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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154949
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61H7/00 323E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069196
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523150679
【氏名又は名称】太倉大東保健器有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石黒 文敬
(72)【発明者】
【氏名】張 震海
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD17
4C100AF07
4C100BA05
4C100BB04
4C100CA09
4C100DA10
(57)【要約】
【課題】使用者の施療部の大きさや太さなどが異なる場合でも、その施療部の幅に合わせて、マッサージ部材の間隔を容易に調整することができる機構を備えることで、使用者に合った効果的で且つ快適なマッサージを付与することができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明は、左右一対のマッサージ部材8と、回転駆動力を出力する駆動部4と、回転駆動力により回転する回転駆動軸7と、回転駆動軸7の回転駆動力を揺動運動に変換する変換部9と、一対のマッサージ部材8の間隔を調整する水平移動機構2と、を有するマッサージ機1において、水平移動機構2は、回転駆動軸7に取り付けたスクリューねじ部17と、マッサージ部材8に設けられ、内周面にねじ溝部20が形成されたスライド部14Aと、を有し、スクリューねじ部17とねじ溝部20は、螺旋の幅および深さが始端から終端まで一定に形成され、所定の広さの終端面19,21が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療部を挟み込むように配備された左右一対のマッサージ部材と、
前記マッサージ部材を左右に亘って貫通するように設けられた回転駆動軸と、
前記回転駆動軸への回転駆動力を出力する駆動部と、
前記回転駆動軸の回転駆動力を、前記マッサージ部材による揉みマッサージ動作をさせるための揺動運動に変換する変換部と、
前記左右一対のマッサージ部材の少なくとも一方が、前記回転駆動軸に沿って水平方向に移動することで、左右一対のマッサージ部材の間隔を調整する水平移動機構と、を有するマッサージ機において、
前記水平移動機構は、前記回転駆動軸に取り付けられたスクリューねじ部と、一方の前記マッサージ部材に設けられ、内周面にねじ溝部が形成されたスライド部と、を有し、
前記スクリューねじ部は、螺旋の幅および深さが始端から終端まで一定に形成されていて、その終端には所定の広さの終端凹面が設けられている
ことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記ねじ溝部は、前記スクリューねじ部の螺旋を転写した形状とされ且つ、螺旋の幅および深さが始端から終端まで一定に形成されていて、その終端には前記終端凹面と同じ広さの終端凸面が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記スクリューねじ部および前記ねじ溝部は、複数条のねじの構造とされていることを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記水平移動機構により、前記左右一対のマッサージ部材の間隔を調整する際、
前記回転駆動軸の回転に伴って前記スクリューねじ部が回転すると、前記スライド部は前記スクリューねじ部上を一方の方向に水平移動をし、
前記ねじ溝部の終端凸面が、前記スクリューねじ部の終端凹面に当接することで、前記スライド部は前記スクリューねじ部上の一方の方向への水平移動を停止し、
前記スライド部は、前記回転駆動軸と一体回転する構成とされている
ことを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記変換部は、前記回転駆動軸に対して一体回転する回転ボス部と、
前記マッサージ部材の基端部に形成され、前記回転ボス部に対し摺動自在に外嵌する環状嵌合部と、
前記回転ボス部に対して前記環状嵌合部が供回りすることを規制する規制部と、を有し、
左右一対のうちいずれか一方のマッサージ部材に配備される前記回転ボス部は、前記回転駆動軸上を所定の範囲で、当該回転駆動軸の軸心方向に沿って移動可能な移動回転ボス部とされ、
前記移動回転ボス部は、前記水平移動機構を構成する前記スライド部とされている
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療部の大きさや太さなどが異なる場合であっても、その施療部の幅に合わせて、マッサージ部材の間隔を容易に調整することができるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右一対のマッサージ部材で施療部を挟み込んで揉むマッサージを行うマッサージ機は、右のマッサージ部材と左のマッサージ部材との間隔(左右幅)は一定であった。このようなマッサージ機では、例えば、細い脹脛(施療部)の場合、左右一対のマッサージ部材の間において隙間ができて広く感じられ、適切な強さで揉まれることが無く好適なマッサージを受けることができない。一方で、太い脹脛(施療部)の場合、逆に、左右一対のマッサージ部材の間が狭く感じられ、左右から非常に強く押されるようになり、場合によっては痛みを感じることがある。この課題を解決したものが例えば、特許文献1に開示された水平移動機構がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6412517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、施療部の幅に合わせて、左右一対のマッサージ部材の間隔を調整する水平移動機構は従来からあるものの、以下のような課題が挙がってきた。
【0005】
