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特開2024-154991情報処理装置、提案方法および提案プログラム
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  • 特開-情報処理装置、提案方法および提案プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154991
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】情報処理装置、提案方法および提案プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20241024BHJP
   A61B 5/145 20060101ALI20241024BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/145
A61B5/16 200
A61B5/16 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069284
(22)【出願日】2023-04-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】724006126
【氏名又は名称】株式会社SympaFit
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】加治佐 平
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL00
4C038KX02
4C038PP01
4C038PP03
4C038PP05
4C038PS00
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】ユーザのグルコース値に基づいて、ユーザのグルコース値を改善し、ユーザにとっての状態を改善させる提案をする情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザのグルコース値を示す情報と、前記グルコース値が検知された時の前記ユーザの状態を示す情報と、を取得する取得部と、前記取得部が取得したグルコース値に基づいて、前記ユーザに対して、当該グルコース値に対するコメントを提示するコメント部と、前記ユーザの状態における前記ユーザの改善を提案する提案部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのグルコース値を示す情報と、前記グルコース値が検知された時の前記ユーザの状態を示す情報と、を取得する取得部と、
前記取得部が取得したグルコース値に基づいて、前記ユーザに対して、当該グルコース値に対するコメントを提示するコメント部と、
前記ユーザの状態における前記ユーザの改善を提案する提案部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記コメント部は、所定期間におけるグルコース値の平均値に基づいて、前記コメントを提示し、
前記提案部は、当該所定期間におけるグルコース値の平均値に基づいて、前記提案をする
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コメント部は、前記取得部が取得したグルコース値が前記ユーザの睡眠時であり、前記平均値が所定の第1閾値以上である場合に、前記ユーザは、交感神経優位の睡眠をとっているものと判断し、
前記提案部は、熟睡を促すための提案をし、
前記コメント部は、前記取得部が取得したグルコース値が前記ユーザの睡眠時であり、前記平均値が前記所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値以下である場合に、前記ユーザは、副交感神経優位の睡眠をとっているものと判断し、
前記提案部は、改善の必要はないと判断し、前記提案をしない
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コメント部は、前記取得部が取得したグルコース値が前記ユーザの運動時である場合に、前記ユーザが前記運動をするにあたって適した状態か否かを判定して、前記コメントを提示し、
前記提案部は、前記運動をするにあたって前記ユーザにより良いパフォーマンスを発揮させるための提案をする
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コメント部は、所定期間におけるグルコース値の変動値に基づいて、前記コメントを提示し、
前記提案部は、当該所定期間におけるグルコース値の変動値に基づいて、前記提案をする
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記コメント部は、前記取得部が取得したグルコース値が前記ユーザの食事時であって、前記所定期間における前記変動値が所定以上の上昇を示す場合に、食事のとり方に問題があることを示すコメントを提示し、
前記提案部は、食事のとり方の提案をする
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記コメント部は、前記取得部が取得したグルコース値が前記ユーザの運動時である場合に、前記ユーザが前記運動をするにあたって適した状態か否かを判定して、前記コメントを提示し、
前記提案部は、前記運動をするにあたって前記ユーザにより良いパフォーマンスを発揮させるための提案をする
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記コメント部は、所定期間における前記取得部が取得したグルコース値の平均値が、前記ユーザの通常時のグルコース値よりも所定以上低い場合に、前記ユーザが副交感神経優位にリラックスしていることを示すコメントを提示し、
前記提案部は、この状態を維持することを提案する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記コメント部は、前記取得部が取得したグルコース値が第3の閾値以下の状態が所定時間以上続いている場合に、前記ユーザが倦怠感を感じていることを示すコメントを提示し、
前記提案部は、疲労の回復に努めることを提案する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記取得部は、前記ユーザに取り付けられたグルコース値センサから、前記グルコース値を無線通信により受信することで、前記ユーザのグルコース値を示す情報を取得する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータが、
ユーザのグルコース値を示す情報と、前記グルコース値が検知された時の前記ユーザの状態を示す情報と、を取得する取得ステップと、
前記取得ステップが取得したグルコース値に基づいて、前記ユーザに対して、当該グルコース値に対するコメントを提示するコメントステップと、
