(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154959
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/24 20060101AFI20241024BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20241024BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/26 B
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069217
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】段口 将志
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【テーマコード(参考)】
2D015
5C086
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB02
2D015GB06
2D015HA03
2D015HB06
5C086AA22
5C086AA53
5C086BA19
5C086CA28
5C086CB36
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA11
(57)【要約】
【課題】監視エリアに存在する検知対象物に対してより配慮した、作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械3の制御方法は、制限条件を満たすと、作業機械3の原動機40の駆動制限を行うことと、解除条件を満たすと駆動制限を解除することと、を有する。解除条件は、制限条件を満たさないこと、及び、作業機械3の周囲の監視エリアにおける検知対象物を検知する検知部12の検知結果が特定条件を満たすこと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制限条件を満たすと、作業機械の原動機の駆動制限を行うことと、
前記制限条件を満たさないこと、及び、前記作業機械の周囲の監視エリアにおける検知対象物を検知する検知部の検知結果が特定条件を満たすこと、を含む解除条件を満たすと、前記駆動制限を解除することと、を有する、
作業機械の制御方法。
【請求項2】
前記駆動制限は、前記原動機の回転数を低下させる処理を含む、
請求項1に記載の作業機械の制御方法。
【請求項3】
前記駆動制限は、前記原動機を停止させる処理を含む、
請求項1又は2に記載の作業機械の制御方法。
【請求項4】
前記制限条件は、前記作業機械の操作に関する条件を含む、
請求項1又は2に記載の作業機械の制御方法。
【請求項5】
前記制限条件に含まれる前記作業機械の操作に関する条件は、前記作業機械の操作装置が規定時間、操作されていないことを含む、
請求項4に記載の作業機械の制御方法。
【請求項6】
前記検知部が前記検知対象物を検知している状態では、前記検知部が前記検知対象物を検知していない状態に比べて前記規定時間が短くなる、
請求項5に記載の作業機械の制御方法。
【請求項7】
前記制限条件に含まれる前記作業機械の操作に関する条件は、前記作業機械の操作装置が、前記原動機の目標回転数を所定回転数以下に設定するように操作されることを含む、
請求項4に記載の作業機械の制御方法。
【請求項8】
前記特定条件は、前記監視エリアに前記検知対象物が存在しないことを含む、
請求項1又は2に記載の作業機械の制御方法。
【請求項9】
前記監視エリアに前記検知対象物が存在する場合に警報を出力することを更に有する、
請求項1又は2に記載の作業機械の制御方法。
【請求項10】
前記作業機械の操作に従って前記警報を無効化することを更に有する、
請求項9に記載の作業機械の制御方法。
【請求項11】
前記解除条件は、前記警報が無効化されていないことを更に含む、
請求項10に記載の作業機械の制御方法。
【請求項12】
前記制限条件は、前記検知部の検知結果に関する条件を含まない、
請求項1又は2に記載の作業機械の制御方法。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の作業機械の制御方法を、
1以上のプロセッサに実行させるための作業機械用制御プログラム。
【請求項14】
制限条件を満たすと、作業機械の原動機の駆動制限を行う制限処理部と、
前記制限条件を満たさないこと、及び、前記作業機械の周囲の監視エリアにおける検知対象物を検知する検知部の検知結果が特定条件を満たすこと、を含む解除条件を満たすと、前記駆動制限を解除する解除処理部と、を備える、
作業機械用制御システム。
【請求項15】
請求項14に記載の作業機械用制御システムと、
機体と、を備える、
作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の監視エリアにおける検知対象物を検知する機能を有する作業機械に用いられる、作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、作業機械の周囲における人の存否を判定する機能を備える周辺監視装置を備える作業機械(ショベル)が知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術に係る作業機械において、周辺監視装置は、作業機械の状態を判定する作業機械状態判定手段と、作業機械の周囲の監視エリア(監視空間)における検知対象物(人)の存否を判定する人存否判定手段と、警報出力部を制御する警報制御手段と、を有する。
【0003】
上記関連技術に係る作業機械では、作業機械が作業可能状態にないと判定され、かつ、監視エリアに検知対象物が存在すると判定された場合、その後に作業機械が作業可能状態にあると判定されたときに、警報出力部からオペレータ(操作者)に対して警報を出力させる。さらに、この作業機械では、オペレータが警報停止ボタンを押下して警報を停止させる意思を示すことで、警報が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記関連技術では、監視エリアに検知対象物としての人が存在する状況であっても、オペレータが、作業を効率的に進めるために警報を停止させる場合がある。このような場合において、例えば、オートデセル機能によって原動機(エンジン)の駆動制限がなされている状態から、駆動制限が解除されて原動機の回転数が急上昇すると、監視エリアにいる人(検知対象物)の近くで、作業機械の動作速度が急上昇する可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、監視エリアに存在する検知対象物に対してより配慮した、作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る作業機械の制御方法は、制限条件を満たすと、作業機械の原動機の駆動制限を行うことと、解除条件を満たすと、前記駆動制限を解除することと、を有する。前記解除条件は、前記制限条件を満たさないこと、及び、前記作業機械の周囲の監視エリアにおける検知対象物を検知する検知部の検知結果が特定条件を満たすこと、を含む。
【0008】
本発明の一態様に係る作業機械用制御プログラムは、前記作業機械の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0009】
本発明の一態様に係る作業機械用制御システムは、制限処理部と、解除処理部と、を備える。前記制限処理部は、制限条件を満たすと、作業機械の原動機の駆動制限を行う。前記解除処理部は、解除条件を満たすと、前記駆動制限を解除する。前記解除条件は、前記制限条件を満たさないこと、及び、前記作業機械の周囲の監視エリアにおける検知対象物を検知する検知部の検知結果が特定条件を満たすこと、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係る作業機械は、前記作業機械用制御システムと、機体と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、監視エリアに存在する検知対象物に対してより配慮した、作業機械の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム及び作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る作業機械の全体構成を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る作業機械の油圧回路等を示す概略図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る作業機械を上方から見て、作業機械の周囲に設定された監視エリア等を模式的に表す概略平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る作業機械用制御システムにより表示画面が表示される表示装置の概略外観図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る作業機械用制御システムの動作例を示すタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態1に係る作業機械用制御システムの動作例を示すタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る作業機械用制御システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る作業機械の油圧回路等を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0014】
(実施形態1)
[1]全体構成
本実施形態に係る作業機械3は、
図1に示すように、走行部31と、旋回部32と、作業部33と、を機体30に備えている。また、作業機械3は、
図2に示すように、作業機械用制御システム1(以下、単に「制御システム1」ともいう)を更に備えている。その他、機体30は、
図1及び
図2に示すように、表示装置2、操作装置35及び音出力部36等を更に備えている。
【0015】
