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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155011
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】表示装置及びソースドライバ
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20241024BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G09G3/20 670G
G09G3/36
G09G3/20 633D
G09G3/20 631U
G09G3/20 623C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069342
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
5C006AF24
5C006AF53
5C006AF65
5C006AF68
5C006AF78
5C006AF82
5C006BB15
5C006BC16
5C006BF04
5C006BF22
5C006BF24
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD09
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ07
5C080KK20
(57)【要約】
【目的】LVDS方式の画像通信において、通信異常の発生を速やかに検知し、異常の発生を視覚的に提示することが可能な表示装置を提供する。
【構成】表示パネルと、ゲートドライバと、映像データ信号に基づいて階調電圧信号を複数本のデータ線を介して複数個の画素部に供給するとともに、ゲート制御信号をゲートドライバに供給するソースドライバと、映像データ信号をLVDS方式でソースドライバに送信する映像データ送信部と、を有する。映像データ送信部は、映像データ信号の1画素を構成する複数の画素データ片に基づいて算出された演算値を、LVDS方式で1画素分の映像データ信号を送信する際に規定されるデータパケットの各々における複数の画素データ片に割り当てられた領域以外の領域である空き領域に付与し、複数の画素データ片とともに映像データ信号としてソースドライバに送信する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のデータ線及び複数本のゲート線と、前記複数本のデータ線と前記複数本のゲート線との交差部の各々にマトリクス状に設けられた複数個の画素部と、を有する表示パネルと、
前記複数本のゲート線にゲート信号を供給するゲートドライバと、
前記表示パネルに表示する映像を示す映像データ信号を受信し、前記映像データ信号に基づいて階調電圧信号を前記複数本のデータ線を介して前記複数個の画素部に供給するとともに、前記ゲートドライバの動作を制御するゲート制御信号を前記ゲートドライバに供給するソースドライバと、
前記映像データ信号をLVDS(Low voltage differential signaling)方式で前記ソースドライバに送信する映像データ送信部と、
を有し、
前記映像データ送信部は、前記映像データ信号の1画素を構成する複数の画素データ片に基づいて算出された演算値を、前記LVDS方式で1画素分の前記映像データ信号を送信する際に規定されるデータパケットの各々における前記複数の画素データ片に割り当てられた領域以外の領域である空き領域に付与し、複数の画素データ片とともに前記映像データ信号として前記ソースドライバに送信することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記演算値は、チェックサムの符号値であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記LVDS方式の1画素分のデータパケットは、奇数ポートのデータ領域及び偶数ポートのデータ領域を含み、
前記映像データ送信部は、前記偶数ポートのデータ領域における前記空き領域に前記チェックサム値を付与することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ソースドライバは、前記映像データ送信部から受信した前記映像データ信号に含まれる前記複数の画素データ片に基づいてチェックサムの符号値を算出し、算出した当該符号値と前記映像データ送信部から送信された前記チェックサムの符号値とを比較し、比較結果に基づいて前記映像データ送信部との通信に通信エラーが生じているか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ソースドライバは、前記映像データ送信部との通信に通信エラーが生じていると判定された場合、前記ゲートドライバを制御して前記ゲート信号の供給を停止させることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ソースドライバは、前記映像データ送信部との通信に通信エラーが生じていると判定され且つ当該通信エラーの状態が所定の長さの期間に亘って継続した場合、前記ゲートドライバを制御して前記ゲート信号の供給を再開させるとともに、前記映像データ信号に基づく階調電圧信号とは異なる所定の階調データに対応する階調電圧信号を前記複数の画素部の各々に供給することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
