(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155067
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20241024BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20241024BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20241024BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20241024BHJP
G06F 3/041 20060101ALN20241024BHJP
G02F 1/1368 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
G09F9/00 309A
G09F9/00 366A
G09F9/00 348Z
G02F1/1333
H05K9/00 F
H05K1/02 P
G06F3/041 522
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069467
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】奥苑 登
(72)【発明者】
【氏名】平塚 準
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 克浩
【テーマコード(参考)】
2H189
2H192
5E321
5E338
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA54
2H189AA55
2H189AA59
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2H189LA10
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2H192AA24
2H192FB42
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2H192GB33
2H192JA33
5E321AA02
5E321AA14
5E321GG05
5E338BB75
5E338CC01
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5E338EE13
5G435AA16
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5G435EE42
5G435GG33
5G435HH12
5G435KK09
(57)【要約】
【課題】表示装置のEMCを改善する。
【解決手段】表示装置は、表示パネル上のドライバ回路と、表示パネルの後側に配置され、フレームグランドを与える導体フレームと、導体フレームの後側に配置された制御プリント基板と、制御プリント基板の後面の少なくとも一部を覆う導電性シールドカバーとを含む。制御プリント基板は前側グランドパッドと後側グランドパッドとを含む。前側グランドパッドは、導体フレームの後面と電気的に接続している。後側グランドパッドは、導電性シールドカバーと電気的に接続している。導電性シールドカバーの端の一部は、導体フレームの後面と電気的に接続している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
前側に映像を表示する表示パネルと、
前記表示パネル上のドライバ回路と、
前記表示パネルの後側に配置され、フレームグランドを与える導体フレームと、
前記導体フレームの後側に配置された、制御プリント基板と、
前記表示パネル及び前記制御プリント基板を接続し、前記ドライバ回路と前記制御プリント基板との間の信号及びグランドを伝送するフレキシブルプリント基板と、
前記制御プリント基板の後面の少なくとも一部を覆う導電性シールドカバーと、
を含み、
前記制御プリント基板は、前記制御プリント基板の前面上の前側グランドパッドと、前記制御プリント基板の前記後面上の後側グランドパッドと、を含み、
前記前側グランドパッドは、前記導体フレームの前記後面において対向する領域と、電気的に接続し、
前記後側グランドパッドは、前記導電性シールドカバーにおいて対向する領域と、電気的に接続し、
前記導電性シールドカバーの端の一部は、前記導体フレームの前記後面の一部領域を覆い、前記一部領域において電気的に接続している、
表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記前側グランドパッドは、前記制御プリント基板において、前記フレキシブルプリント基板が接続されている側に配置されている、
表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記制御プリント基板において、前記フレキシブルプリント基板が接続されている側と反対側に、前記導体フレームの前記後面と電気的に接続する前側グランドパッドは存在しない、
表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記フレキシブルプリント基板は、前記制御プリント基板の第1辺部で前記制御プリント基板と接続され、
前記前側グランドパッドを含む1以上の前側グランドパッドは、前記第1辺部において配置され、
前記制御プリント基板の前記前面において、前記1以上の前側グランドパッドのみが、前記導体フレームの前記後面と対向するそれぞれの領域において電気的に接続する、
表示装置。
【請求項5】
請求項1又は3に記載の表示装置であって、
前記導電性シールドカバーは、前記制御プリント基板において、前記フレキシブルプリント基板が接続されている側と対向する側においてのみ、前記導体フレームの前記後面と電気的に接続されている、
