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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155078
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】多重電磁比例油圧制御回路
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/16 20060101AFI20241024BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F15B11/16 Z
F15B11/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069485
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000168506
【氏名又は名称】鉱研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦志
(72)【発明者】
【氏名】糸田 憲士郎
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA22
3H089AA74
3H089BB01
3H089BB27
3H089BB30
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC12
3H089DA03
3H089DA07
3H089DA14
3H089DB43
3H089GG02
3H089JJ01
(57)【要約】
【課題】油圧比例制御を容易に選択することができ、産業機械の無人化、ロボット化、省力化が可能とする。
【解決手段】産業機械が備える複数のアクチュエータ2、・・、9と、比例制御によって前記複数のアクチュエータに油を供給する電磁比例方向流量制御弁31、32と、制御部からの作動信号に応じて前記アクチュエータへの油路を切り換えるように動作する電磁切換弁21、・・、29と、を備える。電磁切換弁21、・・、29は複数のアクチュエータのそれぞれに対応して設けられ、電磁比例方向流量制御弁31、32は複数のアクチュエータの電磁切換弁に共通して制御されるように連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械が備える複数のアクチュエータと、
比例制御によって前記複数のアクチュエータに油を供給する電磁比例方向流量制御弁と、
制御部からの作動信号に応じて前記アクチュエータへの油路を切り換えるように動作する電磁切換弁と、を備え、
前記電磁切換弁は前記複数のアクチュエータのそれぞれに対応して設けられ、前記電磁比例方向流量制御弁は前記複数のアクチュエータの電磁切換弁に共通して制御されるように連結されていることを特徴とする多重電磁比例油圧制御回路。
【請求項2】
前記電磁切換弁は、対応したアクチュエータの付近に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の多重電磁比例油圧制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設、土木等の産業機械に用いるための多重電磁比例油圧制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
建設、土木等の分野の産業機械では、油圧によって動作する複数のアクチュエータが組み込まれている。例えば、ボーリングマシンでは、ボーリングロッドを回転させるドリルヘッド、ボーリングロッドを把持するチャック、マストを傾動させるチルトシリンダ、自走のための油圧モータを始めとした多くのアクチュエータが組み込まれている。これらのアクチュエータは、油の方向、油の流量が制御されることにより目的の動作を行うものであり、それぞれのアクチュエータの油圧回路には、電磁比例方向流量制御弁が必須となって設けられている。
【0003】
図10は、ボーリングマシンにおけるアクチュエータ(以下、AC)の油圧回路を示す回路図である。ドリルヘッドAC100はドリルヘッド側油圧回路101に接続され、チャックAC110はチャック側油圧回路111に接続され、ホルダAC120はホルダ側油圧回路121に接続され、横行AC130は横行側油圧回路131に接続され、給進AC140は給進側油圧回路141に接続され、ウインチAC150はウインチ側油圧回路151に接続され、マスト起伏AC160はマスト起伏側油圧回路161に接続され、マスト左右AC170はマスト左右側油圧回路171に接続されている。