複数本のデータ線及び複数本のゲート線と、前記複数本のデータ線と前記複数本のゲート線との交差部の各々にマトリクス状に設けられた複数個の画素部と、を有する表示パネルに接続され、LVDS(Low voltage differential signaling)方式で伝送された映像データ信号を受信し、受信した前記映像データ信号に基づいて階調電圧信号を生成し、前記複数個の画素部に供給するソースドライバであって、
前記映像データ信号を受信する受信部と、
受信した前記映像データ信号の1画素分のデータパケット毎に含まれるチェックサムの符号値を取得する取得部と、
受信した前記映像データ信号の1画素分のデータパケット毎に含まれる複数の画素データ片に基づいてチェックサムの符号値を算出する算出部と、
前記取得部が取得した前記チェックサムの符号値と、前記算出部が算出した前記チェックサムの符号値と、を比較する比較部と、
を有し、比較結果に基づいて前記映像データ信号の伝送に通信エラーが生じているか否かを判定することを特徴とするソースドライバ。
【請求項8】
前記複数本のゲート線にゲート信号を供給するゲートドライバの動作を制御するゲート制御部を含み、
前記ゲート制御部は、前記映像データ信号の伝送に通信エラーが生じていると判定された場合、前記ゲートドライバを制御して前記ゲート信号の供給を停止させることを特徴とする請求項7に記載のソースドライバ。
【請求項9】
前記映像データ送信部との通信に通信エラーが生じていると判定され且つ当該通信エラーの状態が所定の長さの期間に亘って継続した場合、前記ゲートドライバを制御して前記ゲート信号の供給を再開させるとともに、前記映像データ信号に基づく階調電圧信号とは異なる所定の階調データに対応する階調電圧信号を前記複数の画素部の各々に供給することを特徴とする請求項8に記載のソースドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びソースドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機EL(Electro Luminescence)等の表示デバイスの駆動方式として、アクティブマトリクス駆動方式が採用されている。アクティブマトリクス駆動方式の表示装置では、表示パネルは画素部及び画素スイッチをマトリクス状に配置した半導体基板から構成されている。ゲートパルスにより画素スイッチのオンオフを制御し、画素スイッチがオンになるときに映像データ信号に対応した階調電圧信号を画素部に供給して、各画素部の輝度を制御することにより、表示が行われる。
【0003】
このような表示装置において、タイミングコントローラとソースドライバとの間の通信における異常の発生を検知し、異常が発生したことを視覚的に提示するための構成を備えたソースドライバが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-135394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載向けの表示装置等において、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)の伝送技術を用いて、送信側のLSIからソースドライバに映像データを伝送することが行われている。LVDSのデータフォーマットでは、1画素分のデータパケットに対応するデータ領域において、RGBの各8ビットの画像データと、DE/HS/VSの同期信号のみが規定されている。したがって、LVDS方式で映像データの伝送を伴う表示装置において上記従来技術のように異常検知を行う場合、異常検知に一般的に用いられるCRC符号の期待値は、I2C等の別のインタフェースで伝送する必要がある。
【0006】
このため、LVDS方式で伝送された映像データを受信するソースドライバは、フレーム内の指定エリアの映像データの受信が終わってからでないと異常検知を行うことができず、突発的なノイズ等への対応を行うことが難しいという問題があった。また、LVDS方式の映像データの伝送とI2C等のインタフェースによるCRC符号の伝送とが同期していないため、フレーム毎に表示内容が変化する映像データには対処することができず、固定表示のエリアに対応する映像データしか判定対象にすることができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、LVDS方式の映像データの伝送において、通信異常の発生を速やかに検知して視覚的に提示することが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表示装置は、複数本のデータ線及び複数本のゲート線と、前記複数本のデータ線と前記複数本のゲート線との交差部の各々にマトリクス状に設けられた複数個の画素部と、を有する表示パネルと、前記複数本のゲート線にゲート信号を供給するゲートドライバと、前記表示パネルに表示する映像を示す映像データ信号を受信し、前記映像データ信号に基づいて階調電圧信号を前記複数本のデータ線を介して前記複数個の画素部に供給するとともに、前記ゲートドライバの動作を制御するゲート制御信号を前記ゲートドライバに供給するソースドライバと、前記映像データ信号をLVDS(Low voltage differential signaling)方式で前記ソースドライバに送信する映像データ送信部と、を有し、前記映像データ送信部は、前記映像データ信号の1画素を構成する複数の画素データ片に基づいて算出された演算値を、前記LVDS方式で1画素分の前記映像データ信号を送信する際に規定されるデータパケットの各々における前記複数の画素データ片に割り当てられた領域以外の領域である空き領域に付与し、複数の画素データ片とともに前記映像データ信号として前記ソースドライバに送信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るソースドライバは、複数本のデータ線及び複数本のゲート線と、前記複数本のデータ線と前記複数本のゲート線との交差部の各々にマトリクス状に設けられた複数個の画素部と、を有する表示パネルに接続され、LVDS(Low