(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154997
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】相殺処理装置、相殺処理方法、及び相殺処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20241024BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20241024BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069311
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古閑 幹彦
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB72
5L049BB72
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】発注元が、工事を外注業者に発注した場合に、工事の出来高と経費などの立替分を、簡単かつ低作業負荷で相殺することが可能な相殺処理装置、相殺処理方法、及び相殺処理プログラムを提供すること。
【解決手段】本実施形態の相殺処理装置は、発注データに基づいて、仕入番号、仕入日、発注番号、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、紐づけデータを参照して、仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入番号、仕入日、立替先、発注番号、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成する仕入入力手段と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた相殺処理装置であって、
前記制御部は、
工事を外注業者に発注する際に、発注番号、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含む発注データを作成して記憶エリアに登録する発注入力手段と、
工事の未払伝票と立替伝票について、経費番号、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目を含む経費支払予定データを作成して前記記憶エリアに登録すると共に、経費番号と発注番号とを紐づける紐づけデータを作成して前記記憶エリアに登録する経費取込手段と、
前記記憶エリアに登録した発注データに基づいて、仕入番号、仕入日、発注番号、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、前記記憶エリアに登録した紐づけデータを参照して、当該仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として前記記憶エリアから読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入番号、仕入日、立替先、発注番号、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成し、前記仕入データ及び前記立替仕入データに基づいて、支払予定番号、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含む支払予定データを作成する仕入入力手段と、
を備えたことを特徴とする相殺処理装置。
【請求項2】
前記仕入入力手段は、前記相殺候補の1又は複数を、翌月以降の仕入金額との相殺対象に指定可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の相殺処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
費目と、仕訳の借方科目となる原価科目とを関連付けて登録した科目設定マスタにアクセス可能に構成されており、
前記経費取込手段は、前記経費支払予定データに基づいて、前記科目設定マスタを参照して、仕訳番号、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額を含む仕訳データを作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の相殺処理装置。
【請求項4】
前記仕入入力手段は、前記仕入データ及び前記立替仕入データに基づいて、仕訳番号、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額を含む仕訳データを作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の相殺処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、
前記仕入データ、前記立替仕入データ、及び前記支払予定データに基づいて、支払調書を作成して出力する支払調書運用手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の相殺処理装置。
【請求項6】
制御部を備えた情報処理装置が実行する相殺処理方法であって、
前記制御部において実行される、
工事を外注業者に発注する際に、発注番号、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含む発注データを作成して記憶エリアに登録する発注入力工程と、
工事の未払伝票と立替伝票について、経費番号、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目を含む経費支払予定データを作成して前記記憶エリアに登録すると共に、経費番号と発注番号とを紐付ける紐づけデータを作成して前記記憶エリアに登録する経費取込工程と、
前記記憶エリアに登録した発注データに基づいて、仕入番号、仕入日、発注番号、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、前記記憶エリアに登録した紐づけデータを参照して、当該仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として前記記憶エリアから読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入番号、仕入日、立替先、発注番号、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成し、前記仕入データ及び前記立替仕入データに基づいて、支払予定番号、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含む支払予定データを作成する仕入入力工程と、
