(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154956
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20241024BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/01 403
B41J2/01 451
B41J2/165
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069214
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠 佳也
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 譲
(72)【発明者】
【氏名】為国 雄介
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA17
2C056EB23
2C056EB38
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC24
2C056EC46
2C056FA04
2C056FA13
2C056JA25
(57)【要約】
【課題】インク吐出面の乾湿状態の変化に応じてノズル内のインク粘度を好適に保持し、高品質な画像を記録することが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置1は、記録ヘッド52と、キャップ部材と、キャップ部材内を加湿する加湿部14と、ユニット移動機構13と、制御部7と、記憶部8と、を備える。記憶部8は、インク吐出面52Fの非キャップ期間に基づいてインク吐出ノズル521内のインク液面の振動回数を増加させる非キャップ期間用テーブル81と、キャップ期間に基づいて前記振動回数を減少させるキャップ期間用テーブル82と、を記憶する。制御部7は、インク吐出終了から次のインク吐出開始までの、非キャップ期間とキャップ期間とのそれぞれの長さに応じて、非キャップ期間用テーブル81とキャップ期間用テーブル82とを用いて、次のインク吐出開始時の前記振動回数を設定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上にインクを吐出するノズルが開口するインク吐出面を有する記録ヘッドと、
前記ノズル内のインクの液面を振動させてインク滴を発生させるヘッド駆動部と、
前記インク吐出面に対して着脱可能であり、前記インク吐出面を覆うキャップ部材と、
前記キャップ部材内を加湿する加湿部と、
前記キャップ部材を、前記インク吐出面を覆うキャップ位置と、前記インク吐出面から退避した非キャップ位置とに選択的に移動させるキャップ移動機構と、
前記記録ヘッド、前記ヘッド駆動部、前記加湿部及び前記キャップ移動機構の動作を制御する制御部と、
前記ヘッド駆動部及び前記キャップ移動機構の動作に係る制御テーブルを記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、前記ノズルからのインク吐出開始時にインク吐出を行わずに前記液面を所定の振動回数だけ振動させる吐出前振動を実行可能であり、
前記制御テーブルは、前記インク吐出面の非キャップ期間に基づいて前記振動回数を増加させる非キャップ期間用テーブルと、前記インク吐出面のキャップ期間に基づいて前記振動回数を減少させるキャップ期間用テーブルと、を含み、
前記制御部は、前記ノズルからのインク吐出終了から次のインク吐出開始までの、前記非キャップ期間と前記キャップ期間とのそれぞれの長さに応じて、前記非キャップ期間用テーブルと前記キャップ期間用テーブルとを用いて、次のインク吐出開始時の前記吐出前振動の前記振動回数を設定することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記制御テーブルは、前記キャップ期間に対する前記振動回数の割合が異なる複数の前記キャップ期間用テーブルを含み、
前記制御部は、前記キャップ期間に基づく前記振動回数の設定に対し、前記非キャップ期間用テーブルから取得した前記振動回数に基づいて前記複数のキャップ期間用テーブルのうちいずれかを選択することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ノズルからのインク吐出終了から次のインク吐出開始までに前記キャップ期間を含む場合に、第1の前記非キャップ期間、前記キャップ期間、第2の前記非キャップ期間の順で3つの期間を設けて前記キャップ移動機構の動作を制御するとともに、次のインク吐出開始時の前記吐出前振動の前記振動回数を設定することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の非キャップ期間に基づく前記振動回数の設定に対し、前記キャップ期間用テーブルから取得した前記振動回数と同数の、前記非キャップ期間用テーブルの前記振動回数に対応する経過時間から前記第2の非キャップ期間の計測を開始することを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記加湿部は、蒸気を発生させる蒸気発生部を含み、当該蒸気を前記キャップ部材内まで送り込むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターや複写機のような記録装置として、紙などの記録媒体上にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置が、高精細な画像を記録できることから広く用いられている。