従来の水平移動機構は、ねじ式の機構を採用したものであり、マッサージ機構の回転駆動軸に沿って、ねじの回転によりマッサージ部材を左右方向に移動させるものである。ところが、左右一対のマッサージ部材の間隔を調整する際に、マッサージ部材の左右方向への動き出しがスムーズに動かなくなる(渋くなる)場合がある。この課題は、ねじの構造によるものであると知見している。
【0006】
さて、一般には、ねじはねじ込んで締結することで、部材などを固定するものある。ねじ込んで締結するため、ねじ部の螺旋の幅が終端に向けて狭まるもの(テーパー形状)となっている。
【0007】
つまり、ねじ山およびねじ溝のそれぞれの終端側において、螺旋が狭くなってゆく終端側の部分がねじ部のねじ込み部位となっており、その終端に向かって締め込んでゆくと、ねじ山とねじ溝がねじ込み部位で係合されることで、部材などが固定される。
【0008】
このように、従来の水平移動機構は、ねじ部の幅が終端に向けて狭まるものとなっているため、施療部の幅に沿ってマッサージ部材の間隔を調整する際、ねじ部を戻して(緩めて)マッサージ部材を左右方向へ移動させるときに、ねじ山とねじ溝のそれぞれがねじ込み部位で引っ掛かっているため、ねじ溝からねじ山が抜けなくなり、ねじ部を緩めることができなくなる。このことから、水平移動機構によるマッサージ部材の間隔の調整が行いにくくなる。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、使用者の体格が異なることによって施療部の大きさや太さなどが異なる場合であっても、その施療部の幅に合わせてマッサージ部材の間隔を容易に調整することができる機構を備えることで、それぞれの使用者に合った効果的で且つ快適なマッサージを付与することができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
【0011】
本発明にかかるマッサージ機は、施療部を挟み込むように配備された左右一対のマッサージ部材と、前記マッサージ部材を左右に亘って貫通するように設けられた回転駆動軸と、前記回転駆動軸への回転駆動力を出力する駆動部と、前記回転駆動軸の回転駆動力を、前記マッサージ部材による揉みマッサージ動作をさせるための揺動運動に変換する変換部と、前記左右一対のマッサージ部材の少なくとも一方が、前記回転駆動軸に沿って水平方向に移動することで、左右一対のマッサージ部材の間隔を調整する水平移動機構と、を有するマッサージ機において、前記水平移動機構は、前記回転駆動軸に取り付けられたスクリューねじ部と、一方の前記マッサージ部材に設けられ、内周面にねじ溝部が形成されたスライド部と、を有し、前記スクリューねじ部は、螺旋の幅および深さが始端から終端まで一定に形成されていて、その終端には所定の広さの終端凹面が設けられていることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記ねじ溝部は、前記スクリューねじ部の螺旋を転写した形状とされ且つ、螺旋の幅および深さが始端から終端まで一定に形成されていて、その終端には前記終端凹面と同じ広さの終端凸面が設けられているとよい。
【0013】
好ましくは、前記スクリューねじ部および前記ねじ溝部は、複数条のねじの構造とされているとよい。
【0014】
好ましくは、前記水平移動機構により、前記左右一対のマッサージ部材の間隔を調整する際、前記回転駆動軸の回転に伴って前記スクリューねじ部が回転すると、前記スライド部は前記スクリューねじ部上を一方の方向に水平移動をし、前記ねじ溝部の終端凸面が、前記スクリューねじ部の終端凹面に当接することで、前記スライド部は前記スクリューねじ部上の一方の方向への水平移動を停止し、前記スライド部は、前記回転駆動軸と一体回転する構成とされているとよい。
【0015】
好ましくは、前記変換部は、前記回転駆動軸に対して一体回転する回転ボス部と、前記マッサージ部材の基端部に形成され、前記回転ボス部に対し摺動自在に外嵌する環状嵌合部と、前記回転ボス部に対して前記環状嵌合部が供回りすることを規制する規制部と、を有し、左右一対のうちいずれか一方のマッサージ部材に配備される前記回転ボス部は、前記回転駆動軸上を所定の範囲で、当該回転駆動軸の軸心方向に沿って移動可能な移動回転ボス部とされ、前記移動回転ボス部は、前記水平移動機構を構成する前記スライド部とされているとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のマッサージ機によれば、使用者の体格が異なることによって施療部の大きさや太さなどが異なる場合であっても、その施療部の幅に合わせて、マッサージ部材の間隔を容易に調整することができる機構を備えることで、それぞれの使用者に合った効果的で且つ快適なマッサージを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のマッサージ機(下肢用マッサージ機)の概略を模式的に示した斜視図である。
図2】本発明のマッサージ機(下肢用マッサージ機)の内部構造を示した斜視図である。
図3】本発明の水平移動機構の構造を示した斜視図である。
図4】本発明の水平移動機構の構造の拡大図である。
図5】スクリューねじ部の概略を示した斜視図である。
図6】スライド部(移動回転ボス部)を内側から見た図である。
図7】スライド部(移動回転ボス部)を外側から見た図である。
図8】ストッパー部材の概略を示した斜視図である。
図9】本発明の水平移動機構により、一対のマッサージ部材の間隔を調整した状況を示した平面図である(左図:間隔(幅)を狭めた状況、右図:間隔(幅)を広げた状況)。
図10】本発明の水平移動機構により、一対のマッサージ部材の間隔を調整した状況を示した正面図である(左図:間隔(幅)を狭めた状況、右図:間隔(幅)を広げた状況)。
図11】一対のマッサージ部材の間隔を狭めたときにおけるスクリューねじ部とスライド部(移動回転ボス部)の動きを示した断面図である。
図12】一対のマッサージ部材の間隔を広げたときにおけるスクリューねじ部とスライド部(移動回転ボス部)の動きを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかるマッサージ機の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。また、図面に関して、見やすくするため、構成部品の一部を省略したり、仮想線などを用いて描いている。
