(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154955
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/08 20060101AFI20241024BHJP
B65G 47/28 20060101ALI20241024BHJP
B23P 19/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B65G47/08 C
B65G47/28 E
B23P19/00 301B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069208
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森谷 健太
【テーマコード(参考)】
3C030
3F080
3F081
【Fターム(参考)】
3C030AA02
3C030AA03
3F080AA11
3F080AA25
3F080BA01
3F080BA02
3F080BD12
3F080CA04
3F080CE15
3F080DA18
3F080DB04
3F080EA10
3F080FA01
3F081AA32
3F081BA01
3F081BC01
3F081CC21
3F081DA20
3F081DB04
3F081EA10
3F081FA01
(57)【要約】
【課題】部品詰まりの発生を抑制して生産性を向上することが可能な部品供給装置を提供する。
【解決手段】部品供給装置1は、頭部12及び当該頭部12から延設される軸部11を有する部品としてのボルト10を供給する供給部30と、軸部11の径方向寸法よりも大きく頭部12の径方向寸法よりも小さい間隙を有しており、供給部30によって供給されたボルト10が搬送されるガイドレールとしての一対のガイド壁部41,41と、一対のガイド壁部41,41に供給されたボルト10に風を当てる送風部60と、を備え、供給部30は、ボルト10を一対のガイド壁部41,41の上端部に沿う姿勢でガイド壁部41,41の上端部へ供給し、送風部60は、一対のガイド壁部41,41の上方から間隙へ向かう風を送風する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部及び当該頭部から延設される軸部を有する部品を供給する供給部と、
前記軸部の径方向寸法よりも大きく前記頭部の径方向寸法よりも小さい間隙を有しており、前記供給部によって供給された前記部品が搬送されるガイドレールと、
前記ガイドレールに供給された前記部品に風を当てる送風部と、
を備え、
前記供給部は、前記部品を前記ガイドレールの上端部に沿う姿勢で前記ガイドレールの上端部へ供給し、
前記送風部は、前記ガイドレールの上方から前記間隙へ向かう風を送風する
ことを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記送風部は、前記ガイドレールの上方から前記間隙へ向かう前記風を、前記ガイドレールの搬送方向に沿うように斜め下向きに送風する
ことを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記送風部は、
前記ガイドレールの上流部では、前記ガイドレールの上方から前記間隙へ向かう前記風を送風し、
前記ガイドレールの下流部では、前記ガイドレールにおける前記部品の搬送方向に対して交差する横向きの風を送風する
ことを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記送風部は、前記ガイドレールの前記間隙内において、前記ガイドレールの上流側から下流側向きの風を送風する
ことを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部及び軸部を有する部品(例えば、ワッシャ付きボルト)を供給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する生産性向上のための研究開発が行われている。生産性を向上するために、例えばエンジン等を組み立てるために部品としてのボルトを供給する際に、所定の姿勢にならないボルトを減らすことが行われている。
【0003】