voltage differential signaling)方式で伝送された映像データ信号を受信し、受信した前記映像データ信号に基づいて階調電圧信号を生成し、前記複数個の画素部に供給するソースドライバであって、前記映像データ信号を受信する受信部と、受信した前記映像データ信号の1画素分のデータパケット毎に含まれるチェックサムの符号値を取得する取得部と、受信した前記映像データ信号の1画素分のデータパケット毎に含まれる複数の画素データ片に基づいてチェックサムの符号値を算出する算出部と、前記取得部が取得した前記チェックサムの符号値と、前記算出部が算出した前記チェックサムの符号値と、を比較する比較部と、を有し、比較結果に基づいて前記映像データ信号の伝送に通信エラーが生じているか否かを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る表示装置によれば、LVDS方式の画像通信において、通信異常の発生を速やかに検知し、異常の発生を視覚的に提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
図2】LVDSのデータフォーマットの一例を示す図である。
図3】ソースドライバの構成を示すブロック図である。
図4】送信側LSI及びデータ処理部の内部構成を示すブロック図である。
図5】チェックサム計算の一例を示す図である。
図6】異常検出処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図7A】ソースドライバの各部の動作を示すタイムチャートである。
図7B】通常動作時及び異常検知時の表示画面の例を示す図である。
図8A】ソースドライバの各部の動作を示すタイムチャートである。
図8B】通常動作時及び異常検知時の表示画面の例を示す図である。
図9】チェックサム計算の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0013】
図1は、本発明に係る表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置であり、本実施例では車載向けの小型の液晶表示装置として構成されている。表示装置100は、表示パネル11、送信側LSI12、ゲートドライバ13及びソースドライバ14を含む。
【0014】
表示パネル11は、複数の画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnm(n,m:2以上の自然数)がマトリクス状に配置された半導体基板から構成されている。表示パネル11は、各々が水平方向に延伸する走査線であるn本のゲート線GL1~GLnと、これに交差するように配されたデータ線であるm本のソース線SL1~SLmと、を有する。画素部P11~Pnm及び画素スイッチM11~Mnmは、ゲート線GL1~GLn及びソース線SL1~SLmの交差部に設けられている。
【0015】
画素スイッチM11~Mnmは、ゲートドライバ13から供給されるゲート信号Vg1~Vgnに応じてオン又はオフに制御される。
【0016】
画素部P11~Pnmは、ソースドライバ14から映像データに対応した階調電圧(駆動電圧)の供給を受ける。具体的には、ソースドライバ14から階調電圧信号Vd1~Vdmがソース線SL1~SLmに出力され、画素スイッチM11~Mnmがそれぞれオンのときに、階調電圧信号Vd1~Vdmが画素部P11~Pnmに印加される。これにより、画素部P11~Pnmの各々の画素電極が充電され、輝度が制御される。
【0017】
画素部P11~Pnmの各々は、画素スイッチM11~Mnmを介してソース線SL1~SLmに接続される透明電極と、半導体基板に対向して設けられ且つ面全体に1つの透明な電極が形成された対向基板との間に封入された液晶と、を含む。表示装置内部のバックライトに対して、画素部P11~Pnmに印加された階調電圧(駆動電圧)と対向基板電圧との電位差に応じて液晶の透過率が変化することにより、表示が行われる。
【0018】
なお、画素部P11~Pnmは、ゲート線の伸長方向に沿って配置されたm個のうちの隣接する3個の画素部(すなわち、3chの画素部)毎に、R(赤色),G(緑色),B(青色)の3つの画素に対応している。すなわち、j=(1/3)mとすると、1ch、4ch、・・・(3j-2)chは「R」、2ch、5ch、・・・(3j-1)chは「G」、3ch、6ch、・・・3jchは「B」にそれぞれ対応している。例えば、1ch、2ch、3chのR、G、Bの組み合わせにより、1つの色が表現される。
【0019】
送信側LSI12は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式で映像データを伝送する送信側のLSI(Large Scale Integration)である。送信側LSI12は、映像データVSの供給を受け、これに基づいて各画素の輝度レベルを例えば8ビットの256段階の輝度階調で表す画素データ片PDの系列(シリアル信号)からなる映像データ信号VDSを生成する。
【0020】
また、送信側LSI12は、同期信号SSの供給を受け、これに基づいて、映像データ信号VDSの1フレーム毎のタイミングを示すフレーム同期信号FSを生成する。送信側LSI12は、LVDSのインタフェースを用いて、映像データ信号VDS及びフレーム同期信号FSをソースドライバ14に供給する。
【0021】
図2は、LVDS方式で映像データ信号VDS及びフレーム同期信号FSを伝送する際のデータフォーマットの一例を示す図である。
【0022】
