(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154957
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】梱包部材
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20241024BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B65D81/05 540A
B65D5/50 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069215
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 慎二
【テーマコード(参考)】
3E060
3E066
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC02
3E060CC12
3E060CC19
3E060EA16
3E066AA14
3E066BA05
3E066CA04
3E066HA01
3E066JA03
3E066KA02
3E066NA42
(57)【要約】
【課題】開梱作業が困難になることを抑制しつつ、梱包ケースの内部での緩衝部材の位置ずれを抑制する。
【解決手段】梱包部材は、梱包ケースと、側板を有する第1緩衝部材と、側板と梱包ケースとの間に配置される第2緩衝部材と、を備え、第1緩衝部材は、第1係合部を有し、第1係合部は、側板の上端縁に連結され、連結部分を支点として回動可能であり、第2緩衝部材は、第2係合部を有し、第1緩衝部材および第2緩衝部材を梱包ケースに収容し、かつ、第1係合部を下方に回動させて第1係合部と第2係合部とを係合させることにより、第1緩衝部材が第2緩衝部材に対して位置決めされ、第1係合部と第2係合部とが係合した状態から、第1係合部を上方に回動させることにより、第1係合部と第2係合部との係合が解除される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口を有し、前記開口を介して被梱包物が出し入れされる梱包ケースと、
前記被梱包物と第1方向に対向するよう配置される側板を有する第1緩衝部材と、
前記側板と前記梱包ケースとの間に配置される第2緩衝部材と、を備え、
前記第1緩衝部材は、第1係合部を有し、
前記第1係合部は、前記側板の上端縁に連結され、前記側板との連結部分で折り曲げられることにより、前記連結部分を支点として前記側板との連結側とは反対側の先端を上下に回動可能であり、
前記第2緩衝部材は、前記第1係合部と係合可能な第2係合部を有し、
前記第1緩衝部材および前記第2緩衝部材を前記梱包ケースに収容し、かつ、前記第1係合部を下方に回動させて前記第1係合部と前記第2係合部とを係合させることにより、前記第1緩衝部材が前記第2緩衝部材に対して位置決めされ、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態から、前記第1係合部を上方に回動させることにより、前記第1係合部と前記第2係合部との係合が解除される、梱包部材。
【請求項2】
前記第2緩衝部材は、
前記側板と前記第1方向に対向するよう配置される基台板と、
前記基台板の上端縁に連結され、前記基台板の前記第1方向の外方において角筒状に折り曲げられた一対の緩衝部と、を有し、
一対の前記緩衝部は、前記第1方向と直交する第2方向に互いに間隔を隔てて対向するよう配置され、
前記第2緩衝部材は、一対の前記緩衝部のうち前記第2方向に互いに間隔を隔てて対向する一対の端面を前記第2係合部として有し、
前記第1係合部が前記基台板の上端縁を乗り越えるように折り曲げられ、かつ、前記第1係合部が一対の前記端面の前記第2方向間に挟まれることにより、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合状態になる、請求項1に記載の梱包部材。
【請求項3】
前記第1係合部の少なくとも前記先端の前記第2方向の幅は、一対の前記端面の前記第2方向の間隔よりも大きい、請求項2に記載の梱包部材。
【請求項4】
