(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155084
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】光学素子の姿勢調整装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20210101AFI20241024BHJP
【FI】
G02B7/00 B
G02B7/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069498
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋司
(72)【発明者】
【氏名】本間 航
【テーマコード(参考)】
2H043
【Fターム(参考)】
2H043AB02
2H043AB03
2H043AB04
2H043AB05
2H043AB06
2H043AB07
2H043AB08
2H043AB37
2H043AE10
2H043AE24
(57)【要約】
【課題】光軸調整を簡易な構成で容易に行え、組立て後の光軸ずれが起きにくい光軸調整装置を提供する。
【解決手段】光ファイバーが取り付けられる第1保持部Aは、第2保持部B,B1,B2 に対して回動可能であり、第2保持部B,B1,B2 は第3保持部材Cに対してZ方向に移動可能かつ回転可能であり、第3保持部材Cは第4保持部材Dに対してX,Y 方向に移動可能かつ回転可能である。第4保持部材Dは計測光学系の固定部分に取り付けられる。光ファイバーの終端部の各位置と光軸の傾きを、構成部品の複数の案内面で個別に調整でき、ねじ構造で確実に固定できる。固定の作業性は良好であり、光ファイバーの着脱を繰り返しても光軸がずれにくく、再度の調整作業も容易である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子(100)の位置及び傾きを調整する光学素子の姿勢調整装置であって、
光学素子を着脱自在に保持する第1保持部(A)と、
前記第1保持部を回動可能に保持するとともに、互いに異なる第1乃至第3の方向(X,Y,Z)について移動可能に保持された第2保持部(B,B1,B2)と、
を具備することを特徴とする光学素子の姿勢調整装置(1)。
【請求項2】
前記第2保持部(B,B1,B2)を第1の方向(Z)について移動可能に保持する第3保持部(C)と、
前記第3保持部を第2の方向及び第3の方向(X,Y)について移動可能に保持する第4保持部(D)と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子の姿勢調整装置(1)。
【請求項3】
前記第1保持部(A)の外面(4)は球面の一部から構成され、
前記第2保持部(B,B1,B2)は筒状であって、その内面(21,22)は球面の一部から構成され、
前記第1保持部と前記第2保持部は、前記外面と前記内面が摺動可能に接するように組み合わされ、解除自在に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の光学素子の姿勢調整装置(1)。
【請求項4】
前記第2保持部(B,B1,B2)の外面は円周面であり、
前記第3保持部(C)は内面が円周面である案内穴(8)を備えており、
前記第2保持部と前記第3保持部は、前記外面と前記内面が第1の方向(Z)について移動可能となるように組み合わされ、解除自在に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の光学素子の姿勢調整装置(1)。
【請求項5】
前記第3保持部(C)と前記第4保持部(D)は、第2の方向(X)と第3の方向(Y)によって規定される平面において所定の範囲で移動可能となるように接しており、解除自在に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の光学素子の姿勢調整装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測光学系に光学素子を取り付ける際に、光学素子の姿勢を調整するために用いられる姿勢調整装置に係り、特に光学素子の位置及び傾斜を調整する作業が容易であり、組立後の光軸ずれが発生しにくい姿勢調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の光学部品で構成される空間光学系の光測定器は、その性能を最大限に引き出すために、各光学部品の配置を精密に調整して組み立てる必要がある。そのような空間光学系の光測定器としては、例えば、モノクロメーター方式の光スペクトラムアナライザが挙げられるが、その構造の一例を