【0004】
これらのアクチュエータでは、スピードや力のコントロールを圧油の比例制御で行うことが必要であり、油圧回路101、111、121、131、141、151、161、171には各アクチュエータに対応した電磁比例方向流量制御弁102、112、122、132、142、152、162、172が配置されている。これらの電磁比例方向流量制御弁102、112、122、132、142、152、162、172は、メインポンプ180、181からの圧油の方向及び流量を制御することにより対応したアクチュエータに圧油を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-189137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来では、アクチュエータのそれぞれに対し、電磁比例方向流量制御弁が個々に必要となっている。しかも、電磁比例方向流量制御弁はその制御のためのアンプを個々に必要としており、電磁比例方向流量制御弁の個数(すなわちアクチュエータの個数)が増える分、アンプの数も増加する。このような電磁比例方向流量制御弁及びアンプを比例制御が必要な個数だけ配置すると、制御盤が大型化、油圧ホース数が多くなり、結果として産業機械の制御が複雑化、大型化し、コストアップとなる問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、油圧比例制御を容易に選択することができ、産業機械の制御の容易化、無人化、ロボット化、省力化を可能とした多重電磁比例油圧制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の多重電磁比例油圧制御回路は、産業機械が備える複数のアクチュエータと、 比例制御によって前記アクチュエータに油を供給する電磁比例方向流量制御弁と、制御部からの作動信号に応じて前記アクチュエータへの油路を切り換えるように動作する電磁切換弁と、を備え、前記電磁切換弁は前記複数のアクチュエータのそれぞれに対応して設けられ、前記電磁比例方向流量制御弁は前記アクチュエータの電磁切換弁に共通して制御されるように連結されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記電磁切換弁は、対応したアクチュエータの近辺に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、油圧比例制御を容易に選択することができ、産業機械の制御の容易化、無人化、ロボット化、省力化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態の多重電磁比例油圧制御装置の油圧回路図である。
図2】第1実施形態の作動を示す油圧回路図である。
図3】(A)~(D)は第2実施形態の作動を示す油圧回路図である。
図4】(A)~(D)は第2実施形態の別形態の作動を示す油圧回路図である。
図5図3を基本として設計した油圧回路図である。
図6】第3実施形態の油圧回路図である。
図7】本発明に用いる部品を示す斜視図である。
図8】本発明に用いる部品を示す斜視図である。
図9】(A)、(B)はボーリングマシンに適用した実施形態を示す図である。
図10】従来の油圧制御装置の油圧回路図である。
図11】(A)、(B)は図9に対応したボーリングマシンへの適用の従来構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、本発明の多重電磁比例油圧制御回路1の第1実施形態を示す。
図1はボーリングマシンに適用した多重電磁比例油圧制御回路1であり、アクチュエータ(AC)として、ドリルヘッドAC2、チャックAC3、給進AC4、ウインチAC5、ホルダAC6、マスト起倒AC7、マスト左右AC8、横行AC9を備えている。これらのアクチュエータ2、3、4、5、6、7、8、9のそれぞれは、ドリルヘッド側油圧回路12、チャック側油圧回路13、給進側油圧回路14、ウインチ側油圧回路15、ホルダ側油圧回路16、マスト起倒側油圧回路17、マスト左右側油圧回路18、横行側油圧回路19に接続されている。
【0014】
それぞれの各アクチュエータの油圧回路には、各アクチュエータに対応して各アクチュエータへの油路を切り換える電磁切換弁が設けられている。図示例では、ドリルヘッド側油圧回路12に第1電磁切換弁22、チャック側油圧回路13に第2電磁切換弁23、給進側油圧回路14に第3電磁切換弁24、ウインチ側油圧回路15に第4電磁切換弁25、ホルダ側油圧回路16に第5電磁切換弁26、マスト起倒側油圧回路17に第6電磁切換弁27、マスト左右側油圧回路18に第7電磁切換弁28、横行側油圧回路19に第8電磁切換弁29が設けられている。