【0019】
本実施形態では、マッサージ機1として、使用者の脹脛Cから足部Fにかけての下肢Lに対して揉みマッサージを行う下肢用マッサージ機1を例に挙げて説明する。なお、以降において詳説する水平移動機構2は、例示する下肢用マッサージ機1に限らず、様々な機器(例えば、椅子型や載置型などマッサージ機や運動装置など)に適用可能である。
【0020】
すなわち、水平移動機構2は、下肢Lの幅に合わせて一対のマッサージ部材8の間隔を調整することに限らず、例えば、肩幅に合わせて一対のマッサージ部材8の間隔を調整する機構などにも適用可能である。
【0021】
また、下肢用マッサージ機1の前後左右の方向については、図面に示す通りである。これは下肢用マッサージ機1に下肢Lを挿入して、椅子などに着座した使用者から見た方向と一致する。以降の説明においては、図面において示す方向を、本実施形態の下肢用マッサージ機1を説明する際の方向とする。
【0022】
図1図12は、本発明にかかる下肢用マッサージ機1の実施形態を示している。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の下肢用マッサージ機1は、使用者の脹脛C(下腿部)から足部Fにかけての下肢Lを揉みマッサージの対象(施療部)とし、左右両方の下肢Lに対して挟み込んで揉む揉みマッサージを行う。また、本実施形態では、使用者の下肢Lの幅に合わせて一対のマッサージ部材8間の間隔を調整することができる水平移動機構2を備えている。この水平移動機構2は特徴的な構造となっており、詳細については後ほど説明する。
【0024】
図1図2などに示すように、本実施形態の下肢用マッサージ機1は、使用者の施療部である脹脛Cから足部F(足先)までの下肢Lに対して揉みマッサージ動作を付与する揉みマッサージ機構3と、揉みマッサージ機構3を駆動する駆動部4と、揉みマッサージ機構3と駆動部4などを収容するケース体5と、を有する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態のケース体5は、略立方体形状の筐体である。なお、ケース体5は、例えば、横長又は縦長の長方形の直方体形状の筐体であってもよいし、側面視で略ブーツ型の筐体であってもよく、特に限定はしない。ケース体5には、左施療凹部6Lと右施療凹部6Rとが、一定の間隔で並設されている。
【0026】
左施療凹部6Lは、左側の下肢Lを嵌め入れ可能な部位であり、ケース体5の左側前面において、上方から前方にかけて開放状に設けられている。略同様に、右施療凹部6Rは、右側の下肢Lを嵌め入れ可能な部位であり、ケース体4の右側前面において、上方から前方にかけて開放状に設けられている。これら左右の施療凹部6L,6R内部には、図示はしないが、肌触りの良い滑らかな内張材が設けられている。
【0027】
図2に示すように、揉みマッサージ機構3には、左下肢Lに対して揉みマッサージ動作を付与する左揉みマッサージ部(左施療凹部6L)と、右下肢Lに対して揉みマッサージ動作を付与する右揉みマッサージ部(右施療凹部6R)が左右に離間して配備されている。
【0028】
揉みマッサージ機構3は、駆動部4から出力された回転駆動力で回転する回転駆動軸7(揉み回転軸)と、下肢Lに対して挟み込むことで揉みマッサージ動作を付与する左右一対のマッサージ部材8と、回転駆動軸7の回転駆動力を揉みマッサージ動作に変換する変換部9と、を有する。
【0029】
図2に示すように、駆動部4は、ケース体5内の上下方向中途部で且つ、左内側のマッサージ部材8bと右内側のマッサージ部材8cとの間(ケース体5内の略中央)に配備されている。駆動部4は、回転駆動軸7への回転駆動力を出力する。つまり、駆動部4は、回転駆動力を発生する駆動モータ10と、回転駆動力を所定の速度に減速して回転駆動軸7に伝達するギアケース11と、を有している。駆動モータ10は、正転駆動と逆転駆動とに切換可能なものであるとよい。この駆動部4は、ケース体5の底部から立設された支
持部材により支持されている。
【0030】
回転駆動軸7(揉み回転軸)は、長尺の軸部材であって、ケース体5の後側に1本配備されている。回転駆動軸7は、軸心が水平で且つ左右方向を向くように、ケース体5の幅方向に亘って配備されている。
【0031】
この回転駆動軸7は、マッサージ部材8の基端側(水平マッサージ部12と垂直マッサージ部13との間)を左右方向に亘って貫通するように設けられている。回転駆動軸7は、使用者が下肢Lを施療凹部6に挿入したとき、左右一対のマッサージ部材8に挟まれた足部Fの踵上側と脹脛Cとの間の後方に位置している。また、回転駆動軸7は、ギアケース11を貫通して配備され、両端部はケース体5の底部から立設された支持部材により支持されている。
【0032】
図2図3などに示すように、左右一対のマッサージ部材8は、施療部を挟み込むように配備されている。具体的には、左施療凹部6Lに配備される左揉みマッサージ部には、左下肢Lを挟み込むように左右に離間して配備された一対のマッサージ部材8a,8bが配備されている。左外側のマッサージ部材8aは左側方から左下肢Lを覆い、左内側のマッサージ部材8bは右側方から左下肢Lを覆う。その一対のマッサージ部材8a,8bは、左下肢Lに対して揉みマッサージ動作を付与する。
【0033】
また、右施療凹部6Rに配備される右揉みマッサージ部には、右下肢Lを挟み込むように左右に離間して配備された一対のマッサージ部材8c,8dが配備されている。右内側のマッサージ部材8cは左側方から右下肢Lを覆い、右外側のマッサージ部材8dは右側方から右下肢Lを覆う。その一対のマッサージ部材8c,8dは、右下肢Lに対して揉みマッサージ動作を付与する。
【0034】
左下肢L用のマッサージ部材8a,8bを備えた左揉みマッサージ部と、右下肢L用のマッサージ部材8c,8dを備えた右揉みマッサージ部は、一定の間隔(およそ肩幅程度)をあけて左右一対配備されている。
【0035】
本実施形態においては、マッサージ部材8(揉み板)は、脹脛Cから足部Fへとつながる下肢Lに沿うように、側面視でブーツ形状(略L字形状)に形成されたものである。すなわち、マッサージ部材8は、水平で且つ前方向に突出状に設けられ、足部Fを覆う水平マッサージ部12と、水平マッサージ部12の後部から上方向に突出状に設けられ、脹脛Cを覆う垂直マッサージ部13と、を有している。なお、本実施形態では、水平マッサージ部12と垂直マッサージ部13との間(切り替わる部位)を、マッサージ部材8の基端側としている。
