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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154958
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】超音波制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/40 20060101AFI20241024BHJP
   B01D 51/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H04R1/40 330
B01D51/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069216
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋末 陽介
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 航介
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019AA25
5D019FF01
(57)【要約】
【課題】 大規模な装置や、その設置を必要とせず、清浄度を必要とする箇所に対する清浄度を容易に得る。
【解決手段】
超音波制御装置10は、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255と、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255の送信制御を行う送信制御部30と、を備える。送信制御部30は、微粒子からの保護対象領域に対して鉛直方向の上側の所定範囲に複数の超音波の音響流を生成するように複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255の送信制御を行う。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の超音波素子と、
前記複数の超音波素子の送信制御を行う送信制御部と、
を備え、
前記送信制御部は、
微粒子からの保護対象領域に対して鉛直方向の上側の所定範囲に複数の超音波の音響流を生成するように前記複数の超音波素子の送信制御を行う、
超音波制御装置。
【請求項2】
前記複数の超音波素子は、二次元配列されている、
請求項1に記載の超音波制御装置。
【請求項3】
前記送信制御部は、
前記複数の超音波素子の前記二次元配列された平面の中心を頂点とする円錐面を設定し、
前記送信制御として、前記複数の超音波素子が送信する超音波の球面波の同位相面が前記円錐面に同時に接するように前記超音波の位相を制御する、
請求項2に記載の超音波制御装置。
【請求項4】
前記送信制御部は、
前記円錐面によって形成される円錐の中心軸が前記平面に成す角度を変化させるように前記送信制御を行う、
請求項3に記載の超音波制御装置。
【請求項5】
前記送信制御部は、
前記送信制御として、前記超音波の振幅を制御する、
請求項3に記載の超音波制御装置。
【請求項6】
前記複数の超音波素子における前記超音波の送信の指向軸は、鉛直方向に略垂直である、
請求項1に記載の超音波制御装置。
【請求項7】
前記複数の音響流によるシールドカーテンは、前記鉛直方向に略垂直な二次元の平面形状である、
請求項6に記載の超音波制御装置。
【請求項8】
前記複数の超音波素子における前記超音波の送信の指向軸は、鉛直方向に略平行である、
請求項1に記載の超音波制御装置。
【請求項9】
前記複数の音響流によるシールドカーテンは、平面視して前記保護対象領域を囲む円錐台形状である、
請求項8に記載の超音波制御装置。
【請求項10】
前記複数の超音波素子は、1または複数の回路基板に実装されている、
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の超音波制御装置。
【請求項11】
前記回路基板は、厚み方向に貫通する空洞部または切り欠き部を有する、
請求項10に記載の超音波制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて特定領域への微粒子等の進入を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、清浄度を調整した空気(清浄空気)を手術台に向けて局所的に供給する手術室が記載されている。特許文献1に記載の手術室は、送風機や圧縮空気を用いて、清浄空気を手術台に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-206818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に構成では、送風機や圧縮空気の送出ユニットを手術室に設置しなければならない。このため、手術台のような高い清浄度を必要とする場合、大規模な装置が必要となり、また、当該装置を設置することは、容易ではない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、大規模な装置を必要とせず、高い清浄度を容易に得られる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の超音波制御装置は、複数の超音波素子と、複数の超音波素子の送信制御を行う送信制御部と、を備える。送信制御部は、微粒子からの保護対象領域に対して鉛直方向の上側の所定範囲に複数の超音波の音響流を生成するように複数の超音波素子の送信制御を行う。
【0007】
この構成では、保護対象領域に対して鉛直方向の上側の所定範囲に二次元または三次元の面状に複数の音響流が定在する。音響流は、微粒子を送出するので、複数の音響流によって面状のシールドカーテンを形成できる。この際、超音波制御装置は、複数の超音波素子と送信制御部とを少なくとも備えていればよく、大規模な構成を必要としない。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、大規模な装置を必要とせず、高い清浄度を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
図2図2(A)、図2(B)、図2(C)は、本発明の第1の実施形態に係る超音波制御装置において、音響ベッセルビームによる音響流を生成するための概念を説明するための図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係る超音波制御装置によって発生する音響ベッセルビームによる音響流のイメージの一例を示す斜視図である。
図4図4(A)は、本発明の第1の実施形態に係る超音波送信器の配置態様の一例を示す平面図であり、図4(B)は、その側面図である。
図5図5は、複数のベッセルビーム音響流とシールドカーテンとの関係を示す平面図である。
図6図6は、シールドカーテン付近を拡大した側面図である。
図7図7は、本発明の第1の実施形態に係る超音波送信器のそれぞれ別の配置態様の一例を示す側面図である。
図8図8は、本発明の第1の実施形態に係る超音波送信器のそれぞれ別の配置態様の一例を示す側面図である。
図9図9(A)、図9(B)は、本発明の第1の実施形態に係る超音波送信器のそれぞれ別の配置態様の一例を示す側面図である。
図10図10(A)、図10(B)は、超音波送信器における複数の超音波素子の他の配置態様を示す平面図である。
図11図11(A)、図11(B)、図11(C)は、第2の実施形態に係る超音波送信器の平面図である。
図12図12(A)は、本発明の第2の実施形態に係る超音波送信器の配置態様の一例を示す平面図であり、図12(B)、図12(C)は、その側面図である。
図13図13は、本発明の第3の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
図14図14は、第3の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、本発明の第4の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