【0015】
油タンク20には、第1メインポンプ10及び第2メインポンプ11が連結され、第1メインポンプ10には、第1電磁比例方向流量制御弁31が接続され、第2メインポンプ11には第2電磁比例方向流量制御弁32が接続されている。第1電磁比例方向流量制御弁31は比例制御によってドリルヘッド側油圧回路12及びチャック側油圧回路13に油を供給し、第2電磁比例方向流量制御弁32は比例制御によって給進側油圧回路14、ウインチ側油圧回路15、ホルダ側油圧回路16、マスト起倒側油圧回路17、マスト左右側油圧回路18、横行側油圧回路19に油を供給する。
【0016】
この実施形態では、第1電磁比例方向流量制御弁31は第1電磁切換弁22、第2電磁切換弁23に接続されており、これにより第1電磁比例方向流量制御弁31は、第1電磁切換弁22、第2電磁切換弁23に共通して制御される。また、第2電磁比例方向流量制御弁32は第3電磁切換弁24、第4電磁切換弁25、第5電磁切換弁26、第6電磁切換弁27、第7電磁切換弁28、第8電磁切換弁29に接続されており、これにより第2電磁比例方向流量制御弁32は、第3電磁切換弁24、第4電磁切換弁25、第5電磁切換弁26、第6電磁切換弁27、第7電磁切換弁28、第8電磁切換弁29に共通して制御される。
【0017】
このような形態では、各アクチュエータに対応した数の電磁比例方向流量制御弁を設ける必要がなくなるため、電磁比例方向流量制御弁の個数及びアンプの個数を削減することができる。このため、制御盤が大型化することがないと共に、油圧ホースを削減することができる。
なお、この実施形態では、2つの電磁比例方向流量制御弁を設けているが、各アクチュエータに対応した複数の電磁切換弁によって共通して制御される単一の電磁比例方向流量制御弁とすることも可能である。
【0018】
図2は、図1に示す構造においてドリルヘッドを回転させるドリルヘッドAC(ドリルヘッドアクチュエータ)2の動作を説明する構成図であり、(A)はドリルヘッドAC2を正転させる場合、(B)はドリルヘッドAC2を中立とする場合、(C)はドリルヘッドC2を逆転させる場合を示す。
【0019】
制御部(図示省略)における正転レバーを操作することにより、図2(A)で示すように、第1電磁切換弁22がスプール22aの位置に切り替わり、第1電磁比例方向流量制御弁31はレバー角度に準じたスプール位置に移動してレバー角度に応じた油流量をドリルヘッドAC2の回転モータに送り出し、回転モータが正方向に回転する。このとき同時に戻りの油の流量も制御できている。
正転レバーを中立位置にすると同時に、図2(B)で示すように、第1電磁切換弁22はスプール22bに切り替わり、第1電磁比例方向流量制御弁31のスプールが中立位置に移動する。
制御部の逆転レバーを操作することにより、図2(C)で示すように、第1電磁切換弁22がスプール22cの位置に切り替わり、第1電磁比例方向流量制御弁31はレバー角度に準じたスプール位置に移動してレバー角度に応じた油流量をドリルヘッドAC2の回転モータに送り出し、回転モータが逆方向に回転する、このとき同時に戻りの油の流量も制御できている。
【0020】
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態を示す。
アクチュエータ41は前進、中立、後退を制御するオイルモータが使用されている。油タンク20の油をアクチュエータ41に供給するメインポンプ42と、アクチュエータ41の油圧回路43との間に電磁切換弁44が設けられている。送りライン45及び戻りライン46に電磁比例方向流量制御弁47及び電磁比例方向流量制御弁48がそれぞれ設けられている。戻りライン46には、アンロードバルブからなる電磁比例リリーフ弁49が設けられている。
【0021】
図3(B)は中立の際の電磁切換弁44のスプール動作であり、同図(C)は後退の際のスプール動作を示す。
これらの動作において、送りライン45においては、電磁切換弁44によって油の流量、速度の制御が可能である。電磁切換弁44が可能な制御は電気信号によるON-OFFの制御だけであり、スプールの位置による流路の調整ができないため、戻りライン46には低圧油が流れたいだけ流れることになる。この問題を解決するため、この実施形態では、電磁切換弁44に替えて図3(D)で示す絞り弁付き電磁切換弁50を用いるものである。絞り弁付き電磁切換弁50により、電磁比例方向流量制御弁47、48を絞るため、方向流量制御に加えて絞り効果も備えることができる。
【0022】
