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▶ 日本圧着端子製造株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155031
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】防水コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20241024BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01R13/52 301H
H01R13/52 301E
H01R13/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069397
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】正田 進也
(72)【発明者】
【氏名】勝本 早紀
(72)【発明者】
【氏名】角野 愛
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE14
5E087FF07
5E087FF12
5E087GG26
5E087GG32
5E087LL03
5E087LL04
5E087LL12
5E087MM05
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】シール性の高い防水コネクタを提供する。
【解決手段】防水コネクタ1は、端子2と、ハウジング3と、環状のシール4と、筒状のカバー6と、リテーナ8と、を含む。ハウジング3は、相手ハウジングの嵌合凹部に対して嵌合方向に嵌合可能なコネクタ部9を含む。シール4は、コネクタ部9の外周面91に嵌合され、コネクタ部9の外周面91と相手ハウジングの嵌合凹部の内周面との間を封止する。カバー6は、端壁部60と、端壁部60から嵌合方向X1の反対方向X2に延び、コネクタ部9の外周面91に嵌合された筒状部61を含む。筒状部61の規制端面61dが、シール4の第1環状端面40cに当接することにより、シール4がコネクタ部9に対して嵌合方向X1に移動することを規制する。リテーナ8が、筒状部61の規制端面61dから嵌合方向X1に離間する係止孔61eに係止する第2係止部K2を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタに対して嵌合方向に嵌合される防水コネクタであって、
端子と、
相手ハウジングの嵌合凹部に対して前記嵌合方向に嵌合可能なコネクタ部を含み、前記コネクタ部は、外周面と、前記嵌合方向の端面と、前記端子が収容された端子収容孔と、を含むハウジングと、
前記コネクタ部の前記外周面に嵌合され、前記コネクタ部の前記外周面と前記嵌合凹部の内周面との間を封止可能な環状のシールであって、前記嵌合方向の第1環状端面と、前記嵌合方向の反対方向の第2環状端面と、を含むシールと、
前記嵌合方向に向く外面と、前記コネクタ部の前記嵌合方向の前記端面に当接する内面と、を有する端壁部と、前記端壁部から前記嵌合方向の前記反対方向に延び前記コネクタ部の前記外周面に嵌合された筒状部と、を含むカバーであって、前記筒状部は、前記シールの前記第1環状端面に対して当接することにより、前記シールが前記コネクタ部に対して前記嵌合方向に移動することを規制する規制端面と、前記規制端面から前記嵌合方向に離間する係止孔と、を含む、カバーと、
前記コネクタ部に設けられた係止孔に前記嵌合方向と直交する直交方向から挿入係止されたリテーナであって、前記端子を係止する第1係止部と、前記カバーの前記筒状部の前記係止孔に係止する第2係止部と、を含むリテーナと、を備える、防水コネクタ。
【請求項2】
前記端子は、前記コネクタ部の前記嵌合方向の前記端面から突出する突出部を含み、
前記カバーの前記端壁部の前記外面は、前記端子の前記突出部よりも前記嵌合方向に配置されている、請求項1に記載の防水コネクタ。
【請求項3】
前記カバーの前記端壁部は、前記端子の前記突出部が収容される突出部収容孔であって、前記端子と接続される相手端子が挿入される突出部収容孔を含む、請求項2に記載の防水コネクタ。
【請求項4】
前記カバーの前記端壁部の前記内面および前記コネクタ部の前記嵌合方向の前記端面の少なくとも一方から突出する突起が、他方に形成された嵌合孔に挿入嵌合されている、請求項3に記載の防水コネクタ。
【請求項5】