特許文献1には、部品としてのボルトをガイドレールに沿って搬送する部品供給装置が記載されている。かかる部品供給装置において、ボルトは、横向きの姿勢でガイドレール上に運ばれ、軸部がガイドレール間に進入して頭部がガイドレールの上端部に係合した状態に姿勢を変えて搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、前記したボルトの姿勢変更が上手くいかずに装置内でボルト詰まりが発生した場合には、作業者によるボルト除去作業が必要になる。
【0006】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、部品詰まりの発生を抑制して生産性を向上し、延いてはエネルギーの効率化に寄与することが可能な部品供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本発明の部品供給装置は、頭部及び当該頭部から延設される軸部を有する部品を供給する供給部と、前記軸部の径方向寸法よりも大きく前記頭部の径方向寸法よりも小さい間隙を有しており、前記供給部によって供給された前記部品が搬送されるガイドレールと、前記ガイドレールに供給された前記部品に風を当てる送風部と、を備え、前記供給部は、前記部品を前記ガイドレールの上端部に沿う姿勢で前記ガイドレールの上端部へ供給し、前記送風部は、前記ガイドレールの上方から前記間隙へ向かう風を送風することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、部品供給装置において部品詰まりの発生を抑制して生産性を向上し、延いてはエネルギーの効率化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る部品供給装置によって供給されるボルトを模式的に示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る部品供給装置を模式的に示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る部品供給装置を模式的に示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る部品供給装置を模式的に示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る部品供給装置における供給部の動作例を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る部品供給装置における供給部の動作例を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る部品供給装置における供給部の動作例を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る部品供給装置における供給部の動作例を模式的に示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る部品供給装置における供給部の動作例を模式的に示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る部品供給装置における供給部の動作例を模式的に示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る部品供給装置における供給部の動作例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、頭部及び当該頭部から延設される軸部を有する部品の一例としてのワッシャ付きボルトを供給する場合を例にとり、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
<ボルト>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る部品供給装置によって供給される部品としてのボルト10は、一体に形成される軸部11及び頭部12と、軸部11に外嵌されるワッシャ13と、を備える。長軸の円柱形状を呈する軸部11は、軸部11よりも大径で短軸の円柱形状又は多角柱形状を呈する頭部12から延設されており、軸部11の先端部側(頭部12とは反対側)には、雄ネジ部11aが形成されている。雄ネジ部11aは、軸部11の基端部側(頭部12側)には形成されていない。ワッシャ13は、頭部12の一部であり、軸部11の雄ネジ部11aが形成されていない領域において軸方向に移動可能である。
【0012】
<部品供給装置>
図2から
