(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154996
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H05B6/12 317
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069302
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聖也
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151CA87
(57)【要約】
【課題】加熱コイル及び制御部を好適に冷却しつつ、静粛性に優れた加熱調理装置を提供する。
【解決手段】本発明の加熱調理装置100は、加熱コイル5、加熱器9、冷却ファン15及び制御装置17等を備えている。制御装置17は、加熱コイル5及び制御装置17の作動状況に応じて加熱コイル5及び制御装置17に対する冷却の要否を判断するとともに、加熱コイル5に送風される冷却風の風量と制御装置17に送風される冷却風の風量とを判断する。冷却ファン15は、加熱器9が被加熱物を加熱中であって、かつ、制御装置17が少なくとも加熱コイル5の冷却が必要と判断した場合には、加熱コイル5に対する冷却風の送風を開始、又は、加熱コイル5に送風される冷却風の風量を増大させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の上部に設けられた天板と、
前記筐体の内部に設けられ、前記天板上の被加熱物を電磁誘導によって加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルとは別体をなし、前記加熱コイルとは異なる位置で前記被加熱物を加熱する加熱器と、
冷却風を前記筐体の内部に送風可能な冷却ファンと、
前記筐体の内部に設けられ、前記加熱コイル、前記加熱器及び前記冷却ファンを制御する制御部と、
前記加熱コイル及び前記制御部の作動状況に応じて前記加熱コイル及び前記制御部に対する冷却の要否を判断するとともに、前記加熱コイルに送風される前記冷却風の風量と、前記制御部に送風される前記冷却風の風量とを判断する判断部と、
前記判断部の判断に基づいて前記加熱コイル及び前記制御部に前記冷却風を送風しつつ、前記加熱コイルに送風される前記冷却風の風量と、前記制御部に送風される前記冷却風の風量とを調整可能な送風調整手段とを備え、
前記送風調整手段は、前記加熱器が前記被加熱物を加熱中であって、かつ、前記判断部が少なくとも前記加熱コイルの冷却が必要と判断する場合に、前記加熱コイルに対する前記冷却風の送風を開始、又は、前記加熱コイルに送風される前記冷却風の風量を増大させることを特徴とする加熱調理装置。
【請求項2】
前記冷却ファンは、前記加熱コイルに前記冷却風を送風可能な第1冷却ファンと、前記制御部に前記冷却風を送風可能な第2冷却ファンとを有し、
前記第1冷却ファン及び前記第2冷却ファンは前記送風調整手段を兼ねており、
前記第1冷却ファンは、前記加熱器が前記被加熱物を加熱中であって、かつ、前記判断部が前記加熱コイルの冷却が必要と判断する場合に、前記加熱コイルへの前記冷却風の送風を開始又は前記風量を増大させる請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項3】
前記送風調整手段は、前記冷却風の送風方向を変更することによって、前記加熱コイル及び前記制御部に送風される前記冷却風の風量を調整する風向き変更部材を有している請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項4】
筐体と、
前記筐体の上部に設けられた天板と、
前記筐体の内部に設けられ、前記天板上の被加熱物を電磁誘導によって加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルとは別体をなし、前記加熱コイルとは異なる位置で前記被加熱物を加熱する加熱器と、
冷却風を前記筐体の内部に送風可能な冷却ファンと、
前記筐体の内部に設けられ、前記加熱コイル、前記加熱器及び前記冷却ファンを制御する制御部と、
前記加熱コイル及び前記制御部の作動状況に応じて前記加熱コイル及び前記制御部に対する冷却の要否を判断するとともに、前記加熱コイルに送風される前記冷却風の風量と、前記制御部に送風される前記冷却風の風量とを判断する判断部と、
前記判断部の判断に基づいて前記加熱コイル及び前記制御部に前記冷却風を送風しつつ、前記加熱コイルに送風される前記冷却風の風量と、前記制御部に送風される前記冷却風の風量とを調整可能な送風調整手段とを備え、
前記送風調整手段は、前記加熱器が前記被加熱物を加熱中であって、かつ、前記判断部が少なくとも前記制御部の冷却が必要と判断する場合に、前記制御部に対する前記冷却風の送風を開始、又は、前記制御部に送風される前記冷却風の風量を増大させることを特徴とする加熱調理装置。
【請求項5】
前記制御部の温度を検出する検出部を備え、
前記判断部は、前記検出部が検出した前記制御部の温度が予め設定された設定温度に達していれば、前記加熱器及び前記加熱コイルによる前記被加熱物の加熱が行われていなくても前記制御部の冷却が必要と判断するとともに、前記制御部に送風される前記冷却風の風量を判断する請求項4記載の加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の加熱調理装置が開示されている。この加熱調理装置は、筐体と、天板と、2つの加熱コイルと、加熱器と、冷却ファンと、制御部とを備えている。筐体は、上部が開口した略矩形の箱状に形成されている。天板は筐体の上部に設けられている。天板には被加熱物が載置される。各加熱コイルは互いに離隔した状態で筐体の内部に設けられている。
【0003】
加熱器は、各加熱コイルとは別体で筐体の内部に設けられている。この加熱調理装置において、加熱器は具体的にはロースターである。冷却ファン及び制御部も筐体の内部に設けられている。冷却ファンは、各加熱コイル及び制御部に向けて冷却風を送風する。制御部は各加熱コイル及び制御部の冷却を行う。
【0004】
この加熱調理装置において、例えば各加熱コイルによって被加熱物の加熱を行う場合、制御部が各加熱コイルに給電を行いつつ、各加熱コイルの制御を行う。これにより、各加熱コイルは、天板上に載置された被加熱物を電磁誘導によって加熱する。ここで、制御部は、各加熱コイルへの給電を含め、各加熱コイルの制御を行うことで発熱する。また、各加熱コイルも被加熱物からの伝熱によって発熱する他、制御部から給電を受けることで発熱する。
【0005】
この点、この加熱調理装置では、各加熱コイルに給電が行われると同時に冷却ファンが作動する。こうして、この加熱調理装置では、冷却ファンから各加熱コイル及び制御部に向けて送風された冷却風によって、各加熱コイル及び制御部の冷却が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の加熱調理装置では、加熱コイルによる被加熱物の加熱が開始されれば、各加熱コイル又は制御部がさほど発熱していない状態であっても、冷却ファンが常に作動し、冷却風を各加熱コイル及び制御部に送風する。この際、各加熱コイル及び制御部の両方に冷却風を送風し得る風量を確保するため、この加熱調理装置では、冷却ファンの回転数が多くなる。このため、この加熱調理装置では、冷却ファンの作動音が大きくなる。
【0008】
また、この加熱調理装置では、加熱器によって被加熱物の加熱が行われる場合、加熱器で生じた熱によって制御部の周囲の温度が上昇することから、これによって制御部が昇温する。そこで、冷却風によって制御部の冷却が行われるものの、この際、各加熱コイルでは被加熱物の加熱が行われていなくても、冷却ファンは、各加熱コイル及び制御部の両方に冷却風を送風する。この点においても、この加熱調理装置では、冷却ファンの作動音が大きくなる。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、加熱コイル及び制御部を好適に冷却しつつ、静粛性に優れた加熱調理装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の加熱調理装置は、筐体と、
前記筐体の上部に設けられた天板と、
前記筐体の内部に設けられ、前記天板上の被加熱物を電磁誘導によって加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルとは別体をなし、前記加熱コイルとは異なる位置で前記被加熱物を加熱する加熱器と、
冷却風を前記筐体の内部に送風可能な冷却ファンと、
前記筐体の内部に設けられ、前記加熱コイル、前記加熱器及び前記冷却ファンを制御する制御部と、
前記加熱コイル及び前記制御部の作動状況に応じて前記加熱コイル及び前記制御部に対する冷却の要否を判断するとともに、前記加熱コイルに送風される前記冷却風の風量と、前記制御部に送風される前記冷却風の風量とを判断する判断部と、
前記判断部の判断に基づいて前記加熱コイル及び前記制御部に前記冷却風を送風しつつ、前記加熱コイルに送風される前記冷却風の風量と、前記制御部に送風される前記冷却風の風量とを調整可能な送風調整手段とを備え、
前記送風調整手段は、前記加熱器が前記被加熱物を加熱中であって、かつ、前記判断部が少なくとも前記加熱コイルの冷却が必要と判断する場合に、前記加熱コイルに対する前記冷却風の送風を開始、又は、前記加熱コイルに送風される前記冷却風の風量を増大させることを特徴とする。
