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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155107
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】コネクタ組付け構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/73 20060101AFI20241024BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01R13/73 A
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069536
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】竹田 浩崇
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC32
5E021FC36
5E021HC08
(57)【要約】
【課題】本発明は、耐振性の向上を図ったコネクタ組付け構造を提供することを目的とする。
【解決手段】コネクタ組付け構造10、10Aは、第1コネクタ2を車両対象部4、14に組み付ける構造であって、第1コネクタは、角筒状のコネクタ本体210と、該コネクタ本体から車両対象部に向けて突出して設けられて、車両対象部に係合可能なロックアーム61と、を備え、車両対象部は、ロックアームを挟んでコネクタ本体と対向する設置板44と、ロックアームに係合される被ロック83と、設置板から立設するとともに被ロックを挟んで対向する一対の側板45、45と、を備え、ロックアームが被ロックに係合した状態で、一対の側板の間にコネクタ本体が挟まって支持されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタを車両対象部に組み付けるコネクタ組付け構造であって、
前記第1コネクタは、角筒状のコネクタ本体と、該コネクタ本体から前記車両対象部に向けて突出して設けられて、前記車両対象部に係合可能なロックアームと、を備え、
前記車両対象部は、前記ロックアームを挟んで前記コネクタ本体と対向する設置板と、該設置板に設けられて前記ロックアームに係合される被ロック部と、前記設置板から立設するとともに前記被ロック部を挟んで対向する一対の側板と、を備え、
前記ロックアームが前記被ロック部に係合した状態で、前記一対の側板の間に前記コネクタ本体が挟まって支持されていることを特徴とするコネクタ組付け構造。
【請求項2】
前記第1コネクタに内挿される第2コネクタを備え、
前記第1コネクタは、前記第2コネクタを係止するコネクタ係止部を有し、
前記コネクタ本体は、前記設置板に対向する第1壁と、該第1壁を挟んで前記設置板の反対側に対向する第2壁と、前記第1壁および前記第2壁に連続する一対の第3壁と、を有して角筒状に形成され、
前記ロックアームは前記第1壁に設けられ、
前記コネクタ係止部は前記一対の第3壁それぞれに設けられ、
前記コネクタ係止部が前記第2コネクタを係止した状態で、前記コネクタ係止部が前記各側板に対向して設けられている請求項1に記載のコネクタ組付け構造。
【請求項3】
前記第1コネクタから前記コネクタ本体の軸方向の一方に第1電線が引き出され、
前記第2コネクタから前記コネクタ本体の軸方向の他方に第2電線が引き出され、
前記車両対象部は、前記一対の側板それぞれに連続するとともに前記設置板に対向するように延びて形成された一対の延在板を有し、
前記一対の延在板の間には、前記第1電線または前記第2電線を挿通させる電線挿通口が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ組付け構造。
【請求項4】
前記被ロック部は、前記設置板から立ち上がる立上げ部と、該立上げ部に連続して前記コネクタ本体の軸方向に延びて形成された車両側アームと、該車両側アームに設けられて前記ロックアームに係合可能な係合孔と、を備え、
