IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-生産計画生成システム 図1
  • 特開-生産計画生成システム 図2
  • 特開-生産計画生成システム 図3
  • 特開-生産計画生成システム 図4
  • 特開-生産計画生成システム 図5
  • 特開-生産計画生成システム 図6
  • 特開-生産計画生成システム 図7
  • 特開-生産計画生成システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155057
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】生産計画生成システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20241024BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069445
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】今田 光
【テーマコード(参考)】
3C100
5E353
【Fターム(参考)】
3C100AA01
3C100AA56
3C100BB02
3C100BB14
3C100CC02
3C100EE07
5E353AA01
5E353CC01
5E353CC04
5E353DD06
5E353DD08
5E353EE34
5E353EE63
5E353EE89
5E353GG01
5E353HH01
5E353JJ22
5E353JJ44
5E353LL02
5E353LL04
5E353MM04
5E353MM08
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】基板装置を効率よく生産するための生産計画を生成可能な生産計画生成システムを提供する。
【解決手段】生産計画生成システムは、複数種類の基板に電子部品を実装する実装工程の実装情報と、実装工程の一部が終了した後に開始される後工程の後工程情報と、を取得する取得部と、生産計画を生成する生成部と、を備え、生成部は、基板装置を目標台数生産するために必要な必要数量を基板種ごとに順次実装する態様により実装工程を行い、全ての基板種が揃った時点で後工程を開始する基準計画における後工程開始時刻を実装情報及び後工程情報から取得し、基準計画における後工程開始時刻よりも早い時刻に後工程を開始できるように実装工程を調整することにより、後工程の終了時刻を基準計画における後工程の終了時刻よりも早くする後工程開始優先計画を生産計画として生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の基板を構成部材として有する基板装置を2以上の目標台数生産するための生産計画を生成する生産計画生成システムであって、
前記複数種類の基板に電子部品を実装する実装工程の実装情報と、前記実装工程の一部が終了した後に開始される後工程の後工程情報と、を取得する取得部と、
前記生産計画を生成する生成部と、を備え、
前記生成部は、
前記基板装置を目標台数生産するために必要な必要数量を基板種ごとに順次実装する態様により前記実装工程を行い、全ての基板種が揃った時点で前記後工程を開始する基準計画における後工程開始時刻を前記実装情報及び前記後工程情報から取得し、
前記基準計画における前記後工程開始時刻よりも早い時刻に前記後工程を開始できるように前記実装工程を調整することにより、前記後工程の終了時刻を前記基準計画における前記後工程の終了時刻よりも早くする後工程開始優先計画を前記生産計画として生成する、生産計画生成システム。
【請求項2】
前記生産計画を出力する出力部をさらに備え、
前記出力部は、前記後工程の終了時刻が前記基準計画における前記後工程の終了時刻よりも早い後工程開始優先計画を前記生成部が生成できない場合、前記基準計画を前記生産計画として出力する、請求項1に記載の生産計画生成システム。
【請求項3】
前記複数種類の基板は、第1基板と、前記第1基板とは異なる第2基板とを少なくとも有しており、
前記生成部は、前記実装工程において前記第1基板及び前記第2基板に実装される前記電子部品を供給するための部品供給ユニットの配置案を生成する配置案生成部を有しており、
前記配置案生成部は、前記後工程開始優先計画において、前記第1基板及び前記第2基板の実装に共用することが可能な前記配置案を生成する、請求項1又は2に記載の生産計画生成システム。
【請求項4】
前記生成部は、前記後工程における前記基板装置の生産ロットを2以上の後工程ロットに分割するロット分割部を有しており、
前記ロット分割部は、前記後工程ロットの1つを実施することができる実施可能数量の前記複数種類の基板が揃うタイミングと、前記後工程ロットが開始するタイミングとが近接するように、前記後工程開始優先計画において前記2以上の後工程ロットを設定する、請求項1又は2に記載の生産計画生成システム。
【請求項5】
前記生成部は、
前記実装工程において前記実施可能数量分の前記複数種類の基板を揃えるために必要な必要時間を前記実装情報に基づいて算出する必要時間算出部と、
前記必要時間に基づいて、前記2以上の後工程ロットのうち最先の後工程ロットを最も早く開始できる時刻である後工程開始可能時刻を特定する特定部と、をさらに有している、請求項4に記載の生産計画生成システム。
【請求項6】
前記複数種類の基板は、第1基板と、前記第1基板とは種類が異なる第2基板とを少なくとも有しており、