前記ユーザの状態における前記ユーザの改善を提案する提案ステップと、
を実行する提案方法。
【請求項12】
コンピュータに、
ユーザのグルコース値を示す情報と、前記グルコース値が検知された時の前記ユーザの状態を示す情報と、を取得する取得機能と、
前記取得機能が取得したグルコース値に基づいて、前記ユーザに対して、当該グルコース値に対するコメントを提示するコメント機能と、
前記ユーザの状態における前記ユーザの改善を提案する提案機能と、
を実現させる提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコース値に基づくユーザの状態改善を提案する情報処理装置、提案方法および提案プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極を頭部及び身体に取り付けて、脳波と心電(心拍変動)を測定して、ユーザのコンディションを解析する技術がある。特許文献1には、ユーザの心拍に基づいて、ユーザの睡眠の状態を解析する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-030000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、頭部や身体に電極を取り付ける関係上、上記の測定はユーザが安静にしている状態での測定しかできないのが実情であり、日常における測定には適していないという問題があった。特にアスリートにとっては、日常そして運動時における自身の緊張度合い等を認識できると、運動に向けての各種の対策が取りやすくなるため、そのメリットは計り知れない。
そこで、本発明は、脳波は心拍変動以外の手法を用いて、ユーザのストレスを常時測定し、ユーザにアドバイスすることができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ユーザのグルコース値を示す情報と、グルコース値が検知された時のユーザの状態を示す情報と、を取得する取得部と、取得部が取得したグルコース値に基づいて、ユーザに対して、当該グルコース値に対するコメントを提示するコメント部と、ユーザの状態におけるユーザの改善を提案する提案部と、を備える。
【0006】
また、上記情報処理装置において、コメント部は、所定期間におけるグルコース値の平均値に基づいて、コメントを提示し、提案部は、当該所定期間におけるグルコース値の平均値に基づいて、提案をすることとしてもよい。
【0007】
また、上記情報処理装置において、コメント部は、取得部が取得したグルコース値がユーザの睡眠時であり、平均値が所定の第1閾値以上である場合に、ユーザは、交感神経優位の睡眠をとっているものと判断し、提案部は、熟睡を促すための提案をし、コメント部は、取得部が取得したグルコース値がユーザの睡眠時であり、平均値が所定の第1閾値よりも低い所定の第2閾値以下である場合に、ユーザは、副交感神経優位の睡眠をとっているものと判断し、提案部は、改善の必要はないと判断し、提案をしないこととしてもよい。
【0008】
また、上記情報処理装置において、コメント部は、取得部が取得したグルコース値がユーザの運動時である場合に、ユーザが運動をするにあたって適した状態か否かを判定して、コメントを提示し、提案部は、運動をするにあたってユーザにより良いパフォーマンスを発揮させるための提案をすることとしてもよい。
【0009】
また、上記情報処理装置において、コメント部は、所定期間におけるグルコース値の変動値に基づいて、コメントを提示し、提案部は、当該所定期間におけるグルコース値の変動値に基づいて、提案をすることとしてもよい。
【0010】
また、上記情報処理装置において、コメント部は、取得部が取得したグルコース値がユーザの食事時であって、所定期間における変動値が所定以上の上昇を示す場合に、食事のとり方に問題があることを示すコメントを提示し、提案部は、食事のとり方の提案をすることとしてもよい。
【0011】
また、上記情報処理装置において、コメント部は、取得部が取得したグルコース値がユーザの運動時である場合に、ユーザが運動をするにあたって適した状態か否かを判定して、コメントを提示し、提案部は、運動をするにあたってユーザにより良いパフォーマンスを発揮させるための提案をすることとしてもよい。
【0012】
また、上記情報処理装置において、コメント部は、所定期間における取得部が取得したグルコース値の平均値が、ユーザの通常時のグルコース値よりも所定以上低い場合に、ユーザが副交感神経優位にリラックスしていることを示すコメントを提示し、提案部は、この状態を維持することを提案することとしてもよい。
【0013】
また、上記情報処理装置において、コメント部は、取得部が取得したグルコース値が第3の閾値以下の状態が所定時間以上続いている場合に、ユーザが倦怠感を感じていることを示すコメントを提示し、提案部は、疲労の回復に努めることを提案することとしてもよい。
【0014】
また、上記情報処理装置において、取得部は、ユーザに取り付けられたグルコース値センサから、グルコース値を無線通信により受信することで、ユーザのグルコース値を示す情報を取得することとしてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様に係る提案方法は、コンピュータが、ユーザのグルコース値を示す情報と、グルコース値が検知された時のユーザの状態を示す情報と、を取得する取得ステップと、取得ステップが取得したグルコース値に基づいて、ユーザに対して、当該グルコース値に対するコメントを提示するコメントステップと、ユーザの状態におけるユーザの改善を提案する提案ステップと、を実行する。
【0016】
また、本発明の一態様に係る提案プログラムは、コンピュータに、ユーザのグルコース値を示す情報と、グルコース値が検知された時のユーザの状態を示す情報と、を取得する取得機能と、取得機能が取得したグルコース値に基づいて、ユーザに対して、当該グルコース値に対するコメントを提示するコメント機能と、ユーザの状態におけるユーザの改善を提案する提案機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ユーザのグルコース値に基づいて、その時々の状況に応じて、ユーザのグルコース値を改善するための様々な提案をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図2】センサのユーザへの取付例を示す模式図である。
図3】情報処理テーブルの例を示す図である。
図4】情報処理装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】(a)アプリの第1の表示例を示す画面図である。(b)アプリの第2の表示例を示す画面図である。
図6】就寝中のグルコース値と心拍間隔(交感神経活動)との関係を示すグラフである。
図7図6におけるグルコース値と心拍関係の時系列データの相関を示すグラフである。
