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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155045
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】導光板、および導光板ユニット
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/18 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G09F13/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069420
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴広
(72)【発明者】
【氏名】藤田 純也
(72)【発明者】
【氏名】森 正徳
【テーマコード(参考)】
5C096
【Fターム(参考)】
5C096AA27
5C096BA02
5C096CA06
5C096CA15
5C096CB02
5C096CD02
5C096CD23
5C096CD28
5C096CD32
5C096EB04
5C096EB16
5C096FA01
5C096FA02
5C096FA05
(57)【要約】
【課題】デザイン毎の金型の作成が不要で、かつ、量産性にも優れた安価に製造し得る導光板を実現する。
【解決手段】導光板(2)は、それぞれが反射面を有する複数の微細な凹部としてのプリズム(10)が一方の面に形成された導光板本体(D)と、導光板本体(D)におけるプリズム(10)が形成された領域(R1)の、照光表示するデザイン(P)以外の部分に位置し、位置する部分のプリズム(10)を埋めて反射面を非反射面とする透明インク層(11)と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが反射面を有する複数の微細な凹部が一方の面に形成された導光板本体と、
前記導光板本体における前記複数の微細な凹部が形成された領域の、照光表示するデザイン以外の部分に位置し、位置する部分の前記微細な凹部を埋めて前記反射面を非反射面とする透明インク層と、
を備える導光板。
【請求項2】
前記複数の微細な凹部は、前記一方の面に全体的に形成されている請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
請求項1に記載の導光板と、
前記導光板の側面に配置された光源と、
前記導光板および前記光源を支持する筐体と、
を備える導光板ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板、および導光板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
導光板そのものを表示パネルとして利用する導光板ユニットが知られている。導光板ユニットは、導光板と、導光板に光を供給する光源と、を備える。導光板には、文字や図柄等の照光表示するデザインが微細加工で施されている。光源からの光が導光板の内部に供給されることで微細加工が施された部分が照光して表示される。
【0003】
微細加工は、導光板における光出射面とは反対側の面に施される。微細加工は、微小長さの断面V字状溝などの複数の微細な凹部であり、複数の微細な凹部が照光させたい部分に配置される。微細な凹部は、導光板の内部を伝播する光源からの光を光出射面へと反射する反射面を有している。以下、本明細書では、微細な凹部をプリズムとも称する。
【0004】
このような導光板の作成する方法としては、金型を用いる方法がある(例えば、特許文献1)。また、レーザー加工により樹脂板に直接プリズムを形成して導光板を作成する方法もある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-32301号公報
【特許文献2】特開2000-066029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、導光板そのものを表示パネルとして利用する場合、照光表示するデザインを変更するには導光板におけるプリズムの配置を変更する必要がある。そのため、金型を用いて導光板を作成する方法では、デザインの変更のたびに金型を作成する必要があり、コスト高となる。
【0007】
一方、レーザー加工を用いる方法では金型は必要ない。しかしながら、複雑なデザインの導光板を作成する場合、形成するプリズムが増えれば増えるほど加工に時間がかかり、金型による作成に比べて量産性が劣る。
【0008】