前記生成部は、前記後工程の終了時刻が最も早くなるように、前記第1基板及び前記第2基板の実装が行われる実装順を調整する実装順調整部を有している、請求項1又は2に記載の生産計画生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産計画生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の基板に電子部品を実装する実装工程を効率的に進行することができる計画を生成する装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数種類の実装基板(基板)を生産するための生産計画を作成する生産計画作成装置が開示されている。この生産計画作成装置は、生産する実装基板の品種毎の生産量および生産納期を含む生産情報と、生産設備の情報を含む生産ラインの情報と、生産ラインの稼働時間とに基づいて、実装基板の品種を複数の生産ロットに分割する。そして、当該分割された複数の生産ロットを所定の割り当て指針に基づいて複数の生産ラインの稼働時間に割り当てることにより、生産効率の高い生産計画を作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-098509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の生産計画作成装置は、実装工程を効率よく進行させることを優先するあまり、かえって非効率的な生産計画を生成する可能性がある。具体的に、前記生産計画作成装置は、生産計画を作成するにあたり、後工程の進め方については考慮しない。なお、後工程とは、実装工程によって生産された各種基板に対して施される電気的な試験や、実装工程により生産された各種基板をその他の部品とともに使用して基板装置を組み立てる工程などのことを指している。そのため、実装工程と、後工程とを経て生産される装置(基板装置)の生産計画を前記生産計画作成装置に作成させた場合、実装工程が効率よく進行する一方で、後工程が非効率的に進行するような生産計画が生成される可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板装置を効率よく生産することができる生産計画を生成可能な生産計画生成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る生産計画生成システムは、複数種類の基板を構成部材として有する基板装置を2以上の目標台数生産するための生産計画を生成する生産計画生成システムであって、前記複数種類の基板に電子部品を実装する実装工程の実装情報と、前記実装工程の一部が終了した後に開始される後工程の後工程情報と、を取得する取得部と、前記生産計画を生成する生成部と、を備え、前記生成部は、前記基板装置を目標台数生産するために必要な必要数量を基板種ごとに順次実装する態様により前記実装工程を行い、全ての基板種が揃った時点で前記後工程を開始する基準計画における後工程開始時刻を前記実装情報及び前記後工程情報から取得し、前記基準計画における前記後工程開始時刻よりも早い時刻に前記後工程を開始できるように前記実装工程を調整することにより、前記後工程の終了時刻を前記基準計画における前記後工程の終了時刻よりも早くする後工程開始優先計画を前記生産計画として生成する。
【0007】
この生産計画生成システムによれば、後工程が考慮されている生産計画である後工程開始優先計画が生成される。具体的に、本発明では、取得部が取得する実装情報及び後工程情報に基づいて、後工程開始優先計画が生成される。この後工程開始優先計画は、基準計画の後工程終了時刻よりも早く後工程を終了させるために、基準計画の後工程開始時刻よりも早い時刻に後工程を開始できるように実装工程が調整されている計画である。したがって、本発明に係る生産計画生成システムによれば、基板装置を効率よく生産可能な生産計画を生成することができる。
【0008】
上記の生産計画生成システムにおいて、前記生産計画を出力する出力部をさらに備え、前記出力部は、前記後工程の終了時刻が前記基準計画における前記後工程の終了時刻よりも早い後工程開始優先計画を前記生成部が生成できない場合、前記基準計画を前記生産計画として出力することが望ましい。
【0009】
この構成によれば、基準計画における後工程終了時刻よりも早い時刻に後工程が終了するような後工程開始優先計画を生成できない場合は、基準計画が生産計画として出力される。これにより、基板装置を効率よく生産可能な生産計画を、より確実に生産計画生成システムの利用者に提供することができる。
【0010】
上記の生産計画生成システムにおいて、前記複数種類の基板は、第1基板と、前記第1基板とは異なる第2基板とを少なくとも有しており、前記生成部は、前記実装工程において前記第1基板及び前記第2基板に実装される前記電子部品を供給するための部品供給ユニットの配置案を生成する配置案生成部を有しており、前記配置案生成部は、前記後工程開始優先計画において、前記第1基板及び前記第2基板の実装に共用することが可能な前記配置案を生成することが望ましい。
【0011】
この構成によれば、後工程開始優先計画では、第1基板及び第2基板の実装に共用可能な部品供給ユニットの配置案が生成される。このため、後工程開始優先計画では、実装工程において実装される基板の種類が第1基板から第2基板に切り替わる度に、部品供給ユニットの段取り替えを行う必要がなくなる。これにより、基板の種類が切り替わる度に部品供給ユニットの段取り替えを行う態様により実装工程を進行する場合と比較して、段取り替えに要する時間を削減することができる。
【0012】
上記の生産計画生成システムにおいて、前記生成部は、前記後工程における前記基板装置の生産ロットを2以上の後工程ロットに分割するロット分割部を有しており、前記ロット分割部は、前記後工程ロットの1つを実施することができる実施可能数量の前記複数種類の基板が揃うタイミングと、前記後工程ロットが開始するタイミングとが近接するように、前記後工程開始優先計画において前記2以上の後工程ロットを設定することが望ましい。
【0013】