を含むことを特徴とする相殺処理方法。
【請求項7】
制御部を備えた情報処理装置が実行するための相殺処理プログラムであって、
前記制御部において、
工事を外注業者に発注する際に、発注番号、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含む発注データを作成して記憶エリアに登録する発注入力工程と、
工事の未払伝票と立替伝票について、経費番号、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目を含む経費支払予定データを作成して前記記憶エリアに登録すると共に、経費番号と発注番号とを紐付ける紐づけデータを作成して前記記憶エリアに登録する経費取込工程と、
前記記憶エリアに登録した発注データに基づいて、仕入番号、仕入日、発注番号、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、前記記憶エリアに登録した紐づけデータを参照して、当該仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として前記記憶エリアから読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入番号、仕入日、立替先、発注番号、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成し、前記仕入データ及び前記立替仕入データに基づいて、支払予定番号、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含む支払予定データを作成する仕入入力工程と、
を実行するための相殺処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相殺処理装置、相殺処理方法、及び相殺処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建設業において、発注元は、工事を外注業者に発注した場合、工事についての材料費や経費を立替払する場合が多い。従来、工事代金を処理するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、発注元が、工事を外注業者に発注した場合に、工事の出来高と経費などの立替分を、簡単かつ低作業負荷で相殺することに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、発注元が、工事を外注業者に発注した場合に、工事の出来高と経費などの立替分を、簡単かつ低作業負荷で相殺することが可能な相殺処理装置、相殺処理方法、及び相殺処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、 制御部を備えた相殺処理装置であって、前記制御部は、工事を外注業者に発注する際に、発注番号、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含む発注データを作成して記憶エリアに登録する発注入力手段と、工事の未払伝票と立替伝票について、経費番号、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目を含む経費支払予定データを作成して前記記憶エリアに登録すると共に、経費番号と発注番号とを紐づける紐づけデータを作成して前記記憶エリアに登録する経費取込手段と、前記記憶エリアに登録した発注データに基づいて、仕入番号、仕入日、発注番号、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、前記記憶エリアに登録した紐づけデータを参照して、当該仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として前記記憶エリアから読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入番号、仕入日、立替先、発注番号、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成し、前記仕入データ及び前記立替仕入データに基づいて、支払予定番号、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含む支払予定データを作成する仕入入力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記仕入入力手段は、前記相殺候補の1又は複数を、翌月以降の仕入金額との相殺対象に指定可能に構成されていることにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記制御部は、費目と、仕訳の借方科目となる原価科目とを関連付けて登録した科目設定マスタにアクセス可能に構成されており、前記経費取込手段は、前記経費支払予定データに基づいて、前記科目設定マスタを参照して、仕訳番号、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額を含む仕訳データを作成することにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記仕入入力手段は、前記仕入データ及び前記立替仕入データに基づいて、仕訳番号、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額を含む仕訳データを作成することにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記制御部は、さらに、前記仕入データ、前記立替仕入データ、及び前記支払予定データに基づいて、支払調書を作成して出力する支払調書運用手段を備えることにしてもよい。