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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155028
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】操作機構取付構造
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/02 20060101AFI20241024BHJP
   B63H 25/42 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B63H25/02 Z
B63H25/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069390
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】391008537
【氏名又は名称】ASTI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】大津 豊晴
(72)【発明者】
【氏名】今村 健一
(57)【要約】
【課題】 シール部材を挿し込む際に空気が抜けるようにし、且つ、防水性を高めることができる操作機構取付構造を提供することを提供すること。
【解決手段】 ケースと、上記ケース内に設けられた操作機構収容部と、上記操作機構収容部内に一端側から挿し込まれて収容される操作機構と、上記操作機構の先端に取り付けられる操作部材と、上記操作機構収容部と上記操作部材との間に他端側から挿し込まれるシール部材と、上記操作機構収容部に設けられ上記シール部材を上記操作機構収容部内に他端側から挿し込む際上記操作機構収容部内の空気を抜く空気抜き用貫通部と、を具備したもの。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
上記ケース内に設けられた操作機構収容部と、
上記操作機構収容部内に一端側から挿し込まれて収容される操作機構と、
上記操作機構の先端に取り付けられる操作部材と、
上記操作機構収容部と上記操作部材との間に他端側から挿し込まれるシール部材と、
上記操作機構収容部に設けられ上記シール部材を上記操作機構収容部内に他端側から挿し込む際上記操作機構収容部内の空気を抜く空気抜き用貫通部と、
を具備したことを特徴とする操作機構取付構造。
【請求項2】
請求項1記載の操作機構取付構造において、
上記シール部材の外周面には上記操作機構収容部の内側に当接されるシール突起が設けられていることを特徴とする操作機構取付構造。
【請求項3】
請求項1記載の操作機構取付構造において、
上記シール部材には上記操作部材が貫通する操作部材貫通部が設けられていて、この操作部材貫通部の内周面には上記操作部材の外周面に当接されるシール突起が設けられていることを特徴とする操作機構取付構造。
【請求項4】
請求項1記載の操作機構取付構造において、
上記ケースを閉塞するカバーが設置されていて、
上記シール部材には上記カバーの内面に当接されるシール突起が設けられていることを特徴とする操作機構取付構造。
【請求項5】
請求項1記載の操作機構取付構造において、
上記ケース内には一端側から充填材が充填され、
上記充填材の一部は上記空気抜き用貫通部を介して上記操作機構収容部と上記シール部材との間にも充填されることを特徴とする操作機構取付構造。
【請求項6】
請求項1記載の操作機構取付構造において、
上記操作機構はボリュームであり、上記操作部材はダイヤルであることを特徴とする操作機構取付構造。
【請求項7】
請求項1記載の操作機構取付構造において、
上記操作機構はマリン製品の操作機構であることを特徴とする操作機構取付構造。
【請求項8】
請求項7記載の操作機構取付構造において、
上記マリン製品は船外機であることを特徴とする操作機構取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、マリン製品の一つである船外機の操作機構取付構造に係り、特に、シール部材を挿し込む際に空気が抜けるようにし、且つ、防水性を高めることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の船外機を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
特許文献1に記載された船外機用操舵ハンドルは、船外機に取り付けられた棒状の部材で、先端部に軸廻り方向に回転可能なアクセル操作用グリップが装着されている。
また、上記船外機用操舵ハンドルには、上記船外機のトリム角やチルト角を油圧シリンダによって変更する操作を行うためのパワーチルトアンドトリムスイッチが設置されている。
【0003】
また、船外機にはチルト角度を表示するアナログメータが接続される場合がある。また、図12図13に示すように、チルト角度の最大値の設定や上記アナログメータのゼロ点の補正を行うための調整用コントローラ101が船外機のカウル内に設置される場合がある。
