(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155087
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】錠操作部材
(51)【国際特許分類】
E05C 1/06 20060101AFI20241024BHJP
E05B 1/00 20060101ALI20241024BHJP
E05B 15/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
E05C1/06 A
E05B1/00 311F
E05B15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069501
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000147442
【氏名又は名称】株式会社WEST inx
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】西 康雄
(72)【発明者】
【氏名】勝部 博行
(57)【要約】
【課題】施開錠のための操作をより容易化することが可能な錠操作部材を提供する。
【解決手段】戸に取り付けた錠部材の施錠状態と開錠状態を切り替える錠操作部材において、被押圧部材と、回転体部と、錠部材と直接又は間接的に係合する錠係合部を有し、被押圧部材が押圧された際の押圧力を回転体部の回転力に変換する変換機構を備え、錠係合部は、施錠状態における姿勢である第1姿勢と、開錠状態における姿勢である第2姿勢の間で姿勢変更するものであり、被押圧部材が押圧されることで回転体部が回転し、当該回転によって錠係合部が第1姿勢と第2姿勢の一方から他方に姿勢変更するものであり、被押圧部材が押圧されるごとに回転体部が異なる方向に回転し、第1姿勢から第2姿勢への姿勢変更と、第2姿勢から第1姿勢への姿勢変更が交互に実行される構成とする。
【選択図】
図30
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸に取り付けた錠部材の開錠状態と施錠状態を切り替える錠操作部材であって、
被押圧部材と、回転体部と、前記錠部材と直接又は間接的に係合する錠係合部を有し、
前記被押圧部材が押圧された際の押圧力を前記回転体部の回転力に変換する変換機構を備え、
前記錠係合部は、前記開錠状態における姿勢である第1姿勢と、前記施錠状態における姿勢である第2姿勢の間で姿勢変更するものであり、
前記被押圧部材が押圧されることで前記回転体部が回転し、当該回転によって前記錠係合部が前記第1姿勢と前記第2姿勢の一方から他方に姿勢変更するものであり、
前記被押圧部材が押圧されるごとに前記回転体部が異なる方向に回転し、前記第1姿勢から前記第2姿勢への姿勢変更と、前記第2姿勢から前記第1姿勢への姿勢変更が交互に実行される、錠操作部材。
【請求項2】
前記被押圧部材は、回転方向制御部材を有し、
前記回転方向制御部材は、第1制御姿勢と、前記第1制御姿勢とは異なる第2制御姿勢の間で姿勢変更するものであり、
前記被押圧部材が押圧され、前記第1制御姿勢をとる前記回転方向制御部材が前記回転体部と係合することで、前記回転体部が所定方向に回転し、
前記被押圧部材が押圧され、前記第2制御姿勢をとる前記回転方向制御部材が前記回転体部と係合することで、前記回転体部が前記所定方向とは逆方向に回転する、請求項1に記載の錠操作部材。
【請求項3】
前記被押圧部材は、押圧されることで基準位置から押圧位置に移動するものであり、
前記回転体部は、第1回転体側係合部と、第2回転体側係合部を有し、
前記被押圧部材の前記押圧位置への移動に伴って前記回転方向制御部材と前記第1回転体側係合部が係合し、前記回転体部が回転するものであり、
前記被押圧部材の前記基準位置への移動に伴って前記回転方向制御部材と前記第2回転体側係合部が係合し、前記回転方向制御部材が前記第1制御姿勢と前記第2制御姿勢の一方から他方へ姿勢変更する、請求項2に記載の錠操作部材。
【請求項4】
前記回転方向制御部材は、揺動自在に取り付けられ、揺動することで前記第1制御姿勢と前記第2制御姿勢の間で姿勢変更するものであり、
前記回転方向制御部材は、第1突起部と、第2突起部を有し、
前記回転方向制御部材が前記第1制御姿勢をとる状態では、前記被押圧部材の前記押圧位置への移動に伴って前記第1突起部と前記第2突起部の一方と、前記第1回転体側係合部とが係合し、前記被押圧部材の前記基準位置への移動に伴って前記第1突起部と前記第2突起部の一方と前記第2回転体側係合部が係合するものであり、
前記回転方向制御部材が前記第2制御姿勢をとる状態では、前記被押圧部材の前記押圧位置への移動に伴って前記第1突起部と前記第2突起部の他方と、前記第1回転体側係合部とが係合し、前記被押圧部材の前記基準位置への移動に伴って前記第1突起部と前記第2突起部の他方と前記第2回転体側係合部が係合する、請求項3に記載の錠操作部材。
【請求項5】
操作レバー部を有し、
前記操作レバー部は、前記回転体部と前記錠係合部の少なくとも一方と一体に形成される、又は、前記回転体部と前記錠係合部の少なくとも一方に直接又は間接的に取り付けられるものであり、一部が外部に露出するものであって、
前記操作レバー部を操作することで、前記錠係合部が前記第1姿勢と前記第2姿勢の間で姿勢変更する、請求項1又は2に記載の錠操作部材。
【請求項6】
前記施錠状態と前記開錠状態のいずれであるのかを表示する表示部を有し、
前記表示部は、表示部材を含んで構成され、
前記表示部材は、第1表示領域と、前記第1表示領域とは視覚的に異なる第2表示領域を有しており、
前記表示部は、前記第1表示領域の少なくとも一部と、前記第2表示領域の少なくとも一部のいずれかを外部から視認可能な状態で表示することで、前記施錠状態と前記開錠状態のいずれであるのかを示すものであり、
前記表示部材が前記回転体部に直接又は間接的に取り付けられ、前記回転体部の回転に伴って前記表示部材が回転し、前記表示部の表示が変更される、請求項1又は2に記載の錠操作部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠と共に使用する錠操作部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠のデッドボルトを操作する操作部材(操作手段)として、サムターンが広く知られている。例えば、特許文献1には、シリンダー錠、錠箱、サムターンを室外側から順に備える施錠ユニットを2つ設け、2つの施錠ユニットを連動させる施錠装置が開示されている。
【0003】
この施錠装置では、室外側から開錠する際には、2つのシリンダー錠に対してそれぞれ開錠操作をすることで、2つの錠箱をそれぞれ開錠させる。その一方で、この施錠装置は、室内側から開錠する際には、一方のサムターンを回転操作することで、2つの錠箱を開錠させることが可能となっている。すなわち、この施錠装置は、施錠ユニットを2つ設けることで防犯性を高めており、2つのサムターンを回転操作することなく室内側からの開錠を可能とすることで、操作性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のサムターンを操作して施解錠を行う場合、使用者は、つまみ部分を摘まんで捻る操作をする必要がある。しかしながら、この摘まんで捻る操作は、多くの人にとっては容易な操作であるが、障がい者やお年寄りのような指先の力が弱い一部の人にとって困難となる場合があった。
以上のことから、より多くの人にとって施開錠操作が容易となる錠操作部材が望まれていた。
【0006】
そこで本発明は、施開錠のための操作をより容易化することが可能な錠操作部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、戸に取り付けた錠部材の開錠状態と施錠状態を切り替える錠操作部材であって、被押圧部材と、回転体部と、前記錠部材と直接又は間接的に係合する錠係合部を有し、前記被押圧部材が押圧された際の押圧力を前記回転体部の回転力に変換する変換機構を備え、前記錠係合部は、前記開錠状態における姿勢である第1姿勢と、前記施錠状態における姿勢である第2姿勢の間で姿勢変更するものであり、前記被押圧部材が押圧されることで前記回転体部が回転し、当該回転によって前記錠係合部が前記第1姿勢と前記第2姿勢の一方から他方に姿勢変更するものであり、前記被押圧部材が押圧されるごとに前記回転体部が異なる方向に回転し、前記第1姿勢から前記第2姿勢への姿勢変更と、前記第2姿勢から前記第1姿勢への姿勢変更が交互に実行される、錠操作部材である。
【0008】
本様相によると、錠操作部材の一部を戸側へ押し込むという簡単な操作で錠部材の施錠状態と開錠状態を切り替えが可能となる。また、施錠状態から開錠状態への移行と、開錠状態から施錠状態への移行が同じ動作によって可能となる。以上のことから、施開錠のための操作をより容易化できる。また、2つの錠箱を設けたりすることなく、サムターン回しによる不正な開錠を防止可能である。このため、戸に対する錠箱及びその周辺部材の交換作業(取付作業及び取外作業)を煩雑化させることなく、操作性を向上させた上で防犯性を高めることが可能となる。
さらに、モータ等の動力源を必要とせず操作性の向上を図ることが可能であり、様々な場所の戸に取り付け可能であり、且つ、製造コスト、運用コストの低減を図ることができる。
【0009】
好ましい様相は、前記被押圧部材は、回転方向制御部材を有し、前記回転方向制御部材は、第1制御姿勢と、前記第1制御姿勢とは異なる第2制御姿勢の間で姿勢変更するものであり、前記被押圧部材が押圧され、前記第1制御姿勢をとる前記回転方向制御部材が前記回転体部と係合することで、前記回転体部が所定方向に回転し、前記被押圧部材が押圧され、前記第2制御姿勢をとる前記回転方向制御部材が前記回転体部と係合することで、前記回転体部が前記所定方向とは逆方向に回転する。
【0010】
係る様相によると、比較的簡易な構造で回転方向の変更が可能となる。
【0011】
好ましい様相は、前記被押圧部材は、押圧されることで基準位置から押圧位置に移動するものであり、前記回転体部は、第1回転体側係合部と、第2回転体側係合部を有し、前記被押圧部材の前記押圧位置への移動に伴って前記回転方向制御部材と前記第1回転体側係合部が係合し、前記回転体部が回転するものであり、前記被押圧部材の前記基準位置への移動に伴って前記回転方向制御部材と前記第2回転体側係合部が係合し、前記回転方向制御部材が前記第1制御姿勢と前記第2制御姿勢の一方から他方へ姿勢変更する。
【0012】
係る様相によると、回転体部が回転方向制御部材を姿勢変更させる部材としても機能するので、部品点数の削減が可能であり、錠操作部材全体の小型化が可能である。
【0013】