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置が実行する相殺処理方法であって、前記制御部において実行される、工事を外注業者に発注する際に、発注番号、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含む発注データを作成して記憶エリアに登録する発注入力工程と、工事の未払伝票と立替伝票について、経費番号、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目を含む経費支払予定データを作成して前記記憶エリアに登録すると共に、経費番号と発注番号とを紐付ける紐づけデータを作成して前記記憶エリアに登録する経費取込工程と、前記記憶エリアに登録した発注データに基づいて、仕入番号、仕入日、発注番号、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、前記記憶エリアに登録した紐づけデータを参照して、当該仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として前記記憶エリアから読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入番号、仕入日、立替先、発注番号、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成し、前記仕入データ及び前記立替仕入データに基づいて、支払予定番号、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含む支払予定データを作成する仕入入力工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置が実行するための相殺処理プログラムであって、前記制御部において、工事を外注業者に発注する際に、発注番号、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含む発注データを作成して記憶エリアに登録する発注入力工程と、
工事の未払伝票と立替伝票について、経費番号、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目を含む経費支払予定データを作成して前記記憶エリアに登録すると共に、経費番号と発注番号とを紐付ける紐づけデータを作成して前記記憶エリアに登録する経費取込工程と、前記記憶エリアに登録した発注データに基づいて、仕入番号、仕入日、発注番号、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、前記記憶エリアに登録した紐づけデータを参照して、当該仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として前記記憶エリアから読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入番号、仕入日、立替先、発注番号、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成し、前記仕入データ及び前記立替仕入データに基づいて、支払予定番号、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含む支払予定データを作成する仕入入力工程と、を実行するための相殺処理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発注元が、工事を外注業者に発注した場合に、工事の出来高と経費などの立替分を、簡単かつ低作業負荷で相殺すること可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る相殺処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、科目設定マスタの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の全体の処理の概略を説明するためのフローを示す図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図14】
図14は、本実施の形態に係る相殺処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0016】
[1:概要]
例えば、建設業の場合、発注元が外注契約において下請業者に工事を発注した場合、下請業者に対して立替えしている材料費や経費が多く発生する。
【0017】
しかしながら、従来、下請業者に対して、工事の出来高と、工事についての材料費や経費の複数業者からの未払伝票を立替金として相殺をする場合、相殺対象となる外注契約との紐づけが困難であった。また、立替で発生した材料や経費などの未払伝票と下請業者に対しての立替伝票といった複数の処理をしなければならない。どの契約、請求書分の立替となるかシステム上で管理できていなかった。そのため、例えば、支払調書の運用がある場合、どの契約に対してどのくらい相殺があるかの認識が困難となっていた。
【0018】
そこで、本実施の形態では、工事を外注業者に発注した場合に、工事の出来高と経費などの立替分を、簡単かつ低作業負荷で相殺することが可能なシステムを提供する。
【0019】
具体的には、本実施の形態の相殺処理装置は、以下の機能を提供する。
(1)複数業者にかかる未払伝票と立替伝票とを同時発生を可能とし、経費取込にて相殺対象となる外注工事の契約番号との紐づけを可能とする。
(2)駐車場代やごみ処理代などの複数業者における未払伝票を立替分として、外注工事の出来高計上時に相殺可能とする。
(3)(2)に関連して、先んじて発生している未払伝票のうち相殺予定の金額をプールさせておき、当月の出来高ではなく翌月以降の出来高計上時に相殺することも可能とする。
【0020】
本発明の相殺処理装置は、建設工事業(例えば、ゼネコン、大規模ビル・マンション建築会社等)等の業界に広く適用可能である。
【0021】
[2.構成]
本実施形態に係る相殺処理装置の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、相殺処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
相殺処理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、相殺処理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0023】