図16図16は、第4の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、本発明の第5の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
図18図18(A)、図18(B)はシールドカーテンの鉛直方向の位置を変更する場合を示す側面図である。
図19図19は、第5の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。
図20図20は、本発明の第6の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
図21図21(A)は、本発明の第6の実施形態に係る微粒子シールドカーテン形成システムの配置態様の一例を示す平面図であり、図21(B)は、その側面図である。図21(C)は、図21(B)の一部を示す拡大図である。
図22図22は、第6の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。
図23図23は、本発明の第7の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
図24図24は、第7の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。
図25図25は、本発明の第8の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
図26図26は、第8の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。
図27図27は、本発明の第9の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
図28図28は、本発明の第9の実施形態に係る超音波制御装置による表示画像の一例を示す図である。
図29図29は、本発明の第10の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
図30図30は、本発明の第10の実施形態に係る超音波制御装置による表示画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る超音波制御装置について、図を参照して説明する。
【0011】
(超音波制御装置)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。図1に示すように、超音波制御装置10は、超音波送信器20、および、送信制御部30を備える。超音波送信器20は、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255を備える。なお、本実施形態では、超音波送信器20が備える超音波素子の個数は、25個であるが、これに限るものではなく、後述する音響ベッセルビームによる音響流(以下、「ベッセルビーム音響流」と称する。)を形成可能な個数であればよい。
【0012】
複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、二次元配列されている。複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、送信制御部30に接続されている。
【0013】
送信制御部30は、演算処理装置等によって実現される。送信制御部30は、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255が送信する複数の超音波によって、複数の方向にベッセルビーム音響流を順次生成するように、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255の送信制御を行う。
【0014】
このように、複数の方向にベッセルビーム音響流を順次生成する(走査する)ことで、例えば、後述の図4(A)、図4(B)に示すような所定形状で保護対象領域を覆うシールドカーテンS100が形成される。
【0015】
(音響ベッセルビームによる音響流の生成概念)
図2(A)、図2(B)、図2(C)は、本発明の第1の実施形態に係る超音波制御装置において、音響ベッセルビームによる音響流を生成するための概念を説明するための図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る超音波制御装置によって発生する音響ベッセルビームによる音響流のイメージの一例を示す斜視図である。
【0016】
複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、二次元配列されている。例えば、図2(A)、図2(B)、図2(C)の場合であれば、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、互いに直交するx20軸とy20軸とからなる平面状に配置されている。
【0017】
複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255におけるx20軸方向およびy20軸に隣り合う超音波素子の間隔は、一定であることが好ましい。
【0018】
複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、超音波素子233を中心として+x20軸側の配置と-x20軸側の配置とが同じになるように、配置されている。
【0019】
複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、超音波素子233を中心として+y20軸側の配置と-y20軸側の配置とが同じになるように、配置されている。
【0020】
複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、送信面が+z20軸方向を向くように配置されている。すなわち、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255の送信面は、面一である。
【0021】
送信制御部30は、図2(A)、図2(B)、図2(C)に示すように、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255の二次元配列された平面(x20軸とy20軸とからなる平面)の中心(超音波素子233)の位置を頂点とする円錐面290を設定する。
【0022】
送信制御部30は、送信制御として、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255の発生する超音波の位相を制御する。より具体的には、送信制御部30は、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255が送信する超音波の球面波の同位相面が円錐面290に同時に接するように位相を制御する。
【0023】
これにより、例えば、図2(A)、図2(B)、図2(C)に示すように、円錐面によって形成される円錐の中心軸が複数の超音波素子の配置平面(送信面が面一となる平面)に直交して、z20軸に平行であれば、図3に示すように、z20軸に平行な中心軸を有し、配置平面からz20軸に所定距離離間した位置に、円柱状のベッセルビーム音響流100が形成される。
【0024】
ベッセルビーム音響流100は、円柱状の領域内において微風の気流を発生する。さらに、ベッセルビーム音響流100は、円柱状の領域内に気流の広がりが抑制される音響流である。すなわち、ベッセルビーム音響流100は、まわりに乱流が発生することを抑制できる。なお、本実施形態では、音響流として、ベッセルビーム音響流を例に示したが、ベッセルビーム音響流と同様の作用が得られる音響流であれば、適用が可能である。
【0025】
送信制御部30は、円錐の中心軸と配置平面との成す角を調整することで、ベッセルビーム音響流100の中心軸の方向を調整できる。したがって、送信制御部30は、円錐の中心軸と配置平面との成す角を走査することで、複数のベッセルビーム音響流100を走査する。
【0026】