このようなインクジェット記録装置では、記録ヘッドに設けられたノズル内のインクが乾燥などに起因して増粘し、吐出不良を起こすことがある。これに対し、ノズル内のインク増粘を抑制するために、記録ヘッドやノズルに関してメニスカス揺動、キャッピング、キャップ内加湿といった従来技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1で開示された従来の液滴吐出装置は、液滴吐出装置の動作状態に対応して予め複数設定された減粘モードに基づき、微振動駆動信号をアクチュエータに供給して吐出ノズルの動作を制御する。減粘モードでは、吐出液体を吐出するためのアクチュエータに微振動駆動信号を印加することにより、吐出液体を微振動させる。吐出液体の微振動により、吐出ノズルのメニスカス(液面)における増粘を液滴吐出装置の動作状態に応じて抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ノズルが開口するインク吐出面にキャップ部材を適宜配置するキャッピングを行うことで、ノズル内のインクの水分が蒸発してインク増粘が起こることを抑制する技術が知られている。しかしながら、従来技術では、キャップ部材内の湿度に応じてノズル内のインクの粘度が増減することについて十分な配慮がなされていないことに課題があった。これにより、ノズル内のインク粘度を好適に保持することができず、ノズルからのインクのあふれやインクの不吐出が発生することが懸念された。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、インク吐出面の乾湿状態の変化に応じてノズル内のインク粘度を好適に保持し、高品質な画像を記録することが可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドと、ヘッド駆動部と、キャップ部材と、加湿部と、キャップ移動機構と、制御部と、記憶部と、を備える。前記記録ヘッドは、記録媒体上にインクを吐出するノズルが開口するインク吐出面を有する。前記ヘッド駆動部は、前記ノズル内のインクの液面を振動させてインク滴を発生させる。前記キャップ部材は、前記インク吐出面に対して着脱可能であり、前記インク吐出面を覆う。前記加湿部は、前記キャップ部材内を加湿する。前記キャップ移動機構は、前記キャップ部材を、前記インク吐出面を覆うキャップ位置と、前記インク吐出面から退避した非キャップ位置とに選択的に移動させる。前記制御部は、前記記録ヘッド、前記ヘッド駆動部、前記加湿部及び前記キャップ移動機構の動作を制御する。前記記憶部は、前記ヘッド駆動部及び前記キャップ移動機構の動作に係る制御テーブルを記憶する。前記制御部は、前記ノズルからのインク吐出開始時にインク吐出を行わずに前記液面を所定の振動回数だけ振動させる吐出前振動を実行可能である。前記制御テーブルは、前記インク吐出面の非キャップ期間に基づいて前記振動回数を増加させる非キャップ期間用テーブルと、前記インク吐出面のキャップ期間に基づいて前記振動回数を減少させるキャップ期間用テーブルと、を含む。前記制御部は、前記ノズルからのインク吐出終了から次のインク吐出開始までの、前記非キャップ期間と前記キャップ期間とのそれぞれの長さに応じて、前記非キャップ期間用テーブルと前記キャップ期間用テーブルとを用いて、次のインク吐出開始時の前記吐出前振動の前記振動回数を設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、インク吐出面の非キャップ期間に基づいて、すなわちノズル内のインクの乾燥の進行具合に応じて、次のインク吐出開始時のノズル内のインク液面の振動回数が増加される。また、インク吐出面のキャップ期間に基づいて、すなわちノズル内のインクの湿潤の進行具合に応じて、次のインク吐出開始時のノズル内のインク液面の振動回数が減少される。これにより、インク吐出面の乾湿状態の変化に応じてノズル内のインク粘度を好適に保持することができ、高品質な画像を記録することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態のインクジェット記録装置の概略断面正面図である。
【
図2】
図1のインクジェット記録装置の記録部周辺の平面図である。
【
図3】
図1のインクジェット記録装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図2の記録部の記録ヘッドの部分拡大垂直断面図である。
【
図5】
