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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154999
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ハイブリッドスラブ
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/40 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
E04B5/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069313
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】500337266
【氏名又は名称】株式会社富士昭技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 文太
(72)【発明者】
【氏名】新田 泰生
(72)【発明者】
【氏名】山村 登志久
(57)【要約】
【課題】デッキプレートの基板に火災時の高熱が作用しても、コンクリートに生じる引張応力に抗する耐力を確保できるハイブリッドスラブを提供する。
【解決手段】本発明のハイブリッドスラブ1は、梁11上に複数のデッキプレート2が連設されて、各デッキプレート2の基板3上にコンクリート4が打設されて硬化したものである。デッキプレート3は、平行な上端筋20及び下端筋21が基板3に繋がれた鉄筋付きデッキプレートであり、上端筋20は、コンクリート4における中立軸Nよりも上側に埋設され、下端筋21は、コンクリート4における中立軸Nよりも下側に埋設される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁上に複数のデッキプレートが連設されて、各前記デッキプレートの基板上にコンクリートが打設されて硬化したハイブリッドスラブであって、
前記デッキプレートは、平行な上端筋及び下端筋が前記基板に繋がれた鉄筋付きデッキプレートであり、
前記上端筋は、前記コンクリートにおける中立軸よりも上側に埋設され、
前記下端筋は、前記コンクリートにおける中立軸よりも下側に埋設されるハイブリッドスラブ。
【請求項2】
前記鉄筋付きのデッキプレートは、前記基板と、前記コンクリート内に埋設される複数のトラス及び複数の棒鋼製の吊り材とを備えており、
前記複数のトラスは、前記基板上に一定の間隔をあけて並設されるものであって、前記トラスの各々は、平行な前記上端筋及び前記下端筋と、鉛直面に沿った波状を呈し、上側及び下側の各屈曲部が前記上端筋及び下端筋にそれぞれ固着されることで前記上端筋と前記下端筋とを繋ぐラチス筋とを含み、
前記複数の吊り材は、前記各トラスと直交する方向に一定の間隔をあけて前記基板上に配設されるものであって、前記吊り材の各々が、底辺部が前記基板の上面に、頂部が各トラスの前記上端筋にそれぞれ固着されることで、各前記トラスの前記上端筋が前記基板に繋がれる請求項1に記載のハイブリッドスラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋付きデッキプレートの基板上にコンクリートが打設され、基板と鉄筋とコンクリートとが一体になるハイブリッドスラブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨造及び鉄筋コンクリート造の建造物において、床を施工するのに、デッキプレートを用いた工法が採用されている。この種の工法のひとつは、デッキプレートを捨て型枠として使用するものであり、デッキプレートをスラブの構造部材として考慮していない。他の工法として、デッキプレートをスラブの構造部材として考慮し、引張力に強いデッキプレートの基板と圧縮力に強いコンクリートとを一体化させて協働させるものがある。この種の工法によって施工されるスラブとして、特許文献1には、デッキプレートの鋼製基板上にコンクリートが打設されたスラブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-143471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のスラブでは、火災発生時に基板の下面に高熱が作用した際に、基板が高温となって基板の構造耐力が失われることや、基板に大きな膨張が生じて基板がコンクリートから剥離することから、コンクリートに生じる引張応力に抗する耐力が低減する虞がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に着目してなされたもので、鉄筋付きデッキプレートの基板上にコンクリートが打設されたハイブリッドスラブであって、鉄筋付きデッキプレートの基板に火災時の高熱が作用しても、コンクリートに生じる引張応力に抗する耐力を確保できるハイブリッドスラブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッドスラブは、梁上に複数の鉄筋付きデッキプレートが連設されて、各前記鉄筋付きデッキプレートの基板上にコンクリートが打設されて硬化したハイブリッドスラブであって、前記鉄筋付きデッキプレートは、平行な上端筋及び下端筋が前記基板に繋がれており、前記上端筋は、前記コンクリートにおける中立軸よりも上側に埋設され、前記下端筋は、前記コンクリートにおける中立軸よりも下側に埋設される。