上記調整用コントローラ101には樹脂ケース103がある。例えば、図13図14に示すように、上記樹脂ケース103は前方側(図14中左側)が開口されており、後方側も図示されていないが開口されている。上記樹脂ケース103の内部の前方側(図14中左側)にはボリューム収容部105が設けられている。上記ボリューム収容部105は前方側(図14中左側)に開口された凹部である。図13図14に示すように、上記ボリューム収容部105の底部(図13中紙面方向側、図14中右側)にはボリューム取り付け用貫通孔107、109が形成されている。
【0004】
例えば、図13に示すように、上記調整用コントローラ101にはボリューム113、115がある。上記ボリューム113はアナログメータのゼロ点の補正を行うための可変抵抗器で、上記ボリューム115はチルト角度の設定を行うための可変抵抗器である。
上記樹脂ケース103内部には、後方側(図14中右側)から基板ASSY111が挿入される。上記ボリューム113、115は上記基板ASSY111に設置されていて、上記基板ASSY111とともに上記樹脂ケース103内部に挿入される。
【0005】
上記ボリューム113を上記ボリューム取り付け用貫通孔107に上記樹脂ケース103の後方側(図14中右側)から前方側(図14中左側)に向かって貫通させ、固定用ナット121を上記ボリューム113の雌ネジ部123に螺合させる。それによって、上記ボリューム113は上記樹脂ケース103に固定される。上記ボリューム115も同様であり、上記ボリューム115を上記ボリューム取り付け用貫通孔109に上記樹脂ケース103の後方側(図14中右側)から前方側(図14中左側)に向けて貫通させ、固定用ナット121を上記ボリューム本体117の雌ネジ部123に螺合させる。それによって、上記ボリューム115は樹脂ケース103に固定される。
【0006】
例えば、図13に示すように、上記ボリューム113の先端には樹脂ダイヤル131が取り付けられていて、上記ボリューム115の先端にも樹脂ダイヤル131が取り付けられている。
上記ボリューム収容部105には、例えば、ゴム製のシールゴム141が装着されていて、上記シールゴム141は上記ボリューム収容部105に前方側(図14中左側)から挿入される。例えば、図13に示すように、上記シールゴム141には樹脂ダイヤル用貫通孔143、145が設けられている。例えば、図14に示すように、上記樹脂ダイヤル用貫通孔143には環状のシール突起147が突設されている。上記樹脂ダイヤル用貫通孔145の内周面にも、上記樹脂ダイヤル用貫通孔143と同様に環状のシール突起147が突設されている。また、上記シールゴム141の外周面にも、環状のシール突起149が突設されている。上記シール突起149は上記ボリューム収容部105の内側に当接される。
【0007】
上記ボリューム113の樹脂ダイヤル131は上記樹脂ダイヤル用貫通孔143内に収容され、上記ボリューム115の樹脂ダイヤル131は上記樹脂ダイヤル用貫通孔145内に収容される。上記樹脂ダイヤル用貫通孔143のシール突起147は上記ボリューム113の樹脂ダイヤル131の外周面に当接され、上記樹脂ダイヤル用貫通孔145のシール突起147は上記ボリューム115の樹脂ダイヤル131の外周面に当接される。
【0008】
上記樹脂ケース103には樹脂カバー151が設置されている。上記樹脂カバー151が上記樹脂ケース103の前方側から挿入されて、上記樹脂ケース103の前方側の開口部が閉塞される。上記樹脂カバー151は着脱可能で、上記ボリューム113、115を操作する際には取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005-335448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の構成では次のような問題があった。
まず、図15に示すように、シールゴム141をボリューム収容部105に挿入する際、上記ボリューム収容部105内の空気が抜けずに底部(図15中右側)に溜まってしまい、その溜まった空気によって上記シールゴム141を上記ボリューム収容部105に完全に挿入することができないという問題があった。
また、図16に示すように、樹脂カバー151を取り付けた場合、上記シールゴム141が上記ボリューム収容部105の底(図16中右側)に当接するまで挿入されていないと、上記外部カバー151についても十分に押し込んで確実に取り付けることができないという問題があった。
また、図17に示すように、上記ボリューム収容部105の底部(図17中右側)の空気が使用中に膨張し、上記シールゴム141や上記樹脂カバー151を押し戻し、シールゴム141、樹脂カバー151の位置ズレや脱落、及び、樹脂ケース103の破損が懸念される。
この種の問題は船外機以外のマリン製品、マリン製品以外の様々な装置において共通した課題である。