前記第1係合部は、前記第1係合部の厚み方向に貫通する孔部を有し、
前記基台板は、前記基台板の上端縁から上方に突出する凸部を有し、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態では、前記孔部に前記凸部が挿入される、請求項2に記載の梱包部材。
【請求項5】
前記第2緩衝部材は、前記基台板の上端縁に連結される把持板を有し、
前記把持板は、
前記基台板の上端縁から下方に向かって折り曲げられる第1把持部と、
前記第1把持部のうち前記基台板との連結側とは反対側の端縁から上方に向かって折り曲げられ、前記第1把持部の前記第1方向の外方に配置される第2把持部と、を有し、
前記第1係合部は、前記先端から突出する係合突起を有し、
前記第2把持部は、前記第2把持部の厚み方向に貫通する係合孔を有し、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態では、前記係合突起が前記第1方向の内方から前記係合孔に挿入され、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態から、前記把持板が上方に引っ張られて延ばされ、前記係合突起が挿入された前記係合孔の上下方向の位置が上方に変位することにより、前記第1係合部が上方に回動し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合か解除される、請求項2に記載の梱包部材。
【請求項6】
一対の前記緩衝部は、それぞれ、上下方向を厚み方向とする板状部分を有し、
一対の前記板状部分は、前記第2把持部を前記第2方向に挟み、
前記第2把持部は、前記第2把持部の前記第2方向の両端から前記第2方向の外方に突出する一対の係止片を有し、
前記第1係合部と前記第2係合部とが係合した状態では、一対の前記係止片が一対の前記板状部材の下面と接触する、請求項5に記載の梱包部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、梱包ケースに収容された被梱包物に加わる衝撃を緩衝する緩衝部材を備える梱包部材が知られている。このような梱包部材は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緩衝部材は、梱包ケースの内部において、被梱包物と対向して配置される。外部から衝撃を受けたとき、緩衝部材が変形する(潰れる)ことで衝撃が緩衝される。しかし、梱包ケースの内部で緩衝部材が位置ずれすると、緩衝部材の緩衝性能が低下する場合がある。この不都合を抑制するため、梱包ケースの内部で緩衝部材を強固に固定すると、梱包ケースからの緩衝部材の取り出しが困難になる(開梱作業が困難になる)。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、開梱作業が困難になることを抑制しつつ、梱包ケースの内部での緩衝部材の位置ずれを抑制することが可能な梱包部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一局面による梱包部材は、上方に開口を有し、開口を介して被梱包物が出し入れされる梱包ケースと、被梱包物と第1方向に対向するよう配置される側板を有する第1緩衝部材と、側板と梱包ケースとの間に配置される第2緩衝部材と、を備える。第1緩衝部材は、第1係合部を有する。第1係合部は、側板の上端縁に連結され、側板との連結部分で折り曲げられることにより、連結部分を支点として側板との連結側とは反対側の先端を上下に回動可能である。第2緩衝部材は、第1係合部と係合可能な第2係合部を有する。第1緩衝部材および第2緩衝部材を梱包ケースに収容し、かつ、第1係合部を下方に回動させて第1係合部と第2係合部とを係合させることにより、第1緩衝部材が第2緩衝部材に対して位置決めされる。第1係合部と第2係合部とが係合した状態から、第1係合部を上方に回動させることにより、第1係合部と第2係合部との係合が解除される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の構成では、開梱作業が困難になることを抑制しつつ、梱包ケースの内部での緩衝部材の位置ずれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態による梱包部材を被梱包物と共に右側から見た斜視図である。
