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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155000
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】光処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20241024BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20241024BHJP
   B29C 35/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B01J19/12 C
B29C59/02 Z
B29C35/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069314
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山森 賢治
(72)【発明者】
【氏名】大図 将人
【テーマコード(参考)】
4F203
4F209
4G075
【Fターム(参考)】
4F203AA36
4F203AC03
4F203AF01
4F203AG01
4F203AH48
4F203AJ08
4F203DA12
4F203DB02
4F203DC08
4F203DL01
4F203DM12
4F209AA44
4F209AF01
4F209AG05
4F209AM30
4F209PA02
4F209PB01
4F209PN09
4G075AA29
4G075AA30
4G075BA04
4G075CA33
4G075CA63
4G075DA02
4G075EB01
4G075EB31
4G075EC09
4G075EC10
4G075ED04
4G075ED11
4G075FA03
4G075FB06
4G075FB12
(57)【要約】
【課題】処理効率を高めた光処理装置を提供する。
【解決手段】光処理装置は、搬送経路に沿って搬送される被処理体の表面に、紫外光を照射する光源と、前記光源を内部に配置するランプハウスであって、前記ランプハウスの内部に不活性ガスを供給するガス供給口、及び前記紫外光の出射方向に開口を有するランプハウスと、前記ランプハウスの外気を前記ランプハウスの内部に流入することを抑制する外気流入抑制部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って搬送される被処理体の表面に、紫外光を照射する光源と、
前記光源を内部に配置するランプハウスであって、前記ランプハウスの内部に不活性ガスを供給するガス供給口、及び前記紫外光の出射方向に開口を有するランプハウスと、
前記ランプハウスの外気を前記ランプハウスの内部に流入することを抑制する外気流入抑制部と、を備えることを特徴とする光処理装置。
【請求項2】
前記外気流入抑制部は、前記ランプハウスの搬送経路の上流空間の気体が、前記ランプハウスと前記ランプハウスに対向する搬送経路の間に位置するランプハウス近接空間に流入することを抑制する第一隔壁と、前記第一隔壁の近傍かつ前記第一隔壁より搬送方向上流に配置されたガイドローラとを備え、
前記ガイドローラは、前記被処理体を移動させるためのガイドローラ、又は、前記被処理体を搬送するベルトを移動させるためのガイドローラであることを特徴とする、請求項1に記載の光処理装置。
【請求項3】
前記第一隔壁と前記ガイドローラの表面との間隔は、前記被処理体又は前記ベルトと前記第一隔壁との間隔より小さいことを特徴とする、請求項2に記載の光処理装置。
【請求項4】
前記ガイドローラの直径は、前記被処理体又は前記ベルトと前記第一隔壁との間隔の5倍以上の大きさであることを特徴とする、請求項2に記載の光処理装置。
【請求項5】
前記外気流入抑制部は、前記ランプハウスと前記ランプハウスに対向する搬送経路の間に位置するランプハウス近接空間と、前記ランプハウス内の空間と、を部分的に隔てる第二隔壁を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光処理装置。
【請求項6】
前記ランプハウス近接空間と前記ランプハウス内の空間との間に、複数の素線が懸架された素線懸架部を含むことを特徴とする、請求項5に記載の光処理装置。
【請求項7】
前記素線懸架部は、前記複数の素線が異なる二方向に懸架されて互いに交差するメッシュ状、又は、前記複数の素線が同じ方向に並ぶアレイ状であることを特徴とする、請求項6に記載の光処理装置。
【請求項8】
前記複数の素線は、いずれの素線も、搬送経路に沿う方向と直交しないことを特徴とする、請求項7に記載の光処理装置。
【請求項9】
前記光処理装置は、前記ランプハウスの前記搬送経路の上流と下流にそれぞれ排気口を備え、
前記外気流入抑制部は、前記ランプハウスと前記被処理体との間で、前記搬送方向の上流に向かって前記不活性ガスが流れるように、前記搬送経路の上流が前記搬送経路の下流よりも排気量が大きくなるように構成される排気調整機構であることを特徴とする、請求項1に記載の光処理装置。
【請求項10】
前記ランプハウスに対向する搬送経路において、前記被処理体又は前記ベルトは、板によって支持され、
前記板のうち、前記被処理体又は前記ベルトに接する表面の少なくとも一部が、滑り性を高められた領域をなすことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の光処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物内装用材料(壁、天井、及び床等)、住宅設備、及び家具、並びに、車両用内装用材料及び外装用材料等の物品を保護するため、従来から、化粧材及び化粧シートと言われる保護材が使用されている。化粧材及び化粧シートには、耐擦傷性、耐汚染性及び耐候性といった表面特性や、加工特性などの、保護材としての物理的及び機械的特性に加えて、意匠性が要求されている。
【0003】
化粧材及び化粧シートの意匠性を向上させるため、化粧材及び化粧シートの表面につや消し効果を付与する方法が知られている。化粧材及び化粧シートの表面につや消し効果を付与すると、化粧材及び化粧シートの質感を高められる。つや消し効果を付与する方法として、化粧材及び化粧シートの表面に、アクリル系の光硬化樹脂又は熱硬化樹脂を塗布して塗布膜を形成し、紫外光を照射して塗布膜の表面に微細な凹凸を形成する処理を行ってから、塗布膜の全体を光硬化又は熱硬化させる方法が知られている。
【0004】
紫外光を照射して塗布膜の表面に微細な凹凸を形成する処理を行う光照射装置として、例えば、半導体や液晶素子を製造するための光処理装置が知られている。特許文献1に開示される光処理装置は、搬送経路に沿って搬送される被処理体の表面に紫外光を照射する光源と、前記光源を内部に配置するとともに、その内部に不活性ガスを供給するランプハウスと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-018164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