図8】複数の被検者のグルコース値と、心拍間隔値の平均相互相関係数を示す表である。
図9】グルコース値の変化例と、その際のイベントを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る情報処理装置100について図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0020】
<実施の形態>
<構成>
図1は、情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。情報処理装置100は、ユーザのグルコース値を示す情報を、ユーザに取り付けたセンサから取得し、当該グルコース値に基づいて、ユーザの状態を解析し、解析した結果をコメントするとともに、必要に応じてユーザの状態を改善するための提案をする。情報処理装置100は、一例として、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェアラブル端末、ノートPC、PCなどによって実現されるコンピュータシステムであってよいが、これらに限定するものではない。図1に示す情報処理装置100は、予め、情報処理装置100の記憶部に記憶されたグルコース値を解析してコメントするアプリケーションを実行することによって、ユーザの状態を解析してコメントすることとしてよい。当該アプリケーションは、ウェブ上のサーバ等からダウンロードしたものであってもよいし、フラッシュメモリ等に記憶されたものを転送されたものであってもよい。また、あるいは、情報処理装置100は、グルコース値を解析してコメントするウェブサーバ等にアクセスし、当該ウェブサーバにグルコース値を随時アップロードし、ウェブサーバにより解析結果を受信して表示することとしてもよく、この場合、当該ウェブサーバがグルコース値に基づいてコメント及び提案をする装置であってよい。本実施形態においては、情報処理装置100の記憶部に記憶されたアプリケーションを実行することにより実現する例を示す。
【0021】
図1に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、入力部120と、制御部130と、記憶部140と、出力部150と、を備える。
【0022】
通信部110は、他の装置と通信を実行するための機能を有する通信インターフェースである。通信部110は、他の装置と通信可能であれば、いずれの通信プロトコルにより通信を行ってもよく、有線、無線のいずれでの通信であってよい。通信部110は制御部130からの指示にしたがって、ユーザに取り付けられたセンサと通信を行う。当該センサは、ユーザのグルコース値を検出するセンサである。図2に示すように、センサ200は、ユーザの上腕に取り付けられてよく、ユーザのグルコース値を検出する。通信部110は、センサ200から逐次、センサ200が検出したグルコース値を受信し、制御部130に伝達する。
【0023】
入力部120は、情報処理装置100のユーザからの入力を受け付けて、制御部130に伝達する機能を有する入力インターフェースである。入力部120は、タッチパネル等のソフトキーにより実現されてもよいし、ハードキーにより実現されてもよい。また、あるいは、入力部120は、音声入力を受け付けるためのマイクであってもよい。また、入力部120は、フラッシュメモリ等の記憶媒体からの入力を受け付けるポートであってもよい。入力部120は、例えば、ユーザからユーザの状態を示す情報の入力を受け付けて制御部130に伝達する。
【0024】
記憶部140は、情報処理装置100が動作上必要とする各種のプログラム及びデータを記憶する機能を有する。記憶部140は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現することができる。記憶部140は、提案プログラム141を記憶している。提案プログラム141は、ユーザのグルコース値に基づいてユーザの状態を解析し、ユーザに適したコメントや提案をするプログラムである。また、提案プログラム141は、そのための制御テーブル142を保持していてよい。制御テーブル142の詳細については後述する。
【0025】
出力部150は、制御部130からの指示にしたがって、情報を出力する。出力部150は、典型的には、モニタによって実現されてよいが、タッチパネル等によって実現されてもよいし、スピーカによって実現されてもよい。また、出力の態様は、通信部110を介した情報の外部装置への通信により実現されてもよい。
【0026】
制御部130は、情報処理装置100の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部130は、シングルコアにより実現されてもよいし、マルチコアにより実現されてもよい。制御部130は、記憶部140に記憶される各種プログラムを実行することで、情報処理装置100としての機能を実現する。制御部130は、提案プログラム141を実行し、ユーザのグルコース値に基づいて、ユーザの状態を解析し、ユーザに適したコメントを表示したり、提案をしたりする。
【0027】
制御部130は、取得部131、コメント部132及び提案部133として機能する。
【0028】
取得部131は、ユーザに取り付けられたセンサにより取得されたユーザのグルコース値の情報を取得する。取得部131は、通信部110を介してユーザに取り付けられたセンサから直接、グルコース値の情報を取得することとしてもよいし、センサにより取得されたセンサにより計測されたグルコース値の情報を保持する他の情報処理装置から取得することとしてもよい。また、取得部131は、グルコース値の情報を取得する際に、当該グルコース値をユーザがどのような状態(例えば、睡眠時、食事時、運動前、運動時、運動後、それ以外の平常時など)にあるときに取得されたのかの情報を入力部120を介してユーザからの入力を介して取得する。取得部131は、取得したグルコース値と、当該グルコース値を取得した際のユーザの情報をコメント部132、提案部133に伝達する。
【0029】
コメント部132は、取得部131から伝達されたグルコース値と、ユーザの状態の情報に基づき、記憶部140に記憶されている制御テーブル142を参照して、ユーザの状態に関するコメントをする。ここで、コメントをするとは、ユーザに対してユーザの状態に関する批評を文章、画像、あるいは、音声によって出力することであってよい。
【0030】
提案部133は、取得部131から伝達されたグルコース値と、ユーザの状態の情報に基づき、記憶部140に記憶されている制御テーブル142を参照して、ユーザの状態における、ユーザの改善を提案する。ユーザの改善を提案するとは、ユーザの状態におけるユーザの体調やモチベーションを改善し得る提案をすることであってよい。より具体的には、ユーザの改善とは、日常生活習慣の改善(食事の仕方や睡眠の質の向上など)であったり、ユーザの様々な状況下における心理状態の持ちようの改善であったり(運動時、終業時などにおけるモチベーションの向上、維持)、ユーザの体調向上を目的とした提案であったりしてよい。提案部133は、文章、画像、あるいは、音声によって、ユーザの改善を提案することとしてよい。