本開示でいう「作業機械」は、各種の作業用の機械を意味し、一例として、バックホー(油圧ショベル、ミニショベル等を含む)、ホイルローダー及びキャリア等の作業車両である。作業機械3は、1つ以上の作業を実行可能に構成された作業部33を備えている。作業機械3は、「車両」に限らず、例えば、作業用船舶、ドローン又はマルチコプター等の作業飛翔体等であってもよい。さらに、作業機械3は建設機械(建機)に限らず、例えば、田植機、トラクタ又はコンバイン等の農業機械(農機)であってもよい。本実施形態では、特に断りが無い限り、作業機械3が乗用タイプのバックホーであって、掘削作業、整地作業、溝掘削作業又は積込作業等を作業として実行可能である場合を例に挙げて説明する。
【0016】
また、本実施形態では、説明の便宜上、作業機械3が使用可能な状態での鉛直方向を上下方向D1と定義する。さらに、旋回部32の非旋回状態において、作業機械3(の運転部321)に搭乗したユーザ(オペレータ)から見た方向を基準として、前後方向D2及び左右方向D3を定義する。言い換えれば、本実施形態で用いられる各方向は、いずれも作業機械3の機体30を基準として規定される方向であって、作業機械3の前進時に機体30が移動する方向が「前方」、作業機械3の後退時に機体30が移動する方向が「後方」となる。同様に、作業機械3の右旋回時に機体30の前端部が移動する方向が「右方」、作業機械3の左旋回時に機体30の前端部が移動する方向が「左方」となる。ただし、これらの方向は、作業機械3の使用方向(使用時の方向)を限定する趣旨ではない。
【0017】
作業機械3は、動力源となる原動機40(
図2参照)を備えている。本実施形態では一例として、原動機40はディーゼルエンジンである。原動機40は、燃料タンクから燃料(ここでは軽油)が供給されることにより駆動する。作業機械3においては、例えば、原動機40によって油圧ポンプ41(
図2参照)が駆動され、油圧ポンプ41から機体30の各部の油圧アクチュエータ(油圧モータ43及び油圧シリンダ44等を含む)に作動油が供給されることで、機体30が駆動する。原動機40は、例えば、燃焼若しくは蒸気の熱、又は電気等のエネルギーを機械力(動力)に変換し、作業機械3の機体30の各部に動力(作動油)を供給して、機体30の各部を駆動するための装置である。
【0018】
このような作業機械3は、例えば、機体30の運転部321に搭乗したユーザ(オペレータ)が、操作装置35の操作レバー等を操作することにより制御される。つまり、原動機40が発生する動力が、オペレータの操作に従って機体30の各部に分配されることにより、作業機械3は、オペレータの操作に従って動作する。作業機械3の動力源となる原動機40は、ディーゼルエンジンに限らず、例えば、ディーゼルエンジン以外の内燃機関(エンジン)であってもよいし、電動モータ(電動機)、又は内燃機関と電動モータとを含むハイブリッド式の動力源であってもよい。
【0019】
本実施形態では、上述したように作業機械3が乗用タイプのバックホーである場合を想定しているので、作業部33は、運転部321に搭乗したユーザ(オペレータ)の操作に従って駆動され、掘削作業等の作業を実行する。ユーザが搭乗する運転部321は、旋回部32に設けられている。
【0020】
ここで、機体30の運転部321には、表示装置2、操作装置35及び音出力部36等が搭載されており、ユーザは、表示装置2に表示される作業機械3に関連する種々の情報を見ながら、操作装置35を操作可能である。一例として、表示装置2の表示画面に、冷却水温及び作動油温等の作業機械3の稼働状態に関する情報が表示されることで、ユーザは、操作装置35の操作に必要な作業機械3の稼働状態に関する情報を、表示装置2で確認することができる。
【0021】
走行部31は、走行機能を有し、地面を走行(旋回を含む)可能に構成されている。走行部31は、例えば、左右一対のクローラ311及びブレード312等を有している。走行部31は、クローラ311を駆動するための走行用の油圧モータ43(油圧アクチュエータ)等を更に有する。
【0022】
旋回部32は、走行部31の上方に位置し、走行部31に対して、上下方向D1に沿った回転軸を中心に旋回可能に構成されている。旋回部32は、旋回用の油圧モータ(油圧アクチュエータ)等を有している。旋回部32には、運転部321の他、原動機40及び油圧ポンプ41等が搭載されている。さらに、旋回部32の前端部には、作業部33が取り付けられるブームブラケット322が設けられている。
【0023】
作業部33は、1つ以上の作業を実行可能に構成されている。作業部33は、旋回部32のブームブラケット322に支持されており、作業を実行する。作業部33は、バケット331を有する。バケット331は、作業機械3の機体30に取り付けられるアタッチメント(作業具)の一種であって、複数種類のアタッチメントの中から作業の内容に応じて選択される任意の器具からなる。バケット331は、一例として、機体30に対して取り外し可能に取り付けられ、作業の内容に応じて交換される。作業機械3用のアタッチメントとしては、例えば、バケット331の他に、ブレーカ、オーガ、クラッシャ、フォーク、フォーククロー、鉄骨カッタ、アスファルト切削機、草刈機、リッパ、マルチャ、チルトローテータ及びタンパ等の種々の器具がある。
【0024】
作業部33は、ブーム332、アーム333及び油圧アクチュエータ(油圧シリンダ44及び油圧モータ等を含む)等を更に有している。バケット331は、アーム333の先端に取り付けられる。
【0025】
ブーム332は、旋回部32のブームブラケット322にて、回転可能に支持されている。具体的には、ブーム332は、ブームブラケット322にて、水平方向に沿った回転軸を中心に回転可能に支持されている。ブーム332は、ブームブラケット322に支持される基端部から上方に延びる形状を有している。アーム333は、ブーム332の先端に連結されている。アーム333は、ブーム332に対して、水平方向に沿った回転軸を中心に回転可能に支持されている。
【0026】
作業部33は、動力源としての原動機40からの動力を受けて動作する。具体的には、原動機40によって油圧ポンプ41が駆動され、作業部33の油圧アクチュエータ(油圧シリンダ44等)に油圧ポンプ41から作動油が供給されることで、作業部33の各部(バケット331、ブーム332及びアーム333)が動作する。
【0027】
本実施形態では特に、作業部33は、ブーム332及びアーム333が個別に回転可能に構成された多関節型の構造を有している。つまり、ブーム332及びアーム333の各々が、水平方向に沿った回転軸を中心に回転することにより、例えば、ブーム332及びアーム333を含む多関節型の作業部33は、全体として伸ばしたり、折りたたんだりする動作が可能である。
【0028】
走行部31及び旋回部32の各々についても、作業部33と同様に、動力源としての原動機40からの動力を受けて動作する。つまり、走行部31の油圧モータ43及び旋回部32の油圧モータ等に、油圧ポンプ41から作動油が供給されることで、旋回部32及び走行部31が動作する。
【0029】
そして、機体30の各部に設けられたアクチュエータ(本実施形態では油圧モータ43及び油圧シリンダ44等を含む油圧アクチュエータ)は、操作装置35の操作に応じて作動する。つまり、本実施形態に係る作業機械3は、操作装置35の操作に応じて作動するアクチュエータを備えている。したがって、作業機械3は、ユーザ(オペレータ)による操作装置35の操作に応じて、走行部31による前後進、旋回部32による旋回、及び作業部33による掘削作業等の各種の動作を実行することになる。
【0030】
ここで、機体30には、機体30の周辺を撮像するカメラ等、作業機械3の周囲の監視エリアA1(
図3参照)における検知対象物Ob1(
図3参照)を検知するための各種のセンサ類(カメラを含む)が備わっている。本実施形態では一例として、
図3に示すように、左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343を含む複数(ここでは3つ)のカメラが、機体30の旋回部32に搭載されている。左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343は、制御システム1に接続されており、各々で撮像された画像を制御システム1に出力する。
図3は、作業機械3を上方から見た平面図であって、作業機械3の周囲に設定された監視エリアA1、検知対象物Ob1、並びに作業機械3の機体30(左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343を含む)を模式的に表している。
【0031】
左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343は、それぞれ旋回部32の運転部321に搭乗したオペレータから見て、左方、右方及び後方となる監視エリアA1を撮像できるように、運転部321を基準に左方、右方及び後方に向けて設置される。つまり、監視エリアA1は、
図3に示すように、複数(ここでは3つ)の小エリアA11,A12,A13を含み、左方カメラ341は、このうち運転部321に搭乗したオペレータから見て左方となる小エリアA11(左方エリア)を撮像する。同様に、右方カメラ342は、運転部321に搭乗したオペレータから見て右方となる小エリアA12(右方エリア)を撮像し、後方カメラ343は、運転部321に搭乗したオペレータから見て後方となる小エリアA13(後方エリア)を撮像する。これにより、オペレータにとって死角となりやすい、側方(左方及び右方)並びに後方を、左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343でカバーすることが可能となる。
【0032】
図2では、本実施形態に係る作業機械3の油圧回路及び電気回路(電気的な接続関係)を模式的に示す。
図2では、実線が高圧の(作動油用の)油路、点線が低圧の(パイロット油用の)油路、一点鎖線の矢印が電気信号の経路を示す。さらに、原動機40と油圧ポンプ41との間の太線(実線)は、原動機40(の出力軸)と油圧ポンプ41との間の物理的な連結を示す。
【0033】
図2に示すように、作業機械3は、油圧ポンプ41、油圧モータ43(
図2では図示を省略)、油圧シリンダ44及び原動機40に加えて、パイロットポンプ42、リモコン弁45、制御弁461、カットオフスイッチ462、カットオフレバー463、圧力センサ47、方向切換弁(コントロールバルブ)48及び原動機制御部49等を備えている。