相殺処理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。相殺処理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0024】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、相殺処理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、相殺処理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0025】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0026】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。また、記憶部106は、科目設定マスタ106a、発注データ、経費支払予定データ、紐づけデータ、仕訳データ、仕入データ、立替仕入データ、支払予定データ等を格納する。
図2は、科目設定マスタ106aの構成例を示す図である。
【0027】
科目設定マスタ106aは、
図2に示すように、費目と仕訳発生時の借方となる原価科目を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
【0028】
発注データは、発注NO(番号)、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含んでいてもよい。
【0029】
経費支払予定データは、経費NO(番号)、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目、外部受入NO(番号)を含んでいてもよい。
【0030】
紐づけデータは、経費NO、発注NO、当月出来高との相殺対象とするか否かを指定するフラグ(対象とする「1」、対象としない「0」)を含んでいてもよい。
【0031】
仕訳データは、仕訳NO(番号)、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額、摘要を含んでいてもよい。
【0032】
仕入データは、仕入NO(番号)、仕入日、取引業者、発注NO、発注日、原価科目、発注金額、当月仕入金額、債務科目を含んでいてもよい。
【0033】
立替仕入データは、仕入NO、仕入日、立替先、発注NO、立替科目、立替金額を含んでいてもよい。
【0034】
支払予定データは、支払予定NO(番号)、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含んでいてもよい。
【0035】
図1に戻り、制御部102は、相殺処理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0036】
制御部102は、記憶部106に格納されている、科目設定マスタ106a、発注データ、経費支払予定データ、紐づけデータ、仕訳データ、仕入データ、立替仕入データ、支払予定データ等にアクセス可能に構成されている。なお、科目設定マスタ106a、発注データ、経費支払予定データ、紐づけデータ、仕訳データ、仕入データ、立替仕入データ、支払予定データ等は、他の場所(例えば、サーバ200)に設けられていてもよく、制御部102がアクセス可能な構成であればよい。
【0037】
制御部102は、機能概念的に、発注入力部102aと、経費取込部102bと、仕入入力部102cと、支払調書運用部102dと、マスタメンテ部102eと、画面表示制御部102fと、を備えている。
【0038】
発注入力部102aは、工事を外注業者に発注する際に、例えば、モニタ114に表示される不図示の発注入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、発注NO、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含む発注データを入力して記憶部106に登録する。
【0039】
経費取込部102bは、例えば、モニタ114に表示される不図示の経費取込画面上でのオペレータ等の操作に応じて、工事の未払伝票と立替伝票について、経費番号、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目を含む経費支払予定データを作成して記憶部106に登録すると共に、経費番号と発注番号とを紐づける紐づけデータを作成して記憶部106に登録する。
【0040】
また、経費取込部102bは、記憶部106に登録した経費支払予定データに基づいて、科目設定マスタ106aを参照して、仕訳番号、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額を含む仕訳データを作成して記憶部106に登録する。
【0041】
仕入入力部102cは、例えば、モニタ114に表示される仕入入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、記憶部106に登録した発注データに基づいて、仕入番号、仕入日、発注番号、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、記憶部106に登録した紐づけデータを参照して、当該仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として記憶部106から読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入番号、仕入日、立替先、発注番号、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成し、仕入データ及び立替仕入データに基づいて、支払予定番号、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含む支払予定データを作成し、これらの作成したデータを記憶部106に登録する。
【0042】
仕入入力部102cは、相殺候補の1又は複数を、翌月以降の仕入金額との相殺対象に指定可能に構成されていてもよい。
【0043】
仕入入力部102cは、仕入データ及び立替仕入データに基づいて、仕訳番号、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額を含む仕訳データを作成して記憶部106に登録してもよい。
【0044】
支払調書運用部102dは、例えば、モニタ114に表示される不図示の支払調書運用画面上でのオペレータの操作に応じて、仕入データ、立替仕入データ、及び支払予定データに基づいて、支払調書を作成して出力(表示出力及び/又は印刷出力)してもよい。