【0036】
図2図3などに示すように、変換部9は、回転駆動軸7の回転駆動力を、マッサージ部材8による揉みマッサージ動作をさせるための揺動運動に変換するものである。本実施形態においては、変換部9は、ブーツ形状(略L字形状)とされているマッサージ部材8の屈曲部位である基端(水平マッサージ部12の後部上方および垂直マッサージ部13の下部)に設けられている。この変換部9に、回転駆動軸7が貫通状態で配備されている。
【0037】
変換部9は、回転駆動軸7に回転自在に取り付けられていて、その回転駆動軸7に対して一体回転する回転ボス部14と、マッサージ部材8の基端部に形成され、回転ボス部14に対し摺動自在に外嵌する環状嵌合部15と、回転ボス部14に対して環状嵌合部15(マッサージ部材8)が供回りすることを規制する規制部16と、を有している。
【0038】
回転ボス部14は、中心に貫通した孔部が形成されたフランジ形状の部材であり、その孔部に回転駆動軸7が貫通している。回転ボス部14は、回転駆動軸7の軸心に対して傾斜した無端状のカム面14Zが外周面に形成されている。回転ボス部14(カム面14Z)の傾きは、例えば、左側の一対のマッサージ部材8a,8bにおいて、左右を鏡像反転させたような状態(例えば、正面視でV字状)で配備され、互いに傾斜している。
【0039】
左右一対のうちいずれか一方のマッサージ部材8に配備される回転ボス部14は、回転駆動軸7上を所定の範囲で、当該回転駆動軸7の軸心方向に沿って移動可能な移動回転ボス部14Aとされている。
【0040】
本実施形態では、外側のマッサージ部材8に配備される回転ボス部14が、回転駆動軸7上を水平移動する移動回転ボス部14Aとされている。移動回転ボス部14Aは、回転
駆動軸7上を水平移動することで、例えば、左側の一対のマッサージ部材8a,8bの間隔を調整するものとされている。
【0041】
すなわち、この移動回転ボス部14Aは、後ほど詳説する水平移動機構2を構成するスライド部14Aとされていて、孔部の内周面にねじ溝部20が形成され、そのねじ溝部20の外側に円環状の係合部22が形成されている。
【0042】
一方、本実施形態では、内側のマッサージ部材8に配備される回転ボス部14は、回転駆動軸7に対して一体回転し揺動運動をするが、回転駆動軸7上を水平移動しないように固定された固定回転ボス部14Bとされている。
【0043】
環状嵌合部15は、マッサージ部材8の基端に形成されていて、回転ボス部14を回転自在な状態で外嵌する。この環状嵌合部15に外嵌される回転ボス部14が、回転駆動軸7の軸心に対して傾斜回転することで、一対の水平マッサージ部12が近接すると一対の垂直マッサージ部13が離反し、その水平マッサージ部12が離反すると垂直マッサージ部13が近接する揺動運動を行う。
【0044】
規制部16は、環状嵌合部15の下方に配備されていて、その環状嵌合部15が回転ボス部14に対して供回りすることを規制する。規制部16は、環状嵌合部15の下方に設けられた規制ピンと、ケース体5内に設けられ、規制ピンが摺動自在に嵌り込む規制溝と、を有している。規制ピンが規制溝内において、略水平方向で左右に揺動することで、マッサージ部材8の供回りすることを規制する。なお、左右外側のマッサージ部材8a,8dに対応する規制溝については、左右外側のマッサージ部材8a,8dは左右方向に移動可能であるため、左右方向に長めに形成しておくとよい。
【0045】
さて、使用者の下肢Lは細い、太いなど様々な大きさがある。例えば、細い下肢Lの場合、左右一対のマッサージ部材8との間に隙間ができ、好適な揉みマッサージを受けることができない場合がある。また、太い下肢Lの場合、左右一対のマッサージ部材8との間が窮屈となり、好適な揉みマッサージを受けることができない場合がある。このことから、下肢用マッサージ機には、左右一対のマッサージ部材8の間隔を調整する水平移動機構(幅調整機構)が備えられているものもある。
【0046】
ところが、左右一対のマッサージ部材8の間隔を調整するに際して、マッサージ部材8の水平移動が行いにくくなる場合がある。すなわち、従来のねじ式の水平移動機構は、螺旋状のねじ山およびねじ溝の幅が終端に向けて狭まり且つ高さが無くなるものとなっているため、一対のマッサージ部材8の左右の間隔を調整する際、ねじ部を緩めるときに、ねじ山およびねじ溝が終端で引っ掛かって固着した状態となってしまい、マッサージ部材8を動かせなくなる。そこで、本実施形態の下肢用マッサージ機1においては、以下に示す特徴的な構成の水平移動機構2(幅調整機構)を有している。
【0047】
図2図12などに示すように、本実施形態のマッサージ機1においては、施療部の大きさ(幅など)に合わせて、一対のマッサージ部材8の左右間隔を調整する水平移動機構2(幅調整機構2)を有している。水平移動機構2は、左右一対のマッサージ部材8の少なくとも一方が、回転駆動軸7に沿って水平方向に移動することで、左右一対のマッサージ部材8の間隔を調整するものである。
【0048】
水平移動機構2は、左外側のマッサージ部材8a(左外側の変換部9a)と、右外側のマッサージ部材8d(右外側の変換部9d)に備えられている。すなわち、左外側のマッサージ部材8aは、水平移動機構2により、左右方向に水平移動することが可能である。また同じく、右外側のマッサージ部材8dは、水平移動機構2により、左右方向に水平移動することが可能である。
【0049】
なお、右外側のマッサージ部材8d側の水平移動機構2は、左外側のマッサージ部材8a側の水平移動機構2を反転させた動き(逆向きの動き)をする。例えば、左外側のマッサージ部材8aが右方向に水平移動すると、右外側のマッサージ部材8dは左方向に水平移動する。一方、左外側のマッサージ部材8aが左方向に水平移動すると、右外側のマッサージ部材8dは右方向に水平移動する。
【0050】
以降の説明については、左揉みマッサージ部の左外側のマッサージ部材8a(左外側の変換部9a)に備えられた水平移動機構2を例にとって進める。
【0051】
水平移動機構2(幅調整機構2)は、回転駆動軸7に取り付けられたスクリューねじ部17と、一方のマッサージ部材8aに設けられ、内周面にねじ溝部が形成されたスライド部14A(移動回転ボス部14A)と、を有している。
【0052】