化粧材及び化粧シートのような大面積の被処理体に光を照射する場合、半導体や液晶を製造するための光処理装置よりも、処理効率を高めてスループットを向上させることが重要となる。本発明の課題は、処理効率を高めた光処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
光処理装置の処理効率を高めるためには、被処理体の搬送速度を高める必要がある。しかしながら、被処理体の搬送速度を高めると、光処理が進みにくくなる。本発明者らの鋭意研究の結果、光処理が進みにくくなる原因の一つが、ランプハウス内への空気の浸入であることを見出した。つまり、被処理体の搬送速度を高めると、ランプハウスの外気がランプハウス内に浸入し易くなる。外気は、通常、空気であるから、外気は多量の酸素を含む。ランプハウス内に多量の外気が浸入すると、光源と被処理体の間の酸素濃度が上昇し、酸素が光源から放射される紫外光を吸収して、被処理体における紫外光の照度が低下する。
【0008】
そこで、本発明者は、以下の光処理装置を創出した。
光処理装置は、
搬送経路に沿って搬送される被処理体の表面に、紫外光を照射する光源と、
前記光源を内部に配置するランプハウスであって、前記ランプハウスの内部に不活性ガスを供給するガス供給口、及び前記紫外光の出射方向に開口を有するランプハウスと、
前記ランプハウスの外気を前記ランプハウスの内部に流入することを抑制する外気流入抑制部と、を備える。外気流入抑制部を備えることにより、光源と前記被処理体の間の酸素濃度を低い状態に維持し、被処理体における紫外光の照度の低下を防ぐことができる。
【0009】
外気流入抑制部は、主に三種類のタイプ(以下に述べる、「第一の外気流入抑制部」、「第二の外気流入抑制部」及び「第三の外気流入抑制部」)を有する。前記光処理装置は、三種類のうち少なくともいずれか一つの外気流入抑制部を備えるとよい。
【0010】
第一の外気流入抑制部について説明する。第一の外気流入抑制部は、前記ランプハウスの搬送経路の上流の外気を、ランプハウスと、ランプハウスに対向する搬送経路との間に流入することを抑制することを目的とするものである。具体的には、第一の外気流入抑制部は、前記ランプハウスの搬送経路の上流空間の気体が、前記ランプハウスと前記ランプハウスに対向する搬送経路の間に位置するランプハウス近接空間(以降、単に「ランプハウス近接空間」と記載することがある。)に流入することを抑制する第一隔壁と、前記第一隔壁の近傍かつ前記第一隔壁より搬送方向上流に配置されたガイドローラとを備える。ここで、前記ガイドローラは、前記被処理体を移動させるためのガイドローラ、又は、前記被処理体を搬送するベルトを移動させるためのガイドローラである。
【0011】
詳細は後述するが、第一の外気流入抑制部の機序を簡単に説明する。前記第一隔壁が、前記被処理体又は前記被処理体を搬送するベルトに巻き込まれて、ランプハウス近接空間に浸入しようとする外気を妨げる。ただし、前記被処理体又は前記被処理体を搬送するベルトと前記第一隔壁との間には比較的大きな隙間を確保せざるを得ないため、第一隔壁を配置するだけでは、外気がランプハウス近接空間へ浸入してしまう。そこで、第一隔壁の近傍にガイドローラを配置する。ガイドローラは、前記被処理体又は前記被処理体を搬送するベルトと接しているため、前記被処理体又は前記被処理体を搬送するベルトに巻き込まれる外気は、ガイドローラに遮られる。よって、ランプハウス近接空間に浸入しようとする外気を減らすことができる。
【0012】
前記第一隔壁と前記ガイドローラの表面との間隔G4は、前記被処理体又は前記ベルトと前記第一隔壁との間隔G3より小さくても構わない。
【0013】
前記ガイドローラの直径r1は、前記被処理体又は前記ベルトと前記第一隔壁との間隔G3の5倍以上の大きさであっても構わない。
【0014】
第二の外気流入抑制部について説明する。第二の外気流入抑制部は、ランプハウス近接空間に浸入した外気を、ランプハウス内の空間に浸入させないことを目的とするものである。具体的には、第二の外気流入抑制部は、前記ランプハウスと前記ランプハウスに対向する搬送経路の間に位置するランプハウス近接空間と、前記ランプハウス内の空間と、を部分的に隔てる第二隔壁を備える。前記第二隔壁により、外気の前記ランプハウス内への浸入を抑えるとともに、ランプハウス内の不活性ガスとの接触を減らして、外気の乱流化を抑える。外気が乱流化すると、外気が拡散してより多くの空間で紫外光を吸収する。つまり、外気の乱流化を抑えることで、紫外光の吸収を抑えることができる。
【0015】
前記ランプハウス近接空間と前記ランプハウス内の空間との間に、複数の素線が懸架された素線懸架部を含んでいても構わない。前記素線懸架部は、前記複数の素線が異なる二方向に懸架されて互いに交差するメッシュ状、又は、前記複数の素線が同じ方向に並ぶアレイ状であっても構わない。前記素線懸架部を構成する素線は、いずれも、搬送経路に沿う方向と直交しないように設計されても構わない。
【0016】
第三の外気流入抑制部について説明する。第三の外気流入抑制部は、第一の外気流入抑制部と同様に、前記ランプハウスの搬送経路の上流の外気を、ランプハウス近接空間に流入することを抑制することを目的とするものである。前提として、前記光処理装置は、前記ランプハウスの前記搬送経路の上流と下流にそれぞれ排気口を備える。そして、第三の外気流入抑制部は、前記ランプハウスと前記被処理体との間で、前記搬送方向の上流に向かって前記不活性ガスが流れるように、前記搬送経路の上流が前記搬送経路の下流よりも排気量が大きくなるように構成される排気調整機構である。前記搬送経路の上流が前記搬送経路の下流よりも排気量が大きいと、ランプハウス近接空間から搬送経路の上流に向かってガスの流れが形成される。搬送経路の上流に向かうガスの流れが、前記被処理体又は前記被処理体を搬送するベルトに巻き込まれてランプハウス近接空間に浸入しようとする外気を妨げる。
【0017】
前記ランプハウスに対向する搬送経路において、前記被処理体又は前記ベルトは、板によって支持され、
前記板のうち、前記被処理体又は前記ベルトに接する表面の少なくとも一部が、滑り性を高められた領域をなしても構わない。
板は、搬送される前記被処理体又は前記ベルトに接触し得る部分において平坦な表面を有するものを言う。前記被処理体又は前記ベルトは、板に接触しながら搬送されることがある。なお、板は、前記被処理体又は前記ベルトに接触しない部分において、平坦な表面を有してなくてもよい。
【発明の効果】
【0018】
処理効率を高めた光処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】光処理装置の第一実施形態を示す図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3】光処理装置の搬送方向に直交する断面における断面図である。
図4】光処理装置の第二実施形態を示す図である。
図5A】第二の外気流入抑制部の一例を示す図である。
図5B】第二の外気流入抑制部の第一変形例を示す図である。
図5C】第二の外気流入抑制部の第二変形例を示す図である。
図5D】第二の外気流入抑制部の第三変形例を示す図である。
