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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154984
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】流体センサ
(51)【国際特許分類】
   G01P 13/00 20060101AFI20241024BHJP
   G01P 5/24 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01P13/00 E
G01P5/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069267
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大場 公之
【テーマコード(参考)】
2F034
【Fターム(参考)】
2F034AA02
2F034AB04
2F034AB05
2F034DA10
2F034DB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型でかつ検出精度に優れた流体センサを提供すること。
【解決手段】上面視における所定の方向に沿って、第1送信信号(s1)に応じた第1超音波(10)を流路(13)に送信可能であるとともに、流路(13)を通った第2超音波(20)を受信して第1受信信号(r1)を出力可能な第1送受信部と(2-1)、上面視における所定の方向に沿って、第2送信信号(s2)に応じた第2超音波(20)を流路(13)に送信可能であるとともに、流路(13)を通った第1超音波(10)を受信して第2受信信号(r2)を出力可能な第2送受信部(2-2)と、第1送信信号(s1)および第2送信信号(s2)を出力するとともに、第1送信信号(s1)と第2受信信号(r2)の時間差、および第2送信信号(s2)と第1受信信号(r1)の時間差に基づき、流体(200)の風向または風速に関する情報を出力する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる流路が設けられた構造体と、
上面視における所定の方向に沿って、第1送信信号に応じた第1超音波を前記流路に送信可能であるとともに、前記流路を通った第2超音波を受信して第1受信信号を出力可能な第1送受信部と、
上面視における前記所定の方向に沿って、第2送信信号に応じた前記第2超音波を前記流路に送信可能であるとともに、前記流路を通った前記第1超音波を受信して第2受信信号を出力可能な第2送受信部と、
前記第1送信信号および前記第2送信信号を出力するとともに、前記第1送信信号と前記第2受信信号の時間差、および前記第2送信信号と前記第1受信信号の時間差に基づき、前記流体の風向または風速に関する情報を出力する検出部と、
前記検出部と前記第1送受信部との間の接続経路に配置され、前記第1送受信部の送受信動作を切替可能な第1のスイッチと、
前記検出部と前記第2送受信部との間の接続経路に配置され、前記第2送受信部の送受信動作を切替可能な第2のスイッチと、を有する、流体センサ。
【請求項2】
前記所定の方向は、第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向を含み、
第2方向に沿って、第3送信信号に応じた第3超音波を前記流路に送信可能であるとともに、前記流路を通った第4超音波を受信して第3受信信号を出力可能な第3送受信部と、
前記第2方向に沿って、第4送信信号に応じた前記第4超音波を前記流路に送信可能であるとともに、前記流路を通った前記第3超音波を受信して第4受信信号を出力可能な第4送受信部と、
前記検出部と前記第3送受信部との間の接続経路に配置され、前記第3送受信部の送受信動作を切替可能な第3のスイッチと、
前記検出部と前記第4送受信部との間の接続経路に配置され、前記第4送受信部の送受信動作を切替可能な第4のスイッチと、をさらに有し、
前記第1送受信部は、前記第1方向に沿って、前記第1送信信号に応じた前記第1超音波を前記流路に送信可能であるとともに、前記流路を通った前記第2超音波を受信して前記第1受信信号を出力可能であり、
前記第2送受信部は、前記第1方向に沿って、前記第2送信信号に応じた前記第2超音波を前記流路に送信可能であるとともに、前記流路を通った前記第1超音波を受信して前記第2受信信号を出力可能であり、
前記検出部は、前記第1送信信号、前記第2送信信号、前記第3送信信号および前記第4送信信号を出力するとともに、前記第1送信信号と前記第2受信信号の時間差、前記第2送信信号と前記第1受信信号の時間差、前記第3送信信号と前記第4受信信号の時間差、および前記第4送信信号と前記第3受信信号の時間差に基づき、前記流体の風向および風速のそれぞれに関する情報を出力し、
前記第1のスイッチは、前記検出部と前記第1送受信部との間の接続経路に配置され、前記第1送受信部の送受信動作を切替可能であり、
前記第2のスイッチは、前記検出部と前記第2送受信部との間の接続経路に配置され、前記第2送受信部の送受信動作を切替可能である、請求項1に記載の流体センサ。
【請求項3】
前記第1送受信部と前記第1のスイッチとの間の最短距離は、前記検出部と前記第1のスイッチとの間の最短距離よりも短く、