【0045】
マスタメンテ部102eは、例えば、モニタ114に表示される不図示のマスタメンテ画面上でのオペレータの操作等に応じて、科目設定マスタ106aに対して、データの入力・追加・変更・更新等の設定を行う。
【0046】
画面表示制御部102fは、例えば、モニタ114に表示する各種画面(例えば、発注入力画面、経費取込画面、仕入入力画面、支払調書運用画面、マスタメンテ画面等)の表示及びその入力の受付を制御する。
【0047】
[3.具体例]
図1~
図14を参照して、本実施の形態における相殺処理装置100の制御部102の処理の具体例について説明する。
【0048】
(3-1.全体の処理)
図3は、本実施の形態における相殺処理装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明するためのフロー(出来高計上のフロー)を示す図である。
【0049】
図3を参照して、本実施の形態における相殺処理装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明する。
図3において、発注入力部102aは、発注入力処理を実行する(ステップS1)。発注入力処理では、外注業者へ工事の発注を行う。具体的には、発注入力処理では、発注入力部102aは、工事を外注業者に発注する際に、例えば、モニタ114に表示される発注入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、発注NO、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含む発注データを入力して記憶部106に格納する。
【0050】
経費取込部102bは、経費取込処理を実行する(ステップS2)。経費取込処理では、発注と紐づけた経費支払予定データの生成を行う。具体的には、経費取込処理では、経費取込部102bは、例えば、モニタ114に表示される経費入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、工事の未払伝票と立替伝票について、経費NO、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目を含む経費支払予定データを作成して記憶部106に登録すると共に、経費NOと発注NOとを紐づける紐づけデータを作成して記憶部106に登録する。
【0051】
仕入入力部102cは、仕入入力処理を実行する(ステップS3)。仕入入力処理では、外注業者から出来高調書を受領し、当月の「出来高」払いの金額を認識する。経費取込にて工事で使用した材料費や経費など請求書をもとに、未払伝票、立替伝票を登録する。また、仕入入力画面で出来高及び支払調書の作成に必要な情報を登録し、計上時に紐づけられた経費支払予定データの取得や立替仕入データの生成を行う。
【0052】
具体的には、仕入入力処理では、仕入入力部102cは、例えば、モニタ114に表示される仕入入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、記憶部106に登録した発注データに基づいて、仕入NO、仕入日、発注NO、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、記憶部106に登録した紐づけデータを参照して、当該仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として記憶部106から読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入NO、仕入日、立替先、発注NO、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成し、仕入データ及び立替仕入データに基づいて、支払予定NO、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含む支払予定データを作成し、これらの作成したデータを記憶部106に登録する。
【0053】
支払調書運用部102dは、支払調書運用処理を実行する(ステップS4)。具体的には、支払調書運用処理では、支払調書運用部102dは、例えば、モニタ114に表示される不図示の支払調書運用画面上でのオペレータの操作に応じて、仕入データ、立替仕入データ、及び支払予定データに基づいて、支払調書を作成して出力(表示出力及び/又は印刷出力)する。この支払調書は、外注業者に送付される。
【0054】
(3-2.サンプルデータ)
図4~
図14は、本実施の形態における相殺処理装置100の制御部102の処理の具体例を説明するためのサンプルデータを示す図である。
図4~
図14を参照して、本実施の形態における相殺処理装置100の制御部102の処理の具体例を説明する。以下の説明では、金額の単位を全て「円」とし、その表記を省略する。
【0055】
1.前提情報について説明する。
(S1:発注入力処理)
図4を参照して、発注入力処理を具体的に説明する。発注入力処理より、外注工事の注文書情報を登録する。発注入力部102aは、工事を外注業者に発注する際に、例えば、モニタ114に表示される不図示の発注入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、発注NO、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含む発注データを入力して記憶部106に登録する。
【0056】
図4は、発注データのデータ例を示す図である。発注データは、発注NO、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目の項目を備えている。同図に示す例では、発注NO「HAC0001」、外注業者「○○型枠工業」、発注件名「○○ビル型枠工事」、原価科目「未成工事支出金(外注)」、発注日「2022/3/19」、発注工期「2022/4/1~2024/3/31」、発注金額「10,000,000」、債務科目「工事未払金」となっている。
【0057】
図5は、以下で説明する相殺の事例の概要を説明するための図である。下請け業者「○○型枠工業」へ外注工事の出来高を計上する。10,000,000の契約金額に対して2022年6月で出来高6,000,000の仕入を行う。また、複数業者(○○リサイクル、○○商事、○○重機、○○クレーン)からこの工事に際して使用した経費や材料について各未払伝票の請求書も届いた。また、現場の作業所長より下請業者(○○型枠工業に対して)へ立替している金額の明細(計1,000,000)も事務部へ届いた。○○リサイクル、○○重機、○○クレーンの未払伝票と、○○型枠工業の6月出来高を相殺する。○○商事の未払伝票のうち、○○型枠工業への支払いと相殺する分は翌月7月での出来高計上時に相殺することとした。