例えば、送信制御部30は、z20軸とx20軸の平面において、中心軸(z20軸)と配置平面との成す角を走査することで、x20軸-z20軸平面内で走査される複数のベッセルビーム音響流100を形成できる。また、送信制御部30は、z20軸とy20軸の平面において、中心軸(z20軸)と配置平面との成す角を走査することで、y20軸-z20軸平面内で走査される複数のベッセルビーム音響流100を形成できる。さらには、送信制御部30は、円錐の中心軸と配置平面との立体角を走査することで、三次元走査される複数のベッセルビーム音響流100を形成できる。
【0027】
(超音波送信器20の配置例)
上述の構成からなる超音波制御装置10の適用態様の一例について、説明する。本実施形態では、超音波制御装置10の超音波送信器20を手術室に適用した例を示す。
【0028】
図4(A)は、本発明の第1の実施形態に係る超音波送信器の配置態様の一例を示す平面図であり、図4(B)は、その側面図である。図5は、複数のベッセルビーム音響流とシールドカーテンとを関係を示す平面図である。図6は、シールドカーテン付近を拡大した側面図である。
【0029】
図4(A)、図4(B)に示すように、手術室には、患者99と執刀医80とがいる。患者99は、術野90が鉛直方向(zt軸方向)の上側を向くように、手術台上に仰向けに横たわっている。執刀医80は、手術台および患者99の横(図のyt軸方向において、手術台および患者99に隣接する位置)にいる。術野90が、本発明の「保護対象領域」に対応する。
【0030】
超音波送信器20は、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255と、回路基板29とを備える。複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、回路基板29に二次元配列され、回路基板29に実装される(電気的、物理的に接続される)。
【0031】
これにより、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255の位置関係は固定される。この際、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255における超音波の主たる指向性の方向は、回路基板29の実装面に直交するように配置されている。超音波の主たる指向性の方向とは、例えば、超音波素子が送信(放射)する超音波の所定の指向角(立体角)の中心軸が延びる方向である。
【0032】
図示を省略しているが、回路基板29は、ケーブル等によって送信制御部30に接続される。これにより、送信制御部30は、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255の送信制御を実現する。
【0033】
このような構成の超音波送信器20は、患者99および執刀医80に対して、xt軸方向に離間した位置に配置されている。超音波送信器20は、複数の超音波素子211、221、231、241、251の配列方向(x20軸方向)がyt軸方向に平行になるように配置されている。言い換えれば、超音波送信器20は、複数の超音波素子211、221、231、241、251の配列方向が術野90と執刀医80とが並ぶ方向に平行なるように、配置されている。
【0034】
さらに、超音波送信器20は、鉛直方向(zt軸方向)において、術野90から所定距離上の位置で、且つ、超音波の送信の指向軸(z20軸方向)が鉛直方向(zt軸方向)に略垂直になる(直交する)ように、配置されている。ここでの略垂直(直交)とは、完全な垂直(直交)を含み、術野90の上部にシールドカーテンS100を形成できる程度の誤差範囲を含む。
【0035】
このような構成において、送信制御部30は、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255を送信制御することで、鉛直方向に略垂直な二次元の平面形状のシールドカーテンS100が形成される。シールドカーテンS100は、平面視して(zt軸方向に視て)術野90に重なり、側面視して(xt軸方向およびyt軸方向に視て)、術野90の上方の近傍に形成、配置されている。すなわち、複数のベッセルビーム音響流100によるシールドカーテンS100は、保護対象領域(術野90)に対して鉛直方向の上側の所定範囲に形成される。
【0036】
より具体的には、送信制御部30は、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255の送信制御によって、図5に示すような複数のベッセルビーム音響流100を順次走査しながら形成する。シールドカーテンS100は、このように走査された複数のベッセルビーム音響流100によって形成される。すなわち、微粒子の侵入に対して短い間隔で、複数のベッセルビーム音響流100を走査して形成することで、実質的に微粒子の侵入を防ぐシールドカーテンS100が形成される。
【0037】
シールドカーテンS100は、上述のように、複数のベッセルビーム音響流100によって形成される。したがって、図6に示すように、上方から落下する微粒子(塵・細菌・ウイルス等)PがシールドカーテンS100よりも術野90側に到達することは、抑制される。
【0038】
これにより、超音波制御装置10によって形成されるシールドカーテンS100は、微粒子による術野90の汚染を抑制でき、術野90を清浄な状態(高い清浄度)に保つことができる。さらに、超音波制御装置10は、術野90に対する高い清浄度を容易に得ることができる。
【0039】
さらに、超音波送信器20は、簡素な構成で、且つ、小さい形状で実現が可能である。これにより、超音波送信器20を含む超音波制御装置10は、設置、位置調整が容易である。
【0040】
したがって、超音波制御装置10は、大規模な装置や、その設置を必要とせず、清浄度を必要とする保護対象領域に対する高い清浄度を容易に得られる。
【0041】
(超音波送信器20の配置例の別態様)
図7図8図9(A)、図9(B)は、本発明の第1の実施形態に係る超音波送信器のそれぞれ別の配置態様の一例を示す側面図である。
【0042】
図7図8図9(A)、図9(B)に示す配置態様は、図4(A)、図4(B)に示す配置態様と比較して、術野90に対する超音波送信器20の位置、および、超音波の主たる指向性の方向において異なる。図7図8図9(A)、図9(B)に示す配置態様の他の部分は、図4(A)、図4(B)に示す配置態様と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0043】
図7に示す配置態様では、超音波送信器20は、鉛直方向(zt軸方向)において、シールドカーテンS100を形成する位置よりも下側に配置されている。さらに、超音波送信器20の複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、超音波の主たる指向性の方向がxt軸方向において術野90および執刀医80の方向で、且つ、斜め上方(zt軸の上方向)を向くように、配置されている。
【0044】
図8に示す配置態様では、超音波送信器20は、鉛直方向(zt軸方向)において、シールドカーテンS100を形成する位置よりも上側に配置されている。さらに、超音波送信器20の複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、超音波の主たる指向性の方向がxt軸方向において術野90および執刀医80の方向で、且つ、斜め下方(zt軸の下方向)を向くように、配置されている。この際、シールドカーテンS100が、術野90に直接接触しないように設定されている。
【0045】
図9(A)、図9(B)に示す態様では、超音波送信器20は、術野90の上方に配置されている。さらに、超音波送信器20の複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255では、超音波の送信の指向軸が鉛直方向の略平行で、かつ、下方向であり、術野90に向いている。
【0046】
このような構成において、送信制御部30は、上述の円錐の中心軸の立体角を走査することで、図9(A)、図9(B)に示すように、シールドカーテンS100CNは、円錐台形状となる。円錐台形状のシールドカーテンS100CNは、鉛直方向(zt軸方向)における術野90の上方に生成され、平面視して術野90を囲む形状である。
【0047】
すなわち、図9(A)、図9(B)の場合、二次元平面からなるシールドカーテンS100ではなく、三次元(立体)の平面からなるシールドカーテンS100CNによって、術野90が微粒子から保護される。
【0048】