図5E】第二の外気流入抑制部の第四変形例を示す図である。
図5F】第二の外気流入抑制部の第五変形例を示す図である。
図5G】第二の外気流入抑制部の第六変形例を示す図である。
図6】光処理装置の第三実施形態を示す図である。
図7】光処理装置の第四実施形態を示す図である。
図8】光処理装置の第五実施形態を示す図である。
図9】光処理装置の第六実施形態を示す図である。
図10A】境界層を説明する図である。
図10B】境界層を破壊する様子を説明する図である。
図11】光処理装置の第七実施形態を示す図である。
図12】光処理装置の第七実施形態の変形例を示す図である。
図13A図12の変形例について、板と板上のベルトを+Z方向から-Z方向に見た図である。
図13B】光処理装置の第七実施形態のさらなる変形例について、板と板上のベルトを+Z方向から-Z方向に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本明細書に開示された各図面は、あくまで模式的に図示されたものである。すなわち、図面上の寸法比と実際の寸法比とは必ずしも一致しておらず、また、各図面間においても寸法比は必ずしも一致していない。図面に示された各構成要素の個数は、実際の寸法比や各構成要素の個数と必ずしも一致していない。
【0021】
以下において、各図面は、XYZ座標系を参照しながら説明される。本明細書において、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の両方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。以下に述べる実施形態では、重力方向が-Z方向であり、被処理体が搬送される搬送方向が-Y方向であり、被処理体の幅方向はX方向である。
【0022】
<第一実施形態>
[光処理装置の概要]
図1は、光処理装置の第一実施形態の断面図である。光処理装置100は、紫外光を出射する、三つの光源3と、三つの光源3を内部に配置する一つのランプハウス2を備える。ランプハウス2は、内部が空洞の筐体を備える。筐体は、XY平面に沿う天井面と、XZ平面又はYZ平面に沿う側面で構成される。本実施形態において、光源3の紫外光L1の出射方向は-Z方向であり、筐体は被処理体4に近接する方向に存在せず、同方向には紫外光を取り出すための開口が存在する。開口が被処理体4の搬送経路に対向するように、光処理装置100が配置される。そして、被処理体4が搬送経路に沿って-Y方向に搬送されながら、被処理体4は紫外光L1に曝される。ランプハウス2の筐体の内壁には、紫外光を反射する反射器又は反射層が形成されていてもよい。反射器又は反射層により、光源3から出射する紫外光L1が-Z方向に進むように方向付けられる。
【0023】
本実施形態において、被処理体4はシート状の化粧シートである。被処理体4がシート状である場合、被処理体4は、例えば、ロール・トゥ・ロール方式で搬送されるとよい。ロール・トゥ・ロール方式では、巻出装置(不図示)において巻かれた被処理体4のロールからシート状の被処理体を巻き出し、被処理体4を、搬送経路に沿って搬送させ、巻取装置(不図示)において被処理体4を巻き取る。搬送経路において、被処理体4は複数のガイドローラ33で支持される。
【0024】
図2は、図1の要部拡大図である。ランプハウス2の筐体側面の-Z側の端を接続し、ランプハウス2の筐体の開口に重なる線分B1は、ランプハウス2の内と外の境界を表す。本明細書において、ランプハウス2の内部15とは、線分B1より+Z側を指す。線分B1より-Z側はランプハウス2の外部である。ランプハウス2とランプハウス2に対向する被処理体4(又は、搬送経路)の間を、ランプハウス近接空間16pという。ランプハウス近接空間16pのZ方向の長さを表す隙間G1は、被処理体4が高速搬送される最中、被処理体4がZ方向に揺動しても、被処理体4がランプハウス2の筐体に接触しないようにするために設けられる。
【0025】
ランプハウス2は内部15に複数のガス供給口8を備える。ガス供給口8は内部15に不活性ガスIGを供給し、内部15が不活性ガス雰囲気にパージされる。これにより、酸素による紫外光L1の吸収を抑制し、被処理体4における紫外光L1の照度を向上させる。本明細書において、「不活性ガス雰囲気」とは、特段の限定がない場合、ランプハウス2の内部15において、不活性ガスIGが全体の90vol%以上を占める混合気体を言う。このとき、内部15の酸素濃度は、確実に10vol%未満となる。例えば、172nmの紫外光が、酸素濃度が10%未満である空間を4mm進行すると、50%以上の光強度を確保できる。内部15において、不活性ガスIGは、95vol%以上を占めると好ましい。このとき、内部15の酸素濃度は、確実に5%未満となる。例えば、172nmの紫外光が、酸素濃度が5%以下である空間を4mm進行すると、70%以上の光強度を確保できる。内部15の不活性ガス濃度は、98vol%以上を占めるとさらに好ましい。
【0026】
本実施形態の光処理装置100では、パージチャンバ32が被処理体4を挟んでランプハウス2に対向する位置にある。パージチャンバ32は内部50に複数のガス供給口8を備える。ガス供給口8は内部50に不活性ガスIGを供給する。
【0027】
図2を参照して、パージチャンバ32の筐体側面の+Z側の端を接続し、開口に重なる線分B2は、パージチャンバ32の内と外の境界を表す。本明細書に図2における線分B2より-Z側はパージチャンバ32の内部50である。線分B2より+Z側は、パージチャンバ32の外部である。パージチャンバ32とパージチャンバ32に対向する被処理体4(又は、搬送経路)の間を、パージチャンバ近接空間16qという。パージチャンバ近接空間16qのZ方向の長さを表す隙間G2は、被処理体4が高速搬送される最中、被処理体4がZ方向に揺動しても、被処理体4がパージチャンバ32の筐体に接触しないようにするために設けられる。隙間G2の大きさは、隙間G1の大きさと同じであるとよい。
【0028】
パージチャンバ近接空間16qにある気体は、被処理体4のX方向の両側から回り込み、ランプハウス近接空間16pに移動し得る。また、ランプハウス近接空間16pにある気体もまた、被処理体4のX方向の両側から回り込み、パージチャンバ近接空間16qに移動し得る。ただし、詳細は後述するが、パージチャンバ32は本実施形態において必須の構成ではなく、選択的に採用し得る構成である。
【0029】
ランプハウス2の内部15が不活性ガスで満たされると、不活性ガスIGは、ランプハウス近接空間16pを経て、ランプハウス2の上流又は下流へ漏れ出る。パージチャンバ32の内部50が不活性ガスで満たされると、不活性ガスIGは、パージチャンバ近接空間16qを経て、パージチャンバ32の上流又は下流へ漏れ出る。ランプハウス2及びパージチャンバ32から漏れ出る不活性ガスIGは、後述するガス回収チャンバで回収される。
【0030】
[外気流入抑制部]
本実施形態の光処理装置100は、外気流入抑制部として、第一の外気流入抑制部S1を備えている。第一の外気流入抑制部S1は、ランプハウス2の搬送経路の上流にある外気が、ランプハウス近接空間16pに流入することを抑制する第一隔壁26と、第一隔壁26の近傍かつ第一隔壁26より搬送方向上流に配置されたガイドローラ43とを備える。ガイドローラ43は、被処理体4を支持するために使用される。ガイドローラ43は、他のガイドローラ33と同じものであってもよく、ガイドローラ33と異なるものであってもよい。ガイドローラ43の直径r1は30mm~40mmであるとよい。