【
図2】一実施形態による梱包部材を被梱包物と共に左側から見た斜視図である。
【
図3】一実施形態による第1緩衝部を被梱包物と共に右側から見た斜視図である。
【
図4】一実施形態による第1緩衝部材および第2緩衝部材を左側から見た斜視図である。
【
図5】一実施形態による第2緩衝部材を右側から見た斜視図である。
【
図6】
図5に示す緩衝部材を展開した斜視図である。
【
図7】一実施形態による第1係合部および第2係合部を示す斜視図である(第1係合部と第2係合部との係合が解除された状態の図)。
【
図8】一実施形態による第1係合部および第2係合部を示す斜視図である(第1係合部と第2係合部とが係合した状態の図)。衝撃分散板および緩衝部材のそれぞれの幅を示す模式図である。
【
図9】一実施形態による第1緩衝部材に第2緩衝部材が完全に連結された状態を示す斜視図である。
【
図10】一実施形態による第1緩衝部材から第2緩衝部材が取り外される途中の状態を示す斜視図である。
【
図11】一実施形態による第1緩衝部材と第2緩衝部材との連結か解除された状態を示す斜視図である。
【
図12】一実施形態による第1係合部の係合突起と第2把持部の係合孔との位置関係を示す模式図である。
【
図13】一実施形態による第2把持部の一対の係止片が一対の板状部材と係合した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図13を参照し、本発明の一実施形態による梱包部材1000について説明する。
【0010】
なお、以下の説明では、図中のX方向を左右方向と定義する。X方向の一方側が右側であり、X方向の他方側が左側である。X方向は「第1方向」に相当する。また、以下の説明では、図中のY方向(すなわち、X方向と直交する方向)を前後方向と定義する。Y方向の一方側が前側であり、Y方向の他方側が後側である。Y方向は「第2方向」に相当する。図中のZ方向(すなわち、X方向およびY方向と直交する方向)は上下方向である。
【0011】
また、以下の説明において、X方向の外方(「第1方向の外方」に相当)とは、梱包ケースPBのX方向の中心からX方向の一方側または他方側に離間する方向であり、X方向の内方(「第1方向の内方」に相当)とは、梱包ケースPBのX方向の中心に向かってX方向の一方側または他方側から接近する方向である。Y方向の外方(「第2方向の外方」に相当)とは、梱包ケースPBのY方向の中心からY方向の一方側または他方側に離間する方向であり、Y方向の内方(「第2方向の内方」に相当)とは、梱包ケースPBのY方向の中心に向かってY方向の一方側または他方側から接近する方向である。言い換えると、「外方」とは、梱包ケースPBの内部から外部に向かう方向であり、「内方」とは、梱包ケースPBの外部から内部に向かう方向である。
【0012】
<全体構成>
本実施形態の梱包部材1000は、
図1~
図5に示すように、第1緩衝部材1と、第2緩衝部材2と、緩衝部材セット3と、梱包ケースPBとを備える。
【0013】
梱包ケースPBは、上方に開口OPを有する。被梱包物PAは、開口OPを介して、梱包ケースPBに出し入れされる。
【0014】
第1緩衝部材1は、単一の段ボールシートを折り曲げることによって形成される。第1緩衝部材1は、底板BTを有する。被梱包物PAは、底板BTに載置される。また、第1緩衝部材1は、右側板101と左側板102とを有する。右側板101は「側板」に相当する。
【0015】
右側板101は、第1緩衝部材1となる段ボールシートのうち底板BTの右側の部分を上方に折り曲げることによって形成され、左側板102は、第1緩衝部材1となる段ボールシートのうち底板BTの左側の部分を上方に折り曲げることによって形成される。すなわち、右側板101は、底板BTの右側の端縁に連結され、左側板102は、底板BTの左側の端縁に連結される。
【0016】