図5の模式図に示す。
【0003】
図5に示した光スペクトラムアナライザは、空間光学系として、光ファイバー100の終端部が取り付けられる光軸調整機構101と、光ファイバー100の終端部から出射される光を平行光線にするコリメーター102と、コリメーター102からの光を分光するためにモータ103で回転する回折格子104と、回折格子104からの光を集光する第1集光レンズ105と、第1集光レンズ105からの光が入射するスリット106と、スリット106を通過した光を集光する第2集光レンズ107と、第2集光レンズ107が集光した光が入射する受光素子108を備えている。また、光スペクトラムアナライザは、制御系として、制御部109とメモリ110と測定部111と表示部112を備えている。制御部109は、モータ103の回転を制御することによって受光素子108に入射される光の波長を適宜に選択するとともに、受光素子108からの信号を得て測定部111が出力した測定信号を処理することにより、表示部112に被測定光のスペクトルを表示することができる。
【0004】
上述したような空間光学系を有する光スペクトラムアナライザにおいては、被測定光が出射される光ファイバー100の終端面におけるコア部の位置を、コリメーター102の焦点位置に正確に配置するとともに、光ファイバー100の光軸の方向をコリメーター102の光軸に平行となるように精密に調整して固定しなければならない。
【0005】
従来の光スペクトラムアナライザでは、その製造時に、光学系の各部品を位置決めする際、光コネクタに接続した光ファイバー100の位置や出射角度を調整した後、光コネクタを光軸調整機構101にYAG溶接により固定していた。
【0006】
しかしながら、YAG溶接は固定力が弱いため、使用者が光軸調整機構101の光コネクタに対して光ファイバー100の着脱を繰り返すような外力の加わる部分で使用した場合、光コネクタの位置がずれ、光ファイバー100から出射される被測定光の光軸も製造時に調整した状態からずれてしまい、光スペクトラムアナライザの分解能やダイナミックレンジが劣化するという課題があった。
【0007】
また、YAG溶接は装置が大掛かりであるため、光軸調整後に光コネクタを固定する際の作業性が良好とはいえないという課題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上説明した従来の技術における課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成の機構によって光軸調整を容易に行うことができ、ファイバ取付部の固定を強固にし光軸ズレが起きにくい光軸調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載された光学素子の姿勢調整装置1は、
光学素子100の位置及び傾きを調整する光学素子100の姿勢調整装置1であって、
光学素子100を着脱自在に保持する第1保持部Aと、
前記第1保持部Aを回動可能に保持するとともに、互いに異なる第1乃至第3の方向X,Y,Zについて移動可能に保持された第2保持部B,B1,B2と、
を具備することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載された光学素子の姿勢調整装置1は、請求項1に記載の光学素子100の姿勢調整装置1において、
前記第2保持部B,B1,B2を第1の方向Zについて移動可能に保持する第3保持部Cと、
前記第3保持部Cを第2の方向及び第3の方向X,Yについて移動可能に保持する第4保持部Dと、
を有することを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載された光学素子100の姿勢調整装置1は、請求項2に記載の光学素子100の姿勢調整装置1において、
前記第1保持部Aの外面4は球面の一部から構成され、
前記第2保持部B,B1,B2は筒状であって、その内面21,22は球面の一部から構成され、
前記第1保持部Aと前記第2保持部B,B1,B2は、前記外面4と前記内面21,22が摺動可能に接するように組み合わされ、解除自在に固定されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載された光学素子100の姿勢調整装置1は、請求項3に記載の光学素子100の姿勢調整装置1において、
前記第2保持部B,B1,B2の外面は円周面であり、