図1のインクジェット記録装置の記録部、キャップユニット、及びメンテナンスユニットの斜視図である。
【
図8】非キャップ期間用テーブルの一例を示す図である。
【
図9】キャップ期間用テーブルの一例を示す図である。
【
図10】変形例1のインクジェット記録装置におけるキャッピングに係る動作の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図10の第1キャップ期間用テーブルの一例を示す図である。
【
図12】
図10の第2キャップ期間用テーブルの一例を示す図である。
【
図13】
図10の第3キャップ期間用テーブルの一例を示す図である。
【
図14】変形例2のインクジェット記録装置におけるキャップ期間用テーブルの一例を示す図である。
【
図15】変形例2のインクジェット記録装置における非キャップ期間用テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態のインクジェット記録装置1の概略断面正面図である。
図2は、
図1のインクジェット記録装置1の記録部5周辺の平面図である。
図3は、
図1のインクジェット記録装置1の概略構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置1は、例えばインクジェット記録式のプリンターである。インクジェット記録装置1は、
図1、
図2及び
図3に示すように、装置本体2と、用紙供給部3と、用紙搬送部4と、記録部5と、乾燥部6と、制御部7と、記憶部8と、を備える。
【0012】
用紙供給部3は、例えば装置本体2の下部に配置される。用紙供給部3は、複数枚の用紙(記録媒体)Sを収容し、記録時に用紙Sを1枚ずつ分離して送り出す。
【0013】
用紙搬送部4は、用紙供給部3の用紙搬送方向下流側に配置され、用紙供給部3から送り出された用紙Sを搬送する。用紙搬送部4は、用紙Sを記録部5及び乾燥部6へと搬送し、さらに記録、乾燥後の用紙Sを用紙排出部21に排出する。用紙搬送部4は、例えば反転搬送部4rを有する。両面記録が行われる場合、用紙搬送部4は、第1面の記録、乾燥後の用紙Sを反転搬送部4rに振り分け、さらに搬送方向を切り替えて表裏を反転させた用紙Sを再度、記録部5及び乾燥部6へと搬送する。
【0014】
用紙搬送部4は、第1ベルト搬送部41及び第2ベルト搬送部42を含む。第1ベルト搬送部41は、無端状に形成された第1搬送ベルト411を有する。第2ベルト搬送部42は、無端状に形成された第2搬送ベルト421を有する。第1ベルト搬送部41及び第2ベルト搬送部42は、第1搬送ベルト411及び第2搬送ベルト421それぞれの上側の外面(上面)に用紙Sを吸着保持して搬送する。第1ベルト搬送部41は、記録部5の下方に配置されて用紙Sを搬送する。第2ベルト搬送部42は、第1ベルト搬送部41に対して用紙搬送方向の下流側に位置し、乾燥部6に配置されて用紙Sを搬送する。
【0015】
記録部5は、用紙供給部3の用紙搬送方向下流側に位置し、第1ベルト搬送部41と対向配置される。記録部5は、第1搬送ベルト411の上面に吸着保持されて搬送される用紙Sに対向し、所定の間隔を空けて第1搬送ベルト411の上方に配置される。すなわち、記録部5は、用紙搬送部4によって搬送される用紙Sと対向する。
【0016】
記録部5は、
図2に示すように、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色それぞれに対応したヘッドユニット51B、51C、51M、51Yを保持する。ヘッドユニット51B、51C、51M、51Yは、長手方向が用紙搬送方向Dcと直交する用紙幅方向Dwと平行になるように用紙搬送方向Dcに沿って並置される。なお、4つのヘッドユニット51B、51C、51M、51Yは基本的な構成が同じであるので、以下の説明では、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「B」、「C」、「M」、「Y」の識別記号は省略することがある。
【0017】
各色のヘッドユニット51それぞれは、ライン型インクジェット方式の記録ヘッド52を有する。記録ヘッド52は、各色のヘッドユニット51それぞれにおいて、用紙幅方向Dwに沿って複数(例えば3つ(52a、52b、52c))が千鳥状に配列される。
【0018】
記録ヘッド52は、その底部に複数のインク吐出ノズル521を有する。複数のインク吐出ノズル521は、用紙幅方向Dwに沿って並べて配置され、用紙S上の記録領域の全域にわたってインクを吐出することができる。すなわち、記録ヘッド52は、インクを用紙S上に吐出する複数のインク吐出ノズル521を有する。記録部5は、第1搬送ベルト411によって搬送される用紙Sに向かって4色のヘッドユニット51B、51C、51M、51Yそれぞれの記録ヘッド52から順次インクを吐出し、フルカラー画像またはモノクロ画像を用紙Sに記録する。
【0019】
乾燥部6は、記録部5に対して用紙搬送方向の下流側に配置され、第2ベルト搬送部42が設けられる。記録部5でインク画像が記録された用紙Sは、乾燥部6において第2搬送ベルト421に吸着保持されて搬送される間に、インクが乾燥される。
