(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155109
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電源装置およびモータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02P 31/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H02P31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069538
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 桂一
(72)【発明者】
【氏名】塩畑 彰雄
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA20
5H501BB08
5H501CC04
5H501DD01
5H501HA04
5H501HA08
5H501JJ03
5H501LL23
(57)【要約】
【課題】 電源電圧に関する制約を守りつつ、コンデンサに十分なプリチャージを行うことができる電源装置等を提供する。
【解決手段】 モータを駆動する駆動回路と、駆動回路のスイッチング素子に向けて制御信号を出力するプリドライバ回路に、バッテリから電源供給を行う電源装置であって、駆動回路の電源ラインに接続されたコンデンサと、コンデンサにバッテリからのプリチャージ電流を与える第1の回路と、コンデンサへのプリチャージの完了後にバッテリを電源ラインに接続する第1のスイッチと、プリドライバ回路に、第1の回路を経由せずにバッテリから電源供給を行う第2の回路と、を備え、第2の回路は、電源ラインの電位に対する電位差が所定値よりも低い電源電圧をプリドライバ回路に供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動する駆動回路と、前記駆動回路のスイッチング素子に向けて制御信号を出力するプリドライバ回路に、バッテリから電源供給を行う電源装置であって、
前記駆動回路の電源ラインに接続されたコンデンサと、
前記コンデンサに前記バッテリからのプリチャージ電流を与える第1の回路と、
前記コンデンサへのプリチャージの完了後に前記バッテリを前記電源ラインに接続する第1のスイッチと、
前記プリドライバ回路に、前記第1の回路を経由せずに前記バッテリから電源供給を行う第2の回路と、
を備え、
前記第2の回路は、前記電源ラインの電位に対する電位差が所定値よりも低い電源電圧を前記プリドライバ回路に供給する、電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記第2の回路は、前記電源ラインの電位に応じた電圧を前記プリドライバに供給する半導体素子を含んで構成される、電源装置。
【請求項3】
前記第1の回路および前記第2の回路に前記バッテリからの電流を供給する第2のスイッチを備え、
前記第2のスイッチが閉じられて前記コンデンサへのプリチャージが完了した後に前記第1のスイッチが閉じられる、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電源装置において、
前記第2の回路は、プリチャージが完了した前記コンデンサが接続されている前記電源ラインを前記プリドライバ回路に接続する第3のスイッチを有し、
前記第1のスイッチが閉じられた後に、前記第3のスイッチが閉じられる、請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
モータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路のスイッチング素子に向けて制御信号を出力するプリドライバ回路と、
前記駆動回路およびプリドライバ回路に、バッテリから電源供給を行う電源装置と、
を備えるモータ駆動装置であって、
前記電源装置は、
前記駆動回路の電源ラインに接続されたコンデンサと、
前記コンデンサに前記バッテリからのプリチャージ電流を与える第1の回路と、
前記コンデンサへのプリチャージの完了後に前記バッテリを前記電源ラインに接続する第1のスイッチと、
前記プリドライバ回路に、前記第1の回路を経由せずに前記バッテリから電源供給を行う第2の回路と、
を備え、