【0034】
原動機40により駆動される油圧ポンプ41からの作動油は、走行部31の油圧モータ43、旋回部32の油圧モータ、及び作業部33の油圧シリンダ44等に供給される。これにより、油圧モータ43及び油圧シリンダ44等の油圧アクチュエータが駆動される。
【0035】
原動機制御部49は、原動機40の回転数を制御する。つまり、原動機制御部49は、原動機40の回転数を制御することで、原動機40にて駆動される油圧ポンプ41の回転数を制御し、油圧ポンプ41の作動油の吐出量を変化させることが可能である。このように、本実施形態では、油圧ポンプ41から供給される作動油の流量は固定的ではなく、適宜の手段により変更可能(可変)である。原動機制御部49は、原動機40の回転数を、無段階で連続的に変化させてもよいし、段階的(例えば2段階、5段階又は10段階等)に変化させてもよい。
【0036】
油圧モータ43及び油圧シリンダ44等の油圧アクチュエータには、油圧ポンプ41からの作動油の方向及び流量を切換可能なパイロット式の方向切換弁48が設けられている。方向切換弁48は、パイロットポンプ42から入力指令となるパイロット油が供給されて駆動される。
【0037】
ここで、例えば、作業部33の油圧シリンダ44に対応する方向切換弁48へのパイロット油の供給路には、リモコン弁45が設けられている。リモコン弁45は、操作装置35(操作レバー)の操作に応じて作業部33の作業操作指令を出力する。作業操作指令は、作業部33の展開動作及び縮小動作等を指示する。また、パイロットポンプ42からリモコン弁45に供給されるパイロット油の流量は、制御弁461にて調節可能である。
【0038】
制御弁461は、電磁式の制御弁(電磁弁)からなり、リモコン弁45とパイロットポンプ42との間に挿入されている。制御弁461は、カットオフスイッチ462を介して電源に接続されており、電源からの供給電流に応じて動作する。制御弁461は、ここでは(電磁式)比例制御弁であることとするが、これに限らず、例えば、流路の開放/遮断を切替可能な開閉弁であってもよい。
【0039】
制御弁461は、通電状態、つまり制御信号としての電流が供給されている状態で、パイロット油の流路を開放し、非通電状態、つまり制御信号としての電流が遮断されている状態で、パイロット油の流路を遮断する。そのため、制御弁461への供給電流(制御信号)が遮断されることで、リモコン弁45に対応する油圧アクチュエータ(油圧シリンダ44等)が駆動不能となり、操作装置35の操作によらずに、油圧アクチュエータが強制的に停止する。
【0040】
同様に、走行部31の油圧モータ43に対応する方向切換弁へのパイロット油の供給路にも、リモコン弁が設けられている。このリモコン弁は、操作装置35(操作レバー)の操作に応じて走行部31の走行操作指令を出力する。走行操作指令は、走行部31の走行動作(前進又は後退等)を指示する。さらに、旋回部32の油圧モータに対応する方向切換弁へのパイロット油の供給路にも、リモコン弁が設けられている。このリモコン弁は、操作装置35(操作レバー)の操作に応じて旋回部32の旋回操作指令を出力する。旋回操作指令は、旋回部32の旋回動作(左旋回又は右旋回等)を指示する。そして、これらのリモコン弁と、パイロットポンプ42との間にも、制御弁461が挿入されている。
【0041】
カットオフスイッチ462は、カットオフレバー463に連動している。カットオフレバー463は、機体30の運転部321に配置されており、ユーザ(オペレータ)による操作入力を受け付ける。本実施形態では一例として、カットオフレバー463は上下方向D1に沿って操作可能である。カットオフレバー463が可動範囲の上端位置である「上げ位置」にあればカットオフスイッチ462は「オフ」であり、カットオフレバー463が可動範囲の下端位置である「下げ位置」にあればカットオフスイッチ462は「オン」である。そして、カットオフスイッチ462は制御システム1に接続されており、カットオフスイッチ462のオン/オフ、つまりカットオフレバー463の操作状態が、制御システム1にて監視されている。
【0042】
したがって、カットオフレバー463が「下げ位置」にあれば、制御弁461が通電状態となり、操作装置35の操作によって油圧アクチュエータ(油圧シリンダ44等)が駆動する。これに対して、カットオフレバー463が「上げ位置」にあれば、制御弁461が非通電状態となり、操作装置35の操作によらずに油圧アクチュエータが強制的に停止する。そのため、油圧アクチュエータ(油圧シリンダ44等)を駆動するには、ユーザ(オペレータ)は、カットオフレバー463を「下げ位置」に操作する必要がある。
【0043】
さらに、旋回部32及び走行部31の各々についても、油圧アクチュエータ(油圧モータ43等)に油圧ポンプ41から作動油が供給されることで動作するので、カットオフレバー463が「上げ位置」にあれば、旋回部32及び走行部31も駆動不能となる。つまり、カットオフレバー463が「上げ位置」にあれば、作業部33、旋回部32及び走行部31の全てについて、強制的に駆動不能な状態とされる。
【0044】
本実施形態では、カットオフレバー463が「上げ位置」にある状態、つまり作業機械3を操作できない状態とするときのカットオフレバー463の状態を「ロック状態」と定義する。一方、カットオフレバー463が「下げ位置」にある状態、つまり作業機械3を操作できる状態とするときのカットオフレバー463の状態を「ロック解除状態」と定義する。
【0045】
要するに、カットオフスイッチ462は、オフのときに作業機械3の動作が制限(禁止を含む)される「ロック状態」にあり、オンのときに作業機械3の動作を制限しない「ロック解除状態」にある。そして、カットオフレバー463が「上げ位置」にあってカットオフスイッチ462がロック状態(オフ)にあれば、操作装置35の操作によらずに作業機械3の動作が強制的に制限される。カットオフレバー463は、このように作業機械3の動作をロックする際に操作されるレバーであって、ゲートロックレバーと同義である。
【0046】
操作装置35は、機体30の運転部321に配置されており、ユーザ(オペレータ)による操作入力を受け付けるためのユーザインターフェースである。操作装置35は、例えば、操作レバーを含み、操作レバーに対する操作量に応じてリモコン弁45を制御する。これにより、オペレータは、操作装置35を操作することでリモコン弁45を作動させ、油圧ポンプ41からの作動油の方向及び流量を指示し、作業機械3を動作させることが可能である。
【0047】
圧力センサ47は、リモコン弁45と方向切換弁48との間のパイロット油の圧力を検出する。圧力センサ47は制御システム1に接続されており、圧力センサ47で検出される圧力を示す圧力検出信号は、制御システム1に入力される。制御弁461が通電状態でパイロット油の流路を開放している状態では、圧力センサ47で検出される圧力には、リモコン弁45の作動状態、つまり操作レバー(操作装置35)の操作状態が反映される。
【0048】
音出力部36は、ユーザ(オペレータ)に対して音(音声を含む)を出力する。音出力部36は、ブザー又はスピーカ等を含み、電気信号を受けて音を出力する。音出力部36は、制御システム1に接続されており、制御システム1からの音制御信号に応じて、ビープ音又は音声等の音を出力する。本実施形態では、音出力部36は、表示装置2と同様に機体30の運転部321に設けられている。音出力部36は、表示装置2と一体に設けられていてもよい。
【0049】
制御システム1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の1以上のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムを主構成とし、種々の処理(情報処理)を実行する。本実施形態では、制御システム1は、作業機械3全体の制御を行う統合コントローラであって、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)からなる。ただし、制御システム1は、統合コントローラと別に設けられていてもよいし、1つのプロセッサ、又は複数のプロセッサを主構成としてもよい。制御システム1について詳しくは「[2]制御システムの構成」の欄で説明する。
【0050】
表示装置2は、機体30の運転部321に配置されており、ユーザ(オペレータ)による操作入力を受け付け、ユーザに種々の情報を出力するためのユーザインターフェースである。表示装置2は、例えば、ユーザの操作に応じた電気信号を出力することにより、ユーザによる各種の操作を受け付ける。これにより、ユーザ(オペレータ)は、表示装置2に表示される表示画面Dp1(
図4参照)を視認でき、また、必要に応じて表示装置2を操作することが可能である。
【0051】
表示装置2は、
図2に示すように、制御部21と、操作部22と、表示部23と、を備えている。表示装置2は、制御システム1と通信可能に構成されており、制御システム1との間でデータの授受が可能である。本実施形態では一例として、表示装置2は作業機械3に用いられる専用のデバイスである。
【0052】
制御部21は、制御システム1からのデータに従って、表示装置2を制御する。具体的には、制御部21は、操作部22で受け付けたユーザの操作に応じた電気信号を出力したり、制御システム1で生成される表示画面Dp1を表示部23に表示したりする。
【0053】
操作部22は、表示部23に表示される表示画面Dp1に対するユーザ(オペレータ)による操作入力を受け付けるためのユーザインターフェースである。操作部22は、例えば、ユーザU1(
図4参照)の操作に応じた電気信号を出力することにより、ユーザU1による各種の操作を受け付ける。本実施形態では一例として、操作部22は、
図4に示すように、機械式の複数(ここでは6つ)の押釦スイッチ221~226を含む。これら複数の押釦スイッチ221~226は、表示部23の表示領域の周縁に沿うように、表示領域に近接して(
図4の例では下方に)配置されている。これら複数の押釦スイッチ221~226は、後述する表示画面Dp1に表示される項目に対応付けられており、複数の押釦スイッチ221~226のいずれかが操作されることにより、表示画面Dp1のいずれかの項目が操作(選択)される。
【0054】
また、操作部22は、タッチパネル及び操作ダイヤル等を含んでいてもよい。この場合においても、操作部22に対する操作により、表示画面Dp1のいずれかの項目が操作(選択)されることになる。