【0011】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、シール部材を挿し込む際に空気が抜けるようにし、且つ、防水性を高めることができる操作機構取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による操作機構取付構造は、ケースと、上記ケース内に設けられた操作機構収容部と、上記操作機構収容部内に一端側から挿し込まれて収容される操作機構と、上記操作機構の先端に取り付けられる操作部材と、上記操作機構収容部と上記操作部材との間に他端側から挿し込まれるシール部材と、上記操作機構収容部に設けられ上記シール部材を上記操作機構収容部内に他端側から挿し込む際上記操作機構収容部内の空気を抜く空気抜き用貫通部と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2による操作機構取付構造は、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記シール部材の外周面には上記操作機構収容部の内側に当接されるシール突起が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項3による操作機構取付構造は、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記シール部材には上記操作部材が貫通する操作部材貫通部が設けられていて、この操作部材貫通部の内周面には上記操作部材の外周面に当接されるシール突起が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項4による操作機構取付構造は、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記ケースを閉塞するカバーが設置されていて、上記シール部材には上記カバーの内面に当接されるシール突起が設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項5による操作機構取付構造は、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記ケース内には一端側から充填材が充填され、上記充填材の一部は上記空気抜き用貫通部を介して上記操作機構収容部と上記シール部材との間にも充填されることを特徴とするものである。
又、請求項6による操作機構取付構造は、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記操作機構はボリュームであり、上記操作部材はダイヤルであることを特徴とするものである。
又、請求項7による操作機構取付構造は、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記操作機構はマリン製品の操作機構であることを特徴とするものである。
又、請求項8による操作機構取付構造は、請求項7記載の操作機構取付構造において、上記マリン製品は船外機であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように本願発明の請求項1による操作機構取付構造によると、ケースと、上記ケース内に設けられた操作機構収容部と、上記操作機構収容部内に一端側から挿し込まれて収容される操作機構と、上記操作機構の先端に取り付けられる操作部材と、上記操作機構収容部と上記操作部材との間に他端側から挿し込まれるシール部材と、上記操作機構収容部に設けられ上記シール部材を上記操作機構収容部内に他端側から挿し込む際上記操作機構収容部内の空気を抜く空気抜き用貫通部と、を具備したので、シール部材を挿し込む際に空気が抜けるようにし、且つ、防水性を高めることができる。
又、請求項2による操作機構取付構造によると、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記シール部材の外周面には上記操作機構収容部の内側に当接されるシール突起が設けられているので、より防水性を高めることができる。
又、請求項3による操作機構取付構造によると、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記シール部材には上記操作部材が貫通する操作部材貫通部が設けられていて、この操作部材貫通部の内周面には上記操作部材の外周面に当接されるシール突起が設けられているので、より防水性を高めることができるとともに振動による上記操作部材の意図しない回転を防止できる。
又、請求項4による操作機構取付構造によると、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記ケースを閉塞するカバーが設置されていて、上記シール部材には上記カバーの内面に当接されるシール突起が設けられているので、より防水性を高めることができる。
又、請求項5による操作機構取付構造によると、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記ケース内には一端側から充填材が充填され、上記充填材の一部は上記空気抜き用貫通部を介して上記操作機構収容部と上記シール部材との間にも充填されるので、より防水性を高めることができる。