表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記前側グランドパッドは、導電性接着剤を介して、前記導体フレームの前記後面において対向する領域と、電気的に接続し、
前記導電性接着剤の面積は、前記前側グランドパッドの面積より小さい、
表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御プリント基板は、複数の後側グランドパッドを含み、
前記複数の後側グランドパッドそれぞれは、前記導電性シールドカバーにおける対向する領域と電気的に接続されている、
表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記後側グランドパッドと前記導電性シールドカバーとの間の抵抗値は、前記前側グランドパッドと前記導体フレームとの間の抵抗値より大きい、
表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置であって、
前記導電性シールドカバーと前記導体フレームとの間の抵抗値は、前記後側グランドパッドと前記導電性シールドカバーとの間の抵抗値より大きい、
表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御プリント基板は、リジッドプリント基板である、
表示装置。
【請求項11】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記表示パネルは、タッチセンサ電極を含み、
前記ドライバ回路は、映像表示コントローラ及びタッチセンシングコントローラを含み、
前記フレキシブルプリント基板は、前記ドライバ回路と前記制御プリント基板上の回路との間のシリアル信号を伝送する、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やOLED(Organic Light Emitting Diode)表示装置など、様々なタイプの表示装置が知られている。表示装置は、様々な分野で利用されており、各分野における電磁両立性すなわちEMC(Electromagnetic Compatibility)要求基準を満たすことが求められる。特に、車載向けの表示装置においては、国際規格よりも厳しい独自のEMC要求基準が設定されていることが多い。
【0003】
EMC要求基準は、大きく分けて、機器から放出される電磁ノイズのエネルギ(エミッション)に関する基準と、外的な電磁ノイズに対する機器の耐性(イミュニティ)に関する基準とがある。エミッションは、電磁障害すなわちEMI(Electromagnetic Interference)とも呼ばれる。また、イミュニティは、電磁的感受性すなわちEMS(Electromagnetic Susceptibility)と、静電気放電試験すなわちESD(Electro-Static Discharge)などが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0176840号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置におけるEMCを改善する技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の表示装置は、前側に映像を表示する表示パネルと、前記表示パネル上のドライバ回路と、前記表示パネルの後側に配置され、フレームグランドを与える導体フレームと、前記導体フレームの後側に配置された、制御プリント基板と、前記表示パネル及び前記制御プリント基板を接続し、前記ドライバ回路と前記制御プリント基板との間の信号及びグランドを伝送するフレキシブルプリント基板と、前記制御プリント基板の後面の少なくとも一部を覆う導電性シールドカバーと、を含む。前記制御プリント基板は、前記制御プリント基板の前面上の前側グランドパッドと、前記制御プリント基板の前記後面上の後側グランドパッドと、を含む。前記前側グランドパッドは、前記導体フレームの前記後面において対向する領域と、電気的に接続している。前記後側グランドパッドは、前記導電性シールドカバーにおいて対向する領域と、電気的に接続している。前記導電性シールドカバーの端の一部は、前記導体フレームの前記後面の一部領域を覆い、前記一部領域において電気的に接続している。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様は、表示装置のEMCを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書の一実施形態に係る表示装置の回路構成を模式的に示すブロック図である。
【
図4】PCBの前面及びFPCの第1主面を示す平面図である。
【
図5】PCBの後面、FPCの第2主面及び導電性シールドカバーの後面を示す平面図である。
【
図7】
図6におけるVII-VII´切断線での断面構造を模式的に示す。
【
図8】本明細書の一実施形態の液晶表示装置のグランド接続構成を示す。
【
図9】測定に使用したPWBの前側グランドパッドのレイアウトを示す。
【
図11】前側グランドパッドの導電領域の調整例を示す。
【
図12】前側グランドパッドの導電領域の調整例を示す。
【
図13】前側グランドパッドの導電領域の調整例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【0010】
図1は、本明細書の一実施形態に係る表示装置の回路構成を模式的に示すブロック図である。
図1は、表示装置の例として、インセル型のタッチセンサ機能付き液晶表示装置を図示する。タッチセンサ機能を有する表示装置としては、タッチパネルが表示パネルに外付けされるアウトセル型と、表示パネル内にタッチ電極を形成したインセル型が知られている。本開示の特徴は、アウトセル型のタッチセンサ機能付き液晶表示装置、OLED表示装置やマイクロLED表示装置等の他のタイプの表示装置、又は、タッチセンサ機能を有していない表示装置に適用することができる。