好ましい様相は、前記回転方向制御部材は、揺動自在に取り付けられ、揺動することで前記第1制御姿勢と前記第2制御姿勢の間で姿勢変更するものであり、前記回転方向制御部材は、第1突起部と、第2突起部を有し、前記回転方向制御部材が前記第1制御姿勢をとる状態では、前記被押圧部材の前記押圧位置への移動に伴って前記第1突起部と前記第2突起部の一方と、前記第1回転体側係合部とが係合し、前記被押圧部材の前記基準位置への移動に伴って前記第1突起部と前記第2突起部の一方と前記第2回転体側係合部が係合するものであり、前記回転方向制御部材が前記第2制御姿勢をとる状態では、前記被押圧部材の前記押圧位置への移動に伴って前記第1突起部と前記第2突起部の他方と、前記第1回転体側係合部とが係合し、前記被押圧部材の前記基準位置への移動に伴って前記第1突起部と前記第2突起部の他方と前記第2回転体側係合部が係合する。
【0014】
係る様相によると、回転方向制御部材を簡易な形状とすることが可能であり、製造が容易であり、且つ、回転方向制御部材の強度向上を図ることができる。
【0015】
好ましい様相は、操作レバー部を有し、前記操作レバー部は、前記回転体部と前記錠係合部の少なくとも一方と一体に形成される、又は、前記回転体部と前記錠係合部の少なくとも一方に直接又は間接的に取り付けられるものであり、一部が外部に露出するものであって、前記操作レバー部を操作することで、前記錠係合部が前記第1姿勢と前記第2姿勢の間で姿勢変更する。
【0016】
係る様相によると、何らかの理由によって錠操作部材の一部が破損し、押し込む操作で錠部材の開錠(施開錠)が出来なくなった場合であっても、操作レバー部を操作することで錠部材の開錠が可能となる。すなわち、錠操作部材の故障により戸が開かなくなってしまう問題の発生を抑制できる。
【0017】
好ましい様相は、前記施錠状態と前記開錠状態のいずれであるのかを表示する表示部を有し、前記表示部は、表示部材を含んで構成され、前記表示部材は、第1表示領域と、前記第1表示領域とは視覚的に異なる第2表示領域を有しており、前記表示部は、前記第1表示領域の少なくとも一部と、前記第2表示領域の少なくとも一部のいずれかを外部から視認可能な状態で表示することで、前記施錠状態と前記開錠状態のいずれであるのかを示すものであり、前記表示部材が前記回転体部に直接又は間接的に取り付けられ、前記回転体部の回転に伴って前記表示部材が回転し、前記表示部の表示が変更される。
【0018】
係る様相は、表示部を有しており、戸を施錠又は開錠しようとする人が、現在の錠部材が施錠状態であるのか、開錠状態であるのかを簡単に確認できる。また、表示部材を回転体部に取り付けて、回転体部と共に回転する構造とすることで、表示部を簡単な構造で形成できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、施開錠のための操作をより容易化することが可能な錠操作部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る錠操作部材を採用した錠付き戸を示す斜視図である。
【
図2】
図1の錠付き戸の一部を拡大して示す分解斜視図である。
【
図3】
図1の錠操作部材を示す斜視図であり、(a)、(b)はそれぞれ異なる方向からみた様子を示す。
【
図5】
図4の操作部材本体を示す分解斜視図である。
【
図6】
図4の外郭形成部材を示す斜視図であり、(a)、(b)はそれぞれ異なる方向からみた様子を示す。
【
図7】(a)は、
図6の外郭形成部材を示す背面図であり、(b)は、(a)の第2外郭側係合突起部の周辺を示す斜視図であり、(c)は、
図6の外郭形成部材を示す断面図である。
【
図8】
図4の表示部材を示す図であり、(a)、(b)は、それぞれ別方向からみた斜視図であり、(c)は、分解斜視図である。
【
図9】
図4の被押圧部材を示す斜視図であり、(a)、(b)は、それぞれ別方向からみた状態を示す。
【
図10】
図9の被押圧部材を示す分解斜視図である。
【
図11】
図10の被押圧部材本体を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
【
図12】
図10の被押圧部材本体を示す図であり、(a)は後方から見た様子を示す斜視図であり、(b)は背面図である。
【
図13】
図10の制御片部材を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図であり、(c)は(a)とは別方向からみた様子を示す斜視図である。
【
図14】
図10の制御補助部材を示す図であり、(a)、(b)は、それぞれ異なる方向からみた斜視図である。
【
図16】
図9の被押圧部材内で2つの制御片部材が揺動する様子を示す説明図であり、(a)、(b)の間で揺動する。
【
図17】
図5の回転部材を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
【
図19】
図5の回転部材を示す図であり、(a)は、
図17(a)とは異なる方向からみた斜視図であり、(b)は、背面図である。
【
図20】
図5の回転部材の前端側近傍を示す図であり、第1前側係合突起部を上側に位置する姿勢とした状態を示す図であって、(a)は、斜視図であり、(b)は、側面図であり、(c)は、背面図である。
【
図21】
図5の回転部材における回転体部の要部を示す図であり、回転部材の径方向を視線方向とした平面図であって、(a)~(d)は、それぞれ異なる方向から見た様子を示す。
【
図22】
図5の土台周壁形成部材を示す図であり、(a)、(b)はそれぞれ異なる方向からみた様子を示す斜視図である。
【
図23】
図5の土台周壁形成部材を示す断面図である。
【
図24】
図5の土台後壁形成部材を示す図であり、(a)は、前方からみた斜視図であり、(b)は、正面図であり、(c)は、後方からみた斜視図である。
【
図25】
図4の操作部材本体をA-A面で切断した断面斜視図である。
【
図26】
図4の操作部材本体を示すB-B断面図である。
【
図27】
図4の操作部材本体を示すC-C断面図である。
【
図28】
図4の操作部材本体を示すD-D断面図である。
【
図30】
図1の錠操作部材を操作して錠の開錠状態と施錠状態を切り替える様子を示す説明図であり、(a)は、錠の開錠状態であるときの錠操作部材を示す図であって、左図は正面図、右図は背面図である。(b)は、錠の施錠状態であるときの錠操作部材を示す図であって、左図は正面図、右図は背面図である。
【
図31】
図1の錠操作部材を操作して錠の開錠状態と施錠状態を切り替える際の制御片部材と回転部材の位置関係を示す図であり、(a)、(b)の順に位置関係が変化していく。
【
図32】
図31(b)の状態における2つの制御片部材と回転部材の位置関係を示す図であり、回転部材を破断して回転部材の前側部分を省略して示す図であって、(a)は、斜視図であり、(b)は、正面図である。
【
図33】
図32に続いて回転部材が回転していく様子を示す図であり、左図は、側面図、右図は正面図であって、(a)、(b)の順に回転していく。
【
図34】
図33に続いて回転部材が回転した後に、被押圧部材が付勢部材の付勢力によって前方へ移動し、制御片部材が回転部材の前側係合突起部に後方から当接する様子を示す図であり、(a)は、側面図である。(b)は、(a)の状態を示す背面図であって、回転部材を破断して回転部材の後側の大部分を省略して示す。
【
図35】
図34に続いて被押圧部材が前方へ移動していき、2つの制御片部材が姿勢変更していく様子を示す説明図であり、回転部材を破断して回転部材の後側の大部分を省略して示す図であって、(a)~(c)の順に移行していく。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る錠操作部材1について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0022】
錠操作部材1は、
図1で示されるように、錠付き戸2の一部を形成するものである。すなわち、錠付き戸2は、
図2で示されるように、錠操作部材1と、戸本体3(戸)と、錠部材4と、第1取手部材5と、第2取手部材6と、シリンダー部材7を有する。
【0023】
戸本体3は、空間を内外に区切る板状部材である。この戸本体3は、錠箱取付孔10とハンドル取付用孔11と、施開錠部材取付孔12を有する。
【0024】
錠箱取付孔10は、戸本体3の自由端側の端面に開口を有する孔である。
ハンドル取付用孔11は、戸本体3の一方の主面側と、他方の主面側にそれぞれ設けられている(他方の主面側のハンドル取付用孔11については図示しない)。いずれのハンドル取付用孔11も戸本体3の主面に開口を有し、錠箱取付孔10の内部空間まで延びている。すなわち、一方のハンドル取付用孔11と、錠箱取付孔10の一部と、他方のハンドル取付用孔11とが戸本体3の厚さ方向で連続し、戸本体3を厚さ方向に貫通している。
施開錠部材取付孔12もまた、ハンドル取付用孔11と同様に、戸本体3の一方の主面側と、他方の主面側にそれぞれ設けられている(他方の主面側の施開錠部材取付孔12については図示しない)。そして、ハンドル取付用孔11と同様に、一方の施開錠部材取付孔12と、錠箱取付孔10の一部と、他方の施開錠部材取付孔12とが戸本体3の厚さ方向で連続し、戸本体3を厚さ方向に貫通している。
【0025】
錠部材4は、公知のそれと同様に、ラッチボルト、デッドボルト、錠ケースを有し、施錠状態と開錠状態を切り替え可能な部材である。すなわち、デッドボルトが錠ケースに対して出退することで施錠状態と開錠状態が切り替わる。
本実施形態の錠部材4は、錠ケースにラッチ操作用孔15と、施開錠操作用孔16を有する。ラッチ操作用孔15、施開錠操作用孔16は、いずれも錠ケースを厚さ方向に貫通する孔である。なお、錠ケースの厚さ方向は、錠部材4を戸本体3に取り付けた状態での戸本体3の厚さ方向でもある。
この錠部材4は、
図1、
図2で示されるように、錠箱取付孔10(
図2参照)に収容された状態で戸本体3に取り付けられる。
【0026】
第1取手部材5と第2取手部材6は、ドアハンドルを形成する一対の部材であり、芯部材18を介して連結されている。すなわち、第1取手部材5が芯部材18の片側端部側に取り付けられ、第2取手部材6が芯部材18の他方端部側に取り付けられる。そして、芯部材18は、錠箱取付孔10に錠部材4が収容された状態において、錠部材4のラッチ操作用孔15内を通過して延びた状態となる。
【0027】
すなわち、芯部材18は、戸本体3の一方の主面の外側から一方のハンドル取付用孔11内、錠箱取付孔10内、他方のハンドル取付用孔11内を経て、戸本体3の他方の主面の外側まで延びた状態となる。このとき、第1取手部材5は、戸本体3の一方の主面の外側に位置し、芯部材18の片側端部側に取り付けられる。また、第2取手部材6は、戸本体3の他方の主面の外側に位置し、芯部材18の他方端部側に取り付けられる。そして、芯部材18の中途部分は、ラッチ操作用孔15に挿通され、ラッチ操作用孔15内に位置する。以上のことから、第1取手部材5、第2取手部材6を操作することで、第1取手部材5、第2取手部材6の回転力が錠部材4のラッチボルトを出没させる駆動力となり、錠部材4のラッチボルトが出没する。