図3図5などに示すように、スクリューねじ部17は、軸心が左右方向を向く回転自在の円筒状の部材であって、回転駆動軸7の長手方向中途部において串刺し状に貫通して取り付けられている。スクリューねじ部17の外周面には、螺旋状に巻き付くように形成されたねじ山部18(雄ねじ部、外歯)が形成されている。ねじ山部18は、凸部と凹部18aが交互に形成されている。ねじ山部18は、スクリューねじ部17の中央に形成された貫通孔17aの外側を周回するように形成されている。
【0053】
また、スクリューねじ部17(ねじ山部18)は、回転駆動軸7の左右方向両端側にそれぞれ形成されており、一方側のスクリューねじ部17と他方側のスクリューねじ部17とは逆ねじの関係とされているとよい。なお、スクリューねじ部17(ねじ山部18)のピッチなどの寸法・形状は、任意に設定されるものである。特に限定はしないものの、例えば、左側のスクリューねじ部17が右ねじである場合、右側のスクリューねじ部17は左ねじである。
【0054】
スクリューねじ部17(ねじ山部18)は、複数条のねじの構造とされているとよい。本実施形態においては、スクリューねじ部17(ねじ山部18)は三条ねじの構造(雄ねじ)としている。スクリューねじ部17を複数条のねじの構造とすることで、スクリューねじ部17がスライド部14Aに設けられたねじ溝部20に当接するときの力(負荷)を分散させている。ただし、スクリューねじ部17は一条ねじでも適用可能である。
【0055】
さらに、本発明においては、スクリューねじ部17は、螺旋の幅および深さが始端から終端まで一定に形成されていることを特徴としている。すなわち、ねじ山部18の螺旋の終端が狭まっていない。詳しくは、ねじ山部18の凹部18a(凸部ともに)において、始端から終端まで一定の幅および高さの螺旋である。本実施形態では、凹部18aの断面形状は、上側が広い略台形状となっている。
【0056】
なお、スクリューねじ部17(ねじ山部18)の終端は、マッサージ機1の装置内部側である。また、スクリューねじ部17(ねじ山部18)の始端は、マッサージ機1の装置外部側である。
【0057】
また、本発明においては、スクリューねじ部17の終端には、所定の広さの終端凹面19が設けられていることを特徴している。つまり、凹部18aの終端は、袋小路のような形状となっていて、一定の広さの壁面(終端凹面19)が設けられている。
【0058】
終端凹面19は、スライド部14A(移動回転ボス部14A)の装置内部側(例えば、左側から右側)への水平移動を停止する。終端凹面19は、水平移動機構2を構成するものである。
【0059】
一方、凹部18aの始端は、開放状となっていて、後述するねじ溝部20の凸部20aが嵌り込むことができるようになっている。
【0060】
本実施形態では、終端凹面19の断面形状は、凹部18aと同じく、上側が広い略台形状となっている。また、本実施形態では、ねじ山部18は三条ねじ構造であるため、終端凹面19はそれぞれ3面ある。
【0061】
終端凹面19は、後述するねじ溝部20の終端凸面21に当接する停止壁面となっている。スクリューねじ部17は、終端凹面19に終端凸面21が当接することで、スライド部14A(移動回転ボス部14A)の装置内部側(例えば、左側から右側)への水平移動を制限し停止する。
【0062】
終端凹面19は、ねじ溝部20の終端凸面21と当接するだけであり、ねじ込まれないものとなっている。すなわち、スクリューねじ部17(ねじ山部18)は、従来のねじ構造のような、ねじ込まれる構造とはなっていない。
【0063】
しかし、一対のマッサージ部材8の間隔を狭める調整を行った後の終端凹面19(停止壁面)と、ねじ溝部20の終端凸面21との当接面においては、締結方向の荷重は確実にかかっている。これにより、揉みマッサージ機構3を駆動させたときに、左外側のマッサージ部材8aは問題なく、左内側のマッサージ部材8bと同様に通常どおりに揺動する。
【0064】
すなわち、スクリューねじ部17(ねじ山部18)は、複数条のねじの構造で且つ、始端から終端まで一定の幅および高さの螺旋とされ、終端凹面19がある袋小路状となっている。これにより、スクリューねじ部17をスライド部14Aのねじ溝部20に締め込むときの必要以上の食い込みを防ぐことができる。
【0065】
図3図4図6などに示すように、本実施形態では、スライド部14Aは、変換部9aを構成する移動回転ボス部14Aとされている。そのスライド部14Aの内周面には、ねじ山部18と噛み合うねじ溝部20(雌ねじ部、内歯)が形成されている。ねじ溝部20は、ねじ山部18の凸部と合う凹部と、凹部18aと合う凸部20aが交互に形成されている。
【0066】
ねじ溝部20は、スライド部14A(移動回転ボス部14A)の中央に形成された貫通した孔部の内側を周回するように形成されている。また、ねじ溝部20の外周には、円環状の周壁部20bが設けられている。すなわち、ねじ溝部20の終端側(内側)の周囲は、円筒形状となっている。なお、ねじ溝部20の終端は、マッサージ機1の装置内部側である。また、ねじ溝部20の始端は、マッサージ機1の装置外部側である。
【0067】
また、ねじ溝部20は、左右のスライド部14A内にそれぞれ形成されており、一方側のねじ溝部20と他方側のねじ溝部20とは逆ねじの関係とされているとよい。なお、ねじ溝部20は、スクリューねじ部17(ねじ山部18)と噛み合う関係により、そのスクリューねじ部17(ねじ山部18)のピッチなどの寸法・形状により設定されるものである。特に限定はしないものの、例えば、左側のねじ溝部20が右ねじである場合、右側のねじ溝部20は左ねじである。
【0068】
スライド部14Aは、ねじ溝部20がねじ山部18に噛み合っていることにより、スクリューねじ部17を外側から摺動自在に嵌合するように設けられる。スクリューねじ部17が回転すると、スライド部14Aはスクリューねじ部17上を左右方向に水平移動する。
【0069】
ねじ溝部20は、複数条のねじの構造とされているとよい。本実施形態においては、ねじ溝部20は、ねじ山部18と対応するように、三条ねじの構造(雌ねじ)である。ねじ溝部20を複数条のねじの構造とすることで、スクリューねじ部17がスライド部14Aのねじ溝部20に当接するときの力(負荷)を分散させている。ただし、ねじ溝部20は、スクリューねじ部17と同じく、一条ねじでも適用可能である。
【0070】