前記立上げ部には、棒状の治具が挿入されて前記ロックアームの前記係合孔への係合を解除するための解除孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ組付け構造。
【請求項5】
前記コネクタ係止部は、前記第2コネクタに対して接離自在なコネクタアームを有し、
前記各側板の内面には、前記コネクタアームに向かって凸の押圧突起が設けられ、
前記コネクタ係止部が前記第2コネクタを係止した状態で、前記押圧突起が、前記コネクタアームの自由端を前記第2コネクタに向けて押圧していることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ組付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ組付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、多種多様な電子機器が搭載され、電子機器に電力や制御信号等を伝えるために、ワイヤハーネスが配索されている。ワイヤハーネスは、複数の電線と、コネクタと、を備え、このコネクタを電子機器のコネクタや他のワイヤハーネスのコネクタに嵌合させることで、電子機器や他のワイヤハーネスに接続されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1には、合成樹脂製の雄ハウジングと、上下2段の中継バスバーと、相手側ハウジングである雌ハウジングと、ロック機構と、を備えたコネクタユニットが開示されている。
【0004】
ロック機構は、雌ハウジングに設けられたロックアームと、雄ハウジングに設けられてロックアームにロックされる被ロックと、を備える。ロックアームは、一対のアームと、一対のアーム同士を連結している部分から上方に突出するロック突起と、一対のアームの後端部に設けられた操作部と、を備える。このようなロックアームは、雌雄のハウジングが嵌合した際に、ロック突起が被ロックに係合するように構成されている。また、ロック突起と被ロックとの係合は、操作部を押下して、一対のアームを撓ませることで解除されるようになっている。
【0005】
また、雄ハウジングの下面には、ボディに固定するためのブラケットを係止可能なブラケット係止部が設けられている。このようなコネクタユニットは、雄ハウジングおよび雌ハウジングが嵌合した状態で、ブラケットによってブラケット係止部が係止されることにより、雄ハウジング、即ちコネクタユニットはボディに固定されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-49399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来のコネクタユニットのボディへの固定は、雄ハウジングの下面に設けられたブラケット係止部によってのみ行われていることから、車両走行時の振動等がブラケット係止部を介してコネクタユニットに伝わって、異音の発生や雄雌端子の接点摩耗による抵抗値の上昇が発生する懸念があった。
【0008】
本発明は、耐振性の向上を図ったコネクタ組付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、第1コネクタを車両対象部に組み付けるコネクタ組付け構造であって、前記第1コネクタは、角筒状のコネクタ本体と、該コネクタ本体から前記車両対象部に向けて突出して設けられて、前記車両対象部に係合可能なロックアームと、を備え、前記車両対象部は、前記ロックアームを挟んで前記コネクタ本体と対向する設置板と、該設置板に設けられて前記ロックアームに係合される被ロック部と、前記設置板から立設するとともに前記被ロック部を挟んで対向する一対の側板と、を備え、前記ロックアームが前記被ロック部に係合した状態で、前記一対の側板の間に前記コネクタ本体が挟まって支持されていることを特徴とするコネクタ組付け構造である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、第1コネクタに対する耐振性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ組付け構造を示す斜視図である。