又、請求項6による操作機構取付構造によると、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記操作機構はボリュームであり、上記操作部材はダイヤルであるので、ボリュームをダイヤルによって操作する操作機構が収容される上記ケースについて、シール部材を挿し込む際に空気が抜けるようにし、且つ、防水性を高めることができる。
又、請求項7による操作機構取付構造によると、請求項1記載の操作機構取付構造において、上記操作機構はマリン製品の操作機構であるので、マリン製品に設置される操作機構についてシール部材を挿し込む際に空気が抜けるようにし、且つ、防水性を高めることができる。
又、請求項8による操作機構取付構造によると、請求項7記載の操作機構取付構造において、上記マリン製品は船外機であるので、船外機に設置される操作機構についてシール部材を挿し込む際に空気が抜けるようにし、且つ、防水性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態を示す図で、調整用コントローラのボリューム付近の縦断面図である。
図2】本発明の一実施の形態を示す図で、樹脂カバーを除去し、シールゴムを取り外した状態の調整用コントローラの分解斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態を示す図で、図1のIII-III断面図である。
図4】本発明の一実施の形態を示す図で、樹脂カバーを除去した状態の調整用コントローラの正面図である。
図5】本発明の一実施の形態を示す図で、樹脂カバーとシールゴムを除去した状態の調整用コントローラの正面図である。
図6】本発明の一実施の形態を示す図で、図5のVI-VI断面図である。
図7】本発明の一実施の形態を示す図で、ボリュームと固定ナットと樹脂ダイヤルの取付構造を示す分解縦断面図である。
図8】本発明の一実施の形態を示す図で、シールゴムの取付構造を示す分解縦断面図である。
図9】本発明の一実施の形態を示す図で、樹脂カバーを除去した状態の調整用コントローラのボリューム付近の縦断面図である。
図10】本発明の一実施の形態を示す図で、樹脂カバーの取付構造を示す分解縦断面図である。
図11】本発明の一実施の形態を示す図で、シールゴムとボリュームを示す正面図である。
図12】従来の操作機構取付構造を示す図で、調整用コントローラのボリューム付近の縦断面図である。
図13】従来の操作機構取付構造を示す図で、樹脂カバーを除去し、シールゴムを取り外した状態の調整用コントローラの分解斜視図である。
図14】従来の操作機構取付構造を示す図で、シールゴムのボリューム収容部への取付構造を示す分解縦断面図である。
図15】従来の操作機構取付構造を示す図で、樹脂カバーを除去した状態の調整用コントローラのボリューム付近の縦断面図である。
図16】従来の操作機構取付構造を示す図で、樹脂カバーの樹脂ケースへの取付構造を示す分解縦断面図である。
図17】従来の操作機構取付構造を示す図で、調整用コントローラのボリューム付近の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1から図11を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
この一実施の形態は、マリン製品の一つである船外機において、チルト角度の最大値の設定やアナログメータのゼロ点の補正を行うための調整用コントローラ1を例に挙げて説明するものである。
まず、中空の樹脂ケース3がある。例えば、図1から図4に示すように、上記樹脂ケース3は前方側(図1中左側)が開口されており操作用開口部4となっていて、後方側も図示されていないが開口されている。上記樹脂ケース3の内部の前方側(図1中左側)には操作機構収容部としてのボリューム収容部5が設けられている。上記ボリューム収容部5は前方側(図1中左側)に開口された凹部である。例えば図1から図3に示すように、上記ボリューム収容部5の底部(図2中紙面方向側、図1中右側)にはボリューム取り付け用貫通孔7、9が形成されている。
また、上記ボリューム収容部5の底部の上下方向両側(図1中右上側と右下側)には空気抜き用貫通部11が形成されている。
【0016】
例えば、図2に示すように、上記調整用コントローラ1には操作機構としてのボリューム13、15がある。上記ボリューム13はアナログメータのゼロ点の補正を行うための可変抵抗器で、上記ボリューム15はチルト角度の設定を行うための可変抵抗器である。
上記樹脂ケース3内部には、後方側(図1中右側)から基板ASSY12が挿入される。上記ボリューム13、15は上記基板ASSY12に設置されていて、上記基板ASSY12とともに上記樹脂ケース3内部に挿入される。
【0017】
