(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155006
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】フィルム充填装置
(51)【国際特許分類】
B65B 61/22 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B65B61/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069330
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】沢田 清
(72)【発明者】
【氏名】砂田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】石井 正章
【テーマコード(参考)】
3E056
【Fターム(参考)】
3E056AA20
3E056BA14
3E056CA11
3E056DA03
3E056EA05
3E056FE01
3E056FE12
3E056HA10
(57)【要約】
【課題】フィルムを容器内の所定の位置へ正確に充填することが可能なフィルム充填装置を提供する。
【解決手段】フィルム充填装置10は、コンベヤ12上を搬送される容器Cに切断されたフィルムFaを充填する装置であり、外周面に内部と連通可能な開口部が形成された回転体16がコンベヤ12の上方に縦方向に回転可能に配置される。開口部の周囲にはフィルムFaを吸着保持する複数の吸着孔が設けられる。回転体16の内部には、容器Cが回転体16の下方を移動している間に開口部を通して昇降し吸着孔によって吸着されているフィルムFaを容器C内に充填するプッシャ18を備える。プッシャ18を駆動する駆動機構20は、フィルム充填領域Sにおいてプッシャ18を、押圧面18aの姿勢を容器と略平行に維持したままコンベヤ12によって搬送される容器Cに追従させながら昇降し、吸着孔で吸着保持されるフィルムFaを容器Cに充填する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放した容器を搬送する容器搬送手段と、
前記容器搬送手段の上方に縦方向に回転可能に配置されるとともに、周面に内部と連通可能な開口部が形成された回転体と、
前記開口部の周囲に設けられた複数の吸着孔と、
前記吸着孔にフィルムを供給するフィルム供給手段と、
前記回転体の内部に昇降可能に設けられるとともに、下端に前記吸着孔によって吸着されているフィルムと当接する押圧面が形成されたプッシャと、
前記プッシャを駆動する駆動機構とを備え、
前記容器が前記回転体の下方を移動している間に前記プッシャを下降させて前記開口部を通過させることにより、前記押圧面を前記フィルムと当接させて当該フィルムを前記吸着孔から引き離して前記容器内に充填するフィルム充填装置であって、
前記駆動機構は、前記吸着孔によって保持されるフィルムが前記回転体の下端の上流側から下流側へと搬送されるフィルム充填領域において、前記プッシャを前記押圧面の姿勢を維持した状態で前記容器搬送手段によって搬送される容器に追従させる
ことを特徴とするフィルム充填装置。
【請求項2】
前記駆動機構は前記プッシャに連結されたリンク機構を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルム充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に充填された物品に上方からフィルムを装填するフィルム充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば納豆の製造工程においては、納豆菌が付着した大豆を容器に充填した後、何日か発酵させてから出荷している。その際、納豆菌を均一に発酵させるとともに、出来上がった納豆の乾燥を防止するために被膜と呼ばれる薄いフィルムを上方から被せている。
【0003】
このような製造工程で用いられるフィルム充填装置としては、回転体14の内部に薄膜保持体16を放射状に複数配置し、切断された薄膜Faを薄膜保持体16によって吸引保持しながら回転移送し、回転体14の下端位置に到達すると薄膜保持体16を下降させて回転体14の下方を搬送されてくる容器C内に薄膜Faを充填する方法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成では、移動中の容器Cが回転体14の下端に最接近した際に、回転体14の回転を継続しながら薄膜保持体16を回転体14の外方へ向けて移動させて薄膜Faを充填しているため、薄膜保持体16の薄膜Faを保持している保持面16aは容器Cに対して姿勢を変化させながら昇降することになり、下降して薄膜Faを容器C内へ充填した後上昇する際に薄膜Faを引き出して容器Cからはみ出すことがあった。