図2】(A)は前記コネクタ組付け構造を正面から見た図であり、(B)は(A)のI-I線に沿う断面図であり、(C)は(A)の要部を拡大して示す図である。
図3】前記コネクタ組付け構造を示す分解斜視図である。
図4】前記コネクタ組付け構造を構成する車両対象部を上方から見た図である。
図5】前記車両対象部を正面から見た図である。
図6図5中のII-II線に沿う断面図である。
図7】前記コネクタ組付け構造を組み立てる手順を説明するための図であり(A)は斜視図であり、(B)(A)の縦断面図である。
図8図7の後工程を説明するための図であり(A)は斜視図であり、(B)は(A)の縦断面図である。
図9図8の後工程を説明するための図であり(A)は斜視図であり、(B)は(A)の縦断面図である。
図10】前記コネクタ組付け構造を構成するコネクタ体の前記車両対象部への係止を解除する様子を示す断面図である。
図11図10の後工程を示す断面図である。
図12】(A)は前記コネクタ組付け構造の変形例を示す横断面図であり、(B)は(A)の要部を拡大して示す図である。
図13】前記コネクタ組付け構造を構成する車両対象部を示す斜視図である。
図14】前記車両対象部を正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図1~11に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタ組付け構造10を示す斜視図である。図2(A)はコネクタ組付け構造10を正面から見た図であり、(B)は(A)のI-I線に沿う断面図であり、(C)は(A)の要部を拡大して示す図である。図3はコネクタ組付け構造10を示す分解斜視図である。
【0013】
コネクタ組付け構造10は、図1に示すように、互いに嵌合可能な雄コネクタ2(第1コネクタ)および雌コネクタ3(第2コネクタ)を有するコネクタ体11と、車体パネルPに固定されるととともに、コネクタ体11を組付け可能な車体ブロック4(車両対象部)と、を備える。本実施形態では、コネクタ体11は3個(複数)設けられている。
【0014】
なお、本実施形態では、各コネクタ2、3が嵌合する方向(各コネクタ2、3の軸方向)をX方向(前後方向X)と記し、X方向に略直交する2方向をそれぞれY方向(幅方向)及びZ方向(上下方向Z)とする。X方向のうち一方を「前方(X1方向)」と記し、X方向のうち他方を「後方(X2方向)」と記し、Z方向のうち一方を「上方(Z1方向)」と記し、Z方向のうち他方を「下方(Z2方向)」と記す場合がある。
【0015】
コネクタ体11は、図1、2に示すように、互いに嵌合可能な雄コネクタ2および雌コネクタ3を備える。雌コネクタ3は、雄コネクタ2に内挿されることにより、雄コネクタ2および雌コネクタ3は嵌合されるように構成されている。
【0016】
雄コネクタ2は、図1図7(B)に示すように、雄型の端子金具20(図7(B)に示す、以下では雄端子20と記す場合がある)と、雄端子20を収容する雄端子収容室2A(図7(B)に示す)を有する雄ハウジング21と、を備える。雄端子20の基端側には第1電線C1が接続されて、雄端子付き電線12を構成する。このような雄端子付き電線12は、雄端子20が雄端子収容室2Aの所定位置に収容された状態で、第1電線C1は雄ハウジング21から後方X2に引き出されている。即ち、第1電線C1は雄コネクタ2から後方X2(軸方向の一方)に引き出されている。
【0017】
雄ハウジング21は、例えば絶縁性の樹脂から構成されている。この雄ハウジング21は、図2(C)、図7(B)に示すように、前後方向Xを軸とする四角筒状に形成された雄ハウジング本体210(コネクタ本体)と、該雄ハウジング本体210に設けられて後述する雌コネクタ3を係止するコネクタ係止部5と、後述する車体ブロック4に設けられた被ロック部8に係合するロックアーム部6と、雄ハウジング本体210に収容された雄端子20を係止するための雄スペーサ211(図7(B)に示す)と、を備える。
【0018】