この構成によれば、実装工程と後工程とが効率よく進行するように、後工程がロット分割される。具体的には、実施可能数量の基板が揃い次第後工程ロットが開始し、当該後工程ロットが完了するまでの間に再び実施可能数量の基板が揃えられて、次の後工程ロットが開始する、といった態様で実装工程と後工程とが同時並行的に進行する。したがって、より効率的な生産計画を生成することができる。
【0014】
上記の生産計画生成システムにおいて、前記生成部は、前記実装工程において前記実施可能数量分の前記複数種類の基板を揃えるために必要な必要時間を前記実装情報に基づいて算出する必要時間算出部と、前記必要時間に基づいて、前記2以上の後工程ロットのうち最先の後工程ロットを最も早く開始できる時刻である後工程開始可能時刻を特定する特定部と、をさらに有していることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、2以上の後工程ロットのうち最先の後工程ロットを最も早く開始できる時刻、すなわち、後工程を最も早く開始できる時刻である後工程開始可能時刻を特定することができる。この後工程開始可能時刻に後工程が開始する後工程開始優先計画を生成部が生成することにより、後工程開始優先計画における後工程の終了時刻を可能な限り早くすることができる。その結果、より効率的な生産計画を生成することができる。
【0016】
上記の生産計画生成システムにおいて、前記複数種類の基板は、第1基板と、前記第1基板とは種類が異なる第2基板とを少なくとも有しており、前記生成部は、前記後工程の終了時刻が最も早くなるように、前記第1基板及び前記第2基板の実装が行われる実装順を調整する実装順調整部を有していることが望ましい。
【0017】
この構成によれば、実装順調整部によって、後工程の終了時刻が可能な限り早くなるように実装順が調整される。したがって、より効率的な生産計画を生成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板装置を効率よく生産することができる生産計画を生成可能な生産計画生成システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る生産計画生成システムの構成を概略的に示す図である。
図2】基板装置が生産されるまでの流れを模式的に示した図である。
図3】部品実装装置の構成を示す平面図である。
図4】生産計画生成装置の電気的構成を示すブロック図である。
図5】(a)は、基準計画の一例を示すタイムチャートであり、(b)は、後工程開始優先計画の一例を示すタイムチャートである。
図6】(a)は、基準計画の別の例を示すタイムチャートであり、(b)は、後工程開始優先計画の別の例を示すタイムチャートである。
図7】生産計画生成装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図8】(a)は、変形実施形態に係る基準計画の一例を示すタイムチャートであり、(b)は、バランス計画の一例を示すタイムチャートであり、(c)は、変形実施形態に係る後工程開始優先計画の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態は本発明を具体化した例であって、本発明の技術的な範囲を限定するものではない。
【0021】
[生産計画生成システム10の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る生産計画生成システム10の構成を概略的に示す図であり、図2は、基板装置100が生産されるまでの流れを模式的に示した図である。生産計画生成システム10は、それぞれ種類が異なる第1基板A、第2基板B、及び第3基板Cを構成部材として有する基板装置100を目標台数分生産するための生産計画を生成するシステムである。図1及び図2に示すように、基板装置100は、後述する実装工程と、後述する後工程と、を経て生産される装置である。生産計画生成システム10は、これらの実装工程と、後工程とを効率よく進行することができる生産計画を生成する。図1に示すように、生産計画生成システム10は、生産システム1と、生産計画生成装置4とを備えている。
【0022】
[生産システム1の構成]
生産システム1は、基板装置100を生産するためのシステムである。生産システム1は、図1に示すように、部品実装ライン2と、後工程ライン3とを有している。
【0023】
部品実装ライン2は、基板に各種の電子部品を実装するための生産ラインである。なお、以下では電子部品のことを単に「部品」と呼ぶことがある。本実施形態に係る部品実装ライン2は、基板に各種部品を実装して、それぞれ別種の第1基板A、第2基板B、又は第3基板Cを個別に生産する。なお、部品実装ライン2は、いわゆる多面取りの基板に対して第1基板A~第3基板Cを生産するための部品を実装するといった生産方式にも対応している。
【0024】
部品実装ライン2は、図1に示すように、パターン形成装置21、パターン検査装置22、複数の部品実装装置23、搭載検査装置24、リフロー装置25、リフロー検査装置26、及び実装管理装置27を有している。本実施形態では、部品実装ライン2が有するこれらの処理装置によって施される一連の処理のことを、実装工程と呼ぶ。実装工程は、第1基板A、第2基板B、又は第3基板Cに電子部品を実装するための工程と言い換えることもできる。
【0025】
パターン形成装置21は、所定の作業エリアに搬入された基板に半田ペーストのパターンを形成するパターン形成処理を行う処理装置である。
【0026】
パターン検査装置22は、パターン形成装置21の下流側に配置され、パターン形成装置21におけるパターン形成処理の処理状態を検査する処理装置である。
【0027】