【0031】
図2を参照しながら、第一の外気流入抑制部S1を説明する。被処理体4を高速搬送すると、光処理装置100の上流側において、被処理体4の近傍の外気が被処理体4に巻き込まれて、外気が被処理体4とともにランプハウス近接空間16p又はパージチャンバ近接空間16qに浸入する。そこで、第一隔壁26を被処理体4にできるだけ近づけて配置する。これにより、被処理体4の近傍の外気がランプハウス近接空間16p又はパージチャンバ近接空間16qに浸入する量を少なくする。
【0032】
しかしながら、搬送される被処理体4はZ方向に揺動するため、第一隔壁26がZ方向に揺動する被処理体4に接触しないよう、第一隔壁26と被処理体4との間に、少なくとも隙間G3を設けざるを得ない。隙間G3を設けるために、外気は、少量ではあるが、パージチャンバ近接空間16qに浸入することになる。
【0033】
本発明者は、鋭意研究の結果、第一隔壁26の近傍にガイドローラ43を配置するという外気流入抑制方法を見出した。ガイドローラ43は、被処理体4と接しているため、外気が被処理体4とガイドローラ43との間を通ることはない。ガイドローラ43が外気の浸入を阻止する。より多くの外気の浸入をガイドローラ43で阻止するために、ガイドローラ43の直径r1を隙間G3に基づいて設定してもよい。例えば、ガイドローラ43の直径r1を、隙間G3の5倍以上の大きさに設定するとよく、隙間G3の10倍以上の大きさに設定すると、より好ましい。なお、隙間G3は、隙間G1又は隙間G2と同じ大きさであるとよい。隙間G3は、例えば、2mm~10mmであるとよく、より好ましくは、3mm~5mmであるとよい。
【0034】
ガイドローラ43を配置しても、外気が第一隔壁26とガイドローラ43との隙間G4を通り、その後、外気が隙間G3と隙間G2を経て、ランプハウス近接空間16pへ浸入するルートが残る。そこで、ガイドローラ43を第一隔壁26の近傍に配置することにより隙間G4を小さくして、外気がランプハウス近接空間16pへ浸入する量を小さくする。隙間G4は、隙間G3よりも小さくするとよい。隙間G4は、隙間G3の3分の1より小さいとよく、隙間G3の5分の1より小さくするとよい。隙間G4は、例えば、0.2mm~4mmであるとよく、より好ましくは、0.5mm~2mmであるとよい。
【0035】
[光源]
光源3について説明する。光源3が搬送される被処理体4の表面に照射する紫外光L1は、真空紫外光、即ち、少なくとも波長205nm以下の波長帯域に属する光を有する紫外光である。本明細書において使用される、「少なくとも波長205nm以下の波長帯域に属する光」とは、光源3の発光スペクトルにおいて、少なくとも205nm以下に発光強度を示す光である。斯かる光として、(1)ブロードな波長帯域に強度を示しつつ、最大強度を示すピーク発光波長が205nm以下となる発光スペクトルを示す光、(2)複数の極大強度(複数のピーク)を示す発光スペクトル示しつつ、複数のピークのうちいずれかのピークが205nm以下の波長範囲に含まれるような発光スペクトルを示す光、(3)発光スペクトル内における全積分強度に対して、205nm以下の光が、少なくとも30%以上の積分強度を示す光、が例示される。真空紫外光は特に酸素に吸収されやすい。
【0036】
上述したように、光処理装置100で処理される被処理体4は、化粧シートである。被処理体4の表面には、硬化性樹脂(例えば、光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂)の塗布膜が形成されている。塗布膜が形成された被処理体4を光処理装置100に搬送し、光処理装置100でつや消し効果を付与する処理を行う。光処理装置100の処理が終わった後、光処理装置100とは別の装置を使用して、塗布膜に光又は熱を与えて硬化させる。なお、光処理装置100が、塗布膜の全体を硬化させるための機構(例えば、塗布膜を光硬化させるための光源や、熱硬化させるためのヒータ)を有していてもよい。
【0037】
つや消し効果を付与する処理について説明する。光処理装置100において被処理体4に照射される紫外光は、被処理体4の表面に塗布された液状の樹脂を収縮させる。樹脂が収縮すると、樹脂の表面に可視光を散乱させる微細な凹凸が形成される。これにより、樹脂塗布膜の表面につや消し効果が付与される。
【0038】
樹脂の収縮について説明する。本実施形態において、被処理体4は、アクリル系の光硬化性樹脂の塗布膜を表面に有する。本実施形態において、光源3は、最大強度を示すピーク発光波長が172nmを呈する光を放射する、キセノンエキシマランプである。キセノンエキシマランプから放射される、172nm近辺の波長を有する光が、塗布膜中の光硬化性樹脂を構成する分子の二重結合を開裂させて、他の分子と結合することにより、樹脂の体積が減少し、樹脂が収縮する。
【0039】
光源3は、キセノンガス以外のガスが封入された放電ランプであっても構わない。図1では、三つの光源3が、被処理体4の搬送方向(Y方向)に並んで配置されている。しかしながら、光源3は、少なくとも一つあればよい。光源3が複数ある場合、複数の光源3がX方向に並んで配置されてもよいし、X方向とY方向それぞれに光源3が並んで配置されてもよい。光源3は、LED等の固体光源であっても構わない。各光源3は、一つ又は複数の小光源から構成されていてもよい。光源3を被処理体4(搬送経路)に対して近づけたり、離したりすることで、被処理体4への照度を変更してもよい。また、光源3に所望の減光フィルタを配置して照度を変更してもよい。
【0040】
[ガス回収チャンバ]
図1に戻り、光処理装置100は、搬送経路におけるランプハウス2の上流(+Y方向)に、ガスを回収するガス回収チャンバ(20a,20b)を有する。ガス回収チャンバ20aは、被処理体4の光照射面側(+Z側)に位置する。ガス回収チャンバ20bは、被処理体4の光照射面の反対側(-Z側)に位置する。ガス回収チャンバ20bとガス回収チャンバ20aは被処理体4を挟んで互いに対向する位置にある。光処理装置100は、搬送経路におけるランプハウス2の下流(-Y方向)に、ガスを回収するガス回収チャンバ(30a,30b)を有する。ガス回収チャンバ30aは、被処理体4の光照射面側(+Z側)に位置する。ガス回収チャンバ30bは、被処理体4の光照射面の反対側(-Z側)に位置する。ガス回収チャンバ30bとガス回収チャンバ30aは被処理体4を挟んで互いに対向する位置にある。
【0041】
ガス回収チャンバ20aは、被処理体4に近接する方向(-Z方向)に開口を有する筐体である。ガス回収チャンバ20aは、筐体内に配置される複数のガス回収口21を有する。複数のガス回収口21は、ガス回収チャンバ20a内に多孔プレート21pを配置することによって形成される。複数のガス回収口21は、共通の排気口23に接続される。排気口23は、図1には示されていない排気源に接続される。また、本実施形態のガス回収チャンバ(20b,30a,30b)も、ガス回収チャンバ20aの構造と同様の構造であるが、異なる構造であってもよい。