右側板101および左側板102は、それぞれ、筒部100aを前側に有する。梱包ケースPBの内部に第1緩衝部材1が配置された状態では、各筒部100aの筒軸方向は上下方向となる。すなわち、右側板101および左側板102は、それぞれ、上方を向く開口を有する。各筒部100aは、梱包ケースPBの前側から被梱包物PAに加わる衝撃を緩衝する緩衝材として機能する。さらに、各筒部100aは、後述する前緩衝部材33の支持に使用される。
【0017】
また、右側板101および左側板102は、それぞれ、上方から下方に向かって切り込まれたスリット100bを有する。各スリット100bは、後述する後緩衝部材34の支持に使用される。
【0018】
右側板101および左側板102は、それぞれ、被梱包物PAと左右方向に対向するよう配置される。右側板101は、被梱包物PAの右側に配置され、左側板102は、被梱包物PAの左側に配置される。これにより、右側板101および左側板102は、被梱包物PAを左右方向に挟む。
【0019】
右側板101および左側板102は、それぞれ、底板BTとの連結部分を支点とし、底板BTとの連結側とは反対側の端部(ここでは、当該端部を回動端と称する)を振るように回動可能である。被梱包物PAが底板BTに載置された状態で、右側板101および左側板102のそれぞれの回動端を内側(すなわち、被梱包物PAに向かう側)に移動させることにより、右側板101と左側板102とによって被梱包物PAが左右方向に挟まれる。
【0020】
梱包ケースPBから被梱包物PAを取り出す作業では、被梱包物PAが第1緩衝部材1と共に梱包ケースPBから取り出される。この作業の利便性を向上させるため、右側板101および左側板102は、それぞれ、その厚み方向に貫通する長穴からなる取っ手100cを有する。
【0021】
第1緩衝部材1と共に被梱包物PAを梱包ケースPBから取り出すと、右側板101および左側板102のそれぞれの回動端を外側(すなわち、被梱包物PAから離れる側)に移動させることができる。これにより、第1緩衝部材1から被梱包物PAを取り出し易くなる。
【0022】
第2緩衝部材2は、被梱包物PAの右側に配置される。第2緩衝部材2は、梱包ケースPBの右側から被梱包物PAに加わる衝撃を緩衝する。詳細は後述する。
【0023】
緩衝部材セット3は、下緩衝部材31および32と、前緩衝部材33と、後緩衝部材34と、上緩衝部材35および36とを含む。これら複数の緩衝部材31~36は、梱包ケースPBの内部で被梱包物PAを囲むことにより、梱包ケースPBの外部から被梱包物PAに加わる衝撃を緩衝する。
【0024】
下緩衝部材31および32は、それぞれ、被梱包物PAの右下角部および左下角部に配置される。下緩衝部材31および32は、パルプモールド成型法によりパルプモールド系材料から型を用いて形成される。
【0025】
梱包ケースPBに被梱包物PAを収容する作業では、まず、下緩衝部材31および32が梱包ケースPBに収容される。下緩衝部材31は、梱包ケースPBの内部の右下隅部に配置され、下緩衝部材32は、梱包ケースPBの内部の左下隅部に配置される。その後、第1緩衝部材1と共に被梱包物PAが梱包ケースPBに収容される。これにより、被梱包物PAの右下角部および左下角部がそれぞれ、下緩衝部材31および32に配置される。
【0026】
前緩衝部材33は、被梱包物PAの前側に配置される。後緩衝部材34は、被梱包物PAの後側に配置される。前緩衝部材33および後緩衝部材34は、単一の段ボールシートを折り曲げることによって形成される。前緩衝部材33および後緩衝部材34は、第1緩衝部材1によって支持される。
【0027】
前緩衝部材33は、上下方向を筒軸方向とする筒部(符号省略)を有する。前緩衝部材33は、その筒部が第1緩衝部材1の筒部100aの内部に挿入されることにより、第1緩衝部材1によって支持された状態になる。
【0028】
後緩衝部材34は、下方から上方に向かって切り込まれたスリット(符号省略)を有する。後緩衝部材34は、そのスリットが第1緩衝部材1のスリット100bに差し込まれることにより、第1緩衝部材1によって支持された状態になる。
【0029】
第1緩衝部材1と共に被梱包物PAが梱包ケースPBに収容された後、前緩衝部材33の筒部が第1緩衝部材1の筒部100aに挿入される。また、後緩衝部材34のスリットが第1緩衝部材1のスリット100bに差し込まれる。
【0030】