前記カバーの前記筒状部の前記規制端面は、前記シールの前記第1環状端面に対して周方向の一周に亘って当接することにより、前記シールが前記コネクタ部に対して前記嵌合方向に移動することを規制する、請求項1~4の何れか一項に記載の防水コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の防水コネクタは、相手コネクタに嵌合させたときに、互いのハウジングの接合箇所を防水する環状のパッキンを備えている。
【0003】
前記防水コネクタのハウジングは、端子収容室を形成するコネクタ部を含む。前記コネクタ部の外周に、前記パッキンが嵌合され、パッキンよりもコネクタ部の先端側の外周にフロントホルダが嵌合されている。また、パッキンよりもコネクタ部の先端側に形成されたリテーナ装着穴に嵌め込まれたリテーナが、端子を係止する。
【0004】
前記パッキンは、フロントホルダおよびリテーナの2つの部材によって、コネクタ部から抜けないように、位置規制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-24822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フロントホルダのカバー部が、コネクタ部の先端側からコネクタ部の外周面に弾性的に嵌合されて保持されている。相手コネクタの嵌合を外すときに、フロントホルダがコネクタ部から抜ける方向に位置ずれし、その結果、パッキンの位置がずれて、シール性能が低下する。
【0007】
本発明の一実施形態は、シール性の高い防水コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、相手コネクタ(100)に対して嵌合方向(X1)に嵌合される防水コネクタ(1)であって、端子(2)と、ハウジング(3)と、環状のシール(4)と、筒状のカバー(6)と、リテーナ(8)と、を備える防水コネクタを提供する。前記ハウジングは、相手ハウジング(101)の嵌合凹部(102)に対して前記嵌合方向に嵌合可能なコネクタ部(9)を含み、前記コネクタ部は、外周面(91)と、前記嵌合方向の端面(92)と、前記端子が収容された端子収容孔(93)と、を含む。前記シールは、前記コネクタ部の前記外周面に嵌合され、前記コネクタ部の前記外周面と前記嵌合凹部の内周面(103)との間を封止可能なシールであって、前記嵌合方向の第1環状端面(40c)と、前記嵌合方向の反対方向(X2)の第2環状端面(40d)と、を含む。前記カバーは、前記嵌合方向に向く外面(60a)と、前記コネクタ部の前記嵌合方向の前記端面に当接する内面(60b)と、を有する端壁部(60)と、前記端壁部から前記嵌合方向の前記反対方向に延び前記コネクタ部の前記外周面に嵌合された筒状部(61)と、を含む。前記筒状部は、前記シールの前記第1環状端面に当接することにより、前記シールが前記コネクタ部に対して前記嵌合方向に移動することを規制する規制端面(61d)と、前記規制端面から前記嵌合方向に離間する係止孔(61e)と、を含む。前記リテーナは、前記コネクタ部に設けられた係止孔(96,97)に前記嵌合方向と直交する直交方向(V)から挿入係止されたリテーナであって、前記端子を係止する第1係止部(K1)と、前記カバーの前記筒状部の前記係止孔に係止する第2係止部(K2)と、を含む。
【0009】
この構成によれば、環状のシールの抜け止めのための位置規制が、単一の部材であるカバーの規制端面で行われる。カバーは、前記規制端面から離間する係止孔に係止する第2係止部を有するリテーナで係止されることにより、コネクタ部に対する当該カバーの位置ずれが確実に抑制される。このため、シールの位置ずれに起因するシール性の低下を抑制して、シール性を高くできる。
【0010】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
【0011】
1つの実施形態では、前記端子は、前記コネクタ部の前記嵌合方向の前記端面から突出する突出部(P)を含み、前記カバーの前記端壁部の前記外面は、前記端子の前記突出部よりも前記嵌合方向に配置されている。この構成によれば、相手コネクタと接続する際に、カバーの端壁部が端子を保護するため、端子がこじられることを抑制することができる。
【0012】
1つの実施形態では、前記カバーの前記端壁部は、前記端子の前記突出部が収容される突出部収容孔(60c)であって、前記端子と接続される相手端子が挿入される突出部収容孔を含む。この構成によれば、相手コネクタと接続する際に、カバーの端壁部の突出部収容孔内で、端子が相手端子と接続されるため、端子がこじられることを確実に抑制することができる。