本実施例では、送信側LSI12は、LVDS方式の2ポートモードで映像データ信号VDS及びフレーム同期信号FSを送信する。図面上段は、第1のポートである奇数ポート(図中“ODD”として示す)のデータ領域を示している。図面下段は、第2のポートである偶数ポート(図中“EVEN”として示す)のデータ領域を示している。
【0023】
図の一点鎖線で囲まれた部分は、1画素分のデータパケットに対応するデータ領域を示している。奇数ポートの1画素分のデータパケットは、RGBの各8ビットの画像データ(画素データ片)と、同期信号に対応するデータと、を含む。ここでは、O_R0、O_R1、・・・O_R7が画素Rの8ビットの画像データ、O_G0、O_G1、・・・O_G7が画素Gの8ビットの画像データ、O_B0、O_B1、・・・O_B7が画素Bの8ビットの画像データを表している。また、O_DE、O_HS及びO_VSが同期信号に対応するデータを表している。また、奇数ポートのデータパケットは、1ビットの空き領域を含む。
【0024】
偶数ポートの1画素分のデータパケットは、奇数ポートのデータパケットと同様に、RGBの各8ビットの画像データ(画素データ片)を含む。一方、偶数ポートのデータパケットは、奇数ポートのデータパケットとは異なり、同期信号に対応するデータ(O_DE、O_HS及びO_VS)を含まない。
【0025】
偶数ポートのデータパケットにおいて、奇数ポートの3ビットの同期信号の領域及び1ビットの空き領域に対応する領域には、4ビットのチェックサムの符号値(以下、チェックサム値とも称する)であるS[0]、S[1]、S[2]及びS[3]が割り当てられている。このチェックサム値は、ソースドライバ14において、送信側LSI12との間のデータ通信の異常を検知するために用いられる。
【0026】
再び図1を参照すると、ゲートドライバ13は、ソースドライバ14からゲート制御信号GSの供給を受け、ゲート制御信号GSに含まれるクロックタイミングに基づいて、ゲート信号Vg1~Vgnを順次ゲート線GL1~GLnに供給する。
【0027】
ゲート信号Vg1~Vgnの供給により、画素行毎に画素部P11~Pnmが選択される。選択された画素部に対して、ソースドライバ14から階調電圧信号Vd1~Vdmが印加されることにより、画素電極への階調電圧の書き込みが行われる。横一列分の画素部を選択的に切り替えながら階調電圧信号Vd1~Vdmの供給を繰り返し行うことにより、1フレーム分の画面表示が行われる。
【0028】
ソースドライバ14は、送信側LSI12から映像データ信号VDSの供給を受け、映像データ信号VDSに示される階調数に応じた多値レベルの階調電圧に対応する階調電圧信号Vd1~Vdmを生成し、ソース線SL1~SLmを介して画素部P11~Pnmに印加する。また、ソースドライバ14は、フレーム同期信号FSに基づいて、ゲートドライバ13の動作タイミングを制御するゲート制御信号GSを生成し、ゲートドライバ13に供給する。
【0029】
また、ソースドライバ14は、送信側LSI12との間のデータ通信の異常、すなわち送信側LSI12からのLVDS方式よる映像データ信号VDS及びフレーム同期信号FSの伝送の異常を検知する機能を有する。ソースドライバ14は、データ通信の異常を検知すると、ゲート制御信号GSのゲートドライバ13への供給を停止する。また、ソースドライバ14は、当該データ通信の異常が数フレームに亘って継続した場合、ゲートドライバ13へのゲート制御信号GSの供給を再開するとともに、送信側LSI12から供給された映像データ信号VDSとは異なる所定の階調データに基づいて階調電圧信号Vd1~Vdmをソース線SL1~SLmに出力し、通信異常が発生していることを示すOSD(On Screen Display)画像を表示パネル11に表示させる。
【0030】
図3は、本実施例のソースドライバ14の構成を示すブロック図である。ソースドライバ14は、受信部(PLL)21、オシレータ(OSC)22、セレクタ23、セレクタ24、データ処理部25、ソース制御部26、OSD設定部27、ピクセルカウンタ28、データラッチ群31、DAコンバータ32及びゲート制御部33を含む。
【0031】
受信部21は、送信側LSI12からLVDS方式で伝送された映像データ信号VDS及びフレーム同期信号FSを受信する。受信部21は、PLL(Phase Locked Loop)回路を含み、映像データ信号VDS及びフレーム同期信号FSに基づいて、クロック信号CLKを生成する。また、受信部21は、クロック信号CLKに同期したシリアルのデータ信号DSを生成し、データ処理部25に供給する。
【0032】
オシレータ22(図3では、OSCとして示す)は、予め設定された所定の周波数(固定周波数)で発振する発振回路である。オシレータ22は、発振により内蔵発振クロック信号SCKを生成して出力する。
【0033】
セレクタ23は、受信部21から出力されたクロック信号CLK及びオシレータ22から出力された内蔵発振クロック信号SCKの入力を受け、いずれの信号を出力するかを選択的に切り替えるセレクタである。セレクタ23は、データ処理部25からOSDイネーブル信号OENの供給を受け、これに応じて出力の切り替えを行う。
【0034】
具体的には、セレクタ23は、OSDイネーブル信号OENの信号レベルが論理レベル1(Hレベルとも称する)の場合にはクロック信号CLKを出力し、OSDイネーブル信号OENの信号レベルが論理レベル0(Lレベルとも称する)の場合には内蔵発振クロック信号SCKを出力する。セレクタ23から出力されたクロック信号CLK又は内蔵発振クロック信号SCKは、データ処理部25に供給される。
【0035】
セレクタ24は、自走制御パラメータSP及び通常制御パラメータNPのいずれか一方を選択的に出力するセレクタである。セレクタ24は、データ処理部25からOSDイネーブル信号OENの供給を受け、これに応じて出力の切り替えを行う。