複数の部品実装装置23は、半田ペーストのパターンが形成された基板に部品を搭載する部品搭載処理を行う処理装置である。図1では、複数の部品実装装置23が第1部品実装装置23a、第2部品実装装置23b、第3部品実装装置23c、及び第4部品実装装置23dによって構成されている例を示している。各部品実装装置23a~23dは、部品実装ライン2を流れる基板に対して各種の部品を搭載可能に構成されている。以下、図3を参照して、第1部品実装装置23aの構成について説明する。なお、第2部品実装装置23b~第4部品実装装置23dの構成は、第1部品実装装置23aの構成と同様であるため、説明は省略する。
【0028】
図3は、部品実装装置23の全体構成を示す平面図である。図3では、XY直交座標軸を用いて方向関係が示されている。X軸方向は水平面と平行な方向であり、Y軸方向は水平面上でX軸方向と直交する方向である。部品実装装置23は、基台231、コンベア232、部品供給エリア233及びヘッドユニット234を主に備える実装機本体230と、この実装機本体230の前記部品供給エリア233に配置されている部品供給ユニット235とを含む。
【0029】
基台231は、部品実装装置23が備える各種機器の搭載ベースである。コンベア232は、基台231上にX方向に延びるように設置された基板の搬送ラインであり、一対のベルト式コンベア232aによって構成されている。図3では、第1基板Aが搬入されている例を示している。コンベア232aは、機外から所定の搭載作業位置に第1基板Aを搬入し、ヘッドユニット234による部品の搭載作業後に第1基板Aを搭載作業位置から機外へ搬出する。なお、図3中に示す第1基板Aの位置が、搭載作業位置である。
【0030】
部品供給エリア233は、Y方向において、コンベア232aの両側に各々設けられている。各部品供給エリア233には、複数の部品供給ユニット235が並列に配置されている。複数の部品供給ユニット235は、部品供給エリア233に各種の部品を供給する。各部品供給ユニット235が供給する部品の種類、及び、各部品供給ユニット235の配置は、適宜変更可能である。
【0031】
ヘッドユニット234は、公知のヘッドユニット駆動機構により、少なくとも部品供給エリア233と搭載作業位置に配置されている第1基板Aとの間の上方空間を水平方向(X及びY方向)に移動可能に構成されている。ヘッドユニット234は、部品供給ユニット235によって部品供給エリア233に供給されている部品をピッキングし、搭載作業位置へ移動するとともに、第1基板Aに部品を搭載する。ヘッドユニット234は、ピッキングの際に部品を吸着して保持し、搭載の際に保持している部品をリリースする軸状の複数のヘッド237を備える。ヘッド237は、ヘッドユニット234に対する昇降と、軸回りの回転移動とが可能であり、モータを駆動源とする図示しないヘッド駆動機構によって駆動される。
【0032】
図1に示すように、搭載検査装置24は、部品実装装置23の下流側に配置され、部品実装装置23による部品搭載処理の処理状態を検査する。搭載検査装置24による検査後の基板は、リフロー装置25に搬入される。リフロー装置25は、基板上の半田を溶融させた後に硬化させるリフロー処理を行う。このリフロー処理が行われた基板は、リフロー検査装置26に搬入される。リフロー検査装置26は、リフロー装置25の下流側に配置され、リフロー装置25によるリフロー処理の処理状態を検査する。
【0033】
実装管理装置27は、部品実装ライン2が有する処理装置のそれぞれと情報通信可能に接続されており、各処理装置の動作を管理する装置である。実装管理装置27は、例えば第1記憶部27a(図4参照)を有するパーソナルコンピュータからなる。
【0034】
第1記憶部27aには、実装工程に関する実装情報が記憶されている。実装情報は、例えば、基板装置100の目標台数に関する情報、基板装置100を生産するために必要な基板の種類に関する情報、基板の種類ごとの、基板装置100を目標台数分生産するために必要な必要数量に関する情報、基板の種類ごとの、単位時間あたりに生産可能な生産数量に関する情報、部品供給ユニット235の段取り替えをする場合に必要となる時間に関する情報、等を含んでいる。
【0035】
なお、段取り替えとは、部品実装ライン2において生産する基板の種類を例えば第1基板Aから第2基板Bに変更する際に、第2基板Bの実装に適した配置となるように部品供給ユニット235を並び替えることを指している。つまり、ある種類の基板を生産するためのタクトタイムが短くなるような配置に部品供給ユニット235を並び替えることを指している。
【0036】
次に、後工程ライン3の構成について説明する。後工程ライン3は、部品実装ライン2を通過した基板に各種の処理を施すための生産ラインである。後工程ライン3は、図示しない分割装置、図示しない電気試験装置、複数の組み立て装置31、又は後工程管理装置32を有している。本実施形態では、後工程ライン3が有する処理装置によって施される処理のことを、後工程と呼ぶ。後工程は、実装工程の一部が終了した後に開始される、基板装置100を完成させるための工程と言い換えることもできる。
【0037】
分割装置は、基板を分割する処理装置である。第1基板A~第3基板Cのうちのいずれか又は複数が多面取り基板を用いることにより生産される基板である場合は、当該分割装置によって多面取り基板を分割する。
【0038】
電気試験装置は、第1基板A~第3基板Cが正常に動作するか否かを検査するために、第1基板A~第3基板Cに対して各種の電気的な試験を施す処理装置である。
【0039】
組み立て装置31は、第1基板A~第3基板C及びその他の部品を使用して、基板装置100を組み立てる処理装置である。なお、図1では、組み立て装置31の一例として3台のロボットアームを示しているが、これはあくまでも例示であり、組み立て装置31の構成及び数量は適宜選択可能である。
【0040】
後工程管理装置32は、後工程ライン3が有する処理装置のそれぞれと情報通信可能に接続されており、各処理装置の動作を管理する装置である。後工程管理装置32は、例えば第2記憶部32a(図4参照)を有するパーソナルコンピュータからなる。