【0011】
液晶表示装置は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル10、FPC(Flexible Printed Circuit)135、及びPCB(Printed Circuit Board)250を含む。LCDパネル10は、タッチセンサ電極108、ドライバIC134を含む。PCB250は、絶縁体の基板上及び内部に導体の配線が施されたPWB(Printed Wiring Board)と、PWBに実装された電子部品を含む。PCB250の電子部品は、プロセッサであるマイクロプロセッサユニット(MPU)251、電源回路253、及び、外部の制御装置とのインタフェース(I/F)回路255を含む。PCB250は、制御プリント基板の例である。PCB250は、リジッドプリント基板又はフレキシブルプリント基板である。
【0012】
ドライバIC134は、タイミングコントローラ(TCON)341、タッチセンサインタフェース342(回路)、及びA/Dコンバータ343を含む。タイミングコントローラ341は映像表示コントローラであり、タッチセンサインタフェース342はタッチセンシングコントローラである。このように、ドライバIC134は、タッチセンシングのための回路342及び映像表示のための回路341の双方を含む、TDDI(Touch Display Driver Integration)回路である。
【0013】
FPC135は、フレキシブルなプリント基板である。FPC135は、PCB250とLCDパネルとの間の電源電位、信号及びグランド(基準電位)を伝送する配線を含む。信号は、映像信号に加えて、タッチセンシングのための信号を含む。
【0014】
外部の制御装置からの映像信号は、PCB250上のインタフェース回路255から入力される。映像信号は、FPC135の配線を介して、タイミングコントローラ341に入力される。タイミングコントローラ341は、ゲート信号(選択信号)及びソース信号(データ信号)を生成して、LCDパネル10の表示領域(不図示)に送信する。表示領域は、タイミングコントローラ341からの信号に従って映像を表示する。
【0015】
タッチセンサインタフェース342は、LCDパネル10上のタッチセンサ電極108に駆動信号を与えると共に、タッチセンサ電極108からのタッチセンシング信号を受信する。様々な方式のタッチセンサが知られており、一例は、静電容量方式である。静電容量方式のタッチセンサは、電極と指示体との間の静電容量変化を検出して、指示体の接触位置を検出する。静電容量方式のタッチセンサは、投影型と表面型とに分類される。
【0016】
投射型容量方式のタッチセンサは、例えば、短冊状の複数のX電極と複数のY電極を有する。これらは、タッチセンサ電極108である。X電極及びY電極はマトリックス状に配置され、X電極とY電極とは、絶縁層を介して形成されている。X-Y電極に指示体が近づくと電極間の静電容量が増加する。X-Yのラインの静電容量の変化によって、指示体の位置を検出できる。
【0017】
投射型容量方式のタッチセンサの容量検出方式として、自己容量検出方式と相互容量検出方式が存在する。自己容量検出方式は、X電極、Y電極を独立にスキャンし、それぞれの電極における静電容量値の変化を検出する。
【0018】
相互容量方式のタッチセンサにおいては、駆動電極としてのTx電極と検出電極としてのRx電極が絶縁体を挟んで直交するように配置され、各交点に容量(交点容量)が構成される。これらは、タッチセンサ電極108である。交点容量の近傍に指示体による容量が存在すると、この交点における相互容量は、指示体による容量によって充電される電荷が分割される分だけ、交点容量から減少する。
【0019】
タッチセンサインタフェース342は、この相互容量の変化がどの交点でどの程度の大きさで発生したかを検出する。検出された容量値は、A/Dコンバータ343によってデジタル信号に変換され、MPU251にFPC135を介して送信される。信号は、例えば、シリアル伝送される。なお、本実施形態の特徴は、相互容量検出方式及び自己容量検出方式等の投射型容量方式以外の任意の方式のタッチセンサを含む表示装置に適用することができる。
【0020】
図2は、液晶表示装置の構造例を模式的に示す。
図2は、液晶表示装置の一部を示す。液晶表示装置は、LCDパネル10を含む。LCDパネル10は、薄膜トランジスタ、液晶に電界を印加するための電極及びタッチセンサ電極108(
図2において不図示)が形成されるTFT(Thin Film Transistor)基板100と、対向基板200とを含む。TFT基板100と対向基板200とは、シール部で接合されている。TFT基板100と対向基板200との間には、液晶材料が封入されている。
【0021】
TFT基板100の表示領域125の外側に、ドライバIC134が配置されている。表示領域125は、映像を表示する領域である。本構成例において、表示領域125は、指示体のタッチ位置を検出するタッチセンシング領域でもある。ドライバIC134は、FPC(Flexible Printed Circuit)135を介してPCB250上の回路と電気的に接続される。ここでは、PCB250は、リジッドプリント基板である。一方、FPC135は、フレキシブルなプリント基板である。ドライバIC134は、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いてTFT基板100に実装される。
【0022】
ユーザは、対向基板200の側から映像を視認する。以下において、映像を視認するユーザが存在する側を視認側又は前側と呼び、その反対側を後側と呼ぶ。なお、TFT基板100が前側、対向基板200が後側に配置されてもよい。
【0023】
LCDパネル10の後側に、バックライトユニット400が配置されている。バックライトユニット400は、1又は複数の光源と、光源からの光から面状光を形成するための光学部品を含む。バックライトユニット400の様々な構成は広く知られており、詳細を省略する。