【0036】
自走制御パラメータSP及び通常制御パラメータNPは、ソースドライバ14の内部に設けられた半導体メモリ等の記憶装置(図3では、図示を省略)に格納されている。自走制御パラメータSP及び通常制御パラメータNPは、ゲートドライバ13によるゲート信号Vg1~Vgnの出力を制御するための情報(例えば、ゲートクロック信号のクロックタイミング等)を含む。
【0037】
通常制御パラメータNPは、通常モードにおけるゲートドライバ13の制御に用いるパラメータである。一方、自走制御パラメータSPは、OSD画像を表示するモードである自走モードにおけるゲートドライバ13の制御に用いるパラメータである。
【0038】
セレクタ24は、OSDイネーブル信号OENの信号レベルがHレベルの場合、通常制御パラメータNPを出力する。出力された通常制御パラメータNPは、データ処理部25に供給される。また、セレクタ24は、OSDイネーブル信号OENの信号レベルがLレベルの場合、自走制御パラメータSPを出力する。出力された自走制御パラメータSPは、データ処理部25に供給される。
【0039】
データ処理部25は、データ信号DSに対してシリアルパラレル変換を行い、パラレルの画素データ片PDを生成してソース制御部26に供給する。
【0040】
また、データ処理部25は、水平同期信号LSを生成し、ソース制御部26に供給する。例えば、データ処理部25は、OSDイネーブル信号OENの信号レベルがHレベル(すなわち、通常モード)の場合、セレクタ23を介して供給されたクロック信号CLKに基づいて水平同期信号LSを生成する。一方、OSDイネーブル信号OENの信号レベルがLレベル(すなわち、自走モード)の場合、データ処理部25は、セレクタ23を介して供給された内蔵発振クロック信号SCKに基づいて、水平同期信号LSを生成する。
【0041】
また、データ処理部25は、セレクタ23を介して供給されたクロック信号(すなわち、クロック信号CLK又は内蔵発振クロック信号SCK)及びセレクタ24を介して供給された自走制御パラメータSP又は通常制御パラメータNPに基づいて、ゲートドライバ13の制御に用いるタイミング信号TSを生成する。
【0042】
さらに、データ処理部25は、送信側LSI12からLVDS方式で伝送されたデータに含まれるチェックサム値に基づいて、送信側LSI12とのデータ通信に異常があるか否かを判定する機能を有する。データ処理部25は、当該判定結果に基づいて、ゲート制御部33によるゲート制御信号GSの出力及び出力の停止を制御するゲートイネーブル信号GENを生成する。
【0043】
また、データ処理部25は、通信異常が所定フレーム数に亘って継続して発生しているか否かを判定し、その判定結果に基づいてOSDイネーブル信号OENを生成する。データ処理部25は、通信異常が所定フレーム数に亘って継続している場合にはLレベル、継続していない場合にはHレベルの信号レベルを有するOSDイネーブル信号OENを生成する。
【0044】
図4は、送信側LSI12及びデータ処理部25の内部構成を示すブロック図である。
【0045】
送信側LSI12は、画像データ生成部41、データ形式変換部42、チェックサム計算部43、チェックサム付与部44及びパラレルシリアル変換部45を有する。
【0046】
画像データ生成部41は、映像データVSに基づいて、画素データ片PDの系列を含む画像データを生成する。
【0047】
データ形式変換部42は、画像データ生成部41によって生成された画像データをLVDSのデータ形式に変換する。
【0048】
チェックサム計算部43は、LVDSのデータ形式に変換された画像データに含まれる画素データ片PDに基づいてチェックサム計算を行い、チェックサム値を算出する。
【0049】
チェックサム付与部44は、チェックサム計算部43により算出されたチェックサム値を画像データに付与し、パラレルの映像データ信号を生成する。
【0050】
パラレルシリアル変換部45は、チェックサム値が付与されたパラレルの映像データ信号に対してパラレルシリアル変換を行い、シリアルの映像データ信号VDSを生成する。
【0051】
映像データ信号VDSは、LVDS方式のデータ通信により送信側LSI12からソースドライバ14に伝送される。
【0052】
データ処理部25は、シリアルパラレル変換部51、チェックサム抽出部52、同期信号/画像データ生成部53、チェックサム計算部54、チェックサム比較部55、不一致状態継続判定部56及びタイミング制御部57を有する。
【0053】
シリアルパラレル変換部51は、送信側LSI12から伝送された映像データ信号VDSを、受信部21(図5では、図示を省略)を介してシリアルのデータ信号DSとして取得する。シリアルパラレル変換部51は、データ信号DSに対してシリアルパラレル変換を行う。
【0054】
チェックサム抽出部52は、パラレル変換されたデータ信号DSに含まれているチェックサム値(すなわち、送信側LSI12からLVDS方式で送信されたチェックサム値)を抽出する。
【0055】
同期信号/画像データ生成部53は、シリアルパラレル変換部51によってパラレル変換されたデータ信号DSに基づいて、パラレルの画像データ(画素データ片PD)及び水平同期信号LSを生成する。
【0056】
チェックサム計算部54は、同期信号/画像データ生成部53により生成されたパラレルの画像データに基づいて、チェックサムの計算を行う。
【0057】
図5は、チェックサム計算部54によるチェックサムの計算例を示す図である。ここでは、1画素分のデータパケットに対応するチェックサム値の計算例を示している。
【0058】
本実施例では、奇数ポートにおけるRGBの上位4ビット及び下位4ビットと、偶数ポートにおけるRGBの上位4ビット及び下位4ビットと、奇数ポートにおける同期信号のビットと、を加算することにより、チェックサム値を算出する。