【0028】
シリンダー部材7は、詳細な図示を省略するが、公知のそれと同様に、外筒内に内筒が挿入されており、鍵穴に所定の鍵を挿入することで、内筒が回転可能な状態となる。また、シリンダー部材7は、シリンダー側係合部7aを有しており、内筒が回転することでシリンダー側係合部7aが回転する。
【0029】
本実施形態では、シリンダー部材7は、施開錠連結部材19を介して錠操作部材1と連結している。すなわち、シリンダー部材7は、戸本体3を挟んで錠操作部材1の逆側に位置し、錠操作部材1と共に使用される、錠操作部材1の関連部材(錠操作関連部材)でもある。
ここで、施開錠連結部材19は、金属製の板状部材となっている。
そして、シリンダー部材7のシリンダー側係合部7aに施開錠連結部材19の一端側が挿入され、錠操作部材1の錠係合孔部130(
図30参照、詳しくは後述する)に施開錠連結部材19の他端側が挿入される。このことにより、シリンダー部材7と錠操作部材1が連結した状態となる。
【0030】
また、施開錠連結部材19は、錠箱取付孔10に錠部材4が収容された状態において、錠部材4の施開錠操作用孔16内を通過して延びた状態となる。
このことにより、シリンダー部材7の鍵穴に所定の鍵を挿入して回すことで、シリンダー側係合部7aが回転し、シリンダー側係合部7aと共に施開錠連結部材19が回転する。このとき、施開錠連結部材19の回転力がデッドボルトを出没させる駆動力となり、デッドボルトが出没し、錠部材4の施錠状態と開錠状態が切り替わる。
このとき、シリンダー部材7と錠操作部材1が施開錠連結部材19を介して連結していることから、施開錠連結部材19の回転に伴って錠操作部材1の錠係合部97(
図30参照、詳しくは後述する)も回転する。
【0031】
反対に、錠操作部材1が操作され、錠操作部材1の錠係合部97が回転すると(
図30参照、詳しくは後述する)、錠係合部97と共に施開錠連結部材19が回転する。そして、上記と同様に、施開錠連結部材19の回転力がデッドボルトを出没させる駆動力となり、デッドボルトが出没し、錠部材4の施錠状態と開錠状態が切り替わる。このとき、施開錠連結部材19の回転に伴ってシリンダー部材7のシリンダー側係合部7aもまた回転する。
【0032】
以下、本実施形態の特徴的な部分である錠操作部材1について詳細に説明する。なお、以下の説明において、上下方向は、
図1の状態を基準とする。また、前後方向は、戸本体3に取り付けた状態における戸本体3側を後側としその逆側を前側とする。そして、前後方向及び上下方向と直交する方向を左右方向とする。
【0033】
錠操作部材1は、
図3で示されるように、表示部20と操作レバー21(操作レバー部)を有する。
この錠操作部材1は、
図4で示されるように、操作部材本体25に、外郭形成部材26と、表示部材27を取り付けて形成されている。また、操作部材本体25は、被押圧部材30と土台部材31を有しており、被押圧部材30が土台部材31に対して前後方向に相対移動可能となるように取り付けられている。すなわち、被押圧部材30は、移動範囲内で最も前方側となる基準位置と、移動範囲内で最も後方側となる押圧位置の間で前後方向にスライド移動可能となっている。
詳細には、操作部材本体25は、
図5で示されるように、被押圧部材30と、回転部材35と、付勢部材36と、土台部材31を形成する土台周壁形成部材38と、土台後壁形成部材39とを有する。
【0034】
外郭形成部材26は、被押圧部材30に取り付けられる部材(
図3、
図4参照)であり、化粧部材となる部材である。この外郭形成部材26は、
図6で示されるように、概形が略有底円筒状となる部材であり、樹脂又は金属を原料として形成可能である。詳細には、外郭形成部材26は、後方に開口部分を有する略有底円筒状の部材であり、前側壁部26aと、周壁部26bを有している。周壁部26bは、前側壁部26aの縁部分の近傍から後方に延び、環状(本実施形態では円環状)に連続する側壁部分を形成する。
【0035】
外郭形成部材26は、
図6(a)で示されるように、窓部45と、操作表示部46を有する。
窓部45は、前側壁部26aを厚さ方向に貫通する貫通孔であり、表示部20の一部を構成する(
図3参照)。
操作表示部46は、施開錠のために必要な操作を表示する部分である。本実施形態の操作表示部46は、「P」、「U」、「S」、「H」からなる4つの文字が刻印され(溝によって形成され)ており、これによって「PUSH」という文字が表されている。このことから、使用者は、操作表示部46を視認することで、施開錠のためにこの部分を押圧すればよいことがわかる。
なお、本実施形態の操作表示部46は、文字を刻印して形成したが、例えば、ボタンを押している絵や、記号を刻印してもよい。また、操作表示部46は、刻印に限らず、文字や絵等が表示されたシールを別途形成し、別途形成したシール等を貼り付けてもよい。この他、操作表示部46は、文字や絵等が表示されたカードを別途形成し、外郭形成部材26にカードを保持させる保持部(突起等)を設け、文字や絵等が外部から視認可能な状態でカードを保持させてもよい。すなわち、使用者が操作表示部46を外部から見ることで、施開錠のために必要な操作を使用者が視覚的に認識できればよい。
【0036】
また、外郭形成部材26は、
図6(b)、
図7(a)で示されるように、外郭側取付用係合部48と、表示部材係合部49を有する。
【0037】
外郭側取付用係合部48は、
図7(a)で示されるように、周壁部26bの周方向で離れた位置に形成された第1外郭側係合突起部48a、第2外郭側係合突起部48b、第3外郭側係合突起部48cから構成されている。これらは同形の部分であるので、上側の第2外郭側係合突起部48bのみを詳細に説明し、他の詳細な説明を省略する。
【0038】
第2外郭側係合突起部48bは、
図7(b)、
図7(c)で示されるように、前側壁部26aの内側面(後側面)と、周壁部26bの内側面のそれぞれと連続する突起部分である。すなわち、第2外郭側係合突起部48bは、前側壁部26aの内側面から後方に延び、且つ、周壁部26bの内側面から下側(外郭形成部材26の内部空間の中心側)に延びている。なお、「外郭形成部材26の内部空間の中心側」は、背面視(後方からみた平面視)における周壁部26bの径方向の内側でもある。
【0039】
第2外郭側係合突起部48bは、後端側部分に係止片部50を有する。係止片部50は、前方側に隣接する部分よりも周壁部26bの径方向の内側に向かって延びた部分となっている。
【0040】
表示部材係合部49は、
図6(b)、
図7(a)、
図7(c)で示されるように、回転板係合部54と、回転軸係合部55を有する。回転板係合部54は、前側壁部26aの後側面から前方に窪んだ凹部である。すなわち、回転板係合部54は、外郭形成部材26の内部空間の前端側部分から前方に窪んでいる。
回転軸係合部55は、回転板係合部54の底部分からさらに前方に窪んだ凹部となっている。
【0041】
回転板係合部54、
図6(b)、
図7(a)で示されるように、回転軸係合部55は、いずれも背面視した形状が略円形となる窪み部分であり、背面視において中心部分が同一となるように形成されている。すなわち、回転板係合部54は、背面視において、回転軸係合部55よりも径が大きい円形の部分となる。
なお、回転板係合部54の底部分には、窓部45の後端側開口部分が形成される。すなわち、窓部45は、前側壁部26aよりも前方の外部空間と回転板係合部54の内部とを連通する孔である。
【0042】
表示部材27は、
図8で示されるように、回転板部27aと、表示部材側係合部27bを有する。
【0043】
回転板部27aは、略円板状の部分であり、本実施形態では、
図8(c)で示されるように、シート部材58を回転板部本体59に取り付けて形成されている。
シート部材58は、概形がリング状となる薄いシートであり、内孔部58aと、欠落部58bを有する。内孔部58aは、シート部材58の一方の主面から他方の主面までを貫通する孔であり、シート部材58の厚さ方向を視線方向とした平面視において、シート部材58の中心部分を含む部分に形成される。欠落部58bは、シート部材58の縁端側に形成される欠落部分であり、シート部材58の周縁部分から内孔部58a側に延びている。
【0044】
回転板部本体59は、後方に向かって窪む凹部である取付用凹部59a有する。また、回転板部本体59は、複数の回転板側係合突起60を有している。詳細には、回転板側係合突起60として、第1回転板側係合突起60a、第2回転板側係合突起60b、第3回転板側係合突起60cを有する。
回転板側係合突起60は、いずれも取付用凹部59aの底部分から前方に延びる突起部分である。第1回転板側係合突起60aは、正面視における回転板部本体59の中心部分を含む部分に形成される。第2回転板側係合突起60b、第3回転板側係合突起60cは、取付用凹部59aの周縁部分の近傍に形成される。
【0045】
そして、
図8(c)で示されるように、シート部材58を取付用凹部59aに挿入する。このとき、
図8(a)で示されるように、シート部材58の内孔部58aに第1回転板側係合突起60aを挿入し、シート部材58の2つの欠落部58b内に第2回転板側係合突起60b、第3回転板側係合突起60cを嵌め込んだ状態とする。このことにより、シート部材58が回転板部本体59に取り付けられる。
なお、第1回転板側係合突起60aは、内孔部58a対して略丁度嵌まり込む大きさとなっている。また、2つの欠落部58bと、第2回転板側係合突起60b、第3回転板側係合突起60cとがシート部材58の回り止め部として機能する。
【0046】
ここで、シート部材58の一主面(前側の主面)は、第1表示領域62と、第2表示領域63とを有する。すなわち、回転板部27aは、前側部分に第1表示領域62と、第2表示領域63を有している。
この第1表示領域62と、第2表示領域63は、表示部20において、外部から視認可能な状態で配される部分である(
図3参照)。これら第1表示領域62と、第2表示領域63とは表示内容が異なる部分であり、本実施形態では、第1表示領域62を緑色で塗りつぶされた部分とし、第2表示領域63が赤色で塗りつぶされた部分としている。
【0047】
表示部材側係合部27bは、
図8(b)等で示されるように、回転板部27a(回転板部本体59)から後方に向かって延びる部分であり、概形が角柱状の部分となっている。すなわち、横断面形状が略四角形状で前後方向に延びている。
【0048】
被押圧部材30は、
図9で示されるように、概形が略円柱状の部材である。
被押圧部材30は、ガイド孔部67と、付勢部材係合部68(
図9(b)参照)と、外郭取付用係合部69と、回転部材挿通孔部70(
図9(b)参照)と、外側段差部71を有している。
【0049】
ガイド孔部67は、被押圧部材30を前後方向に貫通して延びる孔(空隙部分)である。
付勢部材係合部68は、
図9(b)で示されるように、後方側部分に開口を有し、前方に向かって延びる有底孔である。