【0011】
本発明の第1の加熱調理装置では、加熱コイルによって被加熱物の加熱が行われれば、制御部は加熱コイルの制御を行うことで発熱する。また、加熱コイルは、通電によって発熱する他、加熱された被加熱物の熱の影響を受けることで発熱、すなわち昇温する。さらに、加熱器によって被加熱物の加熱が行われる場合についても、加熱器で生じた熱によって制御部の周囲の温度が上昇することから制御部が昇温する。さらに、この加熱調理装置では、判断部は、加熱コイル及び制御部の作動状況に応じて、加熱コイル及び制御部に対する冷却の要否を判断するとともに、加熱コイルに送風される冷却風と制御部に送風される冷却風の風量とをそれぞれ判断する。そして、送風調整手段は、判断部の判断に基づいて加熱コイル及び制御部に冷却風を送風しつつ、加熱コイルに送風される冷却風の風量と制御部に送風される冷却風の風量とをそれぞれ調整する。
【0012】
ここで、この加熱調理装置において、例えば、加熱器によって被加熱物の加熱が行われる一方で加熱コイルは非作動である場合、判断部は、非作動の加熱コイルについては冷却の必要性が少ないと判断し得る。そこで、このような場合には、判断部は、加熱コイルに送風される冷却風の風量を減少させると判断し得る他、加熱コイルに送風される冷却風の風量をゼロにすると判断し得る。このため、送風調整手段は、加熱コイルに送風される冷却風の風量を減少させたり、加熱コイルに冷却風が送風されなくしたりする。これにより、この加熱調理装置では、加熱コイル及び制御部の両方に常に冷却風が送風される場合に比べて、冷却ファンの回転数が増大することを抑制できる。
【0013】
ところで、この加熱調理装置では、加熱器によって被加熱物の加熱が行われれば、発熱した加熱器の影響を受けることにより、加熱コイルが昇温する場合があり得る。このような場合、加熱コイルがたとえ非作動であっても、判断部は加熱コイルの冷却が必要と判断する。これにより、送風調整手段は、加熱コイルに対する冷却風の送風を開始したり、また、既に、加熱コイルに一定の風量で冷却風を送風している場合には、加熱コイルに送風される冷却風の風量を増大させたりする。こうして、この加熱調理装置では、加熱器が被加熱物の加熱を行うことに起因して加熱コイルが過度に昇温することも防止できる。
【0014】
また、この加熱調理装置では、加熱コイルによって被加熱物の加熱が行われている場合であっても、加熱コイル及び制御部の作動状況に応じて、例えば、判断部は、制御部に比べて加熱コイルに対する冷却の必要性が少ないと判断すれば、判断部は、加熱コイルに送風される冷却風の風量を減少させると判断し得る。これにより、その判断部の判断に基づいて、送風調整手段は加熱コイルに送風される冷却風の風量と制御部に送風される冷却風の風量とをそれぞれ調整する。すなわち、この場合には、送風調整手段は、加熱コイル及び制御部の両方に冷却風を送風しつつも、加熱コイルに送風される冷却風の風量が減少するように調整する。また、加熱コイルによる被加熱物の加熱時間が一定時間を経過する等、加熱コイルに対する冷却の必要性が増大したと判断部が判断すれば、判断部は、加熱コイルに送風される冷却風の風量を増大させると判断し得る。これにより、その判断部の判断に基づいて、送風調整手段は、加熱コイル及び制御部の両方に冷却風を送風しつつも、上述の場合よりも、加熱コイルに送風される冷却風の風量が増大するように調整する。これらにより、この加熱調理装置では、加熱コイル及び制御部の作動状況に適した冷却風の風量で加熱コイル及び制御部を冷却することができる。
【0015】
したがって、本発明の第1の加熱調理装置は、加熱コイル及び制御部を好適に冷却しつつ、静粛性に優れている。
【0016】
また、この種の加熱調理装置では、加熱コイルによって加熱される際の被加熱物の温度を検出する調理温度センサが設けられることが一般的である。しかし、冷却風によって加熱コイルが過剰に冷却されると、調理温度センサが冷却風の影響を過度に受けてしまい被加熱物の温度を正確に検出し得なくなるおそれがある。この点、本発明の第1の加熱調理装置によれば、加熱コイルに送風される冷却風の風量を調整できるため、加熱コイルが過剰に冷却されることを防止できる。これにより、上述のような調理温度センサを設けた場合であっても、調理温度センサは冷却風の影響を受け難く、被加熱物の温度を好適に検出することができる。
【0017】
冷却ファンは、加熱コイルに冷却風を送風可能な第1冷却ファンと、制御部に冷却風を送風可能な第2冷却ファンとを有し得る。また、第1冷却ファン及び第2冷却ファンは送風調整手段を兼ね得る。そして、第1冷却ファンは、加熱器が被加熱物を加熱中であって、かつ、判断部が加熱コイルの冷却が必要と判断する場合に、加熱コイルへの冷却風の送風を開始又は風量を増大させることが好ましい。
【0018】
この場合には、第1冷却ファンによって加熱コイルを好適に冷却することができるととともに、第2冷却ファンによって制御部を好適に冷却することができる。また、第1冷却ファン及び第2冷却ファンが送風調整手段を兼ねることにより、送風調整手段の構成を簡素化しつつ、加熱コイル及び制御部に対して冷却風をそれぞれ好適に送風できる。
【0019】
また、送風調整手段は、冷却風の送風方向を変更することによって、加熱コイル及び制御部に送風される冷却風の風量を調整する風向き変更部材を有していることも好ましい。
【0020】
この場合にも、送風調整手段の構成を簡素化しつつ、加熱コイル及び制御部に対して冷却風をそれぞれ好適に送風できるため、加熱コイル及び制御部を好適に冷却することができる。
【0021】
本発明の第2の加熱調理装置は、筐体と、
前記筐体の上部に設けられた天板と、
前記筐体の内部に設けられ、前記天板上の被加熱物を電磁誘導によって加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルとは別体をなし、前記加熱コイルとは異なる位置で前記被加熱物を加熱する加熱器と、
冷却風を前記筐体の内部に送風可能な冷却ファンと、
前記筐体の内部に設けられ、前記加熱コイル、前記加熱器及び前記冷却ファンを制御する制御部と、
前記加熱コイル及び前記制御部の作動状況に応じて前記加熱コイル及び前記制御部に対する冷却の要否を判断するとともに、前記加熱コイルに送風される前記冷却風の風量と、前記制御部に送風される前記冷却風の風量とを判断する判断部と、
前記判断部の判断に基づいて前記加熱コイル及び前記制御部に前記冷却風を送風しつつ、前記加熱コイルに送風される前記冷却風の風量と、前記制御部に送風される前記冷却風の風量とを送風可能な送風調整手段とを備え、
前記送風調整手段は、前記加熱器が前記被加熱物を加熱中であって、かつ、前記判断部が少なくとも前記制御部の冷却が必要と判断する場合に、前記制御部に対する前記冷却風の送風を開始、又は、前記制御部に送風される前記冷却風の風量を増大させることを特徴とする。
【0022】
本発明の第2の加熱調理装置でも、第1の加熱調理装置と同様、判断部は、加熱コイル及び制御部の作動状況に応じて、加熱コイル及び制御部に対する冷却の要否を判断するとともに、加熱コイルに送風される冷却風の風量と制御部に送風される冷却風の風量とをそれぞれ判断する。そして、送風調整手段は、判断部の判断に基づいて加熱コイル及び制御部に冷却風を送風しつつ、加熱コイルに送風される冷却風の風量と制御部に送風される冷却風の風量とをそれぞれ調整する。
【0023】
ここで、この加熱調理装置において、加熱器によって被加熱物の加熱が行われている場合であっても、制御部の作動状況によっては、例えば、判断部が制御部に対する冷却の必要性がさほど大きくないと判断し、制御部に送風される冷却風の風量を減少させると判断し得る。これにより、送風調整手段は、その判断部の判断に基づいて制御部に送風される冷却風の風量を調整する。この際、判断部が制御部に送風される冷却風の風量をゼロにすると判断すれば、送風調整手段は、制御部に冷却風が送風されなくすることもできる。これにより、この加熱調理装置でも、冷却ファンの回転数が増大することを抑制できる。
【0024】
また、このように、制御部に送風される冷却風の風量が少ない状態、又は、制御部に冷却風が送風されない状態において、加熱器が被加熱物の加熱を行った結果、判断部が制御部の冷却が必要と判断すれば、送風調整手段は制御部に対する冷却風の送風を開始、又は、制御部に送風される冷却風を増大させる。これにより、この加熱調理装置では、冷却風によって制御部を好適に冷却することができる。
【0025】
さらに、この加熱調理装置では、加熱コイルによって被加熱物の加熱が行われている場合であっても、加熱コイル及び制御部の作動状況に応じて、例えば、判断部は、制御部に対する冷却の必要性が少ないと判断すれば、判断部は、制御部に送風される冷却風の風量を減少させると判断する。これにより、その判断部の判断に基づいて、送風調整手段は加熱コイルに送風される冷却風の風量と制御部に送風される冷却風の風量とをそれぞれ調整する。すなわち、この場合には、送風調整手段は、加熱コイル及び制御部の両方に冷却風を送風しつつも、制御部に送風される冷却風の風量が減少するように調整する。また、加熱コイルの制御が継続される等により、判断部が制御部に対する冷却の必要性が増大したと判断すれば、判断部は、制御部に送風される冷却風の風量を増大させると判断する。これにより、その判断部の判断に基づいて、送風調整手段は、加熱コイル及び制御部の両方に冷却風を送風しつつも、上述の場合よりも、制御部に送風される冷却風の風量が増大するように調整する。これらにより、この加熱調理装置でも、加熱コイル及び制御部の作動状況に適した冷却風の風量で加熱コイル及び制御部を冷却することができる。