雄ハウジング本体210は、図2(C)に示すように、雄上壁210A(第2壁)、雄下壁210B(第1壁)、一対の雄側壁210C、210C(第3壁)を有して四角筒状に構成されている。この雄ハウジング本体210の内部空間には、図7(B)に示すように、(複数の)雄端子収容室2Aと、後述する雌コネクタ3が収容される雌コネクタ収容室2Bと、が設けられている。雄端子収容室2Aは雄ハウジング本体210における内部空間の後方X2側に設けられ、雌コネクタ収容室2Bは雄ハウジング本体210における内部空間の前方X1側に設けられている。このような雄ハウジング本体210の内部空間は、雄端子収容室2Aに雄端子20が収容され、雌コネクタ収容室2Bに雌コネクタ3が収容された際に、雄端子20と雌コネクタ3の一部である雌端子30が電気的に接続されるように構成されている。
【0019】
また雄端子収容室2Aには、図7(B)に示すように、後述する雄スペーサ211を収容可能な雄スペーサ収容室2Cが設けられている。雄スペーサ収容室2Cは、雄端子収容室2Aの一部であって、当該雄端子収容室2Aの幅方向Yに連続する一つの空間から構成されている。
【0020】
コネクタ係止部5は、図3図12(B)に示すように、雄ハウジング本体210における各雄側壁210Cの前方X1の端部それぞれに設けられている。各コネクタ係止部5は、弾性アーム50(コネクタアーム)と、該弾性アーム50の自由端に設けられて、後述する雌コネクタ3の係止溝7を係止可能な係止凸部51(図12(B)に示す)と、を備える。弾性アーム50は、図3に示すように、各雄側壁210Cの前方X1の端縁を切り欠いて形成された一対のスリット5a、5aによって構成されている。一対のスリット5a、5aは、上下方向Zに並んで互いに平行に設けられている。各スリット5aは、各雄側壁210Cの前方X1の端縁を切り欠いて、後方X2に延びて形成されている。
【0021】
ロックアーム部6は、図7(B)に示すように、雄ハウジング本体210の雌コネクタ収容室2Bの下方Z2に設けられているとともに、雄ハウジング本体210の雄下壁210Bの下方Z2に対向する対向壁60と、該対向壁60の一部を有して構成されて後述する車体ブロック4の被ロック部8に係合可能なロックアーム61と、を備える。
【0022】
対向壁60は、図7(B)に示すように、雄ハウジング本体210の雄下壁210Bに連続して設けられている。対向壁60は、該対向壁60と雄下壁210Bとの間に被ロック収容空間6Aを構成する。被ロック収容空間6Aは、後述する車体ブロック4に設けられた被ロック部8のブロック側アーム82(車両側アーム)を収容可能に構成されている。この被ロック収容空間6Aの上下方向Zの寸法(対向壁60と雄下壁210Bとの離間寸法)は、後述するブロック側アーム82の厚さ寸法と略同じ寸法になるように構成されて、被ロック収容空間6Aにブロック側アーム82が収容された状態で、雄ハウジング21の雄下壁210Bにブロック側アーム82の上面が対向接触し、対向壁60にブロック側アーム82の下面が対向接触するように構成されている。
【0023】
ロックアーム61は、図7(B)に示すように、上下方向Zに弾性変形可能に構成されたアーム本体62と、該アーム本体62の後端にある自由端から上方Z1に突出して、後述する被ロック部8の係合孔83に係合可能なロック突起63と、を備える。
【0024】
このロック突起63には、突起直交面63Aと、突起傾斜面63Bと、が設けられている。突起直交面63Aは、ロック突起63の前方X1の側に設けられているとともに前後方向に直交する直交面から構成されている。この突起直交面63Aは、後述する車体ブロック4に設けられた係合孔83の周縁に当接可能に構成されている。突起傾斜面63Bは、突起直交面63Aの後方X2側に設けられている。この突起傾斜面63Bは、前方X1に向かうにしたがって上方Z1に向かうように傾斜する傾斜面から構成されている。
【0025】
雄スペーサ211は、図7(B)に示すように、雄スペーサ収容室2Cに収容可能に構成されている。雄スペーサ211が雄スペーサ収容室2Cに収容された状態で、雄スペーサ211が雄端子20を係止して、各雄端子20は各雄端子収容室2Aに対して抜け止めされるように構成されている。
【0026】
雌コネクタ3は、図1図7(B)に示すように、雌型の端子金具30(図7(B)に示す、以下では雌端子30と記す場合がある)と、雌端子30を収容可能な雌端子収容室3Aを有する雌ハウジング31と、を備える。雌端子30の基端側には第2電線C2が接続されて、雌端子付き電線13を構成する。このような雌端子付き電線13は、雌端子30が雌端子収容室3Aの所定位置に収容された状態で、第2電線C2は雌ハウジング31から前方X1に引き出されている。即ち、第2電線C2は雌コネクタ3から前方X1(軸方向の他方)に引き出されている。
【0027】
雌ハウジング31は、例えば絶縁性の樹脂から構成されている。この雌ハウジング31は、図7(B)、図12に示すように、前後方向Xを軸とする四角筒状に形成されて内部に雌端子30が収容される雌端子収容室3Aを有する雌ハウジング本体310と、該雌ハウジング本体310に設けられて雄ハウジング21のコネクタ係止部5に係止される係止溝7(図12に示す)と、該雌ハウジング本体310に収容された雌端子30を係止するための雌スペーサ311と、を備える。
【0028】
雌ハウジング本体310は、四角筒状に構成されている。この雌ハウジング本体310の内部空間には、図7(B)に示すように、雌端子30が収容される(複数の)雌端子収容室3Aが設けられている。また雌端子収容室3Aには、後述する雌スペーサ311を収容する雌スペーサ収容室3Bが設けられている。雌スペーサ収容室3Bは、雌端子収容室3Aの一部であって、当該雌端子収容室3Aの幅方向Yに連続する一つの空間から構成されている。
【0029】
係止溝7は、図12に示すように、雌ハウジング本体310における各雌側壁310Cの前方X1の端部から後方X2に離間した位置に設けられている。各係止溝7は、雌ハウジング本体310における各雌側壁310Cにおいて、上下方向Zに延在する凹溝状に形成されている。
【0030】
雌スペーサ311は、図7(B)に示すように、雌スペーサ収容室3Bに収容可能に構成されている。雌スペーサ311が雌スペーサ収容室3Bに収容された状態で、雌スペーサ311が雌端子30を係止して、各雌端子30は各雌端子収容室3Aに抜け止めされるように構成されている。
【0031】
車体ブロック4は、図3~5に示すように、3個のコネクタ体11を組付け可能に構成された3個のコネクタ収容部40、40、40を有するブロック本体41と、該ブロック本体41の長手方向(幅方向Y)の両端に設けられた一対の車体固定部42、42と、を備える。
【0032】
このブロック本体41には、図5に示すように、幅方向Yに並んで設けられた3個のコネクタ収容部40、40、40が設けられている。各コネクタ収容部40は、収容部本体43と、該収容部本体43に設けられて、雄コネクタ2のロックアーム61に係合可能な被ロック部8と、を備える。
【0033】
各収容部本体43は、図5、6に示すように、車体パネルPに沿って延びて形成された矩形板状の設置板44と、該設置板44から立設するとともに幅方向Yに対向する一対の側板45、45と、各側板45の上端に連続するとともに、設置板44に対向するように幅方向Yの内方に延びて形成された一対の延在板46、46と、を備え、前方X1、後方X2、及び上方Z1(電線挿通口40Cと記す場合がある)が開放されて構成されている。
【0034】
また、一対の延在板46、46の間には、図5に示すように、雄コネクタ2から引き出された第1電線C1を挿通させる電線挿通口40Cが設けられている。電線挿通口40Cが設けられていることにより、各コネクタ収容部40の内部に第1電線C1を上下方向Zに通過させることが可能とされている。
【0035】
また図5に示すように、各収容部本体43において、一対の側板45、45間の幅方向Yの寸法は、雄コネクタ2の幅寸法と略同じ寸法となるように構成されている。また、図2(A)(C)に示すように、雄コネクタ2のロックアーム61が被ロック部8に係合し、各コネクタ体11が各コネクタ収容部40に収容された状態で、各延在板46は、雄コネクタ2の雄上壁210Aに対向接触するように構成されている。
【0036】
これにより、雄コネクタ2のロックアーム61が被ロック部8に係合し、各コネクタ体11が各コネクタ収容部40に収容された状態で、一対の側板45、45によって雄コネクタ2、即ちコネクタ体11が幅方向Yにおいて移動不能に押さえつけられるとともに、各延在板46によって、コネクタ体11が上下方向Zにおいて移動不能に押さえつけられる。
【0037】
また各コネクタ体11が各コネクタ収容部40に収容された状態で、図2(A)(C)に示すように、雄コネクタ2の各コネクタ係止部5と各側板45とが対向接触して、各コネクタ係止部5が各側板45によって覆われることとなり、意図しない外力や衝撃が作用した場合でも、雄コネクタ2におけるコネクタ係止部5の雌コネクタ3における係止溝7への係止状態が維持されるとともに、雄コネクタ2および雌コネクタ3の嵌合状態が維持されることとなる。
【0038】
被ロック部8は、図4、6に示すように、設置板44から立ち上がる立上げ部81と、該立上げ部81から前方X1に延びて形成された板状のブロック側アーム82(車両側アーム)と、該ブロック側アーム82に設けられて雄コネクタ2のロックアーム61のロック突起63に係合可能な係合孔83と、を備える。このブロック側アーム82は、図7(B)に示すように、雄コネクタ2の被ロック収容空間6Aに収容可能に構成されている。係合孔83は、ブロック側アーム82の略中央部に設けられている。またブロック側アーム82が被ロック収容空間6Aの所定位置に収容された際に、係合孔83はロックアーム61のロック突起63に係合されるように構成されている。
【0039】
立上げ部81には、図6、10に示すように、棒状の解除治具D(図10に示す)を挿通させる治具挿通孔84が設けられている。このような治具挿通孔84に解除治具Dが挿通されることにより、解除治具Dの先端がロック突起63の突起傾斜面63Bに当接し、解除治具Dの先端によって突起傾斜面63Bが下方Z2に押され、ロックアーム61が撓んで、突起直交面63Aの係合孔83の周縁への当接が解除されることにより、ロック突起63の係合孔83への係合が解除されるように構成されている。
【0040】
一対の車体固定部42、42は、図2(B)に示すように、板状に形成されているとともに、内部にボルトBが挿入可能なカラーCが埋め込まれて構成されている。このような各車体固定部42は、車体パネルPの所定位置に重なった状態で、ボルトBがカラーCに挿入されることにより、ブロック本体41が車体パネルPに固定されるように構成されている。
【0041】
次に、コネクタ体11を車体ブロック4に組み付ける手順について、図7~9を参照して説明する。
【0042】
まず、雄コネクタ2を組み立てる場合には、雄ハウジング本体210の雄端子収容室2Aの後端に、雄端子付き電線12の先端(前端)を近付けて挿入する。挿入が進んで、雄端子付き電線12の先端が雄端子収容室2Aの所定位置に到達する。この後、雄スペーサ211を雄スペーサ収容室2Cに収容する。これにより雄スペーサ211によって雄端子20が係止されて、各雄端子20は各雄端子収容室2Aに抜け止めされる。このようにして雄コネクタ2を組み立てる。
【0043】
続いて、雌コネクタ3を組み立てる場合には、雌ハウジング本体310の雌端子収容室3Aの前端に、雌端子付き電線13の先端(後端)を近付けて挿入する。挿入が進んで、雌端子付き電線13の先端が雌端子収容室3Aの所定位置に到達する。この後、雌スペーサ311を雌スペーサ収容室3Bに収容する。これにより雌スペーサ311によって雌端子30が係止されて、各雌端子30は各雌端子収容室3Aに抜け止めされる。このようにして雌コネクタ3を組み立てる。
【0044】
この後、雌コネクタ3の後端を、雄コネクタ2の雌コネクタ収容室2Bの前端に近付けて挿入する。これにより各コネクタ係止部5の係止凸部51が雌コネクタ3の各雌側壁310Cに当接し、弾性アーム50が外方に撓んだ状態となる。挿入が進んで、弾性アーム50が撓んだ状態のまま、係止凸部51が各雌側壁310Cに摺動される。さらに挿入が進んで、各コネクタ係止部5の係止凸部51が係止溝7と対向する位置に到達した際に、弾性アーム50が自然状態に復帰して、係止凸部51が雌コネクタ3の係止溝7に嵌まる。各コネクタ係止部5によって各係止溝7が係止される。この際、雄コネクタ2と雌コネクタ3とが嵌合し、雄端子20と雌端子30とが電気的に接続される。このようにしてコネクタ体11の組み立が完了する。
【0045】