かつ、前記第2送受信部と前記第2のスイッチとの間の最短距離は、前記検出部と前記第2のスイッチとの間の最短距離よりも短く、
かつ、前記第3送受信部と前記第3のスイッチとの間の最短距離は、前記検出部と前記第3のスイッチとの間の最短距離よりも短く、
かつ、前記第4送受信部と前記第4のスイッチとの間の最短距離は、前記検出部と前記第4のスイッチとの間の最短距離よりも短い、請求項2に記載の流体センサ。
【請求項4】
前記第1から前記第4のスイッチのそれぞれは、SPDTスイッチであり、
前記第1送受信部からの前記第1受信信号を増幅した第1増幅信号、前記第2送受信部からの前記第2受信信号を増幅した第2増幅信号、前記第3送受信部からの前記第3受信信号を増幅した第3増幅信号、および前記第4送受信部からの前記第4受信信号を増幅した第4増幅信号を前記検出部に出力可能なアンプと、
前記第1のスイッチと前記アンプとの間の接続経路に配置され、前記アンプと前記第1のスイッチとの接続または非接続を切替可能な第1のSPSTスイッチと、
前記第2のスイッチと前記アンプとの間の接続経路に配置され、前記アンプと前記第2のスイッチとの接続または非接続を切替可能な第2のSPSTスイッチと、
前記第3のスイッチと前記アンプとの間の接続経路に配置され、前記アンプと前記第3のスイッチとの接続または非接続を切替可能な第3のSPSTスイッチと、
前記第4のスイッチと前記アンプとの間の接続経路に配置され、前記アンプと前記第4のスイッチとの接続または非接続を切替可能な第4のSPSTスイッチと、をさらに有する、請求項2または請求項3に記載の流体センサ。
【請求項5】
前記アンプと前記第1のSPSTスイッチとの間の最短距離の長さは、前記第1のSPSTスイッチの最大長さ以下であり、
かつ、前記アンプと前記第2のSPSTスイッチとの間の最短距離の長さは、前記第2のSPSTスイッチの最大長さ以下であり、
かつ、前記アンプと前記第3のSPSTスイッチとの間の最短距離の長さは、前記第3のSPSTスイッチの最大長さ以下であり、
かつ、前記アンプと前記第4のSPSTスイッチとの間の最短距離の長さは、前記第4のSPSTスイッチの最大長さ以下である、請求項4に記載の流体センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を用いて流体の風向および風速を検出する流体センサが知られている。
【0003】
流体センサとして、流体が流れる流路部が形成された筐体と、流路部に設置される一対の超音波送受信部とを備え、一対の超音波送受信部の間で送受される超音波の伝播時間に基づいて流体の風向と風速を検出するものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。この流体センサでは、送信信号に応じて一対の超音波送受信部における送信部から出力された超音波の受信部による受信信号と、上記送信信号と、の時間差から流体の風向および風速を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-77643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の流体センサでは、流体センサを小型化すると、送信部に超音波の送信を指令する送信信号が受信信号に重なり、流体の風向および風速の検出精度が低下する場合がある。
【0006】
本発明は、小型でかつ検出精度に優れた流体センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本流体センサ(100)は、流体(200)が流れる流路(13)が設けられた構造体(1)と、上面視における所定の方向に沿って、第1送信信号(s1)に応じた第1超音波(10)を流路(13)に送信可能であるとともに、流路(13)を通った第2超音波(20)を受信して第1受信信号(r1)を出力可能な第1送受信部と(2-1)、上面視における所定の方向に沿って、第2送信信号(s2)に応じた第2超音波(20)を流路(13)に送信可能であるとともに、流路(13)を通った第1超音波(10)を受信して第2受信信号(r2)を出力可能な第2送受信部(2-2)と、第1送信信号(s1)および第2送信信号(s2)を出力するとともに、第1送信信号(s1)と第2受信信号(r2)の時間差、および第2送信信号(s2)と第1受信信号(r1)の時間差に基づき、流体(200)の風向または風速に関する情報を出力する検出部(34)と、検出部(34)と第1送受信部(2-1)との間の接続経路に配置され、第1送受信部(2-1)の送受信動作を切替可能な第1のスイッチ(31-1)と、検出部(34)と第2送受信部(2-2)との間の接続経路に配置され、第2送受信部(2-2)の送受信動作を切替可能な第2のスイッチ(31-2)と、を有する。
【0008】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型でかつ検出精度に優れた流体センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る流体センサを模式的に示す上面図である。
図2図1におけるII-II線に沿う模式的断面図である。
図3図1におけるIII-III線に沿う模式的断面図である。
図4】実施形態に係る流体センサの電気的接続を示す模式図である。