前記第3保持部Cは内面が円周面である案内穴8を備えており、
前記第2保持部B,B1,B2と前記第3保持部Cは、前記外面と前記内面が第1の方向Zについて移動可能となるように組み合わされ、解除自在に固定されていることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載された光学素子100の姿勢調整装置1は、請求項4に記載の光学素子100の姿勢調整装置1において、
前記第3保持部Cと前記第4保持部Dは、第2の方向Xと第3の方向Yによって規定される平面において所定の範囲で移動可能となるように接しており、解除自在に固定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された光学素子の姿勢調整装置によれば、
光学素子を保持する第1保持部を、第2保持部に対して回動させれば、光学素子の傾きを任意に調整することができ、また、光学素子を保持する第1保持部を、第2保持部に対して第1乃至第3の方向について移動させれば、光学素子の位置を任意に調整することができる。
【0016】
請求項2に記載された光学素子の姿勢調整装置によれば、
光学素子が取り付けられた第1保持部を保持する第2保持部は、第3の保持部に対して第1の方向について位置を調整することができ、第3の保持部は、第2の方向及び第3の方向について、第4保持部に対する位置を調整することができる。
【0017】
請求項3に記載された光学素子の姿勢調整装置によれば、
光学素子を保持している第1保持部の球状の外面は、第2保持部の球状の内面と接触しているので、第1保持部を第2保持部に対して摺動させることにより、光学素子の傾きを球面に沿ったあらゆる方向について調整し、調整後は傾きを固定することができる。調整後に、第1保持部と第2保持部の固定を解除すれば、光学素子の傾きを再度調整することもできる。
【0018】
請求項4に記載された光学素子の姿勢調整装置によれば、
光学素子が取り付けられた第1保持部を保持している第2保持部の円周状の外面は、第3保持部の円周状の内面と接触しているので、第2保持部を第3保持部に対して第1の方向に移動させることにより、第1の方向に関する光学素子の位置を調整することができ、調整後は第1の方向に関する光学素子の位置を固定することができる。調整後に、第2保持部と第3保持部の固定を解除すれば、第1の方向に関する光学素子の位置を再度調整することもできる。
【0019】
請求項5に記載された光学素子の姿勢調整装置によれば、
光学素子が取り付けられた第1保持部を保持している第2保持部は、さらに第3保持部に保持されており、この第3保持部と第4保持部は、第2の方向と第3の方向によって規定される平面内において所定の範囲で移動可能となるように接している。このため、第3保持部と第4保持部を、第2の方向と第3の方向に移動させることにより、第2の方向と第3の方向に関する光学素子の位置を調整することができ、調整後は第2の方向と第3の方向に関する光学素子の位置を固定することができる。調整後に、第3保持部と第4保持部の固定を解除すれば、第2の方向と第3の方向に関する光学素子の位置を再度調整することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態の姿勢調整装置の分解拡散斜視図である。
【
図2】実施形態の姿勢調整装置の正面側から見た斜視図である。
【
図3】実施形態の姿勢調整装置の6面図であって、分図(a)は正面図、分図(b)は平面図、分図(c)は底面図、分図(d)は左側面図、分図(e)は右側面図、分図(f)は背面図である。
【
図4】
図3(a)のa-a切断線における断面図である。
【
図5】モノクロメーター方式の光スペクトラムアナライザの一構造例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施形態に係る光学素子の姿勢調整装置について
図1~
図4を参照して説明する。
姿勢調整装置1は、光学素子である光ファイバーの終端部を保持するとともに、その終端面に露出しているコア部を、計測光学系(例えば
図5に示したような光スペクトラムアナライザ等)の所定位置に正確に配置させるとともに、その終端面における光軸の傾きを、計測光学系の光軸に合わせて精密に設定し、これを強固に固定し、再調整可能な状態で固定するための器具である。
【0022】
図1~
図3に示すように、実施形態に係る光学素子の姿勢調整装置1は、光学素子である光ファイバーの終端部を着脱自在に保持する第1保持部Aを備えている。