【0026】
したがって、本発明の第2の加熱調理装置は、加熱コイル及び制御部を好適に冷却しつつ、静粛性に優れている。
【0027】
本発明の第2の加熱調理装置は、制御部の温度を検出する検出部を備え得る。そして、判断部は、検出部が検出した制御部の温度が予め設定された設定温度に達していれば、加熱器及び加熱コイルによる被加熱物の加熱が行われていなくても制御部の冷却が必要と判断するとともに、制御部に送風される冷却風の風量を判断することが好ましい。
【0028】
加熱器による被加熱物の加熱が終了した後でも、高温の加熱器の影響を受けて制御部は昇温し得る。また、加熱コイル及び加熱器が被加熱物の加熱を行っていなくても、外気温等の影響を受けることで制御部は昇温し得る。この点、この加熱調理装置では、制御部の温度が設定温度に達すれば、たとえ加熱器及び加熱コイルによる被加熱物の加熱が行われていなくても、判断部は制御部の冷却が必要と判断するとともに、制御部に送風される冷却風の風量を判断する。これにより、送風調整手段は、制御部の判断に基づいた風量で制御部に冷却風を送風するため、制御部を好適に冷却することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の第1の加熱調理装置は、加熱コイル及び制御部を好適に冷却しつつ、静粛性に優れている。また、本発明の第2の加熱調理装置は、加熱コイル及び制御部を好適に冷却しつつ、静粛性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、実施例1の加熱調理装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1の加熱調理装置に係り、天板を除いた状態で筐体、制御部、第1加熱コイル、第2加熱コイル、第1冷却ファン及び第2冷却ファン等を上方から見た模式平面図である。
【
図3】
図3は、実施例1の加熱調理装置に係り、冷却風によって制御部、第1加熱コイル及び第2加熱コイルがそれぞれ冷却されている状態を示す
図2と同様の模式平面図である。
【
図4】
図4は、実施例1の加熱調理装置に係り、冷却風によって制御部、第1加熱コイル及び第2加熱コイルがそれぞれ冷却されている状態を示す
図2と同様の模式平面図である。
【
図5】
図5は、実施例2の加熱調理装置に係り、天板を除いた状態で筐体、制御部、第1加熱コイル、第2加熱コイル、冷却ファン及び送風調整手段等を上方から見た模式平面図である。
【
図6】
図6は、実施例2の加熱調理装置に係り、
図5のA-A断面を示す要部拡大断面図である。
【
図7】
図7は、実施例2の加熱調理装置に係り、冷却風によって制御部、第1加熱コイル及び第2加熱コイルがそれぞれ冷却されている状態を示す
図5と同様の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0032】
(実施例1)
実施例1の加熱調理装置100は、
図1に示す筐体1と、天板3と、第1加熱コイル5と、第2加熱コイル7と、加熱グリル9と、コンロバーナ11と、第1冷却ファン13と、第2冷却ファン15と、制御装置17と、
図2に示す温度センサ19とを備えている。
【0033】
第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7は、本発明における「加熱コイル」の一例である。加熱グリル9は、本発明における「加熱器」の一例である。第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15は、本発明における「冷却ファン」及び「送風調整手段」の一例である。制御装置17は、本発明における「制御部」及び「判断部」の一例である。温度センサ19は、本発明における「検出部」の一例である。
【0034】
本実施例では、
図1に示す矢印によって、加熱調理装置100の前後方向及び上下方向を規定している。また、本実施例では、加熱調理装置100の使用者(図示略)が加熱調理装置100に対して前方から正対した際を基準として、使用者の右方を加熱調理装置100の右方とし、使用者の左方を加熱調理装置100の左方として、加熱調理装置100の左右方向を規定している。これらの前後方向、上下方向及び左右方向は互いに直交している。そして、
図2以降では、
図1に対応して加熱調理装置100の前後方向、上下方向及び左右方向を規定している。
【0035】
図1~
図4に示すように、筐体1は、前壁1aと、後壁1bと、右壁1cと、左壁1dと、底壁1eとを有している。前壁1aは筐体1の前端に位置しており、左右方向及び上下方向に延びる矩形の板状をなしている。後壁1bは筐体1の後端に位置しており、左右方向及び上下方向に延びる矩形の板状をなしている。前壁1aと後壁1bとは前後方向に離隔して配置されており、左右方向で互いに平行となっている。これにより、前壁1aは筐体1の前部を構成しており、後壁1bは筐体1の後部を構成している。また、前壁1aは、第1、2加熱コイル5、7、コンロバーナ11、第1、2冷却ファン13、15及び制御装置17よりも前方に位置している。
【0036】
右壁1cは前壁1aと後壁1bとの間であって、筐体1の右端に位置している。右壁1cは、前後方向及び上下方向に延びる矩形の板状をなしており、前端が前壁1aの右端に接続しているとともに、後端が後壁1bの右端に接続している。左壁1dは前壁1aと後壁1bとの間であって、筐体1の左端に位置している。左壁1dは、前後方向及び上下方向に延びる矩形の板状をなしており、前端が前壁1aの左端に接続しているとともに、後端が後壁1bの左端に接続している。こうして、右壁1c及び左壁1dは、左右方向に離隔しつつ前後方向で互いに平行となっており、それぞれ筐体1の右側部及び左側部を構成している。
【0037】
底壁1eは、前後方向及び左右方向に延びる板状をなしており、前壁1a、後壁1b、右壁1c及び左壁1dの間に配置されている。底壁1eは、前端が前壁1aの下部に接続しており、後端が後壁1bの下部に接続しており、右端が右壁1cの下部に接続しており、左端が左壁1dの下部に接続している。これにより、底壁1eは、前壁1a、後壁1b、右壁1c及び左壁1dによって周囲を囲まれつつ、筐体1の底部を構成している。
【0038】
これらの前壁1a、後壁1b、右壁1c、左壁1d及び底壁1eにより、筐体1は、上部が開口する略矩形の箱状をなしている。ここで、筐体1では、前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長い矩形状をなしている。なお、筐体1における前後方向、左右方向及び上下方向の各長さは適宜設計可能である。
【0039】
図1に示すように、前壁1aには、第1操作部41a及び第2操作部41bが設けられている他、開口部91が形成されている。第1操作部41aは、複数の操作ボタン411と一つの液晶パネル412とで構成されている。第1操作部41aは第1、2加熱コイル5、7の操作が可能となっている他、加熱グリル9の操作が可能となっている。第2操作部41bは操作ダイヤルによって構成されており、コンロバーナ11の操作が可能となっている。これらの第1、2操作部41a、41bにおける各構成の他、前壁1aにおける第1、2操作部41a、41bの位置は適宜設計可能である。また、第1操作部41aを天板3に設けても良い。さらに、第1、2加熱コイル5、7、加熱グリル9及びコンロバーナ11の操作が可能な一つの操作部を前壁1aに設けても良く、第1、2加熱コイル5、7、加熱グリル9及びコンロバーナ11に個別に対応した4つの操作部を前壁1aに設けても良い。また、第1、2加熱コイル5、7及び加熱グリル9の何れかが操作ダイヤルによって操作されても良く、コンロバーナ11が操作ボタンによって操作されても良い。さらに、第1操作部41aの一部が加熱グリル9の左側に配置されたり、第2操作部41bが加熱グリル9の左側に配置されたりしても良い。
【0040】
開口部91は、第2操作部41bよりも左方に配置されている。開口部91は、前壁1aにおいて矩形状に開口している。なお、
図2等では、説明を容易にするため、第1、2操作部41a、41bの図示を省略している。
【0041】
また、
図2~
図4に示すように、後壁1bには、第1通気部21aと第2通気部21bとが設けられている。第1通気部21aと第2通気部21bとは、左右方向に所定の間隔を設けて配置されている。第1通気部21a及び第2通気部21bは、それぞれ後壁1bを前後方向に貫通する複数個の通気口211によって構成されている。これらの第1、2通気部21a、21bを通じて、筐体1の内部と外部とが連通している。なお、第1通気部21a及び第2通気部21bの一方を省略しても良い。
【0042】
図1に示すように、天板3は矩形の板状に形成されている。より具体的には、天板3は、筐体1の形状に対応するように、前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長い矩形の板状をなしている。
【0043】
天板3は、筐体1の上部に固定されており、筐体1の内部を上方から覆っている。また、天板3の左後部には、排気口3aが形成されている。排気口3aは、前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長い矩形状に形成されており、天板3を上下方向に貫通している。これにより、排気口3aは、天板3が筐体1の上部に固定された状態において、筐体1の内部と外部とを連通している。なお、天板3における排気口3aの位置の他、排気口3aの形状は適宜設計可能である。また、排気口3aを筐体1の後壁1b等に形成しても良い。