図5】実施形態に係る流体センサにおける各電子部品の配置を示す模式図である。
図6】比較例に係る第1受信信号の第1増幅信号を示す模式図である。
図7】実施形態に係る第1受信信号の第1増幅信号を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0012】
以下に示す図面において、方向表現として、X軸、Y軸およびZ軸を有する直交座標を用いる場合がある。X軸、Y軸およびZ軸は、互いに略直交する。Z軸に沿うZ方向は、実施形態に係る流体センサの検出対象である流体が流路を流れる方向に交差する方向を示すものとする。
【0013】
X軸の矢印が向く方向を+X方向または+X側、+X方向とは反対方向を-X方向または-X側と表記する。Y軸の矢印が向く方向を+Y方向または+Y側、+Y方向とは反対方向を-Y方向または-Y側と表記する。Z軸の矢印が向く方向を+Z方向または+Z側、+Z方向とは反対方向を-Z方向または-Z側と表記する。
【0014】
本明細書および特許請求の範囲において「方向に沿う」とは、2つの軸または方向が±10度以下の差異で平行であることを意味する。また、+Z側を「上」、-Z側を「下」と称する。+Z側から対象を視ることを「上面視」という。但し、これらの方向表現は、実施形態の方向を限定するものではない。実施形態に係る流体センサの使用時における向きは任意である。
【0015】
<流体センサ100の構成例>
図1~4を参照して、実施形態に係る流体センサの構成について説明する。図1は、実施形態に係る流体センサ100の一例を模式的に示す上面図である。図2は、図1におけるII-II線に沿う模式的断面図である。図3は、図1におけるIII-III線に沿う模式的断面図である。図4は、流体センサ100の電気的接続の一例を示す模式図である。
【0016】
図1~4に示すように、本実施形態では、流体センサ100は、構造体1と、第1送受信部2-1と、第2送受信部2-2と、第3送受信部2-3と、第4送受信部2-4と、検出部34と、第1のSPDT(Single Pole Double Throw)スイッチ31-1と、第2のSPDTスイッチ31-2と、第3のSPDTスイッチ31-3と、第4のSPDTスイッチ31-4と、を有する。また、本実施形態では、流体センサ100は、実装基板3と、アンプ33と、第1のSPST(Single Pole Single Throw)スイッチ32-1と、第2のSPSTスイッチ32-2と、第3のSPSTスイッチ32-3と、第4のSPSTスイッチ32-4と、水晶振動子35と、サーミスタ36と、を有してよい。
【0017】
図1~3に示すように、構造体1は、上部部材11と下部部材12とを含む。構造体1には、流体200が流れる流路13が設けられている。流路13は、上部部材11の下面111と下部部材12の上面121とにより画定される空間である。流体200は、構造体1の中心軸1c回りの360度内のどの方向にも流路13を流れることができる。なお、流体200は、流路13をXY平面に沿う平面に対して交差する方向に流れてよい。
【0018】
第1送受信部2-1、第2送受信部2-2、第3送受信部2-3および第4送受信部2-4のそれぞれは、例えば、超音波の送受信が可能な超音波トランスデューサである。第1送受信部2-1および第2送受信部2-2は、相互に超音波を送受できるように対をなしている。第3送受信部2-3および第4送受信部2-4は、相互に超音波を送受できるように対をなしている。第1送受信部2-1および第2送受信部2-2は、上面視において、第1方向201(X方向)に並んでいる。第3送受信部2-3および第4送受信部2-4は、上面視において、第2方向202(Y方向)に並んでいる。
【0019】
流体センサ100は、第1送受信部2-1および第2送受信部2-2を用いて、流路13を流れる流体200の風向および風速それぞれのX方向成分を検出できる。また流体センサ100は、第3送受信部2-3および第4送受信部2-4を用いて、流路13を流れる流体200の風向および風速それぞれのY方向成分を検出できる。流体センサ100は、第1送受信部2-1、第2送受信部2-2、第3送受信部2-3および第4送受信部2-4を用いて検出される流体200の風向および風速それぞれのX方向成分およびY方向成分から、流路13を流れる流体200の風向および風速を検出することができる。ここで、風向とは、流体200が流れる方向であって、上面視において、構造体1の中心軸1c回りの360度内のいずれかの方向をいう。風速とは、風向が示す方向に流れる流体200の速度をいう。
【0020】
第1送受信部2-1は、上面視における第1方向201に沿って、第1送信信号s1に応じた第1超音波10を流路13に送信可能であるとともに、流路13を通った第2超音波20を受信して第1受信信号r1を出力可能である。第1送受信部2-1は、例えば構造体1の中心軸1cの方向に、下部部材12の上面121に交差するように第1超音波10を送信する。第1送受信部2-1からの第1超音波10は、流路13を通って下部部材12の上面121に到達し、上面121で反射される。上面121で反射された第1超音波10は、第2送受信部2-2に向かって伝搬し、第2送受信部2-2により受信される。
【0021】