図4に示すように、本発明の実施形態に係る部品供給装置1は、部品としてのボルト10を供給するボルト供給装置であり、制御部20と、供給部30と、搬送部40と、加振部50と、送風部60と、スロープ部70と、を備える。
【0013】
搬送部40は、当該搬送部40の上流側端部及び下流側端部に配置される一対の基台部81,81と、当該基台部81,81上に配置される骨格部82と、によって支持されている。加振部50は、一対の基台部81,81の間に配置されている。供給部30は、搬送部40の上流部(ボルト供給エリア40A)の側方に配置されている。スロープ部70は、搬送部40の下流部(ボルト選別エリア40B)の側方に配置されている。
【0014】
供給部30の上流側端部には、ボルト10の上流側への落下を防止するための壁部83が立設されている。供給部30の下流側端部とスロープ部70の上流側端部との間には、ボルト10の移動を規制するための壁部84が立設されている。スロープ部70の下流側端部には、ボルト10の下流側への落下を防止するための壁部85が立設されている。
【0015】
また、搬送部40を挟んで供給部30及びスロープ部70とは反対側において、基台部81及び加振部50の上面の間には、これらの間の隙間へのボルト10の侵入を防止する侵入防止カバー86が架設されている。かかる侵入防止カバー86は、ボルト10が基台部81及び加振部50の間に挟まることを防止することによって、加振部50から搬送部40へ伝達される振動が弱まることを防止する。
【0016】
<制御部>
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路等によって構成されている。制御部20は、供給部30、加振部50及び送風部60を制御する。
【0017】
<供給部>
供給部30は、ボルト10を搬送部40の上流部(ボルト供給エリア40A)へ供給するものであり、本実施形態では、かき上げ動作によってボルト10を搬送部40の上流部へ、後記する一対のガイド壁部41,41の上端部に沿う姿勢(横向きの姿勢)で供給する。すなわち、ボルト10は、その軸線方向が平面視及び側面視(ガイド壁部41の平面と直交する方向からの視線方向)の両方で一対のガイド壁部41,41の上端部と略平行な姿勢で搬送部40へ供給される。
図5に示すように、供給部30は、固定部位としての第一の壁部31及び第二の壁部32と、上下動可能な部位としての第一の床部33、第二の床部34、第三の床部35及び第四の床部36と、を備える。また、供給部30は、第一の床部33を上下動させる第一の動作部37(
図4参照)と、第二の床部34、第三の床部35及び第四の床部36を一体的に上下動させる第二の動作部38(
図4参照)と、を備える。第一の動作部37及び第二の動作部38は、それぞれ動力発生部としてのモータ、発生した動力を伝達する動力伝達機構等によって構成されており、制御部20からの制御信号に基づいて作動する。
【0018】
≪床部≫
第一の床部33は、搬送部40から最も離れた位置、かつ、初期位置として最も下の高さに設けられている。第二の床部34は、第一の床部33及び第一の壁部31の間の位置、かつ、初期位置として第一の床部33及び第一の壁部31の間の高さに設けられている。第三の床部35は、第一の壁部31及び第二の壁部32の間の位置、かつ、初期位置として第一の壁部31と同じ高さに設けられている。第四の床部36は、第二の壁部32及び搬送部40の間の位置、かつ、初期位置として第二の壁部32と同じ高さに設けられている。
【0019】
各壁部31,32及び各床部33~36の上面の幅方向寸法は、それぞれ、搬送部40の搬送方向に沿った横向きの1本のボルト10を載置可能な寸法に設定されている。かかる構成によると、搬送部40の搬送方向に沿った横向きの1本のボルト10を搬送部40へ供給し、後記する一対のガイド壁部41,41間にボルト10の軸部11を進入させやすくすることができる。
【0020】
<かき上げ部の動作例>
第一の床部33上に複数のボルト10が載置された状態で、制御部20は、第一の動作部37を制御することによって、第一の床部33を第二の床部34の高さまで上昇させる。これにより、ボルト10は、第一の床部33上から第二の床部34上に移動する(
図5→
図6)
【0021】
続いて、制御部20は、第二の動作部38を制御することによって、第二の床部34、第三の床部35及び第四の床部36を上昇させる。ここで、第二の床部34は、第一の壁部31の高さまで上昇し、第三の床部35は、第二の壁部32の高さまで上昇し、第四の床部36は、搬送部40の高さまで上昇する。これにより、ボルト10は、第二の床部34上から第一の壁部31上に移動する(