【0058】
2.経費取込機能にて未払情報と相殺予定の情報を経費取込にて同時に作成する。
(S2:経費取込処理)
図6~
図8を参照して、経費入力処理を具体的に説明する。経費入力処理では、外注工事で使用した経費や材料などの請求書をもとに未払いと相殺予定の伝票を登録する。経費取込部102bは、例えば、モニタ114に表示される不図示の経費入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、工事の未払伝票と立替伝票について、経費番号、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目を含む経費支払予定データを作成して記憶部106に登録すると共に、経費番号と発注番号とを紐づける紐づけデータを作成して記憶部106に登録する。また、経費取込部102bは、記憶部106に登録した経費支払予定データに基づいて、科目設定マスタ106aを参照して、仕訳番号、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額を含む仕訳データを作成して記憶部106に登録してもよい。
【0059】
図6(A)は、科目設定マスタ106aの構成例を示す図である。科目設定マスタ106aは、費目と仕訳発生時の借方となる原価科目の項目を備えている。同図に示す例では、「費目」が、ごみ運搬・処分費、雑金物、建設重機、移動式クレーンについては、「原価科目」として、未成工事支出金が設定されている。また、「費目」が、立替用費目については、「原価科目」として、下請仮払金が設定されている。
【0060】
図6(B)は、現場の作業所長より届いた立替している明細が書いてある相殺予定表の例を示している。
【0061】
まず、未払情報(不図示)と、未払情報のうちの
図6(B)の相殺予定表と、に基づいて、不図示の経費取込画面上でのオペレータの操作に応じて、経費取込フォーマット(例えば、エクセルのフォーマット)を作成する。
【0062】
図7(A)は、経費取込フォーマットのデータ例を示している。経費取込フォーマットは、仮伝票NO、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目、発注NOの項目を備えている。債務科目は、「工事未払金」を設定する。同図に示す例では、1~4行目は、未払情報についてのデータである。5~8行目は、相殺予定表についてのデータであり、
図6(B)の相殺予定表の情報である。「発注NO」については、未払情報の場合は未設定とし、相殺予定の場合に設定する。
【0063】
同図に示す例では、1行目は、仮伝票NO「KAR0001」、発生日「2022/6/10」、取引業者「○○リサイクル」、費目「ごみ運搬・処分費」、金額「80,000」、債務科目「工事未払金」となっている。5行目は、仮伝票NO「KAR0005」、発生日「2022/6/30」、取引業者「○○リサイクル」、費目「立替用費目」、金額「20,000」、債務科目「工事未払金」となっている。
【0064】
作成した経費取込フォーマットに基づいて、経費支払予定データ(未払伝票、立替伝票)を作成する。
【0065】
図7(B)は、経費支払予定データのデータ例を示す図である。経費支払予定データは、経費NO、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目、外部受入NOの項目を備えている。経費取込フォーマットの「仮伝票NO」を「外部受入NO」として保持する。
【0066】
同図に示す例では、1行目は、伝票NO「KEI0001」、発生日「2022/6/10」、取引業者「○○リサイクル」、費目「ごみ運搬・処分費」、金額「80,000」、債務科目「工事未払金」、外部受入O「KAR0001」となっている。5行目は、経費NO「KEI0005」、発生日「2022/6/30」、取引業者「○○リサイクル」、費目「立替用費目」、金額「20,000」、債務科目「工事未払金」、外部受入NO「KAR0001」となっている。
【0067】
図7(C)は、紐づけデータのデータ例を示す図である。紐づけデータは、経費NO、発注NO、当月出来高との相殺対象とするか否かを指定するフラグ(対象とする「1」、対象としない「0」)の項目を備えている。経費取込フォーマットにおいて、当月出来高との相殺対象とする「発注NO」を指定することで、「発注NO」と紐付く「仮伝票NO」について、経費支払予定データにおいて、「仮伝票NO」である「外部受入NO」に紐付く「経費NO」を取得して、取得した「経費NO」と指定した「発注NO」について紐づけデータを作成する。「フラグ」は、初期値として「0」を設定する。
【0068】
図7(B)の経費支払予定データと
図6(A)の科目設定マスタ106aとに基づいて、仕訳データを作成する。
図8は、作成される仕訳データの例を示す図である。仕訳データは、仕訳NO、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額、摘要の項目を備えている。「借方科目」は、経費支払予定データの費目をキーとして、科目設定マスタ106aから取得した原価科目を設定する。この例では、費目「立替用費目」については、借方科目「下請仮払金」を設定する。「貸方科目」は、経費支払予定データの債務科目を設定する。「摘要」には、経費支払予定データの経費NOを設定する。
【0069】
同図に示す例では、1行目は、仕訳NO「SIW0001」、発生日「2022/6/10」、取引業者「○○リサイクル」、債務科目「未成工事支出金(経費)」、借方金額「80,000」、貸方科目「工事未払金」、貸方金額「80,000」、摘要NO「KEI0001」となっている。5行目は、仕訳NO「SIW0005」、発生日「2022/6/30」、取引業者「○○型枠工業」、債務科目「下請仮払金」、借方金額「20,000」、貸方科目「工事未払金」、貸方金額「20,000」、摘要NO「KEI0005」となっている。
【0070】
3.出来高計上時に相殺額を認識させる。
(S3:仕入入力処理)
図9~