上緩衝部材35および36は、それぞれ、被梱包物PAの右上角部および左上角部に配置される。上緩衝部材35および36は、パルプモールド成型法によりパルプモールド系材料から型を用いて形成される。
【0031】
第2緩衝部材2は、単一の段ボールシートS(
図6参照)を折り曲げることによって形成される。
図6には、第2緩衝部材2を展開した状態が示される。
【0032】
第2緩衝部材2は、一対の緩衝部200を有する。一対の緩衝部200は、段ボールシートSを角筒状に折り曲げることによって形成される。一対の緩衝部200は、その筒軸方向が前後方向となるよう配置される。また、一対の緩衝部200は、前後方向に互いに間隔を隔てて対向するよう配置される。段ボールシートS(
図6参照)のうち、部分S1が角筒状に折り曲げられ、かつ、部分S2が折り曲げられて各筒内に配置される。これにより、一対の緩衝部200は、後述する基台板201の上端縁に連結された状態になる。
図6では、基台板201の上端縁となる部分を太線で示し、符号Eを付す。
【0033】
第2緩衝部材2は、被梱包物PAのうち他の部分よりも強度が低い低強度部分への衝撃を緩衝する。たとえば、被梱包物PAの右側部分が低強度部分である。この場合、被梱包物PAの右側部分と梱包ケースPBとの左右方向間に第2緩衝部材2が配置される。すなわち、第2緩衝部材2は、第1緩衝部材1の右側板101と共に被梱包物PAの右側に配置される。第2緩衝部材2は、右側板101の左右方向の外方に配置される。
【0034】
たとえば、被梱包物PAの左側部分が右側部分と同様に強度が低い場合(被梱包物PAの左側部分も低強度部分である場合)には、被梱包物PAの左側部分と梱包ケースPBとの左右方向間にも第2緩衝部材2が配置されてもよい。ただし、ここでは、被梱包物PAのうち右側部分だけが低強度部分であるとする。
【0035】
なお、第1緩衝部材1の右側板101は、右側板101の他の領域よりも硬い衝撃分散領域101aを有する。衝撃分散領域101aは、前後方向に長尺の領域であり、一対の緩衝部200の両方と左右方向に対向する。衝撃分散領域101aは、右側板101に段ボールシートを貼付することによって形成されてもよいし、右側板101に段ボールシートよりも硬いシート部材を貼付することによって形成されてもよい。
【0036】
右側板101に衝撃分散領域101aを設けることにより、右側板101のうち一対の緩衝部200と左右方向に対向する部分に集中的に衝撃が加わることを抑制できる。言い換えると、一対の緩衝部200が受けた衝撃を広範囲に分散できる。これにより、被梱包物PAの右側部分に加わる衝撃を広範囲に分散できる。
【0037】
第2緩衝部材2は、基台板201を有する。基台板201は、その厚み方向が左右方向となるよう配置される。基台板201は、右側板101と左右方向に対向するよう配置される。基台板201は、右側板101の左右方向の外方に配置される。一対の緩衝部200は、基台板201の左右方向の外方において角筒状に折り曲げられる。すなわち、一対の緩衝部200は、基台板201の左右方向の外方に配置される。
【0038】
第2緩衝部材2は、把持板202を有する。把持板202は、基台板201の上端縁に連結される。基台板201の上端縁のうち、一対の緩衝部200が連結される一対の部分の左右方向間の部分が把持板202の連結部分となる。
【0039】
把持板202は、作業者によって把持される。このため、把持板202は、基台板201との連結側とは反対側の端部に取っ手202aを有する。取っ手202aは、把持板202の厚み方向に貫通する長穴である。梱包ケースPBから第2緩衝部材2を取り出す作業が行われるとき、作業者によって取っ手202aが把持され、把持板202が上方に引っ張られる。
【0040】
把持板202は、二つ折りにされる。把持板202の一部は、把持板202が二つ折りにされることにより、基台板201と梱包ケースPBとの左右方向間(すなわち、基台板201の左右方向の外方)に配置される。言い換えると、把持板202の一部は、把持板202が二つ折りにされることにより、基台板201の上端縁よりも下方に配置される。
【0041】