なお、上述の構成において、送信制御部30で行う送信制御は、位相制御のみを示した。しかしながら、送信制御部30は、送信制御として、超音波の振幅制御を行うことで、ベッセルビーム音響流100の流速を調整できる。これにより、超音波制御装置10は、より多様なシールドカーテンS100、S100CNを形成できる。したがって、シールドカーテンS100、S100CNは、術野90の大きさ、位置等に対応してより適した形状や流速(強度)に制御され、超音波制御装置10は、術野90を微粒子からより確実に保護できる。
【0049】
また、上述の説明では、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、1つの回路基板29に実装されている。しかしながら、複数の超音波素子211-215、221-225、231-235、241-245、251-255は、複数の回路基板に分けて実装されていてもよい。
【0050】
また、上述の説明では、複数の超音波素子を直交二軸に沿って配置する態様を示した。しかしながら、複数の超音波素子の配置は、これに限らず、次のようであってもよい。
【0051】
図10(A)、図10(B)は、超音波送信器における複数の超音波素子の他の配置態様を示す平面図である。図10(A)、図10(B)に示すように、超音波送信器20A1、超音波送信器20A2は、それぞれに、複数の超音波素子200を備える。複数の超音波素子200は、平面上に二次元配置されている。
【0052】
図10(A)の場合、複数の超音波素子200は、x20軸方向とy20軸方向とから定義される直交二軸の平面において、所定位置を中心とした異なる複数の半径の円周上に、周方向に所定間隔で配置されている。
【0053】
図10(B)の場合、複数の超音波素子200は、x20軸方向とy20軸方向とから定義される直交二軸の平面において、配置パターンが三角形を形成するように、所定間隔で配置されている。
【0054】
これらの構成によって、上述の態様と同様に、複数の超音波素子200から送信される超音波の二次元分布が可能になる。なお、複数の超音波素子200の配置態様は、複数の超音波素子200の配置平面を平面視し、複数の超音波素子200の配置の中心位置を基準にして、全方位における複数の超音波素子200の配置が同じであれば、よりよい。これにより、高精度な円柱形のベッセルビーム音響流100を生成し易い。
【0055】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る超音波制御装置について図を参照して説明する。第2の実施形態に係る超音波制御装置の超音波送信器は、第1の実施形態に係る超音波送信器に対して、回路基板29に空洞部または切り欠き部を有する点で異なる。第2の実施形態に係る超音波送信器の他の構成は、第1の実施形態に係る超音波送信器と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0056】
図11(A)、図11(B)、図11(C)は、第2の実施形態に係る超音波送信器の平面図である。図11(A)、図11(B)、図11(C)は、複数の超音波素子の配置パターンおよび空洞部または切り欠き部の配置が異なる。
【0057】
図11(A)、図11(B)、図11(C)に示すように、超音波送信器20B1、超音波送信器20B2、超音波送信器20B3は、それぞれに、複数の超音波素子200を備える。複数の超音波素子200は、平面上に二次元配置されている。
【0058】
図11(A)の場合、複数の超音波素子200は、x20軸方向とy20軸方向とから定義される直交二軸の平面において、配置パターンが矩形を形成するように、所定間隔で配置されている。回路基板29は、回路基板29における複数の超音波素子200が配置されている矩形の内側に、空洞部2901を有する。空洞部2901は、回路基板29を厚み方向に貫通する。
【0059】
図11(B)の場合、複数の超音波素子200は、x20軸方向とy20軸方向とから定義される直交二軸の平面において、所定パターンで配置されている。回路基板29は、一側面から凹む切り欠き部2902を有する。切り欠き部2902は、回路基板29を厚み方向に貫通する。
【0060】
図11(C)の場合、複数の超音波素子200は、x20軸方向とy20軸方向とから定義される直交二軸の平面において、配置パターンが円形を形成するように、所定間隔で配置されている。回路基板29は、回路基板29における複数の超音波素子200が配置されている円形の内側に、空洞部2903を有する。空洞部2903は、回路基板29を厚み方向に貫通する。
【0061】
これらのように、空洞部2901、切り欠き部2902、空洞部2903を有することで、回路基板29の配置自由度は、向上する。例えば、空洞部2901、切り欠き部2902、空洞部2903内に、他の回路部品を配置することや、次に示すように術野90を配置することができる。
【0062】
(超音波送信器20B1の配置例)
図12(A)は、本発明の第2の実施形態に係る超音波送信器の配置態様の一例を示す平面図であり、図12(B)、図12(C)は、その側面図である。
【0063】
図12(A)、図12(B)、図12(C)に示すように、超音波送信器20B1は、平面視して複数の超音波素子200が術野90を囲むように、配置されている。超音波送信器20B1は、複数の超音波素子200が送信する超音波の主たる指向性の方向が鉛直上方向に向くように配置されている。
【0064】
このような構成において、送信制御部30は、複数の超音波素子200を送信制御する。これにより、シールドカーテンS100Bは、平面視して(z軸方向に視て)術野90に重なる円錐台形に形成される。すなわち、シールドカーテンS100Bは、術野90の上方側を立体的に覆うように形成される。
【0065】
これにより、シールドカーテンS100Bは、微粒子による術野90の汚染をより確実に抑制でき、術野90を清浄な状態に保つことができる。
【0066】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る超音波制御装置を含む微粒子シールドカーテン形成システムについて、図を参照して説明する。なお、本実施形態を含む第3の実施形態以降の実施形態では、超音波送信器を構成する複数の超音波素子の個数、複数の超音波素子の配置、複数の超音波素子からの超音波によって形成されるシールドカーテンの形状は一例であり、下記のものに限られるものではない。図13は、本発明の第3の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
【0067】
第3の実施形態に係る超音波制御装置10Cは、第1の実施形態に係る超音波制御装置10に対して、送信制御部30C、非接触操作受付部40、および、表示部50を備える点で異なる。非接触操作受付部40と表示部50とは、送信制御部30Cに接続する。
【0068】
非接触操作受付部40は、例えば、マイク、超音波センサ、赤外線センサ、測距用レーザ、または、カメラと、電子回路や演算装置による操作判定部とを備える。
【0069】
非接触操作受付部40は、送信制御部30Cにおける超音波の送信制御のオンオフの操作を非接触で受け付け、送信制御部30Cに出力する。送信制御部30Cは、非接触操作受付部40の受け付けた内容に基づいて送信制御を行う。具体的には、例えば、以下に示す処理を行う。
【0070】
(マイクを用いる場合)
マイクは、執刀医80等からの音声を入力し、操作判定部に出力する。操作判定部は、入力音声から操作内容を判定する。
【0071】
(シールドカーテンを形成(オン)する場合)
操作判定部は、シールドカーテンの形成(オン)に関するワード(例えば、「シールドオン」等)を予め記憶しており、このワード(シールドカーテンの起動トリガ)を検出すると、超音波の送信開始指示を送信制御部30Cに出力する。送信制御部30Cは、超音波の送信開始指示を受け付けると、所定のシールドカーテンを形成するように複数の超音波素子を送信開始制御する。
【0072】
(シールドカーテンを解除(オフ)する場合)
操作判定部は、シールドカーテンの解除(オフ)に関するワード(例えば、「シールドオフ」等)を予め記憶しており、このワード(シールドカーテンの解除トリガ)を検出すると、超音波の送信停止指示を送信制御部30Cに出力する。送信制御部30Cは、超音波の送信停止指示を受け付けると、形成中のシールドカーテンを解除するように複数の超音波素子を送信停止制御する。