【0013】
1つの実施形態では、前記カバーの前記端壁部の前記内面および前記コネクタ部の前記嵌合方向の前記端面の少なくとも一方から突出する突起(60d)が、他方に形成された嵌合孔(92a)に挿入嵌合されている。この構成によれば、カバーおよびコネクタ部の変形強度を向上することができ,ひいては、相手コネクタに対する嵌合に際して、端子のこじれを効果的に抑制することができる。
【0014】
1つの実施形態では、前記カバーの前記筒状部の前記規制端面は、前記シールの前記第1環状端面に対して周方向の一周に亘って当接することにより、前記シールが前記コネクタ部に対して前記嵌合方向に移動することを規制する。この構成によれば、シールの位置ずれを確実に抑制して、シール性を高くできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シール性の高い防水コネクタを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る防水コネクタの分解斜視図である。
図2図2は、防水コネクタの別角度からの分解斜視図である。
図3図3は、防水コネクタの側面図である。
図4図4は、図3のIV-IV断面図である。
図5図5は、防水コネクタの後面図である。
図6図6は、図5のVI―VI断面図である。
図7図7は、図5のVII-VII断面図である。
図8図8は、嵌合初期の防水コネクタおよび相手コネクタの断面図である。
図9図9は、嵌合後の防水コネクタおよび相手コネクタの断面図である。
図10図10は、ハウジングの斜視図である。
図11図11は、ハウジングの別角度からの斜視図である。
図12図12は、ハウジングの前面図である。
図13図13は、ハウジングの後面図である。
図14図14は、ハウジングの一方の側面図である。
図15図15は、ハウジングの他方の側面図である。
図16図16は、第1シールの斜視図である。
図17図17は、第1シールの正面図である。
図18図18は、第1シールの側面図である。
図19図19は、第1カバーの斜視図である。
図20図20は、第1カバーの別角度からの斜視図である。
図21図21は、第1カバーの前面図である。
図22図22は、第1カバーの後面図である。
図23図23は、第1カバーの一方の側面図である。
図24図24は、第1カバーの他方の側面図である。
図25図25は、リテーナの斜視図である。
図26図26は、リテーナの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る防水コネクタの分解斜視図であり、図2は、別角度からの防水コネクタの分解斜視図である。図3は、防水コネクタの側面図であり、図4は、図3のIV-IV断面図である。図5は、防水コネクタの後面図である。図6は、図5のVI―VI断面図である。図7は、図5のVII-VII断面図である。
【0019】
図1および図2に示すように、防水コネクタ1は、複数の端子組立体2Aと、ハウジング3と、第1シール4と、第2シール5と、第1カバー6と、第2カバー7と、リテーナ8と、を含む。防水コネクタ1は、相手コネクタ100(嵌合工程を示す図8図9を参照)に対して嵌合方向X1に嵌合される。端子組立体2Aは、端子2と、金属スリーブMSと、を含み、対応する電線Wの端部に圧着されている。
【0020】
まず、ハウジング3を説明する。
【0021】
図10は、ハウジング3の斜視図である。図11は、ハウジング3の別角度からの斜視図である。図12は、ハウジング3の前面図である。図13は、ハウジング3の後面図である。図14は、ハウジング3の一方の側面図である。図15は、ハウジング3の他方の側面図である。
【0022】
図10および図11に示すように、ハウジング3は、コネクタ部9と、フード10と、電線保持部11と、ロックアーム12と、フード連結部13(図7を参照)と、を含む。ハウジング3は、絶縁性の合成樹脂により形成されている。コネクタ部9は、相手ハウジング101の嵌合凹部102(図8および図9を参照)に対して嵌合方向X1に嵌合可能である。
【0023】
図7に示すように、コネクタ部9は、嵌合方向X1の端部である前端部9aと、嵌合方向X1の反対方向X2の端部である後端部9bと、外周面91と、嵌合方向X1の端面92と、を含む。また、コネクタ部9は、複数の端子収容孔93(図4および図12を参照)と、環状段部94と、シール装着部95と、係止孔96,97(図6を参照)と、一対の係止溝98(図4を参照)と、を含む。