【0055】
表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような、ユーザU1(オペレータ)に情報を提示するためのユーザインターフェースである。表示部23は、ユーザに対して各種の情報を表示により提示する。本実施形態では一例として、表示部23は、バックライト付きのフルカラーの液晶ディスプレイであって、
図4に示すように、横方向に長い「横長」の表示領域を有している。
【0056】
また、機体30は、上述した構成に加えて、駆動装置、通信端末、燃料タンク及びバッテリ等を更に備えている。駆動装置は、作業部33のアタッチメントに対して動力を供給するための装置であって、原動機40からの動力を、油圧機器からなるアタッチメントの駆動用の動力として取り出すためのPTO(Power take-off)等の装置(機構)からなる。さらに、機体30には、機体30の周辺を撮像するカメラ等、作業機械3の周囲の監視エリアにおける検知対象物を検知するための各種のセンサ類(カメラを含む)が備わっている。
【0057】
[2]制御システムの構成
次に、本実施形態に係る制御システム1の構成について、
図2を参照して説明する。制御システム1は、機体30(走行部31、旋回部32及び作業部33等を含む)の各部を制御する。本実施形態では、制御システム1は、作業機械3の構成要素であって、機体30等と共に作業機械3を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る作業機械3は、少なくとも制御システム1と、機体30と、を備えている。
【0058】
制御システム1は、
図2に示すように、取得処理部11と、検知部12と、警報処理部13と、制限処理部14と、解除処理部15と、を備えている。本実施形態では一例として、制御システム1は1以上のプロセッサを有するコンピュータシステムを主構成とするので、1以上のプロセッサが作業機械用制御プログラムを実行することにより、これら複数の機能部(取得処理部11等)が実現される。制御システム1に含まれる、これら複数の機能部は、複数の筐体に分散して設けられていてもよいし、1つの筐体に設けられていてもよい。
【0059】
制御システム1は、機体30の各部に設けられたデバイスと通信可能に構成されている。つまり、制御システム1には、少なくとも表示装置2、左方カメラ341、右方カメラ342、後方カメラ343、音出力部36、カットオフスイッチ462、圧力センサ47及び原動機制御部49等が接続されている。これにより、制御システム1は、表示装置2及び音出力部36等を制御したり、左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343等の撮像画像を取得したりすることが可能である。ここで、制御システム1は、各種の情報(データ)の授受を、各デバイスと直接的に行ってもよいし、中継器等を介して間接的に行ってもよい。制御システム1と機体30の各部に設けられたデバイスとは、一例として、CAN(Controller Area Network)等の通信方式にて通信可能である。
【0060】
取得処理部11は、作業機械3の周囲の監視エリアA1の撮像画像等、作業機械3に関連する各種のデータを取得する取得処理を実行する。本実施形態では、取得処理部11は、左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343の出力を、左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343から定期的又は不定期に取得する。つまり、取得処理部11は、作業機械3の周囲の監視エリアA1(各小エリアA11,A12,A13)の画像データ(撮像画像)を取得する。
【0061】
さらに、取得処理部11は、取得処理により、少なくとも操作装置35(操作レバー)の操作状態を表す圧力センサ47からの圧力検出信号、及びカットオフスイッチ462のオン/オフ状態等の情報を、定期的又は不定期に取得可能である。ここで、取得処理部11は、燃料の残量センサ、冷却水温センサ及び作動油温センサの出力(センサ信号)についても取得可能である。取得処理部11は、各種のデータを、各種センサ等(カメラを含む)から直接的に取得してもよいし、電子制御ユニット等を介して間接的に取得してもよい。取得処理部11で取得されたデータは、例えば、メモリ等に記憶される。
【0062】
検知部12は、機体30の周囲の監視エリアA1における検知対象物Ob1を検知(検出)する。つまり、検知部12は、監視エリアA1における検知対象物Ob1の存否(有無)を判断し、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在するか否かを表す検知結果を出力する。本実施形態では一例として、検知対象物Ob1は「人」である。つまり、作業機械3が移動し、又は作業機械3の周囲の「人」が移動した結果、作業機械3の周囲の監視エリアA1に「人」が侵入した場合、検知部12は当該「人」を検知対象物Ob1として検知する。監視エリアA1に複数の検知対象物Ob1が存在する場合には、検知部12は、検知対象物Ob1の数(人数)も含めて検知してもよい。
【0063】
本実施形態では、検知部12は、左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343の出力(画像データ)に基づいて、監視エリアA1における検知対象物Ob1を検知する。具体的には、検知部12は、取得処理部11で取得された画像データに対して、画像処理を施すことにより、画像中の特徴量を抽出し、当該特徴量に基づいて、画像に検知対象物Ob1(本実施形態では「人」)が写り込んでいるか否かを判断する。ここで、画像に検知対象物Ob1が写り込んでいる場合、検知部12は、左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343のいずれで撮像された画像に検知対象物Ob1が写り込んでいるかを判断する。つまり、検知部12は、左方カメラ341で撮像される小エリアA11、右方カメラ342で撮像される小エリアA12、及び後方カメラ343で撮像される小エリアA13のいずれに検知対象物Ob1が存在するかを区別して、検知対象物Ob1の検知を行う。
【0064】
さらに、本実施形態では、検知部12は、機体30から検知対象物Ob1までの距離についても検知可能である。つまり、検知部12は、画像に検知対象物Ob1が写り込んでいる場合、検知対象物Ob1の画像上での位置に基づいて、機体30から検知対象物Ob1までの距離を算出する。そのため、検知部12では、例えば、機体30からある距離(例えば、2m、3m、4m又は5m等)以内に存在する検知対象物Ob1を検知することが可能である。言い換えれば、検知部12は、左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343で撮像される全域を監視エリアA1とするだけでなく、任意に設定される大きさ及び形状の監視エリアA1の検知対象物Ob1を検知することも可能である。
【0065】
警報処理部13は、警報の出力、つまり報知を行う。ここで、警報処理部13は、検知部12の検知結果、つまり機体30の周囲の監視エリアA1における検知対象物Ob1の検知結果に基づく警報の出力(報知)を行う警報処理を実行する。特に、警報処理部13は、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在する場合に警報を出力する。
【0066】
本開示でいう「報知」は、ユーザ(オペレータ)に対して種々の手段で警報を出力することを意味し、例えば、音(音声を含む)、表示(表示灯の点灯を含む)、振動(バイブレーション機能)、他端末への送信又は非一時的記録媒体への書き込み等の手段による警報の出力を含む。ただし、警報処理部13は、基本的には、ユーザ(オペレータ)がリアルタイムで警報を認識可能な態様で報知を行う。本実施形態では一例として、警報処理部13は、機体30の周囲の監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在する場合、表示装置2の表示部23にその旨を表示させ、かつ音出力部36に警報音を出力させる。警報音は、単なるビープ音であってもよいし、「ご注意ください」等の音声であってもよい。さらに、警報内容(表示内容及び警報音)は、検知部12の検知結果(検知対象物Ob1の位置、機体30から検知対象物Ob1までの距離等)に応じて変化してもよい。
【0067】
ここで、警報処理部13は、作業機械3の操作に従って警報を無効化することが可能である。すなわち、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在していれば必ず警報が出力されるのではなく、例えばユーザ(オペレータ)による操作部22の操作等により警報が無効化されている場合には、たとえ監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在しても警報は出力されない。したがって、例えば、オペレータにおいては、警報を無効化することで、作業機械3の周囲に注意しつつ作業機械3を運転することで、警報が出力され続ける場合に比べて作業効率の向上を図りやすい。
【0068】
制限処理部14は、制限条件を満たすと、作業機械3の原動機40の駆動制限を行う制限処理を実行する。本開示でいう「駆動制限」は、原動機40の駆動に関し、何かしら抑制する方向に作用する処理を意味する。つまり、駆動制限が行われることで、基本的に、原動機40の出力は低下又は停止し、原動機40によって駆動される油圧ポンプ41から吐出される作動油については、吐出量が低下又は吐出が停止することになる。これにより、制限条件を満たす場合には、原動機40で発生する音及び振動の低減、並びに原動機40での燃料消費の抑制を図ることができる。
【0069】
本実施形態では、駆動制限は、原動機40の回転数を低下させる処理を含む。つまり、制限処理部14は、駆動制限の一態様として、原動機40の回転数を自動的に制御するデセル(decelerator)処理を実行する。例えば、作業部33等が作動されておらず、原動機40の出力を必要としない状態が一定時間続く場合、制限処理部14は、原動機制御部49に対して制御信号を出力し、原動機40の回転数を低下させる。つまり、制限処理部14は、オートデセル機能を有しており、必要に応じて、原動機40の回転数を自動的に制御する。