【0020】
制御部7は、CPU、その他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部8に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、インクジェット記録装置1に設けられた各構成要素の動作を制御してインクジェット記録装置1の機能に係る処理を行う。用紙供給部3、用紙搬送部4、記録部5及び乾燥部6それぞれは、制御部7から個別に指令を受け、連動して用紙Sへの記録を行う。
【0021】
記憶部8は、例えばプログラムROM(Read Only Memory)、データROMなどといった不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶装置との組み合わせで構成される。
【0022】
続いて、記録部5の記録ヘッド52の構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、
図2の記録部5の記録ヘッド52の部分拡大垂直断面図である。なお、各色の3つの記録ヘッド52a、52b、52cは同一形状、同一構成であるので、以下の説明において、識別記号(a、b、c)の記載を省略する。
【0023】
記録ヘッド52は、下面にインクのインク吐出面52Fを有する。インク吐出面52Fは、第1搬送ベルト411上を搬送される用紙Sの表面(上面)に対向する。インク吐出面52Fは、用紙S上にインクを吐出する複数のインク吐出ノズル521のノズル孔521hが開口する。複数のノズル孔521hは、インク吐出面52Fの用紙幅方向Dw(
図2参照)において、用紙S上の記録領域の全域にわたって配置される。また、インク吐出面52Fには、撥水膜(不図示)が形成されている。
【0024】
また、記録ヘッド52は、共通流路522と、複数の加圧室523と、振動板524と、共通電極525と、複数の圧電素子(振動素子)526と、複数の個別電極527と、を備える。
【0025】
共通流路522は、記録ヘッド52の内部に配置される。共通流路522は、ヘッドユニット51の外部のインクタンク(不図示)に接続される。4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)の記録ヘッド52それぞれには、インクタンクに貯留される4色のインクが個別に供給される。
【0026】
複数の加圧室523は、共通流路522に隣接し、供給口522hを介して共通流路522に連通する。加圧室523には、供給口522hを通って、共通流路522からインクが供給される。インク吐出ノズル521は、本実施形態において加圧室523の下側で連通し、下端のインク吐出面52Fにおいてノズル孔521hが開口する。複数の加圧室523は、複数のインク吐出ノズル521に個別に対応して設けられる。すなわち、複数の加圧室523は、内部にインクを収納可能であり、複数のインク吐出ノズル521に個別に連通している。
【0027】
振動板524は、加圧室523を隔ててインク吐出面52Fと反対側の壁部に位置する。すなわち、振動板524は、本実施形態において加圧室523の上側に位置する。振動板524は、複数の加圧室523にわたって連続して配置される。共通電極525は、振動板524の表面に、複数の加圧室523にわたって連続して積層されている。
【0028】
複数の圧電素子526は、共通電極525の表面に配置される。複数の圧電素子526は、複数の加圧室523に個別に隣接して設けられる。複数の個別電極527は、複数の圧電素子526それぞれの表面に、複数の加圧室523に個別に対応して設けられる。すなわち、複数の個別電極527は、複数の圧電素子526それぞれを挟んで共通電極525と対向配置される。複数の圧電素子526それぞれは、隣接する加圧室523内のインクを加圧してインク吐出ノズル521から吐出させる。
【0029】
また、記録部5は、ヘッド駆動部53を備える。ヘッド駆動部53は、制御部7からの制御信号に基づいて記録ヘッド52を駆動する。ヘッド駆動部53は、外部コンピューターから受信した画像データに応じて、第1搬送ベルト411によって搬送される用紙Sに向かってインク吐出ノズル521からインクを吐出させる。これにより、第1搬送ベルト411上の用紙Sには、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクが重ね合わされたカラー画像、或いはモノクロ画像が形成される。
【0030】
詳細に言えば、ヘッド駆動部53は、複数の個別電極527それぞれに対し、所定の駆動波形、駆動電圧を有する駆動信号を印加する。これにより、複数の圧電素子526それぞれは、個別に駆動する。圧電素子526で発生する力は振動板524に加えられ、振動板524の変形によって加圧室523が圧縮される。そして、加圧室523内のインクに圧力が加わり、インク吐出ノズル521内に進入したインクが、インク滴となってノズル孔521hから吐出される。このようにして、ヘッド駆動部53は、インクを吐出するインク吐出ノズル521内のインクの液面Lsを振動させてインク滴を発生させる。