【0024】
図3は、LCDパネル10の断面構造を模式的に示す。
図3は、LCDパネル10の一部構成を示し、一部構成は省略されている。LCDパネル10は、TFT100と、TFT基板100に対向する対向基板200と、を含む。TFT基板100と対向基板200との間には、液晶層111が挟まれている。
【0025】
TFT基板100は、絶縁基板102を含む。絶縁基板102は、ガラス又は樹脂からなる絶縁性の透明基板である。絶縁基板102は、例えば矩形であり、その一つの主面が対向基板200の一つの主面と対向している。絶縁基板102の液晶層111と反対側の主面上に、偏光板101が取り付けられている。
【0026】
絶縁基板102の液晶層111に対する主面上には、タッチセンサ電極108が配列されている。上述のように、タッチセンサ電極108は、例えば、絶縁体を挟んで直交するように配置された、駆動電極としてのTx電極と検出電極としてのRx電極を含む。タッチセンサ電極108は、絶縁層109で覆われている。
【0027】
絶縁層109上に、液晶層111に電界を与えるための駆動電極(画素電極とも呼ばれる)103と共通電極(対向電極とも呼ばれる)104とが配列されている。駆動電極103と共通電極104との各ペアが、一つの画素の液晶に電界を与える。与えられえる電界によって、画素の透過光量が変化する。絶縁基板102上には、制御する画素を選択するための不図示のTFTアレイが形成されている。
【0028】
図3に示す構成例は、横電界制御型LCDパネルである。横電界制御型LCDパネルは、例えば、IPS(In-Plane Switching)型又はFFS(Fringe-Field Switching)型LCDパネルである。
図3においては、複数の画素のうちの一つ画素の駆動電極及び共通電極のみが、それぞれ符号103及び104で指示されている。
【0029】
駆動電極103と共通電極104を含む電極層を覆うように、配向膜105が積層されている。配向膜105は液晶層111と接触して、無電界時の液晶分子の配列状態(初期配向)を規定する。
【0030】
図3の構成例において、対向基板200は、カラーフィルタ(CF)を含むCF基板である。なお、対向基板200はカラーフィルタを含まなくてもよい。対向基板200は、ガラス又は樹脂からなる絶縁基板141を含む。絶縁基板141は、例えば矩形である。絶縁基板141の液晶層111と反対側の主面上に、偏光板142が取り付けられている。
【0031】
絶縁基板141の液晶層111の側の主面上に、画素を画定する格子状のブラックマトリックス124が積層されている。ブラックマトリックス124は、例えば、黒色樹脂又は、クロム系材料を用いた金属薄膜である。赤、緑、青のいずれかのカラーフィルタ123が、ブラックマトリックス124で囲まれている各画素の領域に形成されている。
【0032】
カラーフィルタ123上に、絶縁性のオーバコート層122が積層されている。オーバコート層122は省略されてもよい。オーバコート層122上に、配向膜121が積層されている。配向膜121は、液晶層111に接触し、無電界時の液晶分子の配列状態(初期配向)を規定する。なお、対向基板200には、タッチセンシングを阻害しない条件で、帯電防止層が形成されていてもよい。
【0033】
液晶層111は、各画素におけるバックライトユニット400からの光の透過量を、駆動電極103と共通電極104との間の電界に応じて制御する。ドライバIC134は、各画素の駆動電極103と共通電極104それぞれの電位を制御する。ドライバIC134は、画像データに応じて、各画素の駆動電極103と共通電極104それぞれの電位を制御して、画素の透過光量を制御する。
【0034】
図2に戻って、バックライトユニット400は、メタルシャーシ450の内部空間内に収容されている。バックライトユニット400は、メタルシャーシ450の前側に位置する。メタルシャーシ450は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウムで形成することができる。メタルシャーシ450はフレームグランド(基準電位)を与える十分な体積を有する導体フレームである。メタルシャーシ450とLCDパネル10は、樹脂又は金属のフレーム410で固定されている。フレーム410の一部が、TFT基板100とバックライトユニット400の間に挿入され、それらの接触による破損を防ぐ。
【0035】
メタルシャーシ450の後側に、PCB250が配置されている。PCB250は、リジッドなPWBと、
図1を参照して説明したPWB上の電子部品を含む(
図2において不図示)。PWBは、リジッドな絶縁基板と、絶縁基板上及び内部の複数の導体配線層とを含む。各配線層は、例えば、銅で形成され得る。
図2は、PCB250のグランドパッド(GNDパッド)501、505及び507を示す。グランドパッド501、505、507は、PCB250においてグランドを供給するグランド層に含まれる。パッドは電極である。
【0036】
グランドパッド501は、PCB250の前面531に形成されている前側グランドパッドである。グランドパッド505、507は、PCB250の後面532に形成されている後側グランドパッドである。ここで、前側はLCDパネル側であり、後側はその反対側である。前面531は前側の主面、後面532は後側の主面である。
【0037】
グランドパッド501を含むシグナルグランド層と、グランドパッド505、507を含むシグナルグランド層は、ビアホールによって電気的に接続されている。グランドパッドの表面は、金メッキされていてもよい。PCB250の多導構造は後述する。
【0038】
グランドパッド501及び505は、PCB250の辺部551(第1辺部)の側に配置されている。辺部は、PCB250の端部であって、端面及びその近傍部分である。一構成例において、PCB250の外形は矩形である。PCB250の外形は矩形又は矩形以外の形状であってよい。グランドパッド501は、PCB250の前面に配置された前側グランドパッドであり、グランドパッド505、PCB250の後面に配置された後側グランドパッドである。