【0070】
具体的に、制限処理部14は、駆動制限としてのオートデセル機能を発動することで、原動機40の回転数を所定値よりも低いローアイドル回転数へと切り替える。一方、駆動制限としてのオートデセル機能が解除されると、制限処理部14は、原動機40の回転数を所定値よりも高いハイアイドル回転数(>ローアイドル回転数)へと切り替える。すなわち、制限処理部14は、駆動制限の実行時に原動機40の回転数を所定値よりも低く制御し、駆動制限の非実行時に原動機40の回転数を所定値よりも高く制御することが可能である。このように、駆動制限により原動機40の回転数を低く抑えることで、原動機40で発生する音及び振動の低減、並びに原動機40での燃料消費の抑制を図りつつも、原動機40の再始動によるタイムラグの発生を抑制できる。
【0071】
また、本実施形態では、駆動制限は、原動機40を停止させる処理を更に含む。つまり、制限処理部14は、駆動制限の一態様として、原動機40を停止させ、原動機40の回転数を0(ゼロ)にする処理を実行する。例えば、作業部33等が作動されておらず、原動機40の出力を必要としない状態が一定時間続く場合、制限処理部14は、原動機制御部49に対して制御信号を出力し、制限処理部14にて再始動可能な態様で原動機40を停止させる。つまり、制限処理部14は、アイドリングストップ機能を有しており、必要に応じて、原動機40を一時的に(制限処理部14にて再始動可能な態様で)停止させる。
【0072】
具体的に、制限処理部14は、駆動制限としてのアイドリングストップ機能を発動することで、原動機40を一時的に(つまり制限処理部14にて再始動可能な態様で)停止させる。一方、駆動制限としてのアイドリングストップ機能が解除されると、制限処理部14は、原動機40を再始動する。すなわち、制限処理部14は、駆動制限の実行中においては、原動機40を一時的に停止させることが可能である。このように、駆動制限により原動機40を停止させることで、原動機40で発生する音及び振動の更なる低減、並びに原動機40での燃料消費の更なる抑制を図ることができる。
【0073】
制限処理部14は、制限条件を満たすか否かを判定し、制限条件を満たす場合に、原動機40の駆動制限を行う。そのため、基本的には、制限条件を満たさなければ、制限処理部14は、原動機40の駆動制限を行わない。ただし、駆動制限が一旦開始されると、後述する解除処理部15により駆動制限が解除されない限り、駆動制限は継続する。そのため、例えば、制限条件を満たすことによって駆動制限が開始された後、制限条件を満たさなくなったとしても、解除処理部15により駆動制限が解除されるまでの間は、制限処理部14は、制限条件を満たさないにもかかわらず駆動制限を行う(維持する)ことになる。制限条件等について詳しくは「[3]作業機械の制御方法」の欄で説明する。
【0074】
解除処理部15は、解除条件を満たすことにより、駆動制限を解除する解除処理を実行する。本開示でいう「解除条件」は、駆動制限を解除するための条件であって、少なくとも、制限条件を満たさないこと、及び、作業機械3の周囲の監視エリアA1における検知対象物Ob1を検知する検知部12の検知結果が特定条件を満たすこと、を含む。要するに、駆動制限を開始するための条件である制限条件を満たさないことに加えて、プラスアルファの条件(検知部12の検知結果が特定条件を満たすこと等)を満たして初めて、解除条件を満たし、駆動制限が解除されることになる。そして、駆動制限が一旦開始されると、解除条件を満たして解除処理部15が駆動制限を解除するまでは、駆動制限は継続する。
【0075】
解除処理部15は、制限処理部14が原動機40の駆動制限を実行中に、解除条件を満たすか否かを判定し、解除条件を満たす場合に、制限処理部14に原動機40の駆動制限を終了させる。具体的に、制限処理部14が、駆動制限としてのオートデセル機能を発動し、原動機40の回転数をローアイドル回転数に制限している状態で、解除条件を満たすと、解除処理部15は、制限処理部14にオートデセル機能を解除させる。これにより、制限処理部14は、原動機40の回転数をハイアイドル回転数へと切り替える。また、制限処理部14が、駆動制限としてのアイドリングストップ機能を発動し、原動機40を停止させている状態で、解除条件を満たすと、解除処理部15は、制限処理部14にアイドリングストップ機能を解除させる。これにより、制限処理部14は、原動機40を再始動する。解除条件等について詳しくは「[3]作業機械の制御方法」の欄で説明する。
【0076】
ところで、検知部12は、制御システム1に必須の構成ではない。例えば、制御システム1は、外部の検知部の検知結果を取得し、当該検知結果に基づいて解除処理部15が解除条件を満たすか否かを判定するように構成されていてもよい。
【0077】
[3]作業機械の制御方法
以下、
図5~
図7を参照しつつ、主として制御システム1によって実行される作業機械3の制御方法(以下、単に「制御方法」という)の一例について説明する。
【0078】
本実施形態に係る制御方法は、コンピュータシステムを主構成とする制御システム1にて実行されるので、言い換えれば、作業機械用制御プログラム(以下、単に「制御プログラム」という)にて具現化される。つまり、本実施形態に係る制御プログラムは、制御方法に係る各処理を1以上のプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムである。このような制御プログラムは、例えば、制御システム1及び表示装置2によって協働して実行されてもよい。
【0079】
ここで、制御システム1は、制御プログラムを実行させるための予め設定された特定の開始操作が行われた場合に、制御方法に係る下記の各種処理を実行する。開始操作は、例えば、作業機械3の原動機40の起動操作(イグニッションオン)等である。一方、制御システム1は、予め設定された特定の終了操作が行われた場合に、制御方法に係る下記の各種処理を終了する。終了操作は、例えば、作業機械3の原動機40の停止操作(イグニッションオフ)等である。
【0080】
[3.1]制限条件及び解除条件
ここではまず、本実施形態に係る制御方法、つまり本実施形態に係る制御システム1の動作で用いられる制限条件、及び解除条件について説明する。
【0081】
制限条件は、原動機40の駆動制限を実行するための条件である。制御システム1の制限処理部14は、制限条件を満たす場合に、原動機40の回転数を低下させる、又は原動機40を停止させる等の、駆動制限を行う。
【0082】
本実施形態では、制限条件は、作業機械3の操作に関する条件を含む。すなわち、オペレータによる作業機械3の操作に関する条件(「操作関連条件」ともいう)が、制限条件に含まれている。そのため、オペレータによる作業機械3の操作状況が、制限条件を満たすか否か、つまり原動機40の駆動制限を行うか否かに反映される。したがって、例えば、作業部33等が作動されておらず、原動機40の出力を必要としないような状況では、そのときのオペレータによる作業機械3の操作状況により制限条件を満たすことで、原動機40の駆動制限を行うことが可能である。つまり、オペレータの意思によって、原動機40の駆動制限を行うか否かを決定することが可能となる。
【0083】
ここで、制限条件に含まれる作業機械3の操作に関する条件(操作関連条件)は、作業機械3の操作装置35が規定時間、操作されていないことを含む。具体的には、操作装置35が操作レバーを含む場合、操作レバーをユーザ(オペレータ)が操作しておらず、操作レバーが中立位置(ニュートラルポジション)にある状態を、操作装置35が操作されていない状態とする。操作装置35が操作されていない状態では、作業機械3は待機状態にあって、機体30の各部(走行部31、旋回部32及び作業部33)は動作しない。したがって、作業機械3の待機状態が規定時間以上継続しているような、原動機40の出力を必要としない状況において、制限条件を満たすことになり、原動機40の駆動制限を行うことが可能である。つまり、原動機40の出力を必要としない状況が規定時間以上続いている場合には、作業機械3をすぐに動作させる必要性が低いため、このような場合に、駆動制限を行うことで、原動機40で発生する音及び振動の低減、並びに原動機40での燃料消費の抑制を図ることができる。
【0084】
さらに、本実施形態では、上述したように、制限処理部14は、駆動制限としてのオートデセル機能と、駆動制限としてのアイドリングストップ機能と、を有している。そのため、制限条件は、オートデセル機能を発動させるためのオートデセル条件と、アイドリングストップ機能を発動させるためのアイドリングストップ条件と、を含む。オートデセル条件を満たす場合には、制限処理部14は、駆動制限としてのオートデセル機能を発動することで、原動機40の回転数を所定値よりも低いローアイドル回転数へと切り替える。一方、アイドリング条件を満たす場合には、制限処理部14は、駆動制限としてのアイドリングストップ機能を発動することで、原動機40を一時的に停止させる。
【0085】
ここで、オートデセル条件とアイドリングストップ条件との両方を満たす場合には、制限処理部14は、駆動制限として、アイドリングストップ機能を優先的に発動し、原動機40を一時的に停止させる。このように、制限条件は、複数種類の条件を有しており、いずれの条件を満たすかによって、制限処理部14が行う駆動制限の態様が異なることになる。
【0086】
本実施形態では一例として、オートデセル条件は、操作装置35の操作レバーが中立位置(ニュートラルポジション)にある状態が、第1規定時間(例えば「4秒」)継続することとする。つまり、第1規定時間(例えば「4秒」)にわたって、操作レバーが操作されていなければ、オートデセル条件を満たすことになり、制限処理部14は、駆動制限としてのオートデセル機能を発動する。
【0087】
また、本実施形態では一例として、アイドリングストップ条件は、カットオフレバー463が「上げ位置」にあり、かつ、操作装置35の操作レバーが中立位置(ニュートラルポジション)にある状態が、第1規定時間よりも長い第2規定時間(>第1規定時間)継続することとする。つまり、カットオフレバー463が作業機械3を操作できない状態とするときの「ロック状態」にあり、かつ、第2規定時間(例えば「10秒」)にわたって、操作レバーが操作されていなければ、アイドリングストップ条件を満たすことになり、制限処理部14は、駆動制限としてのアイドリングストップ機能を発動する。