【0031】
なお、圧電素子526の駆動波形は、吐出されたインク滴によって記録される画像の画素(ドット)の階調値に応じて予め準備されている。また、インク滴が吐出されない期間も、インク吐出ノズル521内にはインクが入っており、大気圧及びインクの表面張力の作用により、ノズル孔521hではインクの液面Lsが形成されている。圧電素子526は、他の振動素子に代えても良い。
【0032】
そして、制御部7は、インク吐出ノズル521からのインク吐出開始時に、インク吐出を行わずにインク吐出ノズル521内のインクの液面Lsを振動させる吐出前振動を実行可能である。さらに、制御部7は、吐出前振動を実行した後に、インク吐出を実行するようにヘッド駆動部53を制御する。
【0033】
また、インクジェット記録装置1は、
図1及び
図3に示すように、キャップユニット(キャップ部材)11と、メンテナンスユニット12と、ユニット移動機構(キャップ移動機構)13と、加湿部14と、を備える。
図5は、
図1のインクジェット記録装置1の記録部5、キャップユニット11、及びメンテナンスユニット12の斜視図である。
図6は、
図5のキャップユニット11の斜視図である。
図7は、
図5のキャリッジ131の斜視図である。
【0034】
キャップユニット11及びメンテナンスユニット12は、
図1に示すように、第2ベルト搬送部42の下方の第1位置に配置される。インク吐出面52Fに対するキャッピング及び記録ヘッド52のメンテナンス処理を実行する際、キャップユニット11及びメンテナンスユニット12のそれぞれは、記録部5の下方の第2位置に移動することができる。なお、キャップユニット11に関して言えば、上記第1位置はインク吐出面52Fから退避した非キャップ位置であり、上記第2位置はインク吐出面52Fを覆うキャップ位置である。
【0035】
キャップユニット11は、インク吐出面52Fを覆うキャップ位置に配置され、記録部5の下面に装着される。キャップユニット11は、インク吐出面52Fに対して着脱可能であり、インク吐出面52Fを覆う。これにより、キャップユニット11は、インク吐出ノズル521内のインクの乾燥増粘を抑制する。キャップユニット11は、トレイ111と、キャップ部112と、を有する。
【0036】
トレイ111は、用紙搬送方向Dc及び用紙幅方向Dwに水平に延びる矩形状に形成される。キャップ部112は、トレイ111の上面に配置される。キャップ部112は、色毎に用紙幅方向Dwに沿って千鳥状に配列された複数の記録ヘッド52a、52b、52cに対応する位置に配置されている。すなわち、本実施形態において、キャップユニット11は、12個のキャップ部112を有する。キャップ部112は、下方に窪んだ凹状に形成される。キャップユニット11がインク吐出面52Fを覆うキャップ位置に配置されると、記録ヘッド52の底部がキャップ部112の内側に入り込み、キャップ部112内が閉塞される。
【0037】
メンテナンスユニット12は、記録部5の下方の第2位置に配置され、記録部5の下面に装着される。これにより、メンテナンスユニット12は、例えばワイパー(不図示)によるインク吐出面52Fのワイピング(拭き取り)や、ワイピング後の液体の回収等を実行し、インク吐出面52Fに固着したインクを除去する。
【0038】
ユニット移動機構13は、記録部5及び乾燥部6の下方に配置される。ユニット移動機構13は、キャリッジ131と、水平移動機構132と、昇降機構133と、を有するとともに、キャップユニット11及びメンテナンスユニット12を支持する。
【0039】
キャリッジ131は、水平移動機構132に支持されている。キャリッジ131は、上面が開口した直方体の箱形状に形成され、内部にメンテナンスユニット12を収容する。キャリッジ131は、さらに昇降機構133を保持する。
【0040】
水平移動機構132は、ガイドレール1321と、モーター1322と、を有する。
【0041】
ガイドレール1321は、用紙幅方向Dwの一端側及び他端側のそれぞれに配置され、記録部5の下方から乾燥部6の下方まで用紙搬送方向Dcに沿って水平に延びる。キャップユニット11及びメンテナンスユニット12は、ガイドレール1321に沿って水平に移動可能にしてガイドレール1321に支持されている。なお、キャップユニット11は、キャリッジ131(メンテナンスユニット12)よりも上方に、独立して支持されている。
【0042】
モーター1322は、ガイドレール1321に隣接して配置され、その出力軸がギヤ群、若しくはワイヤー及びプーリー(いずれも不図示)を介してキャップユニット11及びキャリッジ131(メンテナンスユニット12)に連結される。モーター1322を駆動させると、水平移動機構132は、キャップユニット11及びキャリッジ131(メンテナンスユニット12)を、用紙搬送方向Dcに沿って水平移動させる。なお、水平移動機構132は、キャップユニット11と、キャリッジ131(メンテナンスユニット12)とを個別に水平移動させることができる。
【0043】
昇降機構133は、支持部材1331と、モーター1332と、を有する。
【0044】