一方で、把持板202のうち取っ手202aを有する端部は、把持板202が二つ折りにされた状態において、基台板201の上端縁よりも上方に突出する。把持板202のうち取っ手202aを有する端部は、把持板202が二つ折りにされた状態において、一対の緩衝部200の前後方向間から上方に突出する。言い換えると、把持板202は、二つ折りにされることにより、一対の緩衝部200の前後方向間に挟まれる。詳細は後述するが、一対の板状部分21の前後方向間に把持板202が挟まれる。これにより、把持板202が二つ折りにされても、作業者は取っ手202aを把持できる。
【0042】
把持板202は、第1把持部2021と、第2把持部2022とを有する(
図6などを参照)。第1把持部2021は、基台板201の上端縁から下方に向かって折り曲げられる部分である。第2把持部2022は、第1把持部2021のうち基台板201との連結側とは反対側の端縁から上方に向かって折り曲げられる部分である。把持板202が二つ折りにされることにより、第1把持部2021の左右方向の外方に第2把持部2022が配置される。
【0043】
<第2緩衝部材の位置ずれ抑制構造>
第1緩衝部材1および第2緩衝部材2は、
図7および
図8に示すように、互いに連結可能である。第1緩衝部材1および第2緩衝部材2が互いに連結することにより、第1緩衝部材1に対して第2緩衝部材2が固定される。なお、第1緩衝部材1の底板BTには被梱包物PAが載置されるため、第1緩衝部材1は梱包ケースPBの内部で略動かない。このため、第1緩衝部材1に対して第2緩衝部材2を固定することにより、梱包ケースPBの内部での第2緩衝部材2の位置ずれを抑制できる。言い換えると、第2緩衝部材2が被梱包物PAの低強度部分から外れた位置にずれることを抑制できる。
【0044】
具体的には、第1緩衝部材1は、第1係合部10を有する(
図3および
図4も参照)。第2緩衝部材2は、第1係合部10と係合可能な第2係合部20を有する。第1係合部10と第2係合部20とが係合することにより、第1緩衝部材1と第2緩衝部材2とが連結された状態になる。
【0045】
第1緩衝部材1は、右側板101の上端縁から突出する部分を第1係合部10として有する。すなわち、第1係合部10は、右側板101の上端縁に連結される。第1係合部10は、右側板101との連結部分で折り曲げられる。このため、右側板101と第1係合部10との境界に折り目が付けられる。第1係合部10は、右側板101との連結部分を支点とし、右側板101との連結側とは反対側の先端を上下に振るように回動可能である。第1係合部10は、右側板101との連結部分を支点とし、少なくとも左右方向の外方(右側)に傾倒可能である。
【0046】
第2緩衝部材2は、一対の緩衝部200のうち前後方向に互いに間隔を隔てて対向する一対の端面210を第2係合部20として有する。具体的には、一対の緩衝部200は、それぞれ、板状部分21を有する。そして、その一対の板状部分21のうち、前記方向に間隔を隔てて対向する一対の端面210が第2係合部となる。なお、一対の板状部分21は、一対の緩衝部200のうち角筒の上面部を構成する一対の部分である。一対の板状部分21は、上下方向を厚み方向とし、前後方向に互いに間隔を隔てて対向する。以下の説明では、端面210を係合面210と称し、他の端面と区別する。
【0047】
第1係合部10と第2係合部20とが係合した状態では、一対の係合面210によって第1係合部10が前後方向に挟まれる。第1係合部10の少なくとも右側板101との連結側とは反対側の先端の前後方向の幅は、一対の係合面210の前後方向の間隔よりも大きい。これにより、第1係合部10が一対の係合面210によって前後方向に挟まれることにより、第1係合部10と第2係合部20とが係合状態になる。
【0048】
ここで、第1係合部10は、右側板101との連結部分を起点に折り曲げられることにより、基台板201の上端縁を乗り越え、一対の係合面210の前後方向間に至る。そして、第1係合部10は、一対の係合面210の前後方向間に挟まれる。これにより、第1係合部10を第2係合部20に係合させることができる。
【0049】
具体的には、まず、第1緩衝部材1を梱包ケースPBに収容する作業の後、第2緩衝部材2を梱包ケースPBに収容する作業が行われる。梱包ケースPBに第2緩衝部材2を収容するときには、第1係合部10が上方に立設した状態で維持される(