前記第2の回路は、前記電源ラインの電位に対する電位差が所定値よりも低い電圧を前記プリドライバ回路に供給する、モータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置およびモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータを駆動する駆動回路に電源供給を行う電源装置が開示されている。この電源装置では、駆動回路の電源ラインにコンデンサが設けられ、このコンデンサにプリチャージを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、駆動回路へ印加する電源電圧と、駆動回路に制御信号を与えるプリドライバ回路へ印加する電源電圧との間の関係に、制約が存在する場合がある。この場合、かかる制約を守りつつ、コンデンサに十分なプリチャージを行うことが必要となる。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、電源電圧に関する制約を守りつつ、コンデンサに十分なプリチャージを行うことができる電源装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、
モータを駆動する駆動回路と、前記駆動回路のスイッチング素子に向けて制御信号を出力するプリドライバ回路に、バッテリから電源供給を行う電源装置であって、
前記駆動回路の電源ラインに接続されたコンデンサと、
前記コンデンサに前記バッテリからのプリチャージ電流を与える第1の回路と、
前記コンデンサへのプリチャージの完了後に前記バッテリを前記電源ラインに接続する第1のスイッチと、
前記プリドライバ回路に、前記第1の回路を経由せずに前記バッテリから電源供給を行う第2の回路と、
を備え、
前記第2の回路は、前記電源ラインの電位に対する電位差が所定値よりも低い電源電圧を前記プリドライバ回路に供給する、電源装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、電源電圧に関する制約を守りつつ、コンデンサに十分なプリチャージを行うことができる電源装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施例の電源装置の構成を示す図である。
【
図1A】コンデンサへのプリチャージが完了した後の電源装置の状態を示す図である。
【
図3】第2の実施例の電源装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施例)
図1は、第1の実施例の電源装置の構成を示す図、
図1Aは、コンデンサへのプリチャージが完了した後の電源装置の状態を示す図である。
【0011】
第1の実施例の電源装置は、車両に搭載される装置である。この電源装置は、車載の電動オイルポンプのモータ(不図示)を駆動する駆動回路30と、駆動回路30のスイッチング素子に向けて制御信号CSを出力するプリドライバ回路40に、定格電圧12Vの車載のバッテリBTから電源供給を行う。第1の実施例では、プリドライバ回路40は、ICとして構成されている。なお、当該電源装置と、駆動回路30と、プリドライバ回路40とを含んで、モータ駆動装置が構成される。
【0012】
図1に示すように、第1の実施例の電源装置は、駆動回路30の電源ラインPLとグランドの間に接続されたコンデンサCと、コンデンサCにバッテリBTからのプリチャージ電流を与える第1の回路10と、コンデンサCへのプリチャージの完了後に第1の回路10を短絡し、電源ラインPLとバッテリBTとを接続するパワー電源リレースイッチSW1(第1のスイッチの一例)と、プリドライバ回路40に、第1の回路10を経由せずにバッテリBTから電源供給を行う第2の回路20と、第1の回路10および第2の回路20とバッテリBTとを接続するイグニッションスイッチSW2(第2のスイッチの一例)と、を備える。
【0013】
図1に示すように、電源ラインPLは、駆動回路30だけでなく、プリドライバ回路40を構成するIC(Integrated Circuit)の仕様に従って、プリドライバ回路40の入力端子P1にも接続される。
【0014】
コンデンサCは、コンデンサCに蓄積されている電荷を電源ラインPLを介して駆動回路30に供給することにより、駆動回路30に対する一時的な電源として機能しうる。また、電源回路30と電源間の高周波インピーダンスを低下させることと同様な効果を得ることができる。
【0015】
第1の回路10は、イグニッションスイッチSW2と電源ラインPLとの間で互いに直列接続されたダイオード11と、抵抗12とを有する。
【0016】
第2の回路20は、イグニッションスイッチSW2に接続されたダイオード21と、トランジスタ22(半導体素子の一例)とを有する。