【0007】
本発明のハイブリッドスラブによれば、中立軸よりも下側のコンクリート内に下端筋が埋設されるため、鉄筋付きデッキプレートの基板に火災時の高熱が作用して、基板の構造耐力が失われたり基板がコンクリートから剥離したとしても、コンクリートに生じる引張応力に抗する耐力を確保できる。
【0008】
好ましくは、前記鉄筋付きデッキプレートは、前記基板と、前記コンクリート内に埋設される複数のトラス及び複数の棒鋼製の吊り材とを備えた鉄筋トラス付きデッキプレートであり、
前記複数のトラスは、前記基板上に一定の間隔をあけて並設されるものであって、前記トラスの各々は、平行な前記上端筋及び前記下端筋と、鉛直面に沿った波状を呈し、上側及び下側の各屈曲部が前記上端筋及び下端筋にそれぞれ固着されることで前記上端筋と前記下端筋とを繋ぐラチス筋とを含み、
前記複数の吊り材は、前記各トラスと直交する方向に一定の間隔をあけて前記基板上に配設されるものであって、前記吊り材の各々が、底辺部が前記基板の上面に、頂部が各トラスの前記上端筋にそれぞれ固着されることで、各前記トラスの前記上端筋が前記基板に繋がれる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鉄筋付きデッキプレートの基板に火災時の高熱が作用しても、コンクリートに生じる引張応力に抗する耐力を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るハイブリッドスラブの幅方向に沿う断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るハイブリッドスラブが備える鉄筋付きデッキプレートを示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るハイブリッドスラブの一部を示す幅方向に沿う断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るハイブリッドスラブの一部を示す長さ方向に沿う断面図である。
図5】本発明の変形例のハイブリッドスラブの一部を示す断面図であり、(A)は幅方向に沿う断面を示し、(B)は長さ方向に沿う断面を示す。
図6】本発明の変形例のハイブリッドスラブの一部を示す断面図であり、(A)は幅方向に沿う断面を示し、(B)は長さ方向に沿う断面を示す。
図7】本発明の変形例のハイブリッドスラブの一部を示す断面図であり、(A)は幅方向に沿う断面を示し、(B)は長さ方向に沿う断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係るハイブリッドスラブ1の幅方向Wに沿う断面図である。図2は、本発明の実施形態に係るハイブリッドスラブ1が備える鉄筋付きデッキプレート2を示す斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係るハイブリッドスラブ1の一部を示す幅方向Wに沿う断面図である。図4は、本発明の実施形態に係るハイブリッドスラブ1の一部を示す長さ方向Lに沿う断面図である。
【0012】
本発明の実施形態に係るハイブリッドスラブ1は、梁11上に複数の鉄筋付きデッキプレート2が連設されて、各鉄筋付きデッキプレート2の基板3上にコンクリート4が打設されて硬化したものである。当該ハイブリッドスラブ1は、鉄筋付きデッキプレート2を構造部材として考慮し、引張力に強い基板3と圧縮力に強いコンクリート4とを一体化させて協働させるものである。なお基板3は、コンクリート4の打設後、それ程の時間が経過していないときに発生し易い乾燥収縮ひび割れを分散させることで、乾燥収縮ひび割れを微小化する機能も有する。ハイブリッドスラブ1では、複数の鉄筋付きデッキプレート2からなる連結体12の外周の端部が四方の梁11上に支持される。本願では、鉄筋付きデッキプレート2が連設される方向を「幅方向W」といい、幅方向Wと直交する方向、すなわち、鉄筋付きデッキプレート2の長手方向を「長さ方向L」という。
【0013】
鉄筋付きデッキプレート2の各々は、上記の基板3と、複数のトラス5と、複数の棒鋼製の吊り材6とを備えた鉄筋トラス付きデッキプレートである。各トラス5及び各吊り材6は、コンクリート4内に埋設される。
【0014】