図6→
図7)。
【0022】
続いて、制御部20は、第二の動作部38を制御することによって、第二の床部34、第三の床部35及び第四の床部36を初期位置まで下降させる。これにより、ボルト10は、第一の壁部31上から第三の床部35上に移動する(
図7→
図8)。
【0023】
続いて、制御部20は、第二の動作部38を制御することによって、第二の床部34、第三の床部35及び第四の床部36を上昇させる。ここで、第二の床部34は、第一の壁部31の高さまで上昇し、第三の床部35は、第二の壁部32の高さまで上昇し、第四の床部36は、搬送部40の高さまで上昇する。これにより、ボルト10は、第三の床部35上から第二の壁部32上に移動する(
図8→
図9)。
【0024】
続いて、制御部20は、第二の動作部38を制御することによって、第二の床部34、第三の床部35及び第四の床部36を初期位置まで下降させる。これにより、ボルト10は、第二の壁部32上から第四の床部36上に移動する(
図9→
図10)。
【0025】
続いて、制御部20は、第二の動作部38を制御することによって、第二の床部34、第三の床部35及び第四の床部36を上昇させる。ここで、第二の床部34は、第一の壁部31の高さまで上昇し、第三の床部35は、第二の壁部32の高さまで上昇し、第四の床部36は、搬送部40の高さまで上昇する。これにより、ボルト10は、第四の床部36上から搬送部40上(上流部のボルト供給エリア40A)に移動する(
図10→
図11)。
【0026】
なお、かかる動作中において、制御部20は、第一の動作部37を適宜制御することによって、第一の床部33を初期位置まで下降させる。これにより、新たなボルト10は、第一の床部33上に載置される。
【0027】
<搬送部>
図2及び
図3に示すように、搬送部40は、供給部30によって当該搬送部40の上流部(ボルト供給エリア40A)へ供給されたボルト10を、所定の姿勢に整えて供給先へ直進的に移動させることによって、ボルト10を供給先へ搬送するためのものである。搬送部40は、一対のガイド壁部41,41によって構成されるガイドレールと、プレート42と、噛み込み防止カバー43と、を備える。
【0028】
≪ガイド壁部≫
ガイド壁部41,41は、ボルト10の軸部11の径方向寸法よりも大きく頭部12の径方向寸法よりも小さい間隙を空けて配置されている。ガイド壁部41,41の上端部は、上流側から下流側にいくにつれて低い位置に向かうように傾斜している。
【0029】
ガイド壁部41,41は、ボルト10の搬送方向において、当該ガイド壁部41の上流部のボルト供給エリア40Aと、当該ガイド壁部41,41の下流部のボルト選別エリア40Bと、に区画されている。ボルト供給エリア40Aは、供給部30からのボルト10がガイド壁部41,41上に供給されるエリアである。ボルト選別エリア40Bは、横向きのままのボルト10がガイド壁部41,41上から除去されて、縦向きのボルト10が選別されて残るエリアである。
【0030】
≪プレート≫
プレート42は、ガイド壁部41,41の間において、ガイド壁部41,41の上端部よりも下方に配置されており、上流側から下流側にいくにつれて下方に向かうように傾斜している。プレート42は、ボルト10のサイズ(軸部11の軸方向寸法)に応じて高さ調節可能である。プレート42及びガイド壁部41,41の間の距離は、ボルト10の軸部11の軸方向寸法(詳細には、ワッシャ13の厚みを引いた寸法)と等しい。
【0031】
≪噛み込み防止カバー≫
噛み込み防止カバー43は、ガイド壁部41,41の下流側端部の上方に配置されている。噛み込み防止カバー43とガイド壁部41,41とによって構成されるスペースは、ボルト10の頭部12(及びワッシャ13)が通過可能な形状を呈する。すなわち、かかるスペースの上下方向寸法は、ボルト10の頭部12の軸方向寸法(詳細には、ワッシャ13の厚みとの和)よりもやや大きく、かつ、ボルト10の頭部12の径方向寸法(詳細には、ワッシャ13の径方向寸法)よりも小さく設定されており、幅方向寸法は、ボルト10の頭部12の径方向寸法(詳細には、ワッシャ13の径方向寸法)よりもやや大きく設定されている。本実施形態において、噛み込み防止カバー43は、壁部85に対して着脱可能に取り付けられている。
【0032】
<加振部>
加振部50は、振動を発生させて当該振動をガイド壁部41,41及びプレート42に伝達する。