図1に示すように、トランジスタ22のベースは、ベース抵抗23を介して電源ラインPLに接続されている。また、トランジスタ22のコレクタはダイオード21に、トランジスタ22のエミッタはプリドライバ回路40の電源端子P0に、それぞれ接続されている。
【0017】
なお、
図1において、駆動回路30には1つのスイッチング素子(FET)のみが模式的に図示されているが、スイッチング素子の数は任意である。例えば、3相モータを駆動する場合には、各相について一対のスイッチング素子、すなわち、全部で6つのスイッチング素子を駆動回路30に設けてもよい。この場合、駆動回路30に設けられた各スイッチング素子のオン/オフが、互いに独立したタイミングで駆動回路30からの制御信号CSにより制御可能とされる。
【0018】
次に、第1の実施例の電源装置の動作について説明する。
【0019】
最初に、パワー電源リレースイッチSW1が開いた状態でイグニッションスイッチSW2が閉じられると、第1の回路10を介してバッテリBTからコンデンサCにプリチャージ電流が供給され、コンデンサCがプリチャージされる。
【0020】
コンデンサCへのプリチャージに伴い、電源ラインPLの電位が上昇すると、トランジスタ22のベース電位も上昇する。これにより、プリドライバ回路40の電源端子P0の電位(トランジスタ22のエミッタ電位)も上昇する。ここで、トランジスタ22のベース電位は、ほぼ、電源ラインPLと一致する。このため、プリドライバ回路40の電源端子P0の電位は、電源ラインPLの電位よりも約0.7V(トランジスタ22のベース-エミッタ間電圧に相当)だけ低い値に維持される。
【0021】
次に、
図1Aに示すように、コンデンサCへのプリチャージの完了後に、パワー電源リレースイッチSW1が閉じられると、電源ラインPLがバッテリBTの正側端子に直接接続され、電源ラインPLの電位は、バッテリBTの電位に等しくなる。このとき、コンデンサCにはプリチャージが行われており、電源ラインPLの電位は、バッテリBTの電位に近い値まで上昇している。このため、パワー電源リレースイッチSW1が閉じられた瞬間の突入電流が抑制される。
【0022】
なお、パワー電源リレースイッチSW1は、イグニッションスイッチSW2が閉じられてから所定時間経過後に閉じられるように制御されてもよく、電源ラインPLの電位が閾値を超えたときに閉じられるように制御されてもよい。
【0023】
パワー電源リレースイッチSW1が閉じられた後においても、トランジスタ22によって、プリドライバ回路40の電源端子P0の電位は、電源ラインPLの電位よりも約0.7V低い値に維持される。
【0024】
このように、第1の実施例の電源装置では、プリドライバ回路40の電源端子P0の電位は、電源ラインPLの電位よりも約0.7V低い値に維持される。このため、プリドライバ回路40の入力端子P1と、プリドライバ回路40の電源端子P0との間の電位差が、約0.7V以内に維持される。これにより、例えば、プリドライバ回路40を構成するICの定格として、入力端子P1と電源端子P0の間の電位差として比較的小さい値(例えば、10V以下)が規定されていたとしても、かかる定格を守ることができる。
【0025】
また、コンデンサCへのプリチャージ中に電源端子P0の電位が上昇するため、パワー電源リレースイッチSW1が閉じられる前にプリドライバ回路40の動作を開始させることも可能となる。この場合、パワー電源リレースイッチSW1が閉じられて駆動回路30への電源供給が開始されると同時に、駆動回路30の動作を開始できる。
【0026】
次に、比較例について説明する。
【0027】
【0028】
図2の例では、本実施例の電源装置(
図1)における第2の回路20(トランジスタ22)を省略している。この場合、イグニッションスイッチSW2が閉じられた直後に、プリドライバ回路40の電源端子P0の電圧が、バッテリBTの電位からダイオード21の電圧降下分(シリコンダイオードの場合、約0.7V)を差し引いた約11.3Vまで跳ね上がる。一方、プリドライバ回路40の入力端子P1の電位は、イグニッションスイッチSW2が閉じられた直後には、いまだ低電位(約0V)となっている。このため、入力端子P1と、電源端子P0の間の電位差が定格を一時的にオーバーするおそれがある。
【0029】
また、