本発明の一態様は、デザイン毎の金型の作成が不要で、かつ、量産性にも優れた安価に製造し得る導光板、該導光板を備えた導光板ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る導光板は、それぞれが反射面を有する複数の微細な凹部が一方の面に形成された導光板本体と、前記導光板本体における前記複数の微細な凹部が形成された領域の、照光表示するデザイン以外の部分に位置し、位置する部分の前記微細な凹部を埋めて前記反射面を非反射面とする透明インク層と、を備える。
【0010】
上記構成によれば、微細な凹部が形成された領域における、透明インク層の位置するデザイン以外の部分が非反射領域となり、透明インク層の位置しないデザイン部分が反射領域となって照光する。
【0011】
これにより、デザイン毎の金型を作成することなく、微細な凹部が一方の面に形成され導光板本体を共用して、種々のデザインの導光板を作成することができる。共用する導光板本体は、金型を用いて製造できるため、量産性にも優れる。
【0012】
本発明の一態様に係る導光板は、さらに、前記複数の微細な凹部は、前記一方の面に全体的に形成されていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、複数の微細な凹部が導光板本体の一方の面に全体的に形成さているので、どのようなデザインにも適応できる。これにより、導光板本体の汎用性がより高くなり、様々なデザインの導光板をより安価に製造することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る導光板ユニットは、本発明の一態様に係る導光板と、前記導光板の側面に配置された光源と、前記導光板および前記光源を支持する筐体と、を備える。
【0015】
上記構成によれば、安価な導光板を用いているので、導光板ユニット自体も安価にて提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、デザイン毎の金型の作成が不要で、かつ、量産性にも優れた安価に製造し得る導光板、該導光板を備えた導光板ユニット等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る導光板を備えた導光板ユニットの表示状態を示す正面図である。
図2図1に示すA-A線野視断面図である。
図3図2に示す領域B1の拡大図である。
図4図2に示す領域B2の拡大図である。
図5】本実施形態に係る導光板の内部を伝播する光がプリズムに入射した状態を模式的に示す図である。
図6】本実施形態に係る導光板が備える導光板本体の裏面を示す図である。
図7】本実施形態に係る導光板の裏面を示す図である。
図8】導光板の内部を伝播する光が透明インクで埋められたプリズムに入射した状態を模式的に示す図である。
図9】本実施形態に係る別の導光板を備えた導光板ユニットの表示状態を示す正面図である。
図10】本実施形態に係る別の導光板の裏面を示す図である。
図11】本実施形態に係る導光板を複数枚備える導光板ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0019】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0020】
§1 適用例
図1図2に示すように、本実施形態に係る導光板2は、導光板そのものを表示パネルとして利用する導光板ユニット1に用いることができる。
【0021】
図4に示すように、導光板2は、複数のプリズム10が一方の面に形成された導光板本体Dと、透明インク層11と、を有する。透明インク層11は、導光板本体Dにおける複数のプリズム10が形成された領域の、照光表示するデザインP以外の部分に位置する。透明インク層11は、透明インク層11が位置する部分のプリズム10を透明インクで埋めて反射面10a(図5図8参照)を非反射面とする。
【0022】
このような構成では、デザインPは、透明インク層11の配置位置で形成されるので、照光表示するデザインPが異なっていても、一方の面に複数のプリズム10が形成された導光板本体Dを共用することができるので、導光板2を安価にて製造することができる。
【0023】
§2 構成例
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0024】
(導光板ユニット)
図1は、本実施形態に係る導光板2を備えた導光板ユニット1の表示状態を示す正面図である。図2は、図1に示すA-A線野視断面図である。図3は、図2に示す領域B1の拡大図である。図4は、図2に示す領域B2の拡大図である。図5は、本実施形態に係る導光板2の内部を伝播する光がプリズム10に入射した状態を模式的に示す図である。