【0033】
<送風部>
送風部60は、制御部20からの制御信号に基づいて、一対のガイド壁部41,41に供給されたボルト10に風を当てる。送風部60は、風発生部61と、管路(マニホールド)62A,62Bと、壁部63と、第一の送風口64と、複数の第二の送風口65と、複数の第三の送風口66と、を備える。送風部60は、管路62A,62Bに設けられる弁として、第一の開閉弁67Aと、第二の開閉弁67Bと、複数の第一の調整弁68Aと、複数の第二の調整弁68Bと、を備える。
【0034】
≪風発生部≫
風発生部61は、制御部20からの制御信号によって作動して風を発生し、発生した風を管路62A,62Bへ供給するブロワである。
【0035】
≪管路≫
管路62Aは、風発生部61と第一の送風口64及び第二の送風口65とを風流通可能に繋ぐ系統である。管路62Bは、風発生部61と第三の送風口66とを風流通可能に繋ぐ系統である。
【0036】
≪壁部≫
壁部63は、ガイド壁部41,41における供給部30及びスロープ部70とは反対側に立設されている。壁部63には、各送風口64,65,66が取り付けられている。
【0037】
≪第一の送風口≫
第一の送風口64は、一対のガイド壁41,41の上流側端部の間に配置されており、風発生部61によって発生された風を、一対のガイド壁部41,41の間において上流側から下流側向きに送風する。第一の送風口64から送風された風は、一対のガイド壁部41,41間においてボルト10の軸部11に当たる。
【0038】
≪第二の送風口≫
第二の送風口65は、一対のガイド壁部41,41の上流部(ボルト供給エリア40A)に対応する位置において、一対のガイド壁部41,41の上方に配置されており、風発生部61によって発生された風を、一対のガイド壁部41,41の上方から一対のガイド壁部41,41の間隙に向かう下向きの風として送風する。本実施形態では、第二の送風口65から送風される風は、下にいくにつれて一対のガイド壁部41,41の搬送方向上流側から下流側へ向かう斜め下向きの風である。第二の送風口65は、平面視でL字形状を呈する。本実施形態では、2つの第二の送風口65が、搬送部40によるボルト10の搬送方向に沿って配列されている。第二の送風口65から送風された風は、搬送部40の上流部(ボルト供給エリア40A)において、一対のガイド壁部41,41上のボルト10に当たる。
【0039】
≪第三の送風口≫
第三の送風口66は、一対のガイド壁部41,41の下流部(ボルト選別エリア40B)に対応する位置において、一対のガイド壁部41,41の上端部のやや上方に配置されており、風発生部61によって発生された風を、一対のガイド壁部41,41の搬送方向に対して交差する横向きの風として送風する。本実施形態では、3つの第三の送風口66が、搬送部40によるボルト10の搬送方向に沿って配列されている。第三の送風口66から送風された風は、搬送部40の下流部(ボルト選別エリア40B)において、一対のガイド壁部41,41上のボルト10に当たる。
【0040】
≪第一の開閉弁≫
第一の開閉弁67Aは、管路62Aにおいて、風発生部61と第一の送風口64及び第二の送風口65とを繋ぐ系統の流路に設けられている電磁弁である。第一の開閉弁67Aの下流側において、管路62Aは、第一の送風口64及び複数の第二の送風口65に対応して分岐している。
【0041】
≪第二の開閉弁≫
第二の開閉弁67Bは、管路62Aにおいて、風発生部61と第三の送風口66とを繋ぐ系統の流路に設けられている電磁弁である。第二の開閉弁67Bの下流側において、管路62Bは、複数の第三の送風口66に対応して分岐している。
【0042】
≪第一の調整弁≫
第一の調整弁68Aは、管路62Aにおいて、第一の送風口64及び第二の送風口65に対応して分岐している流路のそれぞれに設けられている速度制御弁である。
【0043】
≪第二の調整弁≫
第二の調整弁68Bは、管路62Bにおいて、第三の送風口66に対応して分岐している流路のそれぞれに設けられている速度制御弁である。
【0044】