図1において、図示しない光ファイバーは、右手前側から左奥側に向けて配設され、その終端部が第1保持部Aに接続されて光を左奥側に照射する。第1保持部Aは、
図1において右手前側である球体の前部と、左奥側である球体の後部を、互いに平行となる前端面2と後端面3で切欠いた形状の部材であり、前端面2と後端面3に挟まれた外面4が球面の一部となっている。前端面2と後端面3の中心には、図示しない保持孔が垂直に貫通して設けられている。前端面2には光レセプタクル5が固定されている。光レセプタクル5には保持孔に連通する保持管6が設けられており、保持管6の外周面にはおねじが設けられている。図示しないが、光ファイバーの終端部には、めねじを有するコネクタが取り付けられており、光レセプタクル5の保持管6にコネクタをねじ込むことによって、光ファイバーの終端部を第1保持部Aに着脱自在に取り付けることができる。
【0023】
図2において、光ファイバーが取り付けられる保持管6の中心軸は、保持管6に取り付けられる光ファイバーの光軸と一致する。この中心軸又は光軸の方向を、便宜上、
図2中に示すZ方向(座標系ではZ軸)と称し、Z軸に直交する平面を規定する2つの方向を、X方向(座標系では鉛直方向に平行なX軸)及びY方向(座標系では水平方向に平行なY軸)と称する。以下、姿勢調整装置1における光ファイバーの位置及び光軸の傾きの調整機構と、その作用効果等について説明するが、調整時の部材の移動方向については、これらX、Y、Zの3つの方向(又は座標軸)を参照して行うものとする。
【0024】
図1~
図4に示すように、姿勢調整装置1は、直径に比べて高さが小さい筒状(又は環状)の外観を有する第2保持部Bを有している。第2保持部は、第2保持部B1と第2保持部B2の2つの部材から構成されており、前述の光ファイバーが取り付けられた第1保持部Aは、第2保持部B1と第2保持部B2の間に挟まれて保持されている。なお、第2保持部B1と第2保持部B2を総称する場合は、第2保持部Bと呼ぶ。
図3(a)のa-a切断線における断面図である
図4からも理解されるように、第2保持部B1の内面21と、第2保持部B2の内面22は、第1保持部Aの外面4と一致する球面の一部から構成されている。そして、
図1及び
図4に示すように、第2保持部B1と第2保持部B2によって、前端面2と後端面3の側から、第1保持部Aを挟み、第2保持部B2を第2保持部B1の内部に収納する。そして
図1に示すねじ7によって、第2保持部B1と第2保持部B2を固定すれば、第1保持部Aと第2保持部B1と第2保持部B2を一体化することができる。第1保持部材Aの外面4は、第2保持部B1及び第2保持部B2の内面21,22と同様、略同じ曲率の球面の一部であり、これらは互いに接しているため、ねじ7を緩めれば、第2保持部B1及び第2保持部B2の内面21,22に沿って第1保持部Aを球面の何れの方向にも回動させることができ、第1保持部Aが保持している光ファイバーの姿勢、すなわち光軸の傾き(向き)を任意に調節することができる。調節後にねじ7を締めれば、光ファイバーの光軸の傾きは確実に固定されるが、ねじ7を緩めれば再度調節することが可能である。
【0025】
図1及び
図2に示すように、第1保持部Aと一体化された第2保持部Bは、第3保持部Cに対してZ方向に移動可能となるように、第3保持部Cに着脱可能に取り付けられている。前述したように、第2保持部Bは環状又は筒状であるから、その外面は円周面である。また、第3保持部Cは、逆三角形の環状板部材であって、その中心には、内面が円周面である案内穴8が形成されている。
図2~
図4に示すように、第3保持部Cの案内穴8の内径は、第2保持部B1の外径と略一致しており、第2保持部B1は、第3保持部Cの案内穴8に挿入保持されている。第3保持部Cは逆三角形の環状板部材であるが、連続した閉ループ形状ではなく、
図2に明示する通り、その頂部の中央には間隙部9が設けられている。第3保持部Cにおいて、間隙部9を挟んで対峙する2カ所の固定部10,10の同一位置には、一方にねじ穴、他方に通し穴(
図1参照)がそれぞれ形成されている。
図2に示すように、第2保持部Bを案内穴8に挿入し、2カ所の固定部10,10の通し穴を介してねじ穴11にねじ12を螺入すれば、2カ所の固定部10,10は互いに接近し、間隙部9は狭まり、その結果、第2保持部Bを案内穴8内に固定することができる。ねじ12を緩めれば、第2保持部Bは、固定が解除され、第3保持部Cの案内穴8に沿ってZ方向について移動可能となり、Z方向の位置を調整することができるし、また第3保持部Cの案内穴8に沿って、Z軸を中心とした回転方向にも移動可能となり、Z軸を中心とした回転方向の位置を調整することもできる。
【0026】