続いて、図7に示すように、車体ブロック4に設けられたコネクタ収容部40の前端に、コネクタ体11の後端を近付ける。雄コネクタ2から引き出された第1電線C1が電線挿通口40Cを通過して、第1電線C1がコネクタ収容部40の内部に位置付けられる。
【0046】
この後、図8に示すように、コネクタ収容部40に対してコネクタ体11を後方X2に移動させる。移動が進んで、車体ブロック4における被ロック部8のブロック側アーム82が、雄コネクタ2の被ロック収容空間6Aに挿入される。さらに移動が進んで、ブロック側アーム82の先端が、ロックアーム61における突起傾斜面63Bに当接し、さらに挿入が進んで、ブロック側アーム82の先端によって突起傾斜面63Bが押されるとともにアーム本体62が下方Z2に撓む。さらに移動が進んで、アーム本体62が撓んだ状態のまま、ブロック側アーム82が被ロック収容空間6Aの所定位置に到達した際に、アーム本体62が自然状態に復帰し、突起直交面63Aが係合孔83の周縁に当接して、ロックアーム61のロック突起63が係合孔83に係合する。このようにして、図9に示すように、コネクタ体11がコネクタ収容部40に収容される。
【0047】
また、図9に示すように、コネクタ体11がコネクタ収容部40に収容された状態では、一対の側板45、45によって雄コネクタ2(コネクタ体11)が幅方向Yにおいて移動不能に押さえつけられるとともに、各延在板46によって、雄コネクタ2(コネクタ体11)が上下方向Zにおいて移動不能に押さえつけられる。また、雄コネクタ2の各コネクタ係止部5と各側板45とが対向接触して、各コネクタ係止部5が各側板45に覆われている。このようにして、コネクタ体11の車体ブロック4への組付けが完了する。
【0048】
続いて、コネクタ体11の車体ブロック4への組み付けを解除する場合には、図10に示すように、解除治具Dをコネクタ体11の後方X2から治具挿通孔84に挿通させる。解除治具Dの先端がロック突起63の突起傾斜面63Bに当接する。挿通が進んで、図11に示すように、解除治具Dの先端によって突起傾斜面63Bが下方Z2に押され、アーム本体62が撓んで、突起直交面63Aの係合孔83の周縁への当接が解除されることにより、ロック突起63の係合孔83への係合が解除される。このようにしてロックアーム61の係合孔83への係合が解除される。この後、アーム本体62が撓んだ状態のまま、コネクタ体11をコネクタ収容部40に対して前方X1に移動させる。このようにして、コネクタ体11の車体ブロック4への組み付けを解除する。
【0049】
上述した実施形態によれば、車体ブロック4(車両対象部)における一対の側板45、45の間に雄ハウジング本体210(コネクタ本体)が挟まって支持されている。これによれば、ロックアーム61が被ロック部8に係合した状態、即ちコネクタ体11が各コネクタ収容部40に収容された状態では、一対の側板45、45によって雄コネクタ2(コネクタ体)が幅方向Yにおいて移動不能に押さえつけられていることにより、幅方向Yのガタつきが抑えられ、その結果、車両振動により、雄コネクタ2がガタつくことに起因する異音の発生や、雄端子20および雌端子30の接点摩耗による抵抗値の上昇が発生することの抑制を図ることができる。これにより、雄コネクタ2に対する耐振性の向上を図ることができる。
【0050】
また、雄コネクタ2におけるコネクタ係止部5が雌コネクタ3(第2コネクタ)を係止した状態で、コネクタ係止部5が各側板45の内面に対向して設けられている。これによれば、各コネクタ係止部5が各側板45によって覆われることとなり、意図しない外力や衝撃が作用した場合でも、雄コネクタ2におけるコネクタ係止部5の雌コネクタ3における係止溝7への係止状態が維持されるとともに、雄コネクタ2および雌コネクタ3の嵌合状態が維持されることとなる。
【0051】
また、雄コネクタ2(第1コネクタ)から前後方向X(コネクタ本体の軸方向)に第1電線C1が引き出され、車体ブロック4(車両対象部)は、一対の側板45、45それぞれに連続するとともに設置板44に対向するように延びて形成された一対の延在板46、46を有し、一対の延在板46、46の間には、第1電線C1を挿通させる電線挿通口40Cが設けられている。これによれば、電線挿通口40Cが設けられていることにより、作業性よくコネクタ体11を車体ブロック4に組み付けることができる。