制御部20は、作業者による図示しない操作部の操作結果等に基づいて第一の開閉弁67Aを開閉制御することによって、第一の送風口64及び第二の送風口65から送風可能な開弁状態と、第一の送風口64及び第二の送風口65から送風不能な閉弁状態と、を切り替える。また、制御部20は、作業者による図示しない操作部の操作結果等に基づいて第二の開閉弁67Bを開閉制御することによって、第三の送風口66から送風可能な開弁状態と、第三の送風口66から送風不能な閉弁状態と、を切り替える。また、制御部20は、作業者による図示しない操作部の操作結果等に基づいて第一の送風口64に対応する第一の調整弁68Aを制御することによって、第一の送風口64から送風される風の吐出圧力を変更することができる。また、制御部20は、作業者による図示しない操作部の操作結果等に基づいて第二の送風口65に対応する第一の調整弁68Aを制御することによって、第二の送風口65から送風される風の吐出圧力を変更することができる。また、制御部20は、作業者による図示しない操作部の操作結果等に基づいて第三の送風口66に対応する第二の調整弁68Bを制御することによって、第三の送風口66から送風される風の吐出圧力を変更することができる。
【0045】
<スロープ部>
スロープ部70は、搬送部40から離間するにつれて下方に向かう傾斜を有する坂部である。搬送部40から脱落したボルト10は、スロープ部70を落下し、供給部30に返却される。
【0046】
<ボルトの搬送例>
制御部20は、供給部30を制御することによって、ボルト10を搬送部40の搬送方向に沿う横向きの姿勢で一対のガイド壁部41,41の上流部(ボルト供給エリア40A)の上に供給する。ここで、制御部20は、加振部50及び送風部60を制御する。なお、一対のガイド壁部41,41の上端部上に供給される横向きのボルト10は、頭部12が上流側となって軸部11が下流側となる姿勢であってもよく、頭部12が下流側となって軸部11が上流側となる姿勢であってもよい。
【0047】
ガイド壁部41,41の上部に供給された横向きのボルト10は、加振部50の振動及び第二の送風口65からの風によって、軸部11が一対のガイド壁部41,41間に進入して頭部12(ワッシャ13)が一対のガイド壁部41,41の上端部に係合する縦向きの姿勢になる。ここで、ボルト10の軸部11の先端部は、プレート42に当接する。
【0048】
続いて、ボルト10は、加振部50から一対のガイド壁部41,41及びプレート42に伝達された振動及び第一の送風口64からの風によって、一対のガイド壁部41,41の傾斜に沿って上流側から下流側へ搬送される(移動する)。ボルト10の搬送の際には、軸部11がプレート42に対して摺動するとともに頭部12(本実施形態では、頭部12の一部としてのワッシャ13)がガイド壁部41,41に対して摺動する。
【0049】
かかるボルト10は、ワッシャ13を含む頭部12が噛み込み防止カバー43のスペース43aを通過して供給先まで搬送される(移動する)。
【0050】
ここで、搬送方向に沿う横向きのままのボルト10が一対のガイド壁部41,41の下流部(ボルト選別エリア40B)まで搬送されると、かかるボルト10は、第三の送風口66からの風によって、一対のガイド壁部41,41上から排除され、スロープ部70を介して下方へ移動する。
【0051】
また、搬送方向に沿う横向きのままのボルト10は、噛み込み防止カバー43のスペースを通過することができず、第三の送風口66からの風によって、一対のガイド壁部41,41上から排除され、スロープ部70を介して下方へ移動する。
【0052】
また、縦向きではあるがワッシャ13が雄ネジ部11aに引っ掛かっていて軸部11が一対のガイド壁部41,41に十分に進入しておらず、頭部12が一対のガイド壁部41、の上端部から浮いているボルト10も、噛み込み防止カバー43のスペース43aを通過することができない。しかし、ワッシャ13が雄ネジ部11aに引っ掛かっているボルト10は、加振部50の振動及び第二の送風口65からの風によって引っ掛かりが解除されて頭部12側へ移動するので、ワッシャ13が雄ネジ部11aに引っ掛かった状態のままで噛み込み防止カバー43へ到達することが防止されている。
【0053】
ガイド壁部41,41の下流側(噛み込み防止カバー43よりも下流側)には、ガイド壁部41,41に沿って搬送されたボルト10を、供給対象(例えば、エンジン等)へ供給する第二の供給部(図示せず)が設けられている。第二の供給部は、当該第二の供給部に残っているボルト10の量(数)を検知する検知部(例えば、光電管等)を備えている。制御部20は、供給部30が作動している状態において、検知部がボルト10を一定時間検知しなかった場合に、ガイド壁部41,41においてボルト10の詰まりが発生していると判定する。制御部20は、ボルト10の詰まりが発生していると判定した場合に、第二の開閉弁67Bを間欠的に開閉させる間欠動作(例えば、1秒ごとに開閉を切り替えるのを10秒間)と、第二の開閉弁67Bを連続的に開弁させる連続動作(10秒間)と、を交互に繰り返す。制御部20は、検知部がボルト10を検知した場合に、第二の開閉弁67Bに関する前記した間欠動作及び連続動作の繰り返しをやめて通常の制御に復帰する。