【0042】
上述したように、ガス回収チャンバ(20a,20b,30a,30b)は、ランプハウス2及びパージチャンバ32から漏れ出る不活性ガスIGを回収する。不活性ガスIGをガス回収チャンバ(20a,20b,30a,30b)で回収することにより、不活性ガスIGが光処理装置100の周囲に漏れないようにする。これにより、光処理装置100の付近にいる人を酸欠から守る。なお、光処理装置100の付近に人がいない場合や、光処理装置100に属さない排気設備がある場合には、光処理装置100がガス回収チャンバを有していなくてもよい。つまり、光処理装置100において、ガス回収チャンバ(20a,20b,30a,30b)は必須の構成ではない。
【0043】
光処理装置は、ランプハウス2及びパージチャンバ32の上流のガス回収チャンバ(20a,20b)とランプハウス2及びパージチャンバ32の下流のガス回収チャンバ(30a,30b)のいずれか一方のみを有していてもよい。光処理装置100のように、上流と下流の両方にガス回収チャンバ(20a,20b,30a,30b)を有する場合には、ランプハウス近接空間16p内のガスの流れを層流に保ちやすく、より好ましい。
【0044】
[不活性ガスのガス供給口]
ランプハウス2及びパージチャンバ32に設けられたガス供給口8の詳細を説明する。本実施形態において、ガス供給口8は、不活性ガスIGを被処理体4の搬送方向を含む平面(XY平面)に沿って供給し、不活性ガスIGを被処理体4に向かって噴射しないように設計される。なぜなら、仮に、不活性ガスIGを被処理体4に向かって噴射すると、噴射された不活性ガスIGが被処理体4に衝突し、ランプハウス2内で気体が乱流化するからである。ランプハウス2内で気体が乱流化すると、空気がランプハウス2の内部15に浸入しやすくなる。なお、不活性ガスIGが被処理体4に向かって噴射されない程度に、ガス供給口8の供給方向をXY平面から傾けてもよい。
【0045】
図1を参照して、複数のガス供給口8はガス配管6を介してガス供給源12に接続される。ガス配管6は、必要に応じて分岐される。ガス配管6の途中に流量制御弁7を有する。パージチャンバ32に設けられたガス供給口8に接続されるガス配管6、流量制御弁7及びガス供給源12の記載を省略しているが、ランプハウス2のガス供給口8に接続されるガス配管6、流量制御弁7及びガス供給源12と同様の構造で存在する。本実施形態では、不活性ガスIGとして、窒素ガスが使用される。
【0046】
[光処理装置の詳細]
図3は、光処理装置100の搬送方向(-Y方向)に直交する断面図である。本実施形態の光処理装置100は、ランプハウス2がスペーサ42を介してパージチャンバ32に積層された構造を呈する。しかしながら、光処理装置100はスペーサ42を介さずに、ランプハウス2とパージチャンバ32が積層されていても構わないし、ランプハウス2とパージチャンバ32が共通する一つの筐体で構成され、+Z側をランプハウス2として利用し、-Z側をパージチャンバ32として利用しても構わない。
【0047】
光処理装置100の構成部材の各種寸法について説明する。光源3のX方向の幅は、被処理体4のX方向の幅より大きい。これにより、紫外光を被処理体4の中央から端まで均等に照射できる。被処理体4が搬送される際、被処理体4の蛇行により被処理体4のX方向の位置が変化することを考慮すれば、光源3のX方向の幅は、被処理体4のX方向の幅よりも50mm~100mm大きいとよい。例えば、被照射体のX方向の幅が500mmのとき、光源3のX方向の幅は、550mm~600mmであるとよい。
【0048】
ガス供給口8はX方向に長い長尺状の部材に設けられている。当該部材に複数のガス供給孔がX方向に並んで配置されている。これにより、幅方向(X方向)に均等に不活性ガスを供給できる。また、ガス供給口8は、X方向に長いスリット状のガス供給孔であっても構わない。
【0049】
図1に示されるように、光処理装置100のランプハウス2は、複数のガス供給口8が搬送方向においてほぼ等間隔に配置されている。このとき、各ガス供給口8の不活性ガス供給量は、ほぼ同じ量に設定するとよい。これにより、ランプハウス2内の乱流の形成を抑えることができる。パージチャンバ32に設けられた各ガス供給口8についても同様である。
【0050】
<第二実施形態>
光処理装置の第二実施形態及びその変形例を説明する。以下に、第一実施形態とは異なる特徴を中心に説明する。第二実施形態に説明がない点については、第一実施形態と同様に実施できる。後述する第三実施形態以降及び各実施形態の変形例についても、同様である。
【0051】
図4は、光処理装置200の要部拡大図である。本実施形態の光処理装置200は、外気流入抑制部として、第二の外気流入抑制部S2を備えている。第二の外気流入抑制部S2は、ランプハウス近接空間16pに浸入した外気を、ランプハウス2の内部15にできるだけ浸入させないことを目的とするものである。
【0052】
ランプハウス近接空間16pに浸入した外気の大部分は、高速搬送される被処理体4とともに-Y方向に流れ、ランプハウス近接空間16pから出ていく。しかしながら、ランプハウス近接空間16pに浸入した外気の一部がランプハウス2の内部15の気体と接触すると、内部15で気体が乱流化して紫外光の吸収量が増える。そこで、ランプハウス近接空間16pとランプハウス2の内部15の境界に、第二の外気流入抑制部S2を配置する。
【0053】
第二の外気流入抑制部S2は、ランプハウス近接空間16pとランプハウス2の内部15と、を部分的に隔てる第二隔壁9を備える。光処理装置200では、ランプハウス近接空間16pとランプハウス2の内部15の境界において、二つの第二隔壁9がそれぞれXY平面に沿う方向に延びるように配置される。一方の第二隔壁9はランプハウス2の筐体の上流側側壁に接し、他方の第二隔壁9はランプハウス2の筐体の下流側側壁に接する。第二隔壁9が、ランプハウス近接空間16pに浸入した外気が内部15に浸入することを抑制し、内部15の不活性ガスとの接触を減らす。
【0054】
本実施形態の第二隔壁9は、光源3が放射する紫外光を透過しないが、第二隔壁9に光源3が放射する紫外光を透過する材料(例えば、石英ガラスなど)を使用しても構わない。また、図4では、第二隔壁9は、Z方向に一定の厚みを有する板状部材として描いているが、必ずしもZ方向に厚みが不均等の部材であっても構わないし、板状以外の形状の部材であっても構わない。また、第二隔壁9がランプハウス2の筐体と一体化していても構わない。また、本段落で記載した第二隔壁9の特徴は、後述する変形例の第二隔壁9に適用可能である。
【0055】
図4に示されるように、ランプハウス近接空間16pとランプハウス2の内部15との間であり、二つの第二隔壁9に挟まれた領域には、複数の素線が懸架された素線懸架部14(点線で表示)が配置されている。素線懸架部14もまた、第二の外気流入抑制部S2の構成要素である。図5Aを参照しながら、素線懸架部14の詳細を説明する。
【0056】