図13を参照して、仕入入力処理を具体的に説明する。仕入入力部102cは、例えば、モニタ114に表示される仕入入力画面上でのオペレータ等の操作に応じて、記憶部106に登録した発注データに基づいて、仕入番号、仕入日、発注番号、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、記憶部106に登録した紐づけデータを参照して、当該仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として記憶部106から読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入番号、仕入日、立替先、発注番号、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成し、仕入データ及び立替仕入データに基づいて、支払予定番号、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含む支払予定データを作成し、これらの作成したデータを記憶部106に登録する。この場合、相殺候補の1又は複数を、翌月以降の仕入金額との相殺対象に指定してもよい(
図13参照)。仕入入力部102cは、仕入データ及び立替仕入データに基づいて、仕訳番号、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額を含む仕訳データを作成して記憶部106に登録してもよい。
【0071】
ここでは、当月の出来高調書をもとに仕入入力画面より該当の発注番号を選択して、仕入明細を入力する。ここでは仕入入力より2022年6月で出来高6,000,000の仕入を行う場合を説明する。
【0072】
図9は、仕入入力画面400の表示例を示す図である。仕入入力画面400は、仕入日、発注番号、発注件名、外注業者、債務科目を指定するためのヘッダエリア401と、切替ボタンに従って、仕入明細又は立替明細を表示する明細エリア402と、を備えている。
【0073】
明細エリア402では、切替ボタンで仕入明細が選択された場合には、仕入情報(行No、原価科目、発注金額、当月仕入金額、発注残金額の項目)、合計の仕入金額が表示される(
図9参照)。切替ボタンで立替明細が選択された場合には、発注金額、当月出来高金額、立替情報(行No、経費NO、取引業者、費目、立替金額、相殺対象か否か指定する欄)、合計の相殺金額、支払予定金額(=合計の仕入金額-合計の相殺金額)が表示される(
図10(C)参照)。仕入入力画面400において、ハッチングしているセルは、オペレータが入力不可(自動入力・表示)、ハッチングしていないセルは、オペレータが入力可能となっている。
【0074】
ヘッダエリア401において、オペレータは、仕入日と、発注番号を指定する。指定された発注番号をキーとして、発注データから発注件名、外注業者、債務科目を読み出して自動表示する。同図に示す例では、仕入日「2023/6/30」、発注番号「HAC0001」が指定されて、発注件名「○○ビル型枠工事」、外注業者「○○型枠工業」、債務科目「工事未払金」が自動表示されている。
【0075】
また、明細エリア402において、仕入明細が選択されている場合には、指定された発注番号をキーとして、発注データから原価科目、発注金額を読み出して仕入情報に自動表示する。オペレータは、仕入情報の「当月仕入金額」を入力する。発注残金額は、発注金額-当月仕入金額により自動算出して、自動表示する。
【0076】
同図に示す例では、原価科目「未成工事支出金(外注)」、発注金額「10,000,000」が自動表示され、オペレータが当月仕入金額「6,000,000」を指定して、発注残金額「4,000,000(=10,000,000-6,000,000)」が自動表示されている。また、仕入金額の合計「6,000,000」が自動表示される。
【0077】
また、
図10(C)に示すように、明細エリア402において、立替明細が選択されている場合には、発注金額、当月出来高金額には、仕入明細の発注金額と当月仕入金額が自動表示される。立替情報には、指定される発注番号をキーとして、
図10(A)の紐づけデータの経費NOを取得し、相殺候補を、取得した経費NOをキーとして、
図10(B)に示す経費支払データから取引業者、費目、金額を読み出して、立替情報の経費NO、取引業者、費目、立替金額を自動表示する。オペレータは、各経費NOについて相殺対象か否か指定(チェック)して、相殺対象を設定する。同図に示す例では、経費NO「PJ0005」、「PJ0007」、「PJ0008」の明細については、相殺対象に指定されており、経費NO「PJ0006」の「○○商事 雑金物」の明細については、当月の出来高からは相殺しないように、相殺対象としていない。合計の相殺金額「1,000,000」、支払予定金額「5,000,000(=6,000,000-1,000,000)」が自動表示される。
【0078】
相殺対象として指定された経費NOについては、
図11に示すように、紐づけデータのフラグを「1」に更新する。フラグ「0」のものは翌月以降の出来高計上時に相殺対象とすることが可能となる。
【0079】
不図示の登録ボタンを押すと、仕入入力画面400の入力内容に応じた仕入データ、立替仕入データが作成されて、記憶部106に登録される。また、仕入データ及び立替仕入データに基づいて、支払予定データ及び仕訳データが作成されて記憶部106に登録される。
図10及び
図11の例に示す入力内容の場合は、
図12に示すデータが登録される。
【0080】
図12(A)は、仕入データのデータ例を示す図である。仕入データは、仕入NO、仕入日、取引業者、発注NO、発注日、原価科目、発注金額、当月仕入金額、債務科目の項目を備えている。同図に示す例では、仕入NO「SIR0001」、仕入日「2022/6/30」、取引業者「○○型枠工業」、発注NO「HAC0001」、発注日「2022/3/19」、原価科目「未成工事支出金(外注)」、発注金額「10,000,000」、当月仕入金額「6,000,000」、債務科目「工事未払金」となっている。
【0081】
図12(B)は、立替仕入データのデータ例を示す図である。立替仕入データは、仕入NO、仕入日、立替先、発注NO、立替科目、立替金額の項目を備えている。同図に示す例では、1行目は、仕入NO「TSI001」、仕入日「2022/6/30」、立替先「○○型枠工業」、発注NO「HAC0001」、立替科目「下請仮払金」、立替金額「20,000」となっている。
【0082】