さらに、本発明においては、ねじ溝部20は、スクリューねじ部17の螺旋を転写した形状とされ且つ、螺旋の幅が始端から終端まで一定に形成されていることを特徴としている。すなわち、ねじ溝部20の螺旋の終端が狭まっていない。
【0071】
詳しくは、ねじ溝部20の凸部20a(凹部ともに)において、ねじ山部18と同様に、始端から終端まで一定の幅の螺旋である。本実施形態では、凸部20aの断面形状は、下側が広い略台形状となっている。
【0072】
また、本発明においては、ねじ溝部20の終端には、終端凹面19と同じ広さの終端凸面21が設けられていることを特徴している。つまり、凸部20aの終端には、ねじ山部18の終端凹面19に対応する一定の広さの壁面(終端凸面21)が設けられている。
【0073】
終端凸面21は、終端凹面19と当接することで、スライド部14Aの装置内部側(例えば、左側から右側)への水平移動を停止する。終端凸面21は、水平移動機構2を構成するものである。
【0074】
一方、凸部20aの始端は、開放状となっていて、スクリューねじ部17の凹部18aが嵌り込むことができるようになっている。つまり、ねじ溝部20の終端はスクリューねじ部17に向く側であり、始端は外部へ向う側(後述するストッパー部材27に向く側)である。
【0075】
すなわち、終端凸面21は、ねじ山部18の終端凹面19と同じ広さであり、スライド部14Aの内側であって、ねじ溝部20の終端に設けられている。本実施形態では、終端凸面21の断面形状は、凸部20aと同じく、下側が広い略台形状となっている。
【0076】
また、本実施形態では、ねじ溝部20は、ねじ山部18に対応するものであるため、三条ねじ構造である。また同じく、終端凸面21も、終端凹面19に対応するものであるた
め、それぞれ3面設けられている。
【0077】
終端凸面21は、ねじ山部18の終端凹面19に当接する停止壁面となっている。つまり、終端凹面19に終端凸面21が当接することで、スライド部14A(移動回転ボス部14A)の装置内部側(例えば、左側から右側)への水平移動を制限し停止する。
【0078】
終端凸面21は、ねじ山部18の終端凹面19と当接するだけであり、ねじ込まれないものとなっている。すなわち、ねじ溝部20は、従来のねじ構造のような、ねじ込まれる構造とはなっていない。
【0079】
本発明の水平移動機構2は、スクリューねじ部17(ねじ山部18)およびねじ溝部20ともに、螺旋の幅および高さが始端から終端まで一定であり、締めこみ時に互いの終端で終端凹面19および終端凸面21がねじ込まれず接触しているため、揉みマッサージ動作時に荷重は確実にかかり、さらに一対のマッサージ部材8の間隔(幅)を調整する際には、ねじ山部18がねじ溝部20から簡単に抜けるので緩めやすい、間隔の調整(幅調整)に好適な構造となっている。
【0080】
図7図8などに示すように、スライド部14Aの内部であって、終端凸面21と反対側となる外側(後述するストッパー部材27に向く側)には、スライド部14Aの装置外部側(例えば、右側から左側)への水平移動を停止するための係合部22が形成されている。係合部22は、水平移動機構2を構成するものである。係合部22には、後述するストッパー部材27の端面28と当接することで、スライド部14Aの装置外部側への水平移動を停止するための係合面23が形成されている。
【0081】
詳しくは、ねじ溝部20の始端より外側には、円環状の係合部22が設けられている。係合部22には、半円形状の突出部24が設けられている。突出部24(凸状部)は、ストッパー部材27の切り欠き部30(凹状部)と嵌り合うものとなっている。また、突出部24の外周には、円環状の周壁部25が設けられている。すなわち、突出部24の周囲は、円筒形状となっている。
【0082】
突出部24の一方側には、一定の広さの壁面(係合面23)が設けられている。係合面23は、略垂直の壁面であり、略矩形状となっている。つまり、係合面23は、突出部24の一方側から垂れ下がるように形成されている。その係合面23は、ストッパー部材27の端面28と同じ広さとなっている。また、本実施形態では、三条ねじ構造であるため、係合面23はそれぞれ3面ある。
【0083】
すなわち、係合面23は、ストッパー部材27の端面28に当接する停止壁面となっている。係合部22は、係合面23に端面28が当接することで、スライド部14A(移動回転ボス部14A)の装置外部側(例えば、右側から左側)への水平移動を制限し停止する。係合面23は、ストッパー部材27の端面28と当接するだけであり、ねじ込まれないものとなっている。すなわち、従来のねじ構造のような、ねじ込まれる構造とはなっていない。
【0084】
突出部24の他方側には、切り欠き部26が設けられている。切り欠き部26は凹形状とされ、ストッパー部材27の突出部29と嵌り合うものとなっている。また、本実施形態の突出部24、切り欠き部26も、三条ねじ構造と対応するように、3つ設けられている。
【0085】
切り欠き部26は、突出部24から徐々に傾斜してゆき、別の突出部24に到達したところで段差ができる、窪んだ形状となっている。その段差が係合面23であり、そこからまた別の突出部24が形成される。このように、係合面23~突出部24~切り欠き部26が周回するように階段状に形成されている。
【0086】
すなわち、係合部22は、ねじ溝部20の外側に円環状に形成され、係合面23と、突出部24と、切り欠き部26と、を有している。係合部22の係合面23、突出部24、切り欠き部26は凹状部となり、後述するストッパー部材27の端面28、突出部29、切り欠き部30に合致する形状となっている。
【0087】
図3図4図8などに示すように、回転駆動軸7の端部には、スライド部14Aの装置外部側(例えば、右側から左側)への水平移動を停止するストッパー部材27が設けられている。ストッパー部材27には、係合部22の係合面23と当接することで、スライ
ド部14Aの装置外部側への水平移動を停止する端面28が形成されている。
【0088】
詳しくは、ストッパー部材27は、軸心が左右方向を向くリング状の部材であって、回転駆動軸7の端部に設けられている。ストッパー部材27の内側面(スライド部14Aに向く側)には、突出部29が設けられている。突出部29(凸状部)は、スライド部14Aの切り欠き部26(凹状部)と嵌り合うものとなっている。ストッパー部材27は、水平移動機構2を構成するものである。