図5Aは、ランプハウス2と外気流入抑制部を+Z方向に見た図である。素線懸架部14は、Y方向に延びる複数の素線14aと、X方向に延びる複数の素線14bとが互いに交差して形成されたメッシュ形状を呈する。図4に示されるように、メッシュ形状の素線(14a,14b)は、ランプハウス近接空間16pとランプハウス2の内部15の境界上にある。メッシュ形状の素線(14a,14b)が、ランプハウス近接空間16pに浸入した外気が内部15に浸入することを抑制する。そして、素線懸架部14は多数の開口を有するため、素線懸架部14は光源3から放射されて紫外光を妨げにくい。よって、紫外光が通る領域には、第二隔壁9に代えて素線懸架部14を配置するとよい。加えて、不活性ガスIGは、素線懸架部14の開口を通って漏れ出ることができる。
【0057】
素線(14a,14b)は、例えば、略円形の断面を有する金属ワイヤであってもよい。素線(14a,14b)の直径は、例えば、0.1mm以上であるとよく、0.3mm以下であるとよい。メッシュ形状領域の面積全体に占める、素線(14a,14b)の無い領域の面積の割合が、開口率として表され得る。当該開口率は、5%以上であるとよく、50%以下であるとよい。また、本段落で記載した素線(14a,14b)の特徴は、後述する種々の変形例の素線に適用可能である。
【0058】
図5Bは、第二の外気流入抑制部の第一変形例である。素線懸架部14は、一方向に延びる複数の素線14cと、もう一つの方向に延びる複数の素線14dとが互いに交差して形成されたメッシュ形状を呈し、前記一方向及び前記もう一つの方向は、いずれも、素線(14c,14d)が搬送経路に沿うY方向と直交しないように設計されている。
【0059】
素線(14c,14d)が搬送経路に沿う方向と直交しないことの効果について説明する。図5Aに示された素線懸架部14では、素線14bが搬送経路に沿うY方向に直交する。図5Aに示されるように、搬送経路に沿って流れる外気45の一部が、素線14bに垂直をなすように正面から衝突する。それゆえ、素線14bに衝突した外気45が渦を巻くなど、外気45の流れが妨げられて乱流化を招きやすい。これに対し、図5Bに示された素線懸架部14では、素線(14c,14d)が搬送経路に沿うY方向に直交しないため、搬送経路に沿って流れる外気45が、素線(14c,14d)に垂直をなすように正面から衝突しにくい。それゆえ、外気45の流れが妨げられず乱流化を招きにくい。
【0060】
図5Cは、第三の外気流入抑制部の第二変形例である。素線懸架部14は、搬送経路であるY方向に直交しない、Y方向に対して傾斜した方向に並ぶ複数の素線14cから構成されるアレイ状である。素線14cで構成される素線懸架部14は、搬送経路に沿う外気45の流れを妨げにくい。
【0061】
図5Dは、第二の外気流入抑制部の第三変形例である。素線懸架部14は、Y方向に並ぶ複数の素線14aから構成されるアレイ状である。素線14aで構成される素線懸架部14は、搬送経路に沿う外気45の流れをさらに妨げにくい。
【0062】
図5Eは、第二の外気流入抑制部の第四変形例である。本変形例では、第二隔壁9が存在するが、素線懸架部14は存在せず、素線懸架部14に該当する場所には、遮るものがない開口があるのみであり、当該開口は内部15と通じている。
【0063】
図5Fは、第二の外気流入抑制部の第五変形例である。本変形例では、第二隔壁9が存在せず、ランプハウス2の開口全体が素線懸架部14で覆われている。本実施形態では、搬送経路に沿う方向と直交しない素線(14c,14d)により素線懸架部14が形成されているが、素線懸架部14は、搬送経路に沿う方向と直交する素線14bを含んでいてもよい。
【0064】
図5Gは、第二の外気流入抑制部の第六変形例である。本変形例では、4つの第二隔壁9と3つの素線懸架部14が交互に配置されている。各素線懸架部14に対向する位置に各光源3が配置されている。各素線懸架部14が、それぞれ、対向する光源3の光線束を透過させる。4つの第二隔壁9は、各光源3の光線束の外側に位置する。このように、各光源3が照射する紫外光の光線束に応じて、第二隔壁9及び素線懸架部14の大きさ及び位置を設計するとよい。
【0065】
<第三実施形態>
光処理装置の第三実施形態を説明する。図6は、光処理装置300の断面図である。本実施形態の光処理装置300は、外気流入抑制部として、第三の外気流入抑制部S3を備えている。第三の外気流入抑制部S3は、ガス回収チャンバ(20a,20b,30a,30b)と各ガス回収チャンバが接続する負圧源56との間に接続された、排気調整機構である。排気調整機構は排気流量を調整する流量調整弁(57a,57b,57c,57d)であり、流量調整弁(57a,57b,57c,57d)を使用して、各ガス回収チャンバ(20a,20b,30a,30b)の排気能力を調整できる。
【0066】
上述したように、ランプハウス2の内部15が不活性ガスIGでパージされると、不活性ガスIGは、ランプハウス近接空間16pを経て、ランプハウス2の上流又は下流等へ漏れ出る。このとき、各ガス回収チャンバ(20a,20b,30a,30b)の排気量を調整することにより、不活性ガスIGの流れを変更できる。搬送経路の上流に位置するガス回収チャンバ(20a,20b)の排気量を、搬送経路の下流に位置するガス回収チャンバ(30a,30b)よりも排気量が大きくなるように調整すると、ランプハウス2から搬送方向の上流に向かって不活性ガスが流れるように制御できる。ランプハウス2から搬送方向の上流に向かう不活性ガスの流れは、ランプハウス近接空間16pに流入する外気の障害となるため、外気流入を抑制できる。
【0067】
本実施形態の光処理装置300では、被処理体4に対しランプハウス2に対向する位置に、パージ空間を内部に有するパージチャンバ32が存在しない。被処理体4の裏側(-Z側)では、筐体が被処理体4の近傍に存在する。このように、パージチャンバ32は必須の構成ではない。そして、パージチャンバ32を設けない場合、不活性ガスIGでパージされるべき体積を小さくできるので、不活性ガスIGの使用量を削減できる。
【0068】
<第四実施形態>
光処理装置の第四実施形態を説明する。図7は、光処理装置400の断面図である。本実施形態の光処理装置400は、被処理体4の両面を光照射するために、被処理体4の両側それぞれにランプハウス2が配置され、搬送される被処理体4に対し両側から光を照射する。二つのランプハウス2は互いに対向する位置に配置される。そのため、短い搬送経路であっても光処理装置400を使用できる。
【0069】
本実施形態の被処理体4の両面には硬化性樹脂の塗布膜が形成されており、ガイドローラ43は当該塗布膜に接触することになる。そのため、塗布膜がガイドローラ43に接触しても、塗布膜がガイドローラ43に付着しない塗布膜であることが望ましい。または、ガイドローラ43の下流、かつ、光源3の上流に塗布ノズルを配置し、ガイドローラ43を通った後、かつ、被処理体4が光源3に達する前に塗布膜を形成してもよい。なお、本実施形態では、ガイドローラにおける塗布膜の付着リスクを考慮して、ランプハウス2内にはガイドローラを配置していない。しかしながら、塗布膜を被処理体4の全面に形成せず、被処理体4の塗布膜のない領域にガイドローラを接触させることで、ガイドローラが被処理体4を支持してもよい。
【0070】