【0041】
第2記憶部32aには、後工程に関する後工程情報が記憶されている。後工程情報は、例えば、後工程ライン3に配置されている処理装置の機種、台数、配列に関する情報、後述する中間棚60に貯留可能な基板の枚数に関する情報、後工程が終了するまでの時間に関する情報、などが含まれている。
【0042】
[生産計画生成装置4の構成]
図4を参照して、生産計画生成装置4について説明する。図4は、生産計画生成装置4の電気的な構成を示すブロック図である。生産計画生成装置4は、各種の演算処理や制御処理を行うCPU、所定の制御プログラムが記憶されたROM等の図示しない不揮発性メモリー、データを一時的に記憶するための図示しないRAM、及びこれらの周辺回路等を備えた情報処理装置である。具体的に、本実施形態に係る生産計画生成装置4は、1以上のコンピュータからなるクラウドサーバであり、実装管理装置27及び後工程管理装置32とネットワークNWを通じて情報通信可能に接続されている。生産計画生成装置4は、前記ROM等に記憶されている制御プログラムを前記CPUに実行させることにより、取得部41、生成部42、第2判定部43、出力部44を機能的に具備する。
【0043】
取得部41は、実装管理装置27及び後工程管理装置32との間で通信を行い、第1記憶部27a及び第2記憶部32aから実装情報及び後工程情報を取得する。
【0044】
生成部42は、基板装置100を生産するための生産計画を生成する。生成部42は、基準計画生成部421、第1判定部422、ロット分割部423、実施可能数量算出部424、実装順調整部425、配置案生成部426、必要時間算出部427、特定部428、及び後工程開始優先計画生成部429を機能的に具備している。
【0045】
基準計画生成部421は、実装情報及び後工程情報に基づいて、後工程を効率よく完了させることを考慮せずに、実装工程を効率よく完了させることを優先する基準計画を生成する。例えば、本実施形態に係る基準計画生成部421は、図5(a)に示すような基準計画を生成する。図5(a)は、基準計画をタイムチャートの形式で示した図である。図5(a)の縦軸において、上段のチャートは実装工程に対応しており、中段のチャートは中間棚待機工程に対応しており、下段のチャートは後工程に対応している。また、図5(a)において、横軸は単位時間ごとに区分されている時間を表している。図5(a)では、右方向に進むにつれて時間が経過する。図5(a)において、第1基板Aに関する処理が行われているセルにはAを、第2基板Bに関する処理が行われているセルにはBを、第3基板Cに関する処理が行われているセルにはCを付している。例えば、図5(a)のX1に示すセルは、第1基板Aを生産するための処理が行われていることを示している。同様に、図5(a)のX2及びX3に示すセルは、第2基板Bを生産するための処理、及び、第3基板Cを生産するための処理が実装工程において行われていることを示している。以下では、実装工程における第1基板Aを生産するための処理、第2基板Bを生産するための処理、及び第3基板Cを生産するための処理のことを、それぞれ第1実装処理、第2実装処理、及び第3実装処理と呼ぶことがある。
【0046】
図5(a)において、黒塗りのセルは、部品供給ユニット235の段取り替えが行われていることを示している。また、連結しているセルは、所定の処理が所定の単位時間に亘り継続していることを示している。例えば、図5(a)のX2に示すセルは、1回目の第2実装処理がT6からT7に亘って継続していることを示している。つまり、第2基板Bを生産するための1回目のロットがT6からT7に亘って継続していることを示している。同様に、X4に示すセルは、後工程における基板装置100を生産するための1回目の生産ロットがT15からT24に亘って継続していることを示している。
【0047】
上記したように、基準計画は、後工程を効率よく完了させることを考慮せず、実装工程を効率よく完了させることを優先する計画である。したがって、基準計画生成部421は、実装計画が可能な限り早く完了するように、基準計画を生成する。図5(a)に示すように、基準計画では、基板装置100を目標台数生産するために必要な必要数量を基板種ごとに順次実装する態様により実装工程が行われている。すなわち、前記基準計画では、第1実装処理を集中的に行った後に第2実装処理を集中的に行い、さらにその後に第3実装処理を集中的に行うといった態様により実装工程が行われている。また、この基準計画では、図5(a)のX5及びX6に示すように、各種基板の実装処理が完了するごとに段取り替えが行われている。具体的に、図5(a)のX5では、第2実装処理に適した配置となるように部品供給ユニット235の段取り替えが行われている。そして、図5(a)のX6では、第3実装処理に適した配置となるように部品供給ユニット235の段取り替えが行われている。このように、本実施形態に係る基準計画では、適切な配置に段取り替え→必要数量を実装完了→適切な配置に段取り替え…を繰り返す態様により実装工程が進行する。これにより、実装工程が最速で完了する基準計画が生成される。
【0048】
中間棚待機工程は、実装工程により生成された各種基板A~Cを、当該各種基板A~Cを貯留可能な中間棚60に移動、及び待機させる工程である。例えば、図5(a)のT3のタイミングで第1基板Aを生成するための部品が実装された基板は、T4のタイミングで中間棚60に一時的に貯留される。同様に、図5(a)のT6~T7のタイミングで、第2基板Bを生成するための部品が実装された基板は、T8のタイミングで中間棚60に一時的に貯留される。
【0049】