【0006】
本発明は、フィルムを容器内の所定の位置へ正確に充填することが可能なフィルム充填装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明であるフィルム充填装置は、上部が開放した容器を搬送する容器搬送手段と、前記容器搬送手段の上方に縦方向に回転可能に配置されるとともに、周面に内部と連通可能な開口部が形成された回転体と、前記開口部の周囲に設けられた複数の吸着孔と、前記吸着孔にフィルムを供給するフィルム供給手段と、前記回転体の内部に昇降可能に設けられるとともに、下端に前記吸着孔によって吸着されているフィルムと当接する押圧面が形成されたプッシャと、前記プッシャを駆動する駆動機構とを備え、前記容器が前記回転体の下方を移動している間に前記プッシャを下降させて前記開口部を通過させることにより、前記押圧面を前記フィルムと当接させて当該フィルムを前記吸着孔から引き離して前記容器内に充填するフィルム充填装置であって、前記駆動機構は、前記吸着孔によって保持されるフィルムが前記回転体の下端の上流側から下流側へと搬送されるフィルム充填領域において、前記プッシャを前記押圧面の姿勢を維持した状態で前記容器搬送手段によって搬送される容器に追従させることを特徴としている。
【0008】
本発明の第2の発明であるフィルム充填装置は、第1の発明において、前記駆動機構が前記プッシャに連結されたリンク機構を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フィルムを容器内の所定の位置へ正確に充填することが可能なフィルム充填装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態であるフィルム充填装置の構成を示す模式的な側面図である。
【
図2】回転体の外周面の模式的な部分展開図である。
【
図3】
図3(a)は駆動機構の側面図であり、
図3(b)は
図3(a)において円で囲んだ部分の拡大断面図である。
【
図4】フィルムが容器内の納豆の上に投入された状態を示す断面図である。
【
図5】リンクが回転軸に対して12時方向に向けられた状態におけるプッシャの位置を示す側面図である。
【
図6】リンクが回転軸に対して略1時方向に向けられた状態におけるプッシャの位置を示す側面図である。
【
図7】リンクが回転軸に対して3時方向に向けられた状態におけるプッシャの位置を示す側面図である。
【
図8】リンクが回転軸に対して略5時方向に向けられた状態におけるプッシャの位置を示す側面図である。
【
図9】リンクが回転軸に対して6時方向に向けられた状態におけるプッシャの位置を示す側面図である。
【
図10】リンクが回転軸に対して略7時方向に向けられた状態におけるプッシャの位置を示す側面図である。
【
図11】リンクが回転軸に対して9時方向に向けられた状態におけるプッシャの位置を示す側面図である。
【
図12】リンクが回転軸に対して略11時方向に向けられた状態におけるプッシャの位置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるフィルム充填装置の構成を示す模式的な側面図である。
【0012】
本実施形態のフィルム充填装置10は、上部が開放された容器Cに充填された物品Mの上に切断されたフィルムFaを被せる装置である。フィルム充填装置10は、容器Cを供給するコンベヤ(容器搬送手段)12と、ウエブ状のフィルムFを供給するフィルム供給装置14と、水平な回転軸R1周りに回転され、外周面に沿ってフィルムFが供給されるドラム状の回転体16と、回転体16内に配置されるプッシャ18と、プッシャ18を駆動する駆動機構20とを備える。
【0013】
コンベヤ12は、例えば搬送面を構成する水平レール12Aと、水平レール12Aの上を幅方向に横切り、搬送方向に沿って所定間隔で配置されるバー12Bと、バー12Bの両端を保持し、水平レール12Aに沿って移動する一対のチェーン12Cとを備える。物品Mが充填された容器Cは各々バー12Bにより後側から押されて水平レール12Aに沿って所定速度、所定間隔で搬送される。なお、本実施形態の物品Mは発酵して納豆になる前の、蒸し煮されて納豆菌が付着された大豆であり、大豆自体は水分を含んだ湿った状態にある。