【0054】
<始動時の動作例>
作業者による図示しない操作部の操作等によって部品供給装置1が始動する場合には、制御部20は、最初に供給部30を始動させ、続いて加振部50及び送風部60を始動させる。ここで、制御部20は、風発生部61の始動並びに第一の開閉弁67A及び第二の開閉弁67Bの開弁動作を、加振部50の始動と同時に実行する。かかる動作によると、搬送部40にボルト10が無い状態で加振部50及び送風部60が作動することを抑制することができる。
【0055】
<停止時の動作例>
作業者による図示しない操作部の操作等によって部品供給装置1が停止する場合には、制御部20は、最初に供給部30を停止させ、続いて加振部50及び送風部60を停止させる。ここで、制御部20は、加振部50を停止させてから一定時間T1経過後に第一の開閉弁67Aを閉弁させ、第一の開閉弁67Aを停止させてから一定時間T2経過後に第二の開閉弁67Bを閉弁させるとともに風発生部61を停止させる。一定時間T1,T2は、供給部30の性能、ガイド壁部41,41の搬送方向寸法、ガイド壁部41,41の上端部の傾斜角度等に応じて適宜設定可能である。かかる動作によると、搬送部40にボルト10が残ることを抑制することができる。
【0056】
本発明の実施形態に係る部品供給装置1は、頭部12及び当該頭部12から延設される軸部11を有する部品(ボルト10)を供給する供給部30と、前記軸部11の径方向寸法よりも大きく前記頭部12の径方向寸法よりも小さい間隙を有しており、前記供給部30によって供給された前記部品が搬送されるガイドレール(一対のガイド壁部41,41)と、前記ガイドレールに供給された前記部品に風を当てる送風部60と、を備え、前記供給部30は、前記部品を前記ガイドレールの上端部に沿う姿勢で前記ガイドレールの上端部へ供給し、前記送風部60は、前記ガイドレールの上方から前記間隙へ向かう風を送風する。
したがって、部品供給装置1は、搬送部40に供給された部品を送風部60からの風によって軸部が間隙に進入して頭部がガイドレールの上端部に係合する縦向きの姿勢にして搬送することによって、部品詰まり(ボルト詰まり)の発生を抑制して生産性を向上し、延いてはエネルギーの効率化に寄与することができる。
【0057】
部品供給装置1において、前記送風部60は、前記ガイドレールの上方から前記間隙へ向かう前記風を、前記ガイドレールの搬送方向に沿うように斜め下向きに送風する。
したがって、部品供給装置1は、搬送部40の上流部で搬送方向に沿う斜め下方への風を部品に当てることによって、より好適に部品を縦向きの姿勢にすることができる。
かかる部品供給装置1は、特にワッシャ13を有するボルト10に対して、斜め下方への風を当ててワッシャ13を頭部12側へ移動させることよって、当該ボルト10をより好適に縦向きの姿勢にすることができる。
【0058】
部品供給装置1において、前記送風部60は、前記ガイドレールの上流部では、前記ガイドレールの上方から前記間隙へ向かう前記風を送風し、前記ガイドレールの下流部では、前記ガイドレールにおける前記部品の搬送方向に対して交差する横向きの風を送風する。
したがって、部品供給装置1は、搬送部40の上流部では送風部60からの風によって部品を縦向きの姿勢にするともに搬送部40の下流部では送風部60からの風によって縦向きにならなかった部品を搬送部40から除去することによって、部品詰まり(ボルト詰まり)の発生を抑制して生産性を向上し、延いてはエネルギーの効率化に寄与することができる。
【0059】
部品供給装置1において、前記送風部60は、前記ガイドレールの前記間隙内において、前記ガイドレールの上流側から下流側向きの風を送風する。
したがって、部品供給装置1は、送風部60からの風によって縦向きのボルト10を好適に搬送することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、供給部30によるボルト10の搬送部40への供給手法は、前記したかき上げによるものに限定されない。また、供給対象としての部品は、ワッシャ13を有するボルト10に限定されない。
【符号の説明】
【0061】
1 部品供給装置(ボルト供給装置)
10 ボルト(部品)
30 供給部
41 ガイド壁部(ガイドレール)
60 送風部