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  • 特開-コネクタケーシング 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154961
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】コネクタケーシング
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20241024BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
H01R13/52 D
B60R16/02 610B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069221
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】隈部 明信
(72)【発明者】
【氏名】水野 健一
(72)【発明者】
【氏名】小林 和真
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087LL04
5E087LL17
5E087QQ04
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】 ケーシングが被水した場合には、コネクタと貫通穴の内周面との隙間から当該水がケーシング内に進入してしまうことを抑制可能なコネクタケーシングの一例を開示する。
【解決手段】 コネクタケーシング1では、貫通穴2Bの上方側に壁部2Aからケーシング2の外側に向けて突出した第1庇部4A、4Bが設けられている。そして、第1庇部4A、4Bの左端4Eと右端4Fとの間には、左端4E及び右端4Fより高い位置にある頂部4Gが存在しているとともに、頂部4Gから左端4Eに向かうほど漸次低くなり、かつ、頂部4Gから右端4Fに向かうほど漸次低くなっている。これにより、水が第1庇部4A、4Bを伝って流れるので、当該水がコネクタ3側に流れることが阻止され得る。したがって、ケーシング2が被水した場合であっても、コネクタ3と貫通穴2Bの内周面との隙間から当該水がケーシング2内に進入してしまうことが抑制され得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的な接続を行うためのコネクタを収納するケーシングであって、当該コネクタが貫通可能な貫通穴を有するケーシングと、
前記貫通穴が設けられた前記ケーシングの壁部のうち、少なくとも当該貫通穴の上方側に設けられた庇部であって、前記壁部から前記ケーシングの外側に向けて突出した庇部とを備え、
前記庇部の水平方向一端と当該水平方向他端との間には、当該一端及び他端より高い位置にある頂部が存在し、
さらに、前記庇部は、前記頂部から前記一端に向かうほど漸次低くなり、かつ、前記頂部から前記他端に向かうほど漸次低くなっているコネクタケーシング。
【請求項2】
前記庇部は、
前記頂部から前記一端まで直線状に構成され、かつ、
前記頂部から前記他端まで直線状に構成されている請求項1に記載のコネクタケーシング。
【請求項3】
前記一端及び前記他端のうち少なくとも一方の端部には、当該端部から更に下方に延びる第2の庇部が設けられおり、
前記第2の庇部は、前記壁部から前記ケーシングの外側に向けて突出し、かつ、当該第2の庇部の下端は、水平方向において、前記一方の端部より他方の端部側にずれている請求項1又は2に記載のコネクタケーシング。
【請求項4】
前記庇部の先端は、前記ケーシングに収納された状態の前記コネクタの先端より前記壁部側にずれている請求項1又は2に記載のコネクタケーシング。
【請求項5】
前記庇部の上面は、水平面又は前記壁部に近づくほど低くなる傾斜面にて構成されている請求項1又は2に記載のコネクタケーシング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタを収納するケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のコネクタでは、複数の接続端子が環状周壁にて覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-139057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、コネクタがケーシング内に収納された構成では、当該コネクタは、ケーシングに設けられた貫通穴を通して当該ケーシング内外を貫通した状態となる。このため、仮に、ケーシングが被水した場合には、コネクタと貫通穴との隙間から当該水がケーシング内に進入してしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、ケーシングが被水した場合に、コネクタと貫通穴との隙間から当該水がケーシング内に進入してしまうことを抑制可能なコネクタケーシングの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コネクタケーシング(2)は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、電気的な接続を行うためのコネクタ(3)を収納するケーシング(2)であって、当該コネクタ(3)が貫通可能な貫通穴(2B)を有するケーシング(2)と、貫通穴(2B)が設けられたケーシング(2)の壁部(2A)のうち、少なくとも当該貫通穴(2B)の上方側に設けられた庇部(4A、4B)であって、壁部(2A)からケーシング(2)の外側に向けて突出した庇部(4A、4B)とを備え、庇部(4A、4B)の水平方向一端(4E)と当該水平方向他端(4F)との間には、当該一端(4E)及び他端(4F)より高い位置にある頂部(4G)が存在し、さらに、庇部(4A、4B)は、頂部(4G)から一端(4E)に向かうほど漸次低くなり、かつ、頂部(4G)から他端(4F)に向かうほど漸次低くなっていることである。
【0007】
これにより、庇部(4A、4B)によって水がコネクタ(3)側に流れることが阻止され得るので、ケーシング(2)が被水した場合であっても、コネクタ(3)と貫通穴(2B)の内周面との隙間から当該水がケーシング(2)内に進入してしまうことが抑制され得る。
【0008】
なお、当該コネクタケーシング(2)は、例えば、以下の構成であってもよい。
庇部(4A、4B)は、頂部(4G)から一端(4E)まで直線状に構成され、かつ、頂部(4G)から他端(4F)まで直線状に構成されていることが望ましい。これにより、庇部(4A、4B)の勾配が全域に亘って大きくなるので、被水した水を確実に排水することが可能となる。
【0009】
また、一端(4E)及び他端(4F)のうち少なくとも一方の端部には、当該端部から更に下方に延びる第2の庇部(4C、4D)が設けられおり、第2の庇部(4C、4D)は、壁部(2A)からケーシング(2)の外側に向けて突出し、かつ、当該第2の庇部(4C、4D)の下端(4H、4J)は、水平方向において、当該一方の端部より他方の端部側にずれていることが望ましい。
【0010】
これにより、例えば、一端(4E)及び他端(4F)を通る仮想線が上下方向となるように、ケーシング(2)の載置状態が変更となった場合であっても、第2の庇部(4C、4D)により、コネクタ(3)と貫通穴(2B)の内周面との隙間から当該水がケーシング(2)内に進入してしまうことが抑制され得る。
【0011】
庇部(4A、4B)の先端(4K)は、ケーシング(2)に収納された状態のコネクタ(3)の先端より壁部(2A)側にずれていることが望ましい。これにより、コネクタ(3)の接続作業又は離脱作業時の作業性が低下することが抑制され得る。
【0012】
庇部(4A、4B)の上面(4L)は、水平面又は壁部(2A)に近づくほど低くなる傾斜面にて構成されていることが望ましい。これにより、庇部(4A、4B)の上面(4L)に溜まった水がコネクタ(3)の先端側に流れてしまうことが抑制され得る。
【0013】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係るコネクタケーシングを示す図である。
図2】第1実施形態に係るコネクタケーシングを示す図である。
図3】第1実施形態に係る庇部とケーシングとを示す図である。
図4】第1実施形態に係る庇部とケーシングとを示す図である。
図5】第1実施形態に係るコネクタケーシングの特徴を示す図である。
図6】第1実施形態に係るコネクタケーシングの特徴を示す図である。
図7】第2実施形態に係る庇部の形状を示す図である。
図8図8A図8Fは、庇部の断面形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0016】
本実施形態は、車両等の乗物に搭載されるシート(以下、乗物用シートという。)に本開示に係るコネクタケーシングが適用された例である。各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び部材又は部位の形状等を理解し易くするために記載されたものである。
【0017】
したがって、当該コネクタケーシングは、各図に付された方向に限定されない。各図に示された方向は、本実施形態に係る乗物用シートが車両に組み付けられた状態における方向である。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示さない。
【0018】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。本開示に示されたコネクタケーシングは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位のうち少なくとも1つを備える。
【0019】
(第1実施形態)
<1.コネクタケーシングの概要>
コネクタケーシングは、コネクタを収納するためのケーシングである。本実施形態に係るコネクタは、乗物用シートに搭載された電気機器との電気的な接続を行うためのコネクタである。なお、電気機器とは、電動モータ等の電動アクチュエータや操作スイッチ等である。
【0020】
当該コネクタケーシング1は、図1に示されるように、ケーシング2及び庇部4等を少なくとも備える。ケーシング2は、コネクタ3を覆うように収納する。なお、本実施形態に係るコネクタ3は、雄型コネクタが挿入される雌型コネクタである。
【0021】
当該ケーシング2の外壁を構成する壁部2Aには、図2に示されるように、コネクタ3が貫通可能な貫通穴2Bが設けられている。そして、ケーシング2内にコネクタ3が収納された状態では、図1に示されるように、当該コネクタ3の開口側がケーシング2の外側に向けて開口している。
【0022】
庇部4は、壁部2Aのうち、少なくとも貫通穴2Bの上方側に設けられた庇状の部位であって、壁部2Aからケーシング2の外側に向けて突出した突条にて構成されている。なお、本実施形態に係る庇部4は、ケーシング2と共に樹脂にて一体成形されたケーシング2との一体品である。
【0023】
<2.庇部の詳細>
本実施形態に係る庇部4は、図2に示されるように、第1庇部4A、4B及び第2庇部4C、4D等を有して構成されている。第1庇部4A、4Bの水平方向一端4E(以下、左端4Eともいう。)と当該水平方向他端4F(以下、右端4Fともいう。)との間には、左端4E及び右端4Fより高い位置にある頂部4Gが存在する。
【0024】
そして、第1庇部4A、4Bは、頂部4Gから左端4Eに向かうほど漸次低くなり、かつ、頂部4Gから右端4Fに向かうほど漸次低くなっている。なお、本実施形態では、第1庇部4Aは、頂部4Gから左端4Eまで直線状に構成されて傾斜し、第1庇部4Bは、頂部4Gから右端4Fまで直線状に構成されて傾斜している。
【0025】
第2庇部4C、4Dそれぞれは、左端4E及び右端4Fから更に下方に延びる部位であって、壁部2Aからケーシング2の外側に向けて突出した突条である。そして、左端4Eから下方側に延びる第2庇部4C、及び右端4Fから下方側に延びる第2庇部4Dは、上下方向に対して傾斜している。
【0026】
具体的には、第2庇部4Cは、第2庇部4Cの下端4Hが、水平方向において、左端4Eより右端4F側にずれるように傾斜している。第2庇部4Dは、第2庇部4Dの下端4Jが、水平方向において、右端4Fより左端4E側にずれるように傾斜している。
【0027】
庇部4、つまり第1庇部4A、4B及び第2庇部4C、4Dの先端4Kは、図3に示されるように、ケーシング2に収納された状態のコネクタ3の先端3Aより壁部2A側にずれている。具体的には、庇部4の先端4Kは、コネクタ3の先端3Aに対して紙面右側に位置する。
【0028】
少なくとも第1庇部4A、4Bの上面4Lは、図4に示されるように、略水平面にて構成されている。なお、本実施形態では、第2庇部4C、4Dの断面形状は、第1庇部4A、4Bの断面形状(図4参照)と合同である。換言すれば、庇部4の外側、つまり庇部4のうち貫通穴3Bと反対側の面は、壁部2Aと直交する方向と略平行である。
【0029】
<3.本実施形態に係るコネクタケーシングの特徴>
本実施形態に係るコネクタケーシング1では、貫通穴2Bの上方側に壁部2Aからケーシング2の外側に向けて突出した第1庇部4A、4Bが設けられている。そして、第1庇部4A、4Bそれぞれは、頂部4Gから左端4Eに向かうほど漸次低くなり、かつ、頂部4Gから右端4Fに向かうほど漸次低くなっている。
【0030】
これにより、図5の破線矢印に示されるように、ケーシング2が被水しても、水が第1庇部4A、4Bを伝って流れるので、当該水がコネクタ3側に流れることが阻止され得る。したがって、ケーシング2が被水した場合であっても、コネクタ3と貫通穴2Bの内周面との隙間から当該水がケーシング2内に進入してしまうことが抑制され得る。
【0031】
第1庇部4A、4Bは、頂部4Gから左端4Eまで直線状に構成され、かつ、頂部4Gから右端4Fまで直線状に構成されている。
これにより、第1庇部4A、4Bの勾配が全域に亘って大きくなるので、被水した水を確実に排水することが可能となる。このため、左端4E及び右端4Fまで到達した水は、当該水の勢いによって、第1庇部4A、4Bから確実に排出される。
【0032】
左端4E及び右端4Fから更に下方に延びる第2庇部4C、4Dが設けられている。そして、第2庇部4Cは、第2庇部4Cの下端4Hが、左端4Eより右端4F側にずれるように傾斜している。第2庇部4Dは、第2庇部4Dの下端4Jが、右端4Fより左端4E側にずれるように傾斜している。
【0033】
これにより、例えば、左端4E及び右端4Fを通る仮想線が上下方向となるように、ケーシング2の載置状態が変更となった場合であっても(図6参照)、第1庇部4A又は第1庇部4Bと第2庇部4C又は第2庇部4Dとにより、コネクタ3と貫通穴2Bの内周面との隙間から当該水がケーシング2内に進入してしまうことが抑制され得る。
【0034】
庇部4の先端4Kは、ケーシング2に収納された状態のコネクタ3の先端3Aより壁部2A側にずれている。これにより、コネクタ3の接続作業又は離脱作業時の作業性が低下することが抑制され得る。
【0035】
なお、仮に、庇部4の先端4Kがコネクタ3の先端3Aより壁部2Aから離間していると、コネクタ3の接続作業又は離脱作業時に、庇部4の先端4Kが障害となって、当該作業の作業性が悪化するおそれがある。
【0036】
第1庇部4A、4Bの上面4Lは、略水平な面にて構成されている。これにより、第1庇部4A、4Bの上面4Lに溜まった水がコネクタ3の先端3A側に流れてしまうことが抑制され得る。
【0037】
(第2実施形態)
本実施形態に係る庇部4は、図7に示されるように、貫通穴2Bの全周を囲む菱形状としたものである。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0038】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る庇部4の断面形状は、図4に示される形状に限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、図8A図8Fに示されるような構成であってもよい。なお、図8E及び図9Fに係る上面4Lは、壁部2Aに近づくほど低くなる傾斜面にて構成されている。
【0039】
上述の実施形態では、第1庇部4A、4Bは、頂部4Gから端4E、Fまで直線状に構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1庇部4A、4Bが曲線状に構成されていてもよい。
【0040】
上述の実施形態に係る庇部4は、第2庇部4C、4Dを有していた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、少なくとも第1庇部4A、4Bを有していれば十分である。
【0041】
上述の実施形態では、庇部4の先端4Kは、ケーシング2に収納された状態のコネクタ3の先端3Aより壁部2A側にずれていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ケーシング2に収納された状態のコネクタ3の先端3Aが庇部4の先端4Kより壁部2A側にずれていてもよい。
【0042】
上述の実施形態では、車両に本開示に係る乗物用シートを適用した。しかし、本明細書に開示された発明の適用はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられるシート、並びに劇場や家庭用等に用いられる据え置き型シートにも適用できる。
【0043】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1… コネクタケーシング
2… ケーシング
2A… 壁部
2B… 貫通穴
3… コネクタ
3A… 先端
3B… 貫通穴
4… 庇部
4A、4B… 第1庇部
4C、4D… 第2庇部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8