【0059】
再び図4を参照すると、チェックサム比較部55は、チェックサム抽出部52により抽出されたチェックサム値とチェックサム計算部54により算出されたチェックサム値とを比較し、両者が一致する場合には論理レベル1(Hレベル)、一致しない場合には論理レベル0(Lレベル)の値を有するチェックサム比較結果CVを出力する。
【0060】
不一致状態継続判定部56は、チェックサム比較部55から出力されたチェックサム比較結果CVに基づいて、チェックサム値が不一致の状態が何フレーム分の期間に亘って継続しているか(すなわち、映像データ信号VDSの何フレーム分のデータ通信に相当する期間が経過したか)を判定する。
【0061】
タイミング制御部57は、不一致状態継続判定部56による判定結果に基づいて、ゲートイネーブル信号GEN及びOSDイネーブル信号OENを出力する。具体的には、チェックサム値が一致している(すなわち、不一致の状態が0フレーム)と判定された場合、タイミング制御部57は、Hレベルのゲートイネーブル信号GEN及びOSDイネーブル信号OENを出力する。
【0062】
一方、チェックサム値が不一致の状態が発生し且つ発生してから所定フレーム数未満の間しか経過していない場合、タイミング制御部57は、Lレベルのゲートイネーブル信号GEN及びHレベルのOSDイネーブル信号OENを出力する。
【0063】
また、チェックサム値が不一致の状態が発生し、且つその状態が所定フレーム数以上の期間に亘って継続していると判定された場合、タイミング制御部57は、Hレベルのゲートイネーブル信号GEN及びLレベルのOSDイネーブル信号OENを出力する。
【0064】
再び図3を参照すると、ソース制御部26は、ゲート線GL1~GLn及びソース線SL1~SLm等に基づいて定められたデータマッピングに基づいて、データラッチ群31の画素データ片PDの取り込み動作を制御する。
【0065】
具体的には、OSDイネーブル信号OENがHレベル(すなわち、通常モード)の場合、ソース制御部26は、データ処理部25から供給されたパラレルの画素データ片PDをデータラッチ群31の第1のラッチに供給し、データマッピングの通りに画素データ片PDを順次格納させる。また、ソース制御部26は、データ信号DSに基づいて生成された水平同期信号LSをデータラッチ群31の第2のラッチに供給し、水平同期信号LSを取り込みクロックとして画素データ片PDを格納させる。
【0066】
一方、OSDイネーブル信号OENがLレベル(すなわち、自走モード)の場合、ソース制御部26は、OSD設定部27の設定データに基づき、表示パネル11に異常通知画面を表示させるための階調データに対応する画素データ片(以下、階調データ片と称する)をピクセルカウンタ28のタイミングに応じて、データラッチ群31の第1のラッチに格納させる。また、ソース制御部26は、内蔵発振クロック信号SCKに基づいて生成された水平同期信号LSを取り込みクロックとして、OSD設定部27の設定に基づく階調データ片を第2のラッチに格納させる。
【0067】
OSD設定部27は、表示パネル11にOSD(On Screen Display)画像を表示するための設定データをソース制御部26に供給する。当該設定データは、異常検知が数フレームに亘って継続した場合に表示する画面である異常通知画面を表示させるための画素部P11~Pnmの各々の輝度の制御についての情報を含む。異常通知画面では、例えば、表示パネル11の所定位置に設けられた複数の画素部が「×」形状となるように選択され、当該複数の画素部には白階調、それ以外の画素部には黒階調の階調電圧信号Vdが書き込まれる。
【0068】
ピクセルカウンタ28は、ゲートドライバ13によるゲート信号Vg1~Vgnの走査方向に沿って、1つのゲート線の伸長方向に沿った1行分の画素部を順次カウントするカウンタである。異常通知画面を表示する際には、ピクセルカウンタ28のカウントに同期して、データラッチ群31の第2のラッチへの1画素毎の階調データ片の格納が行われる。
【0069】
データラッチ群31は、通常モードにおける画素データ片PDの取り込み及び自走モードにおける階調データ片の取り込みを行う複数のラッチ回路から構成されている。データラッチ群31は、第1のラッチ及び第2のラッチ(図示せず)を含む。第1のラッチは、ソース制御部26の制御に応じて、画素データ片PD又は階調データ片を1行分毎に取り込む。第2のラッチは、第1のラッチに格納された画素データ片PD又は階調データ片を、ソース制御部26の制御に応じて画素毎に取り込む。第2のラッチは、水平同期信号LSの立ち上がりで第1のラッチから画素データ片PD又は階調データ片を取り込む。
【0070】
DAコンバータ(DAC)32は、データラッチ群31から出力された画素データ片PD又は階調データ片に対応する階調電圧を選択してデジタルアナログ変換し、アナログの階調電圧信号Vdを生成する。生成されたアナログの階調電圧信号Vdは、出力アンプ(図示せず)で増幅され、出力される。
【0071】
ゲート制御部33は、データ処理部25から供給されたタイミング信号TSに基づいてゲート制御信号GSを生成し、ゲートドライバ13の制御を行う。また、ゲート制御部33は、データ処理部25からゲートイネーブル信号GENの供給を受け、これに基づいてゲートドライバ13の制御動作の実行及び停止を切り替える。具体的には、ゲートイネーブル信号GENが論理レベル1の場合、ゲート制御信号GSをゲートドライバ13に供給してゲートドライバ13の制御を行う。一方、ゲートイネーブル信号GENが論理レベル0の場合、ゲートドライバ13へのゲート制御信号GSの供給を停止する。
【0072】
次に、本実施例の表示装置100の動作について、図6のタイムチャートを参照して説明する。
【0073】