【0014】
フィルム供給装置14は、原反ロールGに巻かれているフィルムFを図示しない駆動モータによって回転する一対のフィードローラ15によって繰り出して回転体16へ供給する。回転体16の外周面に供給されたフィルムFは回転体16に隣接するカッタ14Aにより所定間隔(ピッチ)毎に裁断される。カッタ14Aは、回転軸R1に平行な回転軸R2周りに回転するドラム状のカッタであり、ドラム母線方向に延在する複数の刃14Bがドラム外周に沿って上記所定間隔(ピッチ)で放射状に設けられている(なお、刃14Bは1つであっても良い)。
【0015】
回転体16の外周面には、後述するように回転体16の内側からプッシャ18を押し出すための開口部16Aが複数設けられるとともに、開口部16Aの周囲を取り囲むように配置され、フィルムFを外周面に吸着する複数の吸着孔16Bが設けられる。なお、
図2に回転体16の外周面の模式的な部分展開図を示す。
【0016】
回転体16の周速はフィードローラ15によるフィルムFの繰り出し速度よりも速く設定される。また、カッタ14Aの回転速度は切断時のみ回転体16の周速に同期する。フィードローラ15によって回転体16の周速よりも遅い速度で回転体16に供給されたフィルムFは、吸着孔16Bによって吸着された状態で回転体16の外周面上を滑りながらカッタ14Aの切断位置Pまで搬送され、刃14Bによって切断される。切断されたフィルムFaは吸着孔16Bに吸引保持され、回転体16とともに回転体16の周速で移動される。同構成により、切断されるフィルムFaの長さを容器Cの搬送ピッチよりも短い適正な長さとすることができ、フィルムFを効率よく使用できる。
【0017】
本実施形態において容器Cは、例えば略矩形の平面形状を有する収容部を備える。そのためフィルムFaを押し出すプッシャ18の断面形状は容器Cの収容部の平面形状および寸法に合わせた略矩形形状を呈し、開口部16Aは移動するプッシャ18が挿通可能な矩形形状を呈する。また、プッシャ18の下面はフィルムFaに当接して容器C内へ移送する押圧面18aとされ、容器C内に充填されている物品M(納豆)に合わせて中央が凹んだ形状とされる。
【0018】
吸着孔16Bは例えば各開口部16Aの4隅の外側にそれぞれ隣接して配置される。隣接する開口部16A同士は、コンベヤ12上を搬送される容器Cの間隔(ピッチ)に対応した距離(ピッチ)で配置され、両者の間にはカッタ14Aの刃14Bを受ける刃受け部16Cが回転体16のドラム母線方向に沿って設けられる。なお、隣接する刃受け部16Cも開口部16Aと同様にコンベヤ12上を搬送される容器Cの間隔(ピッチ)に対応した距離(ピッチ)で配置される。
【0019】
駆動機構20は、回転体16内に配置されたプッシャ18の姿勢を略維持したまま垂直および水平方向に移動可能なリンク機構22とリンク機構22を駆動する動力機構24を備える。動力機構24は、回転軸R1周りに回転する駆動ギヤ24Aと、その四方に等間隔で係合する4つの従動ギヤ24B、24C、24D、24Eを備える。従動ギヤ24B~24Eは全て同じ外径を備え、各々回転軸R3、R4、R5、R6の周りに同期回転される。回転軸R3、R4は駆動ギヤ24Aの上方の同じ高さに配置され、回転軸R5、R6は駆動ギヤ24Aの下方の同じ高さに配置される。また、回転軸R3、R5および回転軸R4、R6はそれぞれ同じ鉛直軸上に配置される。
【0020】
図3(a)は、駆動機構20の側面図であり、
図3(b)は
図3(a)において円で囲んだ部分の拡大断面図である。従動ギヤ24B~24Eの回転軸R3~R6には、それぞれリンク機構22のリンク22B、22C、22D、22Eが同じ位相で取り付けられる。リンク22Bとリンク22Cは同じ長さを有し、リンク22Dとリンク22Eは同じ長さを有する。リンク22B、22Cの長さはリンク22D、22Eの長さよりも若干長い。リンク22B、22Dの先端はリンク22Fに回転自在に連結され、リンク22C、22Eの先端はリンク22Gに回転自在に連結される。また、リンク22Dはリンク22Fに対して回転自在かつスライド自在に取り付けられ、リンク22Eはリンク22Gに対して回転自在かつスライド自在に取り付けられる。リンク22F、22Gは同じ長さであり、その下端部には駆動中略水平に維持されるリンク22Hが回転自在に連結される。リンク22Hの中央(リンク22F、22Gの中央)下側には、プッシャ18が一体的に取り付けられる。