【0073】
(超音波センサを用いる場合)
操作判定用の超音波センサは、シールドカーテンの形成用(超音波送信用)の超音波素子とは別に用意されている。具体的には、非接触操作受付部40は、シールドカーテンの形成用の超音波素子とは別に、物体の検出用に超音波の送信とこの超音波が物体に反射した反射波の受信を行う超音波素子を備える。操作判定用の超音波センサは、例えば、執刀医80等の方向等の所定方向を向いており、送信制御に関する執刀医80等の所作を検出する。
【0074】
操作判定用の超音波センサは、所作(例えば、執刀医80の手の有無等)を検出し、操作判定部に出力する。操作判定部は、検出結果から操作内容を判定する。
【0075】
(シールドカーテンを形成(オン)する場合)
操作判定部は、シールドカーテンの形成(オン)に関する検出パターン(例えば、「所定位置に手がない状態とある状態との変化を所定回数実行するパターン」等)を予め記憶しており、この検出パターン(シールドカーテンの起動トリガ)を検出と、超音波の送信開始指示を送信制御部30Cに出力する。送信制御部30Cは、超音波の送信開始指示を受け付けると、所定のシールドカーテンを形成するように複数の超音波素子を送信開始制御する。
【0076】
(シールドカーテンを解除(オフ)する場合)
操作判定部は、シールドカーテンの解除(オフ)に関する検出パターン(例えば、所定位置に手がない状態とある状態との変化を所定回数実行するパターンでありオンの検出パターンと異なるパターン)等を予め記憶しており、この検出パターン(シールドカーテンの解除トリガ)を検出と、超音波の送信停止指示を送信制御部30Cに出力する。送信制御部30Cは、超音波の送信停止指示を受け付けると、形成中のシールドカーテンを解除するように複数の超音波素子を送信停止制御する。
【0077】
なお、シールドカーテンの形成時と解除時で同じ検出パターンであってもよく、例えば、非接触操作受付部40および送信制御部30Cは、シールドカーテンが形成されていない状態でこの検出パターンを判定すると、シールドカーテンを形成する。一方、非接触操作受付部40および送信制御部30Cは、シールドカーテンが形成されている状態でこの検出パターンを判定すると、シールドカーテンを解除する。
【0078】
また、赤外線センサ、測距用レーザを用いる場合は、操作判定用の超音波センサを用いる場合と同様の処理を行えばよく、カメラを用いる場合は、画像処理を行って検出パターンを判定すればよい。
【0079】
このような構成によって、超音波制御装置10Cは、シールドカーテンのオンオフを制御でき、常時オン状態にしなくてもよい。したがって、超音波制御装置10Cの発熱量を抑制でき、超音波素子の高寿命化や、超音波制御装置10Cの省エネ化を実現できる。
【0080】
また、操作を非接触で検出できるので、超音波制御装置10Cは、執刀医80等の操作者の手の汚染を防止でき、クリーンな環境に対して適正な操作入力を実現できる。
【0081】
表示部50は、例えば、LED等によって構成される。表示部50には、シールドカーテンの形成状態または非形成状態(解除状態)のいずれかの状態が送信制御部30Eから入力される。
【0082】
表示部50は、シールドカーテン(複数の超音波エネルギー集中点)の状態を表示する。例えば、表示部50は、シールドカーテンの形成状態とシールドカーテンの非形成状態とで異なる表示を行う。例えば、表示部50は、シールドカーテンの形成状態では点灯し、シールドカーテンの非形成状態では消灯する。
【0083】
このような表示部50を備えることで、執刀医80等は、目視確認を直接行うことができないシールドカーテンの状態を、容易に視認できる。
【0084】
なお、超音波制御装置10Cは、視覚的な通知を行う表示部50に代えて、聴覚的な通知を行うスピーカ等を備えることも可能である。また、表示部50は、単なる点灯消灯のデバイスに限るものではなく、「シールドカーテン形成中」、「シールドカーテンの解除中」等のテキストデータを表示するものであってもよい。
【0085】
(操作制御方法)
図14は、第3の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。
【0086】
超音波制御装置10Cは、主電源がオンされることによって(S101)、非接触操作受付部40を起動する(S102)。
【0087】
非接触操作受付部40は、シールドカーテンの起動トリガを検出すると(S103:YES)、送信制御部30Cは、シールドカーテンを形成する(S104)。なお、非接触操作受付部40は、シールドカーテンの起動トリガを検出していなければ(S103:NO)、起動トリガの検出を待つ。シールドカーテンが形成されると、表示部50は、シールドカーテンオンの表示を行う(S105)。
【0088】
シールドカーテンが形成されている状態において、非接触操作受付部40は、シールドカーテンの解除トリガを検出すると(S106:YES)、送信制御部30Cは、シールドカーテンを解除する(S107)。なお、非接触操作受付部40は、シールドカーテンの解除トリガを検出していなければ(S106:NO)、起動トリガの検出を待ち、送信制御部30Cは、シールドカーテンの形成状態を維持する。シールドカーテンが解除されると、表示部50は、シールドカーテンオフの表示を行う(S108)。
【0089】
超音波制御装置10Cは、主電源のオフトリガが検出されるまで(S109:NO)、上述の処理を継続する。超音波制御装置10Cは、主電源のオフトリガを検出すると、主電源をオフする(S110)。
【0090】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る超音波制御装置について、図を参照して説明する。図15は、本発明の第4の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。
【0091】
第4の実施形態に係る超音波制御装置10Dは、第1の実施形態に係る超音波制御装置10に対して、表示部50、センサ60、障害物検出部61を備える点で異なる。センサ60は、障害物検出部61に接続し、障害物検出部61は、送信制御部30および表示部50に接続する。
【0092】
センサ60は、シールドカーテンの形成領域を含む所定の検出範囲の障害物を検出する。センサ60は、例えば、障害物検出用の超音波センサ、赤外線カメラ、測距用レーザ、カメラ等である。センサ60の検出範囲は、シールドカーテンの形成領域、および、シールドカーテンの形成領域と超音波送信器20との間の領域を含む。センサ60は、検出データを障害物検出部61に出力する。
【0093】
障害物検出部61は、センサ60の検出データに基づいて、シールドカーテン(複数のベッセルビーム音響流)の形成に障害となる障害物を検出する。
【0094】
具体的には、障害物検出部61は、超音波送信器20を基準とした3次元座標でのシールドカーテンの位置座標を、送信制御部30から取得する。また、障害物検出部61は、センサ60の検出データから物体を検出する。この際、障害物検出部61は、超音波送信器20を基準とした3次元座標での物体の位置座標を検出する。
【0095】
障害物検出部61は、物体がシールドカーテンの形成領域内、または、物体がシールドカーテンの形成領域と超音波送信器20との間の領域内であれば、この物体を障害物として検出する。
【0096】
障害物検出部61は、障害物を検出すると、表示部50に出力する。表示部50は、障害物の有無を通知する。この際、表示部50は、上述のシールドカーテンの状態を表示する表示部と兼用することが可能であり、その場合は、障害物の検出の表示を、シールドカーテンの状態の表示と異ならせればよい。
【0097】
これにより、超音波制御装置10Dは、シールドカーテンが形成できない領域が発生する可能性を執刀医80等にアラートできる。したがって、超音波制御装置10Dは、障害物の除去等の行動を促すことで、清潔領域の汚染を最小限にとどめることができる。
【0098】
(障害物検出通知方法)
図16は、第4の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。なお、主電源のオンオフは上述の実施形態と同様であり、省略する。
【0099】
超音波制御装置10Dは、シールドカーテンを形成する(S201)。
【0100】