第2送受信部2-2は、上面視における第1方向201に沿って、第2送信信号s2に応じた第2超音波20を流路13に送信可能であるとともに、流路13を通った第1超音波10を受信して第2受信信号r2を出力可能である。第2送受信部2-2は、例えば構造体1の中心軸1cの方向に、下部部材12の上面121に交差するように第2超音波20を送信する。第2送受信部2-2からの第2超音波20は、流路13を通って下部部材12の上面121に到達し、上面121で反射される。上面121で反射された第2超音波20は、第1送受信部2-1に向かって伝搬し、第1送受信部2-1により受信される。
【0022】
第3送受信部2-3は、上面視における第1方向201と交差する第2方向202に沿って、第3送信信号r3に応じた第3超音波30を流路13に送信可能であるとともに、流路13を通った第4超音波40を受信して第3受信信号r3を出力可能である。第3送受信部2-3は、例えば構造体1の中心軸1cの方向に、下部部材12の上面121に交差するように第3超音波30を送信する。第3送受信部2-3からの第3超音波30は、流路13を通って下部部材12の上面121に到達し、上面121で反射される。上面121で反射された第3超音波30は、第4送受信部2-4に向かって伝搬し、第4送受信部2-4により受信される。
【0023】
第4送受信部2-4は、上面視における第2方向202に沿って、第4送信信号s4に応じた第4超音波40を流路13に送信可能であるとともに、流路13を通った第3超音波30を受信して第4受信信号r4を出力可能である。第4送受信部2-4は、例えば構造体1の中心軸1cの方向に、下部部材12の上面121に交差するように第4超音波40を送信する。第4送受信部2-4からの第4超音波40は、流路13を通って下部部材12の上面121に到達し、上面121で反射される。上面121で反射された第4超音波40は、第3送受信部2-3に向かって伝搬し、第3送受信部2-3により受信される。
【0024】
実装基板3は、IC(Integrated Circuit)等の電子部品が実装可能な基板である。実装基板3は、構造体1の上部部材11に配置されている。実装基板3には、第1のSPDTスイッチ31-1、第2のSPDTスイッチ31-2、第3のSPDTスイッチ31-3、第4のSPDTスイッチ31-4、第1のSPSTスイッチ32-1、第2のSPSTスイッチ32-2、第3のSPSTスイッチ32-3、および第4のSPSTスイッチ32-4、アンプ33、検出部34、水晶振動子35およびサーミスタ36等が実装されている。但し、これらの電子部品は、複数の基板に分けて実装されてもよい。実装基板3には、上記以外の電子部品が実装されてもよい。また、実装基板3が配置される位置は、上部部材11に限らず、適宜選択可能である。実装基板3は、構造体1から離隔して配置されてもよい。
【0025】
検出部34は、第1送信信号s1、第2送信信号s2、第3送信信号s3および第4送信信号s4を出力する。かつ、検出部34は、第1送信信号s1と第2受信信号r2の時間差、第2送信信号s2と第1受信信号r1の時間差、第3送信信号s3と第4受信信号r4の時間差、および第4送信信号s4と第3受信信号r3の時間差に基づき、流体200の風向に関する情報である風向情報ddおよび流体200の風速に関する情報である風速情報vdのそれぞれを出力する。
【0026】
検出部34は、例えばマイクロコンピュータである。但し、検出部34は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはDSP(digital signal processor)等により、またはこれらの組合せにより構成されてもよい。
【0027】
検出部34は、第1送信信号s1を第1送受信部2-1に、第2送信信号s2を第2送受信部2-2に、第3送信信号s3を第3送受信部2-3に、第4送信信号s4を第4送受信部2-4に、それぞれ出力する。第1送信信号s1、第2送信信号s2、第3送信信号s3および第4送信信号s4のそれぞれは、例えば40kHzで2.7Vp-pの矩形波信号である。検出部34の入出力インターフェースには、GPIO(General-purpose input/output)等を使用できる。
【0028】
検出部34は、第1送受信部2-1からの第1受信信号r1がアンプ33により増幅された第1増幅信号r1aを入力する。検出部34は、第2送受信部2-2からの第2受信信号r2がアンプ33により増幅された第2増幅信号r2aを入力する。検出部34は、第3送受信部2-3からの第3受信信号r3がアンプ33により増幅された第3増幅信号r3aを入力する。検出部34は、第4送受信部2-4からの第4受信信号r4がアンプ33により増幅された第4増幅信号r4aを入力する。検出部34は、これらの入力信号をADコンバータ(ADC)により変換したデジタル信号を用いて、上記の各時間差を算出できる。
【0029】
第1送信信号s1と第2受信信号r2の時間差、第2送信信号s2と第1受信信号r1の時間差、第3送信信号s3と第4受信信号r4の時間差、および第4送信信号s4と第3受信信号r3の時間差は、流路13を流れる流体200の風向および風速によって変化する。検出部34は、これら時間差に基づき、風向情報ddおよび風速情報vdを演算により取得することで、流路13を流れる流体200の風向および風速を検出できる。検出部34は、取得された風向情報ddおよび風速情報vdを、I2C(Inter-Integrated Circuit)等の通信インターフェースを介して外部装置に出力できる。ここでの外部装置は、例えばPC(Personal Computer)や、インターネット等のネットワークを介して通信可能に接続された外部サーバ等である。