【0044】
また、天板3には、排気カバー30が取り付けられている。排気カバー30は、排気口3aに対応する矩形状をなしており、排気口3aを上方から覆っている。また、排気カバー30には複数個のパンチ孔301が形成されている。
【0045】
さらに、天板3には、第1ガイドマーク31及び第2ガイドマーク32が設けられている。第1ガイドマーク31及び第2ガイドマーク32は、同一の円環状をなしており、天板3において、コンロバーナ11よりも左方であって、排気口3aよりも前方に位置している。また、第1ガイドマーク31と第2ガイドマーク32とは前後方向及び左右方向に離隔して配置されている。これにより、第1ガイドマーク31は、第2ガイドマーク32よりも右後方に配置されている。
【0046】
また、天板3には、第1調理温度センサ33及び第2調理温度センサ34が設けられている。第1調理温度センサ33は第1ガイドマーク31の内側に配置されており、第2調理温度センサ34は第2ガイドマーク32の内側に配置されている。
【0047】
第1調理温度センサ33は、天板3において第1ガイドマーク31の内側に配置された被加熱物(図示略)の温度を検出可能となっている。同様に、第2調理温度センサ34は、天板3において第2ガイドマーク32の内側に配置された被加熱物の温度を検出可能となっている。より具体的には、第1、2調理温度センサ33、34は、被加熱物が収容されたフライパンや鍋等の調理容器(図示略)を通じて被加熱物の温度を検出する。なお、第1、2調理温度センサ33、34の構成は公知の調理温度センサと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0048】
図2~
図4に示すように、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7は、筐体1の内部に設けられている。より具体的には、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7は、前壁1aよりも後方であって、第1、2冷却ファン13、15よりも前方に位置している。また、第1加熱コイル5は筐体1の内部において、天板3の第1ガイドマーク31の真下となる位置に配置されている。一方、第2加熱コイル7は筐体1の内部において、第2ガイドマーク32の真下となる位置に配置されている。こうして、第1加熱コイル5は、筐体1の内部において第2加熱コイル7よりも右後方に配置されている。
【0049】
第1加熱コイル5と第2加熱コイル7とは同一の構成であり、同一の性能を有している。また、これらの第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7は、いずれも公知の加熱コイルと同様の構成であるため構成に関する詳細な説明は省略する。なお、第1加熱コイル5と第2加熱コイル7とで大きさが異なっていたり、性能が異なったりしていても良い。
【0050】
加熱グリル9は、加熱庫9aと、グリル扉9bと、
図1に示すグリルトレー9cとを有している。
図2~
図4に示すように、加熱庫9aは、前後方向及び左右方向に延びる略矩形の箱状に形成されている。加熱庫9aは前端が開口している。図示を省略するものの、加熱庫9aには、複数のガスバーナが設けられている。各ガスバーナは、筐体1の外部から供給された燃料ガスを燃焼させる。
【0051】
加熱庫9aは筐体1の内部に設けられている。より具体的には、加熱庫9aは、筐体1の内部における左方であって、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7よりも下方となる位置に設けられている。また、加熱庫9aの前端は前壁1aの開口部91に臨んでいる。これにより、加熱庫9aの内部空間は、開口部91を通じて筐体の外部と連通している。また、詳細な図示を省略するものの、加熱庫9aの内部空間は、排気筒を通じて排気口3aと連通している。これにより、内部空間の空気は、排気口3aから筐体1の外部に排出されるようになっている。
【0052】
グリル扉9bは、前壁1aに対して前後方向に移動可能に設けられている。
図1において実線で示すように、グリル扉9bは、最も後方に移動することにより、開口部91を閉鎖可能となっている。グリルトレー9cは、グリル扉9bと連結されている。
図1において二点鎖線で示すように、グリルトレー9cは、グリル扉9bの前後方向の移動に伴って、筐体1に対して前後方向に移動可能となっている。グリルトレー9cには、被加熱物を収容した調理容器が載置される。これにより、加熱グリル9は、各ガスバーナによって、加熱庫9a内の被加熱物を加熱する。
【0053】
コンロバーナ11は天板3に設けられている。より具体的には、コンロバーナ11は、天板3において、第1、2ガイドマーク31、32、ひいては第1、2加熱コイル5、7よりも右方に設けられている。
【0054】
また、天板3には、コンロバーナ11を囲うように五徳11aが設けられている。五徳11aには、被加熱物を収容した調理容器が載置される。コンロバーナ11は、筐体1の外部から供給された燃料ガスを燃焼させる。これにより、コンロバーナ11は、被加熱物を加熱する。なお、天板3に複数のコンロバーナ11が設けられても良い。また、コンロバーナ11を省略しても良い。
【0055】
また、図示を省略するものの、筐体1の内部には、火力調整弁等の制御弁が設けられている。制御弁は、加熱グリル9のガスバーナ及びコンロバーナ11に対する燃料ガスの供給量等を調整可能である。
【0056】
図2~
図4に示すように、第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15は、互いに左右方向に離隔した状態で筐体1の内部に設けられている。より具体的には、第1冷却ファン13は、加熱グリル9の加熱庫9aの右方であって、前後方向で第1通気部21aと第1、2加熱コイル5、7との間となる個所に設けられている。一方、第2冷却ファン15は、第1冷却ファン13の右方であって、前後方向で第2通気部21bと制御装置17との間となる個所に設けられている。
【0057】
第1冷却ファン13と第2冷却ファン15とは同一の構成であり、それぞれケース23とファン本体25とを有している。ここで、第1冷却ファン13のケース23は、固定台18aを介して底壁1eに取り付けられている。一方、第2冷却ファン15のケース23は、固定台18bを介して底壁1eに取り付けられている。これにより、第1冷却ファン13は、第1、2加熱コイル5、7との高さ調節が行われており、第2冷却ファン15は制御装置17の高さ調節が行われている。
【0058】
ケース23には、吸気口23aと吹出口23bとが形成されている。吸気口23aは、ケース23における後方上部に形成されている。吹出口23bは、ケース23の前端に形成されている。また、図示を省略するものの、ケース23の内部には、ファン本体25を回転させるモータが収容されている。ファン本体25は、自己の一部を吸気口23aから露出させた状態でケース23の内部に収容されている。
【0059】
第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15では、ケース23の内部でファン本体25が回転することにより、筐体1の内部の空気を吸気口23aからケース23の内部に吸入する。そして、第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15は、ケース23の内部に吸入した空気を冷却風として、吹出口23bから筐体1の内部に送風する。つまり、
図2等において白色矢印で示すように、第1冷却ファン13は第1、2加熱コイル5、7に向けて冷却風を送風可能となっており、第2冷却ファン15は制御装置17に向けて冷却風を送風可能となっている。なお、第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15は他の構成であっても良い。
【0060】
制御装置17は、筐体1の内部に設けられており、第1、2加熱コイル5、7の右方であって、第2冷却ファン15の前方に配置されている。制御装置17は1枚の回路基板17aと、複数の半導体17bと、第1放熱フィン17cと第2放熱フィン17dとを有している。
【0061】
回路基板17aは、矩形の板状に形成されている。回路基板17aは、所謂、縦置きの状態で筐体1の底壁1eに取り付けられている。この際、回路基板17aは、ケース(図示略)に収容された状態で底壁1eに取り付けられている。これにより、回路基板17aを含め制御装置17は、煮零れして筐体1の内部に流入した煮汁等から保護されている。なお、回路基板17aは、所謂、平置きの状態で底壁1eに取り付けられていても良い。
【0062】
第1放熱フィン17cは、少なくとも一つの半導体17bと接触した状態で回路基板17aの下部に設けられている。第1放熱フィン17cは、回路基板17aが底壁1eに取り付けられることにより、回路基板17aと底壁1eとの間に位置している。第2放熱フィン17dは、少なくとも一つの半導体17bと接触した状態で回路基板17aの前部に設けられている。なお、回路基板17aに対して、第1、2放熱フィン17c、17dの他に放熱フィンを設けても良く、第1、2放熱フィン17c、17dを省略しても良い。また、回路基板17aに設けられる各半導体17b及び第1、2放熱フィン17c、17dの各配置は適宜設計可能である。
【0063】