支持部材1331は、キャリッジ131の内底部の4箇所にそれぞれ配置される。支持部材1331は、用紙幅方向Dwに延び、その一端部が用紙搬送方向Dcに延びる回転軸1331aに固定され、回転軸1331aの軸線回りに回転可能である。支持部材1331の用紙幅方向Dwの他端部は、メンテナンスユニット12の底部に接触する。なお、支持部材1331は、1本の回転軸1331aに対して、用紙搬送方向Dcの一端側及び他端側の2箇所に固定される。昇降機構133は、このような1本の回転軸1331aに2つの支持部材1331が固定された部材を、用紙幅方向Dwの一端側及び他端側のそれぞれに有する。すなわち、メンテナンスユニット12の底部には、4つの支持部材1331が接触する。
【0045】
モーター1332は、キャリッジ131の用紙搬送方向Dcの一端側に配置され、その出力軸がギヤ群、若しくはワイヤー及びプーリー(いずれも不図示)を介して2本の回転軸1331aに連結される。モーター1332を駆動させると、昇降機構133は、4つの支持部材1331を回転軸1331aの軸線回りに回転させることで、メンテナンスユニット12を押し上げる、若しくは引き下げて、キャップユニット11及びメンテナンスユニット12を昇降させる。なお、キャップユニット11は、メンテナンスユニット12を介して、昇降機構133により昇降される。
【0046】
上記のようにして、ユニット移動機構13は、キャップユニット11及びメンテナンスユニット12を、第2ベルト搬送部42の下方の第1位置と、記録部5の下方の第2位置とに選択的に移動させる。すなわち、ユニット移動機構13は、キャップユニット11を、インク吐出面52Fを覆うキャップ位置と、インク吐出面52Fから退避した非キャップ位置とに選択的に移動させる。なおこのとき、記録部5の下面に対向配置されている第1ベルト搬送部41は、他の昇降機構等によって降下される。ユニット移動機構13の動作は、制御部7によって制御される。
【0047】
加湿部14は、キャップユニット11の複数のキャップ部112のそれぞれに接続される。なお、
図6では、説明の便宜上、加湿部14が3個のキャップ部112のみに接続しているように描画しているが、実際には、加湿部14は12個のキャップ部112すべてに接続されている。加湿部14は、蒸気発生部141を有する。
【0048】
蒸気発生部141は、例えばヒーターと、液体の貯留タンクと、を含む(いずれも不図示)。ヒーターは、貯留タンクに隣接して配置される。貯留タンクと、キャップ部112とは配管により接続される。蒸気発生部141は、ヒーターによって貯留タンク内の液体を温めることで、当該液体の蒸気を発生させる。加湿部14は、配管を介して蒸気をキャップ部112に送り込むことで、キャップ部112内を加湿する。加湿部14の動作は、制御部7によって制御される。
【0049】
そして、制御部7は、例えば印刷ジョブが終了するなどしてインク吐出ノズル521からのインク吐出を終了した後、予め定められた標準期間が経過した場合に、キャップユニット11を記録部5の下面に装着してインク吐出面52Fを覆い、インク吐出面52Fのキャッピングを行う。これにより、インクジェット記録装置1は、インク吐出ノズル521内のインクの増粘を抑制する。
【0050】
ここで、インク吐出終了から、制御部7がキャッピングの指令を発するまでの上記標準期間は、予め定められて記憶部8等に記憶されている。しかしながら、実際の、インク吐出終了からキャッピングに至るまでの非キャップ期間は、用紙Sやインクの補充及び交換、トラブル処理、メンテナンス処理等により、上記標準期間とは異なる場合がある。
【0051】
そして、制御部7は、インク吐出面52Fからのインク吐出終了から次のインク吐出開始までの、非キャップ期間とキャップ期間とのそれぞれの長さに応じて、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数を設定する。このとき、制御部7は、ヘッド駆動部53及びユニット移動機構13の動作に係る制御テーブルとして記憶部8に予め記憶された非キャップ期間用テーブル81とキャップ期間用テーブル82とを用いる。
図8は、非キャップ期間用テーブル81の一例を示す図である。
図9は、キャップ期間用テーブル82の一例を示す図である。
【0052】
図8に示すように、非キャップ期間用テーブル81には、インク吐出終了からの経過時間t(非キャップ期間)と、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yとのそれぞれのデータが対応付けされて記憶されている。
図8は、インク吐出終了からの経過時間tが長いほど、すなわちインク吐出ノズル521の開放期間が長いほど、インク吐出ノズル521におけるインクの乾燥増粘が進行することが想定され、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yが多く必要となることを示している。すなわち、非キャップ期間用テーブル81は、インク吐出面52Fの非キャップ期間(経過時間t)に基づいて、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yを増加させる。