【0031】
以上が、情報処理装置100の構成例である。
【0032】
<データ>
図3は、記憶部140に記憶されているアプリケーションが保持するグルコース値を解析して、コメントするための制御テーブル142の一例であって、制御テーブルの構成例を模式的に示すデータ概念図である。制御テーブル142は、一礼して、ユーザの状態情報301に、グルコース値情報302と、コメント情報303と、提案情報304と、を対応付けたテーブルであってよい。
【0033】
ユーザの状態情報301は、グルコース値情報をユーザが何をしているときに受け付けたのかを示す情報であり、例えば、睡眠時(就寝時)、食事時、運動前(試合前)、運動中(試合後)、休憩時などの状態があってよい。
【0034】
グルコース値情報302は、ユーザに取り付けられたセンサが逐次取得するグルコース値に基づいて、特定されるグルコース値の状態を規定する情報であり、対応するコメントや提案をするためのグルコース値の条件を示す情報である。
【0035】
コメント情報303は、ユーザの状態が対応する状態情報301に示す状態であって、ユーザのグルコース値が、対応するグルコース値情報302に示す条件を満たす場合に、情報処理装置100がユーザに対して出力(表示)するコメント内容の例を示す情報である。
【0036】
提案情報304は、ユーザの状態が対応する状態情報301に示す状態であって、ユーザのグルコース値が、対応するグルコース値情報302に示す条件を満たす場合に、情報処理装置100がユーザに対して出力(表示)する提案内容の例を示す情報である。なお、提案内容は、提案ではなく単なるコメントであってもよく、ユーザにとって良い状態であることが推定できる場合には、提案をする必要は特にないため、提案情報304は、空欄になっていてもよい。
【0037】
以下、各内容について、制御テーブル142の上から順に説明する。
【0038】
制御テーブル142においては、ユーザの状態情報301として、「睡眠時」、「食事時」、「日常」、「運動前(試合前)」、「運動中(試合中)」、「運動後(試合後)」なお、主としてユーザが何をしているときかを示す情報が定義されるが、ユーザの状態情報301は、図3に示すものに限定されない。ユーザの状態を特定できるものであれば、図3に示す状態以外の状態も含まれてよく、その場合のグルコース値情報302、コメント情報303、提案情報304が対応付けられてよい。これらの状態情報301は、ユーザから情報処理装置100に対して入力することで規定されてもよいし、情報処理装置100が推定することとしてもよい。情報処理装置100がユーザの状態を推定する場合には、例えば、時間帯によって推定することとしてもよいし、予めユーザにより規定されたスケジュール情報等を用いて推定することとしてもよいし、グルコース値の変動から推定することとしてもよい。
【0039】
睡眠時のユーザの状態の判定として、睡眠の質を解析することとしてよい。制御テーブル142に示されるように、ユーザが「睡眠時」であって、グルコース値の「平均値が高い」場合には、ユーザは、交感神経優位の睡眠をしていると推定することができる。交感神経優位の睡眠をしている場合には、ユーザは良い睡眠をとれていない可能性が高いので、対応する提案情報に示されるように、情報処理装置100は、「サウナ」を薦めたり、「高酸素ベッド」の使用を薦めたり、「瞑想」を試すことを提案する。なお、グルコース値の平均値が高いとは、現在から所定期間過去に遡った間に取得したグルコース値の平均値が、閾値110mg/dL以上であることとしてよいが、当該閾値は、当該判定をするのに適した任意の値であってよい。
【0040】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「睡眠時」であって、グルコース値の「平均値が低い」場合には、ユーザは、副交感神経優位の睡眠をしていると推定することができるので、情報処理装置100は、その旨をコメントし、このような場合には、特に何かを提案する必要はないので、「良い睡眠でしたね」と表示することとしてよい。
【0041】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「睡眠時」であってグルコース値の「波が高い」場合には、ユーザは、よい睡眠をしていると推定することができる。このような場合には、情報処理装置100は、「頭も体も休まっていますね」とコメントし、「良い睡眠でしたね」と表示することとしてよい。なお、「グルコース値の波が高い」とは、取得した所定期間におけるグルコース値に基づく平均値が所定の閾値以上であり、かつ、その上下動がプラスマイナス10mg/dLの範囲内であることとしてよいが、この数値範囲に限定するものではない。
【0042】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「睡眠時」であってグルコース値の「波が低い」場合には、ユーザは、眠りが浅く、緊張していると推定することができる。このような場合には、情報処理装置100は、「緊張しています。眠りが浅いです」とコメントし、「サウナ」を薦めたり、「高酸素ベッド」の使用を薦めたり、「瞑想」を試したり、「就寝前のグルコース値上昇を抑制」することを提案する。就寝前のグルコース値上昇の抑制とは、一例として、就寝前の1時間以内の飲食を控えたり、興奮するようなテレビ番組を見ることを控えることであったりしてよい。なお、「グルコース値の波が低い」とは、取得した所定期間におけるグルコース値に基づく平均値が所定の閾値以下であり、かつ、その上下動がプラスマイナス10mg/dLの範囲内であることとしてよいが、この数値範囲に限定するものではない。
【0043】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「食事時」であってグルコース値が「急激に上昇」している場合には、ユーザは、健康に「良くない食べ方」をしていると推定することができる。このような場合には、ユーザには、「良くない食べ方」をしている旨をコメントするとともに、例えば、「野菜からとるようにしてください」と提案する。なお、グルコース値の急激な上昇とは、取得したグルコース値が、所定時間内(例えば、過去30分間以内)に、それまでの値よりも所定値以上(例えば、50mq/dL)上昇していることであることとしてよいが、この時間並びに値はあくまで一例である。
【0044】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「食事時」であってグルコース値が「緩やかに上昇している」場合には、ユーザは、「よい食べ方」をしていると推定することができる。このような場合には、ユーザには、「よい食べ方」ができていることをコメントし、食べ方としては問題がないので、そのための改善については特に提案しないこととしてよい。