外側段差部71は、被押圧部材30の外周面に形成された段差部分である。すなわち、被押圧部材30の後側部分の外周面は、前側部分の外周面よりも横断面の広がり方向で外側に位置しており、これらの間に段差部が形成されている。外側段差部71は、被押圧部材30の外周面の周方向で一部断続した環状となる断さ部分である。
【0050】
ここで、本実施形態の被押圧部材30は、
図10で示されるように、被押圧部材本体30aと、複数(2つ)の制御片部材30b(回転方向制御部材)と、制御補助部材30cを有しており、これらが組み立てられて形成されている。
【0051】
被押圧部材本体30aは、
図11で示されるように、被押圧部材30の大部分を形成する略円柱状の部材であり、上記した外郭取付用係合部69が形成されている。
外郭取付用係合部69は、第1被押圧側突起部69a、第2被押圧側突起部69b、第3被押圧側突起部69cから構成されている。第1被押圧側突起部69a、第2被押圧側突起部69b、第3被押圧側突起部69cは、被押圧部材本体30aの側壁部分の周方向(前後方向に延びる仮想軸線の軸回り方向)で離れた位置にそれぞれ形成されている。
【0052】
この外郭取付用係合部69は、上記した外郭側取付用係合部48(
図7(a)参照)と対となる係合部である。したがって、第1被押圧側突起部69a、第2被押圧側突起部69b、第3被押圧側突起部69cのそれぞれは、上記した第1外郭側係合突起部48a、第2外郭側係合突起部48b、第3外郭側係合突起部48cのそれぞれと係合する。第1被押圧側突起部69a、第2被押圧側突起部69b、第3被押圧側突起部69cは、同形の部分であるので、上側の第2被押圧側突起部69bのみを詳細に説明し、他の詳細な説明を省略する。
【0053】
第2被押圧側突起部69bは、
図11(a)で示されるように、前端側部分が自由端となるように片持ち状に延びた突起である。詳細な図示を省略するが、この第2被押圧側突起部69bは、基端側(後側)に位置する略長方形板状の部分と、先端側に位置する鉤状部分を有する。すなわち、第2被押圧側突起部69bの先端側部分は、第1被押圧側突起部69aの延設方向(前後方向)と交わる方向に突出する略三角柱状の突起部分を有する。より詳細には、この第2被押圧側突起部69bの先端側の突起部分は、正面視において、被押圧部材本体30aの中心(上下方向及び左右方向の中心)から離れる方向に突出しており、
図11(a)では上方に突出する。
【0054】
被押圧部材本体30aでは、
図11(b)等で示されるように、第2被押圧側突起部69bの周囲が空隙部分となっている。このため、第2被押圧側突起部69bは、撓むように弾性変形が可能となる。
【0055】
被押圧部材本体30aの後方側部分に注目すると、被押圧部材本体30aは、
図12で示されるように、被押圧側取付孔部73と、補助部材取付用突起部74を有している。
被押圧側取付孔部73は、被押圧部材本体30aの一部を前後方向に貫通する孔であり、本実施形態では、左右方向に離れた位置に一つずつ形成されている。
補助部材取付用突起部74は、詳細な図示を省略するが、後方に向かって片持ち状に延びた突起部分であり、先端側(後端側)となる部分に鉤状部分を有する。この補助部材取付用突起部74の周辺もまた、空隙部分となっており、補助部材取付用突起部74は、撓むように弾性変形が可能となっている。
【0056】
また、被押圧部材本体30aには、回転部材挿通孔部70(
図9(b)参照)の一部となる被押圧側挿通孔部70aが形成されている。
ここで、被押圧側挿通孔部70aの前端側近傍には、被押圧側挿通孔部70aの内周面の周方向に連続する内側突起部75(
図27参照)を有する。このため、本実施形態では、被押圧側挿通孔部70a(回転部材挿通孔部70)の前端側の一部は、後方側の大部分よりも窄まった(径方向長さが小さい)部分であり、細く形成された部分となっている(
図27参照)。
【0057】
制御片部材30bは、
図13で示すように、制御片本体77と、取付用突起78と、第1制御用突起79(第1突起部)と、第2制御用突起80(第2突起部)を有している。
制御片本体77は、正面視形状が略弓型となる小片状の部分である。すなわち、制御片本体77は、前面及び後面となる両主面がいずれも略弓型となっている。このことから、制御片本体77は、左右方向の一方側(
図12(b)では右側)の端面に湾曲面部77aを有する。
【0058】
取付用突起78は、
図13(c)等で示されるように、制御片本体77の主面から外側に向かって突出するように形成された概形が略円柱状の突起部分である。
ここで、本実施形態の制御片部材30bは、2つの取付用突起78を有している。
2つの取付用突起78の一方は、制御片本体77の片側主面から外側(前面から前方側)に向かって突出し、他方は、制御片本体77の他方側主面から外側(後面から後方側)に向かって突出するように形成されている。つまり、2つの取付用突起78は、互いに逆側に突出するように形成されている。また、2つの取付用突起78は、中心軸線が同一となるように形成されている。なお、「取付用突起78の中心軸線」とは、取付用突起78の各部横断面の中心を通る仮想線とする
【0059】
第1制御用突起79、第2制御用突起80は、上下方向に離れた位置に配されており、詳細には、第1制御用突起79が第2制御用突起80よりも上方に位置している。この第1制御用突起79、第2制御用突起80は、制御片本体77の端面から外側に突出するように形成された概形が略円柱状となる突起部分であり、詳細には、湾曲面部77aが形成された端面とは左右方向で逆側となる端面から外側に突出している。
【0060】
詳細には、第1制御用突起79、第2制御用突起80は、突出端側の角部分が面取りされ、丸みを帯びた形状となっている。
また、制御片部材30bは、
図13(b)で示すように、第1制御用突起79が左右方向の一方側(図では右側)に向かって突出する姿勢としたとき、第2制御用突起80が左右方向の一方側であって上方(図では右上)となる斜め方向に突出する。
【0061】
制御補助部材30cは、
図14で示されるように、立板状の補助部材本体部86と、補助部材側取付孔部87と、ガイド突起部88と、補助部材側係合部89を有する。また、制御補助部材30cには、回転部材挿通孔部70(
図9(b)参照)の一部となる補助側挿通孔部70bが形成されている。
【0062】
補助部材側取付孔部87は、補助部材本体部86の一部を厚さ方向(前後方向)に貫通する孔である。本実施形態では、2つの補助部材側取付孔部87が形成されており、左右方向で離れた位置にそれぞれ配されている。
【0063】
ガイド突起部88は、
図14(a)で示されるように、補助部材本体部86の前面から前方に突出する突起部分であり、円弧状に延びている。詳細には、補助部材側取付孔部87の上方から、補助部材側取付孔部87の左右方向における外側側方を経て、補助部材側取付孔部87の下方まで湾曲しつつ延びている。このことから、ガイド突起部88は、左右方向の内側(補助部材側取付孔部87側)に湾曲面部88aを有している。
【0064】
本実施形態では、2つのガイド突起部88が形成されており、左右方向で離れた位置にそれぞれ配されている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、2つのガイド突起部88の下端部分同士の間に下側の補助部材側係合部89の一部が位置する。言い換えると、2つのガイド突起部88は、他の部分(補助部材側係合部89の一部)を介して連続し、他の部分を含めて略U字状となるように連続する。
【0065】
補助部材側係合部89は、
図14(a)、
図15で示されるように、補助部材本体部86の前面から前方に突出する略直方体状の外部突起状部89aと、係合用孔部89b(
図15参照)と、係合用突起状部89c(
図15参照)とを有している。本実施形態では、
図14(a)で示されるように、2つの補助部材側係合部89が形成されており、上下方向で離れた位置にそれぞれ配されている。
【0066】
係合用孔部89bは、
図14、
図15で示されるように、外部突起状部89a及び補助部材本体部86を前後方向に貫通する孔である。
係合用突起状部89cは、
図15で示されるように、係合用孔部89bの内周面から内側に凸となるように形成された突起状部分である。本実施形態では、上側のガイド突起部88の係合用突起状部89cは、下方に向かって凸となる(突出する)ように形成されており、下側のガイド突起部88の係合用突起状部89cは、上方に向かって凸となる(突出する)ように形成されている。
【0067】
補助側挿通孔部70bは、補助部材本体部86を貫通する孔であり、本実施形態では、
図14(a)で示されるように、上下方向において、2つの補助部材側係合部89の間に形成されている。
【0068】
本実施形態の被押圧部材30では、
図16で示されるように、内部で2つの制御片部材30bが揺動自在となるように形成されている。
すなわち、被押圧部材30では、2つの制御片部材30bのそれぞれにおける前側の取付用突起78(
図15参照)を、被押圧部材本体30aの2つの被押圧側取付孔部73のそれぞれ(
図12参照)に挿通した状態とする。そして、
図15等で示されるように、2つの制御片部材30bのそれぞれにおける後側の取付用突起78を制御補助部材30cの2つの補助部材側取付孔部87のそれぞれに挿通した状態とする。このことにより、
図16で示されるように、2つの制御片部材30bが揺動自在となる。
【0069】
詳細には、それぞれの制御片部材30bの湾曲面部77aは、それぞれ異なるガイド突起部88の湾曲面部88aとが向かい合わせになるように配されており、これらの一部同士が接触した状態となっている。そして、それぞれの制御片部材30bは、制御片部材30bの湾曲面部77aがガイド突起部88の湾曲面部88aと接触した状態を維持しつつ、前後の2つの取付用突起78(後側の取付用突起78は
図16では図示しない)を回転軸として回動する。つまり、制御片部材30bが回動していくにつれ、制御片部材30bの湾曲面部77aのうち、ガイド突起部88の湾曲面部88aとする部分が変化していく。そして、制御片部材30bが所定方向(例えば、
図16(a)における時計回り方向)に回動し、その後に逆方向に回動することで、制御片部材30bが揺動する。
【0070】
詳しくは後述するが、本実施形態では、詳細には、2つの制御片部材30bがそれぞれ揺動することで、2つの制御片部材30bのそれぞれが開錠時姿勢(第1制御姿勢)と施錠時姿勢(第2制御姿勢)の間で姿勢変更する。以下の説明において、右側の制御片部材30bを第1制御片部材90とも称し、左側の制御片部材30bを第2制御片部材91とも称す。
【0071】
第1制御片部材90の開錠時姿勢は、
図16(a)で示されるように、第1制御用突起79が左右方向の一方側(左方)に突出し、第2制御用突起80が斜め方向(斜め上方であって左方上側)に突出する姿勢である。
その一方で、第2制御片部材91の開錠時姿勢は、
図16(a)で示されるように、第1制御用突起79が斜め方向(斜め上方であって右方下側)に突出し、第2制御用突起80が左右方向の他方側(右方)に突出する姿勢である。
つまり、2つの制御片部材30b(第1制御片部材90、第2制御片部材91)が開錠時姿勢のとき、第1制御片部材90の第2制御用突起80と、第2制御片部材91の施錠時姿勢の第1制御用突起79がいずれも斜め方向に突出する。このとき、これら第2制御用突起80、第1制御用突起79は、正面視で略180°離れた位置に配され、互いに近づく方向に突出する。
【0072】
第1制御片部材90の開錠時姿勢は、
図16(a)で示されるように、正面視において、第2制御用突起80が第1制御用突起79よりも補助側挿通孔部70b(回転部材挿通孔部70)と多く重なる状態となる。すなわち、第2制御用突起80は、第1制御用突起79よりも回転部材挿通孔部70内に多く入り込んだ(大きく突出する)状態となり、第1制御用突起79は、回転部材挿通孔部70内に入り込まない(又は略入り込まない)状態となる。
その一方で、第2制御片部材91の開錠時姿勢は、
図16(a)で示されるように、正面視において、第1制御用突起79が第2制御用突起80よりも補助側挿通孔部70b(回転部材挿通孔部70)と多く重なる状態となる。すなわち、第1制御用突起79は、第2制御用突起80よりも回転部材挿通孔部70内に多く入り込んだ(大きく突出する)状態となり、第2制御用突起80は、回転部材挿通孔部70内に入り込まない(又は略入り込まない)状態となる。
【0073】
反対に、第1制御片部材90の施錠時姿勢は、
図16(b)で示されるように、第1制御用突起79が斜め方向(斜め下であって左方下側)に突出し、第2制御用突起80が左右方向の一方側(左方)に突出する姿勢である。
その一方で、第2制御片部材91の施錠時姿勢は、
図16(b)で示されるように、第1制御用突起79が左右方向の他方側(右方)に突出し、第2制御用突起80が斜め方向(斜め上方であって右方上側)に突出する姿勢である。
つまり、2つの制御片部材30b(第1制御片部材90、第2制御片部材91)が施錠時姿勢のとき、第1制御片部材90の第1制御用突起79と、第2制御片部材91の第2制御用突起80がいずれも斜め方向に突出する。このとき、これら第1制御用突起79、第2制御用突起80は、正面視で略180°離れた位置に配され、互いに近づく方向に突出する。
【0074】
また、第1制御片部材90の施錠時姿勢は、
図16(b)で示されるように、正面視において、第1制御用突起79が第2制御用突起80よりも補助側挿通孔部70b(回転部材挿通孔部70)と多く重なる状態となる。すなわち、第1制御用突起79は、第2制御用突起80よりも回転部材挿通孔部70内に多く入り込んだ(大きく突出する)状態となり、第2制御用突起80は、回転部材挿通孔部70内に入り込まない(又は略入り込まない)状態となる。
その一方で、第2制御片部材91の施錠時姿勢は、
図16(b)で示されるように、正面視において、第2制御用突起80が第1制御用突起79よりも補助側挿通孔部70b(回転部材挿通孔部70)と多く重なる状態となる。すなわち、第2制御用突起80は、第1制御用突起79よりも回転部材挿通孔部70内に多く入り込んだ(大きく突出する)状態となり、第1制御用突起79は、回転部材挿通孔部70内に入り込まない(又は略入り込まない)状態となる。
【0075】
すなわち、第1制御片部材90、第2制御片部材91は、いずれも開錠時姿勢と施錠時姿勢のそれぞれにおいて、回転部材挿通孔部70内に大きく突出する制御用突起(第1制御用突起79、第2制御用突起80)が異なる。また、開錠時姿勢と施錠時姿勢のそれぞれにおいて、回転部材挿通孔部70内に大きく突出する制御用突起の位置は、回転部材挿通孔部70の周方向でずれた位置(本実施形態では、60度程度ずれた位置)となる。さに、回転部材挿通孔部70内に大きく突出する制御用突起(第1制御用突起79、第2制御用突起80)の突出方向は、回転部材挿通孔部70の径方向となる。
【0076】
回転部材35は、
図17、
図18、
図19で示されるように、回転体部95と、フランジ部96と、錠係合部97とを有している。また、操作レバー21(
図3参照)を形成する操作レバー形成部98を有する。
【0077】
回転体部95は、
図17、
図18で示されるように、フランジ部96の前面から前方に向かって延びる部分であり、延設方向が前後方向となる部分である。この回転体部95は、略円筒状の回転体本体部100と、前側フランジ部101と、前側係合突起部102(第2回転体側係合部)と、回転制御部103(第1回転体側係合部)を有している。
【0078】
回転体本体部100は、
図17で示されるように、表示部材用係合部110を有している。表示部材用係合部110は、回転体本体部100の内孔であり、本実施形態では、横断面形状が略多角形状(四角形状)で前後方向に延びる孔である。
【0079】
前側フランジ部101は、回転体本体部100の前端側部分に形成され、回転体本体部100の外周面から外側に突出する略円板状の部分である。本実施形態の前側フランジ部101は、複数の欠落部101aを有している。より詳細には、前側フランジ部101は、2つの欠落部101aを有しており、2つの欠落部101aが回転体本体部100の周方向で略180度離れた位置にそれぞれ形成されている。つまり、本実施形態の前側フランジ部101は、略円板状の部分が2つの欠落部101aに分断された部分であり、言い換えると、2つの略半円板状の部分と2つの2つの欠落部101aによって構成される部分である。
【0080】
前側係合突起部102は、
図18で示されるように、回転体本体部100の外周面から外側(回転体本体部100の径方向の外側であり、回転体本体部100の横断面の広がり方向で外側)に突出した突起部分である。
本実施形態の回転体部95は、複数の前側係合突起部102を有しており、詳細には、第1前側係合突起部102aと、第2前側係合突起部102bから構成される2つの前側係合突起部102を有する。本実施形態の第1前側係合突起部102a、第2前側係合突起部102bは、同形の部分であるので、第1前側係合突起部102aのみを詳細に説明し、重複する詳細な説明を省略する。
【0081】
第1前側係合突起部102aは、
図20(a)、
図20(c)で示されるように、背面視した形状が略台形状となる突起部分である。すなわち、第1前側係合突起部102aは、回転体本体部100から外側(
図20(c)では上方向)に離れるにつれて、幅方向(
図20(c)では左右方向)の長さが短くなるように形成されている。
【0082】
この第1前側係合突起部102aは、
図20(a)等で示されるように、前端側部分が前側フランジ部101(前側フランジ部101の略半円板状の部分)の後端側部分と連続している。
ここで、第1前側係合突起部102aは、背面を形成する突起側係合面部113と、幅方向の両側面をそれぞれ形成する2つの側方面部114とを有している。また、第1前側係合突起部102aは、最も回転体本体部100から離れた位置で外側面(
図20(a)、
図20(c)では上面)を形成する外側面部115を有する。
【0083】
突起側係合面部113は、前側に向かうにつれて上り勾配となる面であり、外側面部115の後端側部分と、回転体本体部100の外周面の間で延びている。すなわち、突起側係合面部113は、外側面部115の後端側部分から、さらに後方側であって回転体本体部100に近づく方向に延びている。本実施形態の突起側係合面部113は緩やかに湾曲する湾曲面部分でもある。
【0084】
側方面部114は、外側面部115の幅方向の外側端部と、回転体本体部100の外周面の間で延びている。すなわち、側方面部114は、外側面部115の幅方向外側部分から、さらに外側であって回転体本体部100に近づく方向に延びており、回転体本体部100に近づくにつれて下り勾配となるように傾斜している。
【0085】
外側面部115は、前側フランジ部101の外周面の一部の後方側に隣接する位置に配されており、本実施形態では、前側フランジ部101の外周面の一部と共に回転体本体部100の周方向に延びるなだらかな湾曲面を形成するように形成されている。
【0086】
回転制御部103は、
図17a、
図18で示されるように、回転体本体部100の後側部分を囲むように環状に連続する部分であり、第1回転制御部103aと、第2回転制御部103bによって構成されている。
すなわち、回転体部95の後方側部分は、回転体本体部100よりも太く(径が大きく)なるように形成された太軸部95aとなっており、この太軸部95aの前側部分から回転体本体部100が前方に向かって延びている。そして、この太軸部95aの前面に第1回転制御部103aと、第2回転制御部103bとが形成されている。
【0087】
回転制御部103は、
図21(a)、
図21(b)で示されるように、第1回転制御部103a、第2回転制御部103bの境界部分に最も前方に位置する部分である制御側頂部120を有する。第1回転制御部103a、第2回転制御部103bのそれぞれは、回転体本体部100の周方向で2つの制御側頂部120の間に位置する部分に、最も後方に位置する部分である制御側深部121を有する(
図21(b)、
図21(d)等参照)。
すなわち、第1回転制御部103aは、一方の制御側頂部120から、一方の制御側深部121を経て、他方の制御側頂部120に至るまでの間で延びる太軸部95aの前面部分である。
また、第2回転制御部103bは、一方の制御側頂部120から、他方の制御側深部121を経て、他方の制御側頂部120に至るまでの間で延びる太軸部95aの前面部分である(詳細な図示を省略する)。なお、以下の説明において、第1回転制御部103a側の制御側深部121を第1制御側深部121aとも称し、第2回転制御部103b側の制御側深部121を第2制御側深部121bとも称す。また、2回転制御部103bは、第1回転制御部103aと同形の部分であるので、重複する説明を省略する。
【0088】
第1回転制御部103aは、
図21(a)、
図21(b)等で示されるように、一方の制御側頂部120から第1制御側深部121aに至るまでの間の勾配面と、第1制御側深部121aから他方の制御側頂部120に至るまでの勾配面とを有する。一方の制御側頂部120から第1制御側深部121aに至るまでの間の勾配面は、回転体本体部100の周方向に進むにつれて後方側に延びる面である。また、第1制御側深部121aから他方の制御側頂部120に至るまでの勾配面は、回転体本体部100の周方向に進むにつれて前方側に延びる面である。すなわち、
図21(b)で示されるように、回転体本体部100の径方向のうちの一方向からみた平面視で、第1回転制御部103aは、略「U」字状に連続して延びる面を形成する。なお、本実施形態では、第1回転制御部103aは、幅方向の長さが略同一のまま延びる面となっている。
【0089】
第1制御側深部121a、第2制御側深部121bは、
図21(d)で示されるように、回転体本体部100の周方向で略180度離れた位置に形成されている。すなわち、第1回転制御部103a、第2回転制御部103bは、回転体本体部100の径方向(前後方向に直交する方向)の内の一方向(
図21(d)では上下方向)で、互いに逆側に形成される。
【0090】
また、第1制御側深部121aから前方に離れた位置に第1前側係合突起部102aが位置している。言い換えると、第1制御側深部121aと、第1前側係合突起部102aの少なくとも一部とは、前後方向で重なる位置に配される。本実施形態では、第1制御側深部121aの前方に、第1前側係合突起部102aの幅方向の中心部分(回転体本体部100の周方向における中心部分)が位置している。
同様に、第2制御側深部121bから前方に離れた位置に第2前側係合突起部102bが位置している。言い換えると、第2制御側深部121bと、第2前側係合突起部102bの少なくとも一部とは、前後方向で重なる位置に配される。本実施形態では、第2制御側深部121bの前方に、第2前側係合突起部102bの幅方向の中心部分(回転体本体部100の周方向における中心部分)が位置している。
【0091】
フランジ部96は、
図17(a)等で示されるように、前後方向に厚さを有する円板状の部分である。フランジ部96は、回転体部95、錠係合部97よりも回転部材35の横断面の広がり方向で外側に張り出た部分となっている。
【0092】
錠係合部97は、フランジ部96の後面から後方に向かって延びる部分であり、フランジ部96を挟んで回転体部95の逆側に位置する部分である。
錠係合部97は、
図18、
図19(a)で示されるように、略円筒状の部分であり、
図19(a)で示されるように、内孔部分として錠係合孔部130を有している。
錠係合部97の外形に注目すると、
図18で示されるように、前側部分(
図18では左側部分)、後側部分(
図18では右側部分)、中間部分の順に径が小さくなっている。すなわち、錠係合部97の外形は、径の異なる複数の略円柱状部分が前後方向で連結したような形状となっている。なお、特に限定されるものではないが、錠係合部97は、後側部分の外周面の一部に欠落部分を有する。
【0093】
錠係合孔部130は、
図19で示されるように、錠係合部97(回転部材35)の後端面に開口を有し、前方へ向かって延びる孔である。この錠係合孔部130は、詳細には、開口形状及び横断面形状が略十字状で前後方向に延びる孔となっている。
すなわち、錠係合孔部130は、第1孔部130aと第2孔部130bを有し、これらが一体となって形成されている。
【0094】
第1孔部130aは、開口形状が略長方形状で前後方向に延びる孔を形成する部分である。詳細には、第1孔部130aの開口形状は、錠係合部97の径方向(前後方向に直交する方向)の一方向である第1方向(
図19(b)の上下方向)に延びる長方形状となっている。
第2孔部130bは、開口形状が略長方形状で前後方向に延びる孔を形成する部分である。詳細には、第2孔部130bの開口形状は、錠係合部97の径方向及び第1方向と交わる(直交する)方向である第2方向(
図19(b)の左右方向)に延びる長方形状となっている。
【0095】
つまり、錠係合孔部130は、第1孔部130aの開口形状が略縦長長方形状となる姿勢(
図19(b)で示す姿勢)としたとき、第2孔部130bの開口形状が略横長長方形状となる。そして、第1孔部130aの一部(背面視における中途部分)と、第2孔部130bの一部(背面視における中途部分)とは共通の部分となる。
なお、本実施形態では、上記した表示部材用係合部110(
図17(a)参照)と、錠係合孔部130とが前後方向で並んで連続しており、一連の孔を形成している(
図27参照)。すなわち、回転部材35の操作レバー形成部98を除く本体部分は、前端から後端までを貫通して延びる貫通孔を有する中空の部材となっている。
【0096】
操作レバー形成部98は、
図17で示されるように、回転体部95、フランジ部96、錠係合部97から構成される回転部材35の本体部分と一体に形成され、回転部材35の本体部分から片持ち状に延びる部分となっている。
詳細には、操作レバー形成部98の基端側部分は、回転体部95の後側部分(太軸部95a)の外周面と、フランジ部96の前側部分の一部と連続しており、これらと一体に形成されている(詳細な図示を省略する)。また、本実施形態の操作レバー形成部98は、概形が略長板状となる部分であり、詳細には、前後方向に厚さを有する略長板状の部分となっている。なお、特に限定されるものではないが、
図19(a)で示されるように、操作レバー形成部98の自由端側部分の後側部分(
図19(a)では左方手前側)には、後方に向かって突出する円柱状の突起部分が形成されている。
【0097】
付勢部材36は、
図5で示されるように、被押圧部材30を常時前方に付勢する部材であり、本実施形態では、コイルバネを採用している。本実施形態の錠操作部材1は、複数(2つ)の付勢部材36を有しており、2つの付勢部材36が左右方向に離れた位置にそれぞれ配されている。
【0098】
土台部材31は、
図3(b)等で示されるように、後方側(
図3(b)では手前側)に底部分を有する略有底円筒状の部分であり、上記したように、土台周壁形成部材38、土台後壁形成部材39によって構成されている。すなわち、土台周壁形成部材38は、土台部材31の周壁部分を形成し、土台後壁形成部材39は、土台部材31の後壁部分を形成する。
【0099】
土台周壁形成部材38は、
図22で示されるように、円環状に連続する周壁形成部材本体38aと、前側欠落部140と、前側係止突起部141と、後壁取付用突起部142と、後側欠落部143とを有する。
【0100】
周壁形成部材本体38aは、前後方向に開口を有する円筒状の部分である。
前側欠落部140は、周壁形成部材本体38aの前側部分の一部を欠落させた欠落部分であり、周壁形成部材本体38aの周方向で離れた複数個所(3か所)に形成されている。詳細には、周壁形成部材本体38aのうち、後壁取付用突起部142の前側に位置する空間と隣接する壁部分を欠落させて形成された部分である。
【0101】
前側係止突起部141は、
図22、
図23で示されるように、周壁形成部材本体38aの内周面から内側に向かって突出する突起部分である。前側係止突起部141は、前側欠落部140が形成された部分で断続しつつ、周壁形成部材本体38aの周方向に延びた突起部分となっている。
【0102】
後壁取付用突起部142は、周壁形成部材本体38aの内周面から内側に向かって突出する突起部分である。後壁取付用突起部142は、周壁形成部材本体38aの前後方向の中途部分から突出している。すなわち、後壁取付用突起部142の前面は、周壁形成部材本体38aの前面よりも後方に位置し、後壁取付用突起部142の後面は、周壁形成部材本体38aの後面よりも前方に位置する。
【0103】
後壁取付用突起部142には、後壁取付用突起部142を厚さ方向に貫通する締結要素挿通孔が形成されている。この締結要素挿通孔は、一時締結要素を挿通可能な孔であり、具体的には、ねじ孔である。
なお、ここでいう一時締結要素は、ねじ、ボルトナットの組み合わせ等の上位概念であり、原則的に破壊せずに締結及びその解除が可能な締結要素とする。また、複数部材を貫通して(又は少なくとも一部材を貫通すると共に他の一部材内に挿通して)、複数部材を一体に固定する棒状の固定手段を有するものとする。
【0104】
後側欠落部143は、周壁形成部材本体38aの後端側(
図22(b)では、左方手前側)の一部を欠落して形成される部分であり、周壁形成部材本体38aの周方向に延びている。
【0105】
土台後壁形成部材39は、
図24で示されるように、後壁形成部本体39aと、後方側突起部148と、付勢部材係止部149と、周壁固定用孔150と、前側欠落部151と、後方側回転部材挿通孔152を有している。
【0106】
後壁形成部本体39aは、前後方向に厚さを有する円板状の部分である。
【0107】
後方側突起部148は、後壁形成部本体39aの前面から前方に延びた略円筒状の前側部分と、後壁形成部本体39aの後面から後方に延びた略円筒状の後側部分を有する。後方側突起部148の内部には、締結要素を挿通可能な締結要素挿通孔が形成されており、後方側突起部148を前後方向に貫通している。すなわち、締結要素挿通孔は、後方側突起部148の後側部分の後端側から、同後側部分の内部、後壁形成部本体39aの内部、後方側突起部148の前側部分の内部を経て、同前側部分の前端側まで延びている。この締結要素挿通孔は、錠操作部材1をシリンダー部材7と共に戸本体3に固定するためのねじの軸部が挿通される孔である(
図2参照)。
なお、この後方側突起部148は、長手方向の両側から締結要素の挿通が可能である。つまり、本実施形態では、シリンダー部材7側から締結要素を挿通し、シリンダー部材7、錠操作部材1を戸本体3に固定しているが、錠操作部材1側から締結要素を挿通し、シリンダー部材7、錠操作部材1を戸本体3に固定することも可能である。
本実施形態の土台後壁形成部材39は、複数の後方側突起部148を有しており、詳細には、第1後方側突起部148aと、第2後方側突起部148bから構成される2つの後方側突起部148を有する。
【0108】
付勢部材係止部149は、後壁形成部本体39aの前面から前方に延びた円柱状の部分であり、付勢部材36(
図5参照)の後側部分を外嵌可能な突起部分である。
本実施形態の土台後壁形成部材39は、複数の付勢部材係止部149を有しており、詳細には、第1付勢部材係止部149aと、第2付勢部材係止部149bから構成される2つの付勢部材係止部149を有する。
【0109】
周壁固定用孔150は、後壁形成部本体39aを厚さ方向に貫通する孔であり、締結要素を挿通可能な孔である。本実施形態では、後壁形成部本体39aの外周面(両主面間の端面)の周方向で離れた複数個所に形成されており、詳細には、3つの周壁固定用孔150が形成されている(
図24(b)参照)。
【0110】
前側欠落部151は、後壁形成部本体39aの前方下側に形成された後方側に窪んだ部分である。この前側欠落部151は、
図24(b)で示されるように、正面視において、後壁形成部本体39aの外周面の周方向に円弧状に延びるように形成されている。
【0111】
後方側回転部材挿通孔152は、後壁形成部本体39aを厚さ方向(前後方向)に貫通する孔であり、回転部材35のフランジ部96及び錠係合部97を前方側から挿通可能な孔である(
図18、
図27参照)。なお、本実施形態では、特に限定されるものではないが、
図24(b)、
図24(c)で示されるように、後方側回転部材挿通孔152内の後側部分に、内周面から内側に突出する突起部分が複数(3つ)形成されている。
詳細には、後方側回転部材挿通孔152の前側部分は、フランジ部96及び錠係合部97の前側部分が略丁度挿入可能な部分であり、後方側回転部材挿通孔152の後側部分は、錠係合部97の中間部分を内側に配することが可能となっている(
図27参照)。
【0112】
続いて、錠操作部材1の組み立て構造について説明する。
図4、
図5で示されるように、錠操作部材1の組み立てに先立って、操作部材本体25を組み立てる。すなわち、
図5で示されるように、回転部材35の後側部分を後方側回転部材挿通孔152に前側から挿通した状態とする。また、2つの付勢部材36の後側部分をそれぞれ第1付勢部材係止部149aと、第2付勢部材係止部149bに外嵌した状態とする。さらに回転部材35の前側部分を被押圧部材30の回転部材挿通孔部70(
図9(b)参照)に後側から挿通した状態とし、2つの付勢部材36の前側部分を被押圧部材30の2つの付勢部材係合部68(
図9(b)参照)にそれぞれ挿通した状態する。そして、被押圧部材30の後側部分を土台周壁形成部材38の内部に収容した状態とし(
図4参照)、土台周壁形成部材38の内部の後側部分に後壁形成部本体39aを収容した状態(
図3(b)参照)とする。そして、土台周壁形成部材38と後壁形成部本体39aを固定する。すなわち、土台周壁形成部材38の後壁取付用突起部142に形成された締結要素挿通用孔と、土台後壁形成部材39の周壁固定用孔150とを前後方向で重ねて連通孔を形成し、締結要素を後方側から挿入する。このことにより、操作部材本体25が形成される。
【0113】
操作部材本体25では、
図25で示されるように、土台周壁形成部材38の後側欠落部143と、土台後壁形成部材39の前側欠落部151により、レバー動作用溝155が形成される。
このレバー動作用溝155は、土台部材31の周壁部分を貫通し、同周壁部分の周方向に延びた溝である。そして、操作レバー形成部98がこのレバー動作用溝155を介して、操作部材本体25の内側に亘って延びている。すなわち、操作レバー形成部98は、基端側の部分が操作部材本体25の内部に位置し、中途部分の一部がレバー動作用溝155内に位置し、自由端側の部分が操作部材本体25の外部に位置する。そして、操作部材本体25の外部に位置する部分が操作レバー21となる。
本実施形態のレバー動作用溝155は、回転部材35の前後方向への移動を規制する規制部としても機能する。
【0114】
また、操作部材本体25では、
図26で示されるように、付勢部材36が付勢部材係合部68に後方側から挿入されており、付勢部材36の前端部分が付勢部材係合部68の底部分に当接し、後側部分が後壁形成部本体39aの前面に当接している。そして、付勢部材36は、常時圧縮された状態となっており、被押圧部材30は、常時前方に付勢された状態となっている。
【0115】
また、操作部材本体25では、被押圧部材30が最も前方側に位置した状態において、被押圧部材30の外側段差部71が土台部材31の前側係止突起部141に後方側から当接している。すなわち、外側段差部71、前側係止突起部141が被押圧部材30の前方への移動を規制する移動規制部(抜け止め部)として機能する。
【0116】
操作部材本体25では、後方側突起部148がガイド孔部67に後方側から挿入された状態となっている。このことから、被押圧部材30が前後方向(
図26では左右方向)にスライド移動するとき、これら後方側突起部148、ガイド孔部67が移動方向を規制するガイド部材として機能する。
【0117】
操作部材本体25では、
図27で示されるように、回転部材挿通孔部70に後方側から回転部材35の前側部分が挿入されている。なお、回転部材35は、上記したように、前端側部分に前側フランジ部101を有しており、回転部材挿通孔部70の前端側の狭まった部分(内側突起部75の内側)を通過できない大きさとなっている。
また、回転部材35の後側部分は、後方側回転部材挿通孔152の後側開口よりも後方に位置しており、外部に露出した状態(
図30参照)となっている。
【0118】
また、操作部材本体25では、
図28で示されるように、第1制御片部材90、第2制御片部材91は、いずれも2つの制御突起のうちの一方が、回転体本体部100と接触し、他方が回転体本体部100から離間している。なお、
図28では、第1制御片部材90、第2制御片部材91が開錠時姿勢をとっており、第1制御片部材90の第2制御用突起80の先端側部分と、第2制御片部材91の第1制御用突起79の先端側部分とが、回転体本体部100の外周面と接触した状態となっている(又は外周面と近接する位置に配される)。
【0119】
続いて、
図4で示されるように、操作部材本体25に、表示部材27、外郭形成部材26を取り付ける。このことにより、錠操作部材1が形成される。
【0120】
このとき、
図29で示されるように、外郭取付用係合部69と外郭側取付用係合部48が係合した状態となり、外郭形成部材26が被押圧部材30(被押圧部材本体30a)に取り付けられる。外郭形成部材26、被押圧部材30が最も前方に位置した状態のとき、係止片部50が外郭取付用係合部69の先端側の鉤状部分(突起部分)に後方から当接する。
【0121】
また、錠操作部材1では、
図29で示されるように、表示部材27の表示部材側係合部27bが表示部材用係合部110に前方から挿通された状態となる。ここで、表示部材側係合部27bは、横断面形状が四角形状で延びる棒状部分であり(
図8(b)参照)、表示部材用係合部110は、横断面形状が四角形状の孔である(
図17(a)参照)。このことから、表示部材側係合部27bが表示部材用係合部110に挿通されて係合すると、回転部材35の本体部分が前後方向に延びる仮想軸線の軸回りに回転したとき(詳しくは後述する)、表示部材27もまた回転する。すなわち、表示部材27は回転部材35に一体に回転可能な状態で取り付けられている。
【0122】
また、錠操作部材1では、
図29で示されるように、表示部材側係合部27bの基端側に位置する略円柱状の部分(
図8(b)参照)が、回転部材挿通孔部70の前端側の狭まった部分(内側突起部75の内側)に略丁度入り込んだ状態となっている。
そして、第1回転板側係合突起60aが回転軸係合部55に後方側から挿入され、回転板部27aの一部が回転板係合部54に後方側から挿入された状態となっている。
このことから、外郭形成部材26が後方(
図29では右方)に押圧され、外郭形成部材26と被押圧部材30が後方にスライド移動するとき(詳しくは後述する)、表示部材27もまた後方にスライド移動する。そして、付勢部材36(
図26参照)の付勢力によって被押圧部材30が前方に押圧され、外郭形成部材26と被押圧部材30が前方にスライド移動するとき(詳しくは後述する)表示部材27もまた前方にスライド移動する。
【0123】
次に、本実施形態に係る錠操作部材1を操作して錠部材4の開錠状態と施錠状態を切り替えるときの操作と、錠操作部材1の内部での各部材の動作について説明する。
【0124】
本実施形態の錠操作部材1は、
図30で示されるように、外郭形成部材26を戸本体3側(
図30の左図では奥側、
図1参照)に押し込むことで、錠係合部97が回転する。
すなわち、
図30(a)で示される状態で、外郭形成部材26を押圧することで、表示部20の表示が切り替わり、錠係合部97が所定方向(
図30(a)の右図の時計回り)に回転し、
図30(b)で示される姿勢に移行する。
そして、
図30(b)で示される状態で、外郭形成部材26を同様に押圧することで、表示部20の表示が切り替わり、錠係合部97が逆方向(
図30(b)の右図の反時計回り)に回転し、
図30(a)で示される姿勢に移行する。
【0125】
ここで、上記したように、錠係合孔部130には施開錠連結部材19の一端側が挿入されている。なお、本実施形態では、第1孔部130aに施開錠連結部材19の一端側を挿入している。このため、錠係合部97が所定方向に回転することで、施開錠連結部材19もまた回転し、錠係合部97が所定方向とは逆方向に回転することで、施開錠連結部材19もまた逆方向に回転する。このことにより、錠部材4の開錠状態と施錠状態とが切り替わる。
【0126】
つまり、本実施形態の錠操作部材1は、外郭形成部材26を押圧するごとに、錠係合部97の所定方向への回転と、錠係合部97の所定方向とは逆方向への回転が交互に実行される。このため、錠係合部97は、開錠時の姿勢である第1姿勢(
図30(a)参照)と、施錠時の姿勢である第2姿勢(
図30(b)参照)の間で姿勢変更する。このことにより、錠係合部97と共に施開錠連結部材19が回転(姿勢変更)し、外郭形成部材26を押圧するごとに錠部材4の開錠状態と施錠状態とが切り替わる。すなわち、開錠状態から施錠状態への移行と、施錠状態から開錠状態への移行が交互に実行される。
【0127】
続いて、外郭形成部材26を押圧して開錠状態から施錠状態に切り替える際の、錠操作部材1の内部での各部材の動作について説明する。
【0128】
外郭形成部材26が戸本体3側に押圧されると、外郭形成部材26が後方へ移動し、それに伴って、表示部材27、被押圧部材30が後方へスライド移動する。すなわち、付勢部材36の付勢力に抗して被押圧部材30が後方へスライド移動する。
すると、
図31で示されるように、被押圧部材30の後方への移動に伴って、被押圧部材30の内部の2つの制御片部材30b(一方の制御片部材30bについては
図31では図示しない、
図28等参照)もまた、後方へ移動する。詳細には、2つの制御片部材30bが開錠時姿勢を維持したまま後方へ移動する。
【0129】
すると、
図31(b)、
図32で示されるように、2つの制御片部材30bが回転制御部103に前方側から当接する。詳細には、
図32(b)で示されるように、第1制御片部材90が一方の制御側頂部120(
図31(a)等参照)と当接し、第2制御片部材91が他方の制御側頂部120(
図31(a)等参照)と当接する。
このとき、正面視において、第1制御片部材90は、大部分(半分以上の部分)が第2回転制御部103bと前後方向で重なる位置に配される。また、第2制御片部材91は、大部分(半分以上の部分)が第1回転制御部103aと前後方向で重なる位置に配される。
【0130】
この状態から、
図33(a)で示されるように、2つの制御片部材30bがさらに後方側へ進むと、2つの制御片部材30bが後方に進むにつれて回転部材35が回転していく。つまり、被押圧部材30がさらに後方に進むことで、2つの制御片部材30bが開錠時姿勢を維持しつつさらに後方側に進む。このことにより、回転部材35の本体部分が中心軸線回りに回転し(
図32(b)の状態から同図における反時計回りに回転子し)、
図33(a)で示される状態となる。
なお、「回転部材35の本体部分の中心軸線」は、前後方向に延びる仮想軸線であり、回転部材35の本体部分の各部の横断面の中心部分を通過する線である。また、本実施形態では、表示部材用係合部110と錠係合孔部130が連続した連通孔(
図29参照)の各部の横断面の中心部分を通過する線でもある。
【0131】
そして、第1制御片部材90が第2回転制御部103bと係合し、第2制御片部材91が第1回転制御部103aと係合する。
すなわち、第1制御片部材90の第2制御用突起80の一部が第2回転制御部103bと接触し、第2制御片部材91の第1制御用突起79の一部が第1回転制御部103aと接触する。