まず、ソースドライバ14は、送信側LSI12から供給された映像データ信号VDS及びフレーム同期信号FSに基づいて階調電圧信号Vdの出力及びゲートドライバ13の制御を行う。これにより、表示パネル11において通常の映像表示が行われる(STEP101)。
【0074】
ソースドライバ14のデータ処理部25は、送信側LSI12からLVDS通信により伝送された映像データ信号VDSに基づいて、チェックサム判定を行う。具体的には、データ処理部25は、送信側LSI12から伝送された映像データ信号VDSに付与されているチェックサム値と、当該映像データ信号VDSに基づいてソースドライバ14が新たに計算したチェックサム値と、を比較する(STEP102)。
【0075】
データ処理部25は、比較の結果に基づいて、通信エラー(通信異常)が発生しているか否かを判定する(STEP103)。すなわち、データ処理部25は、チェックサム値が一致している場合には通信エラーが発生しておらず、不一致の場合に通信エラーが発生していると判定する。
【0076】
通信エラーが発生していないと判定すると(STEP103:NO)、STEP101に戻り、ソースドライバ14は通常表示を継続させる。
【0077】
一方、通信エラーが発生していると判定すると(STEP103:YES)、ソースドライバ14のゲート制御部33は、ゲートドライバ13によるゲート信号Vg1~Vgnの供給を停止させる。これにより、表示パネル11の表示画面では、1つ前のフレームの画面が固着表示される(STEP104)。
【0078】
不一致状態継続判定部56は、通信エラーの状態が継続して発生しているか否かを判定する(STEP105)。具体的には、不一致状態継続判定部56は、チェックサム値が不一致の状態が所定フレーム数以上の期間に亘って継続しているか否かを判定する。
【0079】
通信エラーの状態が継続して発生していない、すなわちチェックサム値が一致した状態に戻ったと判定すると(STEP105:NO)、再びSTEP101に戻り、通常の映像表示を行う。
【0080】
一方、通信エラーの状態が継続して発生している、すなわちチェックサム値が不一致の状態が所定フレーム数以上の期間に亘って継続していると判定すると(STEP105:YES)、ソースドライバ14のソース制御部26は、OSD設定部27の設定データに基づく画素データ片をデータラッチ群31に格納し、当該画素データ片に対応する階調電圧信号VdをDAコンバータ32から出力させ、OSD表示を実行させる(STEP106)。
【0081】
図7Aは、ノイズ等により一時的に通信エラーが発生した場合のソースドライバの各部の動作を示すタイムチャートである。図7Bは、一時的に通信エラーが発生した場合に表示パネル11に表示される画面の例を示す図である。ここでは、フレームCの映像データ信号VDSの通信において通信エラーが発生した場合を示している。また、ここでは、表示装置100が車載向けの電子ミラーとして用いられる場合を例として示している。
【0082】
フレームA及びフレームBでは、送信側LSI12から受信したチェックサム値と、映像データ信号VDSに基づいてソースドライバ14が新たに計算したチェックサム値とが一致している。このため、データ処理部25は、Hレベルのゲートイネーブル信号GEN及びOSDイネーブル信号OENを出力する。
【0083】
セレクタ23は、受信部21から出力されたクロック信号CLK(すなわち、受信部21内のPLL回路により生成されたクロック信号)をデータ処理部25に供給する。セレクタ24は、通常制御パラメータNPをデータ処理部25に供給する。
【0084】
データ処理部25は、クロック信号CLKに基づいて動作し、画素データ片PD及び水平同期信号LSをソース制御部26に供給する。また、データ処理部25は、クロック信号CLKに基づいて生成したタイミング信号TSをゲート制御部33に供給する。
【0085】
ソース制御部26は、画素データ片PDをデータラッチ群31に格納させる。DAコンバータ32は、画素データ片PDに対応する階調電圧を選択してD/A変換を行い、アナログの階調電圧信号Vdを生成する。生成されたアナログの階調電圧信号Vdは、増幅され、ソース出力として出力される。フレーム同期信号FSに示される1フレーム期間毎に、1フレーム分のソース出力が出力される。これにより、フレームA及びフレームBの期間において、通常の画面表示が行われる。
【0086】
フレームCでは、チェックサム値が一時的に不一致状態となり通信エラーが生じていると判定される。データ処理部25は、Lレベルのゲートイネーブル信号GENを出力する。ゲート制御部33は、これに応じてゲートドライバ13を制御し、ゲート信号Vg1~Vgnの供給を停止させる。これにより、フレームCの表示画面では、1つ前のフレームの画面が固着表示される。
【0087】
フレームDでは、チェックサム値の不一致状態が解消され、通信エラーは生じていないと判定される。データ処理部25は、Hレベルのゲートイネーブル信号GENを出力する。ゲート制御部33は、これに応じてゲートドライバ13を制御し、ゲート信号Vg1~Vgnの供給を再開させる。これにより、フレームDでは、再び通常の画面表示が行われる。
【0088】
図8Aは、通信エラーが継続して発生した場合、すなわちチェックサム値が不一致の状態が所定フレーム数以上の期間に亘って継続した場合のソースドライバの各部の動作を示すタイムチャートである。図8Bは、その際に表示パネル11に表示される画面の例を示す図である。ここでは、通信エラーが継続して発生していると判定するための所定フレーム数を「2」とした場合を例として示している。
【0089】
フレームA及びフレームBでは、送信側LSI12から受信したチェックサム値と、映像データ信号VDSに基づいてソースドライバ14が新たに計算したチェックサム値とが一致している。このため、データ処理部25は、Hレベルのゲートイネーブル信号GEN及びOSDイネーブル信号OENを出力する。