【0045】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「日常時」であってグルコース値の「上下動が激しい」場合には、ユーザは、「日常的にメンタルが不安定」な状態であると推定することができる。このような場合には、コメント部132としては、メンタルが不安定な状態であることをコメントするように制御テーブル142を構成してもよいが、表現としては和らげて、落ち着けていないなどとコメントするように制御テーブル142は構成されてもよい。そして、ユーザに対する改善の提案としては、「グルコース値の急上昇を抑制する」よう心がけること、そのために、例えば、食事の際に野菜からとることを提案したり、深夜にテレビゲームをすることを控えたり、スマホを見るのを控えたりすることを提案するようにしてよい。
【0046】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「日常時」であってグルコース値が「終始低い」場合には、ユーザは、「日常的に非常にリラックス」できている状態であると推定することができる。このような場合には、ユーザには、「副交感神経優位にリラックスできている」ことをコメントし、可能性が高いので、対応する提案情報に示されるように、を提案する。なお、グルコース値が終始低いとは、例えば、睡眠時、日常時のグルコース値の平均が、通常時の平均値と比較して10mg/dL以上低いこととしてよいが、この数値に限定するものではない。また、通常時の平均値は、過去に取得した所定期間にわたるグルコース値の睡眠時の平均値と、日常時即ち起床時の平均値のことであってよい。
【0047】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「日常時」であってグルコース値が「全体的に低い」場合には、ユーザは、疲労を感じていると推定することができる。このような場合には、ユーザには、「倦怠感を感じている」ことをコメントし、対応する提案情報に示されるように、「強度のつよいトレーニングを控え、回復に努める」ことを提案する。なお、グルコース値が「全体的に低い」とは、取得したグルコース値が、2時間以上70mg/dL以下の状態が続いていることであることとしてよいが、この時間幅及びグルコース値に限定するものではない。
【0048】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動前(試合前)」であってグルコース値が「急激に上昇」している場合には、ユーザは、「緊張している」と推定することができる。このような場合には、ユーザには、「緊張している」ことをコメントし、その緊張をほぐす方法のひとつとして、「余計なことを考えずに一つのことに集中する」ことを提案する。なお、グルコース値の「急激な上昇」とは、取得したグルコース値が、過去30分以内において、50mg/dL以上上昇することであることとしてよいが、時間幅並びに上昇値は一例である。
【0049】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動前(試合前)」であってグルコース値が「徐々に上昇」している場合には、ユーザは、「興奮している」状態であると推定することができる。運動前(試合前)に適度に興奮していることはより良い運動(パフォーマンスを発揮すること)ができることは知られているので、ユーザには、「興奮」していることをコメントし、「良い状態です。体は熱く、頭はクールに行きましょう」と提案する。なお、グルコース値が「徐々に上昇」とは、取得したグルコース値が、過去2時間以内で50~100mg/dLの上昇が検知できることであるとしてよいが、これに限定するものではない。
【0050】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動前(試合前)」であってグルコース値が「じわじわと高い」場合には、ユーザは、「緊張から興奮に持って行っている」状態であると推定することができる。このような場合には、ユーザは、運動に臨むにあたって非常に好ましい状態であると推定することができるので、「緊張から興奮に持っていけている」ことをコメントし、「非常に良い状態」であり、この状態を維持するように提案することとしてよい。なお、グルコース値がじわじわと高いとは、取得したグルコース値が、150~200mg/dLで推移し、一つのピークが来ている状態であることとしてよいが、これに限定するものではない。
【0051】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動前(試合前)」であってグルコース値が「上昇しない」、即ち、緊張している場合には、ユーザは、「緊張」していて本領を発揮できない状態であると推定することができる。このような場合には、ユーザは、「非常に緊張している」旨をコメントし、その緊張をほぐすためにサイキックや呼吸法を試すことを提案する。なお、グルコース値が「上昇しない」とは、取得したグルコース値が、120mg/dL以下であることとしてよいが、これに限定するものではない。
【0052】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動前(試合前)」であってグルコース値が「上昇しない」、即ち、冷静になりすぎている場合には、ユーザは、平常運転であり、より良いパフォーマンスを発揮できない可能性があると推定することができる。このような場合には、ユーザには、「平常運転」であることをコメントし、運動(試合)に好ましい状態でのぞめるように、「集中力を高めましょう。気分の上がる音楽はいかがですか?」と提案することとしてよい。なお、この場合のグルコース値が「上昇しない」とは、取得したグルコース値が、120~140mg/dLの間で推移し、140mg/dL以上にならない状態であることとしてよいが、これに限定するものではない。
【0053】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動中(試合中)」であってグルコース値が「上昇して直前に低下」している場合には、ユーザは、「ゾーン状態」であると推定することができる。ゾーン状態とは、運動をするうえでは最も好ましい状態のことである。このような場合には、ユーザには、「ゾーン状態である」ことをコメントし、対応する提案情報に示されるように、「ゾーンに入った状況を覚えておく」ことを提案する。即ち、ゾーン状態を再現できるようにすることを提案する。なお、グルコース値が「上昇して直前に低下」とは、厳密には、運動前(試合前)にグルコース値が180~220mf/dLまで上昇し、一度ピークを迎えて、一度グルコース値が低下し(ピーク以下の値になる)、運動中(試合中)に再び上昇していくことであってよいが、これに限定するものではない。