【0088】
このように、制限処理部14は、制限条件を満たすか否かを、少なくともユーザによる操作装置35の操作状態に基づいて判定する。基本的には、制限処理部14は、操作レバーが中立位置にあれば、操作装置35が操作されていないと判定し、操作レバーが中立位置以外の位置にあれば、操作装置35が操作されていると判定する。制限処理部14は、一例として、取得処理部11が圧力センサ47から取得する圧力検出信号に基づいて、操作装置35(操作レバー)の操作状態を判断する。ただし、これに限らず、例えば、操作装置35を用いたユーザ(オペレータ)の操作内容を検出するための操作圧センサが操作装置35に付設されている場合、制限処理部14は、操作圧センサの検出値に基づいて、操作装置35の操作状態を判断してもよい。
【0089】
さらに、操作装置35の操作が中止されてから一定時間(例えば数秒)が経過するまでの期間は、待機状態(操作装置35が操作されていない状態)から除外されてもよい。つまり、操作装置35の操作中止後に一定時間が経過するまでは、操作装置35が操作されていない状態であったとしても、制限処理部14は、操作装置35が操作されていないとは判断しないようにしてもよい。あるいは、制限処理部14は、例えば、操作レバーの中立位置からの移動角度等、操作装置35の操作量に応じて、操作装置35が操作されているか否かを判断してもよい。この場合、制限処理部14は、操作装置35の操作量が閾値未満であれば操作装置35が操作されていない状態にあると判断し、操作装置35の操作量が閾値以上であれば操作装置35が操作されていると判断することが好ましい。
【0090】
また、制限処理部14は、少なくともカットオフスイッチ462からの入力信号に基づいて、カットオフレバー463が「上げ位置」か「下げ位置」かを判定する。本実施形態では一例として、カットオフスイッチ462がオフであれば、制限処理部14は、カットオフレバー463が「上げ位置」にあると判断する。一方、カットオフスイッチ462がオンであれば、制限処理部14は、カットオフレバー463が「下げ位置」にあると判断する。
【0091】
一方、解除条件は、原動機40の駆動制限を解除するための条件である。解除条件は、少なくとも、制限条件を満たさないこと、及び、監視エリアA1における検知対象物Ob1(本実施形態では「人」)を検知する検知部12の検知結果が特定条件を満たすこと、を含んでいる。制御システム1の解除処理部15は、解除条件を満たす場合に、制限処理部14による原動機40の回転数を低下させる、又は原動機40を停止させる等の、駆動制限を解除する。
【0092】
本実施形態では、特定条件は、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在しないことを含む。すなわち、取得処理部11が取得する検知部12の検知結果が、作業機械3の周囲の監視エリアA1に検知対象物Ob1(本実施形態では「人」)が存在しないことを示す場合に、当該検知結果は特定条件を満たすことになる。制限条件を満たさないことに加えて、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在しない場合に、解除条件を満たすことになり、原動機40の駆動制限を解除することが可能である。つまり、制限処理部14が原動機40の駆動制限を実行中に、たとえ制限条件を満たさなくなったとしても、そのとき監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在している場合には、解除条件を満たさないため、原動機40の駆動制限は解除されない。
【0093】
一例として、操作装置35の操作レバーが中立位置(ニュートラルポジション)にある状態が、第1規定時間(例えば「4秒」)継続し、制限条件としてのオートデセル条件を満たし、制限処理部14が、原動機40の駆動制限を行った直後に、操作装置35の操作レバーが操作された場合を想定する。この場合において、操作装置35の操作レバーが操作された時点で、制限条件(オートデセル条件)は満たさなくなるものの、このとき、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在すれば、解除条件を満たさないため、制限処理部14は、原動機40の駆動制限(オートデセル機能)を継続する。一方、この場合において、操作装置35の操作レバーが操作された時点で、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在しなければ、解除条件を満たすことになるため、解除処理部15は、制限処理部14による原動機40の駆動制限(オートデセル機能)を解除する。
【0094】
これにより、監視エリアA1に検知対象物Ob1としての人が存在する状況であれば、例えば、オートデセル機能によって原動機40の駆動制限がなされている状態から、駆動制限が解除されて原動機40の回転数が急上昇することを回避できる。その結果、監視エリアA1にいる人(検知対象物Ob1)の近くで、作業機械3の動作速度が急上昇するような事態を阻止しやすくなる。
【0095】
ところで、規定時間(第1規定時間及び第2規定時間)は、一定長さの時間に限らず、例えば、検知部12の検知結果に応じて長さが変化する時間であってもよい。この場合、検知部12が検知対象物Ob1を検知している状態では、検知部12が検知対象物Ob1を検知していない状態に比べて規定時間が短くなることが好ましい。
【0096】
すなわち、監視エリアA1に検知対象物Ob1(本実施形態では「人」)が存在する場合、制限条件における規定時間(第1規定時間及び第2規定時間)は、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在しない場合に比べて、相対的に短くなる。一例として、オートデセル条件における第1規定時間は、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在する場合に「4秒」であるのに対し、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在する場合には「3秒」となる。この構成によれば、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在する場合、駆動制限をより迅速に行うことで、検知対象物Ob1への配慮が可能となる。
【0097】
また、解除条件は、警報が無効化されていないことを更に含む。すなわち、本実施形態では、作業機械3の操作に従って警報を無効化することが可能であるところ、このような警報の無効化の操作がされていないことを解除条件に含む。そのため、例えばユーザ(オペレータ)による操作部22の操作等により警報が無効化されている場合には、たとえ制限条件を満たさず、かつ検知部12の検知結果が特定条件を満たすとしても、解除条件を満たさないことになり、制限処理部14は、原動機40の駆動制限を継続する。
【0098】
これにより、例えば、ユーザ(オペレータ)が意図的に警報を無効化しているような場合には、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在するか否かによらず、原動機40の駆動制限は継続する。そのため、警報が無効化されている場合には、駆動制限が解除されて原動機40の回転数が急上昇することをより確実に回避できる。その結果、監視エリアA1に人(検知対象物Ob1)がいる状態で、作業機械3の動作速度が急上昇するような事態を阻止しやすくなる。
【0099】
以上説明したように、原動機40の駆動制限を解除するための解除条件は、少なくとも、制限条件を満たさないことに加えて、検知部12の検知結果が特定条件を満たすこと、を含んでいる。したがって、監視エリアA1に検知対象物Ob1としての人が存在する状況において、例えば、オートデセル機能によって原動機40の駆動制限がなされている状態から、駆動制限が解除されて原動機40の回転数が急上昇することを回避できる。その結果、監視エリアA1にいる人(検知対象物Ob1)の近くで、作業機械3の動作速度が急上昇するような事態を阻止しやすくなる。よって、監視エリアA1に存在する検知対象物Ob1に対してより配慮した、作業機械3の制御方法を提供できる。
【0100】
一方、原動機40の駆動制限を実行するための制限条件は、検知部12の検知結果に関する条件を含まない。したがって、原動機40の駆動制限を実行するための制限条件は、原動機40の解除制限を実行するための解除条件よりも緩くなる。そして、比較的緩い制限条件を満たす場合に、原動機40で発生する音及び振動の低減、並びに原動機40での燃料消費の抑制を図ることができる。
【0101】
[3.2]具体例
次に、本実施形態に係る制御方法を用いた具体的な制御例について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0102】
図5及び
図6の各々は、横軸を時間軸とし、上段から順に、カットオフレバー463の操作状態、操作装置35(操作レバー)の操作量、検知部12の検知結果、原動機40の回転数を示すタイミングチャートである。操作装置35の操作量の「0」は、操作レバーが中立位置(ニュートラルポジション)にあることを意味する。
【0103】
まず、
図5の例では、カットオフレバー463の操作状態は、常に「下げ位置」(ロック解除状態)にある。この場合において、時点t1にて操作装置35が操作されなくなってから第1規定時間が経過した時点t2で、制限処理部14は、オートデセル条件(制限条件)を満たすと判断する。そのため、制限処理部14は、時点t2において、駆動制限としてのオートデセル機能により、原動機40の回転数をハイアイドル回転数V2からローアイドル回転数V1へと低下させる。
【0104】
その後の時点t3で、監視エリアA1に人(検知対象物Ob1)が進入したことを受けて検知部12の検知結果が「不在」から「在」に切り替わっている。そのため、時点t4で操作装置35が操作されることで制限条件(オートデセル条件)を満たさなくなっても、その時点t4では、解除条件を満たさないため、駆動制限は解除されない。その後、監視エリアA1から人(検知対象物Ob1)が退出したことを受けて検知部12の検知結果が「在」から「不在」に切り替わった時点t5で、制限処理部14は、解除条件を満たすと判断する。そのため、制限処理部14は、時点t5において、駆動制限としてのオートデセル機能を解除し、原動機40の回転数をローアイドル回転数V1からハイアイドル回転数V2へと切り替える。