温度センサ19は回路基板17aに設けられている。これにより、温度センサ19は制御装置17の温度を検出可能となっている。ここで、温度センサ19は、第1、2加熱コイル5、7、加熱グリル9及びコンロバーナ11の少なくとも一つによって被加熱物の加熱が行われている場合の他、第1、2加熱コイル5、7、加熱グリル9及びコンロバーナ11のいずれによっても被加熱物の加熱が行われていない場合についても、制御装置17の温度を検出可能となっている。なお、温度センサ19の構成は公知の温度センサと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0064】
制御装置17は、筐体1の外部に設けられた電源(図示略)と通電可能に接続されている他、前壁1aに設けられた第1操作部41a及び第2操作部41b(
図1参照)と接続されている。また、制御装置17は、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7とそれぞれ通電可能に接続されている。これにより、制御装置17は、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7に対して、それぞれ給電を行いつつ、第1操作部41aの操作に応じて第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7の制御を行うことが可能となっている。この際、制御装置17は、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7に対して、個別に給電及び制御を行うことが可能である。
【0065】
また、制御装置17は、加熱グリル9、コンロバーナ11及び制御弁と接続している。これにより、制御装置17は、第1操作部41aの操作に応じて制御弁の制御を行うことにより、加熱グリル9の制御を行う他、第2操作部41bの操作に応じて制御弁の制御を行うことにより、コンロバーナ11の制御を行う。
【0066】
さらに、制御装置17は、第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15とそれぞれ通電可能に接続されている。これにより、制御装置17は、第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15に対して、個別に給電を行うことで個別に制御を行うことが可能となっている。この際、制御装置17は、第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15に対する作動及び停止の制御だけでなく、作動時におけるファン本体25の回転数の制御も可能となっている。
【0067】
また、制御装置17は、第1調理温度センサ33、第2調理温度センサ34及び温度センサ19とそれぞれ接続されている。これにより、制御装置17は、第1調理温度センサ33、第2調理温度センサ34及び温度センサ19がそれぞれ検出した温度を受信可能となっている。さらに、制御装置17は、温度センサ19が検出する温度に対する設定温度を記憶している。また、制御装置17は、加熱グリル9の作動時間及び作動時における加熱グリル9のガスバーナの火力を基に、加熱庫9a、ひいては加熱グリル9の温度を判断可能となっている。
【0068】
制御装置17は、第1加熱コイル5と第2加熱コイル7とに対する給電量の他、第1調理温度センサ33、第2調理温度センサ34及び温度センサ19から受信した各温度、及び、加熱庫9aの温度を基に、第1加熱コイル5、第2加熱コイル7及び制御装置17の冷却の要否を判断可能となっている。さらに、制御装置17は、第1調理温度センサ33、第2調理温度センサ34及び温度センサ19から受信した各温度、及び、加熱庫9aの温度を基に第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15から送風される冷却風の風量を判断可能となっている。なお、制御装置17は、加熱庫9aの温度のみに基づいて第1加熱コイル5、第2加熱コイル7及び制御装置17の冷却の要否を判断するとともに、第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15から送風される冷却風の風量を判断しても良い。
【0069】
以上のように構成されたこの加熱調理装置100では、第1加熱コイル5、第2加熱コイル7、加熱グリル9及びコンロバーナ11のそれぞれによって被加熱物の加熱を行うことが可能となっている。
【0070】
ここで、この加熱調理装置100では、例えば第1加熱コイル5において被加熱物の加熱を行っている間に、第2加熱コイル7でも第1加熱コイル5で加熱される被加熱物とは異なる被加熱物を加熱することも可能である。また、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7の少なくとも一方で被加熱物の加熱が行われている間に、加熱グリル9及びコンロバーナ11において、異なる被加熱物の加熱を行うことも可能である。同様に、加熱グリル9で被加熱物の加熱が行われている間に第1、2加熱コイル5、7及びコンロバーナ11において異なる被加熱物の加熱を行うことが可能である。さらに、コンロバーナ11で被加熱物の加熱が行われている間に第1、2加熱コイル5、7及び加熱グリル9において異なる被加熱物の加熱を行うことが可能である。
【0071】
また、この加熱調理装置100では、第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15から送風される冷却風によって、第1加熱コイル5、第2加熱コイル7及び制御装置17の冷却を行うことが可能となっている。以下、具体的に説明する。
【0072】
<加熱コイルよって被加熱物の加熱を行う場合>
例えば、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7のうち、第1加熱コイル5のみによって被加熱物の加熱を行う場合には、使用者は、被加熱物が収容された調理容器を天板3の第1ガイドマーク31内に載置する。そして、使用者は、第1操作部41aを操作して加熱温度や加熱時間等を入力する。これにより、制御装置17は、第1加熱コイル5に対して給電を行いつつ、第1加熱コイル5の制御を行う。このため、第1加熱コイル5は、第1ガイドマーク31内に載置された調理容器、ひいては被加熱物に対して、天板3を介して誘導加熱を行う。こうして、この加熱調理装置100では、第1加熱コイル5によって被加熱物の加熱、つまり、被加熱物の加熱調理が行われる。
【0073】
ここで、第1加熱コイル5による加熱が行われている間、第1調理温度センサ33は、被加熱物の温度を検出するとともに、検出した被加熱物の温度を制御装置17に送信する。これにより、制御装置17は、第1加熱コイル5に対する給電量等を適宜調整する。そして、第1操作部41aから入力された加熱時間が経過すれば、制御装置17は、第1加熱コイル5に対する給電を終了し、被加熱物に対する誘導加熱を終了させる。第2加熱コイル7のみによって被加熱物の加熱を行う場合、及び、第1、2加熱コイル5、7で異なる被加熱物の加熱を同時に行う場合も同様である。
【0074】
ところで、第1加熱コイル5は、制御装置17から給電を受けることによって発熱する。また、第1加熱コイル5は、第1加熱コイル5によって加熱された被加熱物の熱の影響を受けることによっても加熱、すなわち昇温する。さらに、第1加熱コイル5の制御を行うことによって、制御装置17、より具体的には制御装置17の各半導体17bも発熱する。ここで、各半導体17bは、自身の発熱も含んだ上で、動作可能な温度範囲を超えて動作することができない。
【0075】
この点、この加熱調理装置100では、制御装置17は、温度センサ19が検出した制御装置17の温度が設定温度に達していれば、自己に対する冷却の必要があると判断し、第2冷却ファン15を作動させる。
【0076】
これにより、
図2の白色矢印で示すように、第2冷却ファン15は制御装置17に対して冷却風の送風を開始する。この際、制御装置17は、温度センサ19が検出した現在の制御装置17の温度や制御装置17の温度の上昇具合を基に、第2冷却ファン15から制御装置17に送風される冷却風の風量を適宜調整する。こうして、この加熱調理装置100では、冷却風による制御装置17の冷却が行われる。ここで、第2冷却ファン15から冷却風が制御装置17の第1放熱フィン17cに好適に当たるように、回路基板17aにおける第1放熱フィン17cの位置が調節されている他、第2冷却ファン15と第1放熱フィン17cとの高さ調節がされている。
【0077】
そして、冷却風による制御装置17の冷却が行われ、温度センサ19が検出した制御装置17の温度が設定温度を下回れば、制御装置17は、第2冷却ファン15から制御装置17に送風される冷却風の風量を減少させる他、制御装置17の冷却は不要と判断して第2冷却ファン15の作動を停止させる。
【0078】
また、制御装置17は、第1加熱コイル5に対する給電量及び第1調理温度センサ33が検出した温度に基づき、第1加熱コイル5に対する冷却の要否を判断する。ここで、上述のように制御装置17の冷却が行われていても、制御装置17は、第1加熱コイル5に対する冷却は不要と判断すれば、制御装置17は、第1冷却ファン13を作動させることはない。つまり、この間は、第2冷却ファン15による制御装置17の冷却のみが行われる。
【0079】
一方、被加熱物に対する加熱が進行し、その際の第1加熱コイル5に対する給電量及び第1調理温度センサ33が検出した温度に基づき、制御装置17が第1加熱コイル5に対する冷却も必要と判断すれば、制御装置17は、第2冷却ファン15に加えて第1冷却ファン13も作動させる。