【0053】
図9に示すように、キャップ期間用テーブル82には、キャッピング開始からの経過時間t(キャップ期間)と、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yとのそれぞれのデータが対応付けされて記憶されている。
図9は、キャッピング開始からの経過時間tが長いほど、キャップ部112内の加湿によるインク吐出ノズル521のインクの粘度低減が進行することが想定され、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yが少なくなっていくことを示している。すなわち、キャップ期間用テーブル82は、インク吐出面52Fのキャップ期間(経過時間t)に基づいて、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yを減少させる。
【0054】
上記の構成によれば、インク吐出面52Fの非キャップ期間に基づいて、すなわちインク吐出ノズル521内のインクの乾燥の進行具合に応じて、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521内のインク液面の振動回数Yが増加される。また、インク吐出面52Fのキャップ期間に基づいて、すなわちインク吐出ノズル521内のインクの湿潤の進行具合に応じて、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521内のインク液面の振動回数Yが減少される。これにより、インク吐出面52Fの乾湿状態の変化に応じてインク吐出ノズル521内のインク粘度を好適に保持することができ、高品質な画像を記録することが可能になる。
【0055】
また、上記のように、加湿部14は、蒸気を発生させる蒸気発生部141を含み、当該蒸気をキャップユニット11のキャップ部112内まで送り込んでいる。この構成によれば、蒸気によって、インク吐出面52Fを好適に加湿することができる。すなわち、インク吐出ノズル521内のインクの増粘や、インク吐出面52Fにおけるインクの固着を抑制することが可能である。
【0056】
続いて、インクジェット記録装置1の変形例について説明する。
【0057】
図10は、変形例1のインクジェット記録装置1におけるキャッピングに係る動作の流れを示すフローチャートである。
図11、
図12及び
図13は、
図10の第1キャップ期間用テーブル82A、第2キャップ期間用テーブル82B及び第3キャップ期間用テーブル82Cの一例を示す図である。
【0058】
変形例1のインクジェット記録装置1は、複数のキャップ期間用テーブル82を含む制御テーブルを記憶部8に予め記憶する。当該制御テーブルは、キャップ期間(経過時間t)に対する次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yの割合が異なる第1キャップ期間用テーブル82A、第2キャップ期間用テーブル82B及び第3キャップ期間用テーブル82Cである(
図11、
図12及び
図13参照)。第1キャップ期間用テーブル82A、第2キャップ期間用テーブル82B、第3キャップ期間用テーブル82Cの順で、吐出前振動の振動回数Yが0になるまでの経過時間tが長くなっている。
【0059】
変形例1のインクジェット記録装置1では、例えば印刷ジョブ等が終了すると、インク吐出終了からキャッピングに至るまでの非キャップ期間の経過時間tが計測される(
図10のステップS11)。そして、制御部7は、非キャップ期間用テーブル(ここでは不図示)を用いて、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yを設定する(
図10のステップS12)。
【0060】
そして、制御部7は、次に続くキャップ期間に基づく次の吐出前振動の振動回数Yの設定に対し、非キャップ期間用テーブルから取得した吐出前振動の振動回数Yに基づいて第1キャップ期間用テーブル82A、第2キャップ期間用テーブル82B及び第3キャップ期間用テーブル82Cのうちいずれかを選択する。
【0061】
記憶部8には、非キャップ期間用テーブルから取得した吐出前振動の振動回数Yに関し、2つの閾値m、nが予め記憶される。例えば、振動回数の閾値mは1500回であり、振動回数の閾値nは4500回である。
【0062】
制御部7は、非キャップ期間用テーブルから取得した次の吐出前振動の振動回数Yに関し、0<Y≦m(m=1500回)である場合、キャップ期間用テーブルとして第1キャップ期間用テーブル82Aを使用する(ステップS13)。また、制御部7は、非キャップ期間用テーブルから取得した次の吐出前振動の振動回数Yに関し、m<Y≦n(n=4500回)である場合、キャップ期間用テーブルとして第2キャップ期間用テーブル82Bを使用する(ステップS14)。また、制御部7は、非キャップ期間用テーブルから取得した次の吐出前振動の振動回数Yに関し、n<Yである場合、キャップ期間用テーブルとして第3キャップ期間用テーブル82Cを使用する(ステップS15)。
【0063】