【0054】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動中(試合中)」であってグルコース値が「前半にピーク」がきている場合には、ユーザは、運動時間全体において前半に張り切り過ぎていると推定することができる。このような場合には、ユーザには、「アドレナリンを一気に出し過ぎている」ことをコメントし、対応する提案情報に示されるように、「序盤は冷静になるように努める」ことを提案する。なお、グルコース値が「前半にピーク」がくるとは、取得したグルコース値が、運動時間全体(試合時間全体)で見て、グルコース値のピークがその運動時間の半分よりも前にピークがあることであることとしてよい。
【0055】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動中(試合中)」であってグルコース値が「後半にピーク」がきている場合には、後半によりよいパフォーマンスを発揮できた方がよいので、ユーザは、好ましいペース配分ができていると推定することができる。このような場合には、ユーザには、「アドレナリンコントロールができている」とコメントし、対応する提案情報に示されるように、「残りの力を振り絞る」ことを提案する。なお、グルコース値が「後半にピーク」がくるとは、取得したグルコース値が、運動時間全体(試合時間全体)で見て、グルコース値のピークがその運動時間の半分よりも後(後半から終盤にかけて)にピークがあることであることとしてよい。
【0056】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動前(試合中)」であってグルコース値の「数値が高すぎる」場合には、ユーザは、運動(試合)に興奮するあまり、「アドレナリンが出過ぎている」と推定することができる。このような場合には、ユーザには、「アドレナリンが出過ぎている」ことをコメントし、対応する提案情報に示されるように、「頭を冷静にするようこころがける」ことを提案する。なお、グルコース値の「数値が高すぎる」とは、取得したグルコース値が、300mg/dL以上であることとしてよいが、この値に限定するものではない。
【0057】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動前(試合中)」であってグルコース値が「適度に高い」場合には、ユーザは、運動をするのに好ましい状態である(ほどよくアドレナリンが分泌されている)と推定することができる。このような場合には、ユーザには、「アドレナリンが良好」であるとコメントし、対応する提案情報に示されるように、「この時の結果を覚えておく」ことを提案する。運動(試合)をするのに好ましいアドレナリン状態を再現できるようにするためである。なお、グルコース値が「適度に高い」とは、取得したグルコース値が、180~270mg/dLの範囲内にあることであることとしてよいが、この範囲に限定するものではない。
【0058】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動後(試合中)」であってグルコース値が「平常」である場合には、ユーザは、運動をするのにも関わらずアドレナリンを分泌できておらず良いパフォーマンスを発揮できない状態であると推定することができる。このような場合には、ユーザには、「アドレナリンが出ていない」ことをコメントし、対応する提案情報に示されるように、「このときの結果、パフォーマンスを覚えておく」ことを提案する。これは、アドレナリンを分泌してより良い結果が出せたときと比較するときのことを考慮してのことである。なお、グルコース値が「平常」であるとは、取得したグルコース値が、160mg/dL以下であることとしてよいが、この値に限定するものではない。
【0059】
また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「運動後(試合後)」であってグルコース値が「急激に低下」した場合には、ユーザは、運動後の状態として適切な状態であると推定することができる。このような場合には、対応するコメント情報に示されるように、「安定してグルコースが低下している」ことをコメントしてよい。そして、この場合には、ユーザに対しては、改善を提案する必要がないため、提案部133は、改善の提案をしないこととしてよい。
【0060】
なお、図3に示したコメントや提案は、一例である。ユーザのグルコース値及び状態に応じて、適した提案をするのであれば、その他の提案をすることとしてよい。情報処理装置100は、制御テーブル142があることにより、ユーザのおかれている状況下それぞれで取得したグルコース値に応じて、その状況に対して適切なユーザ状態を推測して、コメントし、ユーザを改善するための提案をすることができる。ここでユーザを改善するとは、ユーザの健康状態の改善であったり、ユーザのモチベーションの向上であったり、日常習慣の改善であったり、よりよいパフォーマンスを発揮するための提案をすることであってよい。
【0061】
<動作>
図4は、情報処理装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0062】
図4に示すように、情報処理装置100の通信部110は、ユーザに取り付けられたセンサ200から、グルコース値情報を受信する。そして、制御部130の取得部131は、通信部110が受信したグルコース値情報を取得する(ステップS401)。また、取得部131は、グルコース値情報が示すグルコース値が検知されたときのユーザの状態の情報を入力部120から取得する(ステップS402)。取得部131は、取得したグルコース値情報とユーザの状態の情報と、を制御部130のコメント部132及び提案部133に伝達する。
【0063】
制御部130は、取得部131が取得したグルコース値情報と、これまでに受信したグルコース値情報とに基づいて、現在から過去に遡った所定期間の平均値及びその標準偏差を算出する(ステップS403)。なお、ここで、平均値及び標準偏差は異なる複数の所定期間に対して算出することとしてよく、この場合の所定期間は、制御テーブル142において定められるグルコース値情報302に示される条件において必要なる情報に対応する期間となる。
【0064】
制御部130のコメント部132は、取得部131が取得した現在のグルコース値情報や、算出した平均値、標準偏差に基づいて、ユーザの状態を解析する。そして、解析した結果が、所定の条件、すなわち、制御テーブル142に示すグルコース値情報302に示す条件を満たすか否かを判定する(ステップS404)。
【0065】
そして、解析した結果、ユーザの現在のグルコース値情報が、グルコース値情報302のいずれかに該当する場合に、コメント部132は、対応するコメント情報303を制御テーブル142から抽出し、出力する(ステップS405)。
【0066】
同様に、制御部130の提案部133は、コメント部132が抽出したコメント情報303に対応する提案情報を制御テーブル142から抽出して出力し(ステップS406)、処理を終了する。
【0067】
以上が、情報処理装置100の動作例である。
【0068】
<表示例>