【0024】
図7に示すように、端子収容孔93には、端子組立体2Aの一部と、端子組立体2Aと接続された電線Wの一部とが収容されている。環状段部94は、コネクタ部9の後端部9bに形成されている。外周面91において、環状段部94に対して嵌合方向X1に隣接する所定範囲の部分が、シール装着部95に相当する。シール装着部95に対して、第1シール4が嵌合されている。
【0025】
図9に示すように、コネクタ部9の外周面91のシール装着部95に嵌合された第1シール4は、コネクタ部9の外周面91と相手コネクタ100の相手ハウジング101の嵌合凹部102の内周面103との間を封止する。
【0026】
図7に示すように、フード10は、フード連結部13を介してコネクタ部9の後端部9bと連結されている。フード10は、コネクタ部9の後端部9bから嵌合方向X1に延び、コネクタ部9を取り囲む角筒である。
【0027】
図10図13に示すように、角筒状のフード10は、上壁10aと、底壁10bと、一対の側壁10cとを含む。ロックアーム12は、フード10の上壁10aに設けられた支持部10dによって揺動可能に支持されており、相手コネクタ100(図9を参照)との嵌合状態をロックする。図14および図15に示すように、フード10の各側壁10cには、リテーナ8が装着されるリテーナ装着孔10eと、一対の型抜き孔10fと、が形成されている。
【0028】
図4に示すように、コネクタ部9の端子収容孔93は、断面半円状である。コネクタ部9に第1カバー6の筒状部61が嵌合されることにより、断面半円状の端子収容孔93と第1カバー6の筒状部61の内周面61bの断面半円状の部分とが組み合わされて、断面円形の端子収容孔が形成される。
【0029】
図2に示すように、電線保持部11は、角筒状に形成されており、図7に示すように、コネクタ部9の後端部9bから、フード10に対して反対方向(嵌合方向X1の反対方向X2)に延びている。
【0030】
図2に示すように、第2シール5は、方形のシール本体50と、複数の外周シールリップ51と、シール本体50を嵌合方向X1に貫通する複数の電線挿通孔52と、を含む。図7に示すように、各電線挿通孔52に、電線Wが挿通される。第2シール5は、電線保持部11の内壁面11a(図13を参照)と各電線Wとの間を封止する。
【0031】
図2に示すように、第2カバー7は、端壁部70と、端壁部70から嵌合方向X1に延びる筒状部71と、端壁部70から嵌合方向X1の反対方向X2に延びる複数の電線保持筒72と、を含む。図7に示すように、第2カバー7は、電線保持部11の後端部11bを閉塞するように、電線保持部11に対して着脱可能に取り付けられる。
【0032】
次いで、電線Wおよび端子2を説明する。
【0033】
図7に示すように、電線Wは、同軸ケーブルであり、中心導体W1と、中心導体W1を包囲する誘電体W2と、誘電体W2を覆う編組線などの外部導体W3と、外部導体W3を被覆する絶縁シースW4と、を含む。端子2は、中心導体W1と接続される中心コンタクト21と、円筒状のインシュレータ22と、外部導体W3と接続される外部コンタクト23と、を含む。
【0034】
図7に示すように、嵌合方向X1に関して、端子2の一部は、コネクタ部9の嵌合方向X1の端面92から突出することにより、突出部Pを構成している。突出部Pは、第1カバー6の端壁部60に形成される突出部収容孔60c(図19図22を参照)に収容されている。
【0035】
次いで、第1シール4を説明する。
【0036】
図16は、第1シール4の斜視図である。図17は、第1シール4の正面図である。図18は、第1シール4の側面図である。第1シール4は、四角環状のシール本体40と、複数の外周シールリップ41と、複数の内周溝42と、を含む。シール本体40は、外周面40aと、内周面40bと、嵌合方向X1の第1環状端面40cと、嵌合方向X1の反対方向X2の第2環状端面40dと、を含む。第1環状端面40cおよび第2環状端面40dは、嵌合方向X1と直交する平坦面である。
【0037】
複数の外周シールリップ41は、シール本体40の外周面40aの周方向の全周に延びており、互いに軸方向に離間している。内周溝42は、シール本体40の内周面40bの周方向の全周に延びており、互いに軸方向に離間している。
【0038】
次いで、第1カバー6を説明する。
【0039】
図19は、第1カバー6の斜視図であり、図20は、第1カバー6の別角度からの斜視図である。図21は、第1カバー6の前面図であり、図22は、第1カバー6の後面図である。図23は、第1カバー6の一方の側面図であり、図24は、第1カバー6の他方の側面図である。