【0021】
次に、
図4~
図12を参照して本実施形態におけるフィルム充填処理について説明する。
図4には、フィルム充填処理により、物品Mが投入された容器Cに切断されたフィルムFaが投入され、物品MがフィルムFaに覆われた状態が示される。
図5~
図12は、フィルム充填処理におけるプッシャ18、駆動機構20、容器Cの動きを、時系列を追って示す模式的な側面図である。
【0022】
回転体16はコンベヤ12の搬送速度に対応する所定速度で各図において時計回りに回転され、回転体16の外周面に巻き付けられたフィルムFは、回転体16の右斜め上方でカッタ14Aにより所定間隔で切断される(
図1参照)。切断されたフィルムFaは吸着孔16Bにより回転体16の外周面に設けられた各開口部16Aを覆うように吸着保持される(
図2参照)。
【0023】
図5において、リンク22B~22Eは12時方向に向けられており、プッシャ18は上死点に位置する。このとき次にフィルム充填が行われる容器Cは回転体16の下端(6時位置)よりも上流側に位置し、この容器Cにフィルム充填を行う開口部16Aも回転体16の下端(6時位置)よりも手前に位置する。
【0024】
図5の状態から回転体16が時計回り回転されるのに並行して、駆動機構20によりリンク22B~22Eが各図において時計回りに回転される。これにより、
図6、
図7に示されるように、リンク22F、22G、22Hは容器搬送方向上流側へと移動されるとともに下降され、これに合わせてプッシャ18も容器搬送方向に対して後退されながら下降される。
【0025】
その後、リンク22B~22Eが3時方向から6時方向に向けて回転されると、リンク22F、22G、22Hおよびプッシャ18は、下降を継続しながらも容器搬送方向下流側へと移動を始め、
図8に示されるように、容器Cおよび開口部16Aの中心が回転体16の下端に到達する手前でプッシャ18は押圧面18aを容器Cと略平行となる姿勢に維持したまま切断されたフィルムFaを押圧して吸着孔Bから引きはがすとともに開口部16から回転体16の外側へと押し出される(フィルム充填領域Sの上流端)。
【0026】
図9に示されるように、容器Cおよび回転体16の開口部16Aの中心が回転体16の下端(6時方向)に達すると、リンク22B~22Eも6時方向に達し、プッシャ18は下死点に達する。更に回転体16およびリンク22B~22Eが時計回りに回転されると、
図10に示されるように、プッシャ18は押圧面18aを容器Cと略平行となる姿勢を維持したまま容器Cおよび開口部16Aの移動に合わせて容器搬送方向下流側へと移動するとともに上昇を開始し、物品Mから離接する(フィルム充填領域Sの下流端)。
【0027】
図8~
図10の区間(フィルム充填領域S)において、プッシャ18は切断されたフィルムFaを容器C内の物品Mに軽く押し当て、フィルムFaは物品Mを覆うように物品Mに付着している水分の粘着力を利用して物品Mに貼付される。
【0028】
図11に示されるように、プッシャ18およびリンク22F、22G、22Hは、リンク22B~22Eが6時方向から9時方向に達するまで上昇されながら容器搬送方向へと移動される。その後、リンク22B~22Eが9時方向から12時方向へと回転されると、
図12に示されるように、プッシャ18およびリンク22F、22G、22Hは上昇を継続しながらも容器搬送方向上流側へと移動され、
図5の状態に戻る。
【0029】
以上のように本実施形態のフィルム充填装置によれば、プッシャの押圧面を容器と略平行な姿勢に維持したまま、プッシャを容器に追従して容器搬送方向にも移動しているので、容器搬送速度が増大されてもフィルムを容器内の所定の位置へ正確に充填することができる。
【0030】
なお、本実施形態ではリンク機構を用いてプッシャを駆動したが、これに限定されるものではなく、例えば水平、垂直方向に作動する複数のリニアアクチュエータを用いて駆動してもよい。また、プッシャ18の押圧面18aに回転体16の吸着孔16Bとは別に吸着孔を設けて回転体16の吸着孔16Bから引き剥がされたフィルムFを押圧面18aの吸着孔で吸着しながら容器C内へ充填しても良い。
【符号の説明】
【0031】
10 フィルム充填装置
12 コンベヤ(容器搬送手段)
14 フィルム供給装置
16 回転体
16A 開口部
16B 吸着孔
18 プッシャ
20 駆動機構
22 リンク機構
24 動力機構
C 容器
F ウエブ状フィルム
Fa 切断されたフィルム
M 物品
S フィルム充填領域