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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154950
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61H7/00 320A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069197
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】沼田 康一
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD15
4C100BA05
4C100BB04
4C100DA10
(57)【要約】
【課題】マッサージ部材の緩衝材に自在に変形する機能を持たせることで施療部の形状に沿うようになり、マッサージ部材が施療部に常に接触している状態にすることで、心地よく快適にマッサージを行え、リラックス効果をさらに向上するマッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明は、施療部を挟み込んで揉む左右一対のマッサージ部材6を有するマッサージ機1において、マッサージ部材6の施療部側の側面には、施療部に沿って形状を変形可能とされた緩衝材10が設けられていて、緩衝材10は、内容物11が封入された可変形性の袋体12を備え、内容物11は、流動性を有するものであり、袋体12の内部を自在に移動可能となっていて、内容物11の流動により緩衝材10は施療部に沿ってフィットする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療部を挟み込んで揉む左右一対のマッサージ部材を有するマッサージ機において、
前記マッサージ部材の施療部側の側面には、前記施療部に沿って形状を変形可能とされた緩衝材が設けられていて、
前記緩衝材は、内容物が封入された可変形性の袋体を備え、
前記内容物は、流動性を有するものであり、前記袋体の内部を自在に移動可能となっている
ことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記袋体内に封入される内容物の分量は、前記袋体の内部の全体積より少なく且つ、前記袋体の内部に空間部を残存する状態となる量とされている
ことを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記緩衝材は、前記袋体の内部を前記内容物が一方から他方に向かって自在に流動し、また他方から一方に向かって自在に流動することが可能とされ、前記施療部に沿ってフィットする構成とされている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記一対のマッサージ部材の一方側が近接して前記施療部の一方側を挟み込み、その後離反する動作を行うとき、
前記内容物は、前記袋体内において、前記一対のマッサージ部材の一方側が近接すると当該一方側では減少し、前記一対のマッサージ部材の一方側が離反すると当該一方側に集まって貯留される
ことを特徴とする請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記一対のマッサージ部材の離反側において、前記袋体内での前記内容物の流動により膨れた前記緩衝材を介して、前記施療部と前記一対のマッサージ部材との接触状態が維持される
ことを特徴とする請求項4に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の施療部(例えば、下肢)に対して、より快適なマッサージを行うことができるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施療部(例えば、足部から脹脛かけての下肢)を挟み込んで揉むマッサージを行うマッサージ部材(揉み板)を対向する位置に左右一対備えたマッサージ機が市販されている。例えば、特許文献1には、左右一対のマッサージ部材を互いに近接離反するように揺動させることにより、施療部を左右両側からの押圧を強めたり緩めたりすることを繰り返して揉むマッサージ動作を行うマッサージ機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6412517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1は、様々な体格の使用者であっても、施療部に対し左右一対のマッサージ部材による効果的な揉みマッサージを可能とするものである。従来のマッサージ部材は、硬質な板部材とされていて、揉みマッサージ時に施療部の痛みなどを和らげるため、施療部と接触する側(内側)にウレタンなど軟質の緩衝材が配備されている。