図1~
図4に示すように、第3保持部Cは、X方向とY方向で規定される平面内で移動可能となるように、第4保持部Dに着脱可能に取り付けられている。第4保持部Dは、略矩形の板部材であり、その上半部には、第3保持部Cの案内穴8よりもやや大きい略円形の開放部13が設けられている。前述した逆三角形の第3保持部Cにおいて、3つの頂点に相当する3カ所には、第3保持部Cを第4保持部Dに取り付けるための取り付け穴14が設けられている。また、3つの取り付け穴14に対応する第4保持部Dの3つの位置、すなわち第4保持部Dの開放部13の下端に近接した一つの位置と、開放部13の開口を挟む二つの位置には、ねじ穴15が設けられている。そして、第3保持部Cの取り付け穴14から、頭部を有するねじ16を挿通させ、第4保持部Dのねじ穴15にねじ込むことにより、第3保持部Cを第4保持部Dに取り付けることができる。ここで、第3保持部Cの取り付け穴14は、ねじ16のねじ部よりも大径であり、ねじ16の頭部が係合しうる小径の座面を備えている。従って、ねじ16を緩めれば、第3保持部Cは、X方向とY方向で規定される第4保持部Dの前面に沿って、X方向、Y方向及び両方向を合成した斜め方向について移動することができるし、取り付け穴14のサイズによって許容される範囲内において、第4保持部Dの前面に沿って第3保持部Cを回転させることもできる。そして、位置調整後にねじ16を締めることで、調整された位置を固定することができる。ねじ16を緩めれば、再度の調整を行なうことも可能である。
【0027】
図1~
図3に示すように、姿勢調整装置1の第4保持部Dには、下半部の四つの隅部に固定穴17が設けられている。この姿勢調整装置1を、図示しない計測光学系(例えば
図5に示したような光スペクトラムアナライザの光軸調整機構101等)に取り付ける場合には、例えば、図示しない取り付けねじを第4保持部Dの固定穴17から挿入して、光軸調整機構101のフレーム乃至取付治具(被固定部分)のねじ穴にねじ込んで固定すればよい。第4保持部Dの固定穴17は、第3保持部Cの取り付け穴14のように、ねじが螺入されるねじ部と、ねじの頭部が係合する座面とを備えた構造である。このため、光軸調整機構101のフレーム乃至取付治具(被固定部分)との接触面において、姿勢調整装置1を、X方向、Y方向及び両方向を合成した斜め方向に移動することもできるし、さらに固定穴17のサイズによって許容される範囲内において、姿勢調整装置1を全体として回転させることもでき、姿勢調整後に固定することができる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の姿勢調整装置1では、光ファイバーを脱着する光レセプタクル5を、第1保持部Aと第2保持部Bによって、球面の任意の方向に沿って移動させることができ、また第2保持部Bと第3保持部Cによって、Z方向及びXY平面内での回転方向について移動させることができ、また第3保持部Cと第4保持部Dによって、X方向及びY方向並びにXY平面内での回転方向について移動させることができ、さらに第4保持部Dと光軸整機構101のフレーム(固定部分)によって、X方向及びY方向並びにXY平面内での回転方向について移動させることができる。
【0029】
このように、実施形態の姿勢調整装置1によれば、光ファイバーの終端部の各位置(X、Y、Z方向の各位置)と、その光軸の傾き(光ファイバーによる光の出射方向)を、複数の構成部品の組み合わせにより得られた複数の案内面において個別に調整することができ、調整後には、機械的に簡易かつ確実なねじ構造で確実に固定できる。ねじ構造による固定であるため、調整後の位置固定の作業性は良好であり、また、光測定器において光ファイバーの着脱を繰り返しても、光ファイバーの光軸がずれて測定の分解能等が劣化する等の問題は発生しにくい。さらに、必要に応じて固定を解除し、再度の調整を行なう作業も容易に行なえる。
【0030】
以上説明した実施形態の姿勢調整装置1では、位置及び傾きを調整する光学素子として光ファイバーを取り上げたが、これは格別光学素子を光ファイバーに限定する趣旨ではなく、本発明は、光ファイバー以外のあらゆる光学素子の位置及び傾きを調整する装置として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1…姿勢調整装置
4…第1保持部Aの外面
8…第3保持部Cの案内穴
21…第2保持部B1の内面
22…第2保持部B2の内面
100…光学素子としての光ファイバー
A…第1保持部
B,B1,B2…第2保持部
C…第3保持部
D…第4保持部
X,Y,Z…第1乃至第3の方向