図5(a)、(b)は、情報処理装置100におけるグルコース値に基づくコメントや提案の表示例を示す画面図である。図5(a)、(b)は、あくまで、表示の一例であり、グルコース値に基づくコメントや提案が表示されれば、どのようなレイアウトや表示態様で実現されてもよい。図5(a)、(b)に示すように、情報処理装置100は、グルコース値の推移を示すグラフ1211、1221と、それに対するコメントや提案1212、1222を、出力する。
【0069】
図5(a)は、運動前(試合前)にグルコース値を測定し、その解析結果に基づくコメント及び提案を出力した画面図の例を示している。図5(a)に示すグルコース値の推移を示すグラフ1221では、グルコース値が徐々に上昇していっていることが理解される。この場合、そのユーザは、運動(試合)に際して、よりよい状態で徐々に興奮を高めながら、かつ、興奮しすぎていない状態で運動(試合)に臨もうとしている状態であることが理解される。
【0070】
したがって、このようなグルコース値及びユーザが運動前(試合前)であることの情報の入力を受け付けた場合には、情報処理装置100は、図5(a)に示すように、また、制御テーブル142に示されるように、ユーザが「良い状態である」ことをコメントし、「体は熱く、頭はクールにいきましょう」と提案する。
【0071】
図5(b)は、図5(a)の後に取得されたグルコース値を測定し、その解析結果に基づくコメント及び提案を出力した画面図の例を示している。ここでは、例えば、運動(試合)開始が15時であり、15時45分に終わるものであったとする。図5(b)に示すグルコース値の推移を示すグラフ1222では、15時から15時45分の間の前半にグルコース値のピークが来ていることが理解される。
【0072】
したがって、このようなグルコース値及び運動中(試合中)であることの情報の入力を受け付けた場合には、情報処理装置100は、図5(b)に示すように、また、制御テーブル142に示されるように、「アドレナリンを一気に出し過ぎている」ことをコメントし、「序盤は冷静になるように努めましょう」と提案する。
【0073】
なお、図5に示した表示例はあくまで一例であり、ユーザに対してグルコース値とユーザの状況下に応じたコメントや提案をすることができれば、その出力態様はどのようなものであってもよい。
【0074】
<就寝中のグルコース値と心拍間隔(交感神経活動)との関係について>
図6は、就寝中のグルコース値と心拍間隔(交感神経活動)との関係を示すグラフの例であるとともに、心拍変動に基づいて特定された睡眠との関係を示している。図6は、横軸に時間軸をとり、縦軸に、心拍間隔値及びグルコース値をとった例を示している。図示の通り、心拍間隔の単位は、ミリ秒(msec)であり、グルコース値の単位は、mg/dLである。図6のグラフにおいて、実線は、心拍間隔を示しており、破線は、グルコース値の変動を示している。
【0075】
一般に、心拍変動に基づいて、ユーザがどのような睡眠をとれているのか解析できることが知られている。すなわち、心拍変動は、睡眠の質(レム睡眠/ノンレム睡眠)の評価のパラメータとされている。
【0076】
心拍間隔に基づく心拍変動は、ストレスの指標となることが知られている。そして、図6に示すように、睡眠時において、心拍間隔が高い(心拍間の時間が長い)状態で維持されている場合には、リラックス状態を維持できており、一般に良い睡眠をとれていることも知られている。
【0077】
一方で、図6から、この心拍変動が高い状態で維持されているタイミングにおいては、ユーザのグルコース値が落ち込んでいることが見て取れ、所定時間における平均値が低くなることが理解できる。したがって、ユーザのグルコース値によっても、ユーザの睡眠の状態の良し悪しを推定することができる。
【0078】
このように、心拍変動とグルコース値との関係を解析することで、グルコース値とユーザの睡眠の状態の良し悪しを解析することができ、制御テーブル142におけるコメントや提案の根拠とすることができる。なお、グラフ中の双方向矢印は、心拍変動が高い状態で維持されている状態と、グルコース値の平均値が低い場所との対応関係を示している。
【0079】
図7は、図6におけるグルコース値と、心拍間隔値と、の2つの時系列データの相関を示すグラフである。図7に示すグラフの相関係数は、-0.380であり、やや負の相関があることが認められた。
【0080】
図8に示す表は、被検者4名、延べ26回の就寝中のグルコース値と、心拍間隔値と、の2つの時系列データの相互相関係数を示した表である。全ての被検者のデータから、相関係数が、-0.412と、生物統計学の観点から、かなり強い負の相関が認められた。つまり、グルコース値が下がると、心拍間隔値は上がり、グルコース値が上がると、心拍変動値は下がることが明らかとなった。すなわち、睡眠の質の良し悪しの関係は、心拍間隔値とグルコース値とでは、その高低が逆転することを意味する。つまり、心拍間隔値が高いときは睡眠の質が良い場合が多く、このとき、グルコース値は低くなっていることを意味している。逆に言えば、グルコース値が低くなっているときには、睡眠の質が良いと推定することができる。即ち、情報処理装置100は、グルコース値から、交感神経を評価することができるとも言える。したがって、情報処理装置100は、図5に示す表示において、交感神経の良し悪し、あるいは、睡眠の良し悪し、を評価して表示することとしてもよい。また、交感神経を評価できるということは、ユーザがストレスを感じているかどうか、また、そのストレス圧の高低も評価し、出力することもできる。そして、提案部は、これらの状態を改善するための提案をすることとしてよい。これによって、ユーザは、自身の状態を客観的に認識することができ、自身の状態の改善のための行動指針の根拠とすることができる。
【0081】
<グルコース値と運動の関係について>
図9は、あるユーザの数日間の、午前零時から午前12時までの間に取得されたグルコース値(グルコース)の変動を示すグラフである。図9においては、9月25日から9月30日における主に夜間のグルコース値の変動を測定した結果を示しており、9月30日だけユーザがサウナに行った場合のグルコース値を示している。図示の例では、グルコース値の単位は、mg/dLである。
【0082】
図9に示すグラフから理解されるように、9月30日のグルコース値は、他のサウナに行っていない日のグルコース値と比較して、その平均値が低いことが理解される。通常、サウナに行った場合に、その日の睡眠は深くなることが知られている。逆に言えば、グルコース値が低い(平均値が低く、所定の閾値以下である)場合には、そのユーザは深い眠り、即ち人間にとって疲れのとれやすい良い睡眠ができていることの指標となる。
【0083】
このように、睡眠時のグルコース値は、ユーザの眠りの質にも関連していることが理解でき、グルコース値に基づいて、睡眠の質を推定し、ユーザに対して適切なコメントや提案をすることができる。
【0084】
図6図9から理解されるようにグルコース値およびその変動はユーザの状態における良し悪しを判断する一つの指標となる。即ち、グルコース値を用いて、ユーザの状態における良し悪しを解析し、解析結果に基づいて、ユーザがより良い状態になるための提案をすることができる。