【0089】
突出部29の一方側には、一定の広さの壁面(端面28)が設けられている。端面28は、略垂直の壁面であり、略矩形状となっている。つまり、端面28は、突出部29の一方側から垂れ下がるように形成されている。その端面28は、係合部22の係合面23と同じ広さとなっている。また、本実施形態では、三条ねじ構造なので、端面28はそれぞれ3面ある。
【0090】
すなわち、端面28は、係合部22の係合面23に当接する停止壁面となっている。ストッパー部材27は、端面28に係合面23が当接することで、スライド部14A(移動回転ボス部14A)の装置外部側(例えば、右側から左側)への水平移動を制限し停止する。端面28は、係合部22の係合面23と当接するだけであり、ねじ込まれないものとなっている。従来のねじ構造のような、ねじ込まれる構造とはなっていない。
【0091】
突出部29の他方側には、切り欠き部30が設けられている。切り欠き部30は凹形状とされ、スライド部14Aの突出部24と嵌り合うものとなっている。また、本実施形態の突出部29、切り欠き部30も、三条ねじ構造と対応するように、3つ設けられている。
【0092】
切り欠き部30は、突出部29から徐々に傾斜してゆき、別の突出部29に到達したところで段差ができる、窪んだ形状となっている。その段差が端面28であり、そこからまた別の突出部29が形成される。このように、端面28~突出部29~切り欠き部30は、ストッパー部材27の中央に形成された貫通孔31の外側を周回するように階段状に形成されている。
【0093】
すなわち、ストッパー部材27は、円環状に形成され、端面28と、突出部29と、切り欠き部30と、を有している。ストッパー部材27の端面28、突出部29、切り欠き部30は凸状部となり、係合部22の係合面23、突出部24、切り欠き部26に合致する形状となっている。
【0094】
ところで、一対のマッサージ部材8の間隔を広げる調整を行った後の係合部22の係合面23と、ストッパー部材27の端面28(停止壁面)との当接面においては、締結方向の荷重は確実にかかっている。これにより、揉みマッサージ機構3を駆動させたときに、左外側のマッサージ部材8aは問題なく、左内側のマッサージ部材8bと同様に通常どおりに揺動する。
【0095】
すなわち、本発明の水平移動機構2は、スライド部14Aの右方向(装置内部側)への水平移動を制限する終端凹面19を備えるスクリューねじ部17と、回転駆動軸7上を水平移動が可能であり且つ、終端凹面19に当接する終端凸面21が形成されたねじ溝部20を備えるスライド部14A(移動回転ボス部14A)と、そのスライド部14A(終端凸面21の反対側)に形成された係合面23を備える係合部22と、係合面23に当接する端面28が形成され、スライド部14Aの左方向(装置外部側)への水平移動を制限するリング形状のストッパー部材27と、を有している。
[作動態様]
次いで、本発明の下肢用マッサージ機1の作動態様について、図を参照しながら説明する。なお、以降の説明については、左揉みマッサージ部の左外側のマッサージ部材8a(左外側の変換部9a)に備えられた水平移動機構2を用いて、左側の一対のマッサージ部材8a,8bの間隔(幅)を調整する場合を例にとって進める。
<右方向(内側)への水平移動、幅を狭める調整>
図9図10の右図から左図への移行、すなわち左右一対のマッサージ部材8a,8bの左右の間隔を狭める、幅狭動作について説明する。
【0096】
図9図11などに示すように、水平移動機構2により左外側のマッサージ部材8aを
右方向(一方の方向)に水平移動させて、左右一対のマッサージ部材8a,8bの間隔を狭める調整をする際、回転駆動軸7を一方の方向に回転(例えば、正回転)させると、それに伴ってスクリューねじ部17が一方の方向に回転(正回転)する。ねじ溝部20とねじ山部18の噛み合いにより、スライド部14Aはスクリューねじ部17上を摺動しながら左側から右方向(内側)に水平移動をする。
【0097】
スライド部14A(移動回転ボス部14A)がスクリューねじ部17上を左側(外側)から右方向(装置内部側)に水平移動して、ねじ溝部20の終端凸面21が、スクリューねじ部17の終端凹面19に当接すると、スライド部14Aはスクリューねじ部17上の右方向への水平移動を停止する。左外側のマッサージ部材8aは、左内側のマッサージ部材8bに近づく。
【0098】
図11に示すように、スライド部14A(移動回転ボス部14A)がスクリューねじ部17の終端に到達すると、3つの終端凸面21がそれぞれの終端凹面19に係合される。この係合によって、回転駆動軸7の回転駆動力による荷重がかかって、スクリューねじ部17とスライド部14Aが締結状態になる。このスライド部14Aは、回転駆動軸7と一体回転可能な状態となる。すなわち、左外側のマッサージ部材8aは、変換部9aを介して回転駆動軸7と接続されて、回転駆動力が伝達可能状態となる。
【0099】
このように、水平移動機構2を動作させることにより、左外側のマッサージ部材8aが左内側のマッサージ部材8bに近づき、左外側のマッサージ部材8aと左内側のマッサージ部材8bの左右の間隔が狭くなる。
【0100】
左右の間隔が狭いマッサージ部材8a,8bは、揉みマッサージ機構3の駆動により揺動運動をし、小さい施療部(例えば、細い下肢L)に対して、効果的で且つ快適な揉みマッサージ動作を付与することができる。
<左方向(外側)への水平移動、幅を広げる調整>
図9図10の左図から右図への移行、すなわち左右一対のマッサージ部材8a,8bの左右の間隔を広げる、幅広動作について説明する。
【0101】
図9図10図12などに示すように、水平移動機構2により左外側のマッサージ部材8aを左方向(他方の方向)に水平移動させて、左右一対のマッサージ部材8の間隔(幅)を広げる調整をする際、回転駆動軸7を他方の方向に回転(例えば、逆回転)させると、それに伴ってスクリューねじ部17が他方の方向に回転(逆回転)する。
【0102】
すると、スクリューねじ部17とねじ溝部20が緩まり、終端凹面19から終端凸面21が離れる。スライド部14A(移動回転ボス部14A)は、スクリューねじ部17に対して縁切り状態となって無負荷となり、スクリューねじ部17上が右側から左方向に水平移動が可能となる。
【0103】