図4は、アクチュエータとして図3のオイルモータに換えて油圧シリンダ51とした形態であり、(A)は油圧シリンダ51の伸張状態、(B)は油圧シリンダ51の中立状態、(C)は油圧シリンダ51の短縮状態を示す。アクチュエータが油圧シリンダ51となっている以外は、図3の構造と同様であるので操作の説明を省略する。この形態においても、同図(D)で示すように、電磁切換弁44に替えて絞り弁付き電磁切換弁50が用いられる。これにより戻りライン46の油の流量を制御することができ、ハンチング、暴走を防止して重量物を動かすことができる。
【0023】
一般に、油圧ショベルなどの産業機械の走行は、左右独立したオイルモータにより直進性を求められるが、産業機械の重心位置や負荷のかかり方により送りライン側(一次ライン側)の流量調整だけでは直進性が困難である。これに対して、絞り弁付き電磁切換弁50とすることにより戻りライン側(二次ライン側)の直進精度を高めることが可能となる。
また、重量物を吊り上げる産業機械においては、カウンタバランスバルブを用いる場合、戻り側の油が油タンクに吸い込まれるように戻り、オイルモータと電磁切換弁との間にバキューム圧力が発生してドレン、オイルモータのケーシング内の油を吸い込んで真空状態になり、オイルモータの空転を引き起こす事故の原因となるが、これを解決することができる。
このようにアクチュエータの戻りライン側(二次ライン側)の流量を制御することにより安全な油圧回路、油圧制御機械とすることができる。
【0024】
図5は、図3を基本として設計した油圧回路図を示す。
送りライン45に送り側の流量調整を行う電磁比例方向流量制御弁47及び圧力センサー53が設けられ、戻りライン46に戻り側の流量調整を行う電磁比例方向流量制御弁48及び圧力センサー54が設けられ、送りライン45と戻りライン46との間に電磁比例リリーフ弁49が設けられている。電磁比例リリーフ弁49は回路のアンロード、アクチュエータの要求に応じた圧力調整を行う。符号55はパイロット圧力器であり、可変容量ポンプからなるメインポンプ42の容量を可変とするための指令圧力を出力する。
【0025】
表1は図5の油圧回路に基づいて制御を行うパターンであり、表2は表1のパターンにおける油圧仕様である。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
表1及び表2において、パターン2やパターン3は負荷変動する油圧シリンダのハンチングや暴走動作の抑制に効果的である。この場合、ポンプ(メインポンプ)の吐出と連動させて流量制御を行うことによりエネルギーの節約も可能となる。
【0029】
(第3実施形態)
図6は、ボーリングマシンに適用した本発明の第3実施形態を示す。適用の対象となるアクチュエータは、左右への横スライドのための横スライド用シリンダ61、チルトのためのチルト用シリンダ62、レイズのためのレイズ用シリンダ63、チャックのスライドのためのスライド用シリンダ64、ジャッキの上下スライドのためのジャッキ用シリンダ65である。それぞれのシリンダに対しては、電磁切換弁67,68、69、70、71、72、73が接続されている。そして、これらの電磁切換弁67、・・、73とメインポンプとの間の回路には一つの電磁比例方向流量制御弁74が設けられている。電磁比例方向流量制御弁74は全ての電磁切換弁67、・・、73に接続されており、全ての電磁切換弁67、・・73に共通して制御される。このことにより全ての電磁切換弁67、・・、73が比例制御可能となる。このような構造とすることにより、いずれかの電磁切換弁67、・・、73によって電磁比例方向流量制御弁74が制御されるため、その電磁切換弁に対応したアクチュエータを比例制御することができる。
【0030】
(第4実施形態)
図7図8は、本発明の多重電磁比例油圧制御回路に用いる部品を示す。符号81は1つの電磁比例方向流量制御弁を内部に備えた比例バルブ部材である。符号82は汎用バルブ部材であり、3つの電磁切換弁82a、82b、82cを備えている。汎用バルブ部材82は入手が容易なバルブである。
【0031】
図7では、比例バルブ部材81を親バルブ、汎用バルブ部材82を子バルブとして油圧回路を設計する。このとき、汎用バルブ部材82の3つの電磁切換弁82a、82b、82cが比例バルブ部材81の電磁比例方向流量制御弁と接続されることにより油圧回路が設計される。このような設計では、汎用バルブ部材82は入手が容易なことから油圧回路の設計を容易に行うことができる。
また、比例バルブ部材81は各種産業機械に必要なバルブであるのに対し、汎用バルブ部材82はメーカーを問わず入手が可能なバルブであることから汎用バルブ部材82を必要なタイミングで用意することにより高価な比例バルブ部材81の在庫を少なくすることができる。すなわち汎用バルブ部材82を用いることによりバルブの在庫数の圧縮ができると共にバルブ部材の共通化が可能となる。