図2Aの例では、プリドライバ回路40の電源端子P0を直接、電源ラインPLに接続している。この場合、プリドライバ回路40の電源端子P0とプリドライバ回路40の入力端子P1が短絡されるため、入力端子P1と電源端子P0の間の電位差が上記の定格をオーバーするおそれはない。しかし、この場合には、電源端子P0に流れ込むプリドライバ回路40の消費電流I0による抵抗12における電圧降下ΔVが大きくなる。このため、電源ラインPLの電位が低下してコンデンサCへのプリチャージが不完全となるおそれがある。これに対し、本実施例の電源装置では、トランジスタ22の電流増幅率により抵抗12に流れる電流は僅かになるため、かかる問題を回避できる。
【0030】
第1の実施例の電源装置において、第1の回路10および第2の回路20の回路構成は任意である。例えば、第1の回路10に代えて半導体素子を用いた電流制限回路(例えば、定電流回路)を用いてもよい。また、第2の回路20において、可能であればダイオード21を省略してもよく、トランジスタ22を他の半導体素子(例えば、FET)に置換してもよい。
【0031】
(第2の実施例)
以下、第2の実施例の電源装置について、第1の実施例との相違点について説明する。
【0032】
図3は、第2の実施例の電源装置の構成を示す図である。
【0033】
図3に示すように、第2の実施例の電源装置は、第1の実施例の第2の回路20に代えて、第2の回路としてのスイッチSW3(第3のスイッチの一例)を備える。
【0034】
スイッチSW3は、車載のマイコン50により制御される。マイコン50は、バッテリBTを電源として機能し、例えば、イグニッションスイッチSW2を閉じることで、その動作が開始される。
【0035】
図3に示すように、プリドライバ回路40の入力端子P1と電源端子P0は、互いに短絡され、いずれもスイッチSW3を介して電源ラインPLに接続されている。すなわち、スイッチSW3が閉じられると、プリドライバ回路40の入力端子P1と電源端子P0は、いずれも電源ラインPLに接続された状態となる。
【0036】
次に、第2の実施例の電源装置の動作について説明する。
【0037】
まず、パワー電源リレースイッチSW1およびスイッチSW3が開いた状態でイグニッションスイッチSW2が閉じられると、第1の回路10を介してバッテリBTからコンデンサCにプリチャージ電流が供給され、コンデンサCがプリチャージされる。また、イグニッションスイッチSW2が閉じられると、マイコン50にバッテリBTからの電源供給が開始され、マイコン50が動作を開始する。
【0038】
次に、コンデンサCへのプリチャージの完了後に、パワー電源リレースイッチSW1が閉じられると、電源ラインPLがバッテリBTの正側端子に直接接続され、電源ラインPLの電位は、バッテリBTの電位に等しくなる。このとき、コンデンサCはプリチャージされており、電源ラインPLの電位は、バッテリBTの電位に近い値まで上昇している。このため、パワー電源リレースイッチSW1が閉じられた瞬間の突入電流が抑制される。
【0039】
なお、パワー電源リレースイッチSW1は、イグニッションスイッチSW2が閉じられてから所定時間経過後に閉じられるように制御されてもよく、電源ラインPLの電位が閾値を超えたときに閉じられるように制御されてもよい。
【0040】
次に、マイコン50がパワー電源リレースイッチSW1が閉じられたことを検知すると、マイコン50によりスイッチSW3が閉じられる。これにより、プリドライバ回路40の入力端子P1と電源端子P0が電源ラインPLに接続され、入力端子P1と電源端子P0にバッテリBTの電圧が与えられた状態となる。この状態では、バッテリBTからの電流は、第2の回路20を経由せずに、パワー電源リレースイッチSW1およびスイッチSW3を介して駆動回路30およびプリドライバ回路40に供給される。
【0041】
このように、第2の実施例の電源装置では、入力端子P1と電源端子P0とが短絡されているので、入力端子P1と電源端子P0の電位差が定格を超えるおそれがない。また、パワー電源リレースイッチSW1が閉じられた後に、スイッチSW3が閉じられるため、コンデンサCへのプリチャージ中にプリドライバ回路40への電源供給は開始されない。このため、コンデンサCへのプリチャージ中に、プリドライバ回路40の消費電流I0が第1の回路10の抵抗12に流れることによる電圧降下は発生せず、よって、この電圧降下により電源ラインPLの電位を低下させることはない。したがって、コンデンサCへのプリチャージが不完全に終わるおそれがない。
【0042】
以上説明したように、上記実施例によれば、駆動回路30へ印加する電源電圧と、プリドライバ回路40へ印加する電源電圧との間の関係に、制約が存在する場合であっても、かかる制約を守りつつ、コンデンサCに十分なプリチャージを行うことが可能となる。例えば、両者の電源電圧の電位差に関する定格が存在する場合であっても、かかる定格を遵守しつつ、コンデンサCを十全にプリチャージすることができる。