【0025】
図1図3に示すように、導光板ユニット1は、導光板2と、導光板2の側面に配置された光源3と、導光板2および光源を支持する筐体5と、を備える。導光板2と光源3とで表示部が構成される。光源3は、LED基板等の光源搭載基板4上に配置されている(図3参照)。
【0026】
光源3の一例として、LEDを用いることができる。フルカラーLEDである場合、導光板2の点灯色を様々な色に変更することができる。
【0027】
筐体5は、ボトムベース6と、枠形状のフレーム7と、フレーム7の開口7aに嵌め込まれた透明パネル8と、を有している。ボトムベース6は、導光板ユニット1の裏面(背面)を覆う筺体である。フレーム7と透明パネル8とは、導光板ユニット1の表面を覆う筺体である。ボトムベース6およびフレーム7は、通常不透明材料で構成れている。
【0028】
導光板2は、表示パネルであり、導光板本体Dを備える。導光板本体Dは、アクリルやポリカーボネートなどの透明な樹脂で構成された薄板樹脂部品である。導光板本体Dに、照光表示するデザインP(図1参照)が、複数の微細な凹部にて形成されている。
【0029】
図4に示すように、導光板本体Dの一方の面である裏面には、複数の微細な凹部(微細加工)である複数のプリズム10が形成されている。図5に示すように、プリズム10は、導光板本体Dの内部に入射した光源3の光(矢印L1)を、光出射面側へと反射する反射面10aを有している。導光板本体Dにおける、プリズム10が形成されている裏面とは反対側の表面側が、導光板2の光出射面となる。
【0030】
このようなプリズム10が複数、デザインPに沿って配置されることで、図1に示すように、デザインPが照光し、視認可能となる。導光板2は、光出射面が透明パネル8と対向するように配置される。透明パネル8の有る側が、導光板ユニット1の鑑賞者側である。
【0031】
(導光板)
次に、図1図4図8を用いて、導光板2について詳細に説明する。図6は、本実施形態に係る導光板2が備える導光板本体Dの裏面を示す図である。図7は、本実施形態に係る導光板2の裏面を示す図である。図8は、本実施形態に係る導光板2の内部を伝播する光が透明インクで埋められたプリズム10に入射した状態を模式的に示す図である。
【0032】
図4に示すように、導光板2は、それぞれが反射面を有する複数のプリズム(微細な凹部)10が一方の面に形成された導光板本体Dと、透明インク層11と、を有する。透明インク層11は、導光板本体Dにおける複数のプリズム10が形成された領域の、照光表示するデザインP以外の部分に位置する。透明インク層11は、透明インク層11が位置する部分のプリズム10を透明インクにて埋めて反射面10aを非反射面とする。
【0033】
図6に示すように、導光板本体Dは、裏面の広領域に複数のプリズム10が形成されている。図6では、導光板本体Dにおける複数のプリズム10が形成されている領域R1を斜線にて示している。このような導光板本体Dは、金型を用いて作製される。
【0034】
本実施形態では、複数のプリズム10は、導光板本体Dの裏面に全体的に形成されている。このような導光板本体Dの側面より光を供給すると、導光板本体Dは全面が照光する。導光板2は、このような裏面の広領域に複数のプリズム10が形成された導光板本体Dを基材として作成される。
【0035】
なお、本実施形態では、複数のプリズム10が導光板本体Dの裏面に全体的に形成されている構成を例示するが、複数のプリズム10は、導光板本体Dの裏面(一方の面)に広領域(広範囲)に形成されていればよい。つまり、導光板本体Dの裏面(一方の面)が、プリズム10が形成されていない部分を含んでいてもよい。
【0036】
図7に示すように、透明インク層11は、このような導光板本体Dの裏面にデザインPの形状を形作るように配置されている。図7においては、透明インク層11が配置されている領域をベタ画像で示している。図7において斜線を示している部分が、複数のプリズム10が形成されている領域R1における、透明インク層11が配置されていない部分である。
【0037】
導光板ユニット1の鑑賞者側から見たデザインPを表示画像とすると、透明インク層11が形成する画像は、導光板2の裏面側より見て、表示画像の左右反転画像のネガポジ画像となる。このような透明インク層11の形成は、インクジェットプリンタ等の印刷装置を用いることで容易に形成することができる。
【0038】
図4図8に示すように、透明インク層11は、プリズム10を透明インクにて埋めるよう配置、塗布される。図8に示すように、透明インクで埋められたプリズム10は、反射面10aに入射した光(矢印L1)を反射することなく通過させるようになり、反射面10aが非反射面となる。プリズム10は、透明インクで埋められることで、導光板本体Dの内部に入射した光源3の光を、光出射面側へと反射する機能を有さなくなる。