【0105】
図6の例では、カットオフレバー463は、時点t2で「下げ位置」(ロック解除状態)から「上げ位置」(ロック状態)に操作され、時点t6で「上げ位置」から「下げ位置」に操作されている。この場合において、時点t1にて操作装置35が操作されなくなってから第1規定時間が経過した時点t3で、制限処理部14は、オートデセル条件(制限条件)を満たすと判断する。そのため、制限処理部14は、時点t3において、駆動制限としてのオートデセル機能により、原動機40の回転数をハイアイドル回転数V2からローアイドル回転数V1へと低下させる。
【0106】
そして、その後の時点t4では、時点t1にて操作装置35が操作されなくなってから第2規定時間が経過しており、かつ、、カットオフレバー463が「上げ位置」(ロック状態)にあることから、制限処理部14は、アイドリングストップ条件(制限条件)を満たすと判断する。そのため、制限処理部14は、時点t4において、駆動制限としてのアイドリングストップ機能により、原動機40を停止させる。
【0107】
その後の時点t5で、監視エリアA1に人(検知対象物Ob1)が進入したことを受けて検知部12の検知結果が「不在」から「在」に切り替わっている。そのため、時点t7で操作装置35が操作されることで制限条件(アイドリングストップ条件)を満たさなくなっても、その時点t7では、解除条件を満たさないため、駆動制限は解除されない。その後、監視エリアA1から人(検知対象物Ob1)が退出したことを受けて検知部12の検知結果が「在」から「不在」に切り替わった時点t8で、制限処理部14は、解除条件を満たすと判断する。そのため、制限処理部14は、時点t8において、駆動制限としてのアイドリングストップ機能を解除し、原動機40を停止状態から再始動する。
【0108】
[3.3]フローチャート
次に、本実施形態に係る制御方法の主要な処理の流れについて、
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0109】
前提として、作業機械3の原動機40の起動操作(イグニッションオン)がされた時点で、制御システム1は、ステップS1以降の処理を開始し、以降、ステップS1~S7の処理を繰り返し実行する。
【0110】
ステップS1では、制御システム1の制限処理部14は、制限条件としてのアイドリングストップ条件を満たすか否かの判定を行う。本実施形態では、カットオフレバー463が「上げ位置」にあり、かつ、操作装置35の操作レバーが中立位置(ニュートラルポジション)にある状態が第2規定時間継続すると、制限処理部14は、アイドリングストップ条件を満たすと判断し(S1:Yes)、処理をステップS2に移行させる。ステップS2では、制限処理部14は、駆動制限としてのアイドリングストップ機能を発動することで、原動機40を一時的に停止させる。
【0111】
一方、カットオフレバー463が「下げ位置」にあるか、操作装置35の操作レバーが中立位置にある状態が第2規定時間継続していない場合、制限処理部14は、アイドリングストップ条件を満たさないと判断し(S1:No)、ステップS2をスキップして処理をステップS3に移行させる。
【0112】
ステップS3では、制御システム1の制限処理部14は、制限条件としてのオートデセル条件を満たすか否かの判定を行う。本実施形態では、操作装置35の操作レバーが中立位置(ニュートラルポジション)にある状態が第1規定時間継続すると、制限処理部14は、オートデセル条件を満たすと判断し(S3:Yes)、処理をステップS4に移行させる。ステップS4では、制限処理部14は、駆動制限としてのオートデセル機能を発動することで、原動機40の回転数をローアイドル回転数へと低下させる。ただし、このとき、既にアイドリングストップ機能により原動機40を一時的に停止している(S2)場合には、原動機40は停止したままであってその回転数は変わらない。
【0113】
一方、操作装置35の操作レバーが中立位置にある状態が第1規定時間継続していない場合、制限処理部14は、オートデセル条件を満たさないと判断し(S3:No)、ステップS4をスキップして処理をステップS5に移行させる。
【0114】
ステップS5では、制御システム1の解除処理部15は、制限条件(アイドリングストップ条件及びオートデセル条件)を解消しているか否かの判定を行う。すなわち、カットオフレバー463が「下げ位置」に操作されるか、操作装置35の操作レバーが中立位置から操作されることで、解除処理部15は、制限条件を満たさなくなったと判断し(S5:Yes)、処理をステップS6に移行させる。一方、解除処理部15は、制限条件が解消していないと判断すると(S5:No)、ステップS6,S7をスキップして一連の処理を終了する。
【0115】
ステップS6では、制御システム1の解除処理部15は、検知部12の検知結果が特定条件を満たすか否かの判定を行う。このとき、監視エリアA1に検知対象物Ob1(ここでは「人」)が存在しなければ(S6:No)、解除処理部15は、検知結果が特定条件を満たすと判定し、処理をステップS7に移行させる。ステップS7では、解除処理部15は、駆動制限を解除し、原動機40の回転数をハイアイドル回転数とする。
【0116】
一方、監視エリアA1に検知対象物Ob1(ここでは「人」)が存在すると(S6:Yes)、解除処理部15は、検知結果が特定条件を満たさないと判定し、ステップS7をスキップして一連の処理を終了する。
【0117】
制御システム1は、上記ステップS1~S7の処理を繰り返し実行する。ただし、
図7に示すフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0118】
以上説明したように、本実施形態に係る制御方法は、制限条件を満たすと(S1:Yes又はS3:Yes)、作業機械3の原動機40の駆動制限を行う(S2又はS4)。さらに、当該制御方法は、制限条件を満たさないこと(S5:Yes)、及び、作業機械3の周囲の監視エリアA1における検知対象物Ob1を検知する検知部12の検知結果が特定条件を満たすこと(S6:No)、を含む解除条件を満たすと、駆動制限を解除する(S7)。
【0119】
この構成によれば、駆動制限を開始するための条件である制限条件を満たさないことに加えて、プラスアルファの条件(検知部12の検知結果が特定条件を満たすこと)を満たして初めて、解除条件を満たし、駆動制限が解除されることになる。そして、駆動制限が一旦開始されると、解除条件を満たして解除処理部15が駆動制限を解除するまでは、駆動制限は継続する。したがって、例えば、監視エリアA1に検知対象物Ob1としての人が存在する状況においては、オートデセル機能によって原動機40の駆動制限がなされている状態から、駆動制限が解除されて原動機40の回転数が急上昇することを抑制できる。結果的に、監視エリアA1にいる人(検知対象物Ob1)の近くで、作業機械3の動作速度が急上昇しにくくなり、監視エリアA1に存在する検知対象物Ob1に対してより配慮した、作業機械3の制御方法、作業機械用制御プログラム、作業機械用制御システム1及び作業機械3を提供することができる。
【0120】
[4]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0121】
本開示における制御システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御システム1に含まれる一部又は全部の機能部は電子回路で構成されていてもよい。
【0122】
また、制御システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは制御システム1に必須の構成ではなく、制御システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。反対に、実施形態1において、複数の装置(例えば制御システム1及び表示装置2)に分散されている機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。さらに、制御システム1の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0123】
また、作業機械3の動力源となる原動機40は、ディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)に限らず、例えば、電気エネルギーを機械力に変換する電動モータ(電動機)であってもよい。この場合、駆動制限により、原動機40の回転数を低下させる(ローアイドル回転数とする)ことに代えて、原動機40を停止させてもよい。これにより、待機状態における電動モータでの電力消費を抑制することが可能である。
【0124】
また、制御システム1は、警報処理部13に加えて又は代えて、作業機械3の動作を直接的に牽制する牽制処理部を備えていてもよい。牽制処理部は、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在する場合に、作業機械3の動作を制限することで、作業機械3の動作を直接的に牽制する。例えば、牽制処理部は、作業機械3の走行部31、旋回部32及び作業部33等を制御することで、作業機械3の動作を直接的に制限する処理を含む。一例として、牽制処理部は、走行部31の走行動作を禁止する(走行動作不能とする)処理、旋回部32の旋回動作を禁止する(旋回動作不能とする)処理、及び作業部33の動作を禁止する(作業不能とする)処理等を実行する。これにより、ユーザU1(オペレータ)の操作によらずに、作業機械3の動作を強制的に制限することができる。つまり、作業機械3が動作することによる機体30と検知対象物Ob1との接触を回避できる。具体的に、牽制処理部は、制御弁461を制御し、制御弁461を閉じることによって、走行部31の油圧モータ43、旋回部32の油圧モータ、及び作業部33の油圧シリンダ44等の個々の駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を制限する。
【0125】
また、操作装置35の操作レバーは、電気式の操作デバイスであって、ユーザ(オペレータ)の操作に応じた電気信号(操作信号)を制御システム1に出力することにより、ユーザによる各種の操作を受け付ける構成であってもよい。この場合、制御システム1は、例えば、リモコン弁45に代えて設けられる制御弁(電磁弁)を、操作装置35(操作レバー)の操作に応じて制御することで、油圧アクチュエータを制御することができる。