光処理装置400では、ランプハウス2の上流において、被処理体4の両面にそれぞれ、第一の外気流入抑制部S1が設けられている。また、ランプハウス2の下流にも、被処理体4の両面にそれぞれ、第一の外気流入抑制部S1が設けられている。これら4つの第一の外気流入抑制部S1により、ランプハウス2内への外気流入を抑制する。
【0071】
<第五実施形態>
図8は、光処理装置500の断面図である。光処理装置500は、被処理体4の両面を光照射するために、被処理体4の両側それぞれにランプハウス2が配置され、搬送される被処理体4に対し両側から光を照射する。二つのランプハウス2は互いに対向せず、搬送方向にずれた位置に配置される。被処理体4の一方の面が光照射されると、照射された光エネルギーが熱エネルギーに変換され、被処理体4の温度が上昇する。光処理装置500では、二つのランプハウス2が搬送方向にずれた位置に配置することにより、熱エネルギーの変換が時間的に分散され、被処理体4の温度上昇幅を抑えることができる。
【0072】
光処理装置500では、ランプハウス2の上流において、被処理体4の両面にそれぞれ、第一の外気流入抑制部S1が設けられている一方で、ランプハウス2の下流には、第一の外気流入抑制部S1が設けられていない。このように、第一の外気流入抑制部S1は、図8に示すようにランプハウス2の上流にのみ設けられるか、又は、ランプハウス2の上流と下流の両方に設けられるとよい。
【0073】
<第六実施形態>
図9は、光処理装置600の断面図である。光処理装置600は、ランプハウス2の搬送経路上流(本実施形態では、ランプハウス2の+Y方向)にプリパージチャンバ10を備える。プリパージチャンバ10内には、不活性ガスIGを噴射するパージガスノズル11が3本取り付けられている。パージガスノズル11から噴射する不活性ガスIGは、ランプハウス2内に供給する不活性ガスIGと同種のガスであってもよく、異なる種類のガスであってもよい。本実施形態では、パージガスノズル11から噴射する不活性ガスIGとして、ランプハウス2内に供給する不活性ガスIGと同じ、窒素を使用する。各パージガスノズル11は、ガス配管6を介してガス供給源12に接続される。ガス配管6は、必要に応じて分岐される。ガス配管6の途中に流量制御弁7を有する。
【0074】
パージガスノズル11の目的を説明する。図10Aは、被処理体4が搬送される側面を模式的に示す拡大図である。被処理体4は、大気雰囲気下、図中A1の方向(-Y方向)に高速搬送される。被処理体4が高速搬送されるとき、被処理体4の表面に隣接する気体59(斜線でハッチングされた部分)が、被処理体4の表面に粘着した状態で、被処理体4とともに搬送される。本明細書では、被処理体4の表面に粘着した気体59を、境界層59という。被処理体4は、大気雰囲気下で高速搬送されるため、境界層59を構成する気体は空気である。被処理体4は、境界層59を持った状態でランプハウス2内に搬送される。そうすると、ランプハウス2内を不活性ガス雰囲気にしても、被処理体4に接する境界層59により、紫外光が吸収されることになる。
【0075】
図10Bは、パージガスノズル11から、高速搬送される被処理体4に向けて、不活性ガスIGを噴射する様子を示す図である。図10BにおいてA1方向(-Y方向)に高速搬送される被処理体4に対し、パージガスノズル11から不活性ガスIGが噴射される。その結果、境界層59は、噴射された不活性ガスIGによって破壊され、被処理体4上から境界層59が除去されるか、又は、境界層59の厚みが減少する。被処理体4は、境界層59が除去された(又は、境界層59の厚みの減少した)状態で、ランプハウス2内へ搬送される。これにより、ランプハウス2において、境界層59で吸収される紫外光の量が減少し、より多くの紫外光が被処理体4に到達する。なお、不活性ガスIGが噴射された後、不活性ガス雰囲気下で被処理体4が高速移動することで、新たな境界層が形成されたとしても、当該境界層は、不活性ガスIGから構成される境界層であるため、紫外光は当該境界層で吸収されない。
【0076】
本実施形態では、不活性ガスIGの噴射される方向と、上流に向かう方向(+Y方向)との間になす角度θ1は90度であるが。90度に限定されない。角度θ1は、45度以上90度以下であると好ましい。ランプハウス2内のガス供給口8と異なり、パージガスノズル11は、不活性ガスIGを被処理体4に向けて噴射する。そのため、プリパージチャンバ10内では気体が乱流化しやすい。しかしながら、プリパージチャンバ10内では光処理を行なわないので、プリパージチャンバ10内で気体が乱流化しても、ランプハウス2での光処理に悪影響を与えにくい。不活性ガスIGを被処理体4に向けて噴射できることに、ランプハウス2とは別にプリパージチャンバ10を設けることの意義がある。
【0077】
本実施形態では、3本のパージガスノズル(11a,11b,11c)を搬送方向に異なる位置に配置したが、4本以上のパージガスノズルを配置してもよく、2本以下のパージガスノズルが配置されてもよい。パージガスノズルの数を、被処理体4の搬送速度や、ランプハウス2又はプリパージチャンバ10内の酸素濃度に基づいて決定してもよい。
【0078】
<第七実施形態>
第一実施形態~第六実施形態の光処理装置で処理される被処理体4は化粧シートである場合を説明したが、被処理体4は、化粧シートより厚みのある化粧材であってもよい。厚みのある化粧材の場合、ロール・トゥ・ロール方式で搬送するのではなく、コンベヤベルト等の搬送体に化粧材を配置して搬送する。
【0079】
図11は、光処理装置700の断面図である。本実施形態では、搬送体としてコンベヤベルト1(以下、単に、「ベルト1」と言うことがある。)が使用される。被処理体4は、ベルト1上に載置されて、ベルト1とともに-Y方向へ搬送される。ランプハウス2及びプリパージチャンバ10は、それぞれ、ベルト1に近接する方向(-Z方向)に開口を有する筐体である。ベルト1は、被処理体4を、プリパージチャンバ10の開口の近傍とランプハウス2の開口の近傍をこの順に通過するように搬送する。
【0080】
ベルト1の下側(-Z側)には、板5がある。板5は、ランプハウス2の開口及びプリパージチャンバ10の開口を覆うように配置されている。ランプハウス2と板5の間、及び、プリパージチャンバ10と板5の間には、それぞれ、ベルト1と被処理体4を通過させる隙間がある。斯かる隙間を除いて、ランプハウス2及びプリパージチャンバ10は、板5とともに、周囲から閉鎖された空間を形成している。板5の上流に第一の外気流入抑制部S1が配置される。
【0081】
搬送体として使用するベルト1の詳細を説明する。ベルト1は、第一プーリ38と第二プーリ37を巻回されている。第一プーリ38及び第二プーリ37は、X方向に延びる軸を中心とする回転体である。本実施形態において、第一プーリ38は、ベルト1を駆動するための駆動プーリである。第二プーリ37は、駆動しているベルト1との摩擦によって動く従動プーリである。第一プーリ38及び第二プーリ37の形状は、X方向に径が一定の円柱形状であってもよい。第一プーリ38及び第二プーリ37のX方向の長さは、ベルト1のX方向の幅より大きいとよい。
【0082】