本実施形態では、スクリューねじ部17とねじ溝部20のそれぞれの螺旋の幅および高さが始端から終端まで一定であり且つ、終端凹面19から終端凸面21が当接しているだけであるため、つまり従来のようにテーパー形状のねじ込み部位が無いため、スクリューねじ部17とねじ溝部20の間で引っ掛かりが無く、ねじ溝部20からねじ山部18が簡単に抜くことができ、スライド部14Aの水平移動が容易となる。
【0104】
ねじ溝部20とねじ山部18の噛み合いにより、スライド部14A(移動回転ボス部14A)はスクリューねじ部17上を摺動しながら左方向(装置外部側)に水平移動をする。
【0105】
スライド部14Aがスクリューねじ部17上を右側(装置内部側)から左方向(装置外部側)に水平移動して、係合部22の係合面23が、ストッパー部材27の端面28に当接すると、スライド部14Aはスクリューねじ部17上の左方向への水平移動を停止する。左外側のマッサージ部材8aは、左内側のマッサージ部材8bから遠ざかる。
【0106】
図12に示すように、スライド部14A(移動回転ボス部14A)がストッパー部材27に到達すると、係合部22の3つの突出部24が、ストッパー部材27のそれぞれの切り欠き部30に嵌り込む。また、ストッパー部材27の3つの突出部29が、係合部22のそれぞれの切り欠き部26に嵌り込む。
【0107】
そして、係合部22の3つの係合面23が、ストッパー部材27のそれぞれの端面28
に係合されると、回転駆動軸7の回転駆動力による荷重がかかって、スクリューねじ部17とスライド部14Aが締結状態になる。このスライド部14Aは、回転駆動軸7と一体回転可能な状態となる。すなわち、左外側のマッサージ部材8aは、変換部9aを介して回転駆動軸7と接続されて、回転駆動力が伝達可能状態となる。
【0108】
このように、水平移動機構2を動作させることにより、左外側のマッサージ部材8aが左内側のマッサージ部材8bから遠ざかり、左外側のマッサージ部材8aと左内側のマッサージ部材8bの左右の間隔が広くなる。
【0109】
左右の間隔が広いマッサージ部材8a,8bは、揉みマッサージ機構3の駆動により揺動運動をし、大きい施療部(例えば、太い下肢L)に対して、効果的で且つ快適な揉みマッサージ動作を付与することができる。
【0110】
まとめると、水平移動機構2が回転駆動軸7の回転により動作することにより、ねじ溝部20とねじ山部18が噛み合っているスクリューねじ部17が回転することで、スライド部14A(移動回転ボス部14A)がスクリューねじ部17を摺動して、左外側のマッサージ部材8aは回転駆動軸7上を左右方向に移動することができる。
【0111】
例えば、スライド部14Aが右方向(装置内部側)に水平移動すると、ねじ溝部20の終端凸面21が、ねじ山部18の終端凹面19に当接し、スライド部14A(移動回転ボス部14A)の右方向への水平移動が止まる。また、ねじ山部18とねじ溝部20の螺旋の幅および高さが始端から終端まで一定であるので、容易に緩めることができる。
【0112】
一方、スライド部14Aが左方向(装置外部側)に水平移動すると、係合部22の係合面23が、ストッパー部材27の端面28に当接し、スライド部14A(移動回転ボス部14A)の左方向への水平移動が止まる。
【0113】
この動作により、左外側のマッサージ部材8aが回転駆動軸7上を左右方向に移動するので、水平移動機構2による一対のマッサージ部材8a,8bの左右間隔を調整することができる。
【0114】
本発明のマッサージ機1は、使用者の体格が異なることによって施療部の幅(大きさや太さなど)が異なる場合であっても、その施療部の幅に合わせて、左右一対のマッサージ部材8の間隔を容易に調整することができる水平移動機構2を備えていることにより、その間隔を調整するときに、回転駆動軸7に対するマッサージ部材8の締結状態の解除がよりしやすくなり、それぞれの使用者に合った効果的で且つ快適なマッサージを付与することができる。
【0115】
具体的には、水平移動機構2は、螺旋の幅および深さが始端から終端まで一定のねじ山部18を設け且つ、その終端には所定の広さの終端凹面19が設けられたスクリューねじ部17と、螺旋の幅および深さが始端から終端まで一定に形成され且つ、その終端には所定の広さの終端凸面21が設けられたねじ溝部20と、を有している。
【0116】
この特徴的な水平移動機構2に備えることで、スライド部14A(移動回転ボス部14A)とスクリューねじ部17が締結状態となっている(回転駆動軸7と接続されている)ときに、終端凹面19と終端凸面21が食い込みなく当接した状態となっているので、スライド部14Aをスクリューねじ部17との締結状態から引っ掛かりなく緩めることができ、一対のマッサージ部材8の間隔の調整がよりしやすくなり、それぞれの使用者に合った効果的で且つ快適な揉みマッサージを付与することができる。
【0117】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【0118】
例えば、揉みマッサージ機構3に備えられているマッサージ部材8の長さや、マッサージ部材8(回転ボス部14(カム面14Z))の回転駆動軸7に対する傾斜角度、左右にあるマッサージ部材8の離間距離などは、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。また、例えば、本実施形態では、施療部として下肢Lを例示したが、腕部(上肢)または腰部、首部、肩部などを施療部としたマッサージ機、また椅子型マッサージ機に備えられている背
部マッサージ機構などに、本発明の水平移動機構2を備えることは可能である。
【符号の説明】
【0119】
1 マッサージ機(下肢用マッサージ機)
2 水平移動機構(幅調整機構)
3 揉みマッサージ機構
4 駆動部
7 回転駆動軸
8 マッサージ部材
8a マッサージ部材(左外側)
8b マッサージ部材(左内側)
9 変換部
9a 変換部(左外側)
14 回転ボス部
14A 移動回転ボス部(スライド部)
15 環状嵌合部
16 規制部
17 スクリューねじ部
17a 貫通孔
18 ねじ山部
18a 凹部
19 終端凹面
20 ねじ溝部
20a 凸部
20b 周壁部
21 終端凸面
22 係合部
23 係合面
24 突出部
25 周壁部
26 切り欠き部
27 ストッパー部材
28 端面
29 突出部
30 切り欠き部
31 貫通孔
L 下肢
C 脹脛
F 足部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12