を接続している。従って、導電性接合材を用いることによる、半導体装置100の製造単価の上昇を回避することができる。また、各接続部に同種の金属を配置すれば、線膨張係数の異なる導電性接合材を配置した場合に生じる熱応力の発生を回避することができる。
【0024】
さらに、左右方向に延びる矩形凸部21Xと矩形凹部31Xの嵌合により半導体パッケージ2Xの前後方向への位置ズレを防止でき、前後方向に延びる矩形凸部22Xと矩形凹部12Xの嵌合により半導体パッケージ2Xの左右方向への位置ズレを防止できる。すなわち、半導体パッケージ2Xの上面の矩形凸部21Xと下面の矩形凸部22Xの方向を交差させ、これらの矩形凸部と嵌合する矩形凹部をリードフレーム1Xとクリップ3に設けたことにより、ステップS3でのクリップ3の固定以降、半導体パッケージ2Xの前後方向および左右方向への位置ズレを防止することができる。
【0025】
<第2概略図>
図4は、本実施例の半導体装置100の要部を簡略化した第2概略図であり、基本的には、図3のクリップ3を更に左方向に伸ばし、クリップ3の左端の下方に半導体パッケージ2Zとリードフレーム1Zを配置したものである。
【0026】
上記したように、図3の構成では、ステップS3以降で半導体パッケージ2の位置ズレを防止できるが、ステップS2の時点では半導体パッケージ2の位置ズレが発生する可能性があった。そこで、図4の第2概略図では、ステップS2の時点で半導体パッケージ2の位置ズレを防止できるようにした。
【0027】
そのため、図4では、左側の半導体パッケージ2Z上面の矩形凸部21Zの方向を右側の半導体パッケージ2X上面の矩形凸部21Xの方向と交差するように形成するとともに、半導体パッケージ2Z下面の矩形凸部22Zの方向を半導体パッケージ2X下面の矩形凸部22Xの方向と交差するように形成した。また、矩形凸部21Zと嵌合する矩形凹部31Zをクリップ3下面に形成し、矩形凸部22Zと嵌合する矩形凹部12Zをリードフレーム1Z上面に形成した。
【0028】
このような構成により、上記した図3の構成で得られる効果に加え次の効果を得ることができる。すなわち、クリップ3をリードフレーム1Yに固定する前であっても、クリップ3の前後方向位置が右側の半導体パッケージ2Xとリードフレーム1Xによって規制され、クリップ3の左右方向位置が左側の半導体パッケージ2Zとリードフレーム1Zによって規制されるため、リードフレーム1、半導体パッケージ2、クリップ3を順次積層したステップS2の時点で、クリップ3が設計上の基準位置に配置され、結果的に、半導体パッケージ2も設計上の基準位置に配置することができる。
【0029】
<変形例>
上記の図1、3、4では、半導体パッケージ2の上下面に矩形凸部を設け、これら矩形凸部と嵌合する矩形凹部をリードフレーム1とクリップ3に設けたが、半導体パッケージ2の上下面に矩形凹部を設け、これらの矩形凹部と嵌合する矩形凸部をリードフレーム1とクリップ3に設けた構成としても、上記した効果を得ることができる。
【実施例0030】
次に、図5を用いて、本発明の実施例2に係る半導体装置100を説明する。なお、実施例1との共通点は重複説明を省略する。
【0031】
実施例1では、矩形凹部と矩形凸部を嵌合させて各部品を接続したが、本実施例では、実施例1の矩形凸部を代替する複数の円形凸部と、実施例1の矩形凹部を代替する複数の円形凹部を設けた。図5は、実施例2の半導体装置100の要部を簡略化した概略図である。ここに示すように、半導体パッケージ2Xの上面には前後方向に並ぶ一対の円形凸部23Xを設けており、下面にも前後方向に並ぶ一対の円形凸部24X(図示せず)を設けた。また、これらの円形凸部と嵌合するように、リードフレーム1Xの上面に前後方向に並ぶ一対の円形凹部13Xを設け、クリップ3の下面に前後方向に並ぶ一対の円形凹部32X(図示せず)を設けた。
【0032】
これらの円形凹部と円形凸部を嵌合させた構成によっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。なお、実施例1では、半導体パッケージ2の上下の矩形凸部の方向を交差させたが、本実施例では、半導体パッケージ2の上下の円形凸部が並ぶ方向を一致させている。これは、一対の円形凸部と一対の円形凹部を嵌合させる本実施例の構成であれば、半導体パッケージ2の上下で円形凸部の並ぶ方向を異ならせなくても、前後方向と左右方向の位置ズレを共に規制できるからである。
【符号の説明】
【0033】
100 半導体装置
1 リードフレーム
11 端子部
12 矩形凹部
13 円形凹部
2 半導体パッケージ
21、22 矩形凸部
23、24 円形凸部
3 クリップ
31 矩形凹部
32 円形凹部
図1
図2
図3
図4
図5