【0005】
この従来の緩衝材について、マッサージ部材の押圧側(近接側)は施療部を押すことにより少し変形するが、非押圧側は施療部から離反しているため変形しない。そのため、マッサージ部材の非押圧側では、施療部とマッサージ部材の間で空間ができ、揉みマッサージにおける施療部とマッサージ部材の一体感が薄いといった課題があった。
【0006】
このようなことより近年では、マッサージ機において、心地よく快適にマッサージを行えて且つ、リラックス効果のさらなる向上が求められている。このような使用者の要望に応えるべく、マッサージ部材の緩衝材について、揉みマッサージ時において、一対のマッサージ部材が離反した側でも、施療部の形状に沿う機能を持たせるなどの付加価値を検討した。
【0007】
本発明は、上述の市場のニーズなどの課題を鑑みてなされたものであり、マッサージ部材の緩衝材に自在に変形する機能を持たせることで施療部の形状に沿うようになり、マッサージ部材が施療部に常に接触している状態にすることで、心地よく快適にマッサージを行え、リラックス効果をさらに向上するマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
【0009】
本発明にかかるマッサージ機は、施療部を挟み込んで揉む左右一対のマッサージ部材を有するマッサージ機において、前記マッサージ部材の施療部側の側面には、前記施療部に沿って形状を変形可能とされた緩衝材が設けられていて、前記緩衝材は、内容物が封入された可変形性の袋体を備え、前記内容物は、流動性を有するものであり、前記袋体の内部を自在に移動可能となっていることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記袋体内に封入される内容物の分量は、前記袋体の内部の全体積より少なく且つ、前記袋体の内部に空間部を残存する状態となる量とされているとよい。
【0011】
好ましくは、前記緩衝材は、前記袋体の内部を前記内容物が一方から他方に向かって自在に流動し、また他方から一方に向かって自在に流動することが可能とされ、前記施療部に沿ってフィットする構成とされているとよい。
【0012】
好ましくは、前記一対のマッサージ部材の一方側が近接して前記施療部の一方側を挟み込み、その後離反する動作を行うとき、前記内容物は、前記袋体内において、前記一対のマッサージ部材の一方側が近接すると当該一方側では減少し、前記一対のマッサージ部材の一方側が離反すると当該一方側に集まって貯留されるとよい。
【0013】
好ましくは、前記一対のマッサージ部材の離反側において、前記袋体内での前記内容物
の流動により膨れた前記緩衝材を介して、前記施療部と前記一対のマッサージ部材との接触状態が維持されるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマッサージ機によれば、マッサージ部材の緩衝材に自在に変形する機能を持たせることで施療部の形状に沿うようになり、マッサージ部材が施療部に常に接触している状態にすることで、心地よく快適にマッサージを行え、リラックス効果をさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のマッサージ機の全体構成を示した斜視図である。
図2】マッサージ機の内部構造を示した斜視図であり、マッサージ部材の前側が離反したときにおける、緩衝材を構成する袋体内の内容物(ビーズ)の流動状況を示した斜視図である。
図3】マッサージ機の内部構造を示した斜視図であり、マッサージ部材の後側が離反したときにおける、緩衝材を構成する袋体内の内容物(ビーズ)の流動状況を示した斜視図である。
図4】マッサージ部材が近接離反する際における、緩衝材を構成する袋体内の内容物(ビーズ)の流動状況を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるマッサージ機の実施形態を、図を参照して説明する。
【0017】
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。また、図面に関して、見やすくするため、構成部品の一部を省略したり、仮想線などを用いて描いている。
【0018】
また、マッサージ機1の前後及び左右等の方向については、図面に示す通りである。以降の説明においては、図面において示す方向を、本発明のマッサージ機1を説明する際の方向とする。