【0080】
これにより、
図3の白色矢印で示すように、第1冷却ファン13は第1加熱コイル5に対して冷却風の送風を開始する。この際、制御装置17は、第1調理温度センサ33が検出した被加熱物の温度や被加熱物の温度の上昇具合を基に、第1冷却ファン13から第1加熱コイル5に送風される冷却風の風量を適宜調整する。こうして、この加熱調理装置100では、冷却風による第1加熱コイル5の冷却が行われる。つまり、この場合には、第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15の両方が作動して第1加熱コイル5及び制御装置17の冷却が行われる。
【0081】
また、被加熱物に対する加熱がさらに進行し、その際の第1加熱コイル5に対する給電量及び第1調理温度センサ33が検出した温度に基づき、制御装置17が第1加熱コイル5に対する冷却要求がより大きくなったと判断すれば、
図4に示すように、制御装置17は、第1冷却ファン13から第1加熱コイル5に送風される冷却風の風量をより増大させる。同様に、温度センサ19が検出した制御装置17の温度や制御装置17の温度の上昇具合を基に、制御装置17が自己に対する冷却要求がより大きくなったと判断すれば、制御装置17は、第2冷却ファン15から制御装置17に送風される冷却風の風量をより増大させる。こうして、より多くの風量で第1加熱コイル5及び制御装置17の冷却が行われる。
【0082】
一方、第1冷却ファン13から送風された冷却風によって第1加熱コイル5の冷却が行われた結果、制御装置17が第1加熱コイル5に対する冷却の必要性が低下したと判断すれば、制御装置17は、第1冷却ファン13から第1加熱コイル5に送風される冷却風の風量を減少させたり、第1冷却ファン13の作動を停止させたりする。同様に、制御装置17は自己に対する冷却の必要性が低下したと判断すれば、第2冷却ファン15から制御装置17に送風される冷却風の風量を減少させたり、第2冷却ファン15の作動を停止させたりする。この際、第1加熱コイル5及び制御装置17の冷却具合によっては、制御装置17は、第1冷却ファン13は作動させる一方、第2冷却ファン15の作動を停止させる場合もあり得る。つまり、この場合には、第1加熱コイル5のみ冷却風による冷却が行われることになる。なお、第1冷却ファン13から送風される冷却風は、第1加熱コイル5を越えて第2加熱コイル7にも到達する。このため、第2加熱コイル7の冷却を行う場合にも、制御装置17は、第1冷却ファン13を作動させるとともに、第1冷却ファン13から送風される冷却風の風量を調整する。
【0083】
また、第1加熱コイル5による被加熱物の加熱が終了しても、第1加熱コイル5及び制御装置17は即座には温度が低下し得ない。そこで、この加熱調理装置100では、第1加熱コイル5による被加熱物の加熱が終了した後も、制御装置17は、温度センサ19が検出した制御装置17の温度が設定温度を下回るまでは、数分から数十分程度は、第2冷却ファン15の作動を継続し、制御装置17の冷却を継続する。同様に、制御装置17は、第1冷却ファン13についても、数分から数十分程度は作動を継続し、第1加熱コイル5の冷却を継続する。なお、第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15の作動を継続させる時間は適宜調整可能である。
【0084】
また、上述のように、この加熱調理装置100では、第1加熱コイル5による加熱が行われている間に、加熱グリル9において異なる被加熱物の加熱が行われる場合があり得る。この場合、制御装置17は、第1加熱コイル5に加えて加熱グリル9の制御を行う。ここで、加熱グリル9の加熱庫9aは、被加熱物の加熱によって高温となる。そして、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7は、筐体1の内部において加熱庫9aの上方に配置されていることから、加熱庫9aの近傍に位置している。これにより、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7は、高温の加熱庫9aの影響を受けて不可避的に昇温する。
【0085】
そこで、制御装置17は、加熱グリル9の作動時間及び作動時におけるガスバーナの火力を基に、加熱庫9aの温度を判断し、その加熱庫9aの温度を基に第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7の冷却の要否を判断する。すなわち、加熱庫9aの温度が所定値を超えていると制御装置17が判断した場合、制御装置17は、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7の冷却が必要と判断する。
【0086】
これにより、たとえ第1調理温度センサ33が検出した温度がさほど高くなっておらず、また、第2加熱コイル7では被加熱物の加熱が行われていなくても、制御装置17は、第1冷却ファン13を作動させる。この際、加熱庫9aの温度や加熱庫9aの温度の上昇具合を基に、第1冷却ファン13から第1、2加熱コイル5、7に送風される冷却風の風量を適宜調整する。こうして、この場合にも、冷却風による第1、2加熱コイル5、7及び制御装置17の冷却が行われる。なお、第1加熱コイル5の制御に加えて加熱グリル9の制御も行うことにより、制御装置17はより高温になり易い。このため、制御装置17は、第2冷却ファン15から送風される冷却風の風量を適宜調整しつつ、自己の冷却も行う。
【0087】
<加熱グリルよって被加熱物の加熱を行う場合>
加熱グリル9によって被加熱物の加熱を行う場合には、使用者は、
図1に示すグリル扉9bとともにグリルトレー9cを筐体1の前方に引き出す。そして、使用者は、被加熱物が収容された調理容器をグリルトレー9cに載置した状態で、グリル扉9b及びグリルトレー9cを筐体1の後方に移動させ、被加熱物を含め調理容器を加熱庫9a内に収容する。また、使用者は、第1操作部41aを操作して加熱温度や加熱時間等を入力する。これにより、制御装置17は、制御弁を制御して各ガスバーナに供給される燃料ガスを調整しつつ各ガスバーナを点火する。こうして、この加熱調理装置100では、加熱グリル9によって、被加熱物の加熱が行われる。
【0088】
また、加熱グリル9によって被加熱物の加熱を行うことにより、加熱庫9aが高温となる。ここで、筐体1の内部において、第1、2加熱コイル5、7及び制御装置17は加熱庫9aの近傍に位置している。これにより、制御装置17は、高温の加熱庫9aの影響を受けて不可避的に昇温する。より具体的には、加熱庫9aの熱の影響を受けて制御装置17の周囲の温度が上昇することから、これによって制御装置17は不可避的に昇温する。このため、この場合についても、制御装置17は、温度センサ19が検出した制御装置17の温度に基づき、自己に対する冷却の要否を判断する。そして、温度センサ19が検出した温度が設定温度に達していれば、制御装置17は、第2冷却ファン15を作動させる。そして、この際も制御装置17は、温度センサ19が検出した現在の制御装置17の温度や制御装置17の温度の上昇具合を基に、第2冷却ファン15から制御装置17に送風される冷却風の風量を適宜調整する。こうして、冷却風による制御装置17の冷却が行われる(
図2参照)。
【0089】
また、上述のように、加熱グリル9によって被加熱物の加熱が行われれば、高温の加熱庫9aの影響を受けて第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7も不可避的に昇温してしまう。これにより、加熱庫9aの温度に基づいて制御装置17が第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7に対する冷却が必要と判断すれば、たとえ第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7が非作動であっても、制御装置17は第1冷却ファン13を作動させる。なお、この際も、加熱庫9aの温度や加熱庫9aの温度の上昇具合を基に、制御装置17は、第1冷却ファン13から第1、2加熱コイル5、7に送風される冷却風の風量を適宜調整する(
図3及び
図4参照)。
【0090】
こうして、この加熱調理装置100では、たとえ第1、2加熱コイル5、7が非作動であっても、加熱グリル9によって被加熱物の加熱が行われることに起因して第1、2加熱コイル5、7の冷却が必要となった際には、冷却風による第1、2加熱コイル5、7の冷却が行われることになる。換言すれば、この加熱調理装置100では、加熱グリル9によって被加熱物の加熱が行われる一方で第1、2加熱コイル5、7による被加熱物の加熱が行われておらず、制御装置17が第1、2加熱コイル5、7に対する冷却が不要と判断している間は、制御装置17は第1冷却ファン13を作動させることはない。
【0091】
ここで、第1冷却ファン13から送風された冷却風によって第1、2加熱コイル5、7の冷却が行われた結果、制御装置17が第1加熱コイル5に対する冷却の必要性が低下したと判断すれば、制御装置17は、第1冷却ファン13から第1、2加熱コイル5、7に送風される冷却風の風量を減少させたり、第1冷却ファン13の作動を停止させたりする。
【0092】
また、加熱グリル9による被加熱物の加熱が終了しても、制御装置17は、温度センサ19が検出した制御装置17の温度が設定温度を下回るまでは、第2冷却ファン15の作動を継続し、制御装置17の冷却を継続する。同様に、制御装置17は第1冷却ファン13についても、数分から数十分程度は作動を継続し、第1、2加熱コイル5、7の冷却を継続する。