【0039】
グランドパッド501は、メタルシャーシ450の後面452のグランドパッド501と対向する領域に、電気的に接続されている。
図2に示す例において、グランドパッド501は、導電性テープ511を介して、メタルシャーシ450においてグランドパッド501が対向する領域と、電気的に接続されている。
【0040】
グランドパッド501は、
図2に示すように、導電性テープ511を介してメタルシャーシ450の対向する部分領域と電気的に接続してもよく、導電性テープ511を介することなく直接に、メタルシャーシ450と物理的かつ電気的に接触して、メタルシャーシ450と電気的に接続されてもよい。
【0041】
導電性テープ511は、メタルシャーシ450の後面及びグランドパッド501の前面に直接接触し、それらに接着している。グランドパッド501は、導電性テープ511によってメタルシャーシ450に電気的に接続される。導電性テープ511は、導電性の両面テープである。例えば、薄いフレキシブルな導電性シートの両面に接着層が配置され、それら接着層に導電性フィラ(金属粒子)が混入されている。薄いフレキシブルな導電性シートは、アルミニウムや銅などの金属のシートや、布に金属メッキを施した導電布である。なお、導電性接着剤を使用した電気的な接続は、導電性シートを省略してもよい。ここで、接着剤は、二つの物体を接着する材料であって、接着の状態を維持する材料及び接着前後で状態を変化させる材料の双方を含む。
【0042】
図2に示す例において、導電性テープ511の接着領域は、グランドパッド501の前面に包含され、グランドパッド501の前面の面積より小さい。導電性テープ511は、グランドパッド501の前面の一部と、当該一部が対向するメタルシャーシ450の全域と接触している。導電性テープ511のサイズを調整することで、グランドパッド501とメタルシャーシ450との間、つまり導電性テープの厚み方向の抵抗値を調整することができる。つまり、導電性テープ511のサイズを小さくすることで、その抵抗値を大きくすることができる。
【0043】
グランドパッド501及び505は、PCB250のFPC135が接続されている側に配置されている。グランドパッド507は、PCB250の後面において、グランドパッド505と反対側に配置されている。グランドパッド501及び505は、PCB250の前面531における辺部551の側に配置され、グランドパッド507は、後面532における辺部551に対向する辺部552の側に配置されている。
【0044】
FPC135は、フレキシブルな絶縁性の樹脂シート及び樹脂シート上及び内部に形成された導体の配線パターン(電極を含む)を含む。樹脂は例えばポリイミドであり、配線材料は例えば銅である。FPC135の一端の露出した電極は、TFT基板100上の電極と電気的かつ物理的に接続される。他端の露出した電極は、PCB250の辺部551に沿って配置された電極1又は複数の電極と電気的かつ物理的に接続されている。FPC135の電極と他の部品の電極との接続は、例えば、圧接、半田又はACFを使用することができる。FPC135及びPCB250の露出した電極は金メッキされていてもよい。
【0045】
グランドパッド501、505、507及び導電性テープ511を示し、それらを説明するため、
図2におけるPCB250の断面位置は、他の部品の断面位置と異なる。
図2において、FPC135の端部の前面が後側グランドパッド505と接触しているように見える。しかし、実際は、
図4を参照して後述するように、FPC135の端部の前面は、グランドパッド505から離間しており、それらは接触していない。
【0046】
導電性シールドカバー520は、PCB250の後面の全部又は一部を覆い、さらに、FPC135の一部を覆う。導電性シールドカバー520は、例えば、導電性の片面テープである。例えば、薄いフレキシブルな導電性シート(例えばアルミシート)の片面に接着層が配置され、その接着層に導電性フィラ(金属粒子)が混入されている。接着面は、PCB250の後面及びFPC135に接着する。
【0047】
導電性シールドカバー520は、後側グランドパッド505、507と対向する領域において、それらと電気的に接続している。
図2に示す例において、後側グランドパッド505、507は、導電性シールドカバー520と直接に物理的に接触し、電気的に接触している。導電性シールドカバー520と電気接触する後側グランドパッドの数は、単数又は任意の複数である。
【0048】
導電性シールドカバー520は、PCB250の辺部552を跨いて、その先のメタルシャーシ450の後面の一部を覆う。導電性シールドカバー520の端部521は、メタルシャーシ450の後面の接触している部分と電気的に接続されている。
図2に示すように、端部521は、FPC135が接続される辺部551と反対側で、メタルシャーシ450の後面と接触し、電気的に接続している。
【0049】
図4は、PCB250の前面及びFPC135の第1主面を示す平面図である。PCB250の前面は、メタルシャーシ450の後面と対向する主面である。FPC135の第1主面の一部は、
図4において不図示の、PCB250の後面で接続されている。
図4に示す例において、PCB250外形は矩形である。辺部553、554は対向する。辺部553、554の長さは、辺部551、552の長さより短い。
【0050】
グランドパッド501は、PCB250の辺部551と554の角に配置されている。グランドパッド501は、辺部551と554の近傍に配置されている。グランドパッド501は、辺部551と554の端面で露出しても露出しなくともよい。グランドパッド501は、PCB250の前面において、辺部551と554の少なくとも一方からわずかに離間していてよい。
【0051】