図7参照)。これにより、第1緩衝部材1に第1係合部10を設けても、第2緩衝部材2の収容時に第1係合部10が邪魔にならない。
【0050】
第1緩衝部材1および第2緩衝部材2が梱包ケースPBに収容され、かつ、第1係合部10が上方に立設した状態から、第1係合部10を下方に回動させる作業が行われる。すなわち、第1係合部10を折り曲げる作業が行われる。第1係合部10を折り曲げることにより、第1係合部10が一対の係合面210の前後方向間に挟まれた状態になる(
図8参照)。その結果、第1係合部10と第2係合部20とが係合し、第1緩衝部材1に第2緩衝部材2が連結される。すなわち、第1緩衝部材1に対して第2緩衝部材2が位置決めされる。
【0051】
第1緩衝部材1に連結された第2緩衝部材2を梱包ケースPBから取り出す場合には、第1係合部10と第2係合部20との係合を解除すればよい。第1係合部10と第2係合部20とが係合した状態(
図8参照)から、第1係合部10を上方に立設した状態(
図7参照)に戻すことにより、第1係合部10と第2係合部20との係合か解除される。
【0052】
本実施形態では、第1緩衝部材1に第1係合部10を設け、第2緩衝部材2の第2係合部20に第1係合部10を係合させることにより、第2緩衝部材2の位置ずれを容易に抑制できる。
【0053】
たとえば、第2緩衝部材2を前後方向により大きくし、梱包ケースPBの前側および後側の各内面に当てることにより、第2緩衝部材2の位置ずれを抑制できる。しかし、この場合には、第2緩衝部材2を大きくする必要があるため、コストアップに繋がる。
【0054】
一方で、本実施形態では、第2緩衝部材2を梱包ケースPBの前側および後側の各内面に当てなくても、第2緩衝部材2は位置ずれしない。これにより、第2緩衝部材2を前後方向により大きくする必要はない。すなわち、本実施形態では、第2緩衝部材2の位置ずれを抑制するために第2緩衝部材2を大きくする、という対策をとる必要はない。
【0055】
さらに、本実施形態では、第1係合部10を回動させるだけで(言い換えると、第1係合部10を傾倒させたり立設させたりするだけで)、第1係合部10と第2係合部20との係合と係合解除とを行える。すなわち、第1緩衝部材1および第2緩衝部材2が梱包ケースPBに収容された状態で、第1係合部10と第2係合部20との係合と係合解除とを行える。このため、梱包ケースPBから第1緩衝部材1および第2緩衝部材2を別々に取り出すことができる。その結果、梱包ケースPBから第1緩衝部材1および第2緩衝部材2を取り出すときの作業性が良い。すなわち、開梱作業が容易である。
【0056】
また、本実施形態では、一対の係合面210を第2係合部20として機能させ、第1係合部10の少なくとも右側板101との連結側とは反対側の先端の前後方向の幅を一対の係合面210の前後方向の間隔よりも大きくすることにより、容易に、互いに係合可能な第1係合部10および第2係合部20を得ることができる。
【0057】
なお、本実施形態では、一対の緩衝部200の前後方向間の領域が第2係合部20として機能する。このため、第2係合部20となる部分を別途追加する必要はない。これにより、第2緩衝部材2が複雑化することを抑制できる。
【0058】
また、本実施形態では、第1係合部10が基台板201の上端縁を乗り越えることにより、第1係合部10が一対の係合面210の前後方向間に挟まれ、第1係合部10と第2係合部20とが係合状態になる。そこで、第1係合部10は、第1係合部10の厚み方向に貫通する孔部10aを有する。また、基台板201は、基台板201の上端縁から上方に突出する凸部201aを有する。そして、第1係合部10と第2係合部20とが係合した状態、すなわち、第1係合部10が基台板201の上端縁を乗り越えた状態では、孔部10aに凸部201aが挿入される。これにより、第1係合部10と第2係合部20との係合が強固になる。
【0059】
<第1係合部と第2係合部との係合解除>
第1係合部10は、第1係合部10の先端から突出する係合突起11を有する。係合突起11は、第1係合部10の先端面から、第1係合部10の厚み方向と直交する方向に突出する。第2把持部2022は、第2把持部2022の厚み方向に貫通する係合孔22を有する。係合孔22は、係合突起11を挿入させることが可能な開口形状を有する。