【0019】
本明細書においては、マッサージ機1における揉みマッサージの対象となる施療部を下肢とする。下肢は、足部、脹脛、腿部などの部位である。足部は、つま先(足先)から踵までの部位である。脹脛は、膝から踝までであり、脛の後側の部位である。腿部は、脚の付け根から膝までの部位である。
【0020】
すなわち、本実施形態のマッサージ機1は下肢を施療対象とし、使用者の左右両方の下肢に揉みマッサージを付与可能に構成されている。なお、以降の説明においては、足部を施療部として説明してゆく。また、施療部については、下肢だけでなく、例えば腕部(上腕)なども可能である。
【0021】
図1に、本発明にかかるマッサージ機1の全体構成を示す。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のマッサージ機1は、例えば使用者の左右両方の足部(施療部)に対して揉みマッサージ動作を付与するマッサージ機構2と、そのマッサージ機構2などを収容するケース体3と、を有している。
【0023】
ケース体3は、マッサージ機構2を覆う筐体であり、マッサージ機構2が配備される基盤体3aと、基台を上方から覆うように配備されるカバー体3bと、を有している。基盤体3aの下側には、床面に安定して載置する脚部3cが四隅に設けられている。
【0024】
カバー体3bには、施療部を挿入することができる施療凹部4が、互いに左右に離れて並設されている。また、施療凹部4は、施療部を挿入可能にするため、前方・上方・後方へ向けて開放状に設けられている。また、カバー体3b上面で且つ、左右一対の施療凹部4の間には、マッサージ機構2の電源ON・OFFや、揉みマッサージの強弱などを操作する操作部5が設けられている。
【0025】
図2図4に、マッサージ機構2の構造を示す。図2に、マッサージ部材6の前側が離反したときにおける、緩衝材10を構成する袋体12内の内容物11(ビーズ11)の流動状況を示す。図3に、マッサージ部材6の後側が離反したときにおける、緩衝材10を構成する袋体内のビーズ11の流動状況を示す。
【0026】
図4に、マッサージ部材6が近接離反する際における、緩衝材10を構成する袋体12
内のビーズ11の流動状況を示す。なお、図4は、右側の足部に対して施療する一対のマッサージ部材6に備えられた緩衝材10に着目して示した図である。
【0027】
図2図4などに示すように、マッサージ機構2は、揉みマッサージ動作を行うマッサージ部材6と、回転駆動力を出力する駆動部7と、駆動部7から出力された回転駆動力により回転する回転駆動軸8と、回転駆動軸8の回転駆動力を揺動運動に変換する変換部9と、を有する。
【0028】
マッサージ部材6は、使用者の右側の足部、左側の足部に対応するように、ケース体3(カバー体3b)上に設けられた右側と左側の施療凹部4のそれぞれに備えられている。つまり、マッサージ部材6は、右側の施療凹部4内に左右一対配備されるとともに、左側の施療凹部4内に左右一対配備されている。
【0029】
マッサージ部材6は、ケース体3を構成する基盤体3aの上に備えられている部材であり、足部などの施療部を挟み込むことができるように左右に離間して一対配備されている。つまり、一対のマッサージ部材6の離間距離は、足部の幅と略同じである。なお、一対のマッサージ部材6の離間距離については、任意に変更可能である。例えば、足部の幅が広い(細い)場合や、脹脛や腿部などを施療部にする場合、後述する水平移動機構23により、一対のマッサージ部材6の間隔を広げたり狭めたりすることが可能である。
【0030】
この左右一対のマッサージ部材6は、回転駆動軸8の回転駆動力が変換部9により揺動運動に変換されて伝達されることにより、近接離反してうねるような揺動動作をするので、足部などの施療部に対して挟み込んで揉む、揉みマッサージ(押圧マッサージ)を効果的に付与する。
【0031】
本実施形態のマッサージ部材6は、足部の長さと略同じ長さの板部材である。なお、マッサージ部材6は板部材となっている。このマッサージ部材6については、可撓性があるものが好ましい。
【0032】
本実施形態においては、マッサージ部材6の長手方向中途部を基端としている。そのマッサージ部材6の基端には、環状の開口部が設けられていて、開口部に変換部9が配備されている。その変換部9には、回転駆動軸8が貫通して配備されている。マッサージ部材6は、基端から前後方向に突出した状態で配備されていて、足部(施療部)に対して揉みマッサージ動作を付与する。
【0033】
図2図4などに示すように、マッサージ部材6が互いに対向する面(内側面)には、硬質の板部材による施療部(足部)への接触感を和らげる緩衝材10(クッション材10)が設けられている。さて従来は、緩衝材10として、発泡ウレタン等の弾性部材を用いていた。