【0040】
図19および図20に示すように、第1カバー6は、端壁部60と、端壁部60から嵌合方向X1の反対方向X2に延びる角筒状の筒状部61と、を含む。端壁部60は、嵌合方向X1に向く外面60aと、嵌合方向X1の反対方向X2に向く内面60b(図7および図22を参照)と、外面60aおよび内面60bを挿通する複数の突出部収容孔60cと、突起60dと、を含む。
【0041】
図7に示すように、端壁部60の突出部収容孔60c内に、端子2の突出部Pが収容されている。すなわち、第1カバー6の端壁部60の外面60aは、端子2の突出部Pよりも嵌合方向X1に配置されている。各突出部収容孔60cは、コネクタ部9の対応する端子収容孔93と連通している。図6および図22に示すように、突起60dは、内面60bから嵌合方向X1の反対方向X2に突出している。
【0042】
図6に示すように、第1カバー6の端壁部60の内面60bは、コネクタ部9の嵌合方向X1の端面92に当接している。これにより、第1カバー6が、コネクタ部9に対して嵌合方向X1に位置決めされている。また、第1カバー6の端壁部60の内面60bから嵌合方向X1の反対方向X2に突出する突起60dが、コネクタ部9の嵌合方向X1の端面92に形成された嵌合孔92aに嵌合されている。
【0043】
突起60dの断面形状は、図4に示されるような三角形形状であってもよいし、図示していないが、矩形その他の多角形形状であってもよいし、円形、楕円形等の丸形形状であってもよい。突起60dは、1又は複数設けられればよい。
【0044】
図19および図20に示すように、筒状部61は、外周面61aと、内周面61bと、延設端61cと、環状の規制端面61d(図2図7および図22を参照)と、各側部に設けられ規制端面61dから嵌合方向X1に離間する係止孔61e(図23図24を参照)と、を含む。図7に示すように、筒状部61の内周面61bがコネクタ部9の外周面91に嵌合される。環状の規制端面61dは、延設端61cに設けられ、嵌合方向X1の反対方向X2に向く。
【0045】
第1シール4は、コネクタ部9の外周面91のシール装着部95に嵌合された状態で、コネクタ部9の環状段部94と、第1カバー6の筒状部61の環状の規制端面61dとの間に挟持される。すなわち、第1カバー6の筒状部61の環状の規制端面61dが、第1シール4の嵌合方向X1の第1環状端面40cに対して周方向の一周に亘って当接することにより、第1シール4がコネクタ部9に対して嵌合方向X1に移動することが規制される。
【0046】
また、コネクタ部9の環状段部94が、第1シール4の嵌合方向X1の反対方向X2の第2環状端面40dに対して周方向の一周に亘って当接することにより、第1シール4がコネクタ部9に対して嵌合方向X1の反対方向X2に移動することが規制される。
【0047】
次いで、リテーナ8を説明する。
【0048】
図25は、リテーナ8の斜視図であり、図26は、リテーナ8の正面図である。
【0049】
図25および図26に示すように、リテーナ8は、上下方向に延びる支持枠80と、一対の端部アーム81と、中央アーム82と、一対の係止アーム83と、一対の湾曲状部84と、を含む。一対の端部アーム81は、支持枠80の一対の端部80aから側方へ延びている。中央アーム82は、支持枠80の中央部から側方へ延びている。各端部アーム81と中央アーム82との対向面81a,82aに形成される湾曲状の凹部81b,82bの間に、端子2が保持される。
【0050】
また、リテーナ8の一対の端部アーム81、中央アーム82および一対の係止アーム83は、第1カバー6の筒状部61の係止孔61eに挿入され係止されている。リテーナ8の一対の端部アーム81、中央アーム82および一対の係止アーム83のそれぞれは、第1カバー6を嵌合方向X1に係止する第2係止部K2を構成する。
【0051】
また、一対の端部アーム81および中央アーム82は、端子2の外部コンタクト23の輪帯233(図2および図7を参照)に対して、嵌合方向X1の反対方向X2から当接することにより、端子2を抜け止め係止する第1係止部K1を構成する。
【0052】
一対の係止アーム83のそれぞれは、支持枠80の一対の端部80aのそれぞれから湾曲状部84を介して端部アーム81と平行に片持ち状に延びるアーム本体83aと、アーム本体83aの先端に設けられたフック83bと、を含む。
【0053】