グランドパッド502は、PCB250の辺部551と553の角に配置されている。グランドパッド501は、辺部551と553の近傍に配置されている。グランドパッド501は、辺部551と553の端面で露出しても露出しなくともよい。グランドパッド501は、PCB250の前面において、辺部551と553の少なくとも一方からわずかに離間していてよい。
【0052】
導電性テープ511は、グランドパッド501の前面の一部領域を覆っている。導電性テープ511は、グランドパッド501の前面の全領域を覆ってもよい。導電性テープ512は、グランドパッド502の前面の一部領域を覆っている。導電性テープ512は、グランドパッド502の前面の全領域を覆ってもよい。導電性テープ512は、メタルシャーシ450の後面の対向する領域と接触し、メタルシャーシ450とグランドパッド502を電気的に接続する。導電性テープ511、512の形状及び大きさは共通であってもよく、異なっていてもよい。
【0053】
図5は、PCB250の後面、FPC135の第2主面及び導電性シールドカバー520の後面を示す平面図である。図示のため、導電性シールドカバー520の外形のみが実線で示されている。PCB250の後面はその前面の反対側の主面であり、FPC135の第2主面はその第1主面の反対側の主面である。
【0054】
PCB250は、4つの後側グランドパッド505~508を含む。PCB250は、MPU251及び電源回路253を含む。電源回路253を示す矩形内には、他の種類の回路が合わせて実装され得る。PCB250は、辺部551に、FPC135の電極と接続される接続領域541を含む。接続領域541内で露出した電極は、FPC135の露出電極と電気的かつ物理的に接続される。接続される電極は、映像表示及びタッチセンシングの信号を伝送する電極の他、グランド及び電源を伝送するための電極を含む。
【0055】
グランドパッド505は、PCB250の辺部551と554の角に配置されている。グランドパッド505は、辺部551と554の近傍に配置されている。グランドパッド505は、辺部551と554の端面で露出しても露出しなくともよい。グランドパッド505は、PCB250の後面において、辺部551と554の少なくとも一方からわずかに離間していてよい。
【0056】
グランドパッド506は、PCB250の辺部551と553の角に配置されている。グランドパッド506は、辺部551と553の近傍に配置されている。グランドパッド506は、辺部551と553の端面で露出しても露出しなくともよい。グランドパッド506は、PCB250の後面において、辺部551と553の少なくとも一方からわずかに離間していてよい。
【0057】
グランドパッド507は、PCB250の辺部552と554の角に配置されている。グランドパッド507は、辺部552と554の近傍に配置されている。グランドパッド507は、辺部552と554の端面で露出しても露出しなくともよい。グランドパッド507は、PCB250の後面において、辺部552と554の少なくとも一方からわずかに離間していてよい。
【0058】
グランドパッド508は、PCB250の辺部552と553の角に配置されている。グランドパッド508は、辺部552と553の近傍に配置されている。グランドパッド508は、辺部552と553の端面で露出しても露出しなくともよい。グランドパッド508は、PCB250の後面において、辺部552と553の少なくとも一方からわずかに離間していてよい。
【0059】
導電性シールドカバー520は、FPC135の一部及びPCB250の一部を覆う。
図5に示す構成例において、導電性シールドカバー520は、インタフェース回路255を避けるように、凹部を有する。設計上可能であれば、導電性シールドカバー520は、PCB250の後面の全域を覆ってもよい。
【0060】
導電性シールドカバー520は、PCB250のシグナルグランド層と電気的に接続される。
図5に示す例において、導電性シールドカバー520は、グランドパッド505から508と物理的に直接接触し、電気的に接続されている。導電性シールドカバー520とこれらグランドパッドとの間に導電性部材が挿入されていてもよい。導電性シールドカバー520は、PCB250の導体層において、グランドパッド505から508においてのみ電気的に接続されている。
【0061】
図2を参照して説明したように、導電性シールドカバー520の一部は、メタルシャーシ450の後面452の一部を覆い、その覆う領域に電気的に接続される。
図5に示す構成例において、導電性シールドカバー520の端部521、522は、それぞれ、PCB250の辺部552の一部を覆い、さらに、メタルシャーシ450の後面452におけるPCB250の辺部552と対向する部分領域を覆う。
【0062】
端部521、522は、それぞれ、メタルシャーシ450の後面452の上記部分領域において、メタルシャーシ450に電気的に接続されている。端部521、522は、それぞれ、メタルシャーシ450の後面452に物理的に接触し、その接触領域において電気接続が構成されている。
【0063】
図5に示す構成例において、導電性シールドカバー520は、PCB250の辺部552と対向する部分領域においてのみ、メタルシャーシ450の背面と電気的に接続されている。つまり、導電性シールドカバー520の端は、PCB250の辺部551、553及び554で止まり、それらを越えてメタルシャーシ450の後面452と接触していはいない。メタルシャーシ450の後面452の辺部551、553及び554に対向する領域で接触する、導電性シールドカバー520の端部は存在しない。なお、導電性シールドカバー520の端部521、522以外の端部が、PCB250の辺部を越えて、メタルシャーシ450の後面452と接触してもよい。
【0064】
以下において、PCB250のPWBの構造を説明する。
図6は、PCB250のPWB255の後面を示す平面図である。
図5を参照して説明したように、PWB255は、後面のコーナにそれぞれ配置された、4つの後側グランドパッド505から508を含む。