図12(C)は、支払予定データのデータ例を示す図である。支払予定データは、支払予定NO、支払予定日、支払先業者、支払予定金額の項目を備えている。同図に示す例では、1行目は、仕入データより発生する支払予定、2~4行目は、立替仕入データより発生する支払予定となっている。1行目は、支払予定NO「SIH0001」、支払予定日「2022/8/31」、支払先業者「○○型枠工業」、支払予定金額「6,000,000」、2行目は、支払予定NO「SIH0002」、支払予定日「2022/8/31」、支払先業者「○○型枠工業」、支払予定金額「-20,000」となっている。
【0083】
図12(D)は、仕訳データのデータ例を示す図である。仕訳データは、仕訳NO、計上日、取引先、借方科目、借方金額、貸方科目、貸方金額の項目を備えている。同図に示す例では、1行目は、仕入データより発生する仕訳、2~4行目は、立替仕入データより発生する仕訳となっている。同図に示す例では、1行目は、仕訳NO「SIW0009」、発生日「2022/6/30」、取引業者「○○型枠工業」、債務科目「未成工事支出金(経費)」、借方金額「6,000,000」、貸方科目「工事未払金」、貸方金額「6,000,000」となっている。2行目は、仕訳NO「SIW0010」、発生日「2022/6/30」、取引業者「○○型枠工業」、債務科目「工事未金」、借方金額「20,000」、貸方科目「下請仮払金」、貸方金額「20,000」となっている。
【0084】
(補足1)
図13は、仕入入力より2022年7月で出来高計上を行う場合の立替明細の例を示す図である。ここでは、7月度の出来高を3,000,000とした場合を説明する。
図13において、仕入入力画面400の明細エリア402では、発注金額「10,000」、当月出来高金額「3,000,000」が表示されている。立替情報には、相殺候補として、経費NO「PJ0006」、取引業者「○○商事」、費目「雑金物」、立替金額「100,000」が表示されている。オペレータは、経費NO「PJ0006」について相殺対象を指定(チェック)して、相殺対象に設定する。合計の相殺金額「100,000」、支払予定金額「2,900,000(=3,000,000-1000,000)」が自動表示される。
【0085】
(補足2)
支払調書運用がある場合、2.で処理した仕入データ、立替仕入データ、支払予定データを活用することも可能である。支払調書運用部102dは、例えば、モニタ114に表示される不図示の支払調書運用画面上でのオペレータの操作に応じて、仕入データ、立替仕入データ、及び支払予定データに基づいて、支払調書を作成して出力(表示出力及び/又は印刷出力)する。
図14は、支払調書の例を示す図である。支払調書は、外注業者「○○型枠工業」に送付される。
【0086】
以上説明したように、本実施の形態によれば、工事を外注業者に発注する際に、発注番号、外注業者、発注件名、原価科目、発注日、発注工期、発注金額、債務科目を含む発注データを作成して記憶部106に登録する発注入力部102aと、工事の未払伝票と立替伝票について、経費番号、発生日、取引業者、費目、金額、債務科目を含む経費支払予定データを作成して記憶部106に登録すると共に、経費番号と発注番号とを紐づける紐づけデータを作成して前記記憶エリアに登録する経費取込部102bと、記憶部106に登録した発注データに基づいて、仕入番号、仕入日、発注番号、取扱事業者、発注日、原価科目、発注金額、オペレータにより指定される当月仕入金額、債務科目を含む仕入データを作成し、記憶部106に登録した紐づけデータを参照して、当該仕入データの発注番号に紐付く経費番号の経費支払予定データを当該仕入データの当月仕入金額との相殺候補として前記記憶エリアから読み出し、オペレータにより指定される経費番号の支払予定データを相殺対象として決定し、決定した相殺対象について、仕入番号、仕入日、立替先、発注番号、立替科目、立替金額を含む立替仕入データを作成し、前記仕入データ及び前記立替仕入データに基づいて、支払予定番号、支払予定日、支払先業者、支払予定金額を含む支払予定データを作成する仕入入力部102cと、を備えているので、発注元が、工事を外注業者に発注した場合に、工事の出来高と経費などの立替分を、簡単かつ低作業負荷で相殺することが可能となる。
【0087】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0088】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0090】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0091】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0092】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0093】
また、相殺処理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0094】
例えば、相殺処理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて相殺処理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0095】
また、このコンピュータプログラムは、相殺処理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0096】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0097】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0098】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0099】
また、相殺処理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、相殺処理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0100】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0101】
100 相殺処理装置
102 制御部
102a 発注入力部
102b 経費取込部
102c 仕入入力部
102d 支払調書運用部
102e マスタメンテ部
102f 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 科目設定マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク