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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155086
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/08 20060101AFI20241024BHJP
   B65D 1/34 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B65D43/08 210
B65D1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069500
(22)【出願日】2023-04-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 丸紅プラックス株式会社が、令和5年2月13日にhttps://eucalp.com/のウェブサイトにて、松原求らが発明した「包装用容器の蓋」を公開した。 〔刊行物等〕 丸紅プラックス株式会社が、令和5年2月15日に発行のカタログにて、松原求らが発明した「包装用容器の蓋」を公開した。 〔刊行物等〕 福助工業株式会社及び丸紅プラックス株式会社が、令和5年2月15日~2月17日に幕張メッセで行われた一般社団法人全国スーパーマーケット協会主催のスーパーマーケット・トレードショー2023において、松原求らが発明した「包装用容器の蓋」を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521260411
【氏名又は名称】丸紅プラックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 求
(72)【発明者】
【氏名】澤田 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真一
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA09
3E033AA10
3E033BA10
3E033CA09
3E033DA08
3E033FA10
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA34
3E084AB01
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084CC07
3E084DA03
3E084DB09
3E084DB13
3E084DC07
3E084FC07
3E084GA08
3E084GB12
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】パルプモールド製の容器であっても、できるだけ液漏れを防ぐことができるようにする。
【解決手段】包装用容器1に、底壁3及び底壁3に連続する側壁4を有するパルプモールド製の容器本体2と、容器本体2の側壁4に対して内嵌合により嵌め込まれる合成樹脂製の蓋部10とを設ける。容器本体2の側壁4周縁上部内面に、蓋部10の側板12の周縁下部外面が圧接する平坦な容器側被当接部6を形成し、蓋部10の側板12の周縁下部外面(外側当接部14)に、容器側被当接部6の平坦面に当接する、外方へ突出し、周方向に連続した突条15を一体に形成する。突条15を、容器側被当接部6を変形させて密着させることにより、蓋部10が容器本体2に保持される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁及び前記底壁に連続する側壁を有するパルプモールド製の容器本体と、
前記容器本体の側壁周縁上部内面に対して内嵌合により嵌め込まれる合成樹脂製の蓋部とを備え、
前記容器本体の側壁周縁上部内面には、前記蓋部の側板の周縁下部外面が圧接する平坦な容器側被当接部が形成され、
前記蓋部の側板の前記周縁下部外面には、前記容器側被当接部の平坦面に当接する、外方へ突出し、周方向に連続した突条が一体に形成されており、
前記突条が前記容器側被当接部を変形させて密着することで、前記蓋部が前記容器本体に保持されるように構成されている
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記容器側被当接部は、鉛直面に対して外方へ-2°以上6°以下傾斜しており、
前記蓋部の側板の前記周縁下部外面は、鉛直面に対して外方へ-2°以上6°以下傾斜している
ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記突条は、前記側板の前記周縁下部外面から0.3mm以上1.0mm以下外方へ突出している
ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項4】
前記容器本体の少なくとも上面は、ラミネート加工されており、
前記容器本体の側壁の厚さは、0.3mm以上0.8mm以下である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の包装用容器。
【請求項5】
前記蓋部の材質は、ポリプロピレン、ポリスチレン又は非晶性ポリエチレンテレフタレートであり、
前記側板の周縁下部の厚さは、0.15mm以上0.70mm以下である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルプモールド製の底壁及びこの底壁に連続する側壁を有する容器本体と、この容器本体の側壁に対して内嵌合により嵌め込まれる合成樹脂製の蓋部とを備えた包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1のように、内容物を収容するための容器本体と、容器本体の開口部を閉塞しうる蓋体とを備えてなり、該蓋体の周縁に沿って形成された溝の外側面が前記容器本体の開口部内周面に嵌合されることで前記蓋体が前記容器本体に内嵌合状態で固定される包装用容器が知られている。この包装用容器において、容器本体の周壁部の上端には、断面視略半円状に上方へ膨らむように湾曲した縁部が、容器本体の開口部に沿って環状に形成されており、該縁部の内周面は、上方へ向かって縮径する(すなわち、開口が狭まる)ように、いわゆるアンダー部が形成されている。蓋体には、断面視略U字状の溝が該蓋体の周縁に沿って環状に形成されており、該溝の外側面は、上方へ向かって縮径するように形成されている。つまり、閉蓋時においては、縁部の内周面と溝の外側面とが係合し、蓋体が容器本体に内嵌合状態で固定されることとなる。
【0003】
また、特許文献2のように、紙又は紙もしくは植物繊維を主体とする材料からなり、上部開口に外巻状縁部を備え、前記上部開口の前記外巻状縁部近傍の内周壁部に前記上部開口の前記外巻状縁部と平行に周回する凹溝状嵌合部が形成された紙製容器本体と、前記紙製容器本体の前記上部開口を覆うとともに前記紙製容器本体内の蒸気を排出する蒸気孔を有する蓋面部と、前記紙製容器本体の前記上部開口の縁部に当接する蓋鍔部と、前記蓋面部と前記蓋鍔部との間に介在されて前記紙製容器本体の前記上部開口内に入り込むように周設された垂下部とを有し、前記蓋鍔部が前記垂下部の上端から外側方へ延設されているとともに、前記垂下部の外周部に閉蓋時に前記凹溝状嵌合部に嵌着する凸条嵌着部が形成されている蓋体とを備える電子レンジ加熱食品用蓋付き紙製容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5503928号公報
【特許文献2】特開2021-142987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、環境負荷を低減する脱プラスチック技術の一例として、パルプモールドが注目されている。パルモールドの材料としては、木材パルプ、竹繊維、サトウキビ繊維などの繊維材料が使用されている。パルプモールドは、例えば、金型の上にパルプ材料を積層させて乾燥させるため、上記特許文献1のようなアンダー部の成形が困難であるという問題がある。
【0006】
一方、上記特許文献2のような厚紙で構成された紙製容器であれば、合成樹脂製蓋体の凸条嵌着部に合わせて紙製容器本体を変形させて凹溝状嵌合部を形成すればよい。
【0007】
しかしながら、パルプモールドによる容器本体には、上述したように特許文献1のようなアンダー部を設けることも、特許文献2のように凹溝状嵌合部を形成することも困難である。
【0008】
このため、パルプモールドによる包装用容器では、液漏れのしやすさが改善できておらず、液漏れしにくい具材を入れたり、消費者に液漏れに注意するよう促したりしなければならなかった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パルプモールド製の容器であっても、できるだけ液漏れを防ぐことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、合成樹脂製の蓋部周縁下部外面の全周に連続して突条を設けてパルプモールド製の容器側被当接部の平坦面を変形させて密着させるようにした。
【0011】
具体的には、第1の発明では、底壁及び前記底壁に連続する側壁を有するパルプモールド製の容器本体と、
前記容器本体の側壁周縁上部内面に対して内嵌合により嵌め込まれる合成樹脂製の蓋部とを備え、
前記容器本体の側壁周縁上部内面には、前記蓋部の側板の周縁下部外面が圧接する平坦な容器側被当接部が形成され、
前記蓋部の側板の周縁下部外面には、前記容器側被当接部の平坦面に当接する、外方へ突出し、周方向に連続した突条が一体に形成されており、
前記突条が前記容器側被当接部を変形させて密着することで、前記蓋部が前記容器本体に保持されるように構成されている。
【0012】
上記の構成によると、容器本体がパルプモールド製であるため、容器側被当接部にアンダー部を有する溝部を設けたり、容器本体内方に傾けたりすることは困難であるが、蓋部側板の周縁下部外面に、外方へ突出し周方向に連続する突条を一体に形成したので、容器側被当接部が適度に変形することにより、突条が容器側被当接部に密着し、容器本体内部から蓋部の外へ液体が漏れにくくなる。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
前記容器側被当接部は、鉛直面に対して外方へ-2°以上6°以下傾斜しており、
前記蓋部の側板の前記周縁下部外面は、鉛直面に対して外方へ-2°以上6°以下傾斜している。
【0014】
上記の構成によると、容器側被当接部の内方への傾斜角度を最小限の2°以下としたので、パルプモールド成形であっても実現可能であり、一方、アンダー部とできない場合であっても外方への傾斜角度を最大6°以内に抑えることで、蓋部が意図せず外れにくくなる。また、それに合わせて蓋部側板の周縁下部外面の傾斜角度も-2°以上6°以下とすれば、容器側被当接部に密着しやすくなり、より容器本体内部から蓋部の外へ液体が漏れにくくなる。
【0015】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
前記突条は、前記側板の前記周縁下部外面から0.3mm以上1.0mm以下外方へ突出している。
【0016】
ここで、1.0mmよりも大きく突条が出っ張ると、蓋部を容器本体に嵌めにくくなり、また、蓋部を嵌めることができたとしても、蓋部を外しにくくなる。また、0.3mmよりも突条が出っ張らないと、突条が容器側被当接部に十分に密着できず、蓋部が意図せず外れて液体がこぼれるおそれがある。しかし、上記の構成によると、突条が適度な力で容器側被当接部を変形させて密着し、液漏れを確実に防ぎながらも、蓋部も外しやすい点で、有利である。
【0017】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
前記容器本体の少なくとも上面は、ラミネート加工されており、
前記容器本体の側壁の厚さは、0.3mm以上0.8mm以下である。
【0018】
上記の構成によると、適度な厚さのパルプモールド製の容器であるので、必要な剛性を保ちながらも合成樹脂よりなる突条に適度に押し込まれて変形し密着することができる。また、ラミネート加工によって、耐水性及び耐油性が向上し、水分や油分を含む食材の使用にも耐えるだけでなく、表面硬度が適度に高くなり、突条を押し込んだときに容器側被当接部が凹みすぎず、塑性変形してしまわない。
【0019】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
前記蓋部の材質は、ポリプロピレン、ポリスチレン又は非晶性ポリエチレンテレフタレートであり、
前記側板の周縁下部の厚さは、0.15mm以上0.70mm以下である。
【0020】
上記の構成によると、適度な剛性を有するので、容器本体内の液体が漏れにくく、一方では、硬すぎないので、蓋部を外す場合には適度な力で蓋部を外すことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、大きめのアンダー部を設けるのが難しいパルプモールド製の容器本体であっても、蓋部側板の周縁下部外面に向けた突条によって平坦な容器側被当接部を適度に変形させて密着させることにより、容器本体内部の液体が漏れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】容器本体及び蓋部を有する包装用容器を示す斜視図である。
図2図1の縦方向断面図である。
図3図2のIII部拡大断面図である。
図4】容器本体の平面図である。
図5】容器本体の正面図である。
図6】蓋部の底面図である。
図7】蓋部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明の実施形態の包装用容器1を示し、この包装用容器1は、底壁3及び底壁3に連続する側壁4を有するパルプモールド製の容器本体2を備えている。具体的には、図2図4及び図5に示すように、容器本体2は、例えば、矩形状の底壁3を有し、その底壁3から上方に向かって外方へ例えば15°傾斜する側壁4が連続する皿状の容器であり、例えば、表面側にラミネート加工がされて耐水性及び耐油性を高めることにより、液体を含む食品などを収容可能となっている。容器本体2は、パルプモールド成形の性質上、側壁4が鉛直面P(図3に示す)に対して内方(アンダー)になるように傾斜するのは困難である。
【0025】
図3図6及び図7に示すように、包装用容器1は、容器本体2の側壁4に対して、いわゆる内嵌合により嵌め込まれる合成樹脂製の蓋部10を備えている。本実施形態の蓋部10は、容器本体2に合わせて平面視で矩形状である。例えば、容器本体2の各辺は大きな半径Rの曲線で構成されている。容器本体2の形状は、平面視で丸形、楕円形又は正方形であってもよく、それに合わせて蓋部10も、平面視で丸形、楕円形又は正方形としてもよい。
【0026】
そして、容器本体2は、食品等が触れる上面がラミネート加工され、外面側はラミネート加工されずにパルプ本来の触感が味わえるようになっている。容器本体2の側壁4の厚さt1は、0.3mm以上0.8mm以下であり(0.3mm≦t1≦0.8mm)、本実施形態では、例えば、t1=0.5mmである。
【0027】
蓋部10の材質は、特に限定されないが、例えば、透明なポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)又は非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)である。ポリスチレンは、強度面で優れたOPS(二軸延伸ポリスチレンシート)であってもよい。その側板12の周縁下部の厚さt2は、0.15mm以上0.70mm以下であり(0.15mm≦t2≦0.70mm)、本実施形態では、例えば、t2=0.3mmである。
【0028】
図3図4及び図5に示すように、容器本体2の底壁3から外方に向かって拡がるように傾斜して立ち上がる側壁4の周縁には、水平な段部5が平面視で矩形枠状に配置されている。段部5の幅は、例えば5mmである。この段部5の外周縁には段部5に対してほぼ垂直に、蓋部10の側板12の周縁下部の外側当接部14が圧接する平坦な容器側被当接部6が形成されている。
【0029】
容器側被当接部6は、容器本体2を水平面に置いたとき、鉛直面Pに対して外方へ-2°以上6°以下傾斜して(-2°≦θ1≦6°)おり、例えば、アンダーとならない、2°だけ外方へ傾いている(θ1=2°)。
【0030】
容器側被当接部6の上端には、平坦な、外周平坦部7が連続して形成されている。外周平坦部7の外周端は下方に折れ曲がってさらに水平に拡がる水平外周縁8を設けることで、剛性が確保されている。例えば、外周平坦部7及び水平外周縁8の平面視での幅は、8mm程度である。
【0031】
一方、図2図6及び図7に示すように、蓋部10の矩形状の天板11に連続する、下方に向かって外側へ拡がる4つの側板12の周縁下面には、容器本体2の段部5に当接する段部当接部13が形成されており、この段部当接部13の外周縁には、容器側被当接部6の平坦面に対応して外側当接部14が周方向に連続して形成されている。
【0032】
蓋部10の側板12の周縁下部外面(外側当接部14)は、容器側被当接部6の傾きに合わせ、鉛直面Pに対して外方へ-2°以上6°以下傾斜している(-2°≦θ2≦6°)。本実施形態では、例えば、鉛直面Pに対してθ2が0°となっている(θ2=0°)。
【0033】
外側当接部14の上端は、外方へ水平に拡がる蓋部周縁16が拡がり、この蓋部周縁16が容器本体2の外周平坦部7に面接触するようになっている。
【0034】
以上のように構成することにより、蓋部10は、容器本体2に対して外周端で嵌合する外嵌合ではなく、図3に拡大して示すように、容器本体2に対して内側で嵌合する、内嵌合状態で脱着可能に構成されている。
【0035】
そして、本実施形態では、外側当接部14に、外方へ突出し、周方向に連続した突条15が一体に形成されている。
【0036】
図3に拡大して示すように、突条15は、側板12の周縁下部外面から高さhが0.3mm以上1.0mm以下外方へ突出している(0.3≦h≦1.0)。例えば、本実施形態では、h=0.5mm突出している。例えば、突条15は、段部当接部13に対して45°傾斜し、外側当接部14に対しても45°傾斜するように突出し、その先端には、幅が5mmの平坦面が形成されている。このため、狭い範囲ではあるが、突条15の先端が、容器側被当接部6に対して面接触可能となっている。
【0037】
包装用容器1では、この突条15が容器側被当接部6を変形させて密着することで、蓋部10が容器本体2に保持されるように構成されている。
【0038】
なお、図6に示すように、外側当接部14の上端の蓋部周縁16の、例えば対角線上に、平面視山型のツマミ部17が突出している。このツマミ部17をつまんで容器本体2から蓋部10を外しやすくしている。
【0039】
また、それぞれの側板12の下部には、所定位置に積重用膨出部18がいくつかのパターンの所定位置にずらして設けられており、設置位置の異なる複数の蓋部10を積み重ねたときに各蓋部10を一枚ずつ取り出しやすくしている。
【0040】
さらに一対の側板12でできる隅角部には、例えば、3本の補強リブ19が互いに間隔をあけて上下に延びるように、並んで設けられている。
【0041】
以上説明したように、容器本体2がパルプモールド製であるため、容器側被当接部6にアンダー部となる溝部を設けたり、内側に傾けたりすることはできないが、蓋部10の側板12の周縁下部外面に、外方へ突出し周方向に連続する突条15を一体に形成したので、容器側被当接部6が適度に変形することにより、突条15が容器側被当接部6に密着し、容器本体2内部から蓋部の外へ液体が漏れにくくなる。
【0042】
また、容器本体2は、適度な厚さのパルプモールド製の容器であるので、必要な剛性を保ちながらも突条15に適度に押し込まれて変形し密着することができる。
【0043】
そして、容器本体2は、ラミネート加工によって、耐水性及び耐油性が向上し、水分や油分を含む食材の使用にも耐えるだけでなく、突条15を押し込んだときに容器側被当接部6が凹みすぎず、塑性変形してしまわない。
【0044】
本実施形態では、容器側被当接部6のアンダー側への傾斜角度を最小限の2°としたので、パルプモールド成形であっても、実現可能であり、一方、アンダー部とできない場合であっても外方への傾斜角度を最大6°以内に抑えることで、蓋部10が意図せず外れにくくなる。また、それに合わせて蓋部10の側板周縁下部外面の傾斜角度も-2°以上6°以下とすれば、容器側被当接部6に密着しやすくなり、より容器本体2の内部から蓋部10の外へ液体が漏れにくくなる。
【0045】
上述したように、本実施形態では、突条15を側板12の周縁下部外面から0.3mm以上1.0mm以下外方へ突出させている。1.0mmよりも大きく突条が出っ張ると、蓋部10を容器本体2に嵌めにくくなり、また、蓋部10を嵌めることができたとしても、蓋部10を外しにくくなる。また、0.3mmよりも突条15が出っ張らないと、突条15が容器側被当接部6に十分に密着できず、蓋部10が意図せず外れて液体がこぼれるおそれがある。しかし、本実施形態によると、突条15が適度な力で容器側被当接部6を変形させて密着し、液漏れを確実に防ぎながらも、蓋部10を外す必要があるときには適度な力で蓋部10を外しやすい。
【0046】
本実施形態では、適度な厚さに成形された合成樹脂製の蓋部10が、適度な剛性を有するので、容器本体2内の液体が漏れにくく、一方では、蓋部10を外しやすい。
【0047】
したがって、本実施形態に係る包装用容器1によると、アンダー部を設けるのが難しいパルプモールド製の容器本体2であっても、蓋部10の側板12周縁下部外面に向けた突条15によって平坦な容器側被当接部6を適度に変形させて密着させることにより、容器本体2内部の液体が漏れにくくなる。
【0048】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 包装用容器
2 容器本体
3 底壁
4 側壁
5 段部
6 容器側被当接部
7 外周平坦部
8 水平外周縁
10 蓋部
11 天板
12 側板
13 段部当接部
14 外側当接部
15 突条
16 蓋部周縁
17 ツマミ部
18 積重用膨出部
19 補強リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7