【0052】
また、被ロック部8は、設置板44から立ち上がる立上げ部81と、該立上げ部81の前後方向X(コネクタ本体の軸方向)に延びて形成されたブロック側アーム82(車両側アーム)と、該ブロック側アーム82に設けられてロックアーム61に係合可能な係合孔83と、を備え、立上げ部81には、棒状の解除治具D(治具)が挿入されてロックアーム61の係合孔83への係合を解除するための治具挿通孔84(解除孔)が設けられている。これによれば、治具挿通孔84に棒状の解除治具Dを挿入することにより、ロックアーム61の被ロック部8への係合が解除される。即ち、治具挿通孔84が設けられていることにより作業性よくロックアーム61の被ロック部8への係合を解除することができる。
【0053】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0054】
前記実施形態では、コネクタ収容部40に対してコネクタ体11が後方X2に移動されることにより、ロックアーム61のロック突起63が係合孔83に係合するように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。コネクタ収容部40に対してコネクタ体11が前方X1に移動されることにより、ロックアーム61のロック突起63が係合孔83に係合するように構成されていてもよい。即ち、雄コネクタ2に設けられたロックアーム61は、前方X1に向けて延びて形成され、車体ブロック4に設けられた被ロック部8は、ブロック側アーム82が後方X2に向けて延びて形成されていてもよい。この場合において、雌コネクタ3から引き出された第2電線C2が電線挿通口40Cを通過する構成も権利範囲に含むものとする。
【0055】
次に、前記コネクタ組付け構造の変形例を図12~14に基づいて説明する。図12について(A)はコネクタ組付け構造10の変形例であるコネクタ組付け構造10Aを示す横断面図であり、(B)は(A)の要部を拡大して示す図である。図13はコネクタ組付け構造10Aを構成する車体ブロック14(車両対象部)を示す斜視図である。図14は車体ブロック14を正面から見た図である。図12~14に示すように、コネクタ組付け構造10Aの変形例では、車体ブロック14の各コネクタ収容部140を構成する各側板45に、コネクタ体11のコネクタ係止部5を押圧可能な押圧突起145Aが設けられていてもよい。
【0056】
押圧突起145Aは、各側板45の内面45aにおける前方X1の端部に凸に形成されている。これによれば、押圧突起145Aによって、コネクタ係止部5における弾性アーム50(コネクタアーム)の自由端にある係止凸部51が雌コネクタ3に向かって押圧されることによって、押圧突起145Aにより、係止凸部51が雌コネクタ3の係止溝7により深く進入されることとなり、コネクタ係止部5の係止溝7に対する係止を外れ難くすることができる。これにより、雄コネクタ2および雌コネクタ3の嵌合状態が、より一層、強固に維持されることとなる。
【0057】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
10、10A コネクタ組付け構造
2 雄コネクタ(第1コネクタ)
3 雌コネクタ(第2コネクタ)
4、14 車体ブロック(車両対象部)
5 コネクタ係止部
8 被ロック部
40C 電線挿通口
44 設置板
45、45 側板
45a 側板の内面
145A 押圧突起
46、46 一対の延在板
50 弾性アーム(コネクタアーム)
61 ロックアーム
81 立上げ部
82 ブロック側アーム(車両側アーム)
83 係合孔
84 治具挿通孔(解除孔)
210 雄ハウジング本体(コネクタ本体)
210A 雄上壁(第2壁)
210B 雄下壁(第1壁)
210C、210C 一対の雄側壁(第3壁)
C1 第1電線
C2 第2電線
D 解除治具(治具)
X 前後方向(コネクタ本体の軸方向)
図1
図2
図3
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図14