【0043】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0044】
なお、以上の本発明の実施例に関し、更に以下の付記を開示する。
【0045】
[付記1]
モータを駆動する駆動回路(30)と、前記駆動回路のスイッチング素子に向けて制御信号を出力するプリドライバ回路(40)に、バッテリ(BT)から電源供給を行う電源装置であって、
前記駆動回路の電源ライン(PL)に接続されたコンデンサ(C)と、
前記コンデンサに前記バッテリからのプリチャージ電流を与える第1の回路(10)と、
前記コンデンサへのプリチャージの完了後に前記バッテリを前記電源ラインに接続する第1のスイッチ(SW1)と、
前記プリドライバ回路に、前記第1の回路を経由せずに前記バッテリから電源供給を行う第2の回路(20)と、
を備え、
前記第2の回路は、前記電源ラインの電位に対する電位差が所定値よりも低い電源電圧を前記プリドライバ回路に供給する、電源装置。
【0046】
付記1に記載の構成によれば、第2の回路は、電源ラインの電位に対する電位差が所定値よりも低い電源電圧をプリドライバ回路に供給するので、プリドライバ回路の電源電圧と駆動回路の電源電圧との間の電位差を抑制することができる。
【0047】
[付記2]
付記1に記載の電源装置において、
前記第2の回路は、前記電源ラインの電位に応じた電圧を前記プリドライバに供給する半導体素子(22)を含んで構成される、電源装置。
【0048】
付記2に記載の構成によれば、半導体素子(22)によりコンデンサの充電電圧に応じた電圧を前記プリドライバに供給するので、電源ラインの電位に対する電位差が所定値よりも低い電源電圧がプリドライバ回路に供給される。
【0049】
[付記3]
前記第1の回路および前記第2の回路に前記バッテリからの電流を供給する第2のスイッチ(SW2)を備え、
前記第2のスイッチが閉じられて前記コンデンサへのプリチャージが完了した後に前記第1のスイッチが閉じられる、付記2に記載の電源装置。
【0050】
付記3に記載の構成によれば、コンデンサへのプリチャージが完了した後に第1のスイッチが閉じられるので、第1のスイッチが閉じられた際の突入電流を抑制できる。
【0051】
[付記4]
付記1に記載の電源装置において、
前記第2の回路は、前記電源ラインを前記プリドライバ回路に接続する第3のスイッチ(SW3)を有し、
前記第1のスイッチが閉じられた後に、前記第3のスイッチが閉じられる、付記1に記載の電源装置。
【0052】
付記4に記載の構成によれば、電源ラインが駆動回路およびプリドライバ回路に接続されるので、プリドライバ回路の電源電圧と駆動回路の電源電圧との間の電位差をなくすことができる。また、第1のスイッチが閉じられた後に、第3のスイッチが閉じられるので、第1のスイッチが閉じられた際の突入電流を抑制できる。
【0053】
[付記5]
モータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路のスイッチング素子に向けて制御信号を出力するプリドライバ回路と、
前記駆動回路およびプリドライバ回路に、バッテリから電源供給を行う電源装置と、
を備えるモータ駆動装置であって、
前記電源装置は、
前記駆動回路の電源ラインに接続されたコンデンサと、
前記コンデンサに前記バッテリからのプリチャージ電流を与える第1の回路と、
前記コンデンサへのプリチャージの完了後に前記バッテリを前記電源ラインに接続する第1のスイッチと、
前記プリドライバ回路に、前記第1の回路を経由せずに前記バッテリから電源供給を行う第2の回路と、
を備え、
前記第2の回路は、前記電源ラインの電位に対する電位差が所定値よりも低い電圧を前記プリドライバ回路に供給する、モータ駆動装置。
【0054】
付記5に記載の構成によれば、第2の回路は、電源ラインの電位に対する電位差が所定値よりも低い電源電圧をプリドライバ回路に供給するので、プリドライバ回路の電源電圧と駆動回路の電源電圧との間の電位差を抑制することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 第1の回路
11 ダイオード
12 抵抗
20 第2の回路
21 ダイオード
22 トランジスタ
30 駆動回路
40 プリドライバ回路
BT バッテリ
C コンデンサ
PL 電源ライン
SW1 パワー電源リレースイッチ
SW2 イグニッションスイッチ
SW3 スイッチ