【0060】
第1係合部10と第2係合部20とが係合した状態、すなわち、第1係合部10が一対の係合面210の前後方向間に挟まれた状態では、係合突起11が左右方向の外方に向かって突出する。そして、係合突起11は、係合孔22に対し、左右方向の内方から挿入される。なお、係合孔22の上下方向の開口幅は、係合突起11の厚みよりも大きい。これにより、係合孔22に対する係合突起11の挿抜が容易になる。
【0061】
この構成では、
図9~
図11に示すように、把持板202が上方に引っ張られて上下に延ばされることにより、第1係合部10と第2係合部20との係合が解除される。以下に具体的に説明する。
図9に示す状態は、第1係合部10と第2係合部20とが完全に係合した状態であり、その模式的な断面構造が
図12上図に示される。
図10に示す状態は、
図9に示す状態から把持板202を上方に引っ張り始めた状態であり、その模式的な断面構造が
図12下図に示される。
図11に示す状態は、把持板202が完全に延ばされた状態である。
【0062】
第1係合部10と第2係合部20とが完全に係合した状態から、把持板202が上方に引っ張られて延ばされると、係合突起11が挿入された係合孔22の上下方向の位置が上方に変位する。このため、把持板202が上方に引っ張られることに連動して、係合突起11が上方に移動する。すなわち、第1係合部10が上方に回動する。これにより、第1係合部10と第2係合部20との係合が解除される。最終的には、係合孔22から係合突起11が外れる。
【0063】
本実施形態では、把持板202に係合孔22を設け、その係合孔22に挿入可能な係合突起11を第1係合部10に設けることにより、第1係合部10と第2係合部20とが完全に係合した状態から、把持板202を上方に引っ張るだけで、第1係合部10と第2係合部20との係合を解除できる。言い換えると、梱包ケースPBから第2緩衝部材2を取り出す作業に連動して、第1係合部10と第2係合部20との係合解除が行われる。これにより、第1係合部10と第2係合部20との係合を解除する作業を別途行う必要がなくなり、被梱包物PAを開梱するときの作業性が向上する。
【0064】
<把持板の固定>
把持板202は、一対の緩衝部200の前後方向間に挟まれる。具体的には、把持板202は、一対の板状部分21によって前後方向に挟まれる。一対の板状部分21は、把持板202のうち第2把持部2022を前後方向に挟む。
【0065】
ここで、一対の板状部分21で第2把持部2022を前後方向に挟んだだけでは、把持板202が意図せず上方に移動する場合がある。把持板202が上方に移動すると、第1係合部10と第2係合部20との係合が解除されるので、第2緩衝部材2の位置ずれの原因となる。
【0066】
そこで、
図13に示すように、第2把持部2022は、第2把持部2022の前後方向の両端から前後方向の外方に突出する一対の係止片23を有する。第1係合部10と第2係合部20とが係合した状態では、一対の係止片23が一対の板状部分21よりも下方に位置する。そして、一対の係止片23は、それぞれ、一対の板状部分21のうち、同側にある板状部分21の下面に接触する。すなわち、第2把持部2022は、一対の板状部分21の下面と接触する。
【0067】
本実施形態では、第1係合部10と第2係合部20とが係合した状態において、第2把持部2022が一対の板状部分21の下面に接触することにより、把持板202が意図せず上方に移動することを抑制できる。すなわち、第1係合部10と第2係合部20との係合が意図せず解除されることを抑制できる。その結果、第2緩衝部材2が位置ずれすることを抑制できる。
【0068】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 第1緩衝部材
2 第2緩衝部材
10 第1係合部
10a 孔部
11 係合突起
20 第2係合部
21 板状部分
22 係合孔
23 係止片
101 右側板(側板)
200 緩衝部
201 基台板
201a 凸部
202 把持板
210 係合面(端面)
1000 梱包部材
2021 第1把持部
2022 第2把持部
OP 開口
PA 被梱包物
PB 梱包ケース