【0065】
図7は、
図6におけるVII-VII´切断線での断面構造を模式的に示す。PWB255は多層プリント基板であり、
図7に示す層構造例において4つの導体層を含む。4つの導体層は、信号配線及び表面グランド層561、第1グランド層562、電源配線及び信号配線層563、及び、第2グランド層564である。
【0066】
前側グランドパッド501及び502は、第2グランド層564に含まれる。後側グランドパッド506及び507は、信号配線及び表面グランド層561のグランド配線領域に含まれる。第2グランド層564、第1グランド層562、及び信号配線及び表面グランド層561におけるグランド配線領域とは、複数のビアによって物理的かつ電気的に接続されている。
【0067】
図8は、本明細書の一実施形態の液晶表示装置のグランド接続構成を示す。上述のように、FPC135のシグナルグランド線SGFPは、LCDパネル10のシグナルグランド線SGPA及びPCB250のシグナルグランド層SGPCと電気的に接続されている。
図7を参照して説明したように、PCB250は複数グランド層を含むが、ここでは、それらをまとめてシグナルグランド層SGPCとして示している。
【0068】
シグナルグランド層SGPCのグランドパッド501、502とメタルシャーシ450との間には、抵抗RA、RBがそれぞれ存在する。これらの抵抗値は、例えば、数Ωから数十Ωである。シグナルグランド層SGPCとメタルシャーシ450との間に、カップリング容量C2が存在する。
【0069】
シグナルグランド層SGPCのグランドパッド505から508と導電性シールドカバー520との間には、抵抗RD、RE、RF、RGがそれぞれ存在する。FPC135のシグナルグランド線SGFPと導電性シールドカバー520との間に、カップリング容量C1が存在する。PCB250のシグナルグランド層SGPCと導電性シールドカバー520との間に、カップリング容量C3が存在する。PCB250のシグナルグランド層SGPCは、外部制御回路からの入力グランド配線SGINと電気的に接続されている。
【0070】
メタルシャーシ450と導電性シールドカバー520との間の電気的接続は、抵抗RHを有する。上述のように、メタルシャーシ450と導電性シールドカバー520とは、FPC135との接続領域541の反対側(インタフェース側)の面において、導電性接着剤により電気的に接続されている。例えば、抵抗RD、RE、RF、RGの抵抗値は、抵抗RA、RBの抵抗値より大きい。抵抗RHの抵抗値は、抵抗RD、RE、RF、RGの抵抗値より大きい。
【0071】
次に、本明細書の一実施形態に係る表示装置のEMI(Electromagnetic Interference)の測定結果を説明する。
図9は、測定に使用したPWB255の前側グランドパッドのレイアウトを示す。PWB255は、
図4に示す前側グランドパッド501及び502に加え、対向辺におけるグランドパッド543を含む。
【0072】
発明者らは、前側グランドパッド501、502、543とメタルシャーシ450との異なる電気接続構成におけるEMIを測定した。
【0073】
第1の接続構成において、前側グランドパッド501、502、543の全てがメタルシャーシ450と電気的に接続されていた。第2の接続構成において、前側グランドパッド502、543のみが、メタルシャーシ450との電気的接続されていた。第3の接続構成において、前側グランドパッド501、543のみが、メタルシャーシ450との電気的接続されていた。第4の接続構成において、前側グランドパッド501、502のみが、メタルシャーシ450との電気的接続されていた。
【0074】
図10は、測定結果を示している。
図10のグラフにおいて、横軸はEMIの周波数を示し、縦軸はEMIの強度を示す。矢印601は、装置に対して抑制が要求されるEMIの周波数帯を示している。グラフにおいて、実線は、第4の接続構成におけるEMIを示し、他の破線は、他の接続構成のEMIを示す。
図10の測定結果は、第4の接続構成が、周波数帯601において最も小さいEMIを与えることを示している。第4の接続構成は、
図4を参照して説明した構成と同等である。
【0075】
以下において、グランドパッドと導電性シールドカバー520又はメタルシャーシ450との電気的接触面積の調整方法の例を説明する。グランドパッドの表面に絶縁性シートを貼付することで、グランドパッド表面の導電領域を容易に調整することができる。
【0076】
図11は、前側グランドパッドの導電領域の調整例を示す。隅の前側グランドパッド701及び702それぞれの表面の一部は、絶縁テープ571及び572で覆われている。露出している導電領域は、直接に又は導電性テープを介して、メタルシャーシ450の後面452と接触する。絶縁テープ571及び572の面積を調整することで、前側グランドパッド701及び702とメタルシャーシ450との間の抵抗値を調整できる。また、絶縁性テープ573は、その下のグランドパッド703の全域を覆う。このように、絶縁性テープを使用することで、グランド配線領域内のパッドと対向する導電部材とを電気的に切断することができる。
【0077】
図12は、前側グランドパッドの導電領域の調整例を示す。PWB255は、四隅の前側グランドパッド705から708に加えて、中央の後側グランドパッド709を含む。グランドパッド709の一部は、絶縁性テープ581で覆われており、一部は絶縁性テープ581から露出している。露出している領域は、それぞれ、例えば、PWB255の後面に実装されるノイズ源となる回路と対向する。ノイズ源となる回路は、例えばMPU251や電源回路253である。
【0078】
図13は、前側グランドパッドの導電領域の調整例を示す。PWB255は、四隅の前側グランドパッド705から708に加えて、中央の後側グランドパッド709を含む。グランドパッド709の一部は、絶縁性テープ582、583で覆われており、一部は絶縁性テープ582,583から露出している。絶縁性テープ582、583で覆われている領域は、それぞれ、例えば、PWB255の後面に実装されるノイズ源となる回路と対向する。