【0030】
図4に示すように、第1のSPDTスイッチ31-1は、検出部34と第1送受信部2-1との間の接続経路に配置され、第1送受信部2-1の送受信動作を切替可能である。第1のSPDTスイッチ31-1は、第1のスイッチの一例である。第2のSPDTスイッチ31-2は、検出部34と第2送受信部2-2との間の接続経路に配置され、第2送受信部2-2の送受信動作を切替可能である。第2のSPDTスイッチ31-2は、第2のスイッチの一例である。第3のSPDTスイッチ31-3は、検出部34と第3送受信部2-3との間の接続経路に配置され、第3送受信部2-3の送受信動作を切替可能である。第3のSPDTスイッチ31-3は、第3のスイッチの一例である。第4のSPDTスイッチ31-4は、検出部34と第4送受信部2-4との間の接続経路に配置され、第4送受信部2-4の送受信動作を切替可能である。第4のSPDTスイッチ31-4は、第4のスイッチの一例である。
【0031】
第1のSPDTスイッチ31-1、第2のSPDTスイッチ31-2、第3のSPDTスイッチ31-3および第4のSPDTスイッチ31-4のそれぞれは、3つの端子を備えた単極双投スイッチである。これらは、例えば汎用ロジックICにより構成できる。
【0032】
第1のSPDTスイッチ31-1により第1送受信部2-1と検出部34とが電気的に接続されると、第1送受信部2-1は送信動作を行う。一方、第1のSPDTスイッチ31-1により第1送受信部2-1と第1のSPSTスイッチ32-1とが電気的に接続されると、第1送受信部2-1は受信動作を行う。第2のSPDTスイッチ31-2により第2送受信部2-2と検出部34とが電気的に接続されると、第2送受信部2-2は送信動作を行う。一方、第2のSPDTスイッチ31-2により第2送受信部2-2と第2のSPSTスイッチ32-2とが電気的に接続されると、第2送受信部2-2は受信動作を行う。第3のSPDTスイッチ31-3により第3送受信部2-3と検出部34とが電気的に接続されると、第3送受信部2-3は送信動作を行う。一方、第3のSPDTスイッチ31-3により第3送受信部2-3と第3のSPSTスイッチ32-3とが電気的に接続されると、第3送受信部2-3は受信動作を行う。第4のSPDTスイッチ31-4により第4送受信部2-4と検出部34とが電気的に接続されると、第4送受信部2-4は送信動作を行う。一方、第4のSPDTスイッチ31-4により第4送受信部2-4と第4のSPSTスイッチ32-4とが電気的に接続されると、第4送受信部2-4は受信動作を行う。
【0033】
第1のSPDTスイッチ31-1は第1送受信部2-1、第2のSPDTスイッチ31-2は第2送受信部2-2、第3のSPDTスイッチ31-3は第3送受信部2-3、第4のSPDTスイッチ31-4は第4送受信部2-4それぞれの送受信を、msオーダ、例えば1秒間に4回、周期的に切替可能である。図4に示す状態では、第1送受信部2-1は送信動作、第2送受信部2-2は受信動作、第3送受信部2-3は送信動作、第4送受信部2-4は受信動作をそれぞれ行っている。検出部34は、送受信が4回切り替わる間に得られる複数の風向および風速それぞれの検出値の平均値、最大値または最小値等を、風向情報ddおよび風速情報vdとして出力できる。
【0034】
アンプ33は、第1送受信部2-1からの第1受信信号r1を増幅した第1増幅信号r2a、第2送受信部2-2からの第2受信信号r2を増幅した第2増幅信号r2a、第3送受信部2-3からの第3受信信号r3を増幅した第3増幅信号r3a、および第4送受信部2-4からの第4受信信号r4を増幅した第4増幅信号r4aを検出部34に出力可能である。アンプ33は、第1受信信号r1、第2受信信号r2、第3受信信号r3および第4受信信号r4のそれぞれを、例えば300倍に増幅できる。なお、アンプ33は、1つに限らず複数設けられ、第1受信信号r1、第2受信信号r2、第3受信信号r3および第4受信信号r4のそれぞれの増幅を、複数のアンプにより分担してもよい。
【0035】
第1のSPSTスイッチ32-1は、第1のSPDTスイッチ31-1とアンプ33との間の接続経路に配置され、アンプ33と第1のSPDTスイッチ31-1との接続または非接続を切替可能である。第2のSPSTスイッチ32-2は、第2のSPDTスイッチ31-2とアンプ33との間の接続経路に配置され、アンプ33と第2のSPDTスイッチ31-2との接続または非接続を切替可能である。第3のSPSTスイッチ32-3は、第3のSPDTスイッチ31-3とアンプ33との間の接続経路に配置され、アンプ33と第3のSPDTスイッチ31-3との接続または非接続を切替可能である。第4のSPSTスイッチ32-4は、第4のSPDTスイッチ31-4とアンプ33との間の接続経路に配置され、アンプ33と第4のSPDTスイッチ31-4との接続または非接続を切替可能である。
【0036】
第1のSPSTスイッチ32-1、第2のSPSTスイッチ32-2、第3のSPSTスイッチ32-3、および第4のSPSTスイッチ32-4のそれぞれは、2つの端子を備えた単極単投スイッチである。これらは、例えば汎用ロジックICにより構成できる。