上記ボリューム13を、図6図7に示すように、上記ボリューム取り付け用貫通孔7に上記樹脂ケース3の後方側(図7中右側)から前方側(図7中左側)に向けて貫通させ、固定用ナット21を上記ボリューム13の雌ネジ部23に螺合させる。それによって、上記ボリューム13は上記樹脂ケース3に固定される。上記ボリューム15も同様であり、上記ボリューム15を上記ボリューム取り付け用貫通孔9に上記樹脂ケース3の後方側(図7中右側)から前方側(図7中左側)に向けて貫通させ、固定用ナット21を上記ボリューム本体17の雌ネジ部23に螺合させる。それによって、上記ボリューム15は上記樹脂ケース3に固定される。
図1から図4に示すように、上記ボリューム13の先端には操作部材としての樹脂ダイヤル31が取り付けられていて、上記ボリューム15の先端にも同様に樹脂ダイヤル31が取り付けられている。
【0018】
上記調整用コントローラ1には、シールゴム41が装着されていて、上記シールゴム41は、上記ボリューム収容部5内に挿入される挿入部43と、上記ボリューム収容部5の前面側(図1中左側)のフランジ部45からなる。
上記シールゴム41は、図8に示すように、上記ボリューム収容部5に前方側(図1中左側)から挿入される。例えば、図2に示すように、上記シールゴム41には操作部材貫通部としての樹脂ダイヤル用貫通孔47、49が設けられている。上記樹脂ダイヤル用貫通孔47、49の内周面には、シール突起51が設けられている。また、上記シールゴム41の挿入部43の外周面にはシール突起53が設けられている。上記シールゴム41のフランジ部45の外周面にはシール突起55が設けられていて、上記フランジ部45の前面にも上記樹脂ダイヤル用貫通孔47、49の前端側の開口部を囲むようにシール突起57が設けられている。
また、上記シールゴム41の挿入部43の後端側にも上記樹脂ダイヤル用貫通孔47、49の後端側の開口部を囲むようにシール突起59が設けられている。
【0019】
上記シール突起53、59は上記ボリューム収容部5の内側に当接される。
図9に示すように、上記ボリューム13の樹脂ダイヤル31は上記樹脂ダイヤル用貫通孔47内に収容され、上記ボリューム15の樹脂ダイヤル31は上記樹脂ダイヤル用貫通孔49内に収容される。上記樹脂ダイヤル用貫通孔47のシール突起51は上記ボリューム13の樹脂ダイヤル31の外周面に当接され、上記樹脂ダイヤル用貫通孔49のシール突起51は上記ボリューム15の樹脂ダイヤル31の外周面に当接される。
【0020】
また、樹脂カバー61がある。図10に示すように、上記樹脂カバー61が上記樹脂ケース3の前方側から挿入されて、上記樹脂ケース3の前方側の開口部が閉塞される。上記樹脂カバー61は着脱可能で、上記ボリューム13、15を操作する際には取り外される。
上記シールゴム41のシール突起55は上記樹脂カバー61の内周面に当接され、上記シールゴム41のシール突起57は上記樹脂カバー61の内面の図1中右側に当接される。
【0021】
また、上記樹脂ケース3内部であって、上記ボリューム収容部5よりも後方側(図1中右側)と上記空気抜き用貫通部11、及び、上記ボリューム収容部5内であって上記シールゴム41の最も奥側(図1中右側)のシール突起53より奥側(図1中右側)でシール突起59の外側の空間には充填材71が充填されている。
【0022】
次に、この第1の実施の形態による作用について説明する。
調整用コントローラ1の組み立ては次のようにして行う。
まず、図7に示すように、樹脂ケース3の後方側(図7中右側)から基板ASSY12を挿入し、ボリューム取り付け用貫通孔7、9にボリューム13、15を上記樹脂ケース3の後方側(図7中右側)から前方側(図7中左側)に向けて貫通させ、固定用ナット21を上記ボリューム13、15のボリューム本体17の雌ネジ部23に螺合させる。それによって、上記ボリューム13、15、ひいては上記基板ASSY12を上記樹脂ケース3に取り付ける。
次に、上記ボリューム13、15に樹脂ダイヤル31を取り付ける。
次に、図8及び図9に示すように、ボリューム収容部5にシールゴム41を挿入する。このとき、図9の矢印Aで示すように、空気抜き用貫通部11から上記ボリューム収容部5内の空気が排出されるので、上記シールゴム41が上記ボリューム収容部5内の底部まで押し込まれて確実に取り付けられる。
次に、図10に示すように、樹脂カバー61を上記樹脂ケース3に取り付ける。
次に、充填材71を上記樹脂ケース3の後方側(図10中右側)から充填する。充填後の状態を図1に示す。
最後に、図示しない蓋を上記樹脂ケース3の後端部(図10中右側)に取り付ける。
【0023】
調整時には、上記樹脂カバー61が取り外される。
上記ボリューム13によってアナログメータのゼロ点の補正を行い、上記ボリューム15によってチルト角度の最大値の設定を行う。
【0024】
上記シールゴム41のシール突起55は上記樹脂カバー61の内周面に当接され、上記シールゴム41のシール突起57は上記樹脂カバー61の内面の図1中右側に当接されるので、上記樹脂カバー61を装着した状態では、上記樹脂ケース3内のシールゴム41側への水の浸入が防止される。