超音波制御装置10Dは、センサ60および障害物検出部61によって、物体を検出し(S202:YES)、検出した物体がシールドカーテンに対する障害物であれば(S203:YES)、表示部50によって、障害物の存在を通知する(S204)。
【0101】
超音波制御装置10Dは、物体を検出していない(S202:NO)、または、検出した物体が障害物でなければ(S203:NO)、物体および障害物の検出を継続する。
【0102】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る超音波制御装置について、図を参照して説明する。図17は、本発明の第5の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。第5の実施形態に係る超音波制御装置10Eは、第4の実施形態に係る超音波制御装置10Dに対して、送信制御部30Eにおいて異なる。
【0103】
送信制御部30Eには、障害物検出部61から障害物の位置座標が入力される。送信制御部30Eは、シールドカーテン(複数の超音波エネルギー集中点)が障害物を避ける配置となるように送信制御を行う。より具体的には、送信制御部30Eは、シールドカーテンの位置を変更する、シールドカーテンの形状を変更する、シールドカーテンの大きさを変更する等の送信制御を行う。
【0104】
図18(A)、図18(B)はシールドカーテンの鉛直方向の位置を変更する場合を示す側面図である。図18(A)は変更前の状態を示し、図18(B)は変更後の状態を示す。
【0105】
図18(A)に示すように、障害物検出部61によって障害物がシールドカーテンS100の形成領域に重なると判定すると、送信制御部30Eは、シールドカーテンS100の鉛直方向の位置を、斜め上向きに変更する。例えば、障害物検出部61が障害物の上端位置を検出することで、送信制御部30Eは、障害物に重ならないようにシールドカーテンS100を形成できる。これにより、超音波制御装置10Eは、シールドカーテンS100を所定形状で安定して形成できる。
【0106】
なお、上述の構成では、シールドカーテンS100の角度を変更する態様を示した。しかしながら、超音波制御装置10Eは、シールドカーテンS100の面積、シールドカーテンS100の水平方向の位置を変更することも可能である。
【0107】
(障害物に基づくシールドカーテンの変更方法)
図19は、第5の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。なお、主電源のオンオフは上述の実施形態と同様であり、省略する。
【0108】
超音波制御装置10Eは、シールドカーテンを形成する(S301)。
【0109】
超音波制御装置10Eは、センサ60および障害物検出部61によって、物体を検出し(S302:YES)、検出した物体がシールドカーテンに対する障害物であれば(S303:YES)、表示部50によって、障害物の存在を通知する(S304)。
【0110】
超音波制御装置10Eは、物体を検出していない(S302:NO)、または、検出した物体が障害物でなければ(S303:NO)、物体および障害物の検出を継続する。
【0111】
送信制御部30Eは、障害物検出部61から障害物の存在を受け付けると、シールドカーテンが障害物を避ける配置となるように、シールドカーテンの角度、位置、および、形状の少なくとも1つを適正化して、送信制御を行う(S305)。
【0112】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態に係る超音波制御装置について、図を参照して説明する。図20は、本発明の第6の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。図21(A)は、本発明の第6の実施形態に係る微粒子シールドカーテン形成システムの配置態様の一例を示す平面図であり、図21(B)は、その側面図である。図21(C)は、図21(B)の一部を示す拡大図である。
【0113】
第6の実施形態に係る超音波制御装置10Fは、超音波制御装置10に対して、送信制御部30F、カメラ63、保護対象領域検出部64、および、シールドカーテン設定部65を備える点で異なる。
【0114】
カメラ63は、水平方向において術野90から所定距離離れた位置に配置され、術野90を含む範囲を撮像する。カメラ63は、撮像した画像を保護対象領域検出部64に出力する。
【0115】
保護対象領域検出部64は、画像処理等を実現可能な演算処理装置によって構成される。保護対象領域検出部64は、撮像画像を画像解析して、保護対象領域を検出する。
【0116】
より具体的には、保護対象領域検出部64は、3次元を撮像した画像から2次元画像を抽出する。言い換えれば、保護対象領域検出部64は、3次元画像におけるdepth情報を除去し、平面視画像を形成する。
【0117】
保護対象領域検出部64は、2次元画像の特徴点を検出して、術野90を判定する。具体的には、保護対象領域検出部64は、2次元画像に対してU-Net等のセグメンテーション手法などを用いて、術野90を判定する。判定方法としては、YOLO等の物体検出手法を用いることもできる。
【0118】
保護対象領域検出部64は、術野90の平面座標と3次元画像とを照合し、術野90のdepth情報を取得する。保護対象領域検出部64は、depth情報とカメラ63の設置位置とから、撮像角度θ(図21(C)参照)を算出する。
【0119】
保護対象領域検出部64は、術野90の平面座標、撮像角度θを、シールドカーテン設定部65に出力する。
【0120】
シールドカーテン設定部65は、保護対象領域検出部64で検出した術野90(保護対象領域)に基づいて、シールドカーテンS100(複数のベッセルビーム音響流)の形成範囲(領域)を設定する。
【0121】
より具体的には、シールドカーテン設定部65は、超音波送信器20を基準とする座標系と、カメラ63を基準とする座標系とから、カメラ63を基準とする座標系における各位置座標を、超音波送信器20を基準とする座標系に変換する変換式を記憶している。
【0122】
シールドカーテン設定部65は、保護対象領域検出部64からの術野90の平面座標、および、カメラ63の撮像角度θから、術野90を覆うシールドカーテンS100の角度、形状、および、位置を設定する。シールドカーテン設定部65は、設定したシールドカーテンS100の形状および位置を、送信制御部30Fに出力する。
【0123】
送信制御部30Fは、シールドカーテン設定部65で設定したシールドカーテンの配置(形状および位置)に基づいて、超音波送信器20の複数の超音波素子の送信制御を行う。
【0124】
このような構成によって、超音波制御装置10Fは、シールドカーテンS100の作成にかかる手間を削減できる。超音波制御装置10Fは、シールドカーテンS100の作成にかかる人による設定ミスを回避できる。超音波制御装置10Fは、シールドカーテンS100の最適な形状の更新があった際、人への教育ではなく、装置への設定によって、最新の研究結果に基づくシールドカーテンS100の形成を実現できる。
【0125】
なお、上述の態様では、複数の超音波素子とカメラ63とが空間的に全く異なる位置に配置されている場合を示した。しかしながら、複数の超音波素子とカメラ63との位置関係はこれに限らず、適宜設定できる。
【0126】
(術野の自動検出とシールドカーテンの自動形成方法)
図22は、第6の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。なお、主電源のオンオフは上述の実施形態と同様であり、省略する。
【0127】
カメラ63は、術野90を含む範囲を撮像する(S401)。保護対象領域検出部64は、撮像画像の画像解析を行って(S402)、術野90(保護対象領域)を検出する(S403)。保護対象領域検出部64は、術野90(保護対象領域)が検出されるまで(S403:NO)、画像解析を繰り返す。
【0128】
保護対象領域検出部64は、術野90(保護対象領域)を検出すると(S403:YES)、術野90(保護対象領域)の座標を設定する(S404)。
【0129】
シールドカーテン設定部65は、設定された術野90(保護対象領域)の座標に基づいて、シールドカーテンS100の角度、形状、および位置を設定する(S405)。
【0130】
送信制御部30Fは、シールドカーテン設定部65で設定したシールドカーテンS100の角度、形状、および位置に基づいて、シールドカーテンS100を形成するように送信制御を行う(S406)。