一対の端部アーム81は、コネクタ部9の一対の係止孔96(図6を参照)に、それぞれ嵌合され係止される。中央アーム82は、コネクタ部9の係止孔97(図6を参照)に、嵌合され係止される。一対の係止アーム83は、コネクタ部9の外周面91の一対の係止溝98(図4を参照)に、それぞれ嵌合され係止される。これにより、リテーナ8が、直交方向Vに抜け止めされる。
【0054】
本実施形態によれば、図7に示すように、環状の第1シール4の抜け止めのための位置規制が、単一の部材である第1カバー6の規制端面61d(図2を参照)が第1シール4の第1環状端面40c(図1を参照)に当接することで行われる。また、コネクタ部9に設けられた係止孔96,97に嵌合方向X1と直交する直交方向V(図7において紙面と直交する方向)から挿入係止されたリテーナ8が、端子2を係止する第1係止部K1(端部アーム81、中央アーム82)と、第1カバー6の筒状部61の規制端面61dから嵌合方向X1に離間する係止孔61eに係止する第2係止部K2(端部アーム81、中央アーム82、係止アーム83)とを含む。リテーナ8により、コネクタ部9に対する第1カバー6の位置ずれが確実に抑制される。このため、第1シール4の位置ずれに起因するシール性の低下を抑制して、シール性を高くできる。
【0055】
また、図7に示すように、端子2が、コネクタ部9の嵌合方向X1の端面92から突出する突出部Pを含む。第1カバー6の端壁部60の外面60aは、端子2の突出部Pよりも嵌合方向X1に配置されている。この構成によれば、相手コネクタ100と接続する際に、第1カバー6の端壁部60が端子2を保護するため、端子2がこじられることを抑制することができる。
【0056】
また、第1カバー6の端壁部60は、端子2の突出部Pが収容される突出部収容孔60cを含む。突出部収容孔60cには、端子2と接続される相手端子(図示せず)が挿入される。この構成によれば、相手コネクタ100と接続する際に、第1カバー6の端壁部60の突出部収容孔60c内で、端子2が相手端子と接続されるため、端子2がこじられることを確実に抑制することができる。
【0057】
また、図6に示すように、第1カバー6の端壁部60の内面60bから突出する突起60dが、コネクタ部9の嵌合方向X1の端面92に形成された嵌合孔92aに挿入嵌合されている。この構成によれば、第1カバー6およびコネクタ部9の変形強度を向上することができ,ひいては、相手コネクタ100に対する嵌合に際して、端子2のこじれを効果的に抑制することができる。なお、図示していないが、コネクタ部9の端面92に設けられた突起が、第1カバー6の端壁部60の内面60bに設けられた嵌合孔に挿入嵌合されてもよい。
【0058】
また、第1カバー6の筒状部61の規制端面61dは、第1シール4の第1環状端面40cに対して周方向の一周に亘って当接することにより、第1シール4がコネクタ部9に対して嵌合方向X1に移動することを規制する。この構成によれば、第1シール4の位置ずれを確実に抑制して、シール性を高くできる。
【0059】
なお、図示していないが、第1カバー6の規制端面61dの周方向の一部に凹部が形成されていて、規制端面61dの前記凹部が、第1シール4の第1環状端面40cに対して当接していない場合でも、リテーナ8によって第1カバー6の位置ずれが確実に抑制することにより、第1シール4の位置ずれを確実に抑制できるので、シール性を高くできる。
【0060】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、電線Wが同軸ケーブルでない通常の電線であってもよい。また、本発明は、基板対電線用の防水コネクタや、電線対電線用の防水コネクタに用いることができる。その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0061】
1 防水コネクタ
2 端子
3 ハウジング
4 第1シール
6 第1カバー
8 リテーナ
9 コネクタ部
40 シール本体
40c 第1環状端面
40d 第2環状端面
60 端壁部
60a 外面
60b 内面
60c 突出部収容孔
60d 突起
61 筒状部
61e 係止孔
91 外周面
92 端面
92a 嵌合孔
93 端子収容孔
96 係止孔
97 係止孔
98 係止溝
100 相手コネクタ
101 相手ハウジング
102 嵌合凹部
103 内周面
K1 第1係止部
K2 第2係止部
P 突出部
V 直交方向
X1 嵌合方向
X2 反対方向
図1
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