【0093】
<コンロバーナによって被加熱物の加熱を行う場合>
コンロバーナ11によって被加熱物の加熱を行う場合には、使用者は、
図1に示す五徳11a上に被加熱物が収容された調理容器を載置する。そして、使用者は、第2操作部41bを操作する。これにより、制御装置17は、コンロバーナ11を点火するとともに、制御弁を制御してコンロバーナ11に供給される燃料ガスを調整しつつ、コンロバーナ11の制御を行う。こうして、この加熱調理装置100では、コンロバーナ11によって、被加熱物の加熱が行われる。
【0094】
また、コンロバーナ11も制御装置17の近傍に位置していることから、被加熱物の加熱を行うコンロバーナ11の熱の影響を受けることによっても、制御装置17は昇温し得る。このため、この場合についても、制御装置17は、温度センサ19が検出した制御装置17の温度に基づき、自己に対する冷却の要否を判断する。そして、温度センサ19が検出した制御装置17の温度が設定温度に達していれば、制御装置17は、第2冷却ファン15を作動させる。この際も、制御装置17は、温度センサ19が検出した現在の制御装置17の温度や制御装置17の温度の上昇具合を基に、第2冷却ファン15から制御装置17に送風される冷却風の風量を適宜調整する。こうして、冷却風による制御装置17の冷却が行われる(
図2参照)。
【0095】
ここで、コンロバーナ11によって被加熱物の加熱が行われている間に、第1、2加熱コイル5、7及び加熱グリル9が非作動となっており、制御装置17が第1、2加熱コイル5、7に対する冷却が不要と判断すれば、制御装置17は第1冷却ファン13を作動させない。一方、コンロバーナ11によって被加熱物の加熱が行われている間に、第1、2加熱コイル5、7又は加熱グリル9によって異なる被加熱物の加熱が行われた結果、制御装置17が第1、2加熱コイル5、7に対する冷却が必要と判断すれば、上述のように制御装置17は、第1冷却ファン13を作動させるとともに、第1冷却ファン13から送風される冷却風の風量を調整する。こうして、冷却風による第1、2加熱コイル5、7の冷却が行われる(
図3及び
図4参照)。なお、コンロバーナ11による被加熱物の加熱の終了後における第1冷却ファン13及び第2冷却ファン15の制御は、第1、2加熱コイル5、7による被加熱物の加熱の終了後と同様である。
【0096】
これらのように、この加熱調理装置100では、第1、2加熱コイル5、7等によって被加熱物の加熱が行われた際、第1、2冷却ファン13、15の両方を常に作動させて第1、2加熱コイル5、7及び制御装置17の両方の冷却を行う必要がない。また、制御装置17は、作動時における第1、2加熱コイル5、7及び制御装置17の各温度に基づいて第1、2冷却ファン13、15の風量を個別に調整する。さらに、この加熱調理装置100では、たとえ第1、2加熱コイル5、7が非作動であっても、加熱グリル9によって被加熱物の加熱が行われることに起因して第1、2加熱コイル5、7の冷却が必要となれば、第1冷却ファン13によって第1、2加熱コイル5、7の冷却が行われる。
【0097】
したがって、実施例1の加熱調理装置100は、第1、2加熱コイル5、7及び制御装置17を好適に冷却しつつ、静粛性に優れている。
【0098】
特に、この加熱調理装置100は、温度センサ19を備えているため、制御装置17は、温度センサ19が検出した温度が設定温度に達しているか否かによって自己に対する冷却の要否を好適に判断することが可能となっている。また、この加熱調理装置100では、第1、2加熱コイル5、7等による被加熱物の加熱が終了した後も、温度センサ19が検出した温度が設定温度を下回るまでは制御装置17に対する冷却を継続する。このため、この加熱調理装置100では、制御装置17の冷却を十分に行うことが可能となっている。
【0099】
ここで、制御装置17は、第1、2加熱コイル5、7等による被加熱物の加熱が行われていなくても、外気温等の影響によって自己の温度が上昇する場合があり得る。この点、この加熱調理装置100では、温度センサ19が検出した温度が設定温度に達していれば、第1、2加熱コイル5、7等が非作動であっても、第2冷却ファン15を作動させることによって、制御装置17の冷却を行うことが可能となっている。
【0100】
また、この加熱調理装置100では、冷却風によって第1、2加熱コイル5、7が過度に冷却されることを防止できるため、第1、2調理温度センサ33、34は、冷却風の影響を受け難い。これにより、この加熱調理装置100では、第1、2調理温度センサ33、34が被加熱物の温度を正確に検出できる。
【0101】
(実施例2)
図5に示すように、実施例2の加熱調理装置100は、第1、2冷却ファン13、15に換えて一つの第3冷却ファン51を備えている他、ルーバ機構53を備えている。ルーバ機構53は、本発明における「送風調整手段」の一例である。
【0102】
また、この加熱調理装置200では、筐体1が底壁1eに換えて底壁1fを有している。底壁1eと同様、底壁1fも、前後方向及び左右方向に延びる板状をなしており、前壁1a、後壁1b、右壁1c及び左壁1dの間に配置されている。これにより、底壁1fは、前壁1a、後壁1b、右壁1c及び左壁1dによって周囲を囲まれつつ、筐体1の底部を構成している。
【0103】
図6に示すように、底壁1fは、筐体1の内部に面する第1面111と、第1面111の反対側に位置して、筐体1の外部、つまり、筐体1の下方に面する第2面112とを有している。また、底壁1fには支持脚113が取り付けられている。支持脚113は、第2面112から下方に向かって延びている。詳細な図示を省略するものの、支持脚113は底壁1fに対して4つ取り付けられており、それぞれ底壁1fの右前部、左前部、右後部及び左後部に配置されている。なお、底壁1fに対する支持脚113の取り付けを省略しても良い。
【0104】
また、
図5に示すように、この加熱調理装置200では、筐体1の後壁1bに対して、第3通気部21cが形成されている。実施例1の加熱調理装置100における第1、2通気部21a、21bと同様、第3通気部21cも複数の通気口211によって構成されている。
【0105】
第3冷却ファン51は、筐体1の内部に設けられており、第3通気部21cの前方であって、左右方向で第1、2加熱コイル5、7と制御装置17との間となる個所に配置されている。第3冷却ファン51は、ケース51aとファン本体51bとを有している。ケース51aは、固定台18cを介して底壁1fの第1面111に取り付けられている。
【0106】
ケース51aには、吸気口511と吹出口512とが形成されている。これらのケース51a及びファン本体51bは、第1、2冷却ファン13、15におけるケース23及びファン本体25に比べて大型である点を除いて同一の構成である。つまり、第3冷却ファン51は、第1、2冷却ファン13、15よりも大型に形成されており、第1、2冷却ファン13、15に比べてより多くの風量で冷却風を筐体1内に送風可能となっている。また、第3冷却ファン51は、制御装置17に通電可能に接続されている。
【0107】
ルーバ機構53は、第3冷却ファン51よりも前方であって、左右方向で第1、2加熱コイル5、7と制御装置17との間となる個所に配置されている。ルーバ機構53は、ステッピングモータ55と、ルーバ本体57とで構成されている。
【0108】
図6に示すように、ステッピングモータ55は回転軸55aを有している。第3冷却ファン51のケース51aと同様、ステッピングモータ55も固定台18cを介して底壁1fの第1面111に取り付けられている。また、ステッピングモータ55は、制御装置17に通電可能に接続されている。
【0109】
このようにケース51a及びステッピングモータ55が固定台18cを介して底壁1fの第1面111に取り付けられることにより、この加熱調理装置200では、第1、2加熱コイル5、7に対する第3冷却ファン51及びルーバ機構53の高さ調節が行われている。なお、固定台18cは、第3冷却ファン51の吹出口512の正面にルーバ機構53を配置するために、第3冷却ファン51の固定位置とルーバ機構53の固定位置とに段差を設けていても良い。
【0110】
ルーバ本体57は、筐体1の内部に配置されており、回転軸55aに挿通されつつ固定されている。ルーバ本体57は、回転軸55a側から後方に向かって延びる略矩形の板状に形成されている。
図5及び
図7に示すように、ルーバ本体57は、ステッピングモータ55が作動することにより、回転軸55aを揺動中心として左右方向に揺動可能となっている。
【0111】
また、この加熱調理装置200では、制御装置17において、第1放熱フィン17cが少なくとも一つの半導体17bと接触した状態で回路基板17aの上部に設けられている。これにより、第1放熱フィン17cは、第3冷却ファン51及びルーバ機構53に対する高さ調節がされている。この加熱調理装置200における他の構成は実施例1の加熱調理装置100と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0112】
実施例1の加熱調理装置100と同様、この加熱調理装置200でも、第1加熱コイル5、第2加熱コイル7、加熱グリル9及びコンロバーナ11のそれぞれによって被加熱物の加熱を行うことが可能となっている。
【0113】
ここで、この加熱調理装置200において、例えば第1加熱コイル5のみによって被加熱物の加熱が行われている状態で、かつ、制御装置17が制御装置17のみ冷却の必要性があると判断した場合、制御装置17は、ステッピングモータ55の制御を行い、ルーバ本体57を