ベルト1はシート状である。ベルト1と板5は接しない。ベルト1と、ランプハウス2又はプリパージチャンバ10は、接しない。ベルト1のX方向の幅は、被処理体4のX方向の幅より大きい。ベルト1のX方向の幅は、500mm以上であるとよく、560mm以下であるとよい。なお、ベルト1のZ方向の厚みは、0.1mm以上であるとよく、2.0mm以下であるとよい。ベルト1が厚いとベルト1が撓みにくい。他方で、ベルト1が薄いとベルト1を円滑に移動させやすい。本実施形態において、被処理体4を高速搬送することが期待される。ベルト1の移動速度は、例えば、70m/分であるとよく、100m/分以上であるとより好ましい。ベルト1の移動速度を早く設定して処理効率を高めることができる。
【0083】
ベルト1は、例えば、樹脂製であるとよい。ベルト1に、ポリウレタンを使用しても構わない。真空紫外光が酸素又は水を含む空気に吸収されると、酸素ラジカル(O(D))、オゾン(O)又はヒドロキシラジカル(・OH)等の活性物質が生成されるおそれがある。ベルト1が、これら活性物質で変質又は劣化する場合には、ベルト1を定期的に交換するとよい。また、ベルト1は、これら活性物質に対して化学的に変質しにくい材料、例えば、フッ素系樹脂材料を使用してもよい。フッ素系樹脂材料として、PTFEが例示される。
【0084】
ベルト1は、第一プーリ38と第二プーリ37の間に、ベルト1を支持する、ガイドローラ33を有する。ガイドローラ33は、金属製又は樹脂製であっても構わない。ガイドローラ33が、X方向に並ぶ、複数の小ローラから構成されてもよい。ガイドローラ33に樹脂を使用する場合には、紫外光に対して劣化しにくい樹脂(例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、又はPTFE樹脂)を使用するとよい。紫外光L1が照射され得る領域で、被処理体4がガイドローラ33に支えられるように、ガイドローラ33が配置されると、被処理体4と光源3との距離を保ちやすく、好ましい。
【0085】
[変形例]
図12を参照しながら、第七実施形態の変形例を説明する。図12は、光処理装置800の断面図である。光処理装置800には、ガイドローラ33がない。紫外光L1が照射され得る領域において、被処理体4は、板5によって支持される。ベルト1は移動し、板5は静止するため、板5とベルト1は擦れ合う。本変形例では、板5の表面5aの滑り性を高めるとよい。滑り性を高めるには、表面5aを、樹脂系材料(例えばフッ素樹脂系材料)にするとよい。表面5aの滑り性を高めるには、板5に別部材を貼り付けてもよく、板5に成膜してもよく、板5を表面改質してもよい。表面5aは、ベルト1と同じ材質にしてもよい。
【0086】
図13Aは板5と板5上のベルト1を+Z方向から-Z方向に見た図である。ベルト1を破線で示す。板5の表面5aには、フッ素樹脂系材料の一種であるPTFEで覆われた領域2(実線ハッチング領域)が形成されている。これにより、ベルト1の表面5aに対する滑り性を高めている。なお、本変形例におけるベルト1の材質もPTFEである。
【0087】
PTFE領域2のX方向の両端は、それぞれ、ベルト1のX方向の両端よりもd(mm)大きく、PTFE領域2のX方向の幅は、ベルト1のX方向の幅よりも2d(mm)大きい。これにより、ベルト1が移動する際、ベルト1の蛇行によりベルト1のX方向の位置が変化しても、ベルト1の表面5aに対する滑り性を維持できる。dは、例えば、25(mm)~50(mm)であってもよい。図13aでは、表面5aの一部に滑り性を高めた領域2を形成しているが、表面5aの全面を、滑り性を高めた領域にしてもよい。
【0088】
図13Bは、板5のさらなる変形例である。図13Bは、板5と板5上のベルト1を+Z方向から-Z方向に見た図である。ベルト1を破線で示す。表面5aにおいて滑り性を高めた領域2は実線でハッチングされた領域である。当図に示されるように、滑り性を高めた領域2は表面5aの一部である。具体的には、滑り性を高めた領域2は、ベルト1の幅方向(X方向)の両端部に重なる部分と、ベルト1が板5に浸入する部分と、ベルト1が板5から離れる部分と、から構成される枠囲み形状である。表面5aの中央部分は滑り性を高めていない。枠囲み形状の領域2は、ベルト1が表面5aに特に接触しやすい領域である。ベルト11が板5に浸入する部分における領域2の幅p1は、5(mm)~15(mm)であるとよい。ベルト11が板5から離れる部分における領域2の幅p2は、5(mm)~15(mm)であるとよい。ベルト1の幅方向(X方向)の両端部に重なる部分における、ベルト1の端から領域2の内周までの間隔p3は、5(mm)~15(mm)であるとよい。
【0089】
以上で、光処理装置のいくつかの実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述した実施形態及び変形例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上述の実施形態及び変形例に種々の変更又は改良を加えたり、各実施形態又は変形例を組み合わせたりできる。
【0090】
上述した光処理装置は、単一又は二つのランプハウス2を有していたが、搬送方向(Y方向)に3つ以上のランプハウス2を配置しても構わない。被処理体4の同じ面を複数のランプハウス2からの光源で光処理しても構わない。
【0091】
上述した光処理装置は、紫外光L1の照射方向が重力方向(-Z方向)と同じ方向となるように示したが、紫外光L1の照射方向が重力方向と異なっていても構わない。例えば、重力方向に搬送される搬送体に対し、水平方向に紫外光を照射しても構わない。
【0092】
ランプハウス2の内部15又はランプハウス近接空間16pの酸素濃度を一つ以上の酸素濃度計で計測し、計測した酸素濃度に応じて、不活性ガスIGの供給量を調整してもよく、ガス回収チャンバ(20a,20b,30a,30b)の排気量を調整してもよい。酸素濃度計と、不活性ガスIGの供給量調整機構又は排気量の調整機構とを制御部で接続し、制御部に酸素濃度を自動制御させてもよい。
【0093】
上述した光処理装置で処理される被処理体4は、化粧材又は化粧シート以外であってもよい。様々な波長の紫外光が、様々な目的で、多様な材料から構成される被処理体4に照射される。本実施形態の光処理装置を、つや消し効果の付与以外の目的で使用しても構わない。
【符号の説明】
【0094】
1 :コンベヤベルト
2 :ランプハウス
3 :光源
4 :被処理体
5 :板
6 :ガス配管
7 :流量制御弁
8 :ガス供給口
9 :第二隔壁
10 :プリパージチャンバ
11 :パージガスノズル
12 :ガス供給源
14 :素線懸架部
14a,14b,14c,14d:素線
15 :内部
16p :ランプハウス近接空間
16q :パージチャンバ近接空間
20a,20b,30a,30b:ガス回収チャンバ
21 :ガス回収口
21p :多孔プレート
23 :排気口
32 :パージチャンバ
33,43:ガイドローラ
37 :第二プーリ
38 :第一プーリ
26 :第一隔壁
42 :スペーサ
45 :外気
50 :内部
59 :境界層
100,200,300,400,500,600,700:光処理装置
G1、G2,G3,G4:隙間
IG :不活性ガス
L1 :紫外光
S1 :第一の外気流入抑制部
S2 :第二の外気流入抑制部
S3 :第三の外気流入抑制部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B