なお、ステップS13、S14及びS15において、制御部7は、キャップ期間の経過時間tの計測を0からカウントする。そして、制御部7は、印刷ジョブ等の指令を受け付ける、または吐出前振動の振動回数Y=0の経過時間tに到達する等の条件に基づき、インク吐出面52Fのキャッピング状態を解除して非キャップ期間を開始する(
図10のステップS16)。
【0064】
上記の構成によれば、インク吐出面52Fの非キャップ期間に基づいて、すなわちインク吐出ノズル521内のインクの乾燥の進行具合に応じて、次に続くキャップ期間に基づく次の吐出前振動の振動回数Yの設定が異なる制御テーブルが選択される。例えば、
図11、
図12及び
図13に示す第1キャップ期間用テーブル82A、第2キャップ期間用テーブル82B及び第3キャップ期間用テーブル82Cに関して言えば、インク吐出面52Fの非キャップ期間(経過時間t)が長いほど、次の吐出前振動の振動回数Yが0になるまでの期間が長くなるように、キャップ期間用テーブルが選択される。したがって、インク吐出面52Fの乾湿状態に適合した吐出前振動を、次のインク吐出開始時にインク吐出ノズル521に付与することができる。
【0065】
また、制御部7は、上記のようにインク吐出ノズル521からのインク吐出終了から次のインク吐出開始までにキャップ期間を含む場合に、第1の非キャップ期間、キャップ期間、第2の非キャップ期間の順で3つの期間を設けてユニット移動機構13の動作を制御する。
図10に関して言えば、第1の非キャップ期間はステップS11の非キャップ期間であり、キャップ期間はステップS13、S14、或いはS15のキャップ期間であり、第2の非キャップ期間はステップS16の非キャップ期間である。
【0066】
そして、制御部7は、これら3つの期間に基づき、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yを設定する。この構成によれば、キャップ期間を設けることによってインク吐出ノズル521のインク増粘を抑制できるとともに、非キャップ期間を設けることによってインク吐出面52Fの過度な湿潤を抑制することが可能である。したがって、インク吐出ノズル521内のインク粘度を好適に保持することができ、高品質な画像を記録することが可能になる。
【0067】
図14及び
図15は、変形例2のインクジェット記録装置1におけるキャップ期間用テーブル82D及び非キャップ期間用テーブル81Aの一例を示す図である。変形例2では、例えば
図10に示す変形例1においてキャップ期間から第2の非キャップ期間へ移行する際の、次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yを設定に関し、次に示す制御が行われる。
【0068】
変形例2のインクジェット記録装置1において、制御部7は、キャップ期間の終了時にキャップ期間用テーブル82Dから取得した次のインク吐出開始時のインク吐出ノズル521における吐出前振動の振動回数Yに基づき、次に続く非キャップ期間の計測を開始する。例えば、
図14に示すキャップ期間用テーブル82Dを用いている場合に、キャップ期間(経過時間t)が3秒であるとき、制御部7は、次の吐出前振動の振動回数Yとして1000回を取得する。そして、制御部7は、、次に続く非キャップ期間の計測を、
図15に示す非キャップ期間用テーブル81Aの振動回数Y=1000回、すなわちキャップ期間(経過時間t)=3秒から非キャップ期間の経過時間tの計測を開始する。
【0069】
このように、制御部7は、キャップ期間に続く第2の非キャップ期間に基づく次の吐出前振動の振動回数Yの設定に対し、キャップ期間用テーブル82Dから取得した振動回数Yと同数の、非キャップ期間用テーブル81Aの振動回数Yに対応する経過時間tから第2の非キャップ期間の計測を開始する。この構成によれば、キャップ期間におけるインク吐出面52Fに対する加湿状態を考慮して、次の吐出前振動の振動回数Yに影響を与える非キャップ期間の計測が行われる。したがって、インク吐出面52Fの乾湿状態により一層適合した吐出前振動を、次のインク吐出開始時にインク吐出ノズル521に付与することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、インクジェット記録装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 インクジェット記録装置
5 記録部
7 制御部
8 記憶部
11 キャップユニット(キャップ部材)
12 メンテナンスユニット
13 ユニット移動機構(キャップ移動機構)
14 加湿部
51 ヘッドユニット
52 記録ヘッド
52F インク吐出面
53 ヘッド駆動部
81、81A 非キャップ期間用テーブル
82、82D キャップ期間用テーブル
82A 第1キャップ期間用テーブル
82B 第2キャップ期間用テーブル
82C 第3キャップ期間用テーブル
111 トレイ
112 キャップ部
131 キャリッジ
132 水平移動機構
133 昇降機構
141 蒸気発生部
521 インク吐出ノズル
S 用紙(記録媒体)