図5に示す位置に揺動させる。すなわち、制御装置17は、ルーバ本体57の揺動範囲で最も左方となる位置にルーバ本体57を揺動する。そして、この状態で制御装置17は、第3冷却ファン51を作動させる。
【0114】
これにより、第3冷却ファン51から筐体1の内部に送風された冷却風は、ルーバ本体57によって案内されつつ流通方向を変更する。つまり、この状態では、冷却風は、筐体1の内部を第1、2加熱コイル5、7側に向かって流通することが規制される。この結果、第3冷却ファン51から筐体1の内部に送風された冷却風の全てが制御装置17に向かって流通し、冷却風によって制御装置17の冷却が行われる。つまり、この場合には、制御装置17に送風される冷却風の風量が最大となる一方で、第1、2加熱コイル5、7に送風される冷却風の風量はゼロとなる。ここで、この加熱調理装置200では、ルーバ本体57によって案内された冷却風が制御装置17の第1放熱フィン17cに好適に当たるように、回路基板17aの上部における第1放熱フィン17cの位置が調節されている他、第3冷却ファン51及びルーバ機構53に対する第1放熱フィン17cの高さ調節がされている。
【0115】
また、第1加熱コイル5の温度が上昇し、制御装置17が第1加熱コイル5及び制御装置17の両方について冷却の必要性があると判断した場合、制御装置17は、ステッピングモータ55の制御を行い、ルーバ本体57を
図7に示す位置に揺動させる。つまり、制御装置17は、ルーバ本体57を
図5に示す位置よりも右方に揺動させる。
【0116】
これにより、第3冷却ファン51から筐体1の内部に送風された冷却風の一部は、ルーバ本体57によって、筐体1の内部を第1、2加熱コイル5、7側に向かって流通し、冷却風の残りの一部は、ルーバ本体57によって、筐体1の内部を制御装置17側に向かって流通する。この結果、第3冷却ファン51から筐体1の内部に送風された冷却風によって、第1加熱コイル5及び制御装置17の両方が冷却される。ここで、ルーバ本体57が
図7に示す位置に揺動している際には、第1、2加熱コイル5、7側に向かって流通する冷却風の流量よりも、制御装置17に向かって流通する冷却風の流量の方が多くなる。このため、制御装置17は、第1加熱コイル5に比べて冷却風でより冷却されることなる。
【0117】
ところで、冷却風が第1、2加熱コイル5、7側及び制御装置17側の両方に向かって流通する分、
図5に示すように冷却風が制御装置17側にのみ流通する場合に比べて、制御装置17に向かって流通する冷却風の流量は少なくなる。しかし、第3冷却ファン51は、実施例1の加熱調理装置100における第1、2冷却ファン13、15に比べて大型であるため、たとえ冷却風が第1、2加熱コイル5、7側及び制御装置17側の両方に向かって流通する場合であっても、制御装置17に向かって流通する冷却風の流量を十分に確保することが可能となっている。また、制御装置17は、第3冷却ファン51のファン本体51bの回転数を増大させることもできる。このため、この加熱調理装置200では、制御装置17に向かって送風される冷却風の流量が不足することはなく、制御装置17に対する冷却性能が低下することはない。
【0118】
また、第1加熱コイル5の発熱がより大きく、制御装置17が第1加熱コイル5に対する冷却の必要性がより大きいと判断した場合には、制御装置17は、ルーバ本体57を
図7に示す位置よりも更に右方に揺動させることもできる。これにより、第1、2加熱コイル5、7側に向かって流通する冷却風の流量がより多くなるため、第1加熱コイル5を冷却風によって好適に冷却することができる。なお、制御装置17がルーバ本体57を揺動範囲で最も右方となる位置に揺動させることにより、第1、2加熱コイル5、7側に送風される冷却風の風量を最大とし、制御装置17側に送風される冷却風の風量をゼロとすることもできる。
【0119】
また、加熱グリル9やコンロバーナ11によって被加熱物の加熱が行われている場合にも、制御装置17がルーバ本体57を
図5に示す位置に揺動させることにより、冷却風による制御装置17の冷却を行うことができる。
【0120】
さらに、この加熱調理装置200では、加熱グリル9によって被加熱物の加熱が行われることに起因して第1、2加熱コイル5、7の冷却が必要となった際には、制御装置17は、ステッピングモータ55の制御を行い、ルーバ本体57を
図7に示す位置に揺動させる。これにより、この場合にも、第3冷却ファン51から筐体1の内部に送風された冷却風によって、第1加熱コイル5及び制御装置17の両方を冷却することができる。この加熱調理装置200における他の作用は、実施例1の加熱調理装置100と同様である。
【0121】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0122】
例えば、実施例1、2の加熱調理装置100、200では、加熱グリル9を本発明における「加熱器」としている。しかし、これに限らず、コンロバーナ11を本発明における「加熱器」としたり、加熱グリル9及びコンロバーナ11の両方を本発明における「加熱器」としたりしても良い。
【0123】
また、実施例1、2の加熱調理装置100、200は、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7を備えている。しかし、これに限らず、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7の一方を省略しても良い。また、実施例1、2の加熱調理装置100、200は、第1、2加熱コイル5、7の他に加熱コイルを備えていても良い。
【0124】
また、実施例1、2の加熱調理装置100、200において、制御装置17は、電源の制御を行う半導体17bが設けられた回路基板17aと、第1加熱コイル5の制御を行う半導体17bが設けられた回路基板17aと、第2加熱コイル7の制御を行う半導体17bが設けられた回路基板17aと、加熱グリル9の制御を行う半導体17bが設けられた回路基板17aと、コンロバーナ11の制御を行う半導体17bが設けられた回路基板17aとを別々に有していても良い。この場合、制御装置17では、各回路基板17a同士が左右方向に整列した状態で配置されても良く、上下方向に積層された状態で配置されても良い。
【0125】
また、実施例1、2の加熱調理装置100、200において、制御装置17は、第1調理温度センサ33、第2調理温度センサ34が検出した温度は用いずに、第1、2加熱コイル5、7の作動時間や第1、2加熱コイル5、7への給電量に基づいて、第1、2加熱コイル5、7及び制御装置17の冷却の要否を判断しても良い。
【0126】
また、実施例1、2の加熱調理装置100、200において、制御装置17に対する冷却の要否の判断は、温度センサ19を用いず、第1、2の加熱コイル5、7及び加熱グリル9の作動時間や給電量の他、燃料ガスを制御する制御弁の調整具合によって行っても良い。
【0127】
また、実施例1、2の加熱調理装置100、200において、加熱庫9aの温度を検出可能な検出装置を設け、この検出装置が検出した加熱庫9aの温度に基づいて制御装置17は第1、2加熱コイル5、7に対する冷却の要否を判断しても良い。同様に、筐体1の内部の温度を検出可能な検出装置を設け、この検出装置が検出した筐体1の内部の温度に基づいて制御装置17は第1、2加熱コイル5、7に対する冷却の要否を判断しても良い。さらに、第1、2加熱コイル5、7の温度を直接検知可能な検出装置を設け、この検出装置が検出した第1、2加熱コイル5、7の温度に基づいて制御装置17は第1、2加熱コイル5、7に対する冷却の要否を判断しても良い。
【0128】
また、実施例1、2の加熱調理装置100、200では、制御装置17が本発明における「制御部」及び「判断部」を兼ねている。しかし、これに限らず、加熱調理装置100、200は、本発明における「制御部」として機能する装置と、本発明における「判断部」として機能する装置とを別々に備えていても良い。
【0129】
また、実施例1、2の加熱調理装置100、200において、加熱グリル9は、電熱ヒータ等によって被加熱物の加熱を行っても良い。
【0130】
また、実施例1の加熱調理装置100において、第1冷却ファン13の吹出口23bと第1、2加熱コイル5、7との間に第1通風路を設けるとともに、第2冷却ファン15の吹出口23bと制御装置17との間に第2通風路を設けることにより、第1冷却ファン13からの冷却風が第1、2加熱コイル5、7に確実に到達し、第2冷却ファン15からの冷却風が制御装置17に確実に到達するようにしても良い。
【0131】
また、実施例2の加熱調理装置200において、第3冷却ファン51の吹出口512と、第1、2加熱コイル5、7及び制御装置17との間に通風路を設けることにより、第3冷却ファン51からの冷却風が第1、2加熱コイル5、7及び制御装置17に確実に到達するようにしても良い。この場合、ルーバ機構53を通風路に配置しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、単体の加熱調理装置の他、加熱調理装置が一体に設けられたシステムキッチン等に利用可能である。
【符号の説明】
【0133】
1…筐体
3…天板
5…第1加熱コイル(加熱コイル)
7…第2加熱コイル(加熱コイル)
9…加熱グリル(加熱器)
13…第1冷却ファン(冷却ファン、送風調整手段)
15…第2冷却ファン(冷却ファン、送風調整手段)
17…制御装置(制御部、判断部)
19…温度センサ(検出部)
51…第3冷却ファン(冷却ファン)
53…ルーバ機構(送風調整手段)
57…ルーバ本体(風向き変更部材)