【0085】
<まとめ>
本実施形態に係る情報処理装置100は、ユーザのグルコース値を取得するとともに、そのグルコース値を取得したときのユーザの状態(就寝時、運動前、運動中、運動後、日常など)を示す状態を受け付けることで、そのときのユーザの状態についてコメントするとともに、ユーザを改善するための提案をすることができる。その結果、ユーザは、自身のコントロールをすることができるようになり、例えば、スポーツ選手等であれば、よりよい結果やパフォーマンスを残せるようになることができる。また、情報処理装置100は、グルコース値に基づいて、交感神経の良し悪し、睡眠の良し悪し、あるいは、ストレスの高低などを評価して表示することもでき、その状態の改善をユーザに対して提案することができる。したがって、ユーザは、自身がより快適に日常を過ごすことができるようになる。
【0086】
<補足>
上記実施形態に係る情報処理装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、各構成は、他の手法により実現されてもよい。以下、各種変形例について説明する。
【0087】
(1) 上記実施形態において、制御テーブルは、固定の値として、グルコース値情報を説明しているが、当該グルコース値情報は、適宜ユーザに応じて、補正されてよい。グルコース値の上下幅や最大値、最小値は、ユーザによって異なる。したがって、情報処理装置100の制御部130は、制御テーブルのグルコース値情報を適宜補正するための補正部を備えてよい。上記実施形態に示した制御テーブルのグルコース値情報は、複数のユーザからの情報に基づいて定めた、いわば、平均値の閾値となっている。したがって、記憶部140には、この平均値の基準となるユーザの、グルコース値の平均変動幅、平均最大値、平均最小値の情報を保持していてよい。
【0088】
そして、補正部は、一例として、ユーザから取得したグルコース値の変動や最大値、最小値に応じて、条件を判定するための閾値を補正しても(変動させても)よい。例えば、補正部は、グルコース値の平均最大値や平均最小値が、平均のユーザよりも高いユーザであれば、閾値を全体的に高くなるように補正してもよい。また、あるいは、補正部は、グルコース値の平均変動幅が平均値のユーザの平均変動幅よりも小さい(狭い)場合には、閾値を全体的に中央値寄りになるように補正してもよい。また、補正部は、対象のユーザの24時間(測定時間は任意)の測定平均値と、一般の複数のユーザの24時間(測定時間は任意)の測定平均値との差分をとり、当該差分を閾値に加算(もしくは減算)するように補正してもよい。
【0089】
(2) 上記実施形態において、ユーザの状態情報として、運動前(試合前)、運動中(試合後)を規定する例を示している。しかし、試合前、試合中などは、運動に限らず、何らかの勝負事(例えば、囲碁、将棋、ゲームなど)において共通する可能性がある。よって、上記の試合前や試合後のコメントや提案は、何らかの勝負事を行うユーザに対しても同様に適用できる可能性がある。
【0090】
(3) 上記実施形態において、グルコース値に基づいて、ユーザの状態を解析してその内容をコメントし、状態を改善するための提案をする例を説明した。上記実施形態には示していないが、このユーザの状態の解析結果としては、上記制御テーブルに示した内容以外のものも含まれてもよい。発明者らは、グルコース値情報を収集しているユーザに、ノロウィルスやコロナウィルスに感染したユーザがおり、その感染前から低グルコースが続いていたことから、グルコース値に基づいて、ウィルス性の傷病に罹患した可能性を推定できることを知見した。そこで、例えば、情報処理装置100は、ユーザのグルコース値から、所定時間以上、所定の閾値以下の低グルコースが続いていることを取得した場合には、風邪あるいは何らかのウィルス性の傷病に罹っている可能性があり、その旨をコメントするとともに、念のための通院を提案するように構成されてもよい。
【0091】
(4) 上記実施の形態においては、提案プログラム141は、制御テーブル142を用いて、グルコース値とユーザの状況に基づいて、ユーザの状態をコメントするとともに、ユーザを改善するための提案をする例を示したが、情報処理装置100により当該処理はこの手法に限定するものではない。結果として、ユーザのグルコース値に基づいて、ユーザに対してユーザの状態をコメントし、改善をするための提案をすることができれば、その他の手法により実現されてもよい。例えば、ユーザのグルコース値(あるいは所定期間におけるその変動の情報)及びその時のユーザの状態(就寝、日常、運動前など)と、その際にすることが好ましいコメント及び提案との対応関係を学習した学習モデルを用意する。そして、当該学習モデルに対して、ユーザのグルコース値(あるいは所定期間におけるその変動の情報)及びその時のユーザの状態を当該学習モデルに入力することで、ユーザに対するコメント及び提案を出力するように構成してもよい。即ち、ユーザへのコメントや提案を、機械学習や深層学習などを利用した人工知能を利用することで実現することとしてもよい。
【0092】
(5) 上記実施の形態においては、情報処理装置におけるグルコース値に基づいてコメントや提案をする手法として、情報処理装置100のプロセッサが提案プログラム等を実行することにより、コメント、提案することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能は1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0093】
上記提案プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記提案プログラムは、当該提案プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。つまり、例えば、スマートフォン等の情報処理機器を利用して、ネットワーク上から提案プログラムをダウンロードして実行する構成としてもよい。本発明は、上記提案プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0094】
なお、上記提案プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)、C++、Python、Rなどのオブジェクト指向プログラミング言語などを用いて実装できる。
【0095】
(6)上記実施形態および補足に示す各種の構成は適宜組み合わせることとしてよい。
【符号の説明】
【0096】
100 情報処理装置
110 通信部
120 入力部
130 制御部
131 取得部
132 コメント部
133 提案部
140 記憶部
141 提案プログラム
142 制御テーブル
150 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9