【0032】
図8では、1つの比例バルブ部材81に対し、2つの汎用バルブ部材82を接続したり、1つの汎用バルブ部材82を接続する態様を示す。汎用バルブ部材82における必要な電磁切換弁82a、82b、82cを比例バルブ部材81の電磁比例方向流量制御弁に接続することにより油圧回路を設計することができる。このため油圧回路の設計自由度を拡大することができる。
このような態様では、比例バルブ部材81に対して汎用バルブ部材82を必要に応じて増設することができ、仕様に応じた対応ができる。また、汎用バルブ部材82を利用することにより、モータスプール(AB-T)、シリンダスプール(オールブロック)、バイパススプール(ABブロックP-T)などの種々のスプールの選択も可能となる。このように応用設計、流用設計が可能となるため、納期、在庫管理に制限されることなく設計を行うことができる。
【0033】
(第5実施形態)
図9は、ボーリングマシン91を示し、制御部を有したベースマシン92と、ドリルヘッド93が長さ方向に移動可能なガイドセル94とを備えている。ガイドセル94は本体部92に対して前後及び左右方向に傾斜可能となっている。このボーリングマシン91に対し、この実施形態では、3つの電磁切換弁82a、82b、82cを有した汎用バルブ部材82(図7図8参照)を配置する。この場合、汎用バルブ部材82を制御が必要なアクチュエータの近辺に配置するものである。例えば、図9(A)では、本体部92の第1配置箇所95に配置し、図9(B)では、ドリルヘッド93の第2配置箇所96及びガイドセル94の第3配置箇所97に配置する。第1配置箇所95の汎用バルブ部材82は、例えばガイドセル94を傾動させるシリンダやボーリングロッド把持及び解放するクランプ等のアクチュエータの付近に配置され、第2配置箇所96の汎用バルブ部材82は、例えばドリルヘッド93からなるアクチュエータの付近に配置され、第3配置箇所97の汎用バルブ部材82はウインチ等のアクチュエータの付近に配置される。
【0034】
図11は、ボーリングマシン91に対し、図10で示す従来の油圧回路を配置した構造を示す。図10に示す各アクチュエータ100、110、120、130、140、150、160、170のそれぞれに対応した電磁比例方向流量制御弁102、112、122、132、142、152、162、172が必要であり、これらの電磁比例方向流量制御弁102、・・、172が一箇所に集約されて、そこから全てのアクチュエータ100、・・、170に対する送りラインの油圧ホース及び戻りラインの油圧ホースが必要となる。このため、油圧ホースがアクチュエータの倍数、必要となる。これによりホースの数及び電線の数が増えると共に、これらも長くなる問題がある。
【0035】
これに対し、図9に示すこの実施形態における配置では、送りホース(一次ホース)・戻りホース(二次ホース)を分岐し、ホースをアクチュエータの近辺まで伸ばし、制御に必要な信号線を伸ばすだけで比例制御が可能となり、油圧ホースの本数を削減することができる。また、電気信号もCAN-BUS制御を用いることにより信号線と駆動電源の2本に削減することができ、油圧ホース、電線を削減することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 多重電磁比例油圧制御回路
2 ドリルヘッドAC
3 チャックAC
4 給進AC
5 ウインチAC
6 ホルダAC
7 マスト起伏AC
8 マスト左右AC
9 横行AC
10 11 メインポンプ
12 ドリルヘッド側油圧回路
13 チャック側油圧回路
14 給進側油圧回路
15 ウインチ側油圧回路
16 ホルダ側油圧回路
17 マスト起伏側油圧回路
18 マスト左右側油圧回路
19 横行側油圧回路
20 油タンク
22 23 24 25 26 27 28 29 電磁切換弁
31 32 電磁比例方向流量制御弁
41 アクチュエータ
42 メインポンプ
43 油圧回路
44 電磁切換弁
45 送りライン
46 戻りライン
47 48 電磁比例方向流量制御弁
49 電磁比例リリーフ弁
50 絞り弁付き電磁切換弁
51 シリンダ
53 54 圧力センサー
55 パイロット圧力器
61 スライド用シリンダ
62 チルト用シリンダ
63 レイズ用シリンダ
64 チャックスライド用シリンダ
65 ジャッキ用シリンダ
66 67 電気切換弁
74 電磁比例方向流量制御弁
81 比例バルブ部材
82 汎用バルブ部材
91 ボーリングマシン
92 ベースマシン
93 ドリルヘッド
94 ガイドセル
95 96 97 配置箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11