後工程では、中間棚60に貯留されている各種基板A~Cが取り出されて、上述した分割装置による分割処理、電気試験装置による電気試験処理、及び複数の組み立て装置31による組み立て処理が行われる。図5(a)のX4に示すように、前記基準計画では、基板装置100を生産するために必要な全ての基板種が揃った時点で後工程が開始している。つまり、後工程を開始できるだけの基板種が揃った時点で、後工程が開始している。以下では、基準計画における後工程の開始時刻のことを、基準後工程開始時刻と呼ぶことがある。図5(a)のT34に示すように、後工程は、目標台数分の基板装置100が生産された時点で終了する。以下では、基準計画において後工程が終了する時刻のことを、基準後工程終了時刻と呼ぶことがある。
【0050】
図4に示す第1判定部422は、基準後工程終了時刻よりも早い時刻に後工程が終了するように基準計画における実装工程を調整する余地が残されているか否かを判定する。つまり、第1判定部422は、基準後工程開始時刻よりも早い時刻に後工程が開始する計画、すなわち後工程開始優先計画を生成する余地があるか否かを判定する。具体的に、第1判定部422は、基準後工程開始時刻、基板装置100の生産ロットの数、部品供給ユニット235の配置に関する情報、及び各種基板の実装順に関する情報などを基準計画から取得する。そして、これらの情報を参照して、後工程開始優先計画を生成する余地があるか否かを判定する。後工程開始優先計画を生成する余地があると判定された場合、図4に示すロット分割部423~後工程開始優先計画生成部429の処理が行われて、後工程開始優先計画が生成される。
【0051】
ロット分割部423は、基準計画の後工程における基板装置100を生産するための生産ロットを参照するとともに、当該生産ロットを2以上の後工程ロットに分割する。具体的に、ロット分割部423は、後述する実施可能数量の各種基板A~Cが揃うタイミングと、後工程ロットにおける基板装置100の生産が開始するタイミングとが近接するように、後工程開始優先計画において2以上の後工程ロットを設定する。
【0052】
実施可能数量算出部424は、後工程ロットの1つを実施するために必要な各種基板の数量である実施可能数量を算出する。ここでは、例えば、実装工程において第1実装処理を1単位時間行い、第2実装処理を2単位時間行い、第3実装処理を3単位時間行うことにより、実施可能数量分の各種基板A~Cが揃うことを実施可能数量算出部424が算出したものとする。
【0053】
実装順調整部425は、基準後工程終了時刻よりも早い時刻に後工程が完了するように、第1基板A~第3基板Cの実装が行われる実装順を調整する。本実施形態に係る実装順調整部425は、後工程の終了時刻が最も早くなるように、実装順を調整する。具体的には、実施可能数量分の各種基板A~Cを最速で揃えることができる順番に実装順を並び替える。
【0054】
配置案生成部426は、基準後工程終了時刻よりも早い時刻に後工程が終了するように、部品供給ユニット235の配置を調整するための配置案を生成する。本実施形態に係る配置案生成部426は、実施可能数量分の各種基板A~Cを最速で揃えることができる配置案を生成する。当該配置案として、配置案生成部426は、第1基板A~第3基板Cの実装処理に共用することが可能な配置案を生成する。つまり、配置案生成部426は、いわゆる共通段取りがなされている配置案を生成する。共通段取りとは、複数種類の基板の実装処理に使用する複数種類の部品供給ユニット235を予め部品供給エリア233に配置しておき、実際に生産する品種の基板に対応する部品供給ユニット235のみを選択的に稼働させる生産形態における段取りを指す。共通段取りがなされている場合、基板の種類が変わるごとに段取り替えを行う必要がなくなる。これにより、段取り替えのために消費されていた時間が削減されるため、実施可能数量分の各種基板A~Cが揃うまでの時間を短縮できる。
【0055】
必要時間算出部427は、実装順調整部425により調整された実装順と、配置案生成部426によって生成された配置案とに基づいて、実施可能数量分の各種基板を揃えるために必要な必要時間を算出する。
【0056】
特定部428は、必要時間に基づいて、最先の後工程ロットを最も早く開始できる時刻、すなわち、後工程を最も早く開始できる時刻である後工程開始可能時刻を特定する。ここでは、例えばT10のタイミングが後工程開始可能時刻であるものとする。
【0057】
後工程開始優先計画生成部429は、ロット分割部423によって設定された後工程ロットの数と、実装順調整部425により調整された実装順と、配置案生成部426によって生成された配置案と、特定部428によって特定された後工程開始可能時刻とに基づいて、後工程開始優先計画を生成する。
【0058】
例えば、後工程開始優先計画生成部429は、図5(b)に示すような後工程開始優先計画を生成する。図5(b)は、後工程開始優先計画の一例を示すタイムチャートである。図5(a)と同様に、図5(b)では、第1基板Aに関する処理が行われているセルにはAを、第2基板Bに関する処理が行われているセルにはBを、第3基板Cに関する処理が行われているセルにはCを付している。なお、図5(b)における縦軸及び横軸の構成は、図5(a)における縦軸及び横軸の構成と同様であるため、説明は省略する。
【0059】
後工程開始優先計画では、ロット分割部423によって、実施可能数量分の各種基板A~Cが揃うタイミングと、後工程ロットが開始するタイミングとが近接するように、基板装置100を生産するための生産ロットが3つの後工程ロットY1~Y3に分割されている。言い換えると、本実施形態では、実装工程と後工程とが同時並行的に進行する同時進行時間が基準計画におけるそれと比較してより長く確保されるように、ロット分割が行われる。具体的に、本実施形態に係る後工程開始優先計画では、実施可能数量分の各種基板A~Cが実装工程において揃ったタイミング(T10のタイミング)で最先の後工程ロットY1に属する基板装置100群の生産が開始する。そして、最先の後工程ロットY1が完了するまでの間、すなわちT10~T17までの間に、実装工程が最先の後工程ロットY1と同時並行的に進行して、実施可能数量分の各種基板A~Cが揃えられる。そして、最先の後工程ロットY1が終了したタイミング(T17のタイミング)で、次の後工程ロットY2に属する基板装置100群の生産が開始する。後工程ロットY2及び後工程ロットY3についても同様の手順で進行する。この構成によれば、実装工程と後工程とが同時並行的に進行するため、実装工程及び後工程のいずれか一方において、待ち時間が発生することを抑制できる。