基板3は、長さ方向Lに延びており、梁11に支持される。ハイブリッドスラブ1を構成する複数の鉄筋付きデッキプレート2を連結するために、例えば、各鉄筋付きデッキプレート2の基板3における幅方向の両側縁に係合部が形成されて、隣り合う2つの基板3,3の係合部同士を係合させることが行われる。上記の基板3として、耐食性、防錆効果に優れたメッキ鋼板を使用することが好ましく、当該メッキ鋼板として、例えば、JIS規格に規定される溶融亜鉛メッキ鋼板および鋼帯(JISG3302)を使用できる。
【0015】
複数のトラス5は、幅方向Wに一定の間隔で基板3上に並設される。トラス5の各々は、上下に平行な直線状の上端筋20及び下端筋21と、波状を呈するラチス筋22とを含み、ラチス筋22は上端筋20と下端筋21との間に配置される。
【0016】
上端筋20および下端筋21は、断面が円形の鋼材であり、長さ方向Lに延びる。上端筋20および下端筋21として、例えば、JISG3112規格品の異形棒鋼が用いられる。上端筋20は、コンクリート4における中立軸Nよりも上側に埋設される。下端筋21は、コンクリート4における中立軸Nよりも下側に埋設される。
【0017】
上記の中立軸Nは、曲げモーメントがコンクリート4に生じた際に、引張応力及び圧縮応力が生じないコンクリート4の断面の位置に相当する。鉛直下方への荷重による曲げモーメントがコンクリート4に生じた際には、コンクリート4における中立軸Nよりも上側に圧縮応力が生じ、コンクリート4における中立軸Nよりも下側に引張応力が生じて、中立軸Nよりも上側のコンクリート4は圧縮応力を負担し、下端筋21は引張応力を負担する。上端筋20は、架設時の圧縮応力(コンクリート4が打設されてからコンクリート4が硬化するまでの圧縮応力)を負担する。
【0018】
また上端筋20および下端筋21は、基板3とコンクリート4とを一体化するための定着機構の主材として働く。
【0019】
ラチス筋22は、長さ方向Lに延びる鉛直面に沿った波状を呈する。当該ラチス筋22は、上側の屈曲部40と、下側の屈曲部41と、屈曲部40,41間の斜めの直線部42,43とが一連に連続しており、上側の屈曲部40が上端筋20に固着され、下側の屈曲部41が下端筋21に固着されることで、上端筋20と下端筋21とを繋ぐ。上記のラチス筋22として、例えば、JISG3532規格品の鉄線を使用できる。上記の上端筋20への屈曲部40の固着及び下端筋21への屈曲部41の固着は、例えば、スポット溶接により実現される。
【0020】
複数の吊り材6は、各トラス5と直交する方向Lに一定の間隔をあけて基板3上に配設されており、吊り材6の各々は、幅方向Wに延びる鉛直平面に沿った波状を呈する。当該吊り材6の各々は、上側の屈曲部50と、下側の底辺部51と、屈曲部50と底辺部51との間の斜めの直線部52,53とが一連に連続する。吊り材6の各々が、上側の屈曲部50が上端筋20に固着され、下側の底辺部51が基板3に固着されることで、各トラス5の上端筋20が基板3に繋がれる。吊り材6として、例えば、JISG3532規格品の鉄線が用いられる。上記の上端筋20への屈曲部50の固着及び基板3への底辺部51の固着とは、例えばスポット溶接により実現される。各吊り材6に付加される吊り下げ荷重を均等にする観点から、図示例のように、各吊り材6の屈曲部50の上端筋20への固着は、ラチス筋22の屈曲部40の直上で行われることが好ましい。
【0021】
本実施形態に係るハイブリッドスラブ1によれば、中立軸Nよりも下側のコンクリート4内に下端筋21が埋設されるため、基板3に火災時の高熱が作用して、基板3の構造耐力が失われたり基板3がコンクリート4から剥離したとしても、コンクリート4に生じる引張応力に抗する耐力を確保できる。上記の「コンクリート4に生じる引張応力に抗する耐力を確保できる」ことは、「鉛直下方への荷重による曲げモーメントがコンクリート4に生じた際に、コンクリート4の中立軸Nよりも下側に生じる引張応力を、下端筋21によって負担できる」ことを意味する。
【0022】
また、上端筋20、下端筋21、及びラチス筋22によるトラス5が長さ方向Lに構成され、各吊り材6が幅方向Wに構成されるため、基板3上に打設されたコンクリート4が荷重によって幅方向Wおよび長さ方向Lに変形することが拘束され、この拘束効果によってコンクリート4と鉄筋付きデッキプレート2との一体化が保持され、ハイブリッドスラブ1の強度が高められる。
【0023】
また幅方向Wに延びる複数の吊り材6が長さ方向Lに一定の間隔で配設されて、各吊り材6の底辺部51が基板3に固着されることで、火災で基板3に高熱が作用したときに基板3の幅方向W及び長さ方向Lの熱膨張が抑制されて、基板3とコンクリート4との一体化が損なわれない。
【0024】
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々改変され得る。
【0025】