【0034】
本発明は、上記の課題でも挙がったように、より心地よく快適にマッサージを行う要望があり、それを実現すべく、マッサージ部材6の内側面(施療部側の側面)に、施療部に沿って形状を変形可能とされた緩衝材10を設けている。緩衝材10は、内容物11が封入された可変形性の袋体12を備えている。内容物11は、流動性を有するものであり、袋体12の内部を自在に移動可能となっている。
【0035】
すなわち、本発明の緩衝材10は、袋体12の内部を内容物11が一方から他方に向かって自在に流動し、また他方から一方に向かって自在に流動することで、施療部(足部など)に沿ってフィットする。本実施形態では、流動性を有する内容物11(詰め物)として、ビーズ11を袋体12(緩衝材10)の内部に封入している。
【0036】
このビーズ11の素材としては、様々なものが想定される。例えば、発泡スチロール粒、ポリエチレン粒、粒状パイプ等が好適であり、いずれもその直径は数mm~数cm程度である。なお、内容物11については、流動性を有するものであれば、例示したものに限らず採用可能である。例えば、水、ジェル(粘性の液体・流体)などを内容物11として用いてもよい。
【0037】
袋体12内に封入される内容物11の分量は、袋体12の内部の全体積より少なく且つ、袋体12の内部に空間部を残存する状態となる量とされている。詳しくは、緩衝材10を構成する袋体12内に封入して使用されるビーズ11の分量としては、袋体12内の全体積の50~90%程度とされ、ビーズ11が袋体12内を容易に移動可能なように、袋体12内に遊びの空間部を敢えて残存する状態としている。
【0038】
すなわち、袋体12内に封入して使用されるビーズ11の分量は、袋体12の内部を容易に移動可能なように、袋体12の内部の全体積より少なく且つ、袋体12の内部に空間部を残存する状態となる量である。
【0039】
つまり、ビーズ11(内容物11)の分量については、袋体12の容積より少ない量とされている。言い換えれば、ビーズ11は、袋体12内が満たされて膨らむほどは封入されていない。
【0040】
また、ビーズ11は、緩衝材10としての機能を有する(マッサージ部材6の接触による施療部への強い押圧を和らげる)とともに、袋体12内を移動可能な量とされている。なお、ビーズ11の素材や封入量などについては、適宜変更可能であり、マッサージの体感などを考慮して決定するとよい。
【0041】
すなわち、本実施形態では、マッサージ部材6(揉み板6)の内側(施療部と接触する側)には、内部にビーズ11が封入された袋体12を備えた緩衝材10が取り付けられている。このような、内容物11としてビーズ11を一定量、袋体12に封入した構成のため、緩衝材10はその形を施療部の形状に沿って自在に変えることができる。
【0042】
ここで、袋体12の内部でのビーズ11の動きについて、図2図4などを基に説明する。
【0043】
図2図4などに示すように、一対のマッサージ部材6の一方側が近接すると、ビーズ11は施療部の形状に沿って、離反するマッサージ部材6の他方側へと移動し、その他方側の袋体12内にビーズ11が貯留され、マッサージ部材6の一方側の袋体12内に存在したビーズ11が少なくなるといった、ビーズ11が袋体12内を自在に流動することが可能な構成となっている。
【0044】
また、一対のマッサージ部材6の離反側において、袋体12内でのビーズ11の流動により、緩衝材10を介して施療部と一対のマッサージ部材6との接触状態が維持される。このとき、ビーズ11は、一対のマッサージ部材6の近接側で施療部に対して適度に押圧するとともに、一対のマッサージ部材6の離反側において施療部に対する接触状態を維持可能とする構成となっている。
【0045】
図2図3などに示すように、駆動部7は、回転駆動軸8を回転駆動させて、変換部9で回転駆動軸8の回転駆動力を揺動運動に変換し、マッサージ部材6を揉みマッサージ動作させることで、マッサージ機構2を動作させる。
【0046】
すなわち、駆動部7は、右側の足部に対応する左右一対のマッサージ部材6と、左側の足部に対応する左右一対のマッサージ部材6と、を同時に駆動させる回転駆動力を発生させる。この回転駆動力により、施療凹部4内に嵌め入れられる足部に対して左右一対のマッサージ部材6が近接離反動作をするので、足部に対して揉みマッサージ動作を付与することができる。
【0047】
駆動部7は、回転駆動力を出力する駆動モータ13と、回転駆動力を所定の速度に減速して、回転駆動軸8に伝達するギアケース14と、を有している。
【0048】
駆動モータ13は、ケース体3内の上下方向中途部に配備されている。詳しくは、駆動モータ13は、右内側のマッサージ部材6と左内側のマッサージ部材6との間(ケース体3内の略中央)に配備されている。また、駆動モータ13は、出力軸13aが前方に突出するように配備されている。この出力軸13aには、ウォームギアが取り付けられている。
【0049】
ギアケース14は、駆動モータ13の前側下方に配備されていて、ウォームホイールなどの複数のギア15および伝達軸16が格納されている。このギアケース14には、出力軸13aが挿入され、回転駆動軸8が左右方向に貫通して備えられている。すなわち、出力軸13aと回転駆動軸8は、ギアケース14にて直交方向に接続されている。ギアケース14は、支持部材17aに支持されている。
【0050】
つまり、駆動モータ13から出力される回転駆動力は、出力軸13aから前側下方のギアケース14へ入力され、そのギアケース14で所定の速度に減速されて、回転駆動軸8に伝達されることとなる。
【0051】
回転駆動軸8は、ケース体3内において、軸心が水平で且つ左右方向を向くように1つ配備されている。回転駆動軸8は、左右一対のマッサージ部材6の基端側(長手方向中途部)を左右方向に亘って、貫通するように設けられている。
【0052】
回転駆動軸8は、両端がベアリングを介して、ケース体3内の底部から立設された支持部材17bにより支持されている。また、回転駆動軸8の長手方向中途部は、ギアケース14を介して、ケース体3内の底部から立設された支持部材17aに支持されている。
【0053】
マッサージ部材6の基端側(長手方向中途部)には、変換部9が設けられている。変換部9には、軸心が水平方向を向くように配備された回転駆動軸8(揉み駆動軸8)が左右方向に亘って貫通して配備されている。これにより、変換部9は、回転駆動軸8の回転駆動力を、マッサージ部材6による揉みマッサージ動作をするための揺動運動に変換する。
【0054】
変換部9は、回転駆動軸8と一体回転する回転ボス部18と、マッサージ部材6の基端側に設けられ、回転ボス部18に相対回転自在な状態で外嵌する環状嵌合部19と、マッサージ部材6が回転駆動軸8との同伴回転することを規制する規制部20と、を有している。
【0055】
回転ボス部18は、外周面に回転駆動軸8に対して傾斜状のカム面を有し、回転駆動軸8の軸心に対して傾斜回転する。回転ボス部18(カム面)の傾きは、左右一対のマッサージ部材6間において、相対逆向きに互いに傾斜している。
【0056】
なお、回転ボス部18は、回転駆動軸8の軸心に対して偏心したものとし、偏心回転するものとしてもよい。回転ボス部18は、例えば、傾斜回転のみ、偏心回転のみ、傾斜回転と偏心回転するものとしてもよい。
【0057】
環状嵌合部19は、マッサージ部材6の基端に設けられていて、回転ボス部18の外径と略同じか、その外径より大きい内径を有したものである。これにより、環状嵌合部19は、回転ボス部18を摺動自在に外嵌する。
【0058】
規制部20は、環状嵌合部19の基端側に配備されていて、環状嵌合部19に設けられた規制ピンと、基盤体3a(ケース体3の底部)に設けられていて、規制ピンが摺動自在に嵌り込む規制溝と、を有する。規制ピンは、環状嵌合部19からマッサージ部材6と反対側の方向に突設されている。この規制ピンと対面する基盤体3aには、左右方向に長い規制溝が設けられている。
【0059】
規制ピンが規制溝内で略水平方向で左右に揺動することで、環状嵌合部19が回転ボス部18に対して供回りすることを規制する。規制部20の規制により回転駆動軸8との供回りが規制されるとともに、環状嵌合部19が外嵌する回転ボス部18の偏心回転および傾斜回転により、マッサージ部材6は揺動運動をする。
【0060】
このように、マッサージ部材6がケース体3の左右の施療凹部4に対応するように合計二組、備えられている。回転駆動力を変換部9で変換することにより、左右一対のマッサージ部材6が近接離反する揺動動作をすることにより、足部などの施療部に対して挟み込んで揉む、揉みマッサージが効果的に付与される。
【0061】
さて、回転駆動軸8には、足裏の長手方向中央(土踏まず)に対して、押圧マッサージ動作を付与する足裏マッサージローラ21を有している。足裏マッサージローラ21は、左右一対のマッサージ部材6に挟まれる位置に配備されている。足裏マッサージローラ21は、軸心が左右方向を向く回転自在の円筒状の部材であって、回転駆動軸8に串刺し状に貫通して取り付けられている。
【0062】