【0131】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態に係る超音波制御装置について、図を参照して説明する。図23は、本発明の第7の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。第7の実施形態に係る超音波制御装置10Iは、超音波制御装置10に対して、送信制御部30G、カメラ63、シールドカーテン設定部65、および、作業者部位検出部66を備える点で異なる。
【0132】
カメラ63は、水平方向において術野90および執刀医80(作業者)から所定距離離れた位置に配置され、術野90および執刀医80の少なくとも術野90側の一部を含む範囲を撮像する。カメラ63は、撮影した画像を作業者部位検出部66に出力する。
【0133】
作業者部位検出部66は、画像処理等を実現可能な演算処理装置によって構成される。作業者部位検出部66は、撮像画像を画像解析して、保護対象領域を検出する。作業者部位検出部66による術野90の検出方法は、上述の保護対象領域検出部64と同様であり、説明は省略する。
【0134】
さらに、作業者部位検出部66は、撮像画像を画像解析して、シールドカーテンS100(複数のベッセルビーム音響流)内での執刀医80(作業者)の部位の有無を検出する。より具体的には、作業者部位検出部66は、上述の保護対象領域検出部64と同様の処理を実行するのに加え、例えば、執刀医80の姿勢情報を獲得するHRNet等の骨格推定手法を用いることで、執刀医80の部位を検出する。
【0135】
作業者部位検出部66は、検出した術野90と執刀医80の部位の有無とを、シールドカーテン設定部65に出力する。
【0136】
なお、作業者部位検出部66は、超音波送信器20を構成する超音波素子の1つで兼用することも可能である。この場合、作業者部位検出部66を構成する超音波素子は、所定間隔で、作業者部位の検出用の超音波を送信し、その反射波を受信する。作業者部位検出部66は、反射波を受信すれば、執刀医80の部位(作業者部位)が有ることを検出し、反射波を受信しなければ、執刀医80の部位(作業者部位)が無いことを検出できる。
【0137】
シールドカーテン設定部65は、作業者部位検出部66で検出した術野90(保護対象領域)と執刀医80の部位の有無に基づいて、シールドカーテンS100(複数のベッセルビーム音響流)の形成範囲(領域)を設定する。より具体的には、シールドカーテン設定部65は、術野90の領域と執刀医80の部位の位置とを用いて、執刀医80の部位がシールドカーテンS100内に入らないように、シールドカーテンS100の、角度、形状および位置を設定する。シールドカーテン設定部65は、設定したシールドカーテンS100の形状および位置を、送信制御部30Gに出力する。
【0138】
送信制御部30Gは、シールドカーテン設定部65で設定したシールドカーテンの配置(形状および位置)に基づいて、超音波送信器20の複数の超音波素子の送信制御を行う。
【0139】
このような構成によって、超音波制御装置10Gは、執刀医80の部位(手等)にシールドカーテンS100を形成する超音波が当たらず、術野90を覆うように、シールドカーテンS100を適正に調整できる。これにより、超音波制御装置10Gは、精密な手術作業をしている執刀医80の手に超音波の振動による悪影響(違和感)を与えないように、且つ、術野90を保護できるように、シールドカーテンS100を形成できる。
【0140】
なお、このようなシールドカーテンS100の形状の調整は、1回に限るものではない。すなわち、超音波制御装置10Gは、執刀医80の部位の動きを継続的に検出し、デフォルト(執刀医80の部位を考慮せず、術野90の保護のみを考慮した状態)のシールドカーテンS100に対して、執刀医80の部位を検出した場合に、執刀医80の部位を避けるようにシールドカーテンS100を調整する。その後、超音波制御装置10Gは、執刀医80の部位が移動して検出されなくなれば、シールドカーテンS100をデフォルトの形状に戻してもよい。
【0141】
(術野の自動検出および作業者の部位の有無検出とシールドカーテンの自動形成方法)
図24は、第7の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。なお、主電源のオンオフは上述の実施形態と同様であり、省略する。
【0142】
送信制御部30Gは、上述のデフォルトの状態でシールドカーテンS100を形成する(S501)。
【0143】
カメラ63および作業者部位検出部66が、作業者の部位(執刀医80の手等)を検出し(S502:YES)、作業者の部位がシールドカーテンS100内にあることを検出すれば(S503:YES)、シールドカーテン設定部65は、作業者の部位がシールドカーテンS100内に入らないように、シールドカーテンS100を適正化する(S504)。
【0144】
なお、作業者の部位が検出されない(S502:NO)、作業者の部位がシールドカーテンS100内に入らなければ、送信制御部30Gは、その時点でのシールドカーテンS100の形状を維持する。
【0145】
[第8の実施形態]
本発明の第8の実施形態に係る超音波制御装置を含む微粒子シールドカーテン形成システムについて、図を参照して説明する。図25は、本発明の第8の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。第8の実施形態に係る超音波制御装置10Hは、超音波制御装置10に対して、送信制御部30H、および、周辺環境検出部67を備える点で異なる。
【0146】
周辺環境検出部67は、保護対象領域である術野90の周辺の清浄度を検出する。周辺環境検出部67は、例えば、術野90の周辺に配置されたパーティクルカウンタ等である。周辺環境検出部67は、検出した清浄度を送信制御部30Hに出力する。
【0147】
送信制御部30Hは、清浄度に基づいて送信制御を行う。より具体的には、送信制御部30Hは、清浄度が低ければ、超音波エネルギー(ベッセルビーム音響流のエネルギー)をより高く設定する。送信制御部30Hは、清浄度が低い状態から高くなれば、超音波エネルギーを低い状態に戻すように設定する。
【0148】
これにより、超音波制御装置10Hは、術野90(保護対象領域)の周辺の清浄度に応じて、シールドカーテンS100の強度を調整できる。具体的には、超音波制御装置10Hは、周辺の清浄度が低ければ、シールドカーテンS100による微粒子の遮蔽能力を高くし、周辺の清浄度が高ければ、シールドカーテンS100による微粒子の遮蔽濃度が必要以上に高くなることを抑制できる。
【0149】
したがって、超音波制御装置10Hは、周辺の清浄度が低いときには、術野90への微粒子の侵入をより効果的に抑制でき、周辺の清浄度が高いときには、シールドカーテンS100を発生させる超音波素子200の負荷を削減して寿命延長につなげることができる。
【0150】
なお、上述の構成では、周辺環境検出部67は、周辺の清浄度を直接的に検出する。しかしながら、周辺環境検出部67は、周辺環境のパラメータを検出し、清浄度を推定してもよい。
【0151】
この場合、周辺環境検出部67は、例えば、術野90(保護対象領域)の周辺での物体の動きを検出し、物体の動く速度、動く物体の数等によって、清浄度を推定する。具体的には、周辺環境検出部67は、周辺を動く物体の速度が速い場合や、動く物体の数が多い場合に、清浄度が低いと推定し、周辺に動く物体が無い場合等に、清浄度が高いと推定する。
【0152】
(術野の周辺の清浄度に基づいたとシールドカーテンの自動調整方法)
図26は、第8の実施形態に係る超音波制御方法(保護対象領域の保護方法)の一例を示すフローチャートである。なお、主電源のオンオフは上述の実施形態と同様であり、省略する。
【0153】
送信制御部30Hは、上述のデフォルトの状態でシールドカーテンS100を形成する(S601)。
【0154】
周辺環境検出部67が清浄度の低下を検出すると(S602:YES)、送信制御部30Hは、シールドカーテンS100の強度を上げる(S603)。なお、周辺環境検出部67が清浄度の低下を検出していなければ(S602:NO)、送信制御部30Hは、シールドカーテンS100のデフォルト状態を維持する。
【0155】