【0060】
また、本実施形態に係る後工程開始優先計画では、実施可能数量分の各種基板A~Cが最速で揃うように、実装順が並び替えられている。具体的には、第1実装処理を1単位時間実行(T3)→第2実装処理を2単位時間実行(T4~T5)→第3実装処理を3単位時間実行(T6~T8)→第1実装処理を1単位時間実行(T9)…の順に、実装順が並び替えられている。
【0061】
また、本実施形態に係る後工程開始優先計画では、配置案生成部426が生成した、実施可能数量分の各種基板A~Cを最速で揃えることができる配置案に従って、部品供給ユニット235が配置されている。具体的には、基準計画における実装工程で発生している段取り替えのための時間(黒塗りのセル)が発生しないように、部品供給ユニット235の配置が共通段取り化されている。
【0062】
さらに、本実施形態に係る後工程開始優先計画では、後工程を最も早く開始できる時刻である後工程開始可能時刻(T10のタイミング)に、後工程が開始している。
【0063】
以上の構成により、本実施形態に係る後工程開始優先計画では、基準後工程開始時刻よりも早いタイミングで後工程が開始し、基準後工程終了時刻よりも早いタイミングで後工程が終了している。つまり、基準計画と比較して、より短時間で目標台数分の基板装置100を生産することができる生産計画が生成されている。
【0064】
なお、部品供給ユニット235の配置に関して、共通段取り化がなされている場合、実施可能数量分の各種基板A~Cを効率よく揃えることができる一方、単位時間あたりに生産される基板A~Cの数は低下する。そのため、図5(a)及び(b)に示すように、基準計画の実装工程では2単位時間で必要数量分の第1基板Aを揃えることができているが、後工程開始優先計画の実装工程では、必要数量分の第1基板Aを揃えるのに3単位時間を要している。第2基板B及び第3基板Cについても同様に、必要数量分の枚数を揃えるために要する時間が後工程開始優先計画では基準計画と比較して増加している。そのため、図5(a)及び(b)に示すように、後工程開始優先計画では、実装工程が完了するまでの時間が基準計画と比較して長期化している。ただし、実装工程が完了するまでに要する時間が長期化していたとしても、後工程が終了するタイミングが早期化されているのであれば、効率的な生産計画を生成できているといえる。
【0065】
図4に示す第2判定部43は、基準計画と後工程開始優先計画とを参照して、実装工程が開始してから後工程が終了するまでのリードタイムが、後工程開始優先計画では基準計画と比較して改善しているのか否かを判定する。具体的に、第2判定部43は、基準計画におけるリードタイムL1(図5(a)参照)と、後工程開始優先計画におけるリードタイムL2(図5(b)参照)との長さを比較して、リードタイムL2がリードタイムL1よりも短くなっているか否かを判定する。本実施形態では、図5(a)及び図5(b)に示すように、リードタイムL2がリードタイムL1よりも短くなっているため、第2判定部43はリードタイムが改善していると判定する。
【0066】
出力部44は、第2判定部43による判定結果を参照して、生産計画を出力する。出力部44は、リードタイムが改善されていると第2判定部43が判定する場合、後工程開始優先計画を生産計画として出力する。一方で、リードタイムが改善されていないと第2判定部43が判定する場合、基準計画を生産計画として出力する。すなわち、出力部44は、基準計画における後工程終了時刻よりも早い時刻に後工程が終了するような後工程開始優先計画を後工程開始優先計画生成部429が生成している場合、後工程開始優先計画を生産計画として出力する。そして、基準計画における後工程終了時刻よりも早い時刻に後工程が終了するような後工程開始優先計画を後工程開始優先計画生成部429が生成できない場合、基準計画を生産計画として出力する。
【0067】
本実施形態では、第2判定部43によって、リードタイムが改善していると判定されているため、出力部44は、後工程開始優先計画を生産計画として出力する。出力部44は、生産計画を例えば表示部5(図4参照)に出力する。表示部5は、生産計画生成装置4に接続されているモニターなどである。
【0068】
なお、基準計画における後工程終了時刻よりも早い時刻に後工程が終了するような後工程開始優先計画を後工程開始優先計画生成部429が生成できない場合とは、例えば図6に示すような場合である。
【0069】
図6(a)は、基準計画の別の例を示すタイムチャートであり、図6(b)は、後工程開始優先計画の別の例を示すタイムチャートである。後工程において行われる処理の内容次第では、図6(a)及び(b)に示すように、後工程の所要時間が短く、後工程がただちに完了するケースも想定される。この場合は、図6(a)のL11、図6(b)のL12に示すように、実装工程を効率的に完了することを優先する基準計画の方が、リードタイムが短くなる。したがって、このようなケースでは、出力部44は基準計画を生産計画として出力する。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係る生産計画生成システム10は、単に後工程開始優先計画を生成し、当該後工程開始優先計画をそのまま生産計画として出力するのではなく、最終的なリードタイムを参照したうえで、生産計画として出力する計画を決定する。この構成によれば、基板装置100を効率よく生産可能な生産計画を、より確実に生産計画生成システム10の利用者に提供することができる。
【0071】