例えば、本発明のハイブリッドスラブが備える鉄筋付きデッキプレートの構造は、上記実施形態に示した構造に限定されない。例えば上記実施形態では、各トラス5でラチス筋22が上端筋20と下端筋21とを繋ぎ、吊り材6の各々が各トラス5の上端筋20を基板3に繋ぐことで、上下に平行な上端筋20及び下端筋21の各組を基板3に繋いだ例を示したが、本発明のハイブリッドスラブが備える鉄筋付きデッキプレートは、コンクリート4内に埋設される「ラチス筋22及び吊り材6以外の部材(鉄筋等)」によって、平行な上端筋20及び下端筋21を基板3に繋いだ様々な鉄筋付きデッキプレートとされ得る。なお上端筋20及び下端筋21の数は、ハイブリッドスラブの寸法等に応じて一又は任意の複数に設定され得る。
【0026】
例えば、本発明のハイブリッドスラブが備える鉄筋付きデッキプレートは、図5図7に示すように変更され得る。
【0027】
図5に示す鉄筋付きデッキプレート200は、基板3と、基板3上で幅方向Wに並設される複数の鉄筋群7とを備えており、当該複数の鉄筋群7がコンクリート4に埋設される。各鉄筋群7には、上端筋20と、上端筋20に平行な一対の下端筋21A,21Bと、一対のラチス筋8A,8Bとが含まれており、これらの鉄筋20,21A,21B,8A,8Bは長さ方向Lに延びる。デッキプレート200を幅方向Wに視る側面視において、ラチス筋8A,8Bは、それぞれ、波状を呈しており(図5(B)参照)、上側の屈曲部80と、下側の底辺部81と、屈曲部80と底辺部81との間を斜めに延びる直線部82,83とが一連に連続している。図5(A)に示すようにラチス筋8A,8Bは、上端筋20を挟む両側位置で逆方向に傾いた姿勢で対向配置される。鉄筋付きデッキプレート200では、ラチス筋8A,8Bの各屈曲部80が上端筋20に固着され、ラチス筋8A,8Bの各底辺部81が基板3に固着され、ラチス筋8Aの各直線部82及び各直線部83(図示せず)が下端筋21Aに固着され、ラチス筋8Bの各直線部82及び各直線部83が下端筋21Bに固着されることで、上端筋20がラチス筋8A,8Bを介して基板3に繋がれ、下端筋21Aがラチス筋8Aを介して基板3に繋がれ、下端筋21Bがラチス筋8Bを介して基板3に繋がれる。
【0028】
図6に示す鉄筋付きデッキプレート201は、図5に示す鉄筋付きデッキプレート200から下端筋21Bを省略したものである。当該鉄筋付きデッキプレート201では、ラチス筋8A,8Bの各屈曲部80が上端筋20に固着され、ラチス筋8A,8Bの各底辺部81が基板3に固着され、ラチス筋8Aの各直線部82及び各直線部83(図示せず)が下端筋21に固着されることで、上端筋20がラチス筋8A,8Bを介して基板3に繋がれ、下端筋21がラチス筋8Aを介して基板3に繋がれる(図6に示す下端筋21は図5に示す下端筋21Aに相当する)。
【0029】
図7に示す鉄筋付きデッキプレート202は、基板3と、基板3上で幅方向Wに並設される複数の鉄筋群9を備えており、上記の複数の鉄筋群9が、コンクリート4に埋設される。各鉄筋群9には、上端筋20と、上端筋20に平行な下端筋21と、上端筋20と下端筋21との間に配置されるラチス筋11と、複数の吊り材10とが含まれている。上端筋20、下端筋21、及びラチス筋11は長さ方向Lに延びる。ラチス筋11は、長さ方向Lに延びる鉛直面に沿った波状を呈しており(図7(B)参照)、上側の屈曲部110と、下側の屈曲部111と、屈曲部110,111間の斜めの直線部112,113とが一連に連続している。各鉄筋群9では、ラチス筋11の各屈曲部110が上端筋20に固着され、ラチス筋11の各屈曲部111が下端筋21に固着されることで、上端筋20と下端筋21とがラチス筋11によって繋がれる。複数の吊り材10は長さ方向Lに並設される。吊り材10の各々は、幅方向Wに延びる鉛直面に沿った略三角状を呈しており(図7(A)参照)、上側の屈曲部100と、下側の底辺部101と、屈曲部100と底辺部101との間の斜めの直線部102,103とが一連に連続している。各吊り材10において、各屈曲部100がラチス筋11の屈曲部111に固着され、各底辺部101が基板3に固着されることで、各鉄筋群9が基板3に繋がれる。
【0030】
本発明の鉄筋付きデッキプレートが図5図7に示すように変更される場合でも、コンクリート4における中立軸Nよりも上側に上端筋20を埋設し、コンクリート4における中立軸Nよりも下側に下端筋21又は21A,21Bを埋設すれば、下端筋21又は21A,21Bに引張応力を負担させ、コンクリートが硬化するまでの間の圧縮応力を上端筋20に負担させることが可能であり、基板3に火災時の高熱が作用した際に、コンクリート4に生じる引張応力に抗する耐力を下端筋21によって確保できる。なお上記の図5図7の例で示した固着は、例えばスポット溶接によって実現される。
【符号の説明】
【0031】
1 ハイブリッドスラブ
2,200,201,202 鉄筋付きデッキプレート
3 基板
4 コンクリート
5 トラス
6 吊り材
20 上端筋
21,21A,21B 下端筋
22 ラチス筋
N 中立軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7