【0037】
第1のSPSTスイッチ32-1により2つの端子が電気的に接続されることで、アンプ33と第1のSPDTスイッチ31-1とが電気的に接続する。第1のSPSTスイッチ32-1により2つの端子が電気的に非接続になることで、アンプ33と第1のSPDTスイッチ31-1とが電気的に非接続になる。第2のSPSTスイッチ32-2により2つの端子が電気的に接続されることで、アンプ33と第2のSPDTスイッチ31-2とが電気的に接続する。第2のSPSTスイッチ32-2により2つの端子が電気的に非接続になることで、アンプ33と第2のSPDTスイッチ31-2とが電気的に非接続になる。第3のSPSTスイッチ32-3により2つの端子が電気的に接続されることで、アンプ33と第3のSPDTスイッチ31-3とが電気的に接続する。第3のSPSTスイッチ32-3により2つの端子が電気的に非接続になることで、アンプ33と第3のSPDTスイッチ31-3とが電気的に非接続になる。第4のSPSTスイッチ32-4により2つの端子が電気的に接続されることで、アンプ33と第4のSPDTスイッチ31-4とが電気的に接続する。第4のSPSTスイッチ32-4により2つの端子が電気的に非接続になることで、アンプ33と第4のSPDTスイッチ31-4とが電気的に非接続になる。
【0038】
4つのSPDTと4つのSPSTは連携している。すなわち、第1のSPDTスイッチ31-1が受信動作を行うときには、第1のSPSTスイッチ32-1は、第1のSPDTスイッチ31-1とアンプ33とを電気的に接続させる。第2のSPDTスイッチ31-2が受信動作を行うときには、第2のSPSTスイッチ32-2は、第2のSPDTスイッチ31-2とアンプ33とを電気的に接続させる。第3のSPDTスイッチ31-3が受信動作を行うときには、第3のSPSTスイッチ32-3は、第3のSPDTスイッチ31-3とアンプ33とを電気的に接続させる。第4のSPDTスイッチ31-4が受信動作を行うときには、第4のSPSTスイッチ32-4は、第4のSPDTスイッチ31-4とアンプ33とを電気的に接続させる。
【0039】
図4に示す例では、第2送受信部2-2および第4送受信部2-4が受信動作を行っているため、第2のSPSTスイッチ32-2および第4のSPSTスイッチ32-4が接続状態になっている。一方、第1のSPSTスイッチ32-1および第3のSPSTスイッチ32-3は非接続状態になっている。
【0040】
水晶振動子35は、所定周波数で発振し、検出部34を構成するマイクロコンピュータ等に基本クロックを供給する。サーミスタ36は、流体センサ100周辺の温度を検出する。サーミスタ36により検出される温度は、流体センサ100による風向および風速の検出値の補正等に使用できる。
【0041】
<流体センサ100における各電子部品の配置例>
図5は、流体センサ100における各電子部品の配置の一例を示す模式図である。図5に示すように、実装基板3は、上面視において略矩形形状を有する。第1送受信部2-1および第2送受信部2-2は、X方向において実装基板3の向かい合う二辺のそれぞれの近傍に配置される。第3送受信部2-3および第4送受信部2-4は、Y方向において実装基板3の向かい合う二辺のそれぞれの近傍に配置される。第1のSPDTスイッチ31-1は、第1送受信部2-1の近傍に配置される。第2のSPDTスイッチ31-2は、第2送受信部2-2の近傍に配置される。第3のSPDTスイッチ31-3は、第3送受信部2-3の近傍に配置される。第4のSPDTスイッチ31-4は、第4送受信部2-4の近傍に配置される。
【0042】
本実施形態では、第1送受信部2-1と第1のSPDTスイッチ31-1との間の最短距離d1は、検出部34と第1のSPDTスイッチ31-1との間の最短距離D1よりも短い。かつ、第2送受信部2-2と第2のSPDTスイッチ31-2との間の最短距離d2は、検出部34と第2のSPDTスイッチ31-2との間の最短距離D2よりも短い。かつ、第3送受信部2-3と第3のSPDTスイッチ31-3との間の最短距離d3は、検出部34と第3のSPDTスイッチ31-3との間の最短距離D3よりも短い。かつ、第4送受信部2-4と第4のSPDTスイッチ31-4との間の最短距離d4は、検出部34と第4のSPDTスイッチ31-4との間の最短距離D4よりも短い。
【0043】
また、本実施形態では、アンプ33と第1のSPSTスイッチ32-1との間の最短距離、アンプ33と第2のSPSTスイッチ32-2との間の最短距離、アンプ33と第3のSPSTスイッチ32-3との間の最短距離、およびアンプ33と第4のSPSTスイッチ32-4との間の最短距離のそれぞれの長さはほぼ等しく、いずれも長さeである。第1のSPSTスイッチ32-1の最大長さ、第2のSPSTスイッチ32-2の最大長さ、第3のSPSTスイッチ32-3の最大長さ、および第4のSPSTスイッチ32-4の最大長さはそれぞれほぼ等しく、いずれも最大長さEである。本実施形態では、長さeは最大長さE以下である。
【0044】
<流体センサ100の作用効果>
図6~7を参照して、流体センサ100の作用効果について説明する。まず、図6は、比較例に係る第2受信信号r1Xの第2増幅信号r1aXを示す模式図である。
【0045】
例えば、超音波トランスデューサ等の送受信動作が可能な送受信部を複数用いて、流体の風向および風速を検出する流体センサでは、送受信部に送信を指令する送信信号が受信信号に重なり、流体の風向および風速の検出精度が低下する場合がある。
【0046】
図6において、送信信号s2Xは、送受信部に送信を指令する信号である。増幅信号r1aXは、一対の送受信部において、送信信号s2Xに応じて一方の送受信部から送信された超音波を、他方の送受信部で受信した受信信号の増幅信号である。増幅信号s2aXは、送信信号s2Xがアンプに直接入力された後、アンプにより増幅された信号である。送信信号がアンプ等の検出回路に直接入力する現象は、送受信部における送受信の切替において、受信側の遮断が不十分であり、オフアイソレーションが大きくなることによって発生する。オフアイソレーションは、オフ状態のスイッチを通して漏れてくる不要信号の大きさを意味する。
【0047】
増幅信号s2aXは、送信信号s2Xに対してほぼ時間差がない信号であって、時間の経過に応じて減衰する信号である。増幅信号s2aXが十分に減衰する前に、アンプに超音波の受信信号が入力されることで、アンプによる増幅信号r1aXと増幅信号s2aXとが重なると、超音波の受信信号の受信タイミングが不明確になる。この結果、送信信号s2Xと増幅信号s2aXとの時間差を正確に検出できず、流体センサによる風向および風速の検出精度が低下する場合がある。
【0048】
流体センサが小型化するほど、送信信号の送信タイミングと受信信号の受信タイミングとの時間差が短くなるため、送信信号がアンプに直接入力した信号が減衰する前に受信信号と重なりやすく、検出精度が低下しやすい。換言すると、流体センサが小型化するほど、アンプ等の検出回路に直接入力する信号と受信信号との重なりによる検出精度の低下が顕著になる。
【0049】
本実施形態では、流体センサ100は、第1のSPDTスイッチ31-1、第2のSPDTスイッチ31-2、第3のSPDTスイッチ31-3、および第4のSPDTスイッチ31-4を有する。すなわち、流体センサ100は、第1送受信部2-1、第2送受信部2-2、第3送受信部2-3および第4送受信部2-4それぞれの送受信を切り替えるスイッチを個別に有する。これにより、単極多投のSP4T等のスイッチを用いる場合と比較して、オフアイソレーションを低減できる。例えば、単極多投のSP4Tを用いた場合のオフアイソレーションは約-60dBである。これに対し、流体センサ100は、第1のSPDTスイッチ31-1、第2のSPDTスイッチ31-2、第3のSPDTスイッチ31-3、および第4のSPDTスイッチ31-4を用いることで、オフアイソレーションを約-75dBに低減できる。これにより、送信信号がアンプ等の検出回路に直接入力される現象を低減できる。この結果、本実施形態では、流体センサ100を小型化した場合にも送信信号が受信信号に重なることを低減し、小型でかつ検出精度に優れた流体センサ100を提供することができる。
【0050】
また、本実施形態では、流体センサ100が第1送受信部2-1、第2送受信部2-2、第3送受信部2-3および第4送受信部2-4それぞれの送受信のスイッチを個別に有することで、単極多投のSP4T等を用いる場合と比較して、図5に示した最短距離D1~D4のそれぞれを短くできる。これにより、本実施形態では、流体センサ100における送信接続経路と受信接続経路との間でのクロストークを低減し、流体センサ100の検出精度を高くすることができる。なお、送信接続経路は、検出部34と第1送受信部2-1、第2送受信部2-2、第3送受信部2-3および第4送受信部2-4それぞれとの間の接続経路を意味する。受信接続経路は、第1送受信部2-1、第2送受信部2-2、第3送受信部2-3および第4送受信部2-4それぞれとアンプ33との間の接続経路を意味する。
【0051】
また、本実施形態では、第1のSPSTスイッチ32-1、第2のSPSTスイッチ32-2、第3のSPSTスイッチ32-3、および第4のSPSTスイッチ32-4を有する。これにより、第1送受信部2-1、第2送受信部2-2、第3送受信部2-3および第4送受信部2-4それぞれと、アンプ33等の検出回路との接続経路1つ当たりに2つのスイッチを配置できる。そして、2つのスイッチを非接続状態にすることで、オフアイソレーションを2段階で減衰させることができる。例えば、第1のSPDTスイッチ31-1、第2のSPDTスイッチ31-2、第3のSPDTスイッチ31-3、および第4のSPDTスイッチ31-4を用いて、かつ第1のSPSTスイッチ32-1、第2のSPSTスイッチ32-2、第3のSPSTスイッチ32-3、および第4のSPSTスイッチ32-4を用いない場合には、オフアイソレーションは約-75dBである。これに対し、流体センサ100は、第1のSPDTスイッチ31-1、第2のSPDTスイッチ31-2、第3のSPDTスイッチ31-3、および第4のSPDTスイッチ31-4を用いて、かつ第1のSPSTスイッチ32-1、第2のSPSTスイッチ32-2、第3のSPSTスイッチ32-3、および第4のSPSTスイッチ32-4を用いることで、オフアイソレーションを約-150dBに低減できる。