【0079】
本開示の実施形態は、表示装置のEMC(Electromagnetic Compatibility)を改善することができる。表示装置は、適用される分野におけるEMC要求基準を満たすことが求められる。特に、車載向けの表示装置においては、国際規格よりも厳しい独自のEMC要求基準が設定されていることが多い。
【0080】
例えば、図を参照して上述した液晶表示装置は、インセル型タッチパネルを含み、タッチパネルコントローラとタイミングコントローラが統合されたドライバIC134であるTDDIを使用する。この構成は、以下のように、EMCを悪化させる要因を持っている。
【0081】
一般的に、デジタル回路のEMIには、以下のような原因がある。(1)デジタル信号が信号線に伝送される際、信号のLow/High遷移に応じて信号線に流れるスパイク電流によるもの、(2)IC回路からデジタル信号を出力する際にIC回路内部に流れる貫通電流によるもの、(3)IC回路のデカップリングコンデンサが充分に働かないことによるもの、(4)IC回路が搭載される装置のシグナルGND(グランド)の脆弱性に起因したコモンモードノイズによるもの、などである。
【0082】
TDDIは、TDDIとプロセッサ(MPU)との間にSPI(Serial Peripheral Interface)などのシリアル信号通信を用いることがある。SPIの標準動作条件は、CMOSと同じ2.0V~3.6Vであり、画像信号伝送に用いるeDPやLVDS信号よりも信号振幅が大きい。故に、信号が変化した際に、時間対電流変化が大きくなる。そのため、TDDIにおけるSPI通信の際、TDDIとプロセッサにおいて非常に大きなノイズ電流が発生する。
【0083】
また、TDDIは、狭額縁化によりシグナルGNDの配線面積が充分に確保できない表示パネル側に搭載されるため、シグナルGND自体が脆弱になりやすく、EMIを悪化させる。
【0084】
インセル型は、液晶セル内のタッチ電極により容量変化を検知する必要がある。容量変化を精度よく捉えられるよう、LCDパネル10の表面に施す導電処理を高抵抗値化する必要がある。このためアウトセル型のように帯電防止層が電磁シールド層として作用しない。
【0085】
このように、デジタル回路のシグナルGNDならびに電磁シールドが脆弱だと、外的な電磁ノイズに対する影響も受けやすくなる。外的ノイズが遮蔽されず、シグナルGNDに伝搬してしまうため、機器内で用いられている制御信号が乱れるので、機器のノイズ耐性(イミュニティ:EMS)も悪化する。
【0086】
本開示の実施形態の特徴は、EMCが悪化しやすいインセル型のタッチパネルを含む表示装置や、TDDIが実装された表示装置において、特に大きな効果を奏することができる。しかし、タッチセンシング機能を有しない表示装置等、これらと異なる構成の表示装置に適用した場合にも、EMCを改善する効果を奏することができる。以下、本開示の実施形態における構成によるEMCの改善について説明する。
【0087】
まず、前側グランドパッドによるEMC改善について説明する。上記実施形態において、FPC135つまりドライバIC134に近い側で、前側グランドパッド501、502は、フレームグランドを与えるメタルシャーシ450と電気的に接続されている。これにより、FPC135及びドライバIC134のシグナルグランドが安定するため、ノイズエネルギを小さくできる。
【0088】
本開示の一実施形態において、FPC135が接続されている辺の対向辺では、メタルシャーシ450と電気的に接続されている前側グランドパッドは存在しない。これにより外部からのノイズ電流が流れる長いリターン経路がなくなるので、ノイズエネルギを小さくできる。
【0089】
本開示の一実施形態において、メタルシャーシ450と電気的に接続されたグランドパッド501、502において、絶縁性テープが抵抗値を増加させる。これにより、メタルシャーシ450が感受したノイズがPCB250に伝搬し難くなり、回路の誤動作の可能性を減少させることができる。
【0090】
FPC135に近い前側グランドパッド501、502が、メタルシャーシ450へ電気的に接続することで、サージノイズの伝搬経路が短くなり、回路誤動作を減少させることができる。
【0091】
次に、導電性シールドカバー520によるEMC改善を説明する。本開示の一実施形態において、導電性シールドカバー520は、PCB250の少なくとも一部を覆い、後側グランドパッドと電気的に接続すると共に、メタルシャーシ450と電気的に接続する。これにより、外部ノイズの回路への影響を低減できる。また、サージノイズをメタルシャーシ450に逃すことができる。導電性シールドカバー520がさらにFPC135の一部を覆う構成は、外部ノイズのFPC135への影響を低減できる。
【0092】
本開示の一実施形態において、導電性シールドカバー520はPWB255の後面532を覆うように配置されるので、PWB255に対する外来ノイズの直接的な影響が軽減される。また、導電性シールドカバー520は、FPC135の反対側辺においてのみ、メタルシャーシ450と電気的に接続する。これにより、グランド抵抗又はグランドループが改善され、メタルシャーシ450からの外来ノイズの侵入経路を低減できる。例えば、メタルシャーシ450と導電性シールドカバー520との間の抵抗値が上がり、イミュニティを改善できる。また、メタルシャーシ450からのノイズの侵入経路が、FPC135から離れているため、ノイズがFPC135に到達する前に大きく減衰させることができる。
【0093】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 LCDパネル
134 ドライバIC
135 FPC
250 PCB
450 メタルシャーシ
501、502 前側グランドパッド
505~508 後側グランドパッド
511、512 導電性テープ
520 導電性シールドカバー