足裏マッサージローラ21の外周面には、周方向及び回転駆動軸8の軸方向に間隔をおいて、径方向外側を向いた押圧突起22(施療子22)が複数設けられている。このように、左右一対のマッサージ部材6と足裏マッサージローラ21とを一組として、この組み合わせがケース体3に設けられた左右の施療凹部4に対応するように合計二組、備えられている。
【0063】
左右一対のマッサージ部材6が近接離反する揺動動作をすることにより、足先から踵までの足部に対して、効果的な挟み込んで揉むマッサージが付与される。また、足裏マッサージローラ21が回転駆動軸8の回転に伴って回転動作をすることにより、押圧突起22が足裏の土踏まずに対して効果的な押圧マッサージを付与する。
【0064】
本実施形態のマッサージ機1においては、施療部の幅(大きさや太さなど)に合わせて、一対のマッサージ部材6の左右間隔を調整する水平移動機構23(幅調整機構)を有している。本実施形態では、水平移動機構23は、右外側のマッサージ部材6と、左外側のマッサージ部材6に備えられている。
【0065】
すなわち、右外側のマッサージ部材6は、水平移動機構23により、左右方向に水平移動することが可能である。また同じく、左外側のマッサージ部材6は、水平移動機構23により、左右方向に水平移動することが可能である。
【0066】
水平移動機構23は、外周面にねじ山部が形成されたスクリューねじ部と、回転ボス部18の内周面に形成されたねじ溝部からなるものである。スクリューねじ部は円筒形状で、回転駆動軸8に串刺し状に貫通して取り付けられている。回転ボス部18は、ねじ溝部がねじ山部に噛み合うことにより、スクリューねじ部を外側から嵌合するように設けられる。
【0067】
マッサージ部材6は、水平移動機構23のねじ山部とねじ溝部が噛み合ってスクリューねじ部(回転駆動軸8)が回転することで、回転ボス部18がスクリューねじ部を摺動して、回転駆動軸8上を左右方向に移動する。この動作により、水平移動機構23による一対のマッサージ部材6の左右間隔を調整することができる。なお、水平移動機構23の詳細については、例えば、特許6412517号公報を参照するとよい。
[作動態様]
次いで、本発明のマッサージ機1の作動態様について、図2図4などを参照しながら説明する。
【0068】
図2図4の左図などに示すように、例えば、一対のマッサージ部材6の前部が近接して足部の前側(足先)を挟み込むと、反対側のマッサージ部材6の後部が離反する揺動運動を行って、一対のマッサージ部材6が足部の前側に対して揉みマッサージをするとき、ビーズ11は、一対のマッサージ部材6が離反する後部側に向かって、足部の形状に沿いながら、袋体12内を前から後に向かって流動する(図中の白抜きの矢印を参照)。すると、その後部側の袋体12内にビーズ11が貯留され、袋体12の後側はビーズ11により膨れ上がる。
【0069】
なお、ビーズ11の流動により、近接した一対のマッサージ部材6の前部側では、袋体12内のビーズ11は減って少なくなる。
【0070】
一対のマッサージ部材6の離反側(後部側)においては、ビーズ11の貯留で袋体12(緩衝材10)の後側が膨れ上がったことにより、足部の後側(踵)は一対のマッサージ部材6の後部との接触状態が維持されている。このとき、ビーズ11は、一対のマッサージ部材6の近接側で足部の前側に対して適度に押圧するとともに、一対のマッサージ部材6の離反側において足部の後側に対する接触状態を維持する。
【0071】
すなわち、近接したマッサージ部材6の前部では、袋体12(緩衝材10)の前側に残ったビーズ11により、足部の前側(足先)に対する一対のマッサージ部材6の押圧が、足部の形状に沿って適度に強められる。
【0072】
一方、離反したマッサージ部材6の後部では、後方へ流動してきた多くのビーズ11が、袋体12(緩衝材10)の後側に貯留されることで、マッサージ部材6と足部の後側(踵)の間に存在することとなり、足部の後側に対する緩衝材10の接触状態を維持することができる。
【0073】
図3図4の右図などに示すように、一対のマッサージ部材6の後部が近接して足部の後側(踵)を挟み込むと、反対側のマッサージ部材6の前部が離反する揺動運動を行って、一対のマッサージ部材6が足部の後側に対して揉みマッサージをするとき、ビーズ11は、一対のマッサージ部材6が離反する前部側に向かって、足部の形状に沿いながら、袋体12内を後から前に向かって流動する(図中の白抜きの矢印を参照)。すると、その前部側の袋体12内にビーズ11が貯留され、袋体12の前側はビーズ11により膨れ上がる。
【0074】
なお、ビーズ11の流動により、近接した一対のマッサージ部材6の後部側では、袋体12内のビーズ11は減って少なくなる。
【0075】