この結果、流体センサ100を小型化した場合にも送信信号が受信信号に重なることを低減し、小型でかつ検出精度に優れた流体センサ100を提供することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上述したように、最短距離d1は最短距離D1よりも短く、かつ最短距離d2は最短距離D2よりも短く、かつ最短距離d3は最短距離D2よりも短く、かつ最短距離d4は最短距離D4よりも短い。これらは、流体センサ100が第1送受信部2-1、第2送受信部2-2、第3送受信部2-3および第4送受信部2-4それぞれの送受信のスイッチを個別に有することで、スイッチの配置自由度が高くなることから得られる作用である。この作用により、実装基板3上における各構成の配置スペースを省スペース化し、流体センサ100を小型化することができる。また、送受信部とSPDTスイッチとの間の配線長が短くなるため、クロストークや外乱の影響を低減し、流体センサ100の検出精度を高くすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、上述したように、最短距離の長さeは最大長さE以下である。これは、第1のSPSTスイッチ32-1、第2のSPSTスイッチ32-2、第3のSPSTスイッチ32-3、および第4のSPSTスイッチ32-4を個別に有することで、スイッチの配置自由度が高くなることから得られる作用である。この作用により、実装基板3上における各構成の配置スペースを省スペース化し、流体センサ100を小型化することができる。また、上記作用により、送受信部とSPDTスイッチとの間の配線長が短くなるため、クロストークや外乱の影響を低減し、流体センサ100の検出精度を高くすることができる。さらに、上記作用により、アンプ33と第1のSPSTスイッチ32-1、第2のSPSTスイッチ32-2、第3のSPSTスイッチ32-3、および第4のSPSTスイッチ32-4それぞれとの間における狭い範囲のみをグランドシールドの対象領域にできる。これにより、実装基板3を小型化するとともに、流体センサ100を小型化することができる。
【0054】
図7は、本実施形態に係る第2受信信号r1の第2増幅信号r1aを示す模式図である。オフアイソレーション特性の向上により、送信信号s2がアンプ33に直接入力される現象が低減された結果、アンプ33に直接入力された送信信号s2のアンプ33による増幅信号である増幅信号s2aの電圧が0.1Vp-p以下程度に低減されている。増幅信号s2aの電圧が低減されることで、流体センサ100は、送信信号s2と増幅信号r1aとの間の時間差Δtを高精度に検出でき、風向および風速の検出精度を高くすることができる。
【0055】
本実施形態では、増幅信号r1aにおける振幅変調を近似式で表現し、振幅変調の起点となるタイミングをこの近似式を用いて算出してもよい。このようにすることで、送信信号s2と増幅信号r1aとの間の時間差Δtを正確に求め、風向および風速の検出精度を高くすることができる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳説したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0057】
例えば、本実施形態に係る流体センサは、第1送受信部2-1、第2送受信部2-2、第3送受信部2-3および第4送受信部2-4の4つの送受信部を有する構成に限定されない。本実施形態に係る流体センサは、3つの送受信部を有する構成であっても、流体200の風向および風速それぞれのX方向成分およびY方向成分を求め、流路13を流れる流体200の風向および風速を検出することができる。
【0058】
本実施形態に係る流体センサは、小型でかつ検出精度に優れているので、様々な場所に配置でき、流体の風向および風速を高精度に検出できる。流体センサの応用範囲を広げるとともに、新しい用途を提供することができる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・構造体、11・・・上部部材、111・・・下面、12・・・下部部材、121・・・上面、13・・・流路、1c・・・中心軸、2-1・・・第1送受信部、2-2・・・第2送受信部、2-3・・・第3送受信部、2-4・・・第4送受信部、3・・・実装基板、31-1・・・第1のSPDTスイッチ、31-2・・・第2のSPDTスイッチ、31-3・・・第3のSPDTスイッチ、31-4・・・第4のSPDTスイッチ、32-1・・・第1のSPSTスイッチ、32-2・・・第2のSPSTスイッチ、32-3・・・第3のSPSTスイッチ、32-4・・・第4のSPSTスイッチ、33・・・アンプ、34・・・検出部、35・・・水晶振動子、36・・・サーミスタ、10・・・第1超音波、20・・・第2超音波、30・・・第3超音波、40・・・第4超音波、100・・・流体センサ、200・・・流体、201・・・第1方向、202・・・第2方向、s1・・・第1送信信号、s2・・・第2送信信号、s3・・・第3送信信号、s4・・・第4送信信号、r1・・・第1受信信号、r2・・・第2受信信号、r3・・・第3受信信号、r4・・・第4受信信号、r1a・・・第1増幅信号、r2a・・・第2増幅信号、r3a・・・第3増幅信号、r4a・・・第4増幅信号、d1、d2、d3、d4・・・最短距離、D1、D2、D3、D4・・・最短距離、e・・・長さ、E・・・最大長さ、Δt・・・時間差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7