【0132】
この状態から、
図33(b)で示されるように、2つの制御片部材30bが開錠時姿勢を維持しつつさらに後方側へ進むと、回転部材35の本体部分も同方向に回転していく。そして、第1制御片部材90の第2制御用突起80の一部が、第2回転制御部103bの最深部(第2制御側深部121b、
図21等参照)と接触した状態となる。同時に、第2制御片部材91の第1制御用突起79の一部が、第1回転制御部103aの最深部(第1制御側深部121a、
図21等参照)と接触した状態となる。
【0133】
このとき、回転部材35は、施錠状態の際にとる姿勢に近い状態まで回転する(施錠状態に移行完了する直前の姿勢をとる)。また、回転部材35と共に施開錠連結部材19(
図30右図等参照)が回転する。このことにより、錠部材4もまた、施錠状態に移行完了する直前の状態(直前の姿勢)となる。そして、このように錠部材4を移行完了する直前の状態とすることで、錠ケース内の付勢部材(バネ、図示しない)の付勢力により、錠部材4が施錠状態に移行する。すなわち、錠部材4が自身の力によって、施錠状態の直前の状態から施錠状態に移行する。
そして、錠部材4が施錠状態の直前の状態から施錠状態に移行することで、施開錠連結部材19が回転し、回転部材35も回転する。このことにより、2つの制御片部材30bのそれぞれが第1回転制御部103a、第2回転制御部103bの最深部の近傍と接触した状態となる。すなわち、2つの制御片部材30bは、第1回転制御部103a、第2回転制御部103bそれぞれの最深部を挟んだ片側と接触した状態から、最深部と接触した状態を経て、最深部を挟んだ他方側であって最深部の近傍と接触した状態となる。そして、この状態となることで回転部材35の回転が完了する。なお、施錠状態の直前の状態から施錠状態に移行する際、被押圧部材30(2つの制御片部材30b)がやや前方に移動する。
以上のことにより、錠部材4が開錠状態から施錠状態に移行する。
【0134】
つまり、制御片部材30bの制御用突起と回転制御部103とが、被押圧部材30が押圧された際の押圧力を回転体部95の回転力に変換する変換機構として機能する。すなわち、制御片部材30b(制御用突起)と回転体部95(回転制御部103)とが係合することで、回転体部95が回転する。
そして、回転体部95が回転し、回転部材35の本体部分が回転することで、錠係合部97が第1姿勢(
図30(a)右図参照)から第2姿勢(
図30(b)右図参照)の直前の状態に姿勢変更する。そして、施開錠連結部材19が回転することで、回転部材35がさらに回転し、錠係合部97が第2姿勢に姿勢変更して、錠部材4が開錠状態から施錠状態に移行する。
また、回転部材35の本体部分が回転することで、上記したように、回転部材35に取り付けられた表示部材27(
図29参照)が回転する。すなわち、表示部材27の回転板部27aが回転し、
図30で示されるように、表示部20の表示が切り替わる。すなわち、第1表示領域62が外部から視認可能である状態(
図30(a)左図参照)から、第2表示領域63が外部から視認可能である状態(
図30(b)左図参照)に切り替わる。このことにより、使用者は錠部材4が開錠状態から施錠状態に移行したことが外部から確認できる。
【0135】
なお、本実施形態では、2つの制御片部材30bが回転制御部103の最深部に接触した状態となるまで回転部材35が回転することで、錠係合部97が第2姿勢の直前の状態となる例について説明した。しかしながら、本発明は、これに限るものではなく、2つの制御片部材30bが回転制御部103の最深部に接触した状態となるまで回転部材35が回転することで、錠係合部97が第2姿勢となる構成とすることも考えられる。
【0136】
そして、使用者が外郭形成部材26から手を離し、戸本体3側へ向かう押圧力が解除されると、被押圧部材30は、付勢部材36の付勢力によって前方へ押圧される。
このことから、被押圧部材30が前方へスライド移動していき、2つの制御片部材30bもまた開錠時姿勢を維持しつつ前方へスライド移動していく。
【0137】
このことにより、
図34で示すように、第1制御片部材90の第2制御用突起80と、第2制御片部材91の第1制御用突起79とが、第2前側係合突起部102b、第1前側係合突起部102aのそれぞれに後方側から接触した状態となる(
図34(b)参照)。
すなわち、第1制御片部材90、第2制御片部材91のそれぞれの制御用突起が、それぞれ別の前側係合突起部102の突起側係合面部113に後方側から当接した状態となる。
【0138】
そして、そのまま被押圧部材30が前方へスライド移動していくことで、2つの制御片部材30bもまた前方に移動していく。ここで、上記したように、突起側係合面部113が前側に向かうにつれて上り勾配となる面であることから、2つの制御片部材30bが前方に移動するにつれて、2つの制御片部材30bがそれぞれ回動していく。すなわち、それぞれの制御片部材30bが前後の2つの取付用突起78(
図34等参照)を回転軸として回動して姿勢変更していく。すなわち、開錠時姿勢から施錠時姿勢へと移行する(
図16参照)。
【0139】
なお、外郭形成部材26を戸本体3側に押圧して施錠状態から開錠状態に切り替える際には、2つの制御片部材30bが施錠時姿勢を維持したまま後方にスライド移動し、回転制御部103に前方側から当接する。このとき、回転部材35の本体部分は、施錠状態の際の姿勢であり、開錠状態から中心軸線の軸回りに90度回転した姿勢となっている。このことにより、回転部材35の本体部分は、開錠状態から施錠状態に切り替える際とは逆方向に90度回転する。そして、その後に使用者が外郭形成部材26から手を離し、被押圧部材30が前方へスライド移動すると、2つの制御片部材30bが施錠時姿勢を維持したまま前方にスライド移動し、それぞれ別の前側係合突起部102に後方側から当接した状態となる。さらに、2つの制御片部材30bが前方に移動していくにつれ、それぞれの制御片部材30bが姿勢変更していき、施錠時姿勢から開錠時姿勢へ移行する。
つまり、制御片部材30b(制御用突起)と回転体部95(前側係合突起部102)とが係合することで、制御片部材30bが揺動して施錠時姿勢と開錠時姿勢の間で姿勢変更する。
【0140】
なお、操作レバー21を形成する操作レバー形成部98は、回転部材35の本体部分と一体となるように形成されている(
図17等参照)。このことから、使用者が操作レバー21を摘まんで左右方向(
図30左図参照)に移動させることで、外郭形成部材26を押圧することなく回転部材35の本体部分を回転させ、錠部材4の開錠状態と施錠状態の切り替えが可能となっている。すなわち、被押圧部材30等の錠操作部材1の内部部材が破損等した場合であっても、緊急的に錠部材4の開錠状態と施錠状態の切り替えが可能となっている。
【0141】
上記した実施形態では、ラッチボルト、デッドボルトを有する錠部材4を使用した例を示したが、錠操作部材1と共に使用する錠部材は、これに限るものではない。
例えば、ラッチボルトが移動可能となる解錠状態と、ラッチボルトが移動を制限される施錠状態とを切り替える施解錠動作が可能な錠部材、すなわち、ラッチボルトがデッドボルトの機能を有する錠部材であってもよい。
【0142】
また、上記した実施形態では、錠係合部97の錠係合孔部130に施開錠連結部材19の一端側を挿入し、施開錠連結部材19を介して錠係合部97と錠部材4を間接的に係合させる構成としたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、錠係合部から後方に延びる突起部分を有する構造とし、突起部分を施開錠操作用孔16に挿入することで、錠係合部と錠部材4を直接係合させてもよい。また、錠部材は、施開錠操作用孔16に替わって錠操作部材1側に延びる突起部分を有するものとし、この突起部分を上記した錠係合孔部130に挿入することで、錠係合部と錠部材4を直接係合させてもよい。
つまり、錠部材は、錠操作部材1と直接又は間接的に係合し、錠操作部材1への押圧操作による錠係合部の回動によって開錠状態と施錠状態とが切り替わるものであればよい。
【0143】
上記した実施形態では、第1表示領域62を緑色で塗りつぶされた部分とし、第2表示領域63が赤色で塗りつぶされた部分とした。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。例えば、第1表示領域62は、「開」と書かれた文字とし、第2表示領域63は、「閉」と書かれた文字としてもよい。すなわち、これら第1表示領域62、第2表示領域63は、視覚的に違い(施錠状態と開錠状態の違い)を認識できればよく、色、文字、数字、記号、又はこれらの組み合わせを表すものであってもよい。
【0144】
上記した実施形態では、第1表示領域62と第2表示領域63を有するシート部材58を回転板部本体59に取り付けた例を示したが、シート部材58を設けず、第1表示領域、第2表示領域を回転板部本体59の前側面に直接形成してもよい。
【0145】
上記した実施形態では、表示部材27を回転体部95に直接取り付けた例を示したが、これに限らず、他部材を介して間接的に取り付けてもよい。
また、上記した実施形態では、表示部材側係合部27bを角棒状の部分と、表示部材用係合部110を角孔として、これらを係合させて表示部材27を回転体部95に取り付けた例を示した。しかしながら、本発明はこれに限らず、回転体部95が回転したとき、回転体部95が表示部材27に対して空回りせず、回転体部95と表示部材27が共に回転するように取り付けられれば良い。例えば、表示部材側係合部27bに替わって複数の突起部分を設け、表示部材用係合部110に替わって複数の孔部分を設け、複数の突起部分と複数の孔部分を係合させて表示部材27を回転体部95に取り付ける構造としてもよい。
【0146】
上記した実施形態では、回転体部95と錠係合部97とが一体に形成された例について示したが、これらは別途形成され、直接又は他部材を介して間接的に連結されて(取り付けられて)いてもよい。すなわち、回転体部95の回転に伴って錠係合部97が回転すればよい。
この場合、操作レバー形成部(操作レバー部)は、回転体部95と錠係合部97の双方と一体に形成されていなくてもよく、いずれか一方と一体に形成されていればよい(少なくとも一方と一体に形成されていればよい)。また、操作レバー形成部(操作レバー部)は、回転体部95と錠係合部97の少なくとも一方と一体に形成する他、別途形成し、直接又は間接的に連結されて(取り付けられて)いてもよい。
【符号の説明】
【0147】
1 錠操作部材
3 戸本体(戸)
4 錠部材
20 表示部
21 操作レバー(操作レバー部)
27 表示部材
30 被押圧部材
30b 制御片部材(回転方向制御部材)
62 第1表示領域
63 第2表示領域
79 第1制御用突起(第1突起部)
80 第2制御用突起(第2突起部)
95 回転体部
97 錠係合部
102 前側係合突起部(第2回転体側係合部)
103 回転制御部(第1回転体側係合部)