【0039】
このような構成の導光板2は、一方の面に広領域に複数のプリズム10が形成された導光板本体Dを基材とし、該基材のプリズム10が形成されている面に、デザインPの左右反転画像のネガポジ画像を、透明インクを用いて形成することで、容易に製造することができる。
【0040】
つまり、導光板2の製造方法は、それぞれが反射面を有するプリズム10が一方の面に形成された導光板本体Dを基材とし、導光板本体Dにおける複数のプリズム10の形成領域の、照光表示するデザインP以外の部分に透明インクを塗布し、透明インクにて塗布部分のプリズム10を埋めて反射面10aを非反射面とするステップを含んでいる。
【0041】
透明インク層11は、液体状の透明インクが固体化したものである。透明インクとしては、透明であって、プリズム10を埋めることで、反射面10aに入射した光をプリズム10の内側へ透過させ得るものであればよい。プリズム10の空洞への入り込み易さを考慮すると、表面張力が小さく、導光板本体Dに対する濡れ性の高いものであることが好ましい。また、固体化した状態での屈折率は、導光板本体Dと同じ屈折率、あるいは導光板本体Dの屈折率に近い屈折率であることが好ましいが、反射面10aを非反射面とする屈折率を有していればよい。
【0042】
図9は、本実施形態に係る別の導光板2Aを備えた導光板ユニット1Aの表示状態を示す正面図である。図10は、本実施形態に係る導光板2Aの裏面を示す図である。
【0043】
図9に示すように、導光板ユニット1Aにおける照光表示されるデザインP1,P2は、「123456789」および「ABCDEFG」の文字列である。このような場合、導光板2Aの裏面には、図10に示すように、「123456789」および「ABCDEFG」の文字列の左右反転画像のネガポジ画像の透明インク層11Aが形成されている。
【0044】
図11は、導光板を複数枚備える導光板ユニット1Bの断面図である。図11に示すように、複数枚の導光板2B、2Cは、それぞれの光出射面を導光板ユニット1Bの鑑賞者側に向けて平行に重ねて配置される。光源搭載基板4には、導光板2B,2Cの側面に配置される光源3B、3Cが搭載される。導光板2B,2Cに対応する光源3B、3Cは、個々に独立して駆動できるように構成されている。
【0045】
導光板2B,2Cは、照光表示するデザインが異なるが、導光板本体Dを用い、裏面に透明インク層11にて形成する画像を、照光表示するデザインに合わせて変更するだけで構成することができる。
【0046】
また、図示してはいないが、導光板ユニット1~1Bは、押しボタンスイッチ等のスイッチ部を備えていてもよい。スイッチ部は、表示部に配置されていてもよい。つまり、導光板2~2Cに開口が形成され、該開口にスイッチ部が配されていてもよい。
【0047】
(効果)
上記構成によれば、複数のプリズム10が形成された領域R1の一部の領域に位置する透明インク層11が、プリズム10を透明インクにて埋めることで反射面10aを非反射面としている。したがって、複数のプリズム10を広域面に形成した導光板本体Dを基材として、照光表示したいデザインP部分を残し、デザインP以外の部分に透明インク層11を配置して非反射領域とすることで、金型を変更することなく、表示するデザインPを種々変更することができる。
【0048】
基材となる導光板本体Dの作成には、金型が必要であるが、表示するデザインPに係わらず共用できるため、安価にて製造できる。透明インク層11の配置位置は、デザインPごとに変更する必要はあるが、インクジェットプリンタ等の既存の技術を利用することで、容易に行うことができる。これにより、デザイン毎の金型の作成が不要で、かつ、量産性にも優れた安価に製造し得る導光板を提供することができる。
【0049】
また、本実施形態では、複数の微細なプリズム10が導光板本体Dの裏面に全体的に形成されているので、どのようなデザインにも適応できる。これにより、透明インク層11を設ける前の、広領域に複数の微細な凹部が形成されている導光板本体の汎用性がより高くなり、様々なデザインの導光板をより安価に製造することができる。
【0050】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1、1A、1B 導光板ユニット
2、2A、2B、2B,2C 導光板
3、3B、3C 光源
4 光源搭載基板
5 筐体
10 プリズム(凹部)
10a 反射面
11、11A 透明インク層
P,P1,P2 デザイン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11