【0126】
また、駆動制限が、オートデセル機能とアイドリングストップ機能との2つの態様を含むことは必須でなく、オートデセル機能とアイドリングストップ機能とのいずれかの態様のみを含んでもよい。
【0127】
また、検知部12の検知結果に課される特定条件は、監視エリアA1に検知対象物Ob1が存在しないことに限らない。つまり、特定条件は、例えば、監視エリアA1に存在する検知対象物Ob1としての人が、自ら作業機械3を遠隔操作して駆動制限を解除する等により、駆動制限が解除されることを認識していること等であってもよい。
【0128】
また、解除条件は、警報が無効化されていないことを含まなくてもよい。この場合、制限条件を満たさず、かつ検知部12の検知結果が特定条件を満たしていれば、警報の無効/有効によらず、解除条件を満たすことになる。
【0129】
また、検知部12が検知対象物Ob1を検知している状態で、検知部12が検知対象物Ob1を検知していない状態に比べて規定時間が短くなることは必須ではない。つまり、制限条件における規定時間(第1規定時間及び第2規定時間)は一定長さの時間であってもよい。
【0130】
また、表示装置2は、専用のデバイスに限らず、例えば、ラップトップコンピュータ、タブレット端末又はスマートフォン等の汎用端末であってもよい。さらに、表示部23は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのように、表示画面を直接的に表示する態様に限らず、例えば、プロジェクタのように、投影により表示画面を表示する構成であってもよい。
【0131】
また、操作部22の情報の入力の態様として、押釦スイッチ、タッチパネル及び操作ダイヤル以外の態様を採用してもよい。例えば、操作部22は、キーボード、マウス等のポインティングディバイス、音声入力、ジェスチャ入力又は他の端末からの操作信号の入力等の態様を採用してもよい。
【0132】
また、警報処理部13における警報の出力(情報提示)態様は、表示装置2の表示部23への表示、及び音出力部36からの警報音の出力に限らない。例えば、警報処理部13は、表示装置2の表示部23への表示と、音出力部36からの警報音と、のいずれか一方のみにより警報を出力してもよいし、その他、振動(バイブレーション機能)、他端末への送信若しくは非一時的記録媒体への書き込み等の手段、又はこれらの組み合わせにより警報を出力してもよい。
【0133】
また、機体30の周囲の監視エリアA1における検知対象物Ob1を検知するためのセンサは、左方カメラ341、右方カメラ342及び後方カメラ343に限らず、1つ、2つ又は4つ以上のカメラ(イメージセンサ)を含んでもよい。さらに、例えば、全天球カメラ(360度カメラ)のように作業機械3から見て全方位を撮像可能なカメラにて、監視エリアA1における検知対象物Ob1を検知してもよい。また、監視エリアA1における検知対象物Ob1を検知するためのセンサは、カメラに加えて又は代えて、たとえば、人感センサ、ソナーセンサ、レーダ又はLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含んでもよい。ここで、監視エリアA1における検知対象物Ob1を検知するセンサは、光又は音が測距点に到達して戻るまでの往復時間に基づいて測距点までの距離を測定するTOF(Time Of Flight)方式により、検知対象物Ob1までの距離を測定する3次元センサであってもよい。
【0134】
また、検知対象物Ob1は、「人」に加えて又は代えて、車両等の移動体(他の作業機械を含む)、壁及び柱等の構造物、植物、動物、段差、溝、若しくはその他の障害物を含んでいてもよい。
【0135】
また、機体30の各部のアクチュエータは、油圧アクチュエータに限らず、例えば、圧縮空気等の空気圧によって駆動される空圧アクチュエータ、若しくは、電力供給によって駆動される電動アクチュエータ、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0136】
(実施形態2)
本実施形態に係る作業機械3は、
図8に示すように、操作装置35がアクセル調節部351を有する点で、実施形態1に係る作業機械3と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0137】
図8では、
図2と同様に、本実施形態に係る作業機械3の油圧回路及び電気回路(電気的な接続関係)を模式的に示す。
図8では、実線が高圧の(作動油用の)油路、点線が低圧の(パイロット油用の)油路、一点鎖線の矢印が電気信号の経路を示す。
【0138】
アクセル調節部351は、原動機40の目標回転数を調節するための操作をオペレータから受け付ける操作デバイスであって、例えば、アクセルダイヤル、アクセルレバー又はアクセルペダル等である。アクセル調節部351は、制御システム1に接続されている。制御システム1は、アクセル調節部351で調節された目標回転数で原動機40を駆動するように、原動機制御部49に対して制御信号を出力し、原動機40の回転数を目標回転数に制御する。
【0139】
ここで、アクセル調節部351では、目標回転数として、所定回転数以下であるローアイドル作業用の回転数(ローアイドル作業回転数)を指定可能である。制御システム1の制限処理部14は、アクセル調節部351でローアイドル作業回転数が指定されると、原動機制御部49に対して制御信号を出力し、原動機40の回転数をローアイドル作業回転数まで低下させる。ここで、ローアイドル作業回転数は、オートデセル機能におけるローアイドル回転数と同回転数であってもよいし、ローアイドル回転数よりも高い回転数、又は低い回転数であってもよい。つまり、本実施形態では、制限処理部14は、駆動制限の一態様として、原動機40の回転数をローアイドル作業回転数まで低下させる処理を実行する。
【0140】
このように、本実施形態では、制限条件に含まれる作業機械3の操作に関する条件(操作関連条件)は、作業機械3の操作装置35(アクセル調節部351)が、原動機40の目標回転数を所定回転数以下に設定するように操作されることを含む。要するに、アクセル調節部351でローアイドル作業回転数が指定されると、制限処理部14は、制限条件を満たすと判断し、駆動制限としてのローアイドル作業機能を発動することで、原動機40の目標回転数を所定回転数以下のローアイドル作業回転数へと切り替える。
【0141】
一方、アクセル調節部351が操作されて所定回転数より高い目標回転数が指定されると、制限条件を満たさないと判断される。そのため、この状態で、検知部12の検知結果が特定条件を満たす場合には、解除処理部15は、解除条件を満たすと判断し、原動機40の目標回転数を所定回転数より高い回転数へと切り替える。
【0142】
本実施形態の構成によれば、オペレータによる操作装置35(アクセル調節部351)の操作に応じて、規定時間の経過を待たずとも駆動制限を行うことができる。したがって、オペレータの意図するタイミングにおいて、駆動制限により原動機40の回転数を低く抑えることで、原動機40で発生する音及び振動の低減、並びに原動機40での燃料消費の抑制を図ることができる。
【0143】
実施形態2においても、駆動制限は、ローアイドル作業機能に加えて、オートデセル機能とアイドリングストップ機能との少なくとも一方の態様を含んでいてもよい。実施形態2に係る構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0144】
〔発明の付記〕
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0145】
<付記1>
制限条件を満たすと、作業機械の原動機の駆動制限を行うことと、
前記制限条件を満たさないこと、及び、前記作業機械の周囲の監視エリアにおける検知対象物を検知する検知部の検知結果が特定条件を満たすこと、を含む解除条件を満たすと、前記駆動制限を解除することと、を有する、
作業機械の制御方法。
【0146】
<付記2>
前記駆動制限は、前記原動機の回転数を低下させる処理を含む、
付記1に記載の作業機械の制御方法。
【0147】
<付記3>
前記駆動制限は、前記原動機を停止させる処理を含む、
付記1又は2に記載の作業機械の制御方法。
【0148】
<付記4>
前記制限条件は、前記作業機械の操作に関する条件を含む、
付記1~3のいずれかに記載の作業機械の制御方法。
【0149】
<付記5>
前記制限条件に含まれる前記作業機械の操作に関する条件は、前記作業機械の操作装置が規定時間、操作されていないことを含む、
付記4に記載の作業機械の制御方法。
【0150】
<付記6>
前記検知部が前記検知対象物を検知している状態では、前記検知部が前記検知対象物を検知していない状態に比べて前記規定時間が短くなる、
付記5に記載の作業機械の制御方法。
【0151】
<付記7>
前記制限条件に含まれる前記作業機械の操作に関する条件は、前記作業機械の操作装置が、前記原動機の目標回転数を所定回転数以下に設定するように操作されることを含む、
付記4~6のいずれかに記載の作業機械の制御方法。
【0152】
<付記8>
前記特定条件は、前記監視エリアに前記検知対象物が存在しないことを含む、
付記1~7のいずれかに記載の作業機械の制御方法。
【0153】
<付記9>
前記監視エリアに前記検知対象物が存在する場合に警報を出力することを更に有する、
付記1~8のいずれかに記載の作業機械の制御方法。
【0154】
<付記10>
前記作業機械の操作に従って前記警報を無効化することを更に有する、
付記9に記載の作業機械の制御方法。
【0155】
<付記11>
前記解除条件は、前記警報が無効化されていないことを更に含む、
付記10に記載の作業機械の制御方法。
【0156】
<付記12>
前記制限条件は、前記検知部の検知結果に関する条件を含まない、
付記1~11のいずれかに記載の作業機械の制御方法。
【0157】
<付記13>
付記1~12のいずれかに記載の作業機械の制御方法を、
1以上のプロセッサに実行させるための作業機械用制御プログラム。
【符号の説明】
【0158】
1 作業機械用制御システム
3 作業機械
12 検知部
14 制限処理部
15 解除処理部
30 機体
40 原動機
35 操作装置
40 エンジン
351 アクセル調節部(操作装置)
A1 監視エリア
Ob1 検知対象物