一対のマッサージ部材6の離反側(前部側)においては、ビーズ11の貯留で袋体12(緩衝材10)の前側が膨れ上がったことにより、足部の前側は一対のマッサージ部材6の前部との接触状態が維持されている。このとき、ビーズ11は、一対のマッサージ部材6の近接側で足部の後側に対して適度に押圧するとともに、一対のマッサージ部材6の離反側において足部の前側に対する接触状態を維持する。
【0076】
すなわち、近接したマッサージ部材6の後部では、袋体12(緩衝材10)の後側に残ったビーズ11により、足部の後側(踵)に対する一対のマッサージ部材6の押圧が、足部の形状に沿って適度に強められる。
【0077】
一方、離反したマッサージ部材6の前部では、前方へ流動してきた多くのビーズ11が、袋体12(緩衝材10)の前側に貯留されることで、マッサージ部材6と足部の前側(足先)の間に存在することとなり、足部の前側に対する緩衝材10の接触状態を維持することができる。
【0078】
このように、袋体12内を前後方向に流動するビーズ11により、足部(施療部)全体が緩衝材10によって心地よく且つ快適に包まれた状態となり、揉みマッサージをより効果的に受けることができる。
【0079】
以上、本発明のマッサージ機1によれば、マッサージ部材6の緩衝材10に自在に変形する機能を持たせる、つまり流動性がある内容物11(例えば、ビーズ11)を袋体12に封入し自在に流動させることで、施療部の形状に沿うようになり、マッサージ部材6が施療部に常に接触している状態にする(施療部に沿ってフィットさせる)ことで、心地よく快適にマッサージを行え、リラックス効果をさらに向上する。
【0080】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
【0081】
例えば、マッサージ機1に備えられているマッサージ部材6の長さ・大きさや、左右にあるマッサージ部材6の離間距離回転駆動軸8に対するマッサージ部材6(回転ボス部18(カム面))の傾斜角度などについては、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。
【0082】
また、本実施形態では施療部として下肢のうち足部を例示したが、脹脛、腿部、また腕部(上肢)、腰部、臀部、首部、肩部などを施療部としてもよい。例えば、左右一対のマッサージ部材6を腰部や臀部を挟み込める離間距離とし、その腰部や臀部の施療部に対して挟み込んで揉む、揉みマッサージを行えるマッサージ機1としてもよい。
【0083】
また、本実施形態では、ビーズ11を装入した袋体12を緩衝材10として、マッサージ部材6に直接取り付けたものを例にしたが、ビーズ11入りの袋体12は、マッサージ部材6から取り外し可能となっていてもよい。例えば、マッサージ部材6をカバー体で覆い、そのカバー体に袋部を設けておき、その袋部にビーズ11入りの袋体12を出し入れ可能にしてもよい。また、袋体12内のビーズ11の量については、使用者が調整可能となっているとよい。これにより、使用者が任意にマッサージの体感を変えることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、マッサージ部材6の長手方向中途部に回転駆動軸8を配備し、一方側が近接すると他方側が離反する揺動運動を繰り返し行うマッサージ機構2を例示したが、例えば、マッサージ部材6の他方側に回転駆動軸8を配備し、マッサージ部材6の一方側が他方側に対して大きく近接離反する揺動運動を繰り返し行うマッサージ機構2にも、本発明は適用可能である。
【0085】
この場合、一対のマッサージ部材6の一方側が近接して施療部の一方側を挟み込み、その後、一対のマッサージ部材6が施療部の一方側から離反する揉みマッサージを繰り返し行うとき、ビーズ11は以下のように動く。
【0086】
例えば、足部の踵側(施療部の他方側)がマッサージ部材6の他方側により揉まれているが、それに対してマッサージ部材6の一方側が足先側(施療部の一方側)をより強く揉むマッサージを繰り返し行う場合、一対のマッサージ部材6の一方側が足先側を挟み込ん
でいるときは、一対のマッサージ部材6の一方側ではビーズ11は少なくなり、一対のマッサージ部材6の一方側が足先側の一方側から離反すると、その離反するときにできる隙間を、ビーズ11は埋めるようにして一対のマッサージ部材6の一方側に集まって貯留される構成とされているとよい。
【符号の説明】
【0087】
1 マッサージ機
2 マッサージ機構
3 ケース体
4 施療凹部
6 マッサージ部材
7 駆動部
8 回転駆動軸
9 変換部
10 緩衝材
11 内容物(ビーズ)
12 袋体
13 駆動モータ
14 ギアケース
16 伝達軸
23 水平移動機構
図1
図2
図3
図4