[処理フロー]
以上説明した通りに構成された生産計画生成装置4の処理フローについて、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0072】
ステップS1において、取得部41は、実装情報及び後工程情報を取得する。
【0073】
ステップS2において、基準計画生成部421は、実装情報及び後工程情報に基づいて、基準計画を生成する。
【0074】
ステップS3において、第1判定部422は、基準計画に係る情報を取得する。そして、ステップS4において、第1判定部422は、後工程を考慮した後工程開始優先計画を生成する余地があるか否かについて判定する。後工程開始優先計画を生成する余地がある場合(ステップS4においてYesの場合)、処理はステップS5に移行する。後工程開始優先計画を生成する余地がない場合(ステップS4においてNoの場合)、処理はステップS14に移行する。
【0075】
ステップS5において、ロット分割部423は、基準計画における生産ロットを2以上の後工程ロットに分割する。この際、ロット分割部423は、実施可能数量の基板が揃うタイミングと、後工程ロットが開始するタイミングとが近接するように、後工程ロットを設定する。
【0076】
ステップS6において、実施可能数量算出部424は、実施可能数量を算出する。
【0077】
ステップS7において、実装順調整部425は、基準後工程終了時刻よりも早い時刻に後工程が完了するように、実装順を調整する。
【0078】
ステップS8において、配置案生成部426は、基準後工程終了時刻よりも早い時刻に後工程が終了するように、部品供給ユニット235の配置を調整するための配置案を生成する。
【0079】
ステップS9において、必要時間算出部427は、実装順調整部425により調整された実装順と、配置案生成部426によって生成された配置案とに基づいて、実施可能数量分の各種基板A~Cを揃えるために必要な必要時間を算出する。
【0080】
ステップS10において、特定部428は、必要時間に基づいて、後工程を最も早く開始できる時刻である後工程開始可能時刻を特定する。
【0081】
ステップS11において、後工程開始優先計画生成部429は、ステップS5~ステップS9の処理により判明した各種情報に基づいて、後工程開始優先計画を生成する。
【0082】
ステップS12において、第2判定部43は、基準計画におけるリードタイムL1と後工程開始優先計画におけるリードタイムL2とを参照して、リードタイムが改善しているか否かを判定する。リードタイムが改善している場合(ステップS12においてYesの場合)、処理はステップS13に移行する。リードタイムが改善していない場合(ステップS12においてNoの場合)、処理はステップS14に移行する。
【0083】
ステップS13において、出力部44は後工程開始優先計画を生産計画として出力する。
【0084】
ステップS14において、出力部44は基準計画を生産計画として出力する。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る生産計画生成システム10によれば、後工程が考慮されている生産計画である後工程開始優先計画が生成される。具体的に、本実施形態では、取得部41が取得する実装情報及び後工程情報に基づいて基準計画が生成され、当該基準計画に基づいて後工程開始優先計画が生成される。この後工程開始優先計画は、基準計画の後工程終了時刻よりも早く後工程を終了させるために、基準計画の後工程開始時刻よりも早い時刻に後工程を開始できるように実装工程が調整されている計画である。つまり、基準計画よりも早く基板装置100の生産を完了できるように調整されている計画である。したがって、本実施形態に係る生産計画生成システム10によれば、基板装置100を効率よく生産可能な生産計画を生成することができる。
【0086】
[変形実施形態の説明]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、次のような変形実施形態を取り得る。
【0087】
(1)生成部は、基準計画及び後工程開始優先計画に加えて、別の計画を生成してもよい。例えば、生成部は、図8の(b)に示すようなバランス計画を生成してもよい。なお、図8(a)に示す基準計画、及び、図8(c)に示す後工程開始優先計画は、図6(a)及び(b)に示したものと同様であるため、説明は省略する。
【0088】
バランス計画は、実施可能数量分の各種基板A~Cが早期に揃うように実装順を調整しつつ、各実装処理が完了するごとに段取り替えを行うことにより、各実装処理に要する時間の短縮化を図る計画である。つまり、バランス計画は、後工程開始優先計画と同様の実装順を採用しつつ、基準計画と同様に、基板の種類が変わるごとに段取り替えを行う態様により実装工程を進行させる計画である。本変形実施形態において、第2判定部43は、基準計画におけるリードタイムL21の長さと、バランス計画におけるリードタイムL22の長さと、後工程開始優先計画におけるリードタイムL23の長さとを比較する。そして、出力部44は、これらの計画の中から、リードタイムが最も短い計画を生産計画として出力する。
【0089】
(2)基準計画は、必ずしも基準計画生成部421によって生産されなくとも良く、例えば生産計画生成装置4が有するメモリー等に基準計画に係る情報が予め記憶されていても良い。この場合、生成部は基準計画生成部421を具備していなくても良い。
【符号の説明】
【0090】
1 :生産システム
2 :部品実装ライン
3 :後工程ライン
4 :生産計画生成装置
10 :生産計画生成システム
41 :取得部
42 :生成部
100 :基板装置
233 :部品供給エリア
235 :部品供給ユニット
A :第1基板
B :第2基板
C :第3基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8