清浄度の悪化後に、周辺環境検出部67が清浄度の良化を検出すると(S604:YES)、送信制御部30Hは、シールドカーテンS100をデフォルト状態に戻す。なお、周辺環境検出部67が清浄度の良化を検出していなければ(S604:NO)、送信制御部30Hは、シールドカーテンS100の強度を上げた状態を維持する。
【0156】
[第9の実施形態]
本発明の第9の実施形態に係る超音波制御装置について、図を参照して説明する。図27は、本発明の第9の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。図28は、本発明の第9の実施形態に係る超音波制御装置による表示画像の一例を示す図である。
【0157】
第9の実施形態に係る超音波制御装置10Iは、超音波制御装置10に対して、送信制御部30I、および、カメラ63、表示画像形成部51、および、表示部50Iを備える点で異なる。
【0158】
カメラ63は、術野90(保護対象領域)を含む範囲を撮像し、撮像した画像を表示画像形成部51に出力する。
【0159】
表示画像形成部51は、送信制御部30IからシールドカーテンS100の形状および位置を取得する。表示画像形成部51は、撮像画像にシールドカーテンS100の形状を重畳して表示画像を形成する。
【0160】
より具体的には、表示画像形成部51は、カメラ63の画像の座標系とシールドカーテンS100を形成する座標系との関係を予め記憶している。表示画像形成部51は、これらの座標系をキャリブレーションすることによって、撮像画像にシールドカーテンS100の形状を重畳する。表示画像形成部51は、表示画像を表示部50Iに出力する。
【0161】
表示部50Iは、画像を表示可能なデバイスであり、例えば、LCD等の表示器である。表示部50Iは、表示画像を出力(表示)する。これにより、表示部50Iは、図28に示すような表示画面500を、執刀医80等に提供する。
【0162】
このような構成によって、超音波制御装置10Iは、直接見えないシールドカーテンS100を、表示画面500を通じて視認させることができる。
【0163】
[第10の実施形態]
本発明の第10の実施形態に係る超音波制御装置について、図を参照して説明する。図29は、本発明の第10の実施形態に係る超音波制御装置の機能ブロック図である。図30は、本発明の第10の実施形態に係る超音波制御装置による表示画像の一例を示す図である。
【0164】
第10の実施形態に係る超音波制御装置10Jは、超音波制御装置10Iに対して、送信制御部30J、操作受付部40J、カメラ63、表示画像形成部51J、および、表示部50Jを備える点で異なる。
【0165】
カメラ63は、術野90(保護対象領域)を含む範囲を撮像し、撮像した画像を表示画像形成部51Jに出力する。表示画像形成部51Jは、上述の実施形態の表示画像形成部51と同様の処理によって、撮像画像にシールドカーテンS100の形状を重畳して表示画像を形成し、表示画像を表示部50Jに出力する。
【0166】
表示部50Jは、表示部50Iと同様に、表示画面500Jを表示する。この際、表示部50Jは、設定サポート情報501、502を表示画面500Jに表示する。
【0167】
設定サポート情報501、502は、シールドカーテンS100の位置や形状の設定をサポートする情報である。例えば、図30の場合、設定サポート情報501は、シールドカーテンS100の位置の設定をサポートする情報である。設定サポート情報502は、シールドカーテンS100の形状の設定をサポートする情報である。
【0168】
操作受付部40Jは、シールドカーテンS100(複数のベッセルビーム音響流の形成形状および形成位置)の調整操作を、マイク等の非接触によって受け付け、送信制御部30Jに出力する。
【0169】
送信制御部30Jは、操作受付部40Jによって設定されたシールドカーテンS100を実現するように送信制御を行う。
【0170】
また、送信制御部30Jは、設定されたシールドカーテンS100の形状および位置を、表示画像形成部51Jに出力する。表示画像形成部51Jは、新たに設定されたシールドカーテンS100の形状(調整されたシールドカーテンS100)の形状を撮像画像に重畳して、表示画像を更新する。表示部50Jは、更新された表示画像を表示する。
【0171】
このような構成によって、執刀医80は、設定したシールドカーテンS100を視認でき、さらに、調整を行った場合も、調整後のシールドカーテンS100を視認できる。
【0172】
また、設定のサポート情報が表示されることで、執刀医80は、シールドカーテンS100の調整を容易に行うことができる。
【0173】
なお、本実施形態では、操作入力を非接触で行う場合を示した。しかしながら、出術前等の清浄度を高く管理する必要が無い状況では、超音波制御装置10Jは、表示部50Jをタッチパネルで構成し、設定サポート情報501、502のタッチ操作によって設定を受け付けてもよい。
【0174】
また、上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることが可能であり、それぞれの組み合わせに応じた効果を奏することができる。
【0175】
<1> 複数の超音波素子と、
前記複数の超音波素子の送信制御を行う送信制御部と、
を備え、
前記送信制御部は、
微粒子からの保護対象領域に対して鉛直方向の上側の所定範囲に複数の超音波の音響流を生成するように前記複数の超音波素子の送信制御を行う、超音波制御装置。
【0176】
<2> 前記複数の超音波素子は、二次元配列されている、<1>の超音波制御装置。
【0177】
<3> 前記送信制御部は、
前記複数の超音波素子の前記二次元配列された平面の中心を頂点とする円錐面を設定し、
前記送信制御として、前記複数の超音波素子が送信する超音波の球面波の同位相面が前記円錐面に同時に接するように前記超音波の位相を制御する、<2>の超音波制御装置。
【0178】
<4> 前記送信制御部は、
前記円錐面によって形成される円錐の中心軸が前記平面に成す角度を変化させるように前記送信制御を行う、<3>の超音波制御装置。
【0179】
<5> 前記送信制御部は、前記送信制御として、前記超音波の振幅を制御する、<1>乃至<3>のいずれかの超音波制御装置。
【0180】
<6> 前記複数の超音波素子における前記超音波の送信の指向軸は、鉛直方向に略垂直である、<1>乃至<5>のいずれかの超音波制御装置。
【0181】
<7> 前記複数の音響流によるシールドカーテンは、前記鉛直方向に略垂直な二次元の平面形状である、<6>の超音波制御装置。
【0182】
<8> 前記複数の超音波素子における前記超音波の送信の指向軸は、鉛直方向に略平行である、<1>乃至<5>のいずれかの超音波制御装置。
【0183】
<9> 前記複数の音響流によるシールドカーテンは、平面視して前記保護対象領域を囲む円錐台形状である、<8>の超音波制御装置。
【0184】
<10> 前記複数の超音波素子は、1または複数の回路基板に実装されている、<1>乃至<9>のいずれかの超音波制御装置。
【0185】
<11> 前記回路基板は、厚み方向に貫通する空洞部または切り欠き部を有する、<10>の超音波制御装置。
【符号の説明】
【0186】
10、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I、10J:超音波制御装置
20、20A1、20A2、20B1、20B2、20B3:超音波送信器
29:回路基板
30、30C、30E、30F、30G、30H、30I、30J:送信制御部
40:非接触操作受付部
40J:操作受付部
50、50I、50J:表示部
51、51J:表示画像形成部
60:センサ
61:障害物検出部
63:カメラ
64:保護対象領域検出部
65:シールドカーテン設定部
66:作業者部位検出部
67:周辺環境検出部
80:執刀医
90:術野
99:患者
100:ベッセルビーム音響流
200、211-215、221-225、231-235、241-245、251-255:超音波素子
290:円錐面
500、500J:表示画面
501、502:設定サポート情報
2901、2903:空洞部
S100、S100B、S100CN:シールドカーテン
図1
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図3
図4
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