上記調整用コントローラ1は、上記シールゴム41のシール突起53が上記ボリューム収容部5の内側に当接され、上記樹脂ダイヤル用貫通孔47のシール突起51が上記ボリューム13の樹脂ダイヤル31の外周面に当接され、上記樹脂ダイヤル用貫通孔49のシール突起53が上記ボリューム15の樹脂ダイヤル31の外周面に当接されることにより、上記樹脂カバー61が取り外された状態であっても、上記樹脂ケース3内部への水の浸入が確実に防止される。更に、上記充填材71が充填されており、上記樹脂ケース3内の基板ASSY12側(図1中右側)への水の浸入が確実に防止される。また、上記充填材71によって上記基板ASSY12の振動によるズレが防止される。
【0025】
また、上記樹脂ダイヤル用貫通孔47のシール突起51が上記ボリューム13の樹脂ダイヤル31の外周面に当接され、上記樹脂ダイヤル用貫通孔49のシール突起51が上記ボリューム15の樹脂ダイヤル31の外周面に当接されることにより、図11の矢印Bで示すような上記ボリューム13、15の樹脂ダイヤル31及びボリューム13、15の振動による誤動作が防止される。
【0026】
次に、この第1の実施の形態による効果について説明する。
ボリューム収容部5の底部の上下方向両側(図1中右上側と左上側)には空気抜き用貫通部11が形成されていて、シールゴム41を挿し込む際、上記空気抜き用貫通部11から上記ボリューム収容部5内の空気が排出されるので、上記シールゴム41を上記ボリューム収容部5の底まで押し込んで確実に取り付けることができる。
また、上記ボリューム収容部5内に空気が残らないので、上記シールゴム41内に残った空気の膨張による上記シールゴム41や樹脂カバー61のズレや脱落、及び、樹脂ケース3の破損を防止でき、防水性を高めることができる。
【0027】
また、上記シールゴム41のシール突起55は上記樹脂カバー61の内周面に当接され、上記シールゴム41のシール突起57は上記樹脂カバー61の内面の図1中右側に当接されるので、上記樹脂カバー61を装着した状態では、上記樹脂ケース3内のシールゴム41側への水の浸入を防止できる。
上記調整用コントローラ1は、上記シールゴム41のシール突起53が上記ボリューム収容部5の内側に当接され、上記樹脂ダイヤル用貫通孔47のシール突起51が上記ボリューム13の樹脂ダイヤル31の外周面に当接され、上記樹脂ダイヤル用貫通孔49のシール突起53が上記ボリューム15の樹脂ダイヤル31の外周面に当接されるので、上記樹脂カバー61が取り外された状態であっても、上記樹脂ケース3内部への水の浸入を確実に防止できる。
【0028】
また、上記樹脂ケース3内には充填材71が充填されており、上記樹脂ケース3内の基板ASSY12側(図1中右側)への水の浸入が確実に防止できる。
また、上記充填材71によって上記基板ASSY12の振動によるズレを防止できる。
また、充填材71の一部はシールゴム41とボリューム収容部5の間の隙間にも入り込んで充填されるので、上記シールゴム41が上記ボリューム収容部5に確実に接着・固定されることになり、それによって、シールゴム41の不用意な位置ずれや離脱を防止することができる。
【0029】
また、樹脂ダイヤル用貫通孔47のシール突起51が上記ボリューム13の樹脂ダイヤル31の外周面に当接され、上記樹脂ダイヤル用貫通孔49のシール突起51が上記ボリューム15の樹脂ダイヤル31の外周面に当接されるので、上記ボリューム13、15の振動による誤動作を防止できる。
【0030】
尚、本発明は、前記一実施の形態に限定されるものではない。
前記一実施の形態の場合には、マリン製品の一つである船外機に設置される調整用コントローラを例に挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、その他のマリン製品、マリン製品以外のその他様々な製品に適用可能である。
また、前記一実施の形態の場合には、操作機構としてチルト角度の最大値の設定やアナログメータのゼロ点の補正を行うための調整用コントローラのボリュームを例に挙げて説明したが、その他様々な操作機構に適用可能である。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、操作機構取付構造に係り、特に、シール部材を挿し込む際に空気が抜けるようにし、且つ、防水性を高めることができるように工夫したものに関し、例えば、小型ボート用船外機の調整用コントローラのボリュームの取付構造に好適である。
【符号の説明】
【0032】
1 調整用コントローラ
3 樹脂ケース(ケース)
4 操作用開口部
5 ボリューム収容部(操作機構収容部)
11 空気抜き用貫通部
13 ボリューム(操作機構)
15 ボリューム(操作機構)
31 ダイヤル(操作部材)
41 シールゴム(シール部材)
47 樹脂ダイヤル用貫通孔(操作部材貫通部)
49 樹脂ダイヤル用貫通孔(操作部材貫通部)
51 シール突起
53 シール突起
55 シール突起
57 シール突起
59 シール突起
61 樹脂カバー(カバー)
71 充填材
図1
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