【0090】
これに応じてソースドライバ14の各部は通常動作を行うため、フレームA及びフレームBの期間では、通常の画面表示が行われる。
【0091】
フレームCでは、チェックサム値が不一致状態となり通信エラーが生じていると判定される。データ処理部25は、Lレベルのゲートイネーブル信号GENを出力する。ゲート制御部33は、これに応じてゲートドライバ13を制御し、ゲート信号Vg1~Vgnの供給を停止させる。これにより、フレームCの表示画面では、1つ前のフレームの画面が固着表示される。
【0092】
フレームDでは、依然としてチェックサム値が不一致状態となり、通信エラーが継続していると判定される。このため、データ処理部25は、ゲートイネーブル信号GENをHレベルに切り替えるとともに、LレベルのOSDイネーブル信号OENを出力する。
【0093】
セレクタ23は、OSDイネーブル信号OENの論理レベル1から論理レベル0への変 化に応じて切り替えを行い、オシレータ22から出力された内蔵発振クロック信号SCKをデータ処理部25に供給する。セレクタ24は、自走制御パラメータSPをデータ処理部25に供給する。
【0094】
データ処理部25は、内蔵発振クロック信号SCKに基づいて水平同期信号LSを生成し、ソース制御部26に供給する。また、データ処理部25は、内蔵発振クロック信号SCKに基づいてタイミング信号TSを生成し、ゲート制御部33に供給する。
【0095】
ソース制御部26は、OSD設定部27によるOSD設定に基づいて、階調データ片をデータラッチ群31に格納させる。DAコンバータ32は、階調データ片に対応する階調電圧を選択してD/A変換を行い、アナログの階調電圧信号Vdを生成する。生成されたアナログの階調電圧信号Vdは、増幅され、ソース出力として出力される。
【0096】
これにより、フレームDにおいて、通信異常が発生していることを示す異常通知画面が表示パネル11に表示される。例えば、図8Bに示すように、表示画面内の右下に白色で描かれた「×」印の領域を含み、それ以外の領域が全体的に黒色で表示された画面が、異常通知画面として表示パネル11に表示される。
【0097】
以上のように、本実施例の表示装置100では、LVDSのデータフォーマットにおける1画素分のデータパケットに設けられた空き領域、すなわち偶数ポートのデータ領域のうちRGBの各8ビットに割り当てられた領域以外の領域にチェックサムの符号値を付与して、映像データ信号VDSの伝送を行う。映像データ信号VDSを受信したソースドライバ14は、受信したチェックサムの符号値と自身が算出したチェックサムの符号値とに基づいて、映像データ信号VDSの伝送に通信エラーが生じているか否かを判定する。
【0098】
かかる構成によれば、例えばCRC符号の期待値を別のインタフェースで伝送するような場合とは異なり、リアルタイムで通信エラーの検知を行うことができる。また、フレーム毎に表示内容が変化する場合にも通信エラーを検知することができる。
【0099】
また、本実施例の表示装置100は、ノイズ等により一時的な通信エラーが発生している場合、1つ前のフレームの画像を固着表示する。次のフレームでは通信異常の状態が解消されて通常表示に戻るため、運転者等のユーザは、違和感を覚えることなく表示画面の視認を継続することができる。
【0100】
また、本実施例の表示装置100は、通信エラーが継続して発生している場合、通信異常が発生したことを通知する異常通知画面を表示パネル11に表示する。これにより、表示画面を視認するユーザに対し、通信異常が発生したことを視覚的に分かりやすく提示することが可能となる。特に、本実施例の表示装置100を車載向けの電子ミラーとして使用した場合、運転者が運転状況を誤認することを防止することができる。
【0101】
したがって、本実施例の表示装置100によれば、LVDS方式の映像データの伝送において、通信異常の発生を速やかに検知し、異常の発生を視覚的に提示することが可能となる。
【0102】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、チェックサム値の計算方法は上記実施例で説明したものに限定されない。例えば、図9に示すように、画像表示への影響が少ない下位4ビットのデータについては捨象し、奇数ポートにおけるRGBの上位4ビットと、偶数ポートにおけるRGBの上位4ビットと、奇数ポートにおける同期信号のビットと、を加算することにより、チェックサム値を算出してもよい。
【0103】
また、上記実施例では、チェックサムの符号値を用いる場合を例として説明したが、これに限られず、映像データ信号VDSを構成する画素データ片に基づいて算出され且つLVDSのデータフォーマットにおける1画素分のデータパケットの空き領域に付与可能な他の符号値(演算値)を用いてもよい。
【0104】
また、上記実施例では表示装置100が1つのソースドライバ14を有する場合について説明したが、これとは異なり同様の機能を有する複数のソースドライバがゲート線の伸長方向に沿って複数設けられていてもよい。かかる構成では、例えば1つのソースドライバが通信の異常を検知した場合、これを他のソースドライバに通知することにより、全体として固着表示やOSD表示等を行うことができる。
【符号の説明】
【0105】
100 表示装置
11 表示パネル
12 送信側LSI
13 ゲートドライバ
14 ソースドライバ
21 受信部
22 OSC
23、24 セレクタ
25 データ処理部
26 ソース制御部
27 OSD設定部
28 ピクセルカウンタ